「久々に再会して実家でそのまま……」女たちの“幼なじみ”とのセックス体験談!

 先日開催した、友人たちとの「夜のアラサー女子会」。テーマは「一番ドキドキしたH」で、語られる内容のどれもが経験したことない興味深いものばかりでしたが、一番印象深かったのが友人Aの話。

「家も近くて親同士も仲が良かったから、幼稚園から高校までずっと一緒だった幼馴染のYくんっていう子がいてね。大学進学で地元を離れてから疎遠だったんだけど、この前、実家に帰ったらYくんと遭遇したの! それで、どうせなら家でご飯でもってことになって、うちで一緒にご飯を食べて、卒業アルバムを見返すために私の部屋に入って……。部屋なんて小さい時から行き来してたし、なんでもないと思ってたんだけど、昔に比べてYくんの骨格だとか雰囲気が“男”になってて、妙にドキドキして……。Yくんも同じだったみたいで、下の部屋に家族がいるのに、キスされて、触られて……そのままHしちゃった。昔よく一緒に寝たベッドで、そういう意味で“寝る”なんて思ってもみなくて、得体のしれない背徳感がたまらなかった……」

 友人A、真面目な子だと思っていたのに、「背徳感がたまらない」なんて、人は見かけによりません……。H中に彼が見せる表情や声は見たことのないものなのに、ホクロの位置や傷痕は懐かしく感じ、そのたびにゾクゾクしたらしいです。思い出がスパイスになるH、私も経験してみたいものです。

 と言いつつも、幼なじみがいない私には、そんな経験は厳しそうなので、マンガで楽しむことに。『「幼馴染はもうやめた」マッサージの指がナカまで深く…』は、幼なじみに飢えた私が今まさに求めていた作品でした!

実家でマッサージ中に“男の顔”が!

 ヒロインの結季はOL。デスクワークで凝った肩をほぐそうと、新しくできた整体院に行ってみたところ、施術者として出てきたのはなんと、疎遠になっていた幼なじみの史人でした。予約でいっぱいだったためマッサージは受けられず、代わりに仕事が終わったら、結季の実家でやってもらえることに。昔からよく史人にマッサージをしてもらっていた結季は、懐かしい手つきに安心しながら身を委ねます。

「部屋で男と2人きりでマッサージって、なんとも思わないのかよ」という史人にも、幼なじみなんだからなにかあるわけないじゃん、と返す結季。しかし、背中のマッサージでブラのホックを外され、オイルを使って丹念に下半身まで触れられるうちに甘い声が漏れ出て、妙な気分に……。このままだとそういう展開になりそうと、「今日はもういいから」と伝える結季に、「俺はいつまでお前の幼馴染なわけ?」と史人は初めて“男の顔”を見せてくるのです。ただ、マッサージしてほしかっただけなのに……と戸惑いつつも、史人と一線を超えてしまったのです。

私とセックスしたいだけ? 体目的? と、史人の気持ちがわからず、悶々とする結季ですが、そのもどかしい距離感と幼なじみだからこそ言えない本音、絶妙な背徳感がたまりません。最初から両想いのようなので、簡単にくっつくかと思いきや、なかなか一筋縄ではいかず、ストーリーもどんどん見逃せない展開になっていくので、最後まで一気に読んでしまいました。きれいな絵で、前戯も入念に描かれているので、ゾクゾクすること間違いなしです。

年下の幼なじみから「姉」扱いされてたのに……

 『小悪魔な幼なじみに、いただかれました。※ベッドの上で』も、幼なじみがテーマの作品なのですが、こちらは売れっ子美形アーティスト×世話焼き年上OLという変わった設定。地味なOLの千代子は、小学生の時に出会った3つ年下の美少年・むつみに今でも何かと世話を焼いているものの、“世話焼きの姉”以上に見てもらえず悩んでいました。いつものメガネ姿をやめて、精一杯おしゃれをしてむつみに会うも、「似合わないよ」と笑われてしまい、「私ってバカ 何を期待してたんだろ」自己嫌悪に陥ってしまう千代子。しかし、むつみも小学生の頃からずっと千代子を思っていたのです。

誤解が解けるや否や、笑顔で「しよ」「もうたくさん待ったよ」と迫られ、流されるままに愛撫され、イカされ――長年の蓄積された思いが爆発し、隙あらばHをしてしまうむつみに、見ているこっちがドキドキしてしまいます。この作品も前戯やセックスの描写がとにかくエロいので、興奮しきりです!

 私のように幼なじみがいない人でも、漫画ならすぐに疑似体験できちゃいますね。皆さんもチェックしてみては?

まんが王国

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「元カレの“調教”が忘れられない」「とにかく回数が多い」夫婦の赤裸々セックス事情

 先日、30代の友人が結婚しました。結構急な話だったので、詳しく聞いてみると、いわゆる「お見合い結婚」なのだそう。その友人は美人で器量もよく、正直悔しいほどに引く手あまただったので少し驚きました。しかも、お見合いの席で双方の親が退席した後、その日のうちにHしたらしく……! そこで体の相性が抜群だと感じ、そのまま結婚に至ったらしいんです。今では夫婦揃ってアダルトグッズを買いに行ったり、アブノーマルなセックスも楽しんでいるみたいで、もう驚きの連続です。

 最近は健全な出会い系アプリも増えてきているし、「自然に出会わなきゃダメ」という概念はもう古いのかも……。でも、そんな話を聞いてしまったら、いろいろ想像してしまう!  とモヤモヤしていた私でしたが、想像だけでは物足らなくなり、気がついたら“お見合い結婚モノ”のHな作品を探していました。そこで見つけた作品が、『お見合い結婚 恋愛なしってアリですか?(分冊版)』

遠慮がちな2人のHがリアル!

