娘が友人に睡眠薬を飲ませて、父親が強姦殺人! 韓国“奥歯パパ”父娘の「悪魔の所業」

 韓国で、ある父娘の悪魔のような所業が物議を醸している。

 父のイ・ヨンハク容疑者は先月30日、女子中学生の娘が自宅に連れ込んだ友人をレイプして殺害し、死体を山に遺棄した容疑をかけられている。イ容疑者は「睡眠薬を飲ませて強姦した。(被害者が)目覚めて抵抗してきたので、首を絞めて殺害した」などと供述。中学生の娘は「映画を観よう」と被害者を自宅に誘って、睡眠薬入りの飲み物や父親が服用している精神安定剤を飲ませるなどした上、死体遺棄の現場にも付き添ったとされている。

 ただ、この父娘は、もともと韓国で有名だった。

 2人はかつて「家族性巨大型セメント質腫」という病に侵されていることで注目を集め、2005年から数々のテレビ番組に出演していた。世界に5人しか患者が存在しない奇病の治療過程で歯がなくなり、奥歯1本だけが残っていたことから、イ容疑者は“奥歯パパ”と呼ばれ、世間の同情を集めていた。今年に入ってからも、テレビ出演は途絶えていなかった。

 しかし、今回の事件をきっかけに、イ容疑者の本性が明らかになった。中学時代の同級生は、こう語っている。

「彼は大人になってから、必ず性犯罪を犯すと思っていました」

 報道によれば、イ容疑者は中学2年生の頃に同級生をレイプし、その事実を堂々と自慢していたのだという。4~5歳の幼女を強姦したこともあったというから驚きだ。実家の財力によって、学校では特に処分を受けずに済んだそうだ。

 イ容疑者は知的障害2級の認定を受けているものの、今回の事件を起こした際、服を着せたマネキンを用意するなどして死体遺棄を隠ぺいしようとしていた事実が判明し、犯罪心理学者などからは、本当に知的障害があるのかと疑われている。

 そればかりか、この事件以降、イ容疑者をめぐり、さまざまな疑惑が浮上している。

 ひとつは、先月5日に自殺したとされているイ容疑者の妻も、彼が殺害したのではないかというものだ。疑惑は、「トイレから身を投げた」というイ容疑者の証言と、死体の落下角度の不一致などから浮かび上がった。警察は監視カメラの映像から自殺の可能性が高いとみているが、イ容疑者は13人の男性に対し、妻との性売買を斡旋していた容疑もかけられており、自殺教唆やほう助の疑いもあるとして捜査は続けられている。

 さらに、寄付金に関する詐欺容疑についても捜査中だ。イ容疑者が05年から12年間に、娘の治療費の名目で受け取った寄付金は約13億ウォン(約1億3,000万円)に上るというが、実際に治療に使われたのは750万ウォン(約75万円)にすぎず、寄付金詐欺の疑いが浮上している。イ容疑者は高級な外車などを購入していたといい、メディアでは「テレビ出演を金もうけの手段にしていた」と批判する報道も流れている。しかもイ容疑者は、07年から現在までに約1億2,000万ウォン(1,200万円)の基礎生活受給費(生活保護費)も不正受給していたのだ。

 韓国のネット上では「ほかにもやっているはずだ」「妻も、この父娘が殺したに違いない」「娘が大人になったら、どんな怖いことをしでかすか……」「サイコパスだな」「娘も金もうけのために育てたんだろう」「死刑にしろ」といったコメントが寄せられている。

 奇病を患う父娘に同情を送っていた人々は、やりきれない気持ちでいっぱいだろう。2人にどのような判決が下るにしろ、今後は、かつてのように同情や寄付を集めることは不可能だ。

娘が友人に睡眠薬を飲ませて、父親が強姦殺人! 韓国“奥歯パパ”父娘の「悪魔の所業」

 韓国で、ある父娘の悪魔のような所業が物議を醸している。

 父のイ・ヨンハク容疑者は先月30日、女子中学生の娘が自宅に連れ込んだ友人をレイプして殺害し、死体を山に遺棄した容疑をかけられている。イ容疑者は「睡眠薬を飲ませて強姦した。(被害者が)目覚めて抵抗してきたので、首を絞めて殺害した」などと供述。中学生の娘は「映画を観よう」と被害者を自宅に誘って、睡眠薬入りの飲み物や父親が服用している精神安定剤を飲ませるなどした上、死体遺棄の現場にも付き添ったとされている。

 ただ、この父娘は、もともと韓国で有名だった。

 2人はかつて「家族性巨大型セメント質腫」という病に侵されていることで注目を集め、2005年から数々のテレビ番組に出演していた。世界に5人しか患者が存在しない奇病の治療過程で歯がなくなり、奥歯1本だけが残っていたことから、イ容疑者は“奥歯パパ”と呼ばれ、世間の同情を集めていた。今年に入ってからも、テレビ出演は途絶えていなかった。

