「おもしろいものを作る」を目標に、日々切磋琢磨している若手芸人。彼らがお笑い番組を見るとき、必然その目線は厳しくなる。そんな芸人間で評価される番組は、掛け値なしにおもしろいと言っていい。この企画は現役の芸人をゲストに呼び、「最近一番おもしろいと感じた番組」を紹介してもらう対談企画である。
今回のプレゼンターは芸歴2年目のAさん。
「おもしろいものを作る」を目標に、日々切磋琢磨している若手芸人。彼らがお笑い番組を見るとき、必然その目線は厳しくなる。そんな芸人間で評価される番組は、掛け値なしにおもしろいと言っていい。この企画は現役の芸人をゲストに呼び、「最近一番おもしろいと感じた番組」を紹介してもらう対談企画である。
今回のプレゼンターは芸歴2年目のAさん。
11月22日、つまり「いい夫婦の日」に放送された『相席食堂』(ABCテレビ)は特別編。こんな素敵な日にちなみ、今回は“芸能界一のおしどり夫婦”が出演するとのことだ。
旅の舞台は、和歌山県海南市。ラブホテルの駐車場らしき場所に設置されたカメラの前に現れたのは、宮崎謙介&金子恵美夫妻続きを読む
お笑いコンビのランジャタイ(国崎和也・伊藤幸司)が15日放送のABCテレビ『相席食堂』に出演。『街ブラ-1グランプリ2022』で審査員の千鳥・大悟から0点を貰った。
9月21日放送の『相席食堂』(ABCテレビ)は特別編。まだ見ぬ“次世代ロケスター”を発掘する「青田買いSP 2021」が行われた。リポート経験の乏しいロケスター候補にロケを任せ、有望株にはレギュラー回のロケを行ってもらうという企画だ。
その人選がまた尖っている。この日登場したのは、料理人の金萬福、AV男優のしみけん、ラッパーの呂布カルマという面子であった。金としみけんと呂布…
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(110月20~26日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
千鳥・大悟「一日中、海見て、タバコをワンカートン吸うだけや」
「これは薬物を吸っているのではなく、時間を吸っているのだ」
昔読んだ本に、そんなことが書いてあった。タバコについてのエッセイだったと思う。出典を覚えていないので正確ではないものの、確か、タバコを吸うのは薬物中毒とかというよりも、居心地が悪かったり手持ち無沙汰だったりする時間を埋めるためなのだと、そんなことが書いてあった。愛煙家がタバコにこだわる理由をずっと疑問に思っていた非喫煙者の僕は、なんとなくそれで納得した。医学的には間違っているのかもしれないけれど。
そんなタバコに関する話題を、なぜか先週はテレビでよく見かけた。ここでは2本だけ取り上げる(どちらも千鳥の番組だが)。
まず、22日の『相席食堂』(朝日放送)。野性爆弾のくっきー!が京都府・伊根町を、ピースの又吉直樹が大分県・保戸島をそれぞれ訪れていた。で、又吉のロケが最高だった。
「むちゃくちゃ向いてないんちゃうかな」
港町でのふれあい旅を前に、そう不安を口にしていた又吉。船着き場から離れ、誰もいない道をトボトボと歩く。そこで、海のそばのベンチにひとり座る男性(76)に出会う。老人 は、黒い肌に白い帽子、白いストライプのシャツ。そして、胸ポケットにはタバコが入っている(大悟によると銘柄はハイライト)。
「どういう島ですか?」
そう又吉に尋ねられ、老人は答える。
「まぁ、昔の……」
その声が、なんとも特徴的。ガラッガラ。あまりにもガラッガラのハスキーボイスなのだ。おそらくタバコの影響で仕上がったのだろう。その声を聞いた千鳥の2人は、すかさず「ちょっと待てい!」ボタンを押した。
老人の語りは続く。かつてこの島ではマグロの遠洋漁業が盛んだった。自分も昔は船に乗っていた。しかし、漁船を減らし、魚の価格を上げようとした国策もあり、補償金と入れ替えに船を降りた。そんなあれこれを語っているときのこと、突然、耳慣れない音がした。