 ヒロインは、仕事が忙しく、気づけば33歳になっていたキャリアウーマンの慶子。周りがどんどん結婚していく中、「そもそも私って本当に結婚したいの?」「最後に恋したのっていつだっけ……」などと、モヤモヤとした感情を抱き始めます。そんな慶子に、突如親から舞い込んできた見合い話。淡い期待を抱きつつも、会ってみた翻訳家の歩は、高給取りでイケメンとスペックはいいものの、初対面から慶子に対し「年齢サバ読んでるんじゃないの?」「君にとってもまたとないチャンスだろう」などと失礼極まりない発言を炸裂したり、急に抱き寄せ「夜のほうも問題なさそうだ」と上から目線で振る舞う、なんともクセが強い男なのでした。

 「ありえない」と断ろうと思った慶子でしたが、歩の仕事ぶりや、本の趣味が似ていることに心が惹かれていきます。そして、歩の書斎で読書をしながら、うたた寝してしまった慶子。そのままソファで初セックスとなったのです。しかしそれだけでは終わらず、さらりと「結納の日取りはもう決まっているんだよ」と衝撃発言をされ、慶子はどうなってしまうのでしょう――?

 この作品、キャラクターの個性が強く、特に歩は助手の女性とどうやらワケありの様子。金曜深夜でも助手から連絡があれば自宅まで駆けつける歩を見て、慶子は「おかしくない?」とモヤモヤしてしまいますが、結局はセックスして仲直りを繰り返します。歩と助手の関係に口出ししたくても、出会ったばかりの私が干渉することではない……そういった、些細な心の葛藤がうまく描かれていて、同世代として本当に考えさせられるところが多いのです。

 ソファやシャワールームでふいに始まる行為も、リアルな流れで思わず「ドキッ」としてしまいます。なにより、この2人は「回数多い」と慶子が自覚するほど、とにかくHが頻繁! 本物のお見合い結婚が果たしてこうなのかはわかりませんが、“お見合い結婚だからこそ”の遠慮がちなセックスシーンや心の機微に引き込まれていきます。読めば読むほど続きが気になってしまいました!

元彼との激しいHの記憶が体に……

 もう1つ、設定が気になって思わず読んでしまった作品が『嘘!アイツが私の旦那様!?~目覚めたら10年後の未来』。階段から落ちて、未来にタイムスリップしてしまったヒロイン・はるかは、目が覚めたら10年後で、ケンカばかりしていた幼なじみの健也と結婚をしていました。

 一緒に暮らす家に帰ると、早速体を弄ってくる健也に戸惑いながらも感じてしまうはるか。17歳の処女のはずなのに体は成熟していて、「初めてのはずなのに、こんなの私じゃない!」と思いながらも、「俺とはるかは、こうして何度も愛し合って結婚したんだよ」と愛撫してくる健也と快感に溺れていきます。そんな中、高校時代にあこがれていた同級生・氷崎が、はるかの前に登場。「君は胸を揉まれながら耳を咬まれるのにとても弱かった」「君の体には僕の躾が残っている」と体を激しく責め立て、強く感じてしまうはるか。2人は高校時代に交際していて、調教という名目でひたすら激しいセックスを繰り返していたと、氷崎に聞かされるのです。

 幼なじみの夫との優しいセックスと、元カレとの激しい快楽のセックス――。設定的にはタイムスリップモノで現実にはあり得ないですが、元カレとのセックスが最高だったという人は、思うところがあるかもしれません。エロい絵とはるかのダークで性的な過去が気になり、思わず一気読みしてしまいました。

 夫婦と言えども、形はさまざま。漫画で覗き見るのも面白いものです。まんが王国で読んでみてはいかがでしょうか?

まんが王国

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アラサー処女、「妄想みたいな」「正直最高だった」ロストバージン体験談! 

 恋愛に疎くアラサー処女の友人が、先日やっと処女を卒業したとのことで、祝福がてら話を聞いてきました。私の想像では「全然気持ちくないし痛いまま終わったわ~」みたいな感じかな、と勝手に考えていたのですが、友人の口からは「正直、最高だった……」と真逆のセリフが飛び出したのです。

 詳しく聞いてみると、相手は学生時代の同級生。当時は学校の中で1、2を争うイケメンで、今は大手一流企業に勤めているエリートなのだとか。友人は数回しゃべったことある程度の仲で、社会人になってからは疎遠だったものの、同窓会で再開して意気投合。羨ましい眼を向ける同級生たちを差し置いて同窓会を抜け出して2人で飲みに行き、その後は彼のタワーマンションで、少しこなれた彼に優しく手ほどきを受けながら初夜を迎えたんだとか……。しかも、一夜の夢では終わらず、その後も順調に交際を重ねており、今は「一緒に寝てると彼が抱きついてきて離れてくれない」のが悩みだと言います。「え? 妄想の話だよね? 帰っていい?」と思わず返した私でしたが、仲良し動画を見せられ、あえなく降参しました。……おめでとう、友人。

 最近の私の悩みと言えば、TL作品を読みまくっているせいか、「エロシーンにまったく魅力がない」「このコマの構図どうなってるの? 遠近法おかしくない?」「この展開無理やりすぎでしょ!」という“私の頭の中のツッコミ”が邪魔をして、全然内容に集中できないこと。TL作品好きの女性なら一度は思ったことがあると思うのですが、友人の幸せな悩みを知って、なんだか切なくなってきました……。

 でもその友人、私よりもTL作品を読み込み、人気作品からマイナー作品まで網羅している猛者でもあるので、「“ただエロいだけ”じゃない、絵もストーリーもしっかりしているTL作品を教えて!」と頼んだところ、真っ先にタイトルを挙げたのが『甘い渇きは君のせい―映画監督とこじらせ処女―』でした。

 趣味の園芸に生きる28歳処女の場合

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 ヒロインの千鶴は28歳、処女。祖母から譲り受けた屋敷の手入れと家庭菜園が趣味で、恋愛は疎い“おひとりさまOL”。ある日、屋敷の前に倒れている人を発見し、急いで駆け寄ると、それは大学時代に唯一恋をした、あこがれの荻原先輩だったのです。

