槇原敬之はもうやってない? 田代まさしはどうしたらやめられる? 元女囚が考える薬物事件の再犯

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

逮捕から起訴の日まで3週間も勾留

 3月4日に槇原敬之さんが覚醒剤所持などで起訴されましたね。びっくりしたのは、2月13日の逮捕から起訴の日まで3週間も勾留されていたことです。「所持」だけでそんなに? もともと所持は認めていたようですし、最初の尿検査で陰性とわかった時点で、保釈でよかったのとちがいますかね。やってもいないことで長い勾留はイヤガラセでしかないですよ。かわいそうに。

 今回の逮捕の時、「2年も前の所持で逮捕なんて、政府の都合の悪いことを隠すためでは?」とかネットなどでいわれていましたね。私は「陰謀説」とかようわからんのですが、こんなちっさいことで長く勾留されてると、やっぱりおかしいなと思ってしまいます。マッキーも、「がんばってるのに信じてもらえない」となったら、やる気なくなりますよ。2年前の所持なら実刑はないと思いますが、応援しています。

マーシーは、どうやったらやめられる?

 同じ3月4日、マーシーこと田代まさしさんの裁判では、実刑の一部が保護観察付きで執行猶予になりましたね。ややこしいですが、「一部の執行猶予」は最近できた制度です。刑期満了前に薬物の更生プログラムなどを受けられるように、少し早めに出所(=刑の猶予)がアリなんですね。

 何回か書かせてもらってますが、どうすればクスリをやめられるのか、ホンマにわかりません。普通は「居場所」があるとやめやすいといわれています。なんの心配もなく住める家庭とか、仕事とか、あとは親しい家族や友だちですね。私が今なんとかなっているのも、こういう居場所があるからです。

 マーシーも、たくさんのファンがいて、YouTubeでも人気があって、支えてくれる妹さんとかもいて、「居場所」はあったはずですよね。

 判決で、裁判官は「あなたに手を差し伸べてくれる人がいるのは財産。社会復帰したら、財産を生かして薬をやめ続けてほしい。今度こそ二度と罪を犯すことのないように」と言ったそうですが、「財産」があってもやめられなかったのは、なぜなんでしょう?

 これは私の推理ですけど、マーシーは「寂しい」んやと思います。今も人気はあるにはあっても、昭和の頃の大スター的な人気とは違いますよね。ラッツ&スターとか志村けんさんとか、昔の仕事仲間はもう付き合ってくれてないようですしね。

 昔の大スターの自分と比べて、「オレってば何やってんだろう?」って思うと、やっぱり寂しいし、へこむのとちがいますかね。そういう気持ちになると、クスリに手を出しやすいんです。なんかね、誰でも「昔はよかった」的には考えないほうがええと思いますよ。まあ私は、昔はムショにいたんで、今のほうが全然ええですけど(苦笑)。マーシーも若い頃のことがなかなか忘れられないのでしょうが、「今」と「前」を見て生きてほしいです。

 あと、マーシーは裁判で「ずっとクスリをやめていたのに、2019年8月に『反社会的勢力との宴会』でクスリをもらって、また使い始めた」そうです。やっぱり、売ってくれる人との関係を絶たないとやめられないですよ。

 ちなみに「オンナのほうがクスリをやめにくい」とよくいわれますけど、どうでしょうかね。「キメセクが気持ちよすぎるから」らしいですが、私の感想ではオトコのほうがよっぽどやめられない感じです。これもやっぱり寂しいからかなーと。寂しくても、みんながんばって生きましょうよ(笑)。

槇原敬之は本当にクスリをやっているのか? 元女囚が考える、更生への険しい道のり

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

今回は冤罪説も浮上

 マッキーこと槇原敬之さんの覚せい剤取締法違反の逮捕騒動は、お父さんが週刊誌でインタビューまでされちゃって、なかなか収まりませんね。もうマッキーも50歳過ぎてるし、「親の顔が見たい」も微妙すぎますけど、それだけほかにネタがないちゅうことかなとも思います。

 そもそも2月20日現在でまだ起訴もされてないのに、なんでみんな犯人扱いですかねえ。まあ逮捕も2度目(ゆうても前回は20年以上前)で、クスリやから注目されるんでしょうね。むしろ、いとこのローリー寺西さんのほうがアヤシイ感じですけどね。

「槇原は、まだ(クスリを)やっとる」

 不良の間では、こんなウワサが前からあったそうです。でも、そんなん「前科」があったらみんな言われます。清原和博さんも、田代まさしさんの時とか「清原も危ないなー」とか言われてたし、私も陰では言われてるはずです。ちょっとでも痩せたら、「あいつ、まだやっとるんか」ってなりますから、おちおちダイエットもできひんのです。