「ちーよ」
老人から発された声だ。たぶん、「えーと」とか「んーと」みたいな会話の合間に入れる声だと思うのだけれど、島の方言も入っているのか、何よりタバコの影響のためか、その声は聞き取りにくく「ちーよ」に聞こえる。声というか、セミが鳴いているようですらある。
又吉は、この老人の案内で島を巡ることに。島で唯一の食堂に連れて行ってもらい、マグロ料理に舌鼓を打つ。これまた一軒しかない理髪店に行き、マッサージをしてもらう。最後は老人の自宅に上がらせてもらい、コーヒーをごちそうになる。そしてその間、何度も絶妙なタイミングで、例の声が老人から漏れる。
「ちーよ」
声がする、というよりも、音が漏れる、という表現が近いかもしれないその「ちーよ」を聞くたびに、千鳥は膝から崩れ落ちて笑う。テレビを見ているこちらも腹を抱えた。
それにしても、実際のところ老人は何を言っていたのだろう。そういえばVTRを見ていた大悟が、こんな解説を入れていた。
「ワシな、島で生まれたからわかんねんけど、ホンマにもうなんもないねん、することが。一日中、海見て、タバコをワンカートン吸うだけや。そんならこれが仕上がる」
マグロ漁で栄えた島の時間、漁業が衰退していく時間、高齢化率が高まっていく時間――。なるほど、タバコを吸うことが時間を吸うことだとすると、あの老人は、海を見ながら島の時間を吸い続けてきたのかもしれない。あの「ちーよ」は、圧縮された島の時間が軋む音だったのか。
たぶん大悟は、いま一番テレビでタバコを吸う姿を見せている芸能人だと思う。次点で、相撲芸人のあかつだろうか。明石家さんまや浜田雅功、矢部浩之も結構見る。新人では、納言の薄幸が追い上げているかもしれない。紅蘭はテレビであまり見かけなくなった。
そんな千鳥の看板番組『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)のオリジナル企画が22日、AbemaTVで配信された。題して「喫煙所探訪」。テレ朝をスタート地点に、都内の喫煙所を巡って、大悟がただただタバコを吸う。そういうロケである。「たばこ」の文字があしらわれた服を着た大悟が、今回の企画趣旨を語る。
大悟「来年の4月に向けてな、タバコの吸えるスペースがどんどん減っていってるのよ。どんどん街の喫煙所っていうのもなくなってきてるわ」
ノブ「それはオリンピックに向けてね、クリーンな日本をアピールするっていう意味ではいいんじゃないですか?」
大悟「それがクリーンなんかどうなんかも、ワシはわからんけどな。喫茶店や雀荘、パチンコ屋までもが禁煙になっていく時代なんよ。だからここ、最後やろうな。今回が最後、そういう喫煙所を巡りたい」
テレ朝でさっそく一服した後、千鳥の2人は街に繰り出す。交差点の角にある昔ながらのタバコ店を訪れ、円筒形の灰皿の手触りを確かめる。そこでスパスパ。そこから歩いて3分の道沿いのタバコ店で、店主のおばあさんが手作りしたおにぎりを食べる。そこでスパスパ。荒川を渡った先にあるバイク店の軒先で、停車した原付バイクに乗ってスパスパ。角打ちの店内で魚肉ソーセージを缶チューハイで流し込みながらスパスパ(この時点で1箱消費)。JT本社を訪れ、シトラスミントの香りをたいたり外に煙が漏れないように整備された喫煙スペースで、社員と一緒にスパスパ。
エンディングは、テレ朝の屋上の喫煙所。東京タワーをバックに、レモンサワーを飲みながら煙をくゆらせる。灰皿を抱いた大悟がつぶやく。
「今日いろいろ回ったけどホンマに、今年中にやってしまわんと、これ無理やったかもしれんな」
東京五輪を前に、来年4月からは改正健康増進法が施行される。タバコの規制と分煙化が、これまで以上に厳格となる。特に、街のタバコ店にある喫煙所の風景は、これから少なくなっていくのかもしれない。
なんだかちょっと、郷愁的だ。
