“ネットで金集め”が炎上する理由――真木よう子と山田孝之の違いをITジャーナリストに聞く

 女優の真木よう子が、自身の写真集を作り、コミケで「1冊ずつ手売り」したいとの意向を表明し、そのための資金をクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で募ったものの大炎上してしまい、プロジェクトは中止になった。また、YouTuber・ヒカルは個人の価値を仮想株式にして売買するサービス「VALU」で、“詐欺”まがいの騒動を起こして批判が集まり、活動中止に。なぜ、有名人がネットでお金を集めると、「炎上」しやすいのだろうか? ITジャーナリストの三上洋氏に聞いた。

■真木よう子と山田孝之から知る、有名人のクラウドファンディングの明暗

 真木の騒動について、“コミケへの理解の浅さ”が炎上の決定打となったと三上氏は指摘する。

「クラウドファンディング以前の話で、コミケについて真木さんが理解不足だったことが2点あります。まずは“企業や有名人がプロとして参加する場ではない”という点。一個人が身銭を切り、同人誌を作るのがコミケですが、真木さんは800万円もの予算をかけて各分野のプロを呼び、クオリティの高い写真集を作ろうとした。それは、例えばフリーマーケットに大手スーパーが出店するようなレベルの、とんだ“勘違い”です。

 もう1つは、コンテンツを作って売る場であるコミケを“ファンとの出会いの場”と考えた点。毎年多くの人が訪れるコミケで参加者は、いかに人をさばくかということに腐心しています。そこへ真木さんのファンが集まるとなると、多くの参加者にとってハッキリ言って迷惑。真木さんの想像はそこにも及んでいませんでした」

 ただ「真木さんご本人が自腹を切っていれば、話はまた違ったのかもしれません」と三上氏は推測する。

 一方、同じクラウドファンディングでも、その本質を理解して運営していると三上氏が評する有名人がいる。新ブランド「FORIEDGE(フォリエッジ)」を山口友敬とともに立ち上げた、俳優の山田孝之だ。

「Twitterや2ちゃんねるなどでも、山田さんの炎上はほとんど見られません。『芸能人が何でお金を募るんだ』と、クラウドファンディングの仕組みを全く理解していない一部のメディアが騒ぎ立てているだけ。クラウドファンディングは“資金を集める場”と考えるのが、悪口の根本にある大きな誤りです」

 お金を集めた後で、投資分だけの見返りを出す。つまり“資金を運用する”ことがクラウドファンディングである。それを踏まえて、山田は「自身のブランドを立ち上げて、資金を集めて商品を作って売ります」と言っているだけ。一部の人が、目標額を数日で達成しそうになったのに対して「金儲けしやがって」と悪口を垂れているにすぎないのだ。

「残念ながら、イメージ商売である芸能人に、このような批判が出るのは仕方がないのかもしれません。日本人はお金儲けに対してやはり否定的です。いわば“有名税”と捉えるべきでしょうか」

 クラウドファンディングで覚えておきたいことは、資金を集めた後に、目標達成に向けたプロジェクトが始動するという流れだ。その点で、資金を払う側にとっては、一般人より有名人のプロジェクトの方が“お買い得”といえる。

「山田さんの場合、もしも劣悪な品物が完成したり、最悪のケースで『品物ができませんでした』となれば、“山田孝之”の評価までガクンと下がります。それもあって、自分の名前でやっている以上は絶対に失敗できません。身元のはっきりしない一般人のプロジェクトより、実行可能性が高くて信用できる点では、かえってお手頃なのです」

 もともとYouTuberの代名詞的存在であったヒカル。過去に悪徳商法に手を染めていたという説もあるが、VALU騒動の引き金となった最大の原因とは何だったのか?

