フジテレビ月9『海月姫』全話平均6.1%フィニッシュ! 低迷の原因「世代間のドラマの見方の違い」くっきり

 オタク女子だけが住む共同アパートを舞台に、クラゲオタク・月海の恋模様を描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。天水館を救うため単身海外へ“身売り”されに行こうとした月海(芳根京子)を、ギリギリ空港で奪還した蔵之介(瀬戸康史)らだが、そのため天水館には住めなくなる。行き場をなくした住人(尼~ず)の行く末と、月海をめぐる三角関係の結末を描く最終回の視聴率5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。見ている人は絶賛、見ていない人はまったく見てない(当然だが)と、くっきり二極化されたドラマに。

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■修の失恋

 

 月海も尼~ずも、全員漫画喫茶暮らしに。一瞬『anone』(日本テレビ系)の初回を思い出し、広瀬すずらの「見切れ」を期待するも、もちろんそれはなし。

 デベロッパー稲荷(泉里香)は、月海がカイ・フィッシュ(賀来賢人)の元へ行かなかったことで、再び天水館を買収できると沸き立つが、そこへ再開発自体見直しの連絡が。蔵之介と修(工藤阿須加)の気持ちを汲み取った政治家の父・慶一郎(北大路欣也)が手を回したのだ。親バカ。

 月海を追ってきたカイに「彼女(月海)に(デザイナーとしての)才能を捨てさせた」と言われ火がついた蔵之介は、一からファッションの勉強をするため、ジェリーフィッシュ(蔵之介と月海中心で作ったファッションブランド)解散を決意。最後に再び月海の新デザインを元にファッションショーをしようと一同盛り上がる。

 閉鎖されている天水館に侵入し、「変態(メタモルフォーゼ)」をコンセプトとするジャージ素材を使った新作ドレスの製作を開始、ノムさん(安達祐実)やニーシャ(江口のりこ)も助っ人に現れる。キャラ再現とかの次元を超えたノムさんの存在は見るたびに癖になるので、スピンオフとかでぜひ見たい。

 前回、修から求婚された月海だが、「今、作りたいものがあるんです」と誠意を持ってお断り。「兄貴(蔵之介)と?」という問いに「はい」と答える月海を見て、悲しそうに空を見上げつつ笑ってみせた修。無理だとわかっても、どうしていいかわからず、告白することに「逃げて」しまう。この心理は、実にいい童貞の描き方だと思います。

 帰宅後、蔵之介と気まずそうにしながらも2人でパスタを食べるのだが、おそらくこれは蔵之介が子どもの頃から修に作ってあげてきた思い出のカルボナーラ。「3人で暮らせたら楽しいだろうな」「恋愛とか結婚とか関係なく、このおかしな3人でずっと暮らすのは無理かな」と語る初恋愛&初失恋の修が悲しい。「もしそれができたら、母さんもこの家にいられたかもな」と返すマザコン蔵之介も負けてないが。

 

■修の成長

 

 月海や蔵之介と3人で出かけた水族館(新江ノ島水族館)で、ファッションショーをやることを思いつく修。ここは初回放送で月海、蔵之介と3人で出かけた思い出の場所。前回、月海の海外渡航を引き止めに行く途中に修が偶然助けた女性が、この水族館の館長だったから借りられたというミラクル。

 ショー当日。実は自身の会社のCEOを解雇されたカイや、それより前に自由に生きるため会社を辞めていたファヨン(伊藤ゆみ)、稲荷とその同僚・佐々木(安井順平)、そして海外から蔵之介の母親・リナ(若村麻由美)も駆けつける。幼少時に別れて以来の母親の姿を目にして、動揺を隠せない蔵之介。

「今までたくさん蔵子(蔵之介)さんに助けてもらったから今度は私たちが助ける番です」と月海に促され、尼~ず全員で蔵之介の代わりにモデルとして舞台に立つ。

「無理よ! こんなふっくらさん(自分)とアフロ(ばんば)と幽霊(ジジ)よ?」と千恵子(富山えり子)は抵抗したが、ジジ(木南晴夏)は「大丈夫です。これは私たちのドレスですから」と眼鏡を外し、ばんば(松井玲奈)も花森にアフロの前髪を上げられ、いざ舞台に。

「やばい、俺全然いけるわ、あの子(ジジ)」(佐々木)や「あのアフロの子(ばんば)まで可愛いじゃない」(稲荷)と絶賛される2人。唯一、何も言われない千恵子を猛烈に応援したくなった。

「立派になったあの子を見てあげてほしい」という慶一郎の計らいでやってきたリナは「立派になったわね」と蔵之介と抱きしめる。涙で化粧が落ちたからなのか、男装姿になった蔵之介は「これが俺たちのラストステージだ」と月海の手を取り、舞台袖から「愛してる」と告白し、光の中へ飛び出して行った。きゃあああああ。

 無事ショー終了後、修は以前頼まれたリナからの伝言(7話)を月海に伝える。

「兄貴が大切に思ってる女性がいて、もしその人とうまくいくようなことがあったら、伝えてほしいって。『私の分まで愛してあげて』って」そう言って笑顔で立ち去る修は、少し大人の顔だった。

■天水館フォーエバー

 

 天水館での打ち上げでは、突然入ってきたカイ(とファヨン)が「君たちにしか作れない素敵なドレスだった」とショーを絶賛。退職金代わりにもらったという天水館の管理人になるとのことで、これからも尼~ずは家賃を稼ぐために服を作り、ここに住めることに。そして、服飾の勉強のため大学を辞め、明日からニューヨークへ向かうと決心した蔵之介は、いよいよ皆の前であの告白をする。

「実は、俺……男なんだよ!」

 しかし、全員とっくに気付いていたというオチ。ばんばとまやや(内田理央)ですら、少し前に花森が口を滑らせていて知っていたのに、千恵子だけが「ええええええええーーーー!」と驚愕。一番しっかりしてそうなのに純粋。

 そして今まで一度も部屋から出てこず、いつも筆談で「ご託宣」をくださる売れっ子BL漫画家の目白樹音先生(滝藤賢一)が、ついに登場。こちらも男だったことを知り、再度絶叫し気絶する千恵子。ショーでの唯一の不変ぶりが逆に気になったが、目白先生は入居時に千恵子に一目惚れしたため、男を近づけぬよう天水館を男子禁制としたのだという事情が発覚。結ばれてほしい。ちなみに滝藤賢一は『貴族探偵』や『コード・ブルー 3rd season』にも出ており、最近の月9常連。

 鯉淵家では、お抱え運転手の花森(要潤)と修と両親が結婚記念日のお祝いをしてるところに稲荷と佐々木が乱入。再開発計画が頓挫して以来すっかり柔らかくなった稲荷は、特に今回乙女っぽくキャラ変し、修に抱きつくなど、なんとなくいいムード。佐々木と稲荷もお似合いだと思ったが、まあ普通に考えて修ほったらかしで佐々木とくっ付くのも変ですしね。

 なぜかエンディング後の提供バックで稲荷が月海のコスプレ(おさげ髪にスウエットに眼鏡)をするシーンが流れたが、どこかで使うはずだったシーンなのだろう。

 いよいよ最後。月海が想いを伝える。

「今までは傷つくのが怖くて開けられなかった扉を、開けることができたんです。蔵之介さんが魔法をかけてくれたから」

「だから私は、(蔵之介の帰りを)待っていません! 蔵之介さんがいなくても、ジェリーフィッシュの服を作り続けます」「だから心置きなく勉強してきてください!」

 照れ隠しに皮肉を言いかける蔵之介に月海が強引に接吻。めでたしめでたし。

 もともと修に惹かれていたはずの月海(なんなら婚約者)だったのに、最後「守られているだけじゃだめだと思った」と修の求婚を断った気持ちの変化は、そのまま月海(や尼~ず)の外の世界に対するスタンスの変化なのでしょう。

 後半、残念だったのは、ファヨンの思わせぶり感にほとんど意味がなかったこと。カイとファヨンのつながりもほとんど描かれず、特に最終回はいつの間にか終わってしまった感がありました。原作では、カイ編はファッション業界のややこしい裏話的な物語なので、今回のドラマ化のテイスト向きではなく、そこをごっそり切ったのはいいと思いのですが、残されたキャラが置いてけぼりを食う形になってしまいました。

 全体としては、キャラや短いパートは面白くパワーを感じたのですが、もともとギャグ重視の漫画だから許される強引な展開を実写化したこと+時間がない中で全巻を一応網羅する駆け足展開、この2つにより、つなぎや辻褄の合わせ方がどうして強引になってしまい、感情移入を保つのが難しかった層に広がらなかったのが、数字が伸びなかった原因ではないでしょうか。

 若年層は「点」のパワーやノリを喜び、上の世代は「線」での展開やつながりをもっと求めた。そんな世代間のドラマの見方の違いもあるのかもしれません。

 しかし、そもそも深夜やネット向きな内容を、急遽決定した「月9」用に仕上げるだけでも大変だろうし、それでいて脇役まで含めキャストの健闘が目立ちました。

 全話平均6.1%と数字的には残念な結果ですが、そもそもオリンピックもあったし、その逆境をネタに盛り込む遊び(今回も「もぐもぐタイム」発言あり)なども意欲的で、健闘したと言えるのではないでしょうか。いま軽くクラゲロスです。お疲れさまでした。
(文=柿田太郎)

丸坊主じゃないICONIQがキーマン『海月姫』ラストは、稲荷と佐々木がくっついてほしい!

 オタク女子だけが住む共同アパート天水館を舞台とする月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。天水館買収の危機を救うため、アパレルの富豪(カイフィッシュ・賀来賢人)の誘いに乗り、デザイナーとして海外へ行くことを受け入れた月海(芳根京子)を、仲間が取り戻そうと奮闘する第9話の視聴率は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや上昇。打ち切りもなかったようで、ラスト2回!

