フリーランスを悩ませる「インボイス制度」は消費税押し付け合いのデスゲーム?

 全国各地で中止を求める声が上がっている「インボイス制度」が今年10月から始まろうとしている。売上1000万円以下の免税事業者がインボイス登録を行えば消費税の納税が求められる上、煩雑な事務処理も発生する。インボイス登録を行わない場合は引き続き消費税の納税は免除されるが、仕入税額控除ができなくなった買い手から値下げ要求や取引停止を持ちかけられる可能性もある。

 市民の有志グループ…

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何がなんだかよくわからないまま金を払い続ける「増税パンチドランカー」

社会と日常、その狭間。あまり明るくなさそうな将来におびえつつ、なんとなく日々を過ごしてしまっている小市民的な視点から、見えてくるものを考える。

 消費税の税率が10%に引き上げられた。あわせて“軽減税率”“キャッシュレス決済ポイント還元”“プレミアム付き商品券”などという、よくわからないものが暮らしのなかに出現した。いや、プレミアム付き商品券については使っている人を見たことも聞いたこともないので、とくに出現していないのかもしれない。とりあえず、今のところは痛税感よりも「なんかよくわからないな」という割り切れない感じと戸惑いのほうが大きいのではないだろうか。

消費税増税の反動の景気対策に2兆円超!?

 軽減税率の対象品目について、すべて完璧に理解している人はきっといないだろう。ラムネのフタ部分のオモチャ笛が“一体資産”とされて軽減税率の対象にならないとか、テイクアウトとイートインをめぐるゴタゴタとか、「もうどうでもいい」という気になって当然だ。店舗によって異なるキャッシュレス決済サービス、還元ポイント率をすべて把握している人もきっといない。とりあえず、これまで同じように買い物をして、たまにレシートを確認して商品によって税率が8%だったり10%だったり、ポイントが還元されていたり、いなかったり、するのを見て「へえ……」と軽い無力感を覚えるぐらいしかできない。麻生太郎財務大臣は消費税増税にともなう混乱について、「日本人の計算能力は極めて高い」から「ないと期待している」と述べたそうだけれど、計算能力の問題ではないよね。そもそも麻生大臣自身、かつて軽減税率について「面倒くさい」と言っていたはず。経団連の中西宏明会長もポイント還元制度について「やり方が難しく、どのように機能するかは正直わからない」といっていたので、私たちが面倒くさくてよくわからないと感じるのも当然だろう。

 まあ、軽減税率やキャッシュレス決済ポイント還元がまったくもって意味不明でいかにバカバカしいものであるかは、増税前からさんざんっぱら指摘され続けてきたし、その事態の混迷っぷりも嫌というほど見せつけられてきた。それでも実際に始まったら少しは慣れてくるのかな、なんて思っていたけれど、やっぱり全然そんなことはなかった。これからもずっと「よくわからないな」というぼんやりとした嫌な感じを抱えたまま慣れることなく、増税した消費税を払い続けていくことを思うと、厭世的な気持ちにならざるを得ない。

 消費増税は“社会保障の充実と安定化”のためということで、実際に社会保障費が年々上がっていって大変なことになっているということは嫌というほど聞かされている。しかし、今回の消費税増税分のうち社会保障費に充てられるのは、そのうちの一部でしかなく、それも軽減税率実施に必要な財源でほとんど帳消しになるとか、その財源を確保するために社会保障費からも1000億円回されるとかいう報道に接すると、わけのわからないものが余計にわからなくなってくる。さらに、消費税を増税すると当たり前だが消費が冷え込むということで、件のキャッシュレス決済還元やプレミアム付き商品券といった景気対策に2兆円を超える金が投入され、もろもろのコストを計算すると、増税で見込まれる増収を超えてしまうそうだ。「へえ……」と思ったね。

 数兆円という巨額が動くなかに埋もれてしまいそうだが、キャッシュレス決済ポイント還元やプレミアム付き商品券の広報・宣伝費に約74億円が計上されていることも、なかなかどうしてという感じである。なんと、この予算で政府公認の“ゆるキュラ”も作られているそうだ。いったいどこにいるんだ。このゆるキャラについて会見で記者に問われた麻生財務大臣は「知らねぇな。その内容は詳しく知らない」と答えており、そりゃ担当大臣が詳しく知らないのなら誰も知らんわ。