「『全くVALUの仕組みを理解していなかった』と、騒動後にヒカルさんは話していますが、同じ理解不足といっても、真木さんとは事情が全く異なります。ヒカルさんは仕組みを理解しないまま、動画のネタにしようと参加し、結果的に売買するほかのVALUユーザーを小馬鹿にするような手法を取りました」

 “小馬鹿にするような手法”とは、具体的にどんなものなのだろうか?

「VALUは、まさしくクラウドファンディングです。芸能人を含む有名人などの“価値(社会的評価)”の浮き沈みを逆手にとり、そこに値をつけて売買するという仕組みです。ヒカルがそうであったように、VALUで売り手になる人は、価値をどんどん高値に上げなくてはいけません」

 たとえば株式市場では、株が上がることで企業と株主の双方がハッピーになる。VALUでも同じで「今後も成長し、お金を出してくれた人にとっても、価値のある活動をします」と売り手は買い手に示す。そして高値になり、買い手も自身が手にする“仮想株式(VALU)”の価値が上がることを望んでいる。

「しかし、ヒカルが取った行動は買い手を裏切るものでした。“どういう意図で買い手が資金を出しているか”を考えもせず、いきなり全株を売却したのです。仮想株式が大量に供給されたために、需要と供給のバランスが崩れ、ヒカルの値段がガクンと下がった。つまり買い手にとっては、すでに投資して手にしたヒカルの仮想株式の価値が下がったということです。株市場でいう“ジャブジャブ”状態ですね」

 たとえヒカル自身の無知には悪気がなかったとしても、すでにヒカルに価値を見いだしてお金を投資していた人にとっては、たまったものではないだろう。

「VALUと同じ評価経済のサービスとして『Timebank』が始まりました。こちらは著名人や専門家の“時間”を10秒単位で買うという仕組みですが、たとえばブロガーのはあちゅうさんなどは、なんと20分で6万6,720円が付けられた。その値に対して『高すぎて気持ち悪い』との声もネットで出ています」

 クラウドファンディングやVALUなど、ネットがお金をやりとりできる場としても機能し始めてから日はまだ浅い。しかし有名人を中心とするネットでのお金集めは、今後も増え続けるに違いない。買い手側としては、仕組みを正しく知る必要があるだろう。

「真木さんやヒカルさんの騒動からも言えることですが、売り手側もきちんと理解しなければなりません。『とりあえずお金を集めて、何かすればいいんでしょう?』という姿勢では、必ず炎上します」

 お金でしくじれば、ネットどころか芸能界からも即追放となりかねない。コミケでいえば、叶姉妹や小林幸子をロールモデルとするべきか。いずれにせよ、ネットでのお金の取引が浸透するまでには、まだ時間がかかりそうだ。
(門上奈央)

三上洋(ミカミ・ヨウ)
ITジャーナリスト。専門とするジャンルはネット事件や詐欺対策などのセキュリティ分野、スマートフォン分野の業界動向や有害サイト対策、電子マネーなど。
公式サイト

タンポンの広告動画が炎上! 「対人関係の不安を解消できることを伝えたかった」

 4月30日、ユニ・チャームと女性向け動画サイトC CHANNELが共同で制作したタンポンの広告動画がネット上で公開され、瞬く間に炎上した。動画内では、生理中の彼女とのデートで困ったという男性側の意見を紹介。「やたらとトイレに行くから待っている間が寂しい」「隣に座ろうとすると距離をとられる」「旅行の予定がキャンセルになった」などといったもので、「そんな時タンポンなら大丈夫」「旅行もデートもいつも通り楽しめる」といった内容で締めくくられている(現在、動画は削除済み)。

 この広告動画に対し、「まるで生理になる女性が悪いかのよう」「(タンポンを使っても)トイレに行く回数が劇的に減るわけではない」「なんで女性の生理用品に何を使うかが『彼氏』の意見中心?」といった批判的なコメントがネット上で飛び交っている。