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■ファヨンはあのICONIQ

 

 天水館住人(尼~ず)や蔵之介(瀬戸康史)、修(工藤阿須加)が月海へ想いを伝えようとゲリラ出演したテレビ番組(『たけ散歩』)を見て涙する月海は、決心がぐらつくが、カイに天水館がなくなると脅され、戻ることを諦める。

 月海はパスポートができるまでの期間、カイの作ったクリエイターが集まるサロンで基礎を学ぶが、そこでデザイナーらしき女子に月海の作った服を「利益にならない服なんて、ただのゴミ」だと否定される。

 カイの部下・ファヨン(伊藤ゆみ)にも大量の焼却待ちの在庫を見せられ「お金を産むために、お金を燃やし続けるんです」と言われるが「それじゃ結局は何も残らないってことですよね」と月海は納得できない。その言葉にハッとするファヨン。その後もファヨンは「これからは馴れ合いでドレスを作っていた時とは違う」と月海にきつく当たるが、真意が見えない。ちなみに伊藤ゆみは10年以上前にエイベックスからデビューしていた、あのICONIQ(アイコニック)。もちろん今回五厘刈りではないが、変わらぬ美貌で終盤のキーマンとなる。

 

■カイに想いを寄せているファヨン

 

 海外に行くのは月海の本意ではないはずと信じる蔵之介と修の異母兄弟、兼恋敵コンビは共に月海を探すが、運転手の花森(要潤)の仲間の事情通・すぎもっちゃん(浜野謙太)のアイデアでカイのブランドのモデルオーデションを受け潜入することに(女装した蔵之介のみ)。

 カイのいるホテル(月海の居場所)を聞きだすも、スタッフから「自分の周りの才能ある女と片っ端から寝るのが社長の悪い癖」だと聞き、慌てる蔵之介。

 ホテルで見張っていたファヨンに「あなたは月海さんのなんなんですか?」と問われ、悩みつつも蔵之介は「こ、恋人だよ」と言い切った。だが、その時のファヨンの安堵のリアクションから、カイのことを想っていることを見破った蔵之介は、自分が月海を取り戻せば、カイはファヨンの元に戻ってくる、だから居場所を教えろと持ちかけ、揺さぶる。自分の気持ちは曖昧なのに、人のことはすぐにわかるのは、あるっちゃある話だ。

 蔵之介とのことがあったからなのか「独創的な彼女のデザインは、うちのビジネスモデルには合わない」と詰め寄るファヨンに、共に過ごした孤児だった時代の話を始めるカイ。

「(親になってくれる大人をいつも待っていたが)選ばれたのは、金持ちが捨てた真っ白いシャツを着ていたやつだった」
「月海となら、この世界を変えられる」

 カイは、自分が育てるクリエイターに必ず白いシャツを着せていた。あの手この手で満たされなかった過去への復讐をしているのだろう。

■稲荷と佐々木がくっついてほしい

 

 月海のパスポートが出来上がる日、「月海奪還の最後のチャンス」(蔵之介)として、都内のパスポートセンター各所を手分けして見張る尼~ずと助っ人たち。文句を言いつつ律儀に見張る稲荷(泉里香)が、すっかり味方になっている。その際、修と2人でタッグを組んだ稲荷の同僚・佐々木(安井順平)が張り込みつつ、修に尋ねる。

「一度ちゃんと聞きたかったんだけどさ、うちの稲荷翔子は全然脈なし?」

 修を利用しようと色仕掛けで近づいた稲荷は、今や修のまっすぐさにほだされている。

「好きとか嫌いとか、そういう感情は一切ありません」と、はっきり答える修に「それ絶対あいつに言わないでね、一番傷つくやつだから」とフォローする佐々木がいい。

 登場当初、完全に尼~ずを見下していた稲荷が、必死に聞き込みをするまやや(内田理央)らに心を動かされていく様子も悪くない。前回、修と稲荷がくっついてほしいと個人的な願望を書いたが、よく考えたら佐々木と稲荷って実にいいカップルだ。もはや絶対付き合ってほしい。

 それはさておき、カイ側が仕掛けたであろうおとりに翻弄され、パスポート受け取りの月海を押さえられなかったメンバー。

 なんとか月海は成田に向かったらしいと情報を得るが高速は渋滞……。

 しかし! 鉄オタ・ばんばさん(松井玲奈)が時刻表を脳内で検索、最適なルートを導き出すという大活躍ぶり! ナビタイムとか使えば誰でもわかるんじゃ……とか考えてはいけない。蔵之介にルートを説明しつつ、ばんばの目に見えているであろう多くのウインドウが空中に浮かぶ描写は近未来的で、思わず『マイノリティ・リポート』のトム・クルーズみたい! と叫んでしまいました。ちなみにこの時、松井玲奈が前髪を上げ、初めての「顔出し」。原作では、おそらく次回やるであろう場面で「顔出し」するのだが、長らくばんばの子分と化してきた花森(要潤)がおののく姿が見れたのがよかったです。

 空港に蔵之介と修が駆けつける展開は、いかにも懐かしのザ・月9。

「あなたは我々に消費されるべき人間ではありません」と付き添いのファヨンがギリギリで解放してくれ、間に合わなかったと思って落ち込む2人の前に月海が現れる展開も王道。

 蔵之介と「やったな月海!」「はい! やりました!」」と浮かれかけるも、「本当によかった」と修に唐突に抱きしめられ、固まる月海。テンションの上がった顔が、スッと悩むような顔に変化する芳根の芝居がいい。これは何を意味するのか。

 

■働く尼~ず

 

 今回、「私たちが一人ひとり自立していないと、月海が無事に戻ってきた時、安心して戻って来れない」(千絵子/富山えり子)との思いから、なんと生粋のニート・尼~ずたちが働き出すというオリジナルの展開に。

 まやや→ティッシュ配り、千絵子→コーヒーショップ店員、ジジ様(木南晴夏)→パソコン事務。そしてばんばさんは企業でまさかの受付を担当、申し込んだ方にも採用した方にもメリットのない謎の人選。しかし、それぞれ過剰に虐げられつつ(ジジ様以外)も慣れない仕事に必死に向き合う姿が熱い。

 月海は帰宅後、天水館がなくなる覚悟で、自分を取り戻すため尼~ずが動いてくれたことを知る。追い出されるくらいなら明日自ら出て行くと語る尼~ずと食事をするのも、もうこれが最後。その尼~ずが稼いだ金で作ったすきやきを頬張りつつ、月海は「おいしい」と涙する。

 そして、修がイタリアで買った指輪を月海にはめつつ「僕と結婚してください」と正式にプロポーズ。それを黙って見つめる蔵之介。三角関係の結末は、もちろん次回の最終回。

 次回はカイが再度、日本に月海を取り返しにやってくるみたいだし、安達祐実の怪演が見事だったノムさんや、その他オールスターキャストも結集。

 シンガポールで月海がそこそこ長く過ごす部分は今回ごっそり省いていたが、どうやら駆け足ながら全17巻のラストまで描くようなので、最後まで見届けたい。とりあえず、稲荷と佐々木がくっつけば筆者的には相当満足です!
(文=柿田太郎)

視聴率恵まれぬ『海月姫』は次週で打ち切られてしまうのか? 「ズブ濡れで抱きしめる瀬戸康史がエロい」の声多数

 オタクばかりが住むアパート天水館を舞台に、そこで暮らすクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様を描く月9『海月姫』(フジテレビ系)の第8話は、視聴率5.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と最低記録をギリギリ回避。天水館が買収される絶体絶命のピンチに現れた超大金持ちは敵か味方か?

(前回までのレビューはこちらから)

 

■月海がシンガポール行きを決意

 

 世界を股にかけるアパレルブランド社長のカイ・フィッシュ(賀来賢人)は3億円出す代わりにジェリーフィッシュ(月海がデザインを手がける立ち上げたばかりのブランド)のドレスやデザインだけでなく、「他にない不思議な美的感覚をもっている」「0から1を生み出すことができる」デザイナーの月海ごと欲しいという。

 カイの本拠地・シンガポールに連れて行くと聞き、蔵之介(瀬戸康史)は「月海のことも、あの服のこともわかっていない」と英語で反論、譲らない。

 ジェリーフィッシュの出店スペースに戻った2人を待ち構えていたのは、ついに天水館の売買契約書を手に入れ、鼻高々のデベロッパー・稲荷(泉里香)。引っ越し資金50万出すから即退去しろと詰め寄る。

 金もないし、住むところも奪われかけ、八方ふさがりの天水館オタク住人(尼~ず)たち。

 一方、異母兄弟の兄・蔵之介の実母であるリナ(つまり父親の元愛人)にジェリーフィッシュ(蔵之介がプロデューサー)のドレスを届けるためミラノへ来ている修は、月海に渡す婚約指輪を作ろうとイタリア滞在を延期。

 そうと知らない月海は、助けを乞おうと鯉淵宅を訪ねるが、会えないどころか修はスマホをなくしており、連絡すらつかない。修の両親(慶一郎・容子/北大路欣也・床嶋佳子)に、それとなく助けを求めるが「残念だけどね、私にもどうすることもできないよ」と慶一郎。修のフィアンセとされている月海は、持ち前の人の良さで両親に好印象を残すが、慶一郎にダメな長男だと揶揄される蔵之介を必死にフォローする姿は何を意味するのか。

 失意の尼~ずメンバーは、お別れ会で泥酔。翌朝、稲荷が引っ越し業者を引き連れ天水館を強襲、力ずくで追い出しにかかるが、そこへ会社から急きょ買収が中止になったとの連絡が入る。

 前日「ここでしか生きられない人たちの集まりでしたから」と悲しそうに語るジジ(木南晴夏)の言葉を聞き、月海がシンガポールに行くことで天水館を救おうとカイに連絡、要求を飲んでいたのだ。

「私さえ向こうに行けば、みなさんがここに残ることができ、立ち退かなくてもよくなりますので」

 こう言って一人シンガポールに行こうとする月海を、尼~ずは引き止めるどころか「行ってまいれ」(まやや・内田理央)「天水館のためよ、がんばってね」(千絵子・富山えり子)と送り出す。その薄情ぶりにガッカリな蔵之介だけは、なんとか止めようとするも、迎えのリムジンに乗り月海はいなくなる。

 

■蔵之介と稲荷が手を組む?

 

 左折しにくそうな長いリムジンで寂れた漁港に連れて来られた月海は、そこでなぜか釣りをしながらカイの身の上を聞くことに。親に捨てられ施設で育ったこと、昔こうして釣った魚を、みんなで分け合って食べたこと。

 その後、気のいい漁労関係者にすんなり混じって、明らかに冷凍されてたような色あいの焼き魚を齧りつつ2人の距離がちょっと近づく。カイは「君が世界を変えるんだ」と、とことん本気。

 戻ってきたカイの元に詰め寄る「昨日の敵は今日の友」蔵之介と稲荷コンビ。往年のジャンプを思わせるライバル同士の力の合わせっぷり。ピッコロと悟空が手を組んだ時のような期待をしたものの、あっさり警備員に取り押さえられ、あげくカイに「私は月海さんを一流にする。貴方にそれができますか?」と圧倒的な自信を突きつけられる始末。

 パスポートができるまでと月海が送り込まれたのは、クリエーターたちが集まるという秘密のサロン・キューブ。「個人が持つ感性を高めることを目的として集まっている」らしいが、ただのオシャレ無職の合コン会場に見えなくもない。中には、今をときめくにゃんこスター(OPを歌う)も本人役で混在。ザ・ワタナベパワー。ちなみに稲荷の手下・佐々木として短い出番ながら好演が光る元アクシャンの安井順平もワタナベ所属だ。

■ずぶ濡れで抱かれる月海

 

 今回、月海がいなくなったことで、月海に対する蔵之介の気持ちがどんどん大きくなる。

「ここまでこれたのは、あいつがいたからだ」「なのに、あいつだけ犠牲にするなんて俺にはできない」と、月海を探すため運転手・花森(要潤)に頭を下げる様子や、ようやく帰国した修に「なんでちゃんと捕まえておかなかったんだ」「俺は諦めない。どこにいようと、どんな遠くに行こうと俺はあいつを捕まえる」と語る様子など、もう完全に恋。

 それでいて、月海のいるホテルに忍び込んでまで「あんなに真っ直ぐ好きになってくれるやつ他にいないからな?」「天然記念物みたいなもんだよ、あいつは」と修のフォローをするなど、じれったかった蔵之介だが、酔ってシャワーで倒れた勢いのまま「行くな、どこにも行くな月海!」と、介抱しようとする月海を強く抱きしめる。シャワーも止めずにずぶ濡れで抱き合う姿がエロし。

 だが、カイはカイで、「今夜は彼らの最後のパーティだ」と蔵之介が来ているのを知ってて泳がせつつ、次の日、蔵之介が寝ている隙に月海を連れだし「仲間なんてこの世界ではなんの意味もない、早く切り捨てたほうがいい」と迫るなど、余裕をみせる。ちなみに蔵之介たちはセックスとかしていないのかと勘ぐったが、してない模様です。

 

■尼~ずの真意

 

 気になるのは、月海を「売った」尼~ずたちだが、なぜあの時止めなかったんだと蔵之介に問い詰められると「月海殿の才能が買われたのだぞ」(まやや)「わしらと違ってあいつには才能がある」(ばんば)「みんな全然平気なんかじゃないわよ! 寂しいに決まってるじゃない! 悲しいに決まってるじゃない!」(千絵子)と、卑屈さゆえの行動だったことが判明。

 月海にこの気持ちを伝えるため彼らがとった行動は、ジジの愛する中原丈雄(本人役)の『たけ散歩』の生放送ロケに見切れる作戦。蔵之介や修、花森らとともに「月海さん帰って来てください」「尼~ずは永遠に不滅」と書かれたプラカードを持ち、気持ちを叫ぶ仲間の姿を月海は偶然目撃する。偶然すぎるけど。

 そこで皆の気持ちを知った月海は号泣。尼~ずのためならと自分を騙していた気持ちが崩れる中、次週へ。

 

■次回が最終回?