 一部で話題になった経産省公式「ポイント還元対象店舗検索アプリ」の地獄のような使い勝手の悪さと不具合の多さ、その有様もまさに悲惨の一言だ。ポイント還元制度が終わるのは来年6月。このまま機能が改善されることもなく、自然消滅的にひっそりと消えていきそうだが、たいして炎上していないのは、ほとんどの人がアプリを使っていないからだろう。このアプリ開発には74億円のうち、いくら使われたのか。このアプリだって一応は国を挙げてのプロジェクトのはずなのだが。日本の技術後進っぷりがもの悲しい。

消費税増税を歓迎しているのは……

 まあ、そんなこんなで一般市民としては消費税が増税されて良かったことなんて何ひとつないように感じてしまうのだが、この増税について「非常に良いことだと歓迎する」と堂々と言ってのけたのが、ポイント還元が難しくてよくわからない経団連の中西会長である。これは当然、財政健全化を念頭に言っているわけだが、よく指摘されているように法人税は消費税が導入されてからどんどん減税。消費税の増税と反比例するように法人税が減っていて、言ってしまえば肩代わりしているようなものである。そりゃ財界は歓迎するだろうよという話だ。しかし、消費税増税が景気にマイナスなことはわかりきっているのに、この言い草。結局、日本の経済がどうなろうとも輸出で儲けている大企業中心の財界にはどうでもいいということなんだろう。そもそも、日本の賃金が全然上がらないのだって、企業経営者が労働者の給料を上げず、株主に還元もせずにただ内部留保を積み上げていることも大きな要因になっているはずだ。もはや、この人らは“庶民の敵”といっていいのではないか。

庶民はニンジンの皮を食べて増税を乗り切ろう

 そして、経団連と仲良しの日経新聞は消費税増税に対して「ニンジンの皮を食べて乗り切れ」という記事を掲載。金がないのであれば普段は捨てているところを食べればいいじゃない!って、パンがなければ菓子を食べろといったマリー・アントワネットのほうがマシではないか。ちなみに日経新聞は甚大な被害をもたらした台風19号を受けて「『もう堤防には頼れない』国頼みの防災から転換を」という記事も掲載している。災害が起きても国や行政に頼らず、自分で自分の身を守ろうというのだが、いったい何のために私たちは税金を払っているのだろう。ちなみに、この台風19号が日本列島を荒らし回っている最中、安倍政権は社会保障費の1300億円圧縮の検討を開始したそうだ。

 サンドバッグか。日々つましい暮らしをしている庶民はもう殴られっぱなしでK.O.寸前だ。既存のルールをぶち壊して価値観をひっくり返してしまうジョーカーのような存在も現実には出現しない。なすすべもなく、お上がいつの間にか決定したことにただ従い、それが当たり前になって何も感じないパンチドランカー状態。そして、よくわからないまま増税した消費税を払い続けるのだ。

何がなんだかよくわからないまま金を払い続ける「増税パンチドランカー」

社会と日常、その狭間。あまり明るくなさそうな将来におびえつつ、なんとなく日々を過ごしてしまっている小市民的な視点から、見えてくるものを考える。

 消費税の税率が10%に引き上げられた。あわせて“軽減税率”“キャッシュレス決済ポイント還元”“プレミアム付き商品券”などという、よくわからないものが暮らしのなかに出現した。いや、プレミアム付き商品券については使っている人を見たことも聞いたこともないので、とくに出現していないのかもしれない。とりあえず、今のところは痛税感よりも「なんかよくわからないな」という割り切れない感じと戸惑いのほうが大きいのではないだろうか。

消費税増税の反動の景気対策に2兆円超!?

 軽減税率の対象品目について、すべて完璧に理解している人はきっといないだろう。ラムネのフタ部分のオモチャ笛が“一体資産”とされて軽減税率の対象にならないとか、テイクアウトとイートインをめぐるゴタゴタとか、「もうどうでもいい」という気になって当然だ。店舗によって異なるキャッシュレス決済サービス、還元ポイント率をすべて把握している人もきっといない。とりあえず、これまで同じように買い物をして、たまにレシートを確認して商品によって税率が8%だったり10%だったり、ポイントが還元されていたり、いなかったり、するのを見て「へえ……」と軽い無力感を覚えるぐらいしかできない。麻生太郎財務大臣は消費税増税にともなう混乱について、「日本人の計算能力は極めて高い」から「ないと期待している」と述べたそうだけれど、計算能力の問題ではないよね。そもそも麻生大臣自身、かつて軽減税率について「面倒くさい」と言っていたはず。経団連の中西宏明会長もポイント還元制度について「やり方が難しく、どのように機能するかは正直わからない」といっていたので、私たちが面倒くさくてよくわからないと感じるのも当然だろう。