 しかし、今回の事件をきっかけに、イ容疑者の本性が明らかになった。中学時代の同級生は、こう語っている。

「彼は大人になってから、必ず性犯罪を犯すと思っていました」

 報道によれば、イ容疑者は中学2年生の頃に同級生をレイプし、その事実を堂々と自慢していたのだという。4~5歳の幼女を強姦したこともあったというから驚きだ。実家の財力によって、学校では特に処分を受けずに済んだそうだ。

 イ容疑者は知的障害2級の認定を受けているものの、今回の事件を起こした際、服を着せたマネキンを用意するなどして死体遺棄を隠ぺいしようとしていた事実が判明し、犯罪心理学者などからは、本当に知的障害があるのかと疑われている。

 そればかりか、この事件以降、イ容疑者をめぐり、さまざまな疑惑が浮上している。

 ひとつは、先月5日に自殺したとされているイ容疑者の妻も、彼が殺害したのではないかというものだ。疑惑は、「トイレから身を投げた」というイ容疑者の証言と、死体の落下角度の不一致などから浮かび上がった。警察は監視カメラの映像から自殺の可能性が高いとみているが、イ容疑者は13人の男性に対し、妻との性売買を斡旋していた容疑もかけられており、自殺教唆やほう助の疑いもあるとして捜査は続けられている。

 さらに、寄付金に関する詐欺容疑についても捜査中だ。イ容疑者が05年から12年間に、娘の治療費の名目で受け取った寄付金は約13億ウォン(約1億3,000万円)に上るというが、実際に治療に使われたのは750万ウォン(約75万円)にすぎず、寄付金詐欺の疑いが浮上している。イ容疑者は高級な外車などを購入していたといい、メディアでは「テレビ出演を金もうけの手段にしていた」と批判する報道も流れている。しかもイ容疑者は、07年から現在までに約1億2,000万ウォン(1,200万円)の基礎生活受給費(生活保護費)も不正受給していたのだ。

 韓国のネット上では「ほかにもやっているはずだ」「妻も、この父娘が殺したに違いない」「娘が大人になったら、どんな怖いことをしでかすか……」「サイコパスだな」「娘も金もうけのために育てたんだろう」「死刑にしろ」といったコメントが寄せられている。

 奇病を患う父娘に同情を送っていた人々は、やりきれない気持ちでいっぱいだろう。2人にどのような判決が下るにしろ、今後は、かつてのように同情や寄付を集めることは不可能だ。

売れないチケットに国民の無関心、仁川アジア大会での“前科”も……「平昌五輪」が失敗する5つの理由

 平昌五輪の開幕まで約4カ月。日本でもウィンタースポーツへの関心が高まりつつあるが、 大会には今なお課題が山積している。

 まず、日本でも報じられている通り、緊張の高まる北朝鮮情勢を理由にフランスやオーストラリアが参加 辞退の可能性を示唆していることだ。オーストラリアのオリンピック委員会会長は「(北朝鮮情勢の) 状況が悪化し、自国選手団の安全が保証されなくなった場合、我々は韓国には行かない」とまで語っている。来月13日の国連総会では、 平昌五輪の開幕7日前から閉幕7日後まで、すべての敵対行為を行わないという内容の「五輪休戦決議案」 を採択する予定だというが、肝心の北朝鮮側がどんな行動に出るかわからないため、不安は残る。

 平昌五輪が抱える課題は、ほかにもある。チケットが売れていないのだ。

 平昌五輪組織委員会が10月11日に発表したところによると、これまで売れたチケットは約32万枚で、目標の129万枚の24.8%にすぎないという。これまで開催された五輪では、チケット販売率が92~95%に上っていたことを考えると、あまりに売れ行きが不振であることがわかる。しかも、そのうち約19万枚は海外で売れたもので、韓国国内では特に売れ行きが悪い。

 国民の関心の低さは韓国文化体育観光部(日本の省に相当)が今年9月に発表した「平昌冬季五輪及びパラリンピック国民世論調査」にも表れている。調査に応じた15~79歳の韓国国民1,000人のうち、会場に足を運ぶ意向を示したのはわずか7.1%で、テレビで観戦するとの回答が81.7%にも上っているのだ。

 また、平昌五輪に関心があると答えたのは39.9%と、半数にも至らなかった。それでも66.6%が「平昌五輪は成功する」と考えていることは、国民の無関心を逆説的に示しているといえる。 開催地のムードがシラケていることもまた、平昌五輪の不安材料だろう。