 

 次回予告には「ラストミッション」の文字が。普通なら、あと2話あるはずだが、視聴率的に打ち切りもあり得るだけに、今回の数字次第でどちらにもできる予告にしている気がする。十分来週終われるお膳立てが整ってしまっているのが気になってしまうが、なんとか持ちこたえていただきたい。

 今回、なんと言っても見所は蔵之介の覚醒だが、脇のサポートも光っていた。

 蔵之介に頭を下げられ「なる早で居場所調べて欲しい“ちゃんねー”いるんだけど?」と、ちゃらい口調で仲間に電話する花森は、ドラマ花森史上かつてなくかっこよかった。

「正直、前々から兄と月海さんとの間に固い絆のようなものを感じていて、僕が入り込んじゃいけないんじゃないかって」と気づいてしまった悲しい修の背中を「んなもん簡単でしょ? 好きか嫌いかどっち?」「だったらそのダサい指輪で止めて来なさいよ」と強く押してやる咬ませ犬的な稲荷もイカしていた。

 原作ではカイ・フィッシュが出てからそこそこ長いのだが、ボリューム的にも内容的(具体的なファッション業界の内情)にも無理だろし、どうまとめ上げるのか。もともと漫画の勢いで乗り切れていた整合性が実写だとどうしても気になってしまう部分も多いのだが、それを超える気持ちよさを最後に持ってきて欲しい。とりあえず、修と稲荷がくっつくことを勝手に強く希望して来週を待ちます。
(文=柿田太郎)

視聴率4%台突入! フジ月9『海月姫』の工藤阿須加は、芳根京子以上にヒロインだ!!

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。

 前回、修(工藤阿須加)が月海に好きだと告白し、盛り上がっていくはずなのに視聴率は4.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、低めで更新。若い層からは高い支持を得て評判も上がってきているようなのだが……。

 展開が早い編集などは若者向けだが、じっくり見たい層は敬遠してるのかもしれない。ベタな三角関係は大人も好きだと思うので、ここから巻き返してもらいたい。兄であるがゆえ弟の恋を応援しつつ、自らの恋心が膨らむ蔵之介(瀬戸康史)と、不器用な童貞の弟・修。あまり楽しめていない視聴者の方は、この2人の目線で見ることをお勧めします。振り返ります。

 

■月海を「フィアンセ」と呼ぶ修

 

 修に告白されて人格崩壊するほどテンパる月海は、蔵之介に電話で相談。なんの気なしに電話した月海だが、三角関係の一角を担う蔵之介は気が気じゃない。

 このままプロポーズをすると焦る修(蔵之介の異母弟)に、蔵之介は、月海がこれ以上パンクしないよう早まるなとアドバイス。月海に対する自分の気持ちが大きくなる中、弟を応援したい気持ちもありつつ、それでいて悪気ない月海に報告までされてしまい、あんなにリア充っぽいのに、オタク女と童貞男の恋に挟まれ三角関係の醍醐味にどっぷり浸かる蔵之介。

 一方、天水館住人(尼~ず)による服飾ブランド「ジェリーフィッシュ」は、ジジ(木南晴夏)が生産調整を務めだし、順調に制作を続ける。

 そこへ修からの、結婚を前提に交際してくれというマジのラブレターが届く。最初、差出人がわからず怪しい手紙だと思い、全員の前で読み上げたのは、またも蔵之介。早まるなと伝えたのに、まるで響いていない修のエネルギーがすごい。

 恋文に沸き立つ尼~ずたちの前に、今度は千恵子の母親(富山えり子・千恵子と二役)が登場。親子そっくりなのでコピーロボットだと言い出し、母親の鼻を押す安定のまやや(内田理央)の騒ぎぶり。千恵子の母を呼び寄せたのは天水館買収をもくろむデベロッパーの稲荷(泉里香)だが、出ていきたくない千恵子らは、こっそり土地の権利書を隠し、時間稼ぎ。

 その間にプロモーションスペースに出店し、売れ線のラインナップを売って大金を稼ごうと一同盛り上がる。盛り上がりのどさくさに乗じ「月海、今は恋をしてる暇なんかないからな?」と、少しずるい蔵之介。

 しかし修も月海を呼び出し、(天水館を守るため)力になるからと、ぐいぐい来る。ドラマ的には、とにかく蔵之介が「どう動くか待ち」な状況。

 月海を除く尼~ずは、天水館を守るため、月海と修をくっつけようというスタンス。

 修の父親の慶一郎(北大路欣也)は再開発側の稲荷とくっつけたいのだが、運転手の花森(要潤)には婚約指輪の購入に付き合うように言っているようで、それぞれの思惑が絡まる。そして早くも婚約する気の修のまっすぐさが少し怖い。

 修は稲荷のところへも出向き、法律では6カ月前には立ち退きを伝えないといけないと責めたて、その際も月海のことを「僕のフィアンセ」と公言、初恋をエネルギーにとにかくひた走る。

■蔵之介の「長男」っぷり

 

 告白されたことを、月海は、無神経にも蔵之介に優しい笑顔で語る。

「不思議なんです、この感覚。心の臓が激しく脈を打ち、神経が引きつるような痛みを伴い、なのになぜか不思議とつらくないんです。むしろこの痛みが心地いいんです。このまま死んじゃってもいいくらいに」

「よかったじゃん」「おめでとう、でもクラゲ服の方も頑張ってもらうからな?」と、いったん自分の感情を引っ込める蔵之介。このへんは設定変更されて「長男」となったことが生きている部分かもしれない。

 後半「私にとって蔵之介さんはクラゲのお姫様なんです」と、月海はふと口にしていた。まだ男性として意識していないのだろう。だからこそ、苦手な男性なのになんでも話せる関係になっているのだが(そもそも女装だし)。

 恋模様を交えつつ、なんとか売れそうな手頃っぽいワンピースなどを完成させるが、インド人の裁縫屋・ニーシャからは「めっちゃダサいやん」と酷評される。

 ニーシャは、ちまたに溢れるファストファッション(ユニクロとかH&Mみたいな流行デザインを低価格で作るアパレル)批判をぶちまけたあげく「この業界は、とっくに終わってんねん」と吐き捨てる。当たり前だけど、服飾系のスポンサーは入っていなかったので一安心。

 酷評され落ち込んでいた月海だが、「毒クラゲ」というコンセプトを思いつき、真っ白で物たりなかったデザインを染め上げる。

 

■父親の愛人に会いに向かった海外

 

 自分の異母兄弟である蔵之介の実母・リナにジェリーフィッシュのドレスを届ける修。まさかのイタリア・ミラノ。5話の韓国といい、意外と世界を股にかける展開だが、予算的な問題か、まったくミラノの映像はなし。

 初めての恋を謳歌している修は、父の愛人でもあるリナに初めて正面から向き合い、嫌いだったという彼女を理解しようとする。

「誰かのことを本当に好きになると愛おしくて苦しくてどうしようもなくて気持ちを抑えることができない」

「だからもう僕に謝らないでください。悪いと思わないでください」

 女性嫌いの根源となったリナに、それを伝えにきたという。恐ろしい行動力だ。

 別れ際、「蔵之介には今、恋人がいるの?」とデリケートなことを聞くリナに「大切に思っている女性はいると思います」と、蔵之介が月海にキスをしていたこと(5話)を回想しながら答える修。

 もしも蔵之介がその子(月海)とうまくいくようなことがあったら「たくさん蔵之介を愛してあげて、私の分まで」と、その子に伝えて欲しいと、酷なお願いをするリナ。これは布石になりそうだから、覚えておきましょう。

 

■あらたなイケメンが三角関係に乱入?

 

 月海が出来立ての店に向う途中、謎のイケメンが新たに登場。バイリンガルのカイ・フィッシュ(賀来賢人)は、そのまま出店を手伝うが、実は海外に150店舗ものセレクトショップを手がけるアパレルの社長であることが判明。

 3億円でドレスのデザインごと売ってほしいとの提示に「これで一発逆転だ!」と喜んだ蔵之介だが、「デザイナーのMiss月海、貴方と一緒に」と、カイは意味深な付け足し。

 金持ちの息子の蔵之介に輪をかけたハイパー金持ちで、都合よすぎるくらい渡りに船だが、ジェリーフィッシュの出店に対し「何日あったって売れません」「あそこ(出店スペース)は負け犬の集まり」と、不穏なことを平気で言う。そんなカイと蔵之介が、次回激突する模様。

 蔵之介、修、カイ・フィッシュと、まさにこの世に春といった感じのヒロイン月海だが、このドラマを見ていると、つい修を気にしてしまう。高学歴はともかく、冴えない具合は月海以上だし、実母とのことで悩みつつも自由に生きる蔵之介に対し、しがらみまみれの親の秘書を務めつつ、リナと父親の情事を目撃してしまったというトラウマを乗り越え成長していくさまは、月海以上に応援したくなるし、不器用に月海と接しながらも、たまに笑顔を見せると、ついうれしくなってしまう。

 彼こそがこのドラマの真の「ヒロイン」なのでなないか?

