一罰百戒の意図もあり? 実刑判決で「海賊版サイト」は本当に減るのか……

 結局、有効なのは重い刑罰か。海賊版サイト運営に対して実刑判決が下り、今後の海賊版サイト対策の在り方として話題を呼んでいる。

 1月、海賊版リーチサイト「はるか夢の址」を運営していた元大学院生らに対して、懲役3年6ヶ月など執行猶予のつかない実刑判決が下った。「はるか夢の址」は、巨大海賊版サイトとして問題となった「漫画村」などと並んで利用者が多かったとされる海賊版リーチサイトだ。

 リーチサイトとは、ネット上の海賊版サイトへと利用者を誘導するサイトのこと。「はるか夢の址」は、不正にアップロードされた漫画などのリンクをまとめて掲載し、広告収入で収益を得ていたとされている。

 これまでリーチサイトは、サイト運営者自体が不正なアップロードをしていないために、
摘発は困難なのではないかとされてきた。だが、今回、大阪地裁がこれを著作権法違反であると認定したことで、同様のサイトも今後、摘発される可能性は高くなっている。

 何よりも、実刑判決が下ったことは重要だ。この判決を通じて、社会に不正なアップロードは重罪であることを知らしめたという意義があるからだ。

「海賊版対策としてブロッキングなどさまざまな方法が論じられてきました。海外のサーバーを用いるなどして、運営者が巧妙に特定されることを避けてきたからです。ところが、実際には運営者の特定は可能であることが、次第に明らかになっています。その上で、特定されたら重罰を科せられることがわかれば、海賊版サイトに対する大きな圧力となるのではないでしょうか」(出版社社員)

 海賊版サイトを運営することで得られる利益はあるかもしれない。それでも、実刑判決を科せられるとなると、割に合うとは思えない。重い刑罰を受けることがわかれば、軽い気持ちではできないはず。今後、海賊版絡みは減っていくと思いたい。

(文=是枝了以)

都合のいい時だけ「反対運動」で遊ぶんだな……違法ダウンロードでマンガ・小説も刑事罰への道程

 海賊版サイト対策として打ち出された、著作権者に無断で公開された漫画や小説など「静止画」のダウンロードを違法化し刑事罰を科す法改正案の動きが波紋を呼んでいる。

 報道によれば文化庁が提出した著作権法改正案では、著作権者に無断で公開されたマンガや小説なども映像や音楽と同じく違法とし、2年以下の懲役か200万円以下の罰金などの刑事罰を科すのが適当であるとしている。さらに、対象となるのは、海賊版サイトだけでなく個人のブログやSNSなどに取り込まれたものなど、極めて幅が広いのである。

 この文化庁の方針を受けて、多くの人が危機感を抱いている。2012年の著作権法改正の時に危惧された問題が、より強力な形で降りかかってきているからだ。

 海賊版への対抗策として著作権法が改正されて、違法配信と知りながらインターネットのサイトから音楽や動画をダウンロードした場合に、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科せられるようになったのは2012年のこと。この時に対象にされたのは、音楽や映像に限られた。

 当時はそれでも、法改正への危機感は強かった。インターネットを使っている人々の中で、YouTubeやニコニコ動画を通じて、違法にアップロードされているであろう音楽や映像を楽しんでいない人などいない状況はすでに生まれていたからだ。つまり「国民全員を容疑者」の誕生である。

 今回のマンガや小説などへの適用拡大は「国民全員を容疑者」の範囲拡大にほかならない。

 ただ、そうした法改正がなされたとして、いきなり心当たりのある人の自宅に警察が踏み込んでくるような状況は想定しがたい。実際に、2012年の法改正以降に、そんな目に遭った人はいない。それでも問題なのは、法律によって、いつでもそういう目に遭う可能性が強化されていることだ。

 実に「国民全員を容疑者」にする法律は、それでも由々しき問題を解決する目的という「美名」に隠れたりして次々と出来上がっている。

 例えば、児童ポルノ法。この法律、マンガ・アニメ・CGが対象外になったことで、過去の話になっているが、所持の禁止が明記されたことで、いつでも警察に踏み込まれる可能性が生まれたことは否定できない。

 今回の著作権法改正の問題が出てきて、それに反対する声を上げている面々を見ると「児童ポルノ法」の問題の時に、マンガが対象外になっただけで喜んでいる人もちらほら。同様に、問題だらけの法律である特定秘密保護法や共謀罪創設の時には、権力側のオタク趣味な議員に尻尾を振っていた面々もいっぱい。

 都合のよい時だけ反対の声を上げて、木を見て森を見ずだね、これは。
(文=昼間たかし)

ブロッキングもダメ、ダウンロード規制もダメ……ならば「海賊版サイト」への有効な対応策は?

 昨年のこの時期、にわかに話題となった海賊版サイト「漫画村」。その存在感は凄まじく、政府が本気で対策に乗り出す国レベルの事案へ発展した。かつて存在したP2Pソフトを利用しての個人同士での違法な交換とは違い、海賊版が巨大な闇産業となっていることを、全国民に知らしめた事件であった。

 その過程で出てきたのが、強制的に閲覧を遮断するブロッキングの法制化だ。これは、パソコンやスマホからアクセスしようとすると、プロバイダが自主的に接続遮断するというもの。つまり、個々人がどこのサイトにアクセスしようとしているかが、丸わかりになってしまう。ゆえに、憲法の保障する「通信の秘密」が守られなくなるのではないかと反対論も続出した。

 政府の有識者会議などでは、一部の出席者がブロッキングの優位性をアピールするも、非難が集中。有識者会議が中間とりまとめを断念する異例の事態にもなった。

 これを受けて、新たな海賊版対策としては、著作権法を改定して、違法にアップロードされた静止画のダウンロードを禁止する。あるいは、収入源のひとつとされる広告出稿を抑制するための企業・団体との協議。そして、正規版を購入する出版社の枠を超えたプラットフォームの新設などが検討されている。

 このうち、静止画のダウンロードについては、ネットに転がるあらゆる画像をダウンロ
ードする行為が「犯罪」となる可能性も高く、批判が集中しているのが実情。

 そうなると、出版社の枠を超えたプラットフォーム設立が現実的なのだが、これもまた、難航している。すでにAmazonのように、電子書籍の巨大な市場を築いている企業もあるが、いまだに誰もが使っているものにはなり得ていない。

 これから先、電子書籍が普及していく流れは必然。その中で誰もが使いやすくて、すぐに本を買える仕組みを作った者が勝者になることはわかっているのだけれども、話はそう単純ではない。
(文=大居候)