 女性の味方と言える商品を販売しているはずのユニ・チャームが、女性を敵に回してしまったともとれる今回の事態。ユニ・チャーム側はどう考えているのか。同社広報担当に動画の制作意図を聞いたところ、次のような回答が返ってきた。

「生理中の不快感を軽減する生理用品の一つとしてタンポンを紹介するという目的でC CHANNELさんにご協力いただき、動画を制作いたしました。生理のときに女性が気になってしまう対人関係の不安を解消できることを伝える、という意味合いで制作をしたのですが、生理に悩む女性に負担を強いるような表現になったと判断しております。不快な思いをさせてしまったことに対しては、大変深くおわびしたいと思っております」

 筆者もつい最近、初めてタンポンを利用したが、ナプキンと比べると格段に動きやすく、ムレによる肌のかぶれを気にすることがないのはうれしい発見だった。しかし、「対人関係の不安解消」に関してはイマイチぴんとこない。タンポンを使用することにより動きやすい分、運動する際に快適という面はあるかもしれないが、生理痛や気分の落ち込みといった、生理によって引き起こされる症状が改善するわけではないし、旅行やプールに行く予定がある場合は、ピルで生理周期をズラす方法の方が、生理を意識せずに楽しめるのではないだろうか。

 また、多くの女性が指摘していたように、自分の体の生理現象への対処方法を男性の都合に合わせるという点に疑問を感じる。ユニ・チャームは7年前にもタンポンと恋愛に関する調査を行っており、「タンポン派はナプキン派よりも彼氏がいる率が2割高い」という結果を発表している。タンポンが便利だと実感して自らの意思で選択・利用しているならともかく、男性の都合に合わせてタンポンを使用することが、本当にモテや恋愛と関係あるのだろうか。

 女性にとって身近な存在であるはずなのに、いまだにタブー視の強い生理。特にタンポンは膣に挿入するので、抵抗を感じる人も少なくないのだろう。また、娘に対して「タンポンを使ってはダメ、ナプキンを使いなさい」と指導する母親の話も耳にしたことがある。そのような意識や、タンポンに対する抵抗を取り払うには、若い女性をターゲットにしたC CHANNELのような媒体で広告動画をアップすること自体は良い手段だったと思われる。

 しかし、動画制作中に違和感を覚える人は誰かいなかったのだろうか。ユニ・チャームの広報担当はこう語る。

「今回の企画は、テレビCMを手がけたスタッフではなく、C CHANNELさんのスタッフが中心となって『対人関係の不安を解消できる』ことを目的に制作したものです。企画内容自体が『男性にアンケートを取ってみた』というものなので、そこに反対意見を述べる人はおらず、その方向で走っていったという形です」

 今後の対策について、広報担当者は次のように説明した。

「広告動画に関していろいろとご意見をいただいております。対応といたしましては広告動画の削除をさせていただきました。今後、タンポンに限らず商品を発信する表現については、いっそう注意をして制作していきたいと思っております。また、『タンポンNavi』というサイトがありまして、こちらでも動画に関する謝罪文を記載させていただいたところです」

 男性の意見に従うことを薦めるのではなく、「今まで試したことはなかったけど、これならすぐに使いたい」と自ら思えるような、そんなメッセージをCMで伝えるのは難しいことだったのだろうか。
(姫野ケイ)

タンポンの広告動画が炎上! 「対人関係の不安を解消できることを伝えたかった」

 4月30日、ユニ・チャームと女性向け動画サイトC CHANNELが共同で制作したタンポンの広告動画がネット上で公開され、瞬く間に炎上した。動画内では、生理中の彼女とのデートで困ったという男性側の意見を紹介。「やたらとトイレに行くから待っている間が寂しい」「隣に座ろうとすると距離をとられる」「旅行の予定がキャンセルになった」などといったもので、「そんな時タンポンなら大丈夫」「旅行もデートもいつも通り楽しめる」といった内容で締めくくられている(現在、動画は削除済み)。