 そして、報道を見る限り、マッキーは罪を否定しているようです。物証はないし、尿の簡易鑑定検査も陰性(ちゃんとした検査結果はまだ)で、しかも容疑は2年前の「所持」ですよ。だいぶ前から警察に目をつけられていたこともニュースになっていましたが、ホンマにこれで起訴できるんかなあと思います。起訴されなかったらええなあって思っています。

 槇原さんの逮捕で、最近はエリカ様など大物の逮捕が続いているのは、「オリンピックに向けた海外アピール」とか、「(当時のマッキーのパートナーがパクられた)2年前は、安倍晋三総理の奥様がマッキーの曲をよく歌っていたから逮捕が延期になった」とか、いろんな「説」があるようです。

 どうなんでしょうね。よくわかんないです。ただひとつ言えるのは、大物歌手であろうと、私のような一般人であろうと、「一度パクられたら、世間からは信用されない」ゆうことです。槇原さんも前の逮捕は20年も前なのに、世間からは「やっぱりまたオマエか!」と言われるのです。

 だからこそクスリをやめたい人たちは、一日一日を大切にがんばっているんです。クスリとの戦いは、「ゴールのないマラソン」ともいわれますね。私も目の前に注射器を置かれても大丈夫になるまでは、けっこうかかりました。何度か書かせていただいていますが、がんばれた理由は、ホンマのところはわかりません。

 私には家族や経営しているラウンジの女の子など「守るべき人たち」がいて、家庭や仕事という居場所があって、取材してくれるテレビ局や出版社の人たちの信頼という「守るべきもの」はありますが、それだけではクスリをやめられないこともあります。

 エリカ様とか最近パクられた有名人も、失うものは多すぎましたよね。失うとわかっていてもクスリをやってしまうことはあるのです。どんなに成功していても、誰でも「寂しいな」と思うこと、ありますよね。そういう時にクスリにつけこまれるんです。それは、すごくよくわかりますが、やっぱりクスリはええことないですよ。更生を温かい目で見守っていただきたいです。

 ちなみに最近は大量のシャブがけっこう摘発されていますが、あんなのは氷山の一角です。まだまだ大量に日本に入ってきているはずです。でも、コロナウイルスの影響で生産と流通に影響が出て、品薄になっているというお話も聞いています。マスクと同じなのがおもろいですね。

沢尻エリカの有罪判決に「執行猶予」は不要? 元女囚が考える薬物案件の量刑

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

「自分でクスリをやめられると思っていた」

 2月6日、麻薬取締法違反で起訴されていたエリカ様に、執行猶予付きの有罪判決が出ましたね。薬物案件はヤクザでも初犯なら執行猶予がつくことがあるくらいですから、想定内ではありました。

 エイベックスが契約を解除しないのは、テレビや映画関連の損害賠償がらみでしょうが、「やさしさ」と思いたいですね。瑠美的には、1月31日の初公判(と結審)でのエリカ様の被告人質問での言葉が気になりましたね。

「自分の中では(薬物を)コントロールできる、やめられると思っていましたが、大きな間違いでした」

 やっぱり、みんなクスリをやめられると思ってしまうんです。私もそうでした。それがなぜなのかはわかりません。私がやめられた理由も、実はよくわかりません。でも、もうやらない自信はありますよ。エリカ様は同じ被告人質問で、悪い友だちとの関係を「すべてが害でした」と言って、更生を誓っています。

 今33歳で、19歳くらいから大麻やコカイン、MDMAなどを使っていたそうですが、まだまだやり直せると思いますよ。芸能界復帰は、ゆっくり考えればええのとちがいますかね。

 それにしても、なぜ薬物事件の初犯は執行猶予がつくんでしょうね。私もそうでしたが、クスリは常習性が高いので、最初から実刑がええと思いますよ。

 編集者さんが執行猶予について調べてくださいましたが、刑法で決められているそうです。
 

第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

 ジョウジョウシャクリョウ。この言葉、私の裁判でもよく聞きましたが、要するに「気の毒やな」と裁判官に思ってもらうことですよね。瑠美は一回も認めてもらえませんでしたが。

 初犯で実刑だったのは、元プロ野球選手の江夏豊さんくらいとちがいますかね。所持の量が100グラムとけっこう多かったこともあって服役されています。でも、その後の江夏さんはクスリをスッパリとやめて、今は野球の解説者や指導者として活躍されているので、清原和博さんが逮捕された時も実刑を望む声がけっこうありましたね。私もそう思いました。