 まあ、軽減税率やキャッシュレス決済ポイント還元がまったくもって意味不明でいかにバカバカしいものであるかは、増税前からさんざんっぱら指摘され続けてきたし、その事態の混迷っぷりも嫌というほど見せつけられてきた。それでも実際に始まったら少しは慣れてくるのかな、なんて思っていたけれど、やっぱり全然そんなことはなかった。これからもずっと「よくわからないな」というぼんやりとした嫌な感じを抱えたまま慣れることなく、増税した消費税を払い続けていくことを思うと、厭世的な気持ちにならざるを得ない。

 消費増税は“社会保障の充実と安定化”のためということで、実際に社会保障費が年々上がっていって大変なことになっているということは嫌というほど聞かされている。しかし、今回の消費税増税分のうち社会保障費に充てられるのは、そのうちの一部でしかなく、それも軽減税率実施に必要な財源でほとんど帳消しになるとか、その財源を確保するために社会保障費からも1000億円回されるとかいう報道に接すると、わけのわからないものが余計にわからなくなってくる。さらに、消費税を増税すると当たり前だが消費が冷え込むということで、件のキャッシュレス決済還元やプレミアム付き商品券といった景気対策に2兆円を超える金が投入され、もろもろのコストを計算すると、増税で見込まれる増収を超えてしまうそうだ。「へえ……」と思ったね。

 数兆円という巨額が動くなかに埋もれてしまいそうだが、キャッシュレス決済ポイント還元やプレミアム付き商品券の広報・宣伝費に約74億円が計上されていることも、なかなかどうしてという感じである。なんと、この予算で政府公認の“ゆるキュラ”も作られているそうだ。いったいどこにいるんだ。このゆるキャラについて会見で記者に問われた麻生財務大臣は「知らねぇな。その内容は詳しく知らない」と答えており、そりゃ担当大臣が詳しく知らないのなら誰も知らんわ。

 一部で話題になった経産省公式「ポイント還元対象店舗検索アプリ」の地獄のような使い勝手の悪さと不具合の多さ、その有様もまさに悲惨の一言だ。ポイント還元制度が終わるのは来年6月。このまま機能が改善されることもなく、自然消滅的にひっそりと消えていきそうだが、たいして炎上していないのは、ほとんどの人がアプリを使っていないからだろう。このアプリ開発には74億円のうち、いくら使われたのか。このアプリだって一応は国を挙げてのプロジェクトのはずなのだが。日本の技術後進っぷりがもの悲しい。

消費税増税を歓迎しているのは……

 まあ、そんなこんなで一般市民としては消費税が増税されて良かったことなんて何ひとつないように感じてしまうのだが、この増税について「非常に良いことだと歓迎する」と堂々と言ってのけたのが、ポイント還元が難しくてよくわからない経団連の中西会長である。これは当然、財政健全化を念頭に言っているわけだが、よく指摘されているように法人税は消費税が導入されてからどんどん減税。消費税の増税と反比例するように法人税が減っていて、言ってしまえば肩代わりしているようなものである。そりゃ財界は歓迎するだろうよという話だ。しかし、消費税増税が景気にマイナスなことはわかりきっているのに、この言い草。結局、日本の経済がどうなろうとも輸出で儲けている大企業中心の財界にはどうでもいいということなんだろう。そもそも、日本の賃金が全然上がらないのだって、企業経営者が労働者の給料を上げず、株主に還元もせずにただ内部留保を積み上げていることも大きな要因になっているはずだ。もはや、この人らは“庶民の敵”といっていいのではないか。