 最後、せっかく隠した権利書が、鳩サブレーの空き缶に入って埋められているのがあっさり稲荷に見つかってしまった。次回、修をヒロインとして楽しみつつ見てみたい。
(文=柿田太郎)

江口のりこの“黒塗り”インド人メイクは大丈夫? 勝手に心配になるフジテレビ月9『海月姫』

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。視聴率は今回も平昌冬季五輪の女子パシュートや女子カーリングを裏に、5.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや下落。振り返ります。

 

■蔵之介が新聞の一面に

 

 前回ファッションショーの成功後、思わず月海にキスしてしまった蔵之介(瀬戸康史)。翌日、当然意識しまくる月海だが、外国では普通の「挨拶みたいなもん」だとごまかす蔵之介。蔵之介も実は意識しまくりなのだが、ここの進展は一旦保留。

 それはそうと、蔵之介のファッションショーでの告白が「鯉淵元大臣長男 女装男子 告白!」と翌日のスポーツ紙の一面を飾る騒ぎに。天水地区の再開発反対も表明したので、再開発推進を表明していた慶一郎(北大路欣也)の事務所には電話が殺到し、秘書である修(工藤阿須加)は対応に追われる。マスコミに囲まれているので自宅から出るなと慶一郎に言われた蔵之介だが、平然とカメラ前に現れ、前回立ち上げたブランド「ジェリーフィッシュ」のクラゲドレスを着て宣伝する豪胆ぶり。これにより急遽作ったジェリーフィッシュのホームページにも購入依頼が舞い込み、尼~ず全員でのドレス作りが始まる。

 カメラ前では女装は趣味だと語ったが、天水館住民(月海を除く尼~ず)には「女だけど(ベル薔薇の)オスカル的に長男って言ってるだけ」(千絵子)だと思わせてごまかす。原作漫画だと、リアリティよりノリ重視なので気にならないが、ドラマだとごまかしの連続が少々気になる。

 月海との進展が膠着状態だった修だが、2人きりでファミレスで会話するなど、今回は積極的。

 そこで異母兄弟である兄の蔵之介が、幼少のころ、いじめられていた自分を助けてくれた思い出を語る。

 母と別れ「本当は誰よりも寂しいはずなのに」「本当の気持ちはどこにあるのか」「遠慮してないか」と兄の気持ちを慮る修。

 ここで本来の目的であった、蔵之介の母(リナ・若村麻由美)にこっそり頼まれていたクラゲドレスの購入を月海に依頼。リナとの約束で蔵之介には内緒のため「これは僕と月海さんの2人だけの秘密です」と頼むが、その言葉に月海はクラクラ。ああ、三角関係。

 

■江口のり子がインド人に

 

 そんな中、蔵之介は、インドでは単価が安く生地も豊富とのことでインドの縫製会社に勤めるインド人・ニーシャ(江口のりこ)を連れてくる。

「MISIAちゃうで? 歌下手やからな?」と、コテコテの関西ノリに怯える内弁慶の尼~ずたちを前に、オーダーメイドしかない偏ったラインナップや生産管理の重要性を指摘、改善を指示するニーシャ。顔の作り的にまったく(いわゆる)インド人っぽくはないのだが、なんとなく今の江口の勢いでインド人ぽくなっている。インドは人種の坩堝なので南インドにはいそうといえばいそうなのだが、顔を黒く塗っているので、昨年大おおみそかに放送された『ガキ使SP』(日本テレビ系)でエディ・マーフィーをまねた時のように問題にされないか(参照記事)、勝手に心配してしまう。

 それはさておき、ニーシャの指示を受け、立て直しを焦る蔵之介と、もはやいっぱいいっぱいの尼~ずが衝突。

 特にまやや(内田理央)とばんば(松井玲奈)は「服を作ったって、楽しいのはお前と月海だけだ」(まやや)「どうせ作ったって自分らが着れる服なんてないしな」(ばんば)と重症。尼~ずピンチ。

 突っ走ってしまったことを反省する月海に、仲間意識を高めるために決起集会開催などのアドバイスを送る修。やはり今回は一味違う。

「これからは何かあったらすぐに僕に相談してください。泣いたりする前に必ず!」と、もはやプロポーズぎみの修。

 月海は、居場所のなかった自分を受け入れてくれた天水館と尼~ずへの感謝を語りつつ、デモの開催を、まややとばんばに持ちかける。

「機会がないからやってないだけで、機会があればやってみたかったこと1位」だと、デモに食いつくまややと「昭和の国鉄ストライキ並みのデモをやってみたい」というばんばは、コロリと機嫌が回復。デモに挑むため、それぞれ思い思いのコスプレのような衣装を作りだすが、盛り上がる尼~ずを見て、着たい服を作ることの楽しさから何かヒントを見つけたっぽい蔵之介。

 ちなみに、まややは諸葛亮孔明、月海はクラゲと原作通りの格好だが、ばんばは「近畿周遊キンキちゃん」というキャラクター→近江鉄道のゆるキャラ「駅長がちゃこん」、ジジ様は、笠智衆(男はつらいよの時の御前様)→制服姿の海兵隊員と、視聴者にわかりやすく(?)原作からマイナーチェンジ。ばんばの手下のようになっている運転手の花森(要潤)は、時代関係なく変わらず月光仮面でした。

■修の月海への告白

 

 翌日、再開発を目論むグローバル・シティ・クリエイト(デベロッパー稲荷・泉里香のいる会社)の前で再開発反対デモを開始するが、「無許可のデモだ」と警備員らに追っ払われそうになった瞬間、修が先回りして取っていたデモ許可証を持って登場、みごとな王子様ぶり。

 これに対し稲荷は「色ボケしてんじゃないわよ」と嫉妬する乙女ぶり。本格的に参戦して4角関係になって欲しい。

「大丈夫です、何かあっても僕がなんとかします。だから安心して行ってらっしゃい」と送り出し、あげく帰り道では再開発反対派への寄り添う気持ちを語りつつ、「月見さん、好きです」と、ついに修が告白。今回は完全に蔵之介が守りで、修が攻めという構図。

 このまま、蔵之介は自分の気持ちを抑えるのか、それとも……。月海も修への好意を強く自覚しているので、もはや蔵之介の付け入る隙はなさそうだが……。

 そして天水館所有者である千絵子の母親(富山えり子・2役)の前に再度、稲荷が現れるところで6話は終了。

 羽生結弦の追っかけである千絵子の母は、前回、稲荷にオリンピックのチケットをもらって大喜びしていたので、ということは羽生の金メダル獲得時には会場にいたことになる。前回もオリンピック(羽生)ネタを差し込んでいたので、今回も羽生金獲得にちなみ、一部分だけでも話題が熱いうちに何か差し込んで欲しかったと思ってしまいました。ちなみに千絵子の母のおっかけは、原作ではぺ・ヨンジュン、映画ではチャン・グンソク、そしてドラマで羽生結弦と、見事その時代の世相に合わせている。

 今回、再開発にまつわるいざこざと同時に、月海の過去の思い出が語られた。

 幼少時、クラゲに夢中になるあまり、仲間が離れて行ってしまっていた月海の苦い過去。今回もまたか……と思いかけたところに、修のアドバイスや許可証取得の助け舟。トラウマを払拭してくれるほどの修の活躍に、もう2人の仲はこのまま固まってもおかしくないと思うのだが。

 気になるのは、傍若無人で怖いものなしっぽい蔵之介の素顔を、月海が知ったこと。幼少時、実の母と別れて暮らすことになった際に、泣きわめいたり、時々それ以降も一人でこっそり泣いていたという蔵之介の意外な一面を聞いたことで、月海の気持ちはどうなるのか。しかし、蔵之介の弱さや、強がりつつ自分(修)を助けてくれた蔵之介の優しさを、うれしそうに教えてくれたのは当の修で、月海は異母兄弟ながらお互いを思い合う2人の関係を知ったことになる。

 これを踏まえての次回の展開に期待しましょう。
(文=柿田太郎)

まさかのソウルロケも実らず……平昌五輪の裏で月9『海月姫』視聴率急落の5.3%!

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。女装イケメンの蔵之介(瀬戸康史)と童貞エリート・修(工藤阿須加)の異母兄弟との三角関係が動きだす第5話は視聴率5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。先週7.5%まで上昇したのだが、裏の平昌五輪スケート中継に押されダウン。オリンピック以上に激動だった内容を振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■五輪を意識し韓国ロケ

 

 裏の五輪を意識し、まさかのソウルロケ(「韓国ソウル」の太字テロップ付き)からスタート。本気で天水館を買収に動き出したデベロッパーの稲荷翔子(泉里香)は、天水館のオーナーである千絵子(富山えり子)の母親(そっくりだと思ったら富山の一人二役)に会いに訪韓。羽生結弦のおっかけをしている母親に男子フィギアのプレミアチケットを渡し、がっちりハートを掴む。遊んでますねー。

 父親の慶一郎(北大路欣也)が、自身の議員生活30周年パーティで、再開発賛成派であることを表明すると聞いた蔵之介は、その日に、前回立ち上げたファッションブランド(ジェリーフィッシュ)のショーをすることを天水館の住人(尼~ず)に提案。ブランドで儲けた金で、買収を阻止する狙い。当初、反対していた住人も『蒼天航路』全巻購入(まやや=内田理央)やプラレール購入(ばんば=松井玲奈)に目が眩み従う。

 人形マニアの千絵子の友人である人形ドレス裁縫の達人・ノムさん(安達祐実)も仲間に加わり、ドレス作りは順調に進行。「人形を人間だと思っていて、人間を虫けらだと思っている」安達祐実の年齢不詳ぶりや、地に足ついたオタク演技ぶりが見事。さすが祐実……恐ろしい子。

 ショー間際に裁縫が間に合わなくなった際も、まややの皮膚に直接裁断した布を木工用ボンドで貼り付ける技で乗り切る。これは人形のドレスによく使われる手法だという。さすが、ノムさん。

 蔵之介は、お抱え運転手・花森(要潤)が自分を監視していることを知り、慶一郎を問い詰めるが、慶一郎も自分の妨害をするなと言い返す。「何がしたいかわからぬが、やりたいことがあるならそれ相応の力を持ってからにしなさい」と見下す慶一郎に「オヤジには一生かかってもわかならいよ、俺のやりたいことなんて」と吐き捨てる蔵之介。愛人の子であるがゆえの根の深さ。

 でき上がったショー用のドレスをモデルとなる蔵之介の不在時に、スタイルの良いまややに代理で試着させサイズ調整するが、三国志オタクのまややは「曹操に縊り(くびり)殺された呂布の気持ちが初めてわかったぞー!」と嫌がる。今回特に多かった“まやや語録”を、どれだけの人が正確に聞き取れているのかは謎だし、「三国志監修」的な人がいるのかも謎だ。

 蔵之介のしてることが気になる修。「あの場所を守るためだ」という蔵之介に「お父さんも兄貴のいうことなら聞くと思う」「お父さんが期待してるのは兄貴の方だって僕もそう思っている。政治家に向いているのは兄貴だって」。

 愛人の子どもという出自であったり、兄の奔放さであったり、それぞれにコンプレックスを抱える(異母)兄弟。

 頭でっかちで自由に行動できない修を見越してか、母・容子(床嶋佳子)は「好きなことをすればいいのよ」「お父さんだって蔵之介だって私だって、みんな好きなように生きてるんだから」と声をかける。これが修の行動にどう影響するのか。

 月海のふとした提案から天水館でのショー開催が決定。

 そのモデル体型を見破っていた蔵之介が、まややもモデルとして一緒にショーに出演することを提案するも、まややは頑なに拒絶。部屋に閉じこもって、その理由を語るシーンが悲しい。

「『殺し屋』だ。小・中・高と続いた俺のあだ名だ。だから俺は高一の二学期から目を前髪で隠すようになってそこからは竹ボウキと呼ばれるようになった」

「俺は嫌いなんだ。この目も、ぎょろっとした身体も」

 千絵子は自分は小・中・高とあだ名が「ハム」だったと励ますが、原作では「大山のぶ代」で、それがドラマで使えないことも悲しい。自らに自信のない自分たちが安心して過ごせる天水館を守るためにとの千絵子の励ましが響き、立ち直るまやや。

 普段イカれすぎてるまややが弱音を吐き出すこのシーンは、原作でも筆者は一番と言っていいくらい好きなシーンだが、やはりうざいと思ってた人が弱いところを見せるのはズルい。

■まややが美人に!