 さらに、平昌五輪の期待度が上がらない一因には、スター不足がある。例えば韓国で「ウィンタースポーツの花」と呼ばれるフィギュアスケートには、キム・ヨナの引退以降、 メダル候補が現れていない。人気種目のスキージャンプでも、国内唯一の女子ジャンパーであるパク・ ギュリムが同種目史上初めて冬季五輪に出場するが、「平昌で注目すべきスターは日本の“スキージャンプ・アイドル” 高梨沙羅だ」(『マニアリポート』イ・ウンギョン取材部長)と、日本選手の方が話題になっているぐらいだ。

 まして今回の五輪には、アイスホッケー種目にNHLの選手たちが参加しない。韓国がNHLの市場拡大戦略の対象外だったことなどが関係しているらしいが、韓国では「冬季五輪最高の人気種目であるアイスホッケーに世界最高の選手た ちが参加しないことは、平昌五輪の興行においても大きな不安材料だ」と報じられている。

 また、振り返れば2014年に開催された仁川アジア大会では、運営ボランティアが観客の案内をサボってスマホをいじったり居眠りをしたりしていたことが問題となっていた。今回の平昌五輪でも同じことが起きないとは限らない。

 このように、すでに暗雲が立ち込めている平昌五輪。はたして大会は失敗に終わってしまうのだろうか? 引き続き、動向を追っていきたい。
(文=S-KOREA)

●参考記事
・羽生のライバル? “男子版”キム・ヨナ? 韓国男子フィギュアの平昌五輪代表は誰の手に!?
http://s-korea.jp/archives/21527?zo
・欧州各国の“不参加ドミノ”だけじゃない。 平昌五輪が解決に苦しむ最重要課題とは?
http://s-korea.jp/archives/21180?zo

日本も韓国もボロボロ……アジア枠拡大による“サッカーW杯興ざめ”リスクが現実味

 国際サッカー連盟(FIFA)は今年5月、 2026年FIFAワールドカップにおける出場枠を「32」 から「48」に拡大することを決めた。アジア枠は現行の「4. 5」から「8」に増加する。 日本の立場からすればワールドカップ出場の可能性が高まる良いニ ュースだといえるが、その一方でヨーロッパは「13」→「16」 、南米は「4.5」→「6」と微増にとどまり、 相対的に出場枠は狭まることになった。それだけに、 この決定についてサッカーファンの間では、 大会のレベル低下を招くとの懸念が多い。

 実際、その不安は現実味を帯びてきている。

 日本代表は、10月10日のハイチ戦で大苦戦を強いられた。 ギリギリで3-3のドローに持ち込んだものの、 2点を先制しながら逆転を許した試合結果については、 ハリルホジッチ監督も「私が率いてきた日本代表の中で、 最もひどい試合」「恥をさらしてしまった」と嘆いていた。

 お隣・韓国も低迷が止まらない。 ロシアワールドカップ最終予選では7年ぶりに中国に敗れるなど、 あわや予選敗退の危機に陥っていた。 なんとかワールドカップ出場こそ決めたものの、 10月7日と10日にロシア、モロッコと戦った親善試合では2- 4、1-3で敗北。合計7失点の連敗を喫したシン・ テヨン監督が帰国した際には、 仁川空港にサッカーファンらが押しかけ、「 韓国サッカーは死亡した」 と書かれた横断幕を掲げるなどして抗議デモも行われていた。

 それだけに韓国では、「日本と韓国が“アジアの盟主” として君臨する時代は終わった」と報じるメディアも少なくない。

 このようにアジア勢の不振が続く一方で、 過去2回のワールドカップで決勝と準決勝に進出したオランダと、 南米王者のチリは、ロシア行きを逃している。 こうした状況を見るに、 アジア枠拡大によってワールドカップの質が下がることは免れない ように思える。

 しかし、FIFAは、こうした状況を予見していたはずだ。事実、 14年のブラジルワールドカップで、 アジア勢は1勝も挙げられていない。 それでもFIFAが出場枠拡大に踏み切った裏には、 金と政治が絡んでいるように見える。何しろ、FIFAによれば、 拡大に伴う放映権料の増加などによって、6億4,000万ドル( 約730億円)の収益増が見込めるのだという。

 15年の汚職スキャンダル以降、2年連続で赤字を計上しており、 16年の損失額が3億6,900万ドル(約420億円) にも上ったFIFAが、利益確保に走るのも無理はないだろう。

 また、FIFAに加盟する211協会のうち、約64% に当たる135の協会はワールドカップ出場経験がない。 インファンティーノ会長は「 ワールドカップ出場のチャンスが増え、 より多くの国が出場を夢見ることができる」と語っているが、 その裏には、自身の影響力を強める狙いもあるのだろう。 ヨーロッパのクラブが加盟する欧州クラブ協会(ECA) 関係者も「この決断は、 スポーツ的な理由よりも政治的な理由で下されたと理解している」 と批判する。