庶民はニンジンの皮を食べて増税を乗り切ろう

 そして、経団連と仲良しの日経新聞は消費税増税に対して「ニンジンの皮を食べて乗り切れ」という記事を掲載。金がないのであれば普段は捨てているところを食べればいいじゃない!って、パンがなければ菓子を食べろといったマリー・アントワネットのほうがマシではないか。ちなみに日経新聞は甚大な被害をもたらした台風19号を受けて「『もう堤防には頼れない』国頼みの防災から転換を」という記事も掲載している。災害が起きても国や行政に頼らず、自分で自分の身を守ろうというのだが、いったい何のために私たちは税金を払っているのだろう。ちなみに、この台風19号が日本列島を荒らし回っている最中、安倍政権は社会保障費の1300億円圧縮の検討を開始したそうだ。

 サンドバッグか。日々つましい暮らしをしている庶民はもう殴られっぱなしでK.O.寸前だ。既存のルールをぶち壊して価値観をひっくり返してしまうジョーカーのような存在も現実には出現しない。なすすべもなく、お上がいつの間にか決定したことにただ従い、それが当たり前になって何も感じないパンチドランカー状態。そして、よくわからないまま増税した消費税を払い続けるのだ。

消費増税の混乱を批判する資格なし! 軽減税率を推進した新聞協会に「おまいう」の大ブーイング

 10月1日からついに始まった消費増税。飲食品などを対象とした8%に据え置かれる軽減税率制の採用とキャッシュレスによるポイント還元により、実質税率は複雑化。メディアはその混乱ぶりを取り上げたのだが、「おまいう」なのが新聞社だろう。何しろ「新聞にも軽減税率を導入しろ」と迫ってきたのは、他ならぬ新聞社自身だからだ。

 その急先鋒は、渡辺恒雄主筆率いる読売新聞だった。

 「 ただでさえ新聞離れが進んでいる中、値上げとなれば新聞社にとって死活問題。ナベツネ氏は安倍晋三首相と面会した時など、ことあるごとにプレッシャーをかけてきた。2013年には『8%を中止にし、10%に上げる時に、軽減税率については生活必需品は5%にどどめること』という手紙を、巨人戦のチケットを同封して、懇意の政治家たちに送っています。言うまでもなく『生活必需品』には新聞が含まれます。安倍政権は2014年4月、税率を5%から8%に引き上げたとはいえ、ナベツネ氏の意を汲んだのか、10%への増税は2度延期し、8%の軽減税率を盛り込みました」(政治部記者)

 新聞協会はヨーロッパのように新聞、書籍、雑誌に軽減税率を適用するよう求めていたが、結局、対象は宅配の新聞のみ。全国に抱える新聞販売店の存亡が悩みのタネである新聞社にしてみれば、うまく政権側にご機嫌を取られた格好だ。

「読売は、麻生太郎財務相が『軽減税率は面倒くさい』と感想を述べると、『軽減税率代替策 「面倒くさい」で済まされるか』と社説で噛みついた(15年9月7日)。枝野幸男・民主党幹事長(当時)の『水道料金や電気料金に適用しないのに、新聞だけ適用するのは支離滅裂だ』との当然の指摘には『民主主義や活字文化を支える重要な公共財である新聞や出版物に対する理解を欠いていると言わざるを得ない』(15年12月20日社説)と自画自賛した上で糾弾しています」(同前)

 その読売が、増税翌日の10月2日紙面では「複数税率大わらわ」と展開したのだから、唖然とするばかりだ。

 安倍政権に批判的な朝日新聞も腰が定まらなかった。

 1日付社説は「5年半ぶり消費増税 支え合う社会の将来像描け」と珍しく前向き。消費税を「所得の低い人の負担感が大きい税でもある」と指摘した上で「今回、食品と定期購読の新聞の税率を8%のままにする軽減税率が初めて入ったのも、そのことへの配慮という面がある」と理解を示した。

 ところが翌2日紙面では「小売りなど一部混乱も」(1面)「消費増税複雑すぎて」(2面)と手のひら返しである。これぞ”ジャーナリズム”と言いたいのだろうか。

 1日に日本新聞協会が出した声明は「不確かでゆがめられたフェイクニュースがインターネットを通じて拡散し、世論に影響するようになっています」と自らの報道に過ちなどないと言わんばかりだが、こんな”裸の王様”では、読者離れも致し方ないだろう。

消費増税の混乱を批判する資格なし! 軽減税率を推進した新聞協会に「おまいう」の大ブーイング

 10月1日からついに始まった消費増税。飲食品などを対象とした8%に据え置かれる軽減税率制の採用とキャッシュレスによるポイント還元により、実質税率は複雑化。メディアはその混乱ぶりを取り上げたのだが、「おまいう」なのが新聞社だろう。何しろ「新聞にも軽減税率を導入しろ」と迫ってきたのは、他ならぬ新聞社自身だからだ。