 この広告動画に対し、「まるで生理になる女性が悪いかのよう」「(タンポンを使っても)トイレに行く回数が劇的に減るわけではない」「なんで女性の生理用品に何を使うかが『彼氏』の意見中心?」といった批判的なコメントがネット上で飛び交っている。

 女性の味方と言える商品を販売しているはずのユニ・チャームが、女性を敵に回してしまったともとれる今回の事態。ユニ・チャーム側はどう考えているのか。同社広報担当に動画の制作意図を聞いたところ、次のような回答が返ってきた。

「生理中の不快感を軽減する生理用品の一つとしてタンポンを紹介するという目的でC CHANNELさんにご協力いただき、動画を制作いたしました。生理のときに女性が気になってしまう対人関係の不安を解消できることを伝える、という意味合いで制作をしたのですが、生理に悩む女性に負担を強いるような表現になったと判断しております。不快な思いをさせてしまったことに対しては、大変深くおわびしたいと思っております」

 筆者もつい最近、初めてタンポンを利用したが、ナプキンと比べると格段に動きやすく、ムレによる肌のかぶれを気にすることがないのはうれしい発見だった。しかし、「対人関係の不安解消」に関してはイマイチぴんとこない。タンポンを使用することにより動きやすい分、運動する際に快適という面はあるかもしれないが、生理痛や気分の落ち込みといった、生理によって引き起こされる症状が改善するわけではないし、旅行やプールに行く予定がある場合は、ピルで生理周期をズラす方法の方が、生理を意識せずに楽しめるのではないだろうか。

 また、多くの女性が指摘していたように、自分の体の生理現象への対処方法を男性の都合に合わせるという点に疑問を感じる。ユニ・チャームは7年前にもタンポンと恋愛に関する調査を行っており、「タンポン派はナプキン派よりも彼氏がいる率が2割高い」という結果を発表している。タンポンが便利だと実感して自らの意思で選択・利用しているならともかく、男性の都合に合わせてタンポンを使用することが、本当にモテや恋愛と関係あるのだろうか。

 女性にとって身近な存在であるはずなのに、いまだにタブー視の強い生理。特にタンポンは膣に挿入するので、抵抗を感じる人も少なくないのだろう。また、娘に対して「タンポンを使ってはダメ、ナプキンを使いなさい」と指導する母親の話も耳にしたことがある。そのような意識や、タンポンに対する抵抗を取り払うには、若い女性をターゲットにしたC CHANNELのような媒体で広告動画をアップすること自体は良い手段だったと思われる。

 しかし、動画制作中に違和感を覚える人は誰かいなかったのだろうか。ユニ・チャームの広報担当はこう語る。

「今回の企画は、テレビCMを手がけたスタッフではなく、C CHANNELさんのスタッフが中心となって『対人関係の不安を解消できる』ことを目的に制作したものです。企画内容自体が『男性にアンケートを取ってみた』というものなので、そこに反対意見を述べる人はおらず、その方向で走っていったという形です」

 今後の対策について、広報担当者は次のように説明した。

「広告動画に関していろいろとご意見をいただいております。対応といたしましては広告動画の削除をさせていただきました。今後、タンポンに限らず商品を発信する表現については、いっそう注意をして制作していきたいと思っております。また、『タンポンNavi』というサイトがありまして、こちらでも動画に関する謝罪文を記載させていただいたところです」

 男性の意見に従うことを薦めるのではなく、「今まで試したことはなかったけど、これならすぐに使いたい」と自ら思えるような、そんなメッセージをCMで伝えるのは難しいことだったのだろうか。
(姫野ケイ)

「他人の記事をパクるのはこんな人」弱小出版社の編集者が語る、パクリ騒動が起こるワケ

 信ぴょう性の低い情報の掲載や、他サイトの記事の無断転載、いわゆるパクリ記事を掲載していたことで昨年12月、DeNA運営の医療情報キュレーションメディア「WELQ」が大炎上し閉鎖。ネットメディアのあり方が問われた事件であった。