 

 そして慶一郎のパーティ当日であり、天水館のショーの当日。蔵之介は何を思ったか父のパーティに自ら参加、なかなかショー会場である天水館に姿を現さない。

 蔵之介の後輩・琴音(最上もが)も手伝いに駆けつけたり、花森にいたってはショーの司会をノリノリでこなし、まややは、来ていない蔵之介の分まで、実は美人の素顔をさらし見事にモデルを務め上げる。

 衣装にジュースをこぼしてしまい、汚れを落とす間に客も帰ってしまい、絶体絶命のピンチ。そこに蔵之介がパーティ客を大勢引き連れ駆けつけるという、ドラゴンボールで最後に悟空が駆けつけるような、あの主役登場感。

 原作では最初から蔵之介は天水館にいるのだが、見せ場を最後に作らねばならないドラマこその改変でしょう。

 女装モードの蔵之介はショーの最中に自分が慶一郎の長男であることを明かし、客の興味を引きつけたところで、自分らのアトリエである天水館を守るため、再開発に反対だと表明。この「発表」を餌に、父のパーティの客を連れてきたのだ。思わず拍手をする修。

 こういった大胆な行動がリナ(慶一郎の愛人で蔵之介の実の母)にそっくりだと慶一郎の前で笑顔で語る妻・容子。容子は修の実の母であり、蔵之介の義母(戸籍上は母?)にあたるのだが、懐がデカい。

 妻にそう言われ思うところがあるのか、慶一郎はこっそりショーを見学。蔵之介の「反対表明」も聞いていたようだ。

 仕事のために修に色仕掛けをしていた稲荷は「兄に変な真似したら僕は許しませんよ?」と修に強く言われ「何よ……」としか言えない。まっすぐな修に真正面から叱られ、もう完全に好きになっちゃってる様子。都合よく稲荷が修に落ちていくのが可愛く見えてしまうのは、筆者が完全に男目線だからでしょうか。

 映画版で稲荷を演じていた片瀬那奈の弾けたバブリーっぷりがあまりにハマっていたので、イマイチ泉里香に物足りなさを感じていたのだが、弱さが混じる演技がいいですね。

 ショー終了後、蔵之介が来なかったらと思うと不安だったとの思いを伝える月海に、思わずキスをする蔵之介。そして、それを目撃してしまう修。月9らしくなってきました。

 そして、イタリア・ミラノでネット配信されていた映像を見ていたリナ(若村麻由美)から修の元に電話がかかってきたところで、今週はお開き。

 今回は恋模様や蔵之介の家庭事情を除くとファッションショーでまややが活躍するのが山場ですが、前髪を上げて美人になるのを逆算して内田理央を配役していたのを、ようやく回収。映画版でも太田莉菜が同じ逆算ありきで配役されてましたが、これはこれでもちろんいいシーンなのですが、結局美人に戻るだけなのが少し残念。せっかくなら「美人」のイメージのないくらいの「殺し屋」や「竹ぼうき」的な役者を、堂々と美人に見せてしまう(感じさせてしまう)くらいの逆算ではない演出パターンも何かで見てみたいものです。

 そして、主題歌ににゃんこスターが参加していることが先週発表され、一瞬なんでだろうと思ったけど、なるほど瀬戸がワタナベエンターテインメントだからなんですね。さすがキッチリ入れ込んできますね。

 ショーも終わり、次回からは2部とも言える後半がスタート。馴染んできたからか、全体にキャスト同士の雰囲気もよくなっている感じがします。さて、次回もオリンピックネタはあるのか? 楽しみです。
(文=柿田太郎)

低空飛行続くフジテレビ月9『海月姫』芳根京子の「覚醒」と脇役たちの“味”がいい!

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描くラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。第4話は視聴率7.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と1.6ポイントの上昇! 振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■ドラマ始まって以来の重い空気

 

 千絵子(富山えり子)やジジ(木南晴夏)に男では疑われる蔵之介(瀬戸康史)。しかし、男子が欲しかった政治家の家系の方針で、鯉淵家内では「蔵之介」という男として扱われており、本当は「蔵子」という女であるという、ヤケクソな言い逃れを試みる。これに千絵子は「あの子はね、ベルばらのオスカルだったのよ」と涙ながらに信じ込み、危機一髪のピンチを乗り切る。

 その疑惑の説明を受ける際、蔵之介が千絵子らに北京ダックをご馳走したと知ったまやや(内田理央)とばんば(松井玲奈)は、蔵之介に連絡しにかかる。

 クラブ(チャラい方)に遊びにきている女装した蔵之介の元に、北京ダックに目が眩んだまやや・ばんばと巻き添えを食らった月海が到着。

 バタフライというクラブ名を蝶々マニアの集いだと思って駆けつけたが、蔵之介のオシャレな後輩ら(クリエイティブ臭のする社会人)に見た目を笑われ、固まってしまう場違いクラブの3オタク。

 蔵之介は3人のことを「友達」だと庇い、クラブを出てご馳走を食べに行こうと誘うも、ばんばもまややも強く拒絶して帰宅。月海も従う。

「私たちとは住む世界が違う。あの人たちはあっち側の人間なんだから」と考えながら、手の甲に付いたクラブの入場スタンプを洗う月海。ばんば・まややが拒絶したのも、そこなのだろう。

 そんな中、蔵之介の後輩・桐山琴音(最上もが)が、今度プロデュースをするミュージックビデオの衣装にクラゲドレスを使いたいと申し出、他のダンサーの衣装も天水館の住人(尼~ず)で作ることに。もちろん毎度のごとく蔵之介が決めたことで、それで買収されそうな天水館を救おうという狙い。

 しかし、クラブでの件があるからかばんばとまややは拒絶。

「お前が来てから天水館の生活が壊れた」「早くあっちの世界に帰れ」と蔵之介を追い出しにかかるばんば。ドラマ始まって以来、初めての重い空気。

 

■稲荷が本気で修を好きに?

 

 一方、蔵之介の父で議員の鯉淵慶一郎(北大路欣也)は、出世のため天水地区再開発を進めたい考えで、息子で秘書の修(蔵之介の弟・工藤阿須加)に色仕掛け丸出しのデベロッパー・稲荷翔子(泉里香)と繋がることを暗に提案する。月海を想い、悩む修。

 前回、稲荷との誤解を解こうと修が天水館にやってきたが、そのとき修に会わなかった心情を語る月海。

「悲しいことや嫌なことがあったときは、心の中にある小さな箱に閉じ込めて(中略)ガムテープでぐるぐるに巻いてして二度と開かないようにしてしまえば、それは忘れたのと同じ」

 修への誤解を解くため、2人で会う機会をセッティングする蔵之介。今のところ完全に弟の恋をサポートする体制だ。

 しかし、稲荷は電話で自殺をほのめかし修をテンパらせ誘導、簡単に引っかかり月海との待ち合わせをすっぽかす修。女性に免疫がないが故の悲劇。

 修が駆けつけるや否やドッキリだとチャラけて種明かしをする稲荷。その瞬間、本気で心配した修のビンタが炸裂。

「バカヤロー!」これにより稲荷が本気で修を好きになりだすという例の展開。

 

■ばんばさんが男前

 

 蔵子(蔵之介)のいない尼~ずだけの天水館の食卓は、どこか元気がない。

 特に、蔵子にきつく当たったばんばは元気がなかったが、夜が明けると一心不乱にドレスのデザインをするばんばの姿が。

「蔵子を呼べ!」

 この時のばんばは、かなり男前。しかしドレスは新幹線を模した鉄オタでも着なそうな鉄オタ風味。ドラマ開始以来初めてばんばの男前な人物像が掘り下げられ、もっとこういうのがあってもいいのにと感じました。

 ばんばのデザインは採用されなかったが、前向きなばんばをきっかけに月海が「覚醒」、クラゲデザインを量産、なんとか2日で10着完成させる。ハサミを居合抜きのように振り回し立ち回る月海の姿がイカす。

 ここで初めて自分が愛人の子で、修とは異母兄弟であることなどが蔵之介から月海に語られる。ドレスに惹かれるのも、母親が舞台女優だったかららしい。

 養育費を払うのではなく、蔵之介を引き取ったのは代々政治家だから男はいくらでも欲しかったかららしい。設定変更の説明に聞こえなくもないが、もやもやをスッキリさせる。

「でも俺は母さんの近くに居たかった」

 もし自分が女だったら、母親の近くにいられたこと、母親の残したアクセサリー等があったことなどから女物の服に興味を持ったのではと、蔵之介は自己分析。母親は今現在どこにいるのかもわからないという。

 高級焼肉に連れていくと騙して、前回のように尼~ず全員をドレスアップさせ、琴音のMV撮影現場に連れていく蔵之介。場違いだと帰りたがる月海らに蔵之介は言う。

「前に言ったよね? オシャレは強く生きるための武器だって」

「今のみんなは武器を手にしてるんだから大丈夫」

「その証拠に、琴音が月海たちを見ても、前に会った人たちだって気付かなかったでしょ?」

 このたびたび出てくる「オシャレ=武器」理論。わかるようなわからないような……素直に納得したくないような部分もある。これは言ってる作家を受け入れられるかどうかという問題になってくるのだろうか。

 今回のMVに使用したドレス11着を元にブランドを立ち上げるという。ブランド名はジェリーフィッシュ(クラゲ)。

 

■三角関係がよりくっきりと

 

 自分のような人間と一緒にいて恥ずかしくないのか? といつまでも卑屈な月海に「俺が月海を変身させてるのは、普段の月海が恥ずかしいって思ってるからじゃない! 月海が本当はかわいい女の子だって思ってるからだろ?」と本音を言ってしまってから照れる蔵之介。

 そういえば、修に待ち合わせをすっぽかされた月海を迎えに来た蔵之介は、涙を我慢し、明るく努める月海をまっすぐに見つめていた。この「告白」で、月海は初めて蔵之介を意識しだし、蔵之介もドキドキしだし、いびつな三角関係がより明確に。

 これは、映画『恋しくて』(1987年)や漫画『タッチ』(小学館)など、恋に不器用な友人(兄弟)のためにいろいろレクチャーしたり譲ったりするが、影武者なり裏方のつもりだった自分の気持ちがどんどん大きくなって世話を焼くほどに苦しむという、距離の近い者同士がいる三角関係の王道パターンで、筆者はこの感じが好みなので、とことん苦しむのを期待したい。

 その頃、天水地区再開発を進めたい慶一郎は稲荷と会食の場に騙し打ちで修を同席させ、修が買収用地に住む月海に恋していることに触れる。

「政治に個人的な感情を持ち込まれては困る」「その通りだと思います」とシンクロする古狸と女狐。むしろ「個人的な感情に政治を持ち込んでる」だけなのだが、真面目な修はどうするのか。

 最後は、重機で天水館が取り壊されるような煽り方で来週へ。

 今回はギャグ的なパートよりシリアスな部分が多く、やや新鮮な回。ようやく話が繋がってきた感じなので、ここから物語的には見やすくなるのではないでしょうか?

 あと、このドラマは尼~ずキャストのなりきりぶりの評判が悪くないのだが、他の脇役がいい味を出している。鯉淵家の運転手・花森役の要潤は律儀なギャップある壊れ方が似合ってるし、稲荷の同僚の佐々木公平役の安井順平(元アクシャン)は「あれはあれで」人を食ったいい味を出している。

 次回はさらに新キャラも登場するし、彼らにも今回のばんばのようないい見せ場が今後あることを期待しつつ、来週へ。
(文=柿田太郎)

 

視聴率は5.9%……『海月姫』謎の“童貞いじり”激増は「はあちゅう騒動」への忖度?