 きっともう会うことはないと思っていたのに、突然目の前に現れた先輩。動揺しつつも介抱していると、ふいに抱きしめられ、「会いたかった」なんて言われ……。重なる唇、体を這う指先に、千鶴は抗うことができず、されるがままに達してしまいます。そして次の日、売れない映画監督がゆえに住むところがない萩原先輩のお願いを断れず、屋敷に住まわせることを許してしまった千鶴。あこがれの先輩と一緒に住むなんて、これからどうなるんでしょう――。

 この作品、とにかく絵が見やすいのでどんどん読み進めてしまいます。調べてみると、TL小説で人気のイラストレーターさんが描いているようで、絵の美しさに納得。ストーリー性も高いので、純粋に次の展開が気になります。まさに“ただエロいだけ”では終わらないTL作品でした。

 ほかにも友人が挙げてくれた、『ガテン農家とちっぱい処女―うそでしょ…?―ビニールハウスで即エッチ!?』はBL漫画家さんが初めてTLを描いた作品で、中身が濃く読みごたえたっぷり。そしてもう1冊、グイグイくる後輩に愛され、惑わされる過激なオフィスラブ作品『この男、猛獣につき要注意。―危険な後輩の極上セックス―』も、絵柄、内容、もちろんエロも大満足で、さすがTLマニアの友人、と納得してしまいました。今年の猛暑は、質の良いTL作品を読みふけりながら乗り切りましょうね!
(ヨコシマリンコ)

◎紹介した3作品は、これら電子書店で提供されています。

Renta!
コミックシーモア
めちゃコミック
Kindle
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BookLive!コミック
読書のお時間です
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「後輩のエロい言葉に興奮」「婚活相談のつもりが……」女たちが“欲情した夜”の話

 「自分に自信がない」「甘え方がわからない」「リア充が苦手」「1人が苦じゃない」「褒められても素直に受け入れられない」「友達の恋愛話についていけない」――ほとんど女性が1つは当てはまりそうな、これら特徴の数々。私は1つどころではありませんが……実はこれ、“こじらせ女子”の特徴なんです。

 “こじらせ女子”とは、数年前に流行語大賞にノミネートされるほど話題になった造語。簡単に言うと、「自分に自信が持てず、恋愛にもどこか消極的。どちらかというと、外見よりも内面的なことで恋愛に失敗してしまう女子」のことです。

 私の友人には上記の特徴を総なめしている子がいるのですが、彼女は根っからの恋愛ベタ。顔は可愛いけれど、性格は極めてネガティブ。私が知っている限り、なぜか好きになった人には愛されません。いえ、本当のところはどうかわかりませんが、自分に自信がないがゆえに、“彼に愛されている”と思えないのかも。

そんな彼女の口癖は、「私なんか」。「彼は私なんかとレベルが違うから」「私なんか結局ヤられるだけの女」と自分を卑下するだけにとどまらず、ついにはSNSで“ポエム”をつらつら書き始める始末です。もはや「愛されない自分を愛しているのでは?」とツッコミを入れたくなるレベルです。いえ、基本的にはいい子で大好きなのですが……だいぶ、こじらせているみたいです。

 しかし、そんな友人もいつまでも感傷に溺れている場合ではないと気付いたのか、最近は“脱・こじらせ女子”をしようと奮闘中。その努力の一環(?)で、不器用な女性がヒロインの漫画を読み漁ったらしいのですが、「“恋愛に無頓着な女子”なはずなのに、かわいくてエロくてキュンとしてイヤになる……」と、ため息をつきながら激押ししてきた作品があります。『欲情スイッチ』という漫画で、私も仕事の合間に軽い気持ちで読んだら、夢中になりすぎて困りました。

 恋愛未経験のリケジョ女を発情させる後輩

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 ヒロインは、研究一筋でほかのことには、とんと無頓着なリケジョ・千世。もちろん恋愛にも無関心で、「好きって何?」「感じるって何?」というレベルの不感症だったのですが、千世のことが大好きでたまらない、笑顔の可愛い後輩・拓真からの不器用ながらもまっすぐな思いに触れ、徐々に変わっていきます。

 拓真は非常に面倒見のよい性格で、生活力皆無の千世を支えるべく、お弁当を作ってきてくれたり、体を気遣ってくれたり、身の回りの世話を焼いてくれたり……。「こんな男の子に好かれたら幸せだな~」とほのぼのして読んでいると、千世はあろうことか、「あんまり世話を焼くな」と言い放ちます。実は、「おまえなしじゃ生きていけなくなる」という意味なのですが、なんとも口ベタで、不器用な千世に内心ハラハラ。

 相変わらず恋愛に対して不感症な千世でしたが、ある日、自分の変化に気づきます。それは、無意識に拓真が来るのを待ちわびていること、拓真なら触られてもよい、と思っていることでした。拓真の甲斐甲斐しい努力により、少しずつ、でも確実に恋愛感情を抱いていく千世なのですが、恋なんてしたことない千世は、それがなんの感情なのか見当もつきません。

「拓真に触れたい」という気持ちがなんなのか、結局わからないまま迎えた千世の誕生日。デートをした帰りに拓真の家で一息つくと、「おまえの好きにしてくれたらいいのに」と本音をこぼします。その言葉で、幾度となく押されていた拓真の“欲情スイッチ”はオン、千世は服を脱がされながら、鏡の前に連れていかれるのです。

 そこで、鏡に映った自分のみだらな恰好と、耳元で囁かれた拓真の「好きです」という言葉に、千世の“欲情スイッチ”は初めてオンに。「覚えておいてください。オレの指が千世さんのココをかき回す感覚とか、舌が肌をなぞる感覚とか――次から思い出しただけでスイッチが入るように」なんて、とてつもなくエロい拓真のセリフと描写にドキドキが止まりませんでした。

 婚活前のめり女子が職場の上司と……

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 そして、友人が追加で送ってきたこちらの作品『好きなのにカラダだけ』も、また違った“こじらせ女子”の物語。