 この騒動が起こったのと同時期の昨年11月29日に出版されたのが『重版未定』(河出書房新社)。弱小出版社にありがちなリアルな現状が、かわいらしい2頭身のキャラクターたちによって描かれている漫画だ。著者は、出版社に勤務している川崎昌平さん。大手とは違う小さな出版社の編集者はキュレーションメディアにおけるパクリ騒動をどう捉えるのか、お話をうかがった。

■スマホが普及していなかった時代は、紙媒体でもネット画像のパクリ本があった

――キュレーションメディアでのパクリが問題となっていますが、紙媒体でも、エッセイストの葉石かおりさんの著書を無断で再編集したムック本『日本酒入門』(枻出版)が回収となったことがあります。枻出版は弱小とはいえませんが、弱小出版社となると、かけられる経費も人も少ないので、パクリ騒動が起こるのかと思ってしまいます。実際のところは、どうなんでしょうか?

川崎昌平さん(以下、川崎) 時代的には2000年代中盤あたりに、紙媒体による「ネットの画像を無断借用して編集した本」が多かったと記憶しています。当時はまだスマホ全盛期ではなく、「ネットで広まっているおもしろい画像を集めたもの」に価値があったのでしょう。今なら「まとめサイト」がその役割を果たしてくれるんでしょうが、当時はギリギリですが、そうした本が企画として成立する余地があった。

 僕の見立てですが、紙媒体でパクリをやる出版社は、弱小というより、刊行点数を増やさないといけない、厳守しないといけないところなのではないかと思います。「信念を持った弱小出版社」は、往々にして専門性の高さを売りにしている。したがって「パクりまでしてローコスト&大急ぎで本を作る必然性」がないわけです。歴史と伝統のある弱小出版社は、パクらず時間をかけて、思想や人文系の本を作っている。もちろん専門性の高さ=読者の少なさなので、少部数しか発行しませんし、新刊を出す→返本される→新刊を出す、という苦しいサイクルはどこも同じなのでしょうが……本当に作りたい本を作れているのは確かです。

 その意味では、「弱小出版社は、実はあまり儲けようとしていない」のではないかと僕はにらんでいます。儲けることよりも、会社を続けることを目的としているのではないかと。営利企業がそれでいいのか、というツッコミももちろんあるわけですが、「急いでそこそこ売れそうなタイトルをローコストで作るためにパクる」よりはマシだと考えています。まあ、弱小の定義も難しいですけど。

――しかし、会社的には売り上げを上げないとまずいですよね。弱小出版社は、どのように生き残っているんですか?

川崎 永遠の自転車操業ですね。こぐのをやめると倒れちゃうので、こぎ続けなきゃいけない。良いと信じて作った本がしっかり売れ……ないから弱小なのですが、返本の山が生じると、倒産してしまいます。ですから新刊を出し続け、数字上の売り上げを計上しつつ、また次の本を出せるようがんばる。新刊至上主義なのは、大手も弱小も規模こそ違えど、本質的には変わりないと思います。ただ、そういうことは考えすぎると暗澹たる気持ちになるので、編集者はそこを考えずに勤務すべし、というのが私の持論です。

■本来、引用はアカデミックな世界だと名誉なこと

――キュレーションメディアは、きちんと著作権問題をクリアしていれば、非常に便利な読み物だと思います。紙媒体でも、もともとある情報をまとめて書籍にすることはありますが、川崎さんはその点はどう考えていますか?