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く月9のラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。第3話の視聴率は5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。ここまできたら、もはや数字は関係ない。トレンドにはよく名前が上がっているのだが……。

 前回の第2話では、天水館に出入りし出した女装美男子・蔵之介(瀬戸康史)と、その弟で政治家秘書の修(工藤阿須加)が異母兄弟であること、蔵之介は、父親で議員の鯉淵慶一郎(北大路欣也)と愛人・リナの間に出来た子であること、しかも、そのリナと慶一郎との情事を見かけてしまったために修は女性が苦手となってしまったことなどが判明した(慶一郎いわくBまでらしい)。

 やり手デベロッパー・稲荷翔子(泉里香)は色仕掛けで修に強引に近づくが、月海は、まんまと修と稲荷がデキていると勘違いしショックを受ける。

 そんな中、稲荷の進める再開発事業から天水館を守るため、蔵之介はクラゲをモチーフとしたドレスを作って売ろうと月見に提案した。

 それに続く今回は、原作にも映画にもアニメにもないドラマオリジナルパートがとても多かった。軸は2つ。ドレス作りと、月海・修のデートだ。振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■修を利用し合う父親と地上げ女

 稲荷という女性が修の忘れ物(メガネ)を届けに来たことに疑問を持った父・慶一郎は、お抱え運転手・花森(要潤)に問うが、何も知らないという。しかし「こないだ言ってたレクサスのホイール買ってもいいぞ?」と言われ、すかさず修が朝帰りした情報を売り渡すレクサス大好きな花森(原作ではベンツ好きだがスポンサーがトヨタのため)。

 その女性のことを調べるように言われて、また断るが、「新しいレクサス買ってやるぞ」という殺し文句に、すかさず事情通らしき相手(すぎもっちゃん)に電話をかけるレクサス大好きで薄情者の花森。原作では、「運転手であると同時に修の幼馴染みであるため修に対してスパイのような真似はできない」と断るのだが(すぐ寝返るが)、ドラマでは「子どもの頃から修を見守ってきたのでスパイのような真似はできない」という理由に変更されている。

 結局「実年齢のバランスを踏まえ、原作の設定とは違い、修が1歳下の弟という設定」に変更したシワ寄せだろう。この年齢設定も伝わってるとは言いがたく、正確な理由を知ってなお、原作のまま兄・修、弟・蔵之介でいけたのではないかと思ってしまう。しつこくてすみません。

 とにかく「修が童貞を捨てられて本当によかった」と勘違いしている慶一郎。

 再開発に対する地域住民の「反対」の声が大きくなったら、稲荷を利用してその住民らを押さえつけることもできると画策。修もそれを利用して稲荷に近づいたんだな? と買いかぶる親バカぶり。

 現に、天水商店街を中心に反対の声が上がり出しているらしいのだが、稲荷は稲荷で、「鯉淵Jr.(修)を動かして私の意のままに扱えれば、その上の鯉淵慶一郎を動かせる」。

 結局、修を介して双方が双方を利用しようとしている。古狸と女狐の騙し合い。

■ドラマ、オリジナルのシーン

 一方、修はそんなことはつゆ知らず、蔵之介に月海にまた会いたいと打ち明ける。このシーンは、修が、いかにも弟然としていて、また蔵之介は、いかにもお兄ちゃん然としていて、これはこれでいいシーンだった。

 デートすることを蔵之介に勝手に決められテンパる月海の演技も面白く、オタク演技に慣れてきたのか適度に力が抜け、回を追うごとにナチュラルなコメディエンヌぶり。次はもう少し自然に演じられる役を見てみたい。

 かわいい弟のため、そして月海のため、メイクやスタイリングを(強引に)請け負う蔵之介。このデートのくだり全て原作にないオリジナルだ。

 デートなぞ初めての月海に蔵之介がさずけた秘策は2つ。

 1つはメガネ禁止。視界がぼやけて至近距離でも緊張しないからという理屈。

 もう1つは「そうですね」。「会話に困った時の魔法の言葉」で「とりあえず相手に同意しておけば悪くは思われない」ということらしい。

 案の定、緊張して何を話していいかわからない月海は『いいとも!』の観客のように「そうですね」を連発する。

「お昼は食べましたか?」→「そうですね」

「この後近くのお店を予約したんですが事前にお伝えすればよかったですね」→「そうですね」

「段取り悪いですよね」→「そうですね」

 結果、修が落ち込むというコント。

 結局ご飯を食べに行くが、視力を奪われたままの月海はグラスを割ってしまい、そこで思わずメガネをかけてしまう。

 しかし、驚いたのは修の方。そのメガネ込みの顔を見て、月海と何度か会っていたこと、そして「気色悪い」と言ってしまったことに気づく。

「ごめんなさい、僕今まで大変失礼なことを……いえ……なんでもありません」

 修は謝りかけるが、自分のしでかしたことの重さに気づき、具体的に謝罪できず、月海には何も伝わらない。双方のマンツーマン初デートは気まずいまま尻すぼみでお開きとなった。月海はその気まずさを、自分が嫌われたからだと思い込む。

■月海のセンスが爆発

 恋模様と並行して、ドレス作りも進行する。月海の書いたハナガサクラゲのイラストを見て、それをドレスに見立て興奮する蔵之介。

「俺こんなドレスあったら何十万しようと絶対買う」

 それに対し「ハナガサクラゲは非常にデリケートな生き物だから、飼うのは不可能であります」とオヤジのような勘違いをする海月バカ一代の月海。

 蔵之介はひと巻き丸ごと買ったという布の上に半裸で寝そべり、月海に裁断させる。男なのにお構いなしに部屋に上がりこみ、月海のためにあれこれ尽力する。

 千絵子(富山えり子)のミシンの技術を借りて完成したのは、布の素材がしょぼいため実に安っぽいスカート。しかし、ここで月海のセンスがどんどん開眼。スカートを縦に割き、縫い目を生かしておしゃれに仕立て直していく。

 蔵之介は、ジジ(木南晴夏)をそそのかし千絵子とともに、修に嫌われてると思い込み鯉淵家に近づきたがらない月海を強制的に自宅へ拉致。蔵之介の部屋でさらに作業を進める。

 そこでは、さらに月海のセンスが爆発。真珠のネックレスを引きちぎり、その真珠を裾から垂らして真珠の触手として装着。蔵之介はその出来に目を丸くする。

 ネックレスはウン百マンする(母の形見だろう)らしいのだが、蔵之介は意に介さない。

「こんな素晴らしいドレスに化けるならあの人もきっと喜ぶだろう」

 この辺は原作通りなのだが、そもそも、これを天水館の資金にしたら? とも思ってしまう。

 この後、ジジは鯉淵パパと対面し、枯れ専として萌える~という展開なのだが、北大路欣也はどう見ても「枯れ」てなく、ジジが萌えるにはアクが強すぎる。

 ジジは老けてれば誰でもいいわけではないはずなので、こだわりのある人(枯れ専がオタクなのかわからないが)を描くなら、こういうところはちゃんとしないといけないのでは? と思ってしまう。

 しかし原作でも「オタク」という意味で「腐女子」という言葉をずっと誤って使っていたので、どっちもどっちか。

 ここで問題が勃発。

「息子のお友達だね、いらっしゃい」

「蔵之介のことだからお茶もだしてないんだろうな」

「ん? 息子?」

「ん? クラノスケ?」

 慶一郎の発言から蔵之介が男だということが千絵子(とジジ)にばれてしまう。後日、蔵之介は千絵子に、今後一切天水館への出入りを禁止されてしまう。

■稲荷 vs 月海

 ぐいぐいくる稲荷を断るため「好意を寄せている女性がいます。ですからあなたと今後このように2人で会うことはできません」とはっきり告げる修。

 それを聞き諦めると言いながらも、「これからは修さんの恋を応援します。乙女心のことは私に何でも聞いてください」と、修の懐に入り込む稲荷。当然うわ手だ。

 ここで修に電話が。

「あ、すぎもっちゃん? 今、修さんが『トゥギャザー』してるのって開発屋の『ちゃんねー』の方だよね?」

「旦那様に報告してんだけど『巻き』がすごくて、『ケツカッチン』なのよ? 悪いけど『巻き巻き』でお願いできる?」

 修の女事情をスパイしてる花森が、協力者(すぎもっちゃん)にかけるつもりでうっかり修に電話をかけてしまったことで、慶一郎の指示で尾行されていることなどが修にばれてしまう。やってることはエグイのに、口調がルー大柴だからか、どこか憎めない。得な人柄だ。

 すぐさま花森と合流し、事情を問い詰める修。

 おかしいのは、その一番聞かれたくない内容を、稲荷のいる車中で全て話してる点だ。修と花森、どちらも聞かれたくない内容のはずなのに、全部筒抜けで話し合う。

「私とのこと言っちゃたんですか?」と慶一郎と繋がりたい稲荷はうれしそう。

 しかもその時、ドレス作りをひと段落させ、夜道を歩く蔵之介・月海と偶然出くわしてしまう。この4人で話すのは初めてだ。

「この地上げ屋(稲荷)とどこ行ってたんだ?」と噛み付く蔵之介。

「ホテルのバーでお酒飲んでいただけよ、ねー修?」としなだれかかる花森。

「稲荷さん、先ほど話した(好意を寄せている)女性がこの方です」と月海を認識させる修。

 なぜここまで稲荷を信用してしまっているのかが、今回一番の謎。いろいろ大人の都合でこねくり回されたあげく、修のキャラだけが異様に割りを食っている気がする。

 すかさず稲荷は「私、修さんとかこういう関係なの」と先日催眠術で修を昏睡させて撮ったベッドインしている自撮り写真を月海に見せる。「おわおおお!!」と、のけぞる月海。そりゃそうだ。

「さっき修さんから話聞いたんだけど、あんたのことずっと気持ち悪いオタクだって思ってたんだってえ、化粧と服装で騙されて、自分で誘ったのが気色悪いあんただって気付かなかったんだってえ(笑)」

「修がそんなこと言うわけない」と蔵之介はフォローするが、月海の耳には入らない。

 この展開のために、修が普段の月海を初めて見たとき「気色悪い」と発言(第1話)をさせたのだろうが、本人を前に「気色悪い」発言をしてるのは事実なので、稲荷だけが悪いとも言えなくなってしまわないだろうか?

 もちろん悪意を過剰に追加してるのは稲荷だが、あそこで簡単に「気色悪い」と口走るような人間に修を仕立ててしまうのは安易すぎなかったか。ちょっとした展開の都合のために主要キャストの人格の根底を貶めるような手の入れ方には、改めて疑問を感じる。どんなにドンくさくても、修の好感は何よりも保たないといけないと思うのだが。

 稲荷の口撃に思わず逃げ出す月海。蔵之介は追いかけるが、修は立ち尽くしたまま。

「これだけはハッキリ言わせていただく。僕はあなたと心まで結んだ覚えはありません」

 いや、そういうのいいから月海を追っかけてないの?

「あなたが自分でも気づいてないこと教えてあげましょうか? あなたみたいな男はね、本当は私みたいな女に振り回されるのが好きなの。本当に私のことが嫌なら、いちいち構わなきゃいいじゃない?」後半はその通りだと思います。

「心の奥底で、もう一度私とセックスしたいって思ってるからよ(ハート)」

 フラフラになりながら立ち去る修を見て「あれ、童貞っすね」と肉まんを齧りながら呟く稲荷の下僕・佐々木(安井順平)がいい。

 一方、天水館に戻った月海は、決して部屋から顔を出さない売れっ子漫画家の目白先生に「嫌なことを忘れて眠りたいときはどうすればよいでしょうか?」と筆談で尋ねて、一言「酒」と答えをもらう。

■鯉淵家と天水館が断絶?