 エリカ様も、19歳からクスリを使っていたとのことなので、初犯でもムショでゆっくり今までのことを考えたほうがよかったのではないでしょうか。「芸能人」なので、刑務作業も寝る時もお一人様でしょうから、考える時間はたっぷりあります。もともと美人さんで、演技もうまいのですから、引退ではなく女優さんとして復帰される日をお待ちしております。

 そういえば、ピエール瀧さんの復帰もニュースで見ました。「復帰が早すぎる」との声もあるようですが、がんばって働いて、違約金とかを払わないとですね。私も応援していますよ。

女子刑務所と男子刑務所の違いとは? 元女囚が語る、塀の中の「オンナ」と「オトコ」

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

受刑者は割り振られた番号で罪がわかる

 ついこの間、「おめでとう」と言い合っていたのに、あっという間に1月ももうすぐ終わりですね。おめでたいといえば、懲役経験者なら知らない人はいない女性デュオのPaix2(ペペ)の「500回目の刑務所コンサート」がニュースになっていました。なんとボランティアでムショの慰問を20年も続けてるんですよ。私もムショで聴かせてもらいましたが、涙ぐんじゃう人も多いです。

 500回おめでとうございます。これからもずっとムショで歌ってほしいです。

 最近、Vシネマ『日本統一』にハマっております。仕事や家事の合間にちょこちょこ見ている感じです。Wikipediaによると、「横浜出身の不良青年である氷室蓮司(本宮泰風)、田村悠人(山口祥行)が日本最大の任侠団体『侠和会』の盃を受け、会の発展と日本極道界統一を目指し奮闘する姿を描く」ドラマです。ゴリゴリのヤクザドラマで、ちょっと前に亡くなった梅宮辰夫さんが出演されてますし、去年のクリスマスに逮捕された国会議員の秋元司さんがなぜか「マル暴刑事」で出てたのも話題です。
 

 秋元さんは「めっちゃ出たがってた」そうで、変わった方ですね。でもドラマはおもろくて、友だちや編集者さんにも勧めてます。テーマがテーマなので、ムショの場面も多いのですが、あらためて男子刑務所は女子刑務所とは違うなあと思うことがけっこうあります。

 この『日本統一』にも出てきますが、男はムショに入ると、まず自分の所属する組と自分のポジションを明らかにします。昔の「お控えなすって」みたいな感じでしょうか。でも、女子は自分の夫や恋人の組織なんか言いませんし、むしろ言うたらバカにされる可能性が高いです。入る前はナニをしていたか、どんな事件を起こしたかとかも、クスリなどは言うこともありますが、殺人とかのコは黙っていますね。そのうち仲よくなったりすれば自分から言いますが、刑務官からの情報のほか「称呼番号」からもなんとなくわかります。

 称呼番号とは、懲役(受刑者)全員に割り振られているマイナンバーみたいなもので、刑務官からは名前でなくこの番号で呼ばれるのがタテマエです。親しくなると名前でも呼ばれます。多分どこの女子刑も同じと思いますが、私がいた施設は、どこも1番から10番までの番号は殺人、100番までは長期、累犯は200番台、300番台は初犯とかに分かれていました。たまに「8番」とかが入ってくると、かなりざわつきますね(笑)。

 ネット情報では、長野刑務所に務めていたホリエモンは755で、1000番台以降は懲役8年以上やそうで、これも女子刑とは違いますね。普通ならホリエモンみたいに「初犯でヤクザでもない短期の人」は栃木の黒羽刑務所とかPFI刑務所やと思うんですが、リアルヤクザもいる長野刑務所に送られるなんて、よっぽどホリエモンは検察官に嫌われてたんやなと思います。ゴーン元会長もそうですが、検察官はお金持ちが憎いのかもしれません。

 もともとムショにいる女子は男子の10分の1くらいの人数で、犯罪もだいたい個人的なことです。男子のようにヤクザ以外でも半グレや窃盗団などの組織で動く女子はあんまりいないですね。大半の男子たちは組の看板を背負ってムショに来てるので、ケンカもメンツの問題になります。自分だけやなく、親分の、兄貴分の、弟分の顔に泥を塗ったとか、そんなんでケンカが始まってしまいます。

 もちろん女子のケンカは、ほぼ100%個人的問題です(笑)。ちょっとぶつかったとか、「アイツ、生意気や」とか、そんなところですね。

 そして、男子は組の対面を保つためにお金も必要です。たとえば差し入れ屋(刑務所や拘置所などで日用品などを販売する委託先)から石けんを買うのでも、一番高いボディソープを選びます。「○○組は、安い石けんを使うてるんやな」とか言われてしまうと、組の関係者がみんな恥をかくからです。