 ヒロインは、結婚を焦るばかりに、デート3回目で男性に跨って引かれてしまうような、まごうことなき“こじらせ女子”の美希。会社ではデキる女を装ってクールビューティーで通しているものの、実はズボラで婚活30連敗を記録しています。唯一、美希のそんな秘密を知る上司・佐久間課長と飲んで愚痴っているうちに、「俺と付き合わない?」なんて告白されて、いつのまにやらホテルへ……。

 こういう男上司×女部下のオフィスラブ作品はよくありますが、ホテルに行った翌日、会社の資料室で最後までHをした後、女側が「責任は取りますので!」と言ってしまう作品は見たことがなくて、思わずクスリときてしまいました。そんな美希を「不器用なところもかわいい」と受け入れてくれる優しい佐久間部長に「こんな男性なら“こじらせ女子”も救ってもらえるかも?」と邪な考えも沸いてきちゃいます。

 どちらの作品も女性側が“こじらせ女子”なだけにいい意味でクセがあり、エロだけ無駄に多くて内容が薄っぺらい、なんてことがなく、エロも内容もどちらも楽しめました。“こじらせ女子”ならではの不器用さと真面目さがいいアクセントになっています。私も友人も、Renta!で漫画をレンタルして、一刻も早く“脱・こじらせ女子”を果たしたいと思います!
(ヨコシマリンコ)

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フィギュア少女の「孤独」に私たちは救われる……『スピン』の描く苦しみ・喜びの福音

 張り詰める冷気。ほのかに漂う汗の香り。誰よりも早くリンクへと降り立った彼女は、確かに孤独ではあったのだが、ブレードが氷を削る音を聞きながら、不思議と心が満たされていくのを感じていたことだろう。何者にも邪魔をされることがない、私だけの清潔な王国。その感覚を、アイススケートになどついぞ縁がない私も、なぜか知っているような気がした。

 『スピン』(河出書房新社)は著者、ティリー・ウォルデンの自伝的作品であり、将来有望なフィギュアスケーターであった少女の視点から、練習に明け暮れる日々、得恋の喜び、悲しい恋の終わり、息苦しい母との関係を描いたグラフィックノベルだ。

 彼女には秘密があった。同性愛者だったのだ。

「5つのときから自分がゲイ※だとわかっていた。わたしはもうすぐ12歳になる」
「スケートは奇妙な敗北感をわたしにつきつけてくる。女らしい要素のすべてに嫌悪を抱きながらなおも惹かれた」
「とっくに気づいていたからといって、楽になるわけじゃない」
「いけないことだとわかっていたから誰にも胸の内を明かさなかった」
「だから密かに恋をした。何度も何度も。報われるなんてただの一度も考えなかった」

 心を削り出すかのような痛切なモノローグが読む者の胸を締め付ける。あきらめることで自らを守ろうとしていた彼女は、しかし恋に落ちた。

「初恋は誰にとっても特別だ。だが年の浅い秘密のゲイ同士となると、話はまったく違ってくる」
「覚えているのはスリルでも自由な感覚でもなく―」
「恐怖だった」

 保守的なテキサスの地で、彼女たちの孤独感はいかばかりのものだったろう。同性愛者に対してヘイトを叫ぶ映像に一抹の不安を覚えながらも、気持ちだけは止められなかった。やがてその関係は親たちの知るところとなり、突然の終局が訪れる。悲しい恋の終わり。だが後に、彼女はこう振り返るのだった。

「誰かがわたしに好意を返してくれるなんて思いもしなかった。でもレイの気持ちは本物だった」

 彼女は懸命に世界と和解しようとしていた。思い出すのは大島弓子の『バナナブレッドのプディング』(白泉社)のこのセリフだ。

「わたし 薔薇の木は大好きだった でも 薔薇の木から 好きだよなんて いってもらえるなんて 夢にも思わなかった 夢にも 思わなかったわ……」

 国や人種を超えてマンガの魂が共鳴する。主人公の在りよう、世界と対峙するスタンスは、どこか大島や岡崎京子の作品に似ている。

 思えばフィギュアスケートは本邦の少女マンガにおいても格好のテーマであった。槇村さとる『愛のアランフェス』『白のファルーカ』、おおやちき『雪割草』(いずれも集英社)、川原泉『銀のロマンティック…わはは』(白泉社)、小川彌生『キス&ネバークライ』(講談社)……。その多くにあってフィギュアスケートは、人生そのもののように描かれていた。

 本作も紙幅の大半はフィギュアスケートの描写に割かれているが、心に響くのは主人公の葛藤や悲しみを綴るモノローグだ。それはフィギュアスケートというスポーツの特異性に因るところが大きい。「このスポーツは生き方とセットだ。そこに選択の余地はない」のだ。滑ること、踊ることは運命のようなものだと、ある種のスケーターは見る者に思い知らしめる。そして華やかさとは裏腹なその残酷さが、人々をまた惹きつけるのだった。

 脆弱な繊細さを抱えた私たちは、あるときは孤独でありたいと思いながら、またあるときはそれを寂しいとも思う、わがままな存在だ。人は1人では生きていけないこともわかっているのだが、他者の無神経や悪意に傷つけられたくはない。消去法として選んだ孤独にとって、恋は福音なのか、猛毒なのか。

 本作は明確な答えを提示する類のものではなく、ただ1人の女性の青春時代を描く。私たちはそこにかつての自分自身を見るだろう。たとえ30歳、40歳になっても消化しきれない、あの頃の苦しみや喜びが、ただそこに表現されているというだけで、今の私も、あの頃の私も救われるのだ。確かに私は孤独だった、でも私は孤独ではなかったのだと。