 出場枠拡大によって、 アジア勢がワールドカップで恥をかかなければいいが、果たして… …。
(文=S-KOREA)

●参考記事
・不振の韓国サッカー界で“ヒディンク再就任” 騒動が国政監査にまで発展!? 炎上の背景とは
http://s-korea.jp/archives/22439
・日本はもはや韓国サッカーをライバルとは思わない【 スポーツソウル・コラム】
http://s-korea.jp/archives/21830?zo

日本も韓国もボロボロ……アジア枠拡大による“サッカーW杯興ざめ”リスクが現実味

 国際サッカー連盟(FIFA)は今年5月、 2026年FIFAワールドカップにおける出場枠を「32」 から「48」に拡大することを決めた。アジア枠は現行の「4. 5」から「8」に増加する。 日本の立場からすればワールドカップ出場の可能性が高まる良いニ ュースだといえるが、その一方でヨーロッパは「13」→「16」 、南米は「4.5」→「6」と微増にとどまり、 相対的に出場枠は狭まることになった。それだけに、 この決定についてサッカーファンの間では、 大会のレベル低下を招くとの懸念が多い。

 実際、その不安は現実味を帯びてきている。

 日本代表は、10月10日のハイチ戦で大苦戦を強いられた。 ギリギリで3-3のドローに持ち込んだものの、 2点を先制しながら逆転を許した試合結果については、 ハリルホジッチ監督も「私が率いてきた日本代表の中で、 最もひどい試合」「恥をさらしてしまった」と嘆いていた。

 お隣・韓国も低迷が止まらない。 ロシアワールドカップ最終予選では7年ぶりに中国に敗れるなど、 あわや予選敗退の危機に陥っていた。 なんとかワールドカップ出場こそ決めたものの、 10月7日と10日にロシア、モロッコと戦った親善試合では2- 4、1-3で敗北。合計7失点の連敗を喫したシン・ テヨン監督が帰国した際には、 仁川空港にサッカーファンらが押しかけ、「 韓国サッカーは死亡した」 と書かれた横断幕を掲げるなどして抗議デモも行われていた。

 それだけに韓国では、「日本と韓国が“アジアの盟主” として君臨する時代は終わった」と報じるメディアも少なくない。

 このようにアジア勢の不振が続く一方で、 過去2回のワールドカップで決勝と準決勝に進出したオランダと、 南米王者のチリは、ロシア行きを逃している。 こうした状況を見るに、 アジア枠拡大によってワールドカップの質が下がることは免れない ように思える。

 しかし、FIFAは、こうした状況を予見していたはずだ。事実、 14年のブラジルワールドカップで、 アジア勢は1勝も挙げられていない。 それでもFIFAが出場枠拡大に踏み切った裏には、 金と政治が絡んでいるように見える。何しろ、FIFAによれば、 拡大に伴う放映権料の増加などによって、6億4,000万ドル( 約730億円)の収益増が見込めるのだという。

 15年の汚職スキャンダル以降、2年連続で赤字を計上しており、 16年の損失額が3億6,900万ドル(約420億円) にも上ったFIFAが、利益確保に走るのも無理はないだろう。

 また、FIFAに加盟する211協会のうち、約64% に当たる135の協会はワールドカップ出場経験がない。 インファンティーノ会長は「 ワールドカップ出場のチャンスが増え、 より多くの国が出場を夢見ることができる」と語っているが、 その裏には、自身の影響力を強める狙いもあるのだろう。 ヨーロッパのクラブが加盟する欧州クラブ協会(ECA) 関係者も「この決断は、 スポーツ的な理由よりも政治的な理由で下されたと理解している」 と批判する。

 出場枠拡大によって、 アジア勢がワールドカップで恥をかかなければいいが、果たして… …。
(文=S-KOREA)

●参考記事
・不振の韓国サッカー界で“ヒディンク再就任” 騒動が国政監査にまで発展!? 炎上の背景とは
http://s-korea.jp/archives/22439
・日本はもはや韓国サッカーをライバルとは思わない【 スポーツソウル・コラム】
http://s-korea.jp/archives/21830?zo

仁川国際空港が“12年連続でサービス評価世界1位”でも、国内では不満が殺到中!? 飼い犬射殺ショックも……

 韓国の仁川国際空港が10月18日、 各国の空港運営会社でつくる国際空港評議会(ACI) が開催した2016年世界空港サービス評価(ASQ)授賞式で、 5点満点中4. 99点の評価を受けて総合ランキング1位を獲得した。 同空港は05年から12年連続の1位を守ったとして、 特別功労賞も受賞。「アジア・太平洋の空港」と「大型空港」( 年間旅客数4,000万人以上)、「アジア・太平洋の大型空港」 の3部門でも1位となった。