だが、ここで大悟が今回のロケを次のように総括した。今日学んだことは、タバコは自分の好きなタイミングで吸わないとおいしくない、ということだ。無理やり吸うのは、はっきり言ってキツかった。ロケ中、初めてタバコをやめようとすら思った。おかしい。あんなに好きだったのに――。そう語り、改めてタバコの煙を肺に入れた大悟が、せき込みながら言う。
「まずい」
タバコの吸いすぎには注意しましょう。そんな一種の啓発番組として終わった『テレビ千鳥』の特別版でした。
ところで番組中には、千鳥のロケでたびたび披露される、大悟によるおかしなキャラクターへの変身も随所で見られた。真っ白なつなぎを着た林修先生好きの元暴走族、枕ワンカートンさん(49)。着流し姿の元プロ野球選手で資産家のニコチン三郎さん(63)。新婦に結婚式をドタキャンされた足でタバコを吸いに来た新郎の煙田しけもくさん(28)――。
なんだか、あの「ちーよ」の老人も、大悟に思えてきた。
いま、芸能界は世知辛い。もしも、不倫という悪手をやらかしてしまえば“一発アウト”になる可能性は高い。
2016年3月に浮気相手とラブホテルから出てきたところを「週刊文春」(文藝春秋)に直撃された、とにかく明るい安村。8月12日放送『しくじり先生』(テレビ朝日系)に出演した彼は、メディアの仕事ほぼ0になった自身と比較する形で、不倫が発覚してもノーダメージだった大悟(千鳥)と千原せいじ(千原兄弟)を分析。「世間から“やりそう~”というイメージがあったからダメージがなかった」と解説した。
芸能界には、いかにも“やりそう~”なタレントが多い。8月20日放送『相席食堂』(朝日放送)に出演した“ちょいワル”の代名詞、パンツェッタ・ジローラモはその最右翼だろう。
田舎町へロケに行き、地元の人に相席をお願いして触れ合うのが、この番組の趣旨。ほっこりしたロケーションの中、唐突に笑いどころが出現するのが醍醐味であるが、ジローラモはその趣旨を普通に無視した。
和歌山県白浜町に降り立った彼は、いきなりツーシーターのオープンカーで口笛を吹きながら田舎町を爆走。初めから趣旨が違うのだ。車から降りた彼はさすがだった。イタリア人の特性を存分に発揮し、抜群のコミュニケーション力を見せつける。すれ違う人にどんどん声を掛けていくのだ。しかし、その対象は女性だけに限られる。
シーズン真っただ中の白良浜は、にぎわっていた。上機嫌のジローラモは、歩きながら当然のように女子トイレへ入っていこうとする。公衆トイレの前にいる女性2人組に注意されたくてボケたのだ。結果、彼女たちとトークすることに成功し、どさくさに紛れて女性の指をなで回した。イタリア人だ。
2人とバイバイしたら、すぐほかの女性3人組に話しかけるジローラモ。この女性たちは海に来たばかりらしく、まだ洋服を着たままだった。
「まだ濡れてないんですね。私は濡れてます」(ジローラモ)
海を見ながら、どうしようもない下ネタを言うジローラモ。さすがに、スタジオの千鳥がツッコんだ。
大悟「お前は濡れんやろ(笑)」
ノブ「濡れるのよ、先が。先が濡れるタイプよ」
大悟「そっち?(笑)」
すごい番組である。
その後、近所の食堂に行き着いたジローラモは、番組の趣旨にのっとって地元民と相席しようとした。すぐさま彼が声を掛けたのは、店員として働く22歳の女の子である。2人は地元で獲れるエビやホタテやイカに舌鼓を打った。
「いただきます。……すごいイカせてますね!」(ジローラモ)
また下ネタを言うジローラモ。会話しながら女性店員の体をベタベタ触っているし、相席というより、ただのナンパな気がする。番組の趣旨がズレ続けている。
この店で、町で評判の美人の情報を聞いたジローラモは、ある旅館へ向かった。ここの女将が、また美人なのだ。ジローラモは早速アプローチする。
ジローラモ「もし時間あったら、一緒に花火行きませんか?」
女将「なんでやねん!(笑) 」
ジローラモ「だって、面白いじゃないですか」
女将「面白いかなあ?」
次のシーンに移ると、和服のままオープンカーの助手席に乗る女将の姿が。この女将には、ご主人がいる。ジローラモも妻帯者だ。
ノブ「ムチャクチャなシーンや!」
大悟「このままフライデーに写ってもええやん(笑)」