 帰宅後、「メガネをかけた女性が月海さんだと気づけなかったのは事実だ」「正直わからないでいる、僕が好きだと思った女性は、綺麗に着飾った月海さんだったのかな」と月海の元に行くことを拒否する修。気持ち悪いと言ったことは否定しているが、それは稲荷の前で月海の陰口を言っていないという意味だろう。少しわかり難い。

「もういい。これ以上月海傷つけるな」と呆れる蔵之介。

 屋台で酔い潰れていた月海をお姫様だっこで抱えて帰る女装姿の蔵之介がシュール。亡き母親に抱っこされてたことを思い出し、「お母さん」と寝言を呟く月海を見つめる蔵之介。

 蔵之介が男だと知った天水館の住人(尼~ず)は、月海を励ましつつ鯉淵家の人間と関わるなと言い放つ。もちろん月海は知ってたのだけど。

 しかもこのタイミングで修が意を決して月海を訪問してくる。つくづく間の悪いやつだが、それは修の良さでもある。

「月海さん、僕はあなたのことを水族館で抱きしめるまで、女性に触れたことはありませんでした」

「なぜあんな行為をしたのか、それは決してあなたのことが可愛かったからだけじゃないんです」

 玄関より中に入れてもらえず、ばんば(松井玲奈)とまやや(内田理央)に押さえられつつ叫び続ける修。こんなこと隣人の前で叫ばれたら絶対嫌だな~と思うが、このやけくそ具合は確かに童貞だ。はあちゅうにいじって欲しい。

「あなたのことを抱きしめたのは、あなたのことを守りたいと思ったからです」

「もう一度僕と会ってください! 月海さん!!」

 ここで来週へ続く。

 原作から映画やアニメでも童貞いじりはずっとあったのだが、このドラマではなかなか「童貞」というワードが出なくて、「女性が苦手」みたいに濁していたので、何かコンプライアンス的なものなのか、それこそ、はあちゅう案件がらみで自粛したのかと思っていたが、3話にして思いっきりいじられていた。ネットの予告動画でも「童貞童貞」言ってたから、なんだろうとは思っていたのだけど、もしかしたら、世の情勢を見回して今頃ゴーサインが出たのだろうか? 考えすぎかもしれないが謎だ。

 3話目にして役者のクセのある芝居は安定してきたが、細かい心理がいまいちよくわからない部分が多い。特に修は大事なキャラクターなので、ぜひ愛される人物に育ててあげて欲しい。そして視聴率などこの際気にせず、吹っ切って突き進んでいただきたい。中盤以降どう展開させるのか、どこをゴールにするのか、次回の放送を待ちたい。
(文=柿田太郎)

フジ月9『海月姫』6.9%急落で早くも危険水域!「脱落者続出は必然」そのワケとは……?

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く今期の月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。

 先週の第1話では、男子禁制の天水館に、ふいに現れた女装美男子・蔵之介(瀬戸康史)がシャイすぎる月海をメイクで変身させたり、蔵之介の弟(原作では兄)の政治家秘書・修(工藤阿須加)が変身後の月海に一目惚れしたり、主に人物や設定の紹介といった感じで、視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったのだが、今週の第2話は6.9%とダウン。早くも危険水域にきてしまった。さっそく振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■あらすじ

 まず第1話でさして説明のなかった月海以外の天水館の住人(尼~ず)を整理しておきたい。

・千絵子(富山えり子):和装・和裁・和人形オタク。大家の娘で、この中で比較的常識ある方。

・まやや(内田理央):三国志オタク。万年ジャージで前髪長く、表情一切わからず。もっともテンション高く、変な動きで情緒不安定。

・ばんば(松井玲奈):鉄道オタク。昔の鶴瓶ヘア(天パらしい)のため、こちらも表情一切わからず。ドラマでは、まややに寄せたのか、原作に比べテンション高め。

・ジジ(木南晴夏):いわゆる枯れ専と呼ばれる地味中年男性好き。当人も地味でおとなしめ。

・目白先生(?):売れっ子のBL漫画家だが部屋から一切出てこず、声も出さない(ドアの隙間から紙で筆談はあり)。他の住民に「ご託宣」を与えたり、アシスタント仕事を与えたりして、神のごとく崇められている。

 こんな天水館に勝手に出入りし出す女装姿の蔵之介。月海以外の住人には男性だと知られていない。

 そんな蔵之介は、老朽化のため破裂した天水館の水道管の修繕費(20万円)を稼ぐため、フリーマーケットに参加することを尼~ずに提案し、実行に移す。香川の琴平電鉄のつり輪が200万円(ばんば)など売れそうにないものしかない中、なぜか月海の手作りクラゲ人形が若い女子に大好評。急遽、尼~ず総出で人形を増産し、なんとか費用を捻出する。

 千絵子が人形を15万円で売ったのが実はデカいのだが、初めて住人同士で力を合わせたということで、なんとなく蔵之介の存在がみなに認められ出すという展開。死ぬほど金持ちなんだから、20万円くらいポンと蔵之介が親の金から出しそうなのに……。

 そんな中、天水館のある場所が高層ホテル建設の再開発地域に含まれており、大家である千絵子の親も土地を売ることを決断していたことが発覚。蔵之介に尻を叩かれ、地域センターでの再開発の説明会に抗議に向かう尼~ずたち。

 しかし、そこで月海の隣に座ったのは蔵之介の弟で、政治家の父親の秘書を務める修。先日水族館で、母親のことを思い出し取り乱す月海(蔵之介によりメイクとかされてる)を抱きしめていたくせに、「今日は月海さんはいらっしゃらないんですか?」と月海の存在に気づかない。コミックなら受け入れられる展開なのだが、さほど変化が見えない今回の実写化では、やはり違和感を感じてしまう。

 ここで登壇したデベロッパー・稲荷翔子(泉里香)に追いやられ、逃げるように会場を後にする尼~ず。壇上から雑談を注意され、「オタクなので注目を浴びることに耐えられず逃げ出す」という心理なのだが、「人の視線が苦手」と、はっきり活字で表記された原作部分を読まずに、これが伝わっているのか少し謎だ。

 開発・土地買収を進めたい稲荷は、修の父親で議員の鯉淵慶一郎(北大路欣也)を味方につけるため、あからさまな色仕掛けで修に接近。その稲荷が相合傘状態で修と歩く姿を目撃した月海は、ショックを受ける。

 仕事のために、なりふり構わぬ稲荷は、修のドリンクに薬を盛り、昏睡状態にして共にベッドインしている写真を撮影する……のが、原作含め今までの作品だったのだが、コンプライアンス地獄の今のテレビでは、ドラマですらその表現が無理なのか、紐で吊るした5円玉で催眠術をかけて眠らせるという苦肉の策。

「いざってときのために、通信講座受講してたのよ」という説明も苦しいが、このご時世そこは仕方ないのだろう。犯罪誘発だとか騒ぎになって、サイゾーとかに揚げ足を取られるのもあれですし。とにかく、記憶のない修の弱みを握るのに稲荷は成功する。

 一方、天水館では、蔵之介の手で尼~ずメンバー全員をメイクやウイッグやおしゃれな服で「ビフォアアフター」化。「悲しいけど、世の中には人を見た目で判断する人間がいっぱいいる」「だから鎧を身に纏え」ということらしい。この意味のないファッションショーに月海は、「お母さん、不思議です。あげに苦しかった胸のあたりが、いつの間にか軽くなりました(鹿児島弁)」と満足げ。

 修が女性を苦手とする原因を、運転手の花森(要潤)から聞き出す蔵之介。それは昔ミュージカルを観に行った時に、「慶一郎様と、リナ様のあの現場(性交)」を見てしまったことが原因らしい。果たしてリナ様とは?

 そんな中、稲荷が挨拶がてら天水館に乗り込んでくるが、尼~ずたちは気押されたり、手土産のマカロンに浮かれたりと防戦一方。契約は、大家である千絵子の母親と話を進めていると強気な稲荷だが、居合わせた蔵之介は「うちらがここのオーナーになればいいわけだ」「1億だろうと5億だろうと10億だろうと、買う!」と啖呵を切り、追い払う。

 にわかに活気付く尼~ずだが、稲荷の手土産に混じっていた修のメガネ(先日の忘れ物)に気づいた月海だけは元気がない。修と稲荷が付き合ってると思いこみ、号泣しだす月海を、今度は蔵之介が抱きしめる。

 蔵之介は、父親に天水館を買い取る資金として3億円無心し、さすがに断られる流れなのだが、いつまでもプラプラしてることを説教された腹いせなのか、修が男嫌いになった原因の話を半笑いで父にぶつける蔵之介。

「俺の母さんの舞台を観に行くたびに、楽屋でエロいことしてたんでしょ?」

「トラウマになっちゃうよね? 父親と愛人が抱き合ってる現場を目の当たりにするなんてさ」

 つまり、蔵之介と修は異母兄弟で、修の女嫌いの原因は蔵之介の母親(愛人・リナ)だったのだ。兄・弟の年齢上下は逆だが、これは原作通り。

 稲荷のせいで失恋気分の月海だが、自室でこっそりクラゲっぽいウエディンドレスを着ているところを蔵之介に見つかり、恥ずかしすぎてテンパる。母が大きくなったらクラゲのようなドレスを作ってくれると言っていたから……とか、いろいろ言い訳する月海だが、亡き母がドレスを集めていたことを思い出した蔵之介は、クラゲドレスを売って天水館を買い取ろうとひらめく。

 

■それでも頑張っている芳根京子

 

 前回、結構悪く書いてしまったので、よかったなというところをまず意識してみました。

 月海のビフォアアフターの差があまり見えないところは相変わらずだが、それでも芳根京子の芝居は安定しており、前回不満を感じたオタク特有の早口口調がやや力みすぎなところも、今回はいい力の抜け方で、かつ全体に思い切りもありいいと思います。

 尼~ずの面々は漫画に寄せすぎて、特にまややとばんばは、もはや誰でもいいのでは? という意見も上がってますが、木南晴夏演ずる枯れ専のジジの薄いキャラは、映画版を凌ぐハマり具合だと思います。

 あと細かいところですが、第1回の放送で、初めて蔵之介が尼~ずの面々に遭遇した際、自分らがオタクだと指摘され「いいえ、まだまだ私たちはオタクとは呼べませんよ」と千絵子がうれしそうに謙遜する感じもリアルでよかったです。

 原作コミックでは「石化」といって、尼~ずが人見知りを発動したり動揺すると石のように固まってしまうくだりがあり、アニメはもちろん映画でもCGでそこを再現していたのだが、おそらく時間的な問題なのか予算的なものか、ドラマでそれができないための苦肉の索としての「いいえ、まだまだ~」なのかもしれない。

■修に月海を「気色悪い」と言い切らせた問題

 

 そして、ここからは気になるところなのだが、まず、第1話、第2話と見て感じたのは、やはり脚本なり演出なりの雑さ。

 今頃になって蔵之介が大学生であることが明かされたり(早くに秘書だと紹介される弟・修に比べ、なぜここまで蔵之介の立場が明かさなかったのかが謎)意図のわからない部分が多い。

 月海が自らクラゲっぽいドレスを着ているのを蔵之介に目撃されるシーンでも、原作ではフリマで古着を調達し、それを材料として「クラゲ人形」を作るシーンがあっての、その残り物の服があったから月見が自室で羽織ることにつながるのだが、今回いきなりそのクラゲドレスが現れた背景がよくわからない。

 そしてここまでの話において、修と稲荷が歩く姿を見てショックを受けるほど月海は修を想っているのだが、なぜそこまで好きになれているのかが、いまだにピンとこない。アマクサクラゲに似てクールだかららしいのだが、第1話でメイク前の普段の月海を前に、修は引き気味に「気色悪い」と言っている。

 確かに、原作でも「あーきもかった」と独り言のように言ってはいる。しかし、それは月海のいない場所で独り言としてだし、しかもその時の月海は、おデコにキョンシーのお札を貼り、暴れて取り乱していた。

 しかし、ドラマではそこまで言われるほど暴れてもいないのに、目の前でハッキリ「気色悪い」と修に言わせている。ただオタクとして男性が苦手で挙動不審なだけで、だ。これは本人を目の前にして言わせてはダメではないだろうか? これがずっと引っかかってしまう。

 確かにフリとしては好きな人間に嫌われていた方が落差が生じていいのかもしれない。だが、いくらコメディパートだからといって、あえて本人の前で「気色悪い」と言わせてしまうのは迂闊すぎないだろうか?