 女子はそのへんは堅実で、みんな一番安いのを使うし、自分だけ高いのを使うと逆にいじめられることもあります。女子は空気を読んでいるだけですね。でも、そもそもいろんな種類の石けんを売るのがおかしいんと違いますかね。最初から一種類ならモメることもないのに。これは施設と差し入れ屋の利権と思いますが、どうでしょう。

 女子刑務所と男子刑務所の違いは、「オンナ」と「オトコ」の違いであり、つまり「社会の縮図」ちゅうことです。

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「京都ダルク」建設反対運動を元“ポン中”が考える――薬物中毒者の大半は凶悪事件を起こしません

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

テレビも大々的に紹介した「京都ダルク」建設反対運動

 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願い申し上げます。
 いつも読んでくださってありがとうございます。

 新年早々アレですが、少し前から京都ダルクの建設計画をめぐって、めっちゃ反対運動が起こっているようですね。1万4,000人の署名が京都市に送られたそうです。ネットでも「リハビリ施設(ダルク)建設断固反対」とか書かれたビラが町中に貼られていて、物々しい雰囲気なのがわかります(2019年3月4日「住民の反発で建設計画がストップ 「地域の中で回復したい…」共生を模索する薬物依存回復施設」)。

 ダルクに限らず、火葬場とか刑務所とか、いわゆる「迷惑施設」の建設には、反対運動はつきものですよね。実は私の地元でもダルクへの反対運動がありましたが、今は運営されているようです。いろいろと話し合ったんでしょうね。

 今回に限らず、ダルクについては地元の反発が多いようですが、こんなに騒ぎになったことって、ありましたっけ? 報道やと、ダルク側の説明にも問題があったようです。もっと丁寧に説明して合意を得るべきでしたね。

 迷惑施設をめぐっては、いろんな問題があって根が深いですよね。今回は、ダルクの説明の段取りが悪かったようで、時間がかかるでしょう。こういう問題は、いっぺんには解決できませんが、私の思うところを書かせてください。

 まず、ダルクが地元にできることを住民がイヤがる理由は、「ポン中に何かされるとイヤやから」ですよね。これは、マジほとんどありません。「シャブ山シャブ子」問題の時にも同じことを書きましたが、ポン中が他人を傷つけることは、ほぼないです。なぜなら、自分にしか興味がないから。 

 事件を起こす人は、クスリでアタマがイカれる前に、もともと何か別の病気にかかっているのと違いますかね。でも、ダルクにいる人たちの多くは、病気でもなくて、「ポン中」から脱却したい人たちです。社会に身を置きながら、修行を積んでいるんです。

 反対派の皆さんは、「こんな町中でなく、山奥や離島に行け」とおっしゃっているようですが、それよりも、社会復帰しやすい都会に近いところでがんばるほうが、私はいいと思います。そもそも社会復帰をがんばりたい人たちが受け入れられずに復帰できなかったら、どうなるでしょうか? 社会復帰できない人が増えて、もっとイヤな社会になるのと違いますかね。ここはひとつ、あたたかい目でリハビリを見守っていただきたいです。

 そして、クスリの問題を「他人ごと」でなく「自分ごと」として考えていただきたいです。前にも書いてますが、ダルクは国内になんと90も関連施設があるそうです。それだけクスリをやっている人が多いちゅうことです。これもすごい話やないですか。自分もそうでしたが(笑)。

 ほとんどの方は、「違法薬物なんか自分とは関係ない」と思われているでしょう。田代まさしさんも「オレだけはすぐにやめられると思ってた」とテレビで話されてましたよね。でも、今回また逮捕されました。明日は我が身かもしれません。それに、自分は無関係でも、周囲の大切な家族や恋人、お友だちがクスリに手を出すかもしれませんよ。誰もが、いつダルクにお世話になるかわからないのです。

 クスリに限らず、間違いを起こしてしまった人を受け入れてくれる場所は、ひとつでも多いほうがええと思います。「居場所」の問題については、今後も皆さんと一緒に考えていきたいですね。

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元女囚が教える「刑務所トリビア」――少年刑務所に「中年」がいる理由とは?