ノブ「撮られてほしいなあ(笑)」
実は、本当にフライデーに載ってもおかしくないことを、ジローラモはしでかしていた。白良浜でビキニの女性2人組と知り合った彼は、海に隣接する露天風呂へ2人を誘った。相席成立である。
3人はトークし、カメラが止まったタイミングで、思い出にと1人の女性のiPhoneで記念撮影した。無事に撮り終え、ちゃんと撮れているか確認に行く片方の女性。もう1人の女性はジローラモと2人きりになった。何やら、聞こえないくらいの小声で、その女性に話しかけているジローラモ。
「インスタやってますか? 連絡してください」(ジローラモ)
テレビ的なやつじゃない、本気の下心がそこにはあった。
大悟「ガチナンパ!」
ノブ「やったぞ、コイツ!」
大悟「だって、ここはカメラ回ってない、 止まってるときやもん」
ノブ「しかも、インスタでダイレクトメッセージでしょ? クソ若手芸人みたいなことしてるやん。ノンスタ井上と同じやり口なのよ」
その後、心なしか挙動がソワソワしていたジローラモ。本心では、いち早く携帯を見たかったのだろう。「相席食堂」というより、ただのナンパ旅である。
不倫が一発アウトになることも多い昨今、驚くべき脇の甘さでロケ中にガチナンパしたジローラモ。抑えの利かない性根で、不貞をエンタテインメントに昇華させた感がある。過去に二度不倫を撮られた大悟が、常識人の立場でツッコむメタ構造は隠し味の異色回だった。
(文=寺西ジャジューカ)
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(6月30日~7月6日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
街を歩いている芸能人が、飲食店にふらっと立ち寄る。散歩番組でよく見る光景だ。しかし、散歩番組で唐突に理髪店に入って髪を切る人もいる。戦場カメラマンの、渡部陽一だ。
最初に見たのは、2018年7月29日放送の『相席食堂』(朝日放送)だった。人通りの少ない道を歩いていた渡部。理髪店を見つけると、散髪してもいいかとスタッフに直訴する。そして、カメラに向かってグレーのベレー帽を脱いだ。
「現時点での僕の髪形は、伸びに伸びた今の段階で、こうです」
渡部の頭は、前のほうから見事に薄くなっていた。それまでベレー帽の下であまりオープンになっていなかった渡部の頭髪。それを、例のゆっくりとしたしゃべりで十分に間を取って、披露する。「伸びに伸びた……」と言いながら、そんなに伸びていないわけである。
ほぼ同じ展開を、7月3日放送の『朝の!さんぽ道』(テレビ東京系)で見た。同番組は、月曜から金曜まで毎朝7時35分から放送している散歩番組 。毎週、1人の旅人が街ブラをするのだが、埼玉県・深谷を訪れていた渡部は道中、突然理髪店に入り、「僕、頭切ってもいいですか?」とスタッフに確認。「実は僕、ちょっと髪の毛が伸びてしまい……」と言って、やはり前方から薄くなった頭髪を、ゆっくりとベレー帽を脱いで見せた。
髪を切り終えた渡部はさっぱりした頭を深々と下げ、店のご主人に礼を言うのだった。
「極上の技、最高でした!」
ご主人、半笑いである。
さて、この「極上」というフレーズも、以前から渡部が愛用しているものだ。今回も特に、食レポの際に連発していた。たとえば、練乳イチゴかき氷を食べる渡部。
「うわわわわわわわわわ、うわわわわわわわわ(と言いながらイチゴのシロップを氷にかける)。そして大好きな練乳。練乳、飲むことが、夢でしたね。うわわわわわわわわわ(と言いながら練乳を氷にかける)。これこそ、かき氷、ひゃー(と言ってかき氷を口に運ぶ)。んー、うわっ、極上ー!」
あるいは、アジとシラスがのった丼を食べる渡部。
「アジがプリップリ。これはおいしい。つくだ煮が、山椒が効いていて、ピリッとした香り。そして釜揚げのしらす。口に含むと……口の中で甘みをふわーっと広げてくる。……極上です!」
そして、チーズ入りカレーパンを食べる渡部。
