少女たちの自立を描く『娘の家出』――“伝統的な家族”の枠外にある家族の感情 

<p>女子マンガ研究家の小田真琴です。太洋社の「コミック発売予定一覧」によりますと、たとえば2015年2月には978点ものマンガが刊行されています。その中から一般読者が「なんかおもしろいマンガ」を探し当てるのは至難のワザ。この記事があなたの「なんかおもしろいマンガ」探しの一助になれば幸いであります。前編では2月の話題のマンガと少女マンガ誌の最新情報をご紹介します。</p>

華やかでエロティックな遊郭を舞台に、花魁の愛と悲しみを描く『蝶のみちゆき』

<p> 2015年1月は近年まれに見る当たり月でした。前編で紹介した九井諒子先生の『ダンジョン飯』1(KADOKAWA/エンターブレイン)を筆頭に、以下の2作も年間ベストに食い込みうる高いクオリティを持った作品たちです。</p>

根拠ない自信と希望的観測の“ドリーマー男”をめぐる、女たちの来し方と行く末

<p> あっと驚くアイデアと高度な表現力とを惜しみなく詰め込んだショートショート集『ひきだしにテラリウム』(イースト・プレス)で、マンガ読みの度肝を抜いた九井諒子先生。待望の新作にして初めての長編『ダンジョン飯』1(KADOKAWA/エンターブレイン)は1月15日の発売直後に完売! 2月になって重版分が出回り始めたようですが、いやはや、すごい人気です。</p>

代表的マンガランキング『このマンガがすごい!2015』、順位より大事な“読み解き方”

<p> 各種ランキングでにぎわう季節がやってまいりました。マンガにおいてはやはり『このマンガがすごい! 2015』(宝島社)が代表的なランキングであるといえましょう。14年も良い作品が並んだなあ、とは思うのですが、ひとつ気になることがありました。13年の「オンナ編」ベスト3が1作もランクインしていないのです。気になってここ数年のベスト3の、その後のランキングを調べてみました。<br /> </p>

覚せい剤で錯乱、監禁&抗議の絶食!! 『ベルばら』池田理代子の容赦ない学園ドラマとは?

<p> 突然だが私が通っていた高校は、偏差値が特に高くもなく、かといって九九がわからないほど低くもなく、特筆するような面白いことのない、平凡な女子校だった。</p>

宝塚・アイドルへの祝福にあふれる『かげきしょうじょ!』、今こそ読むべき名作の予感

<p> 美少女にして無表情、そして孤高で不器用。どこか脆く影があり、しかしたまに見せる笑顔が抜群にかわいい。「ツンデレ」という言葉では説明しきれないほどの強い魅力を放つキャラクターが、斉木久美子先生の『かげきしょうじょ!』(集英社)に登場する奈良田愛です。病的なまでの男嫌いがたたって、握手会で「はなしてキモチワルイ…」とファンに言い放ち、アイドルグループ「JPX48」を脱退させられた彼女は、「男がいない生活」を求めて、宝塚音楽学校をモデルにしたと思わしき「紅華歌劇音楽学校」へと入学します。</p>

『あれよ星屑』『あとかたの街』、本ではなくマンガだから伝わる戦争と愛と人間

<p> 書店では相も変わらず愛国バカの三文小説や愚にもつかないヘイト本ばかりが幅を利かせておりますが、ことマンガにおいては多様な言論・表現の世界が繰り広げられています。特に昨今「戦争」を描くマンガに際立ったクオリティを見せる作品が増えつつあります。この10月だけでも3作品の素晴らしい最新巻が刊行されました。<br /> </p>

イカ天を彷彿とさせる古くささに痺れる、アメリカ初の少女マンガ『Rock and Roll Love』

<p> 日本に少女漫画が誕生して50年以上が経った。「オンナ子どもが読むもの」と蔑まれていた少女マンガだが、いまや日本を代表する文化の1つだ。特に近年、マンガ家志望の女子が増え、イラストの技量もストーリーの内容も、出版される作品の品質は飛躍的に上がった。</p>

少女と少年の“ちょっと大人になった”夏が鮮やかに満ちる、『子供はわかってあげない』

<p> 『このマンガがすごい!』(宝島社)などのランキングは大抵が前年の10月からその9月までに発売された作品を対象とします。そんなギリギリ9月の、しかもギリギリ月末に発売された田島列島先生の『子供はわかってあげない』上・下(講談社)は、確実に今年の賞レースに食い込んでくるものと思われる大傑作です。</p>

相次ぐマンガ誌休刊の中、“売れるマンガ”の役割と少女マンガ誌の危ういスタンス

<p> マンガ誌の休刊が相次いでいます。しかも、よりによって先進的な雑誌ばかりが休刊してしまうのですからやるせありません。小学館の「IKKI」、集英社の「ジャンプ改」、秋田書店の「もっと!」……いくつかの連載作品は発表の場を移して継続するようですが、雑誌の消滅を機にやや無理をして終わらせてしまった作品もまたあります。読者にとっても、作者にとっても、編集者にとっても、それは不幸なことでしかありません。</p>