 12年間続けてきたフィギュアスケートに別れを告げ、二度とスケートはしないと誓った2年後のある日、主人公はふらりとアイスリンクを訪れる。スケートをするためではない。「立ち去れることを自分に証明する必要があった」のだ。鮮やかなアクセルジャンプを着氷した彼女は、そそくさとリンクを出る。フィギュアスケートのジャンプの中で、アクセルは唯一前を向いて踏み切るジャンプだ。跳ぶたびに彼女はこう願ったという。「ターンして踏み切る一瞬、今度こそうまく行きますようにと全身全霊で祈った」。私たちは今日も祈りながら跳んでいる。

※原文ママ。同性愛者全般を意味する。

小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14架を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「FRaU」「SPUR」「ダ・ヴィンチ」「婦人画報」などで主に女子マンガに関して執筆。2017年12月12日OA『マツコの知らない世界』(TBS系)出演。

フィギュア少女の「孤独」に私たちは救われる……『スピン』の描く苦しみ・喜びの福音

 張り詰める冷気。ほのかに漂う汗の香り。誰よりも早くリンクへと降り立った彼女は、確かに孤独ではあったのだが、ブレードが氷を削る音を聞きながら、不思議と心が満たされていくのを感じていたことだろう。何者にも邪魔をされることがない、私だけの清潔な王国。その感覚を、アイススケートになどついぞ縁がない私も、なぜか知っているような気がした。

 『スピン』(河出書房新社)は著者、ティリー・ウォルデンの自伝的作品であり、将来有望なフィギュアスケーターであった少女の視点から、練習に明け暮れる日々、得恋の喜び、悲しい恋の終わり、息苦しい母との関係を描いたグラフィックノベルだ。

 彼女には秘密があった。同性愛者だったのだ。

「5つのときから自分がゲイ※だとわかっていた。わたしはもうすぐ12歳になる」
「スケートは奇妙な敗北感をわたしにつきつけてくる。女らしい要素のすべてに嫌悪を抱きながらなおも惹かれた」
「とっくに気づいていたからといって、楽になるわけじゃない」
「いけないことだとわかっていたから誰にも胸の内を明かさなかった」
「だから密かに恋をした。何度も何度も。報われるなんてただの一度も考えなかった」

 心を削り出すかのような痛切なモノローグが読む者の胸を締め付ける。あきらめることで自らを守ろうとしていた彼女は、しかし恋に落ちた。

「初恋は誰にとっても特別だ。だが年の浅い秘密のゲイ同士となると、話はまったく違ってくる」
「覚えているのはスリルでも自由な感覚でもなく―」
「恐怖だった」

 保守的なテキサスの地で、彼女たちの孤独感はいかばかりのものだったろう。同性愛者に対してヘイトを叫ぶ映像に一抹の不安を覚えながらも、気持ちだけは止められなかった。やがてその関係は親たちの知るところとなり、突然の終局が訪れる。悲しい恋の終わり。だが後に、彼女はこう振り返るのだった。

「誰かがわたしに好意を返してくれるなんて思いもしなかった。でもレイの気持ちは本物だった」

 彼女は懸命に世界と和解しようとしていた。思い出すのは大島弓子の『バナナブレッドのプディング』(白泉社)のこのセリフだ。

「わたし 薔薇の木は大好きだった でも 薔薇の木から 好きだよなんて いってもらえるなんて 夢にも思わなかった 夢にも 思わなかったわ……」

 国や人種を超えてマンガの魂が共鳴する。主人公の在りよう、世界と対峙するスタンスは、どこか大島や岡崎京子の作品に似ている。

 思えばフィギュアスケートは本邦の少女マンガにおいても格好のテーマであった。槇村さとる『愛のアランフェス』『白のファルーカ』、おおやちき『雪割草』(いずれも集英社)、川原泉『銀のロマンティック…わはは』(白泉社)、小川彌生『キス&ネバークライ』(講談社)……。その多くにあってフィギュアスケートは、人生そのもののように描かれていた。

 本作も紙幅の大半はフィギュアスケートの描写に割かれているが、心に響くのは主人公の葛藤や悲しみを綴るモノローグだ。それはフィギュアスケートというスポーツの特異性に因るところが大きい。「このスポーツは生き方とセットだ。そこに選択の余地はない」のだ。滑ること、踊ることは運命のようなものだと、ある種のスケーターは見る者に思い知らしめる。そして華やかさとは裏腹なその残酷さが、人々をまた惹きつけるのだった。

 脆弱な繊細さを抱えた私たちは、あるときは孤独でありたいと思いながら、またあるときはそれを寂しいとも思う、わがままな存在だ。人は1人では生きていけないこともわかっているのだが、他者の無神経や悪意に傷つけられたくはない。消去法として選んだ孤独にとって、恋は福音なのか、猛毒なのか。

 本作は明確な答えを提示する類のものではなく、ただ1人の女性の青春時代を描く。私たちはそこにかつての自分自身を見るだろう。たとえ30歳、40歳になっても消化しきれない、あの頃の苦しみや喜びが、ただそこに表現されているというだけで、今の私も、あの頃の私も救われるのだ。確かに私は孤独だった、でも私は孤独ではなかったのだと。

 12年間続けてきたフィギュアスケートに別れを告げ、二度とスケートはしないと誓った2年後のある日、主人公はふらりとアイスリンクを訪れる。スケートをするためではない。「立ち去れることを自分に証明する必要があった」のだ。鮮やかなアクセルジャンプを着氷した彼女は、そそくさとリンクを出る。フィギュアスケートのジャンプの中で、アクセルは唯一前を向いて踏み切るジャンプだ。跳ぶたびに彼女はこう願ったという。「ターンして踏み切る一瞬、今度こそうまく行きますようにと全身全霊で祈った」。私たちは今日も祈りながら跳んでいる。

※原文ママ。同性愛者全般を意味する。

小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14架を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「FRaU」「SPUR」「ダ・ヴィンチ」「婦人画報」などで主に女子マンガに関して執筆。2017年12月12日OA『マツコの知らない世界』(TBS系)出演。