「チーズだぁ! あっ、チーズのピッと立った酸味とまろやかさがカレーと絡んで、うわー、いい味。極上です!」
このほかにも、アジの干物、太刀魚の干物、フエダイの刺身など、たくさんの食べ物をこの5日間の放送で口に入れていた渡部。その都度、「極上!」と連呼する。もちろん、店員はみな半笑いである。テレビ越しで見ると、その店員の反応も含めて、とても面白かったのだけれど。
世界の紛争地域などを渡り歩き、現地の情勢をカメラマンとして日本に伝えてきた渡部辺。そんな彼は、日本の散歩番組ではシャッターを切るというより髪を切っている。そして、武器をカメラから「極上!」というフレーズに持ち替え、散歩番組を渡り歩いている。
そもそも、散歩番組とは何か? その目的のひとつは、訪れた街や地域の良さを伝えることだろう。隠れた名店に行くなり、歴史を知るなり、人情に触れるなりして、その土地の良いところをアピールする。しかも、「散歩」という無目的に歩いているように見える形式で。
あらためて振り返ると、渡部もその散歩番組の形式に沿って仕事をしていた。単にギャグで「極上!」と言っているわけではなく、その一言で地域の店の味をPRしていたわけである。理髪店に行った際にも、バリカンの刃を人肌に温めておくような、店主の心遣いを引き出すシーンがあった。ただ散髪してもらっただけではない。
だが、2日の『相席食堂』は、そんな散歩番組のあり方から大きく外れていた。この日の旅人は蛭子能収、訪れたのは淡路島である。
玉ねぎや海の幸など、淡路島の名産を食べる。出会った人と触れ合う。そうやって、島の良さを引き出す。そんな旅のシナリオが蛭子の念頭にないことは、最初から明らかだった。砂浜でロケを開始した蛭子は、早々にスタッフに尋ねる。
「ここは日本ですよね?」
土地の良さを伝えるも何も、そもそもここがどこかを知らずに歩き始めているわけである。「日本ですよね?」という聞き方もすごい。普通は「ここどこですか?」だろう。いや、どこなのか聞いている時点でおかしいのだけれど。
ただ、蛭子も最低限やらなければならないこと、つまり相席をして人と触れ合うという番組上のタスクは遂行する。バス停で待つ男性に声をかけ、食堂の場所を聞き出す。続けて、男性に向かって蛭子は尋ねる。
「ここどうですかね? 生活するには不便なような気がするんですけど」
単純に失礼! この直後に、「空気がすごいキレイだなっていうのが……」というフォローめいた一言があるにはある。だがこれが、蛭子が淡路島の良さを語った最初で最後の言葉となった。
この後も、ずっとこんな調子で旅は続く。極めつきは次のシーンだ。大衆食堂で中年の男女と相席した蛭子は、「この店のおすすめは?」と尋ねる。
男性「サワラがおいしいんですよ。先ほどからおいでになってるお客さん、みんなサワラ丼食べてます」
蛭子「あ、ホントに」
男性「サワラで有名なお店なんです」
蛭子「サワラで有名なんですか。……じゃあ、ラーメンください」
自分からおすすめを聞いておきながら、「じゃあ、ラーメンください」である。どういう意味で「じゃあ」と言ったのだろう。前後の言葉がつながらないだろう。
このように、ご当地の味には興味がない蛭子。だが、相席した男女の関係性には興味津々だ。高校時代の同級生で、今でも時々ランチを一緒にする友人だという2人。女性のほうは既婚で、すでに孫もいる。そんな2人の関係を、蛭子はずっと「夫婦みたい」と勘繰り続ける。その会話の流れで、耳を疑う発言をする。
蛭子「でも、仲良さそうだから結婚しても良さそうですけどね」
女性「ない! うちの旦那は淡路島で一番男前の旦那やから、大丈夫です」
蛭子「……ここ淡路島なんですか?」
すでにあちこちを歩き、旅も中盤。そんなタイミングで、「ここ淡路島なんですか?」である。実は、VTRの序盤に、ここが淡路島だということを蛭子が知るシーンがある。バス停の男性から教えてもらっていたのだ。にもかかわらず、すでに忘れている蛭子。「サワラで有名」→「ラーメンください」の間を「じゃあ」でつなぐ男にとって、過去と現在のつながりはすぐに解けてしまうのかもしれない。自身の漫画と同じく、不条理な世界を生きているかのようだ。ちなみに、『相席食堂』という番組名も忘れていた。