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

少年刑務所で50代の受刑者が死亡

 12月19日、川越少年刑務所(埼玉・川越市)で、50代の懲役(受刑者)が亡くなっていたことが報道されましたね。南無阿弥陀仏。

 報道によると死因は不明で、司法解剖されるそうです。体調不良は特になかったらしく、虐待とかでなければええですね。さて、ここで問題です。なぜ少年刑務所に50代のオッサンがいてるんでしょうか。「中年刑務所やん」と皆さんも思われるはずです。

 実は、刑務官さんなどによると、もともと刑務所の運営自体が「かなりアバウト」のようです。そもそもカタカナで書かれていた明治時代の「監獄法」も2006年までイキてました。懲役ごときの法律は、いちいち見直すのも邪魔臭い……ということかなと思います。

 もちろん今の法律(「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」)もアバウトで、何かにつけて「施設の長」(所長)が判断してええことになっています。たとえば、第九十五条は刑務作業の時間について「刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、一日の作業時間及び作業を行わない日を定める」としてます。ちゃんと「法務省令の基準」があるのに、「細かいところは所長が決めてよろしい」となってるんですね。この法律は全体的にそんな感じです。

 昔のムショの施設は房の広さとか廊下の幅とか基準がなかったので、「現場の判断」が優先されてきたらしく、それがまだイキてるのではないかと刑務官さんから聞きました。そういえば、今度ホテルになる奈良少年刑務所とか、オシャンティですが、収監されていた知り合いによると、やっぱり夏は暑くて冬は寒いし、「住む人(収容者)のことを考えてつくられてない」そうです。そのため、現在、カタギさんのために住みやすく改装されてるようです。

 前にも書いてますが、男子の刑務所は、犯罪傾向が進んでいる懲役(「累犯」ですね)と初犯のほか、刑期の長さなどで区分けがあります。でも、女子刑務所は人数が少ないので、累犯か初犯かで分ける程度で、キホン人殺しから万引常習犯まで一緒ですし、この区分もテキトーな印象があります。たとえば私が務めてた頃は、ムショは「定員オーバー時代」でした。「二人独居」(独居房に2人に収容)とか、日本語的にどうかと思うような処遇もアリでした。よく言えば「臨機応変」です。また、もともとは「無期懲役」を収容しない施設に無期がいてることもありました。とにかく満員やから、少しでもすいてる施設へ……ちゅうことですかね。

 なので、少年刑務所に中年がいてるのも、びっくりするようなことではないです。特に、今回亡くなった方は精神疾患ということですから、「リアルヤクザがいてる施設よりも、少年刑務所のほうがええかな」程度の判断やったかなと思います。

田代まさしさんは再び府中?

 今年は薬物がらみでいろんな芸能人が逮捕されましたね。ピエール瀧さんは初犯で実刑はセーフでしたが、エリカ様はどうでしょうか。そして、田代まさしさんはまた府中刑務所ですかね。1回目の収監は黒羽で、その次は府中でした。黒羽は初犯者で短期の刑が対象ですが、2022年に廃止が決まっていますから、また府中かと思います。今回は売人に声をかけられないように、独居で過ごしてほしいですね。

 さて、来年は誰が逮捕され(パクられ)るのでしょうか? ほんまにムショは行くところではないですよ。というわけで、今後も読者の皆様の参考になるような記事を、いろいろウォッチしてご紹介していきたいと思います。

 末筆ながら、今年も読者の皆様、サイゾーウーマン編集部の皆様には、本当にお世話になりました。この場をお借りして御礼を申し上げます。来年もがんばりますので、どうぞよろしくお願いします。よいお年をお迎えください。

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元女囚が教える「刑務所トリビア」――少年刑務所に「中年」がいる理由とは?

覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

少年刑務所で50代の受刑者が死亡

 12月19日、川越少年刑務所(埼玉・川越市)で、50代の懲役(受刑者)が亡くなっていたことが報道されましたね。南無阿弥陀仏。

 報道によると死因は不明で、司法解剖されるそうです。体調不良は特になかったらしく、虐待とかでなければええですね。さて、ここで問題です。なぜ少年刑務所に50代のオッサンがいてるんでしょうか。「中年刑務所やん」と皆さんも思われるはずです。

 実は、刑務官さんなどによると、もともと刑務所の運営自体が「かなりアバウト」のようです。そもそもカタカナで書かれていた明治時代の「監獄法」も2006年までイキてました。懲役ごときの法律は、いちいち見直すのも邪魔臭い……ということかなと思います。

 もちろん今の法律(「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」)もアバウトで、何かにつけて「施設の長」(所長)が判断してええことになっています。たとえば、第九十五条は刑務作業の時間について「刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、一日の作業時間及び作業を行わない日を定める」としてます。ちゃんと「法務省令の基準」があるのに、「細かいところは所長が決めてよろしい」となってるんですね。この法律は全体的にそんな感じです。