シンデレラ願望を打ち砕く傑作『やんごとなき一族』、“王子様”との「その後」を描く

 「どて焼き」「桜の柄の着物」「人数分に足りない和菓子」……なんの三題噺かと思うでしょうが、これらのアイテムを鮮やかに配置して、極上のエンタテインメントを紡ぎ出すのが、こやまゆかりという作家の豪腕。待望の新作『やんごとなき一族』(講談社)は日本屈指の高級住宅街・芦屋を舞台に、身分違いの結婚をしてしまったある女性の奮闘記です。

 主人公は大衆食堂「まんぷく屋」の一人娘・佐都。3日間かけて仕込むという看板メニューのどて焼きには多くのファンが存在し、のちに佐都の夫となる健太もその1人でした。いつしか恋仲となった2人ですが、なにを隠そう健太は名門旧家の次男。ゆくゆくは長男を差し置いて一族の跡取りとなる身です。そんな彼との結婚が一筋縄でいくわけはなく……。

 どて焼きを手みやげに健太の実家へ結婚の挨拶へと向かった佐都でしたが、屋敷に足を踏み入れようとした瞬間、無情にも門扉を閉められます。インターホン越しに響く健太の父親の声。「佐都さんとやら、自分の身の程を知っているのなら、二度とこの場所に足を踏み入れるような恥ずかしいマネはできないはずだ」。大きなショックを受けた佐都はその場から離れようとするのですが、転倒してどて焼きを芦屋の路上にぶちまけてしまいます。「ごめん、ごめん−−どて焼きが…!!」。どて焼きを愛する健太の切ない声が閑静な高級住宅街に虚しく響き渡ります。どて焼きに込められた佐都と家族の想い。上流階級の人間でありながら庶民的な生活を愛する健太。そして、その父の横暴。どて焼きというアイテム1つで、こやま先生はこんなにも起伏のある物語を描き出すことができるのです。

 「桜の柄の着物」は佐都の母親が唯一持っていた着物。ちょうど桜の季節だからと佐都はそれを着て健太の実家へと赴くのですが……。「人数分に足りない和菓子」は、健太の祖母から「みなさんにお出しして」と手渡された上生菓子。ところがそれは今ここにいる人間の数にはまったく足りていないのです。そこで佐都がとった行動とは……。一つひとつのエピソードが実に巧みで厚みがあり、期待を裏切りません。こうしたアイテムはこれ見よがしに登場し、読者はすぐに「フラグ」だとわかるのですが、いかんせん続きが気になって仕方ないのです。圧倒的な物語の力。作者の掌の上で転がされる快感。これぞまさにザ・浪花節。

 王子様と結ばれ“めでたしめでたし”の先は?

 それだけではありません。こやま先生の作品は、いつだって女性が何かを手に入れる物語で、女性をエンパワメントするマンガです。そして冒頭の「シンデレラは王子様に見初められ、玉の輿に乗り、豪華なお城で一生幸せに−−果たして暮らせたのでしょうか?」というネームは、渡辺ペコ先生の『1122』(講談社)の問題意識にも通じます。1巻の最後で『1122』の主人公はこう言いいます。「『王子様はお姫様をお城に連れて帰り、そうして二人は結婚して、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし』ていうのよくあるじゃないですか? 昔っから。でもさ、彼らあのあとぜったい大変じゃない? 私が見たいのは、生きたいのは、“めでたしめでたし”のその先、そのずっと先なのです」。まったく作風の異なるこの2作ですが、パラレルで読まれるべき女子マンガの傑作だと私は考えています。

 現在、こやま先生が原作を手がけた『ホリデイラブ ~夫婦間恋愛~』(講談社)がテレビ朝日系列の「金曜ナイトドラマ」枠でドラマ化され、好評のを得ながらオンエアされています。同局の深夜枠では以前にもこやま先生の『バラ色の聖戦』(同)をドラマ化していました。これはもう来年あたりやるしかないでしょう。ドラマ化待ったなしの『やんごとなき一族』、ぜひご注目を。

小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14架を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「FRaU」「SPUR」「ダ・ヴィンチ」「婦人画報」などで主に女子マンガに関して執筆。2017年12月12日OA『マツコの知らない世界』(TBS系)出演。

仕事&男を捨てリスタート、『凪のお暇』が現代女性の“リセット後”の困難を描く

 

 東京の片隅、立川に『聖☆おにいさん』(講談社)以来のマンガ的ビッグウェーブがやって来ようとしています。1巻が口コミでじわじわと話題になり、2巻は発売直後に完売&重版、「an・an」(マガジンハウス)マンガ大賞も獲得して、3巻は大部数で展開、遂には2018年のマンガ大賞にもノミネートされた、飛ぶ鳥を落とす勢いのそのマンガ作品の名は、コナリミサト先生の『凪のお暇』(秋田書店)です。舞台は立川のボロアパート。仕事でもプライベートでも空気を読みすぎていた自分が嫌になり、人生をリセットしたいと願った主人公・凪(28)は、会社もSNSも辞めて人間関係を断ち切り、この街で裸一貫やり直そうと決意したのでした。

 節約が唯一の趣味だという凪の節約テクニックがふんだんに盛り込まれた本作は、それだけでも十二分に役に立つ実用エンタテインメント作品に仕上がっているのですが、なによりも秀逸なのはクズ男の描写であります。本作には2人のクズ男が登場し、いずれも完全な極悪人というわけでもなく、いかにもそこらへんにいそうな普通の男どもであり、だからこそ生々しくてドキドキしてしまうのです。

 まず1人目は凪の元彼。勤め先では人当たりの良い営業部のエースとして全方位から人気を集める彼ですが、「抑圧支配型」とでも言いましょうか、凪に対して「ブス」だの「おまえは絶対変われない」だの、言葉によって呪いをかけて、逃げようとする凪をその場に押し止めようとするモラハラ糞野郎です。ところが実は心の底から凪のことが好きで、なんとかして関係を修復したいと願っているのですが、肝心なところで不器用なものだから、モラハラ的な物言いしかできないのでした。

 2人目は新天地、立川のアパートで隣室に住むイベントオーガナイザー(怪しい……)の男。人との距離感が異常に近く、自由に楽しく生きていて、誰とでもすぐに親密な関係に持ち込める彼は、目の前にいる人にはそれなりに誠実なのですが、目の前からいなくなると途端にどうでもよくなるという、ややこしいやつ。一緒にいるととても楽しく、言ってほしい言葉も言ってくれる彼に、凪もうっかり接近してしまうのですが、自分の目が届かないところではどうしているのかさっぱりわからないものですから、途端に不安感に襲われてなにも手につかなくなってしまうのです。「メンヘラ製造機」という二つ名が言い得て妙で、近くにいるときの心地よさと、離れているときの不安感の落差がクセになって、凪も案の定、メンタルがヘラりつつあるのでした。

 まさに前門の虎、後門の狼というやつです。このマンガの世界にはクズ男しかいないのでしょうか。コナリ先生、まさかこの2択なんですか!?