さて、旅の終盤、蛭子はこの日一番の笑顔を見せる。ここから30分くらい車を走らせたところに、競艇場があると聞いたときである。当然、蛭子は競艇場へ向かう。場所は徳島県の鳴門市だ。ここへきて、もう淡路島の良さを伝えるとか、そんな話の根底が覆るわけである。淡路島を出るのだから。VTRを見ていたノブは嘆く。
「もう淡路でもないし、相席でもないのよ。ただのBSのボート番組なのよ」
競艇場のキャラの強いおじさんたちに囲まれ、虚 ろな目でレースを見つめる蛭子。所持金をゼロにして、この日の旅は終わった。
無目的に歩いているように見せながら、その土地の良さを伝えること。それが散歩番組のひとつの目的のはずだ。もちろん、芸能人が相席しながら人々と触れ合うVTRに千鳥がツッコミを入れていく『相席食堂』は、散歩番組としてそもそも異質ではある。けれど、同番組にこれまでに出てきた芸能人は、その場所の魅力をそれなりに引き出そうとはしてきたと思う。良さを引き出そうとするけれどうまくいかない。そこに千鳥のツッコミが入っていたわけだ。
けれど、訪問地の魅力を引き出すというスタート地点に、そもそも蛭子は立っていなかった。無目的に歩いているように見せるのが散歩番組だとはいっても、本当に無目的では困るわけだ。
いや、見ている側にとって、別に困ることはないか。前言撤回。蛭子の言動を笑いながら見た僕にとって、今回の相席旅に対する感想は次の一言に尽きる。極上! ――なるほど、これは使い勝手のいい言葉だ。
(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)
昨年4月よりレギュラー放送が始まった『相席食堂』(朝日放送)が評判だ。といっても、知らない人もいるかもしれない。この番組は関東圏では放送されていない。なのに、評判なのだ。
1月2日放送『新春テレビ放談2019』(NHK総合)で、広告付き無料配信サービス「TVer」の話題になったとき、テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行はTVerの意義を伝える一例として『相席食堂』の評判の高さに言及していた。配信によってひそかに全国区になったのが、この番組である。
『相席食堂』の内容だが、芸能人が週替わりでリポーターに選ばれ、田舎町にロケへと繰り出す。そして、その町の食堂で地元の人にいきなり相席をお願いし、触れ合う。そのVTRをスタジオにいる千鳥の2人が見守る。言わば、“芸能人と地元民のガチ交流バラエティー”である。
ここまでだったらほっこりする番組に仕上がりそうだが、スタジオにいる千鳥がクセモノなのだ。気になる箇所があると、即座に手元の“待てぃボタン”を押してVTRを中断。そして、これでもかとツッコむ。こうして彼ら独特の視点を視聴者に紹介し、面白ポイントを共有する。
この説明だけだとなかなかわかりにくいと思うので、2月3日放送分を振り返りながら解説していきたい。この回のレポーターは松崎しげるであった。
松崎が降り立ったのは富山県南砺市。雪が降り積もり、辺りは白銀の世界だ。そんな場所の真ん中に立っているのが松崎。スタッフはきっと雪の「白」と松崎の肌の「黒」のコントラストを強調し、見どころとして提供するつもりだったはず。何しろ、スタート時の松崎に白のダウンを着せていたし、笑顔になったときの松崎の歯の白さは異常だ。
しかし、千鳥はそれに捕まらない。2人が前のめりになったのは、松崎が私服に着替えてからだった。松崎は赤のダウンを羽織っていた。しばらく2人は見ていたのだが、耐え切れずにノブがボタンを押した。
ノブ「赤が目が痛いよ」
大悟「今までにない赤やわ。地球上にない赤なんよ」
ノブ「シャアぐらい赤いよ」