 その急先鋒は、渡辺恒雄主筆率いる読売新聞だった。

 「 ただでさえ新聞離れが進んでいる中、値上げとなれば新聞社にとって死活問題。ナベツネ氏は安倍晋三首相と面会した時など、ことあるごとにプレッシャーをかけてきた。2013年には『8%を中止にし、10%に上げる時に、軽減税率については生活必需品は5%にどどめること』という手紙を、巨人戦のチケットを同封して、懇意の政治家たちに送っています。言うまでもなく『生活必需品』には新聞が含まれます。安倍政権は2014年4月、税率を5%から8%に引き上げたとはいえ、ナベツネ氏の意を汲んだのか、10%への増税は2度延期し、8%の軽減税率を盛り込みました」(政治部記者)

 新聞協会はヨーロッパのように新聞、書籍、雑誌に軽減税率を適用するよう求めていたが、結局、対象は宅配の新聞のみ。全国に抱える新聞販売店の存亡が悩みのタネである新聞社にしてみれば、うまく政権側にご機嫌を取られた格好だ。

「読売は、麻生太郎財務相が『軽減税率は面倒くさい』と感想を述べると、『軽減税率代替策 「面倒くさい」で済まされるか』と社説で噛みついた(15年9月7日)。枝野幸男・民主党幹事長(当時)の『水道料金や電気料金に適用しないのに、新聞だけ適用するのは支離滅裂だ』との当然の指摘には『民主主義や活字文化を支える重要な公共財である新聞や出版物に対する理解を欠いていると言わざるを得ない』(15年12月20日社説)と自画自賛した上で糾弾しています」(同前)

 その読売が、増税翌日の10月2日紙面では「複数税率大わらわ」と展開したのだから、唖然とするばかりだ。

 安倍政権に批判的な朝日新聞も腰が定まらなかった。

 1日付社説は「5年半ぶり消費増税 支え合う社会の将来像描け」と珍しく前向き。消費税を「所得の低い人の負担感が大きい税でもある」と指摘した上で「今回、食品と定期購読の新聞の税率を8%のままにする軽減税率が初めて入ったのも、そのことへの配慮という面がある」と理解を示した。

 ところが翌2日紙面では「小売りなど一部混乱も」(1面)「消費増税複雑すぎて」(2面)と手のひら返しである。これぞ”ジャーナリズム”と言いたいのだろうか。

 1日に日本新聞協会が出した声明は「不確かでゆがめられたフェイクニュースがインターネットを通じて拡散し、世論に影響するようになっています」と自らの報道に過ちなどないと言わんばかりだが、こんな”裸の王様”では、読者離れも致し方ないだろう。

池上彰の「35%必要論」でさらなる増税後押しも? 安倍政権が捻じ曲げた消費税悪用のゆくえ

 10月1日から消費税率が、ついに10%に引き上げられた。

 メディアは連日、消費税率10%の影響や軽減税率対象商品、ポイント還元といった話題を取り上げている。だが、消費税問題の本質はその税収がどのように使われるかにあるはずだ。

 安倍晋三政権では、本来の消費税の使われ方を“大きく捻じ曲げた”上に、さらなる消費税率の引き上げまで画策している。

 消費税は、平成元年(1989年)2月、当時の竹下昇首相時に導入された。消費税3%の導入の際に、竹下元首相は、「我が国経済社会の活力を維持し、豊かな長寿・福祉社会をつくる礎」とし、消費税による税収の利用目的を「高齢化に向けた安定的な財源確保」と述べている。

消費税導入の本来の目的はいつの間にか変節

 1997年4月1日には、当時の橋本龍太郎首相が社会保障費の増大に対して、「福祉の充実」を理由に、消費税率を3%から5%へと引き上げた。そして、2014年4月1日、安倍政権の下で消費税率は5%から8%へと引き上げられ、この時、竹下元首相が消費税導入時に明言した消費税導入の本来の目的、「高齢化に向けた安定的な財源確保」という目標は変節し、捻じ曲げられることになった。