 昔のムショの施設は房の広さとか廊下の幅とか基準がなかったので、「現場の判断」が優先されてきたらしく、それがまだイキてるのではないかと刑務官さんから聞きました。そういえば、今度ホテルになる奈良少年刑務所とか、オシャンティですが、収監されていた知り合いによると、やっぱり夏は暑くて冬は寒いし、「住む人(収容者)のことを考えてつくられてない」そうです。そのため、現在、カタギさんのために住みやすく改装されてるようです。

 前にも書いてますが、男子の刑務所は、犯罪傾向が進んでいる懲役(「累犯」ですね)と初犯のほか、刑期の長さなどで区分けがあります。でも、女子刑務所は人数が少ないので、累犯か初犯かで分ける程度で、キホン人殺しから万引常習犯まで一緒ですし、この区分もテキトーな印象があります。たとえば私が務めてた頃は、ムショは「定員オーバー時代」でした。「二人独居」(独居房に2人に収容)とか、日本語的にどうかと思うような処遇もアリでした。よく言えば「臨機応変」です。また、もともとは「無期懲役」を収容しない施設に無期がいてることもありました。とにかく満員やから、少しでもすいてる施設へ……ちゅうことですかね。

 なので、少年刑務所に中年がいてるのも、びっくりするようなことではないです。特に、今回亡くなった方は精神疾患ということですから、「リアルヤクザがいてる施設よりも、少年刑務所のほうがええかな」程度の判断やったかなと思います。

田代まさしさんは再び府中?

 今年は薬物がらみでいろんな芸能人が逮捕されましたね。ピエール瀧さんは初犯で実刑はセーフでしたが、エリカ様はどうでしょうか。そして、田代まさしさんはまた府中刑務所ですかね。1回目の収監は黒羽で、その次は府中でした。黒羽は初犯者で短期の刑が対象ですが、2022年に廃止が決まっていますから、また府中かと思います。今回は売人に声をかけられないように、独居で過ごしてほしいですね。

 さて、来年は誰が逮捕され(パクられ)るのでしょうか? ほんまにムショは行くところではないですよ。というわけで、今後も読者の皆様の参考になるような記事を、いろいろウォッチしてご紹介していきたいと思います。

 末筆ながら、今年も読者の皆様、サイゾーウーマン編集部の皆様には、本当にお世話になりました。この場をお借りして御礼を申し上げます。来年もがんばりますので、どうぞよろしくお願いします。よいお年をお迎えください。

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元女囚が考える薬物依存治療――ダルクはもっと「経験者」の知恵を生かしてほしいです

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

田代まさしとダルク

 11月6日の田代まさしさんの逮捕はめっちゃ話題でしたが、その後はエリカ様の逮捕もあってか、再逮捕のニュースはひっそりしてましたね。こんどの実刑はどのくらいになるんでしょうかね。 

 今回の田代さんの逮捕は、薬物依存のリハビリ施設「ダルク」のスタッフとして講演活動などをしていたことも、「ダルクの名前を使っておきながらクスリも使っていた」と批判されていました。そもそも以前は「リハビリ施設なんか入らなくても薬物依存は自分で治せる」と豪語していたのに、2回目の出所後に府中刑務所からダルクに直行したのは話題になってましたね。「なら最初からダルクに行けばいいのに……」と言われてもしょうがないかも?

ダルクの代表も過去に覚醒剤を使用していた

 ところで、ダルクについてご存じでした? 改めてダルク(DARC)について考えてみたいと思います。

 公式サイトによると、「ドラッグ(DRUG=薬物)のD、アディクション(ADDICTION=嗜癖、病的依存)のA、リハビリテーション(RIHABILITATION=回復)のR、センター(CENTER=施設、建物)のCを組み合わせた造語で、覚せい剤、危険ドラッグ、有機溶剤(シンナー等)、市販薬、その他の薬物から解放されるためのプログラム(ミーティングを中心に組まれたもの)を行っております。 薬物依存症は、再犯率が極めて高いものです。しかし、適切なプログラムによって回復していくことが可能です」とあります。

 代表の近藤恒夫さんも過去に覚醒剤を使用していたことはわりと有名ですよね。ウィキペディアによると、近藤さんは、アメリカ人の神父さんが運営していた日本のアル中リハビリ施設の職員を経て、1985年に東京・荒川区に「東京ダルク」を作ったそうです。それが今では全国に90にまで増えているのだとか。