 このランキングは、ACIが昨年1年間、 世界の主要284空港の利用客35万人に対して行った、 職員の接客態度や施設の清潔度、利便性など、 サービスと施設および運営についての調査に基づいているという。 仁川国際空港公社のチョン・イルヨン社長は「 ASQは航空業界のノーベル賞と呼ばれる」としながら、 受賞の根拠として、 可動式チェックインカウンターを導入したことや、 免税品売り場を拡大したこと、 約5万人の職員が休みなくサービスの革新に取り組んだことなどを 挙げた。昨年の利用者は、前年比17.2%増の5, 776万人に上ったそうだ。

 ただ、一方で同空港は、問題点も指摘されている。

 ひとつはセキュリティの問題だ。 同空港での犯罪件数は13年から383件、395件、 451件と増加しており、昨年は440件と微減したものの、 大きな改善には至っていない。 特に問題視されているのは窃盗と占有離脱物横領で、 昨年は合わせて173件発生し、全体の39%を占めていた。 検挙率も低く、全体の検挙率が73%だったのに対し、 窃盗と占有離脱物横領はそれぞれ45%、33%にすぎなかった。

 同空港では、 監視カメラは一般的に100万画素以上が必要とされている中、 施設内の2,143台のうち63%に当たる1, 354台が41万画素のものであることも批判されており、 防犯には不安が残るところだ。韓国の国土交通委員会国会のイ・ ホンスン議員(自由韓国党)も、「平昌五輪を間近に控える中、 仁川国際空港内で犯罪が発生し続ければ、 韓国の信頼度は下がる一方だ」と嘆いている。

 また、免税品の引き渡し場も十分に確保されていない。 あまりの混雑などから免税品を放棄して出国する利用者も多く、 免税品が引き渡されなかったケースは、 16年中だけでも99万件、総額は1億3,192万ドル( 約150億円)に上っている。13年の12万4,000件、2, 037万ドルと比べると、大幅に増加していることがわかる。 引き渡し場の面積は4年間で1,266平方メートルから3, 280平方メートルと約2.6倍に拡大されたものの、 効果は薄いようだ。この問題については、韓国のネット上にも「 本当にイライラするんだよね」「 私は絶対に機内で買うようにしている」「早く改善しろ!」 といった不満が綴られている。

 一方、職員の非正規雇用に関する非難も高まっている。 仁川国際空港公社は今年5月、視察に訪れた文在寅大統領に対し、 1万人の非正規労働者を年末までに正規雇用に転換すると宣言して いたが、最近になって、6~7月に約3, 700人と新たにアウトソーシング契約を結んでいたことが明らか になったのだ。しかも同公社は国土交通部( 日本の国土交通省に相当)に対し、「新規雇用を中断している」 と虚偽報告をしていたのだった。

 今月行われた国政監査でチョン・イルヨン社長は、「 新たに子会社を4~5社設立し、正規雇用を進める」 との意向を改めて示したが、「ASQ12年連続1位も正規・ 非正規双方の努力によるもの。既存体制にも長所が多いのに、 とにかく100%を正規雇用に転換するのは無理がある」(「 正しい党」イ・ハクチェ議員)、「自分の言葉で首を絞めて、 公社を台無しにしないでくれ」(「自由韓国党」パク・ メンウ議員)などと批判されている。 同公社が無理に計画を進めることによって、 サービスの質が低下する可能性もあるということだ。

 昨年には、滑走路に迷い込んだ飼い犬を航空会社の職員が「 マニュアル」 に従って射殺してしまうショッキングな事件が発生し、 ネット上では「飼い主には一生のトラウマ」 などと物議を醸していたが、実は同空港は、 国内ではあまり信頼されていないのかもしれない。

 次回からはASQに参加しないというが、国内の反応も含め、 これからも同空港には注目していきたい。
(文=S-KOREA)

●参考記事
・「飼い主には一生のトラウマ」 乗客の愛犬を射殺した仁川空港に批判続出!!
http://s-korea.jp/archives/ 12488?zo

・ナッツ・リターンより酷い!? 副機長同士の殴り合い喧嘩で乗客大迷惑!!
http://s-korea.jp/archives/ 11714?zo

タイ語学校の学生からステップアップで現地社長に! ゴルフ三昧で優雅に暮らす女性【日本を捨てる女性たち】

 近年、東南アジアに移住し、現地で仕事や生きがいを求める日本人女性が急増している。アジアで活躍し、日本にいるときよりも、はるかに生き生きと暮らす女性たちを紹介していくシリーズ。