 安倍政権の消費税悪用は、2012年の「税と社会保障の一体改革」からスタートした。

 社会保障費の増大が財政悪化の要因にもなっているという理由から、「社会保障改革と財政健全化の同時達成のために、2010年代半ばまでに 消費税率の5%引き上げが必要」との方針をするりと打ち出しはじめたのだ。消費税は社会保障費の財政負担を軽減するために導入したはずなのに、「財政健全化の同時達成」という目標に“すり替え”られたわけだ。

「税と社会保障の一体改革」では、消費税率を5%から10%へ引き上げを行うにあたり、その4%分は「社会保障の安定化」として、国債に依存していた社会保障経費を増税分で賄い国債発行を減らす……つまり、財政健全化に使い、残りの1%分を「社会保障の充実」として、介護、医療、子育てなどに充てるとした。

 つまり、消費税率引き上げのほとんどは、「社会保障の安定化」という名目で財政健全化に利用し、「社会保障の充実」という本来の目的への利用割合は5分の1に縮小された。

 さらに、2017 年9 月に安倍首相は「消費税の使い道を私は思い切って変えたい」と表明。消費税収を幼稚園・保育所の無償化などに充当することを打ち出した。それまで、消費税による税収については、「年金、医療、介護の 3 分野」と財政再建に活用することになっていたが、安倍首相の一声で、「少子化対策・子育てを加えた社会保障 4 経費」と財政再建に活用することになったのだ。

 そして今回、消費税率10%への引き上げについて、2018年10月に安倍首相は2%の増収分の分配を、「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保等と財政再建とに、それぞれ概ね半分ずつ充当する」とし、今度は財政再建への利用を大幅に縮小した。こうなると、もう消費税は安倍首相に“私物化”され、政権にとって都合の良いように使われているとしか言いようがない。

 そもそも、消費税率を引き上げる以外に税収を増やす方法はないのかと言えば、答えは「ノー」だ。

 まず、法人税を引き上げればいいのだ。否、引き上げというのは正確ではない。安倍政権以前の水準に戻すと言う方が正確だろう。安倍首相はアベノミクスの成長戦略の一環として法人税率の引き下げを進め、第二次安倍政権発足時に37%だった法人実効税率は29.74%まで減少している。さらに、研究開発費については租税特別措置法による減税が行われるなど、企業は税制面で個人に比べて非常に優遇されている。

 その反面、企業は減税で浮いた利益を従業員に分配することなく、貯めこんでいる。実質賃金は上昇するどころか低下しているのに、企業の内部留保は増大を続けているのだ。

 財務省の法人企業統計によると、2018年度の企業の内部留保は16兆6000億円増加し、過去最高の463兆1308億円となった。安倍政権になってから、企業の内部留保は過去最高を更新し続けている。つまり、法人税減税の“穴埋め”を消費税で行っているという構図となっている。

 9月28日のテレビ朝日で放送された『池上彰の実は知らない消費税増税日本のお金』という番組では、池上彰氏が「少子高齢化で増大している日本の社会保障費を賄うためには、消費税を35%まで引き上げる必要があると強調」している。筆者の記憶では、同氏はそもそも“消費税引き上げ反対”だったと思うのだが、その“見識の無さ”にあきれ返ってしまった。

 驚くべきは、すでに消費税率を10%から引き上げるための素地作りが始まっていることだ。9月初旬の政府税制調査会の議論の中では、委員から「消費税は10%がゴールではない」との意見が出された。今回の答申では、消費税率のさらなる引き上げには触れられていないものの、消費税率の引き上げに向けた素地作りはすでに始まっているのだ。

 消費税率10%への引き上げの前日の9月30日、菅義偉官房長官は会見で、「今回の引き上げで、全世代型社会保障の実現に向けて、幼児教育・大学の無償化など社会保障を充実させるとともに、急速な高齢化などによって伸びていく社会保障の安定財源を確保している」と消費税率引き上げの目的を改めて強調した。

 しかし、10月1日の消費税率引き上げと同時に、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、低所得者の保険料を軽減する特例措置が、“廃止”されたことを申し添える。

 これが、安倍政権が言う「全世代型社会保障の実現」ということなのだろうか。

プレミアム付き商品券、地方在住者から不満の声「田舎では何も買えない……」

 10月1日に予定されている消費税率引き上げに合わせ、増税による負担の軽減を目的とした「プレミアム付き商品券」が各自治体で発売される。

 商品券は、4,000円で5,000円分の商品が購入でき、発行した自治体内の店舗でのみ使用可能だ。商品券の上限金額は、住民税非課税の低所得世帯では家族の人数、子育て世帯では3歳未満の子供の人数に2万円をかけたものとなる。