 こういう施設が世の中に必要とされているのはわかりますが、地元では「迷惑施設」として反対運動も起こっているそうです。「ポン中は何をするかわからない」ということでしょうか。ホンマはポン中はおとなしいのですが、「アブナイ人」というイメージがあるのは仕方ないですね。

 実は、私も本を出させていただいたせいか、ダルクともご縁があり、時々お話もさせていただいています。それで知ったのですが、ダルクのスタッフの方は全員が「元薬物依存症」というわけではないんですね。まあたしかに「全員が元ポン中」というわけにもいかないですかね(苦笑)。いろんな方がスタッフとして関わっていらっしゃるんですよ。

 もちろん薬物依存になんかならないほうがいいに決まってますが、薬物依存のホンマの苦しさとかは、経験のない方にはわかりません。もっと「当事者」をたくさん入れて、意見を反映されたらどうですかね。たとえば私とかね(笑)。いつでも相談に乗りますよ。

 ダルクは有名なんですから、知名度を生かして、いろいろできることはあると思います。あと、「薬物依存症」は、れっきとした病気です。田代さんもホンマ病気なんやなと思いました。治すには努力や根性だけではムリで、ちゃんと治療を受けることが大事です。

 あとは、居場所や生きがいですね。私は守りたいものがたくさんあるので、なんとか立ち直れました。でも、田代さんみたいになってしまうと、家族や仕事があってもクスリをやめられません。ガチの「病気」やから。

 とはいえ、病気を治すためのお医者さんが少ないのも問題やそうです。お医者さんもエリートやから「ポン中の治療」なんかしたくないんですね。気持ちはわかりますが、専門医の養成とか、ぜひ国家プロジェクトでお願いします。私もお手伝いしたいです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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元女囚が考える薬物依存治療――ダルクはもっと「経験者」の知恵を生かしてほしいです

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

田代まさしとダルク

 11月6日の田代まさしさんの逮捕はめっちゃ話題でしたが、その後はエリカ様の逮捕もあってか、再逮捕のニュースはひっそりしてましたね。こんどの実刑はどのくらいになるんでしょうかね。 

 今回の田代さんの逮捕は、薬物依存のリハビリ施設「ダルク」のスタッフとして講演活動などをしていたことも、「ダルクの名前を使っておきながらクスリも使っていた」と批判されていました。そもそも以前は「リハビリ施設なんか入らなくても薬物依存は自分で治せる」と豪語していたのに、2回目の出所後に府中刑務所からダルクに直行したのは話題になってましたね。「なら最初からダルクに行けばいいのに……」と言われてもしょうがないかも?

ダルクの代表も過去に覚醒剤を使用していた

 ところで、ダルクについてご存じでした? 改めてダルク(DARC)について考えてみたいと思います。

 公式サイトによると、「ドラッグ(DRUG=薬物)のD、アディクション(ADDICTION=嗜癖、病的依存)のA、リハビリテーション(RIHABILITATION=回復)のR、センター(CENTER=施設、建物)のCを組み合わせた造語で、覚せい剤、危険ドラッグ、有機溶剤(シンナー等)、市販薬、その他の薬物から解放されるためのプログラム(ミーティングを中心に組まれたもの)を行っております。 薬物依存症は、再犯率が極めて高いものです。しかし、適切なプログラムによって回復していくことが可能です」とあります。

 代表の近藤恒夫さんも過去に覚醒剤を使用していたことはわりと有名ですよね。ウィキペディアによると、近藤さんは、アメリカ人の神父さんが運営していた日本のアル中リハビリ施設の職員を経て、1985年に東京・荒川区に「東京ダルク」を作ったそうです。それが今では全国に90にまで増えているのだとか。

 こういう施設が世の中に必要とされているのはわかりますが、地元では「迷惑施設」として反対運動も起こっているそうです。「ポン中は何をするかわからない」ということでしょうか。ホンマはポン中はおとなしいのですが、「アブナイ人」というイメージがあるのは仕方ないですね。

 実は、私も本を出させていただいたせいか、ダルクともご縁があり、時々お話もさせていただいています。それで知ったのですが、ダルクのスタッフの方は全員が「元薬物依存症」というわけではないんですね。まあたしかに「全員が元ポン中」というわけにもいかないですかね(苦笑)。いろんな方がスタッフとして関わっていらっしゃるんですよ。

 もちろん薬物依存になんかならないほうがいいに決まってますが、薬物依存のホンマの苦しさとかは、経験のない方にはわかりません。もっと「当事者」をたくさん入れて、意見を反映されたらどうですかね。たとえば私とかね(笑)。いつでも相談に乗りますよ。