川崎 本というのは情報の塊ですが、情報は単体として存在するわけではありません。ある情報に注釈を加えたり、内容を変更したり、新しい解釈を重ねたりするためのツールが本です。ですから、本来の行為としての引用や転載は、情報のあり方、本の作り方としては正当なものだと思います。「引用が1カ所もない学術論文」なんてものがあったとしたら、むしろ「ちゃんと勉強しているのか?」と疑いたくなっちゃいますし、書き手側からしても引用されるのは、アカデミックな世界では名誉なことであり、かつ研究の弾みにもなるわけです。「へえ、私の考えは、こうした読まれ方をするのか。なら次は、こういう実験をしてみようかな」という具合に。

 ただ、そこにはルールがあります。引用にも厳格な作法が定められているのが普通です。私は本を編集する上では、適切な引用ならば引用のルールに則った表記の仕方で引用し、図版・画像の使用、テキストのまとまった転載であれば、著作権者への連絡および許諾を必ず取るようにしています。転載の許諾申請が大量になると、面倒なことは確かですが、まあ、編集者の仕事ってそこだろうと、「複数の知をつなぐ仕事」が編集なのだから、そこをサボっちゃいかんだろうと思いながらやっています。

 それと、そうされることで書き手も喜ぶというのを知っているからでもあります。2012年に出た『村上隆完全読本 美術手帖全記事1992-2012』(村上隆〈著〉、美術手帖編集部〈編〉、美術出版社)という本があって、私が美術ライター時代に書いた記事が転載されたんですが、そのときに、小さな記事だったにもかかわらず、ちゃんと編集部が連絡をくれたんですね。それがうれしかったというのもあって、編集者としても、そこはちゃんとやりたいというふうに考えています。

 キュレーションメディアも連絡や許諾申請をサボらず、ちゃんとやればいいのに、と思いますね。

――今回、ユーザー側も意識が少し変わってきていると思ったのが、女性向けキュレーションメディアの「MERY」で、SNSに投稿したオシャレな画像が記事に使われたことを喜んでいるユーザーがいたと聞いたことです。パクられて喜ぶ人もいるのだと知りました。

川崎 「私の論文が引用された!うれしい!」というのとは違う気がしますね。引用した側が相当の覚悟と決意とで作ったものであるならば、その労作に貢献できる喜びはあるでしょう。でも「なんかテキトーな画像ないかな」とググって探して見つけられて転載されても……うれしいんですかね? 自己承認欲求と自己表現が、ごっちゃになっているものを今の日本のウェブではよく見かけますが、そのあたりの気風も、パクリが横行する土壌を産んでいるのかもしれません。

■自分を編集できるスキルを身につければ、もっとおもしろい表現ができる

――パクリ問題が起きたのは、キュレーションメディアに編集者がいないことも要因のひとつだといわれていますよね。

川崎 作り手もユーザーも自分で自分を編集できる世界が生まれれば、最高ですよね。手前味噌ですが、編集者でありながら本を書いていると、自分の著作に関しては「自分で自分を編集する」という作業が、そこそこできている方だという自負があります。今回出した『重版未定』や15年に出した『自殺しないための99の方法』(一迅社)などの初出は同人誌です。同人誌の特徴は、編集者がいないこと。したがって、自分で自分の本を編集しなければなりません。これができている本とできていない本では、やはり差が出ます。もちろん「編集できていない本」であっても、あふれんばかりの情熱で押し切って、めちゃくちゃおもしろい本になっている、という例は多々あります。

 でも「編集できていない本」と向かい合うには、受け手にも作り手と同じぐらいの情熱が必要です。多くの同人誌のイベントは、読みたい・読ませたいという愛にあふれた人々の集いですから、それでも成立しますが、より外の世界……例えば一般の書店やウェブで発表しようとなると、ある程度の客観性が求められます。

――同人誌もそうですが、今はSNSやブログで、自分からなんでも発信できる時代です。編集のスキルというと、具体的にはどんなことでしょう?