 1つ確実に言えることは、いずれか一方にのみ過大な負担を要求する人間関係は、とても健全なものとは言えないということです。元彼はもちろんのこと、自由すぎる隣人も、意図的ではないものの、人の心を弄び、支配しています(ちなみに双方に過大な負担を要求する関係性は「共依存」と言って、精神科の領域になります)。

 それは恋愛関係のみならず、たとえば凪が疲れ果ててしまった「空気を読む」という行為も、マジョリティがマイノリティに対してある振る舞いを強要する暴力であります。

 消耗戦に持ち込まれた人間関係は長続きしません。本作を読む限り、凪が求めているのは、たとえ1人でも感じることのできる、ささやかだけど豊かな幸せと、安定的でサスティナブルな人間関係であるように思います。これって現代人の多くが共感し得る理想ですよね。

 コナリミサト先生のことはずっと応援し続けてきましたが、ここにきて、ついにブレークの予感です。ユーモアのセンス、キャラクターの作り込み、かわいらしい絵。どれを取っても売れる要素しかないので、この作品を機にぜひご注目ください。

小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14架を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「FRaU」「SPUR」「ダ・ヴィンチ」「婦人画報」などで主に女子マンガに関して執筆。2017年12月12日OA『マツコの知らない世界』(TBS系)出演。

仕事&男を捨てリスタート、『凪のお暇』が現代女性の“リセット後”の困難を描く

 

 東京の片隅、立川に『聖☆おにいさん』(講談社)以来のマンガ的ビッグウェーブがやって来ようとしています。1巻が口コミでじわじわと話題になり、2巻は発売直後に完売&重版、「an・an」(マガジンハウス)マンガ大賞も獲得して、3巻は大部数で展開、遂には2018年のマンガ大賞にもノミネートされた、飛ぶ鳥を落とす勢いのそのマンガ作品の名は、コナリミサト先生の『凪のお暇』(秋田書店)です。舞台は立川のボロアパート。仕事でもプライベートでも空気を読みすぎていた自分が嫌になり、人生をリセットしたいと願った主人公・凪(28)は、会社もSNSも辞めて人間関係を断ち切り、この街で裸一貫やり直そうと決意したのでした。

 節約が唯一の趣味だという凪の節約テクニックがふんだんに盛り込まれた本作は、それだけでも十二分に役に立つ実用エンタテインメント作品に仕上がっているのですが、なによりも秀逸なのはクズ男の描写であります。本作には2人のクズ男が登場し、いずれも完全な極悪人というわけでもなく、いかにもそこらへんにいそうな普通の男どもであり、だからこそ生々しくてドキドキしてしまうのです。

 まず1人目は凪の元彼。勤め先では人当たりの良い営業部のエースとして全方位から人気を集める彼ですが、「抑圧支配型」とでも言いましょうか、凪に対して「ブス」だの「おまえは絶対変われない」だの、言葉によって呪いをかけて、逃げようとする凪をその場に押し止めようとするモラハラ糞野郎です。ところが実は心の底から凪のことが好きで、なんとかして関係を修復したいと願っているのですが、肝心なところで不器用なものだから、モラハラ的な物言いしかできないのでした。

 2人目は新天地、立川のアパートで隣室に住むイベントオーガナイザー(怪しい……)の男。人との距離感が異常に近く、自由に楽しく生きていて、誰とでもすぐに親密な関係に持ち込める彼は、目の前にいる人にはそれなりに誠実なのですが、目の前からいなくなると途端にどうでもよくなるという、ややこしいやつ。一緒にいるととても楽しく、言ってほしい言葉も言ってくれる彼に、凪もうっかり接近してしまうのですが、自分の目が届かないところではどうしているのかさっぱりわからないものですから、途端に不安感に襲われてなにも手につかなくなってしまうのです。「メンヘラ製造機」という二つ名が言い得て妙で、近くにいるときの心地よさと、離れているときの不安感の落差がクセになって、凪も案の定、メンタルがヘラりつつあるのでした。

 まさに前門の虎、後門の狼というやつです。このマンガの世界にはクズ男しかいないのでしょうか。コナリ先生、まさかこの2択なんですか!?

 1つ確実に言えることは、いずれか一方にのみ過大な負担を要求する人間関係は、とても健全なものとは言えないということです。元彼はもちろんのこと、自由すぎる隣人も、意図的ではないものの、人の心を弄び、支配しています(ちなみに双方に過大な負担を要求する関係性は「共依存」と言って、精神科の領域になります)。

 それは恋愛関係のみならず、たとえば凪が疲れ果ててしまった「空気を読む」という行為も、マジョリティがマイノリティに対してある振る舞いを強要する暴力であります。

 消耗戦に持ち込まれた人間関係は長続きしません。本作を読む限り、凪が求めているのは、たとえ1人でも感じることのできる、ささやかだけど豊かな幸せと、安定的でサスティナブルな人間関係であるように思います。これって現代人の多くが共感し得る理想ですよね。

 コナリミサト先生のことはずっと応援し続けてきましたが、ここにきて、ついにブレークの予感です。ユーモアのセンス、キャラクターの作り込み、かわいらしい絵。どれを取っても売れる要素しかないので、この作品を機にぜひご注目ください。

小田真琴(おだ・まこと)
女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題がほしかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14架を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「FRaU」「SPUR」「ダ・ヴィンチ」「婦人画報」などで主に女子マンガに関して執筆。2017年12月12日OA『マツコの知らない世界』(TBS系)出演。

2017年女子マンガに現れた「クソ男キャラ」4選! “絶望”を読者に見せる時代に?