 ダルクは有名なんですから、知名度を生かして、いろいろできることはあると思います。あと、「薬物依存症」は、れっきとした病気です。田代さんもホンマ病気なんやなと思いました。治すには努力や根性だけではムリで、ちゃんと治療を受けることが大事です。

 あとは、居場所や生きがいですね。私は守りたいものがたくさんあるので、なんとか立ち直れました。でも、田代さんみたいになってしまうと、家族や仕事があってもクスリをやめられません。ガチの「病気」やから。

 とはいえ、病気を治すためのお医者さんが少ないのも問題やそうです。お医者さんもエリートやから「ポン中の治療」なんかしたくないんですね。気持ちはわかりますが、専門医の養成とか、ぜひ国家プロジェクトでお願いします。私もお手伝いしたいです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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沢尻エリカもマーシーも「全裸検査」は通る道――元女囚が考える逮捕と留置場

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

「獄」の屈辱感はハンパない

 エリカ様の勾留延長や元彼氏の逮捕、マーシー(田代まさし)の再逮捕など、薬物に関するニュースが続きましたね。マーシーはとっくにダルクをやめていた上に、今夏NHKに出た時期にも、すでに覚醒剤を使っていたことがわかって、ファンをがっかりさせたようです。

 私も別の意味でがっかりでしたね。「やっぱりクスリはどうしたってやめられないんや。キヨハラも中野もアヤしいな」とか言われるのは悲しいです。でも、信じていただけるように、毎日を大事に生きています。これはホンマです。

 エリカ様の逮捕では、「尿」の検査に萌える方が少なくなかったみたいですが、エリカ様でも誰でも留置場に入る時は、オシッコどころか肛門だって見られてますよ。犯罪者に人権なんかないですから。

 警察に逮捕されると、まず警察署の留置場に入れられるんですが、ここでは最初に持っている物を全部取り上げられて、全裸にさせられます。で、そのまま四つんばいになるように言われて、肛門もチェックされます。膣も下からのぞかれます。肛門や膣にクスリとかを隠していないか見るんですが、「お前に人権なんかない」的なマウントを取る儀式みたいな感じと違いますかね。

 あとは刺青の有無や、男子の場合は「真珠の有無」もチェックするんですが、刺青や真珠があったところで、別にどうもならない気がします。ま、瑠美レベル(笑)やと、「減るもんやないし、見たいなら好きなだけ見てええよ」となりますが、経験ない人の屈辱感はハンパないでしょう。

 もちろん、ひき逃げで逮捕されたモーニング娘。のよっすぃーこと吉澤ひとみさんもそうです。留置場の全裸検査は、薬物事案だけでなく全員が通る道なんですよ。マーシーも、ピエール瀧さんも、もちろん清原和博さんもASKAさんも、みんな通っています。

 留置場だけではなく、拘置所も刑務所も、キホン「屈辱感」を味わうところです。「こんな思いをしたくないなら戻ってくるな」と思わせたいのでしょうが、これも「慣れ」があるんで、私くらいになると平気になってしまいますから、ムダですね。

 でも、先進国でここまで収容者に冷たいのは日本だけのようです。日産のゴーン元会長の逮捕で、フランスとかは「日本の刑事収容施設はひどい」ちゅう話になってるようですよ。そんなわけで、私も「フランス2(ドゥ)」というフランスのテレビ局のインタビューを受けました。宣伝ぽくてすみません。

 フランス語なんでようわからんのですが、元会長の奥さんも、泣きながら日本の施設や裁判について話しているようです。私も日本の女子刑務所についてお話をさせていただきました。

 番組では東京拘置所や東京スカイツリーとかが、なかなかオシャンティに映っていて、「さすがフランスやなー」と思いました。日本のNHKとかやと、もっと暗くなりそうです。ただし編集者さんは、「元会長は、さすがに四つんばい検査はないんじゃないですかね」と言うてました。

「まず弁護人が騒ぎますから、確実に国際問題になりますし、もともとお役所ですから、セレブには卑屈なほど腰が低いんです。『自殺防止のために薬物とかを持っていないかチェックする』というのは表向きにはあるんですが、元会長はクスリを肛門に入れることはないでしょうし、真珠も入ってないと思いますしね。日本でも政治家さんや外交官などの上級の公務員には、四つんばい検査はしないと聞いています」

 ええー? そうなんですか? それって差別と違いますかね。今まで逮捕された人たちは、みんな「すっぽんぽんで四つんばい検査」と思ってましたけど、されていない人たちもいたとは……。なんかちょっと納得できないですけど、読者の皆さんはどうですか?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

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