○第3回
のりこさん(42)タイ・バンコク在住
会社経営

■「この気楽な国ならやっていけるかもしれない」

 バンコク都心部、スクンビット通り。日本人をはじめ外国人がたくさん住む高級住宅街の一角に、のりこさんの住むコンドミニアムがある。一流ホテルのようなフロントから上階に上がれば、そこにはのりこさんがバンコク生活で築き上げてきた「城」がある。

 広大なリビング、システムキッチン、キングサイズのベッドが鎮座する寝室、おしゃれな調度品……ベランダからはバンコク中心部の摩天楼が見晴らせる。タイに移り住んだ日本人女性でも、ステップアップを重ねて豊かな暮らしを手に入れた、彼女は成功者といえる。

「タイに来たのは1999年。もう18年目になります」というから、在タイ日本人社会の中でも古株のほうだ。

「海外に対する憧れは子どもの頃からあったし、英語を勉強するのは好きでした。海外に行きたい、と思ってもいましたが、アジアは考えてなかったな」

 短大時代はオーストラリアに旅行に行ったり、アメリカでホームステイも経験したが、大きな転機は父親のタイ赴任だった。

「駐在員としてタイに暮らす父を訪ねる機会が増えたんです。初めてのタイは、今と違ってどこも汚いし、雑然としていて、こんなの私の求めてた海外じゃない! って思っていました。でも、タイののんびりした、あくせくとしなくてもいい空気に、次第に居心地の良さを感じるようにもなってきて……」

 その頃、短大を卒業して、日本のホテルで働いていたが、人間関係に悩まされていた。温和な性格からか、誰かの文句や愚痴の聞き役になることが多く、ストレスをためこむ毎日。とうとう体を壊した。

 少し休もう。そう思って、父のいるタイに4カ月ほど長期滞在をすることにした。

「父の食事を作って、ぷらぷらするうちに、この国にちゃんと住んでみようか、この気楽な国ならやっていけるかもしれない、と思うようになっていったんです。そう決めてすぐ日本に帰り、また働き始めて移住のためのお金をため、タイ語学校に通って……タイに戻ってきたのは25歳のとき」

 まずはバンコクの語学学校で、半年以上タイ語を学んだ。学校つながりで長年付き合える友人を得ることが多いというが、のりこさんも同様だった。

「いまでも仲のいい日本人の友達は、同じタイ語学校の仲間なんです」

■人の紹介で条件のいい会社に転職

 そして言葉がわかるようになり、暮らしに慣れる頃に、仕事の話が舞い込んでくるのも、タイの日本人社会なのだ。

「そろそろお金がなくなってきて、やばい、あと2カ月しか暮らせない……と焦ったのですが、そんなときに人づてで小さな会社を紹介されたんです。ペット用品を扱う商社で、タイ人の中で日本人は私ひとりだけ。タイで生産したペットシーツや猫缶を、日本に輸出する仕事でした」

 そこで1年ほど働いた後に、条件のいい会社に転職。やはり人の紹介だった。

「タイでも、日系の人材会社に登録する方法もありますが、人の縁でつながっていくことのほうが多いかもしれません」

 次の会社は、タイにいくつかある日系コールセンターだった。すぐに働きぶりが認められて、現場ではなく会社全体を見渡す管理職を任されるようになる。

「この頃から、タイに進出してくる日系企業がどんどん増えてきました。それに合わせて在住日本人向けのサービス業が一気に広がりました。例えば病院でも、電化製品の修理でも、日本語でサービスが受けられるようになってきたんです」

 日本食でもう食べられないものはない、というまでに普及。

「ふつうの豆腐はタイでもたくさん種類がありますが、私が好きだったのは『男前豆腐』。たまに日本に一時帰国するときの楽しみだったんですが、これも今ではフジスーパー(バンコクに4店舗展開する日系スーパー)で売ってる(笑)。日本よりちょっと高いけど」

 タイののんびりさと、日本のサービス。バンコクはいつの間にか、日本人にとって「いいとこどり」の街になっていた。

「一般のタイ・ローカルな暮らしではないですよね。でもこれほど日本人が暮らしやすい、ラクな街はないと思います」

■プライベートをしっかり確保できるから、ゴルフ三昧

 すっかり仕事とタイ生活になじんだのりこさんに、大きな出来事が訪れる。会社が香港に拠点を移すことになったのだ。社長も香港へと移る。では誰がタイの会社を管轄するのか。バンコクの社長はどうするのか。のりこさんに白羽の矢が立てられた。