 2017年、芸能界では宮迫博之を筆頭にした芸人勢から大御所俳優の渡辺謙まで多くの著名人の不倫が続々と発覚し、世間を騒がせました。また、不倫スキャンダル以外にも、人気俳優・小出恵介の未成年淫行による無期限活動休止や、女優・高畑淳子の長男で俳優の高畑裕太が強姦致傷の容疑で逮捕されるなど、衝撃的かつ許しがたい事件もありました。

 そんな、世の女性に憤りを感じさせるような、多くの“クソ男”が誕生した芸能界ですが、マンガの世界にもそうした男キャラクターは多数登場する……。そこで、17年にマンガ界で登場した問題男たちをご紹介。

 サイゾーウーマンにて「女子マンガ月報」を連載中、最近では12月に放送された『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演し、女子マンガの世界をマツコに熱く説いた、話題の女子マンガ研究家・小田真琴氏が厳しくツッコミます!

 

◎『透明なゆりかご』妻の妊娠を期に豹変……変化に弱いマザコン男

「少女マンガには登場しなかったようなクソ男が、大人向けの少女マンガ≒女子マンガにはゴロゴロ登場します。希望とともに、絶望も思い知らせてくれるのが女子マンガですからね。白馬の王子さまだけを描いていればよいという時代は終わったのです」

 たとえば、生と死が交錯する産婦人科の現場を見習い看護師の目線から描いて話題となり、累計300万部のベストセラーとなった『透明なゆりかご』(講談社、沖田×華)。最新刊の6巻にはこんな男が登場する。

「ある若い夫婦のエピソードです。妻の妊娠が判明して、当初は喜んでいた夫が、妻のつわりが始まった途端にへそを曲げて、『だからそんなに太るんだよ』とか『妊娠したらこんなに変わるなんて思わなかった。別人みたいだよ…』などと言い始めやがるんですよ」

 言動は次第にエスカレートし、軽くではあるが遂に妻はおなかを殴られる。身の危険を感じた妻は友人宅へ避難するのだが、そこに乗り込んできた夫と義母は、反省の弁を述べるどころか、「…お前 浮気してるだろ……」。義母も義母で「私も悪阻は酷かったけどアンタみたいになったことないよ! 愛情が無くなったから 怠けて太って息子を突き放すようになったんだろ?」と妻を責め立てる。

「変わっていく妻の体に戸惑うばかりで、父親になる心の準備がまったくできていなかったクソ男ですね。しかもマザコン。最低です」

 しかしそんな男も最初は優しかったのでは? 男の本性を見分ける術はないのだろうか。

「こういう手合いは相手が自分の望むとおりであるうちはおとなしくしているのですが、そうでなくなった瞬間に牙を剥きます。言うなれば変化に弱いクソ男。人の関係性や環境は常に変化するものなのですから、常に自分にとって理想の状態があるなどと考えているのは甘えでしかありませんよね」

◎『凪のお暇』コンサバ女装を強要する圧倒的なモラハラ男

 口コミで人気が広がり、11月に発売された2巻は即完売、すぐに重版がかかったという『凪のお暇』(秋田書店、コナリミサト)。

 人畜無害のコンサバOLに擬態し、場の空気を読みまくって生きてきた大島凪(28歳)が、過呼吸で倒れたことをきっかけに会社を辞めて裸一貫出直すというリセット断捨離ラブコメだが、ここでもクソ男が登場。

「凪の元同僚にして元彼である我聞慎二です。こいつはせっかく人生をやり直そうとしている凪に呪いの言葉を投げかけるのですね。クセ毛を隠すために無理矢理かけていたストレートパーマをはずした凪の頭を見て『おまえブスになったなあ』とか、『28年間生きてきて骨の髄まで染みこんだもんを 物捨てたくらいでリセットできてたまるか いいか凪 おまえは絶対変われない』とか。これは圧倒的にモラハラです」

 一方で、慎二が心底凪に惚れていたからこその言動だったと作品中では描かれているが……。

「小学生男子じゃあるまいし。だいたい彼が愛しているのは、ストレートパーマをかけ、コンサバOLに擬態し、彼に従順だったかつての凪です。本人はそれが嫌で逃げ出したのだから、すでに2人は一緒にいるべきではありません。自分を規定するのは自分であるべきで、他人ではありません」

◎女を支配しようとする男たち


 ほかにもクソ男が登場する女子マンガは多数あるが、その究極とも言うべきが、11月に完結したばかりで、男と女の性の不平等をえぐるように描き話題となった、『先生の白い嘘』(講談社、鳥飼茜)の早藤と、1月16日よりドラマ版が始まる『きみが心に棲みついた』(講談社、天堂きりん)『きみが心に棲みついたS』(祥伝社)の星名だ。

「早藤は相手をレイプして心身ともに支配しようとするクソ男です。星名は言葉で心身ともに支配しようとするクソ男。共にキーワードは“支配”です。早藤ですら目的は性欲の充足ではなく、支配なんですよね」

 DVだったりモラハラだったり、実はこうした話は私たちの身近にもざらにある。

「当事者に限って、『そんなな大げさなものじゃないかも…』って思い込みがちなのですが、それは絶対違います。冷静に客観視するためにも、マンガでクソ男を知っておくことは、必ず役に立つことでしょう」と小田氏はいう。

 「白馬の王子様だと思った人が実は……」と泣かないためにも、女子マンガから“絶望”を垣間見て、現実を見据えられるよう18年を過ごしたい。