「気色悪い」と言われた月海の姿は、少々パニクっていたとはいえ、飾り気ない月海そのものの姿だったはずだ。飾り気ない自らの姿を「気色悪い」と重めに全否定。恋に落ちるどころか人間不信になりかねない出来事だと思うのだが、異性が苦手な「オタク」には神経がないとでも思ってるのだろうか。

 さらに、この2人は次の日、普通に水族館デート(蔵之介もいたが)をしたりもしている。その時、修はメイクで変身した月海にデレデレたり、あげく抱きしめたりしてるし、月海もその「気色悪い」事変などなかったように接している。

 たとえ自分ではない「他人」に言っていることになってるとはいえ、目の前で女性に「気色悪い」と言い切るような人に、メイクしたらすぐ抱きしめられて、果たして月海はうれしいのだろうか? そんな安易な性格なのだろうか?

 そこをクリアしない限り、このドラマを楽しく観ることができないというのが素直なところだ。

 人気原作があるからと、話の運びや「使えそうな」エピソード素材を散りばめ、尺を稼ぎ、切り貼りするだけで、人物の心理のや気持ちのつながりをおろそかにしていては、コメディ部分はおろか、うわべの恋愛模様すら描けないのではないか。

 ネットを見る限りでは、このドラマを観ている人は原作や過去の映像作と見た上で比較しながら鑑賞している人が多いようだ。だから確認をしただけでドラマ自体に魅力を感じない人は、どんどん脱落していくだろう。原作の「付録」のような意識で製作が映像化してるのだとしたら、この先ますます不安である。

 現場が頑張っているのは、もちろんわかる。まだ始まったばかり、なんとか盛り返していただきたい。
(文=柿田太郎)

8.6%スタートの月9『海月姫』演出と原作改変の問題で、役者の頑張りが報われない!?

 15日、フジテレビ系列で放送が始まったドラマ『海月姫』。原作は、『東京タラレバ娘』などで知られる人気漫画家・東村アキコの同名コミックで、いわゆるオタク女子が女装美男子、童貞エリートと知り合い、なんやかんやあるという、ざっくり分けるなら「ラブコメディ(コメディ度強め)」に分類される作品である。

 2010年にテレビアニメ化、15年に能年玲奈主演で映画化されており、3度目の映像化、2度目の実写化となる。

 前作『民衆の敵』が数字的には最終回4.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)という惨敗に終わった瀕死の月9枠で、なおかつクセのある原作の再度の映像化ということもあり、いろいろ危ぶむ声も聞かれていた同作だが、初回は平均視聴率8.6%と「様子見」な滑り出し。

 しかし、ある設定変更が一部ファンの間で物議を醸している。内容を振り返りましょう。

 

■あらすじ

 冴えないクラゲオタク女子・倉下月海(つきみ・芳根京子)が自室で目を覚ますと隣にいきなり半裸の美男子(鯉淵蔵之介・瀬戸康史)が!

 なぜ!? パニック! というツカミから、ドラマはスタート。ここから早くも、昨夜の回想に。

 いつものように熱帯魚屋的な場所で大好きなミズクラゲ(命名・クララ)に語りかけていた月海は、クラゲの飼育に無知な店員に激怒し、大もめ。そこに通りかかった美女に仲裁してもらい、一緒に帰ることになるものの、ついてきたその美女は自室にまで上がりこむは、勝手に一泊するはと、グイグイ来る。しかし翌朝、月海が目を覚ますと、カツラや胸のパットが取れており、男子だったー! という冒頭部分の種明かし。

 熱帯魚屋の店員を「おしゃれ人間!」と恐れていたほど男性に免疫のない月海は、当然出て行ってもらいたい様子。しかも、この古びた共同アパート・天水荘は月海が「尼寺」と呼ぶように、オタク女子(相当クセ強め)だけが暮らす男子禁制の場所だからなおさらだ。

 しかし、男性であることはバレなかったものの、あえなくオタ住民(尼~ず)に「美女」の侵入が見つかってしまう。月海同様、宗教のごとく「おしゃれ人間」を禁忌する住民たちはその「美女」を敵視する。政治家の息子で金持ちの蔵之介(美女)は、悪気はないのだが、

「その歳で全員バイトってことはないでしょ?」

「要は、ニートでオタクの引きこもり軍団ってこと?」

 と、属性の違いも踏まえずズケズケと来るため、両者の溝は深まるばかり。

「我々にはバイト以外にもれっきとした収入源がある……親からの仕送りだぁ!」と言ってのける異種オタク共同体・尼~ずと、大金持ち実家暮らしの女装男子って、ある意味同じ穴のムジナな気もするのだが、人種的に相容れない様子。

 そんな中、月海はたまたま見かけた蔵之介の弟・鯉淵修(工藤阿須加)が気になる。なぜなら、アマクサクラゲに似てクールだから。

 恋心的なものを抱いているのに、それを認めない月海に蔵之介はしびれを切らし、月海に強制的にメイクやコーディネイトを施して垢抜けさせる。いわゆる「メガネを取ったら美人でした」パターン。

 その「美人」と化した月見に、見事、ひと目惚れした修。それに気づいた兄・蔵之介のお節介で天水荘に行くも、普段の三つ編み・めがね・ジャージ(この日はドテラも着用)で、かつ男性を前に挙動不審なため、月海に気付かないばかりか「気色悪い」とまで言ってしまうほど。これは傷つく。

 ある思惑から弟・修と月海をくっつけるために水族館デートをセッティングし同行するも、普段まったく女性に不自由しないほどのイケメンなのに、月海が気になりだしてしまう蔵之介。

 見事、ややこしい三角関係が出来上がり、しかも蔵之介や修の父・鯉淵慶一郎(北大路欣也)がからむ市街地再開発で天水館がなくなるかも? と、舞台が整ったところで第1回は終了。

 月海は、亡くなった母親との思い出をクラゲに抱いてる様子。

「女の子は大きくなったら、みんなキレイか(鹿児島弁)お姫様になれるんだよ」(母親)

「お母さん、ごめんなさい、私はお姫様にはなれませんでした」(月海)

 水族館で、そんなやり取りを思い出して涙する月海を思わず修は抱きしめ、それを見た蔵之介は自分の恋心に気づき出す。

 その蔵之介も、母親の居場所がわからず、修との間に何かあるようだ。

「昔、ある人が言ってた。女にとって『服』は外で戦うための『鎧』、メイクは自分を変身させるための魔法」と、女装につながるような発言もしていた。

 天水館でオタ住民(尼~ず)とからむパートは基本コメディパートで、蔵之介や修と絡むときは基本恋愛パートといった感じの演出。原作含む過去作ではもう少しくんずほぐれつな感もあったのだが、ゴールデンということもあるのか、恋愛パートの時、急に「月9化」する感じが少しちぐはぐな印象を持った。

 

■オタクを演じる難しさ

 オタクという、実は難しいキャラクターだけに、気になる点がいくつかあった。

 まず気になったのは、芳根演じる月海がそもそも「かわいい」点だ。いや、かわいいに越したことはないし、オタクだからかわいくないと言うつもりはない。

 しかし、この主人公はいわゆる「リア充」を恐れ、距離をとり、同じ属性に近い「仲間」と群れている前提がキモのはず。

 確かに芳根は、失礼な言い方だが、女優の中ではやや地味だし、それでいて凛とした部分があり、いわば主人公に近いものを感じる。しかし、他の住民(尼~ず)らが、爆発アフロの鉄道オタクだったり(ばんば・松井玲奈)、情緒不安定な時ほど暴走する三国志オタクだったり(まやや・内田理央)で、しかも両者とも表情が髪でまったく見えない原作を生かした漫画まるだしのキャラでいろいろ封印しているのに対し、芳根演じる月海は、ちょっと地味な程度でかわいさが隠せていない。

 三つ編などをしてるものの、例えば映画版の能年玲奈演じる月海の、毛量多すぎてなおかつケバ立ち、太いしめ縄のようになってる三つ編と比べると、全然「アリ」なのだ。

 それゆえ、途中で蔵之介にメイクをほどこされ「美女」に変身するシーンでも、フリが効いていないため、「魔法にかけられた」感が弱くなってしまっている。

 そして月海がクラゲを語るシーンでも、オタク特有ということで愛あるものに対し早口で我を忘れるように語るのだが(原作でもそうだ)、それがツラツラととめどなく零れ落ちるように語るのではなく、早口言葉のタイムトライアルに挑戦するかのごとく、リキみすぎて吐き出す口調に違和感を覚えた。好きだからつい語ってしまっているという風に見えなかったのだ。

 これらは演技の問題というよりも演出の問題だと思うので、逆風の中、主演を張る芳根のためにも、なんとかしていただきたい。

■兄弟の設定が逆に

 原作やいままでの、アニメ化、映画化と決定的に違う部分がドラマにある。それは修と蔵之介の兄・弟の設定が逆なのだ。今までは、

「政治家の父の秘書を務める30歳エリートなのに童貞の兄」=修

「大学生でリア充だが女装もする弟」=蔵之介

 だったのだが、

「リア充だが女装もする兄」=蔵之介

「政治家の父の秘書を務めるエリートなのに童貞の弟」=修(ともに年齢不詳)

 となり、反発を覚える人も多いようだ。特に、エリートで30なのに童貞という部分が損なわれたことで、ここの「萌え」を感じていた人からしたら台無しにされた気持ちだろう。若いのだとしたら、童貞の価値もおそらく下がってしまう。いい中年男性の筆者が語るのも気持ち悪いが。

 設定変更の理由は謎だが、現在26歳の工藤(修)の方が、どうやっても29歳の瀬戸(蔵之介)より若く見えてしまうから逆でもいいんじゃね? 的な発想でしたのだとしたら、間違いだろう。そもそも原作人気を見越してのドラマ化は制作側も公言していたので、だとしたらもともとのファンをないがしろにしたことになる。

 なんでも原作通りじゃないと許せない「原作厨」目線というのではなく、例えば意欲的に狙って兄弟を逆にしているとしたら、それはもちろんアリだ。政治家の長男ゆえのプレッシャーがあるからこその歪みとかもありそうだ。

 しかし、そういった意図は今のところあまり感じられないので、この先を見守りたい。

 何度も映像化されてきた作品だけに、メスを入れるなら入れるなりの意義を見せないと、叩かれやすい月9で叩かれやすい漫画原作なのだから、そのへんへの気配りが足りないと思われてしまうのはもったいないし、何より役者の頑張りが報われない。

 ドラマはまだまだこれから。第2話以降の展開に期待したい。

(文=柿田太郎)