 内閣府は、低所得世帯と子育て世帯への増税による影響を緩和することと、地域経済を下支えすることを目的とした政策としているが、効率の悪さを指摘する声も根強い。

 プレミアム付き商品券には、割引分負担や、実際の発行手続きを担う自治体の人件費、券の印刷代など1,890億円が国庫から投入される。対象となるのは計2,450万人なので、一人当たり7,700円以上の税金が投入されていることになる。ところが、一人当たりの負担軽減は最大で5,500円にすぎない。だったら7,700円の現金を配ったほうがよいというわけだ。

 さらに、プレミアム付き商品券から得られる恩恵には、大きな地域格差があるようだ。

 中国地方の過疎集落に家族5人で暮らす30代の女性は話す。

「うちは住民税非課税世帯であることに加え、3歳未満の子どもが1人いるので、低所得世帯と子育て世帯の両方の要件に当てはまり、合計6人分の購入資格があるようです。つまり12万円で額面15万円分の商品券を手にすることができる。『総額3万円もお得になるなんて』と、喜んでいたのですが……。私たちの生活圏には、商品券の使える店舗がほとんどない。食料品を商品券で買おうと思っても、近所の商店では使えず、車で30分くらい先のスーパーまで行かなければならない。そんな状態なので、6カ月の有効期間に5万円使うのがやっとでしょうね。そもそも我が家の家計には、食料品以外のものを買う余裕はない。電気代などの公共料金の支払いには、商品券は使えないというし……」

 北関東の山間部に住む40代の男性も不満を漏らす。

「田舎だと、プレミアム商品券を使って地元の店で買い物をするよりも、ネットショッピングの方が安いことが多い。例えば家電を買おうと思っても、市内には昔ながらの街の電器店のようなところしかなく、多くの品がアマゾンで買うよりも2割以上高い。第一、店の品ぞろえもよくない。大型家電量販店がある自治体に住む人は、プレミアム商品券を使ってiPhoneなども買えるが、我々は買えない」

 地域経済の活性化をうたいながら、地域格差を生み出しているとは、なんとも皮肉な話である。

(文=高田信人)

【消費増税】再々延期の可能性も? 安倍首相による参院選の“争点潰し”に野党は警戒

 安倍首相は来年10月に予定されている増税による景気の落ち込みを防ぐため、キャッシュレス決済した際に、5%のポイント還元を検討する考えを示した。。

 しかし、世論からは「バラマキ」との批判が噴出している。読売新聞がこのポイント還元制度の是非について聞いた全国世論調査では、「反対」が62%に上り、「賛成」の29%を上回っている。

 また、例えば同じパンを買っても、イートインコーナーで食べるのと持ち帰る場合で税額が異なることになる「軽減税率制度」の矛盾にも異論が出ている。

 こうした民意を追い風に、野党は消費増税をただす姿勢を強めている。

「負担増をごまかすための思いつき」

「増税しても財政出動で税収を減らすのなら、一体なんのための消費税増税なのか」

 立憲民主党の蓮舫参院幹事長も、安倍政権をそう批判している。

 ところが、実際に消費増税を延期されたら一番困るのは、実は野党のほうかもしれない。野党関係者は語る。

「来夏の参院選に向け、野党は消費増税に争点を集中させているのに、直前になって『増税やめま~す』などと言いだされたら、それこそ困るよ。安倍政権はすでに消費増税を2 度延期しており、3度目もあるかもしれない。これほどスキだらけで批判の多い消費増税をこの時期に推し進めるのには、何か裏があるのんじゃないか」

 安倍首相による選挙前の争点潰しに関しては、野党には痛い思い出があるという。

「2016年、『保育園落ちた日本死ね』を合言葉に待機児童問題が議論となった。直後には参院選が控えてお、り、野党はこれを争点にしていく予定だった。ところが参院選告示直前、安倍自民党に27年ぶりの単独過半数を許すことになった。そんな過去もあるので、今回も疑心暗鬼が拭えない」(同)

 今回の参院選でも、今のところほかの争点が見いだせない野党にとって、このまま増税を推し進めてほしい、というのが本音のようだ……。