「初めは断りました。無理だと思って。でも何度か説得されて、そこまで言われたら……とがんばってみる気になったんです」

 語学学校の学生から始まって、現地採用の社員となり、ついには現地社長にまで登りつめたのだ。あやしげな路地裏のアパート生活から、スクンビットの高級コンドミニアムへ。こんなステップアップも、タイの日本人社会の中では決して珍しくはないのである。

「でも会社全体を管理するようになって、やっぱり悩みは人間関係かな。社員同士の不満やトラブルが寄せられて、それを解決していくことは骨が折れます。日本でのホテル時代と、本質的には変わっていないのかも」

 ストレス解消は、お酒とゴルフだ。

「仕事は仕事。プライベートをしっかり確保できるのはタイのいいところです」

 タイには純日本風の居酒屋はたくさんある。また「ゴルフ天国」とも言われている。

「タイでは一人ひとりにキャディがついて、つきっきりで世話をしてくれます。本当に至れり尽くせり。週末はコースに出て、平日も打ちっぱなしによく行ってます」

 この先どうするのか。まだ考えてはいない。

「いつかは日本に帰りたいな、と思います。でも帰っても年齢的に仕事があるかどうか。それにタイで暮らしていると、日本と違って、結婚だとかいろいろプレッシャーをかけられることもないので、居心地がいいんです。この気楽な雰囲気の国にいると、気がついたら3年くらいすぐにたっちゃって、そこだけが困りものですね」

 タイの中の日本人社会。それは拡大を続ける一方だ。のりこさんの後に続く若い女性も、次々にやってくる。

「タイにはチャンスはたくさんあると思います。でもこの数年、ちょっと認識の甘い子が増えているようにも感じますよね。誰でも簡単に仕事が見つかるわけじゃない。日本での社会人経験がなければタイでもいい仕事には就けないでしょう。そんなに簡単なものではないと思います」

 タイのような弛緩した社会では、在住の日本人たちもどこか「ゆるく」見える。しかし誰もが、異国で生きるため、誰に言わずとも苦労をしているのだ。
(室橋裕和)

『奇跡体験!アンビリバボー』制作の裏側! 海外事件の再現VTRは、どう作っている?

 海外の事件や出来事を扱うバラエティ番組に登場する再現ドラマ。よく見かけるけれど、ロケ地は日本なの? 海外なの? 外国人の役者さんは日本で暮らす人? 台本はあるの? そんな素朴な疑問について、ズバッと答えていただくべく、『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系列/毎週木曜日19時57分から)の総合演出・山森正志さんに伺った。

■手前にサボテンを置いて、ぼかすだけでメキシコの空気になる

――『奇跡体験!アンビリバボー』によく登場する、海外の事件や出来事に関する再現VTRは、どこで撮影されているのですか?

山森正志さん(以下、山森) 基本は都内です。都内にはさまざまなスタジオがあるので、そこで作り込んで撮影することが多いです。変わったスタジオで言えば、初台に元々病院だったスタジオがあって、そこは地下室が本当にボロボロで、例えばテロリストや闇取引をする犯人のアジトとして使ったりします。

 誰でも入れる場所であれば、自由が丘にあるイタリアのヴェネツィア風の商業施設「LA・VITA」。広くはないですが、水路が流れて橋があって、いい感じですよ。中世ヨーロッパのような街並みを感じさせる「高輪プリンセスガルテン」や、米軍ハウスと呼ばれる平屋が並ぶ「入間ジョンソンタウン」も雰囲気があります。あと、千葉の幕張は看板が少ないので、使うことが多いです。ただ、何もない場所を撮影地として選んでいるので、行ってもおもしろくはないですけどね(笑)。それから、何もないと言っても、360度、海外に見えることはまずなくて、絶対どこかに日本語の看板が入ってきたり、松の木が邪魔というようなことが出てきてしまう。そこをどう切り取るかが、海外らしさを出すポイントです。

 よく使う手法は、“なめもの”です。中心となる対象物の手前に何かを置いて、ピントをぼかす。例えば、普通の日本のカフェで撮影する場合、対象物の手前にサボテンを置いて、ぼかすだけでメキシコの空気になる。画面の中の空気をどう作るかが重要なので、看板や小物はすごく準備します。

――インスタグラムの撮影にも応用できそうな技術ですね。出演されている役者さんは、どうされているのですか?

山森 日本で暮らす外国人タレントが多く在籍する事務所にお願いしています。番組として、再現VTRのレギュラーの役者さんは、特にいないんですが、芝居ができる外国人の方は限られているので、何回かに1回、同じ役者さんになってしまうこともあります。

 日本で俳優を目指す外国人の方は極端に少ないので、正直なところ、日本の俳優さんのようなお芝居は求めていないんですよ。例えば、泣く芝居なんてすごく難しいのですが、ストーリー上必要なこともある。そういう時は、英字新聞に落ちてくる涙を撮るだけで、その人がアメリカで泣いているとわかる。それを、僕らの中では「小道具が芝居する」と言っています。

■人の運命が一番「アンビリバボー」

――番組では世界中のお話を取り扱っていらっしゃいますが、そもそもどうやってネタ集めをして、台本作りまで進めているのですか?