スタッフも予想外だったはずだ。作り手の意図そっちのけで「赤」を柱にし始める千鳥。こうなると、ただの町の景色が面白くて仕方なくなる。向こう側にいる若者は赤い服を着ているし、歩道に設置された棒は赤と白の縞模様だ。松崎が町をただ歩いているだけなのに、千鳥は黙っていられなくなった。
ノブ「ちょいちょい赤が飛び込んでくるの。ごめんごめんごめん、今回ちょっと見れない。うしろの走ってくるお兄ちゃんが赤なのよ」
大悟「棒も赤やしな」
ノブ「今日は黒を言いたいのよ!」
大悟「赤が勝っちょんよ」
今までの人生で、こんなに赤に注目したことはなかった。実は、町にはたくさんの赤がある。自動車を誘導する標示の矢印は赤だし、工事現場にあるコーンは赤だ。それらが視界に入っただけで笑いがこみ上げてしまう。
松崎「向こうで雪かきやってんな」
松崎が町の人に声を掛けようとすると、その人は赤いダウンを着ていた。
ノブ「赤やん! また赤がいる!」
大悟「全身の赤ロングダウンがおるやん。ロケ中に赤を探せっていう企画なの、今回?(笑)」
ノブ「(ディレクターに向かって)スピルバーグなん、君は? スピルバーグ演出してるやん。白黒で赤を要所要所入れて」
企画も演出も何も、赤に笑いのツボを仕掛けたのは千鳥自身のツッコミのはずなのだが。
松崎と赤ダウンの町の人が出会うと、そのツーショットは面白すぎた。
ノブ「赤! 赤と赤や。白と黒やろ、今日の遊びは(笑)」
大悟「ロケしてるときに気にならんかった? 『これではスタジオが赤一辺倒になってしまう』って。気付けよ!(笑) 」
いや、なかなか気付かない。この面白ポイントは、千鳥のツッコミありきだと思う。
千鳥のいじりは続き、暴走する。雪かきを手伝った松崎はそのままお宅へお邪魔して、熱燗にした富山の地酒「三笑楽」をいただいた。松崎は酒好きだ。ちょっと引くぐらいにグビグビいく。
大悟「顔を赤にしようとしてるコントじゃないよな?」
ノブ「そういうことか(笑)」
こんな角度からまで“赤いじり”をする千鳥! 1つの方法論、必勝パターンができた以上、どんなやり方で赤を絡ませても絶対面白くなる。
松崎は、このお宅で「三笑楽」を一升瓶ごといただいた。以降、これを町の人と一緒に飲んで相席しようと松崎は考えた。まずは、通りにあった写真店へ飛び込みで入る松崎。この店のご主人と意気投合し、松崎は振る舞い酒をする。ちなみに、ご主人の年齢は85歳だった。
松崎「まだ俺なんか、やっぱりケツ青いんだよなあ」
大悟「服が赤いやん!」
ノブ「ケツは青いかもしれんけど服が赤いんよ」
「白」「黒」「赤」に、今度は「青」まで絡ませる千鳥。ここまできたら、もう無双状態である。単に「色」を話題にするだけで笑えてきてしまうのだ。
酒をしこたま飲んだ松崎は、今度は町を歩いた。そして、地元の温泉を発見する。千鳥足で松崎はその温泉に入浴することにした。褐色の裸で露天風呂に入る松崎。そのお風呂に地元のお客さんも入りにきた。1人ではなく、いきなり3人のお客さんがやって来たようだ。
ノブ「誰か来た。……おい、多いな! 白い尻が多いぞ!」
「黒」「白」「赤」「青」と来て、また新たに「白」を追加する千鳥!
おそらく、千鳥のツッコミがなければ、『相席食堂』は既存の番組と大差なくなる。よくあるタレントの旅番組だ。千鳥がVTRをいじり倒すことで、視聴者も彼らの視点を共有することになる。
問題は、千鳥の面白がり方である。彼らは“裏笑い”的な視点に終始することも決して少なくない。例えば、今回のVTRを素材だけ見て、その後に2人の“赤いじり”を知らされれば“裏笑い”の印象を受けると思う。でも“待てぃボタン”を導入したことによって、ニッチな印象は皆無になる。ニッチな笑いを王道っぽく見せている 。だから、『相席食堂』の間口は普通に広い。変に凝った構造にしているわけでもないのに、奇跡的にこの番組ってめちゃめちゃ新しいと思うのだ。
(文=寺西ジャジューカ)
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