川崎 伝え方だと思います。例えば、猫が好きで猫の記事を書く人は、猫に愛がある。そこは一番大事な部分です。でも、愛があった上でも伝わらない相手がいます。その相手にどうすれば伝わるかを、一個一個の手順として、客観的に引いて考えることができる、または少しクールダウンして読み直すことができる技術。それが編集のスキルです。

 ひとりよがりの意見になっていないか、異なる意見の存在を前もって想定できているか、作品に対する関係者の存在を理解すると同時にそれらの調整は済んでいるか……などなど、基本的な「編集のスキル」の有無は、紙媒体だろうがウェブだろうが、意識すべきポイントだと思います。そういう編集のスキルを磨ける場があれば……パクリ記事を作っている人もウェブの世界のおもしろさに気づけるんじゃないかな、と想像しているんですが。

 キュレーションメディアの件でもそうですが、ウェブがらみで炎上する人を見ていると、冷静になるタイミングを知らないと感じます。

――よく言われるのが、きちんと読まずに反射的に発言してしまうことですね。

川崎 そうですね。やはり読むスキルは、数ある編集のスキルでも必須のもの。コツは「落ち着いて最後まで読むこと」に尽きます。予備校でセンター試験の現代文を教えていたとき、やはり最後まで読むことが重要だと教えていました。一度最後まで読んで、一呼吸置いてから問題を解く。設問と問題文を行ったり来たりする人もいますが、あれは絶対ダメです。文章の論旨を自分の思考ではなく設問によって読み解こうとしてしまうから、答えを自分で構築できなくなるわけです。

 そして「読まずに書く」のもダメですが、「書いたけど読まない」のも最悪です。編集者からすると、誤植の最大の原因となります。野球選手の年俸のニュース記事で、年俸6300万円のはずが「年俸6300円」になっていたり(笑)。そういうのを目にするたびに、自戒として「書いたら読む」を徹底せねばと思っています。

――川崎さんは、今後も出版社勤務と作家活動を続けていかれる予定ですか?

川崎 はい。今後は、『重版未定』に出てくる架空の出版社「漂流社」を実際に作ろうと思っています。出版社が漫画を作るのは当たり前ですが、「漫画が出版社を作る」のはなかなか例がないと思って。僕一人で、著者、編集者、編集長をやろうと思っているので、「それ、もうお前の同人誌じゃねーか!」という話ですが(笑)。
(姫野ケイ)

川崎昌平(かわさき・しょうへい)
1981年、埼玉県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。作家、編集者、東京工業大学非常勤講師。2007年、『ネットカフェ難民』(幻冬舎新書)により、新語・流行語大賞トップテン。著書に『若者はなぜ正社員になれないのか』(ちくま新書)、『自殺しないための99の方法』(一迅社)、『小幸福論』(オークラ出版)、『はじめての批評』(フィルムアート社)ほか。

スキマスイッチ、“料亭批判”MC謝罪も炎上収まらず、公式サイトサーバーダウン!

2015sukimas.jpg
『スキマスイッチの本』(朝日新聞出版)

 今月行われた秋田公演のMCでの失言により、スキマスイッチの8“お株”がネット上で急落している。地元飲食店を実名批判して炎上、その後、なぜか参戦したトータルテンボスの“失策”もあり、ついには公式Webサイトで「ライブのMC内で誤解を招くような表現をしてしまったため、御飲食店様、及び関係者の皆様へ大変ご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪するはめになってしまった。

 ことの発端は14日、秋田県民会館で行われた公演でのMC。メンバーはこの前日に、秋田市の繁華街にある老舗料理店で夕食を取ったそうだが、店の実名を挙げて「すき焼きの野菜が残っていたのに下げられた」「ハタハタは3匹くらい食べたかったのに、1匹しか出なかった」などと文句をつけたという。

山田優、“マタニティーハイ”に小栗旬はイライラ!? 「価値観が違いすぎる」と離婚を危ぶむ声

150210yamaday.jpg
山田優オフィシャルブログより

 昨年10月に第一子を出産して以降、度重なる“奇行”が話題となっている山田優。生後2カ月の娘を居酒屋へ連れて行くなど、ネット上では激しい批判が飛び交っていたが、そんな山田の“ママタレ化”に対して、夫の小栗旬が苛立ちを隠せずにいるという。