山森 自分たちで全世界の記事やニュースサイト、記録などをチェックしたり、現地でもリサーチしています。リサーチ勝負なので、かなり調べます。選ぶ基準はメッセージ性のあるもの。何か心に訴えかけるものがあるかどうか? です。この出来事を放送する意義があるかどうかを徹底的に議論します。構成はそれからの話です。映像的に刺激があり、興味を引くような猟奇的事件は世界中にたくさんあるのでネタ自体は豊富なのでは? と思われることがありますが、放送を見た後に、視聴者が嫌な気分になるだけの出来事は絶対に放送しません。番組を見てくれる人、そして、その出来事に関わった当人やその周囲の人など、誰か1人でも放送によって傷つくことがわかっている話は、絶対にやらないというのが僕らのポリシーです。

 みんなで検討して、ネタが決定したら、全世界にいる現地のコーディネーターに連絡して、事件などの当事者本人にアポを取ってもらいます。それから、実際にディレクターが取材に行って話を聞き、それを基に台本を作っています。

 なお、撮影は基本的に現地の言葉で行われますが、台本は日本語です。マネジャーとコーディネーターがいるので、本番前に台本をお渡しして、その人が翻訳し役者さんに伝えてくれます。

――実際に訪れていらっしゃるんですね。山森さんも行かれていますか?

山森 ディレクター時代には、よく行きましたよ。印象に残っているのは、中国へ行った時のことですね。医療ミスによって植物状態になってしまった奥さんがいて、旦那さんが毎日、奥さんの横で、2人の思い出のラブソングを歌い続けたら、10年以上たって、奇跡的に意識を取り戻したんです。これには、旦那さんの強い思いが感じられて、奥さんは、さぞうれしいだろうと取材へ向かった。ところが、お話を聞いたら、奥さんがわんわん泣くんです。「私がどれだけ夫に心配や苦労をかけたのかを、目覚めてわかってしまって、今、本当につらい」と。資料を読む限りは、ハッピーエンドのお話でしたが、実際にはこの方が背負っている重いものがあった。目覚めたからこそ 直面してしまった現実ですね。取材に行かなければ そこは描けなかったと思います。

 有名な事件の場合、資料で書かれていることも多いので、それだけで台本を作ることもできます。けれど、生死の境をさまようような壮絶な人生を経験された方は、お会いすると、何ともないひと言に、すごい思いが隠されていたり、何かを得ることができる。そういうものを感じるだけで、構成も変わってきたりしますね。

――ちなみに、『奇跡体験!アンビリバボー』といえば、始まった当初は、心霊写真やUFO、などの内容が多かった気がするのですが、最近はあまりお見かけしないような……?

山森 当初は超常現象を多く扱っていたので、そのイメージが強いのかもしれないですね。もちろん、心霊現象やUFO、超常現象も今後扱っていきたいと思っていますが、最近は、事件ものや海外の社会問題を多く扱っています。

 これからのテレビは、何かしらの教育的な一面を持たなくてはいけないと思っています。そういう意味で、見てくれた人が自分の人生を考えるきっかけとなる、または、少しでも明日の糧になるような番組作りをしていきたいと思っています。近年、番組が考えている「一番アンビリバボーなもの」というのが「人の運命」です。普通に暮らしていた人がある出会いをきっかけに、転落していくこともある。

 ほんの少しのボタンの掛け違いで、悲劇にも奇跡にもなる。そんな人の運命こそが、一番「アンビリバボーだ」と思っているので、これからも自分たちなりのメッセージ性を持って、発信していきたいですね。
(上浦未来)

山森正志(やまもり・まさし)
1980年生まれ。『奇跡体験!アンビリバボー』総合演出。番組にはAD時代から携わる。番組制作会社「株式会社イースト・エンタテインメント」に所属、第一制作本部 ゼネラルディレクター。

「日本がつらかったら、外に出てみればいい」ユルいペースで働けるタイで、ジムつきマンションに暮らす女性

 近年、東南アジアに移住し、現地で仕事や生きがいを求める日本人女性が急増している。アジアで活躍し、日本にいるときよりも、はるかに生き生きと暮らす女性たちを紹介していくシリーズ。

○第2回
中山舞子さん(仮名・39)タイ・バンコク在住
会計事務所勤務

■日本しか知らないと、違う価値観があることにも気づけない

「女だったら化粧しなきゃとか、眉毛整えてとか、ちゃんとした格好してないと日