「昨年12月の『女性セブン』(小学館)で、『山田が自分の母親とともに、赤ちゃんを居酒屋へ連れて行った』と報じられ、ネット上では『非常識』『子どもがかわいそう』などと批判の嵐でした。それにもかかわらず、2月6日発売の『フライデー』(講談社)でも、親友の西山茉希と子連れ同士で夜11時頃まで外食する様子が掲載され、さらなるバッシングが加熱しています」(芸能ライター)

辻希美、“鉄砲で戦いごっこ”する子どもの画像掲載に「不謹慎」! 謝罪なし削除で炎上へ

20150202tsuji.jpg
辻希美オフィシャルブログより

 ブログが定期的に“炎上”している辻希美。ここ最近はその機会も少なくなっていたが、2月1日に更新したブログの内容が、ネット上で物議を醸している。

 辻は1日の午後11時ごろ、ブログに「今日は夕飯前は100均で買った鉄砲で戦いごっこをして遊び」とつづり、鉄砲のおもちゃを持って遊んでいる子どもたちの写真をアップ。通常では、仲睦まじい家族の1コマなのだが、日本では当日の朝に過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件が問題になっていることもあり、一部ネットユーザーから「不謹慎ではないか」という声が噴出したのだ。

「ファンの期待を裏切るものです」辺見えみり、最新スタイルブックのレビューが炎上!

2015henmiemiri.jpg
『辺見えみり責任編集 the HANDBOOK』(宝島社)

 辺見えみりの最新スタイルブック『the HANDBOOK』(宝島社)が、ネット上のレビューで酷評されている。かねてからブログやTwitterでの発言が“痛すぎる”と炎上している辺見だが、今回の本はファンをも失望させてしまっているようだ。

 16日に発売された『the HANDBOOK』は、辺見えみりの“責任編集”と銘打たれた最新スタイルブック。コンセプトは「一児の母となり、37歳を迎えた彼女が、新たなステージへのステップアップとして『スタイルのある女』について探り、発見し、発信する、すべての女性のための“生き方の教科書"です」という。

益若つばさ、「スカウトされた」「合法ロリと言われる」発言で「自慢気に言うな」の声続出

2015masuwaka.jpg
「EAT ME!」(宝島社)

 益若つばさが29日のブログで、モデルにスカウトされたことを報告し、ネット上で袋叩きに遭っている。近頃では「制服&ツインテールで番組出演」「セーラームーンのコスプレ披露」など次々とブログ内容がニュースになっている益若だが、どうやらファン以外からは酷評されているようだ。

 益若は「昨日は原宿駅歩いてたら『モデルさんになりませんか?』ってスカウトされたよ!」「やったね!」「ぜひ雑誌出たいです!!」などと報告。

沢田研二、観客に「黙っとれ」で大炎上! 人質事件言及も「歌を聞きに来た人に失礼」

150127sawadakenji.jpg
『思いきり気障な人生』/ユニバーサル ミュージック

 沢田研二がコンサート中、観客に対して激怒したことがネットで話題になっている。26日配信の「日刊ゲンダイ」記事によると、沢田は先週行われたコンサート中、観客に対して「嫌なら帰れ」などと発言。トーク中に水を差されたことが原因のようだが、世間からは厳しい意見が殺到している。

 記事によると、問題のコンサートが開かれたのは20日、8日から行われていた正月公演最終日のことだったという。2時間ほどのコンサート終盤、沢田は現在騒動になっている日本人が人質となったイスラム国を巡る事件に言及したが、客席からは「歌って~!」という声が飛んだ。それに対して沢田は「黙っとれ! 誰かの意見を聞きたいんじゃない。嫌なら帰れ!」とブチ切れ、観客は静まり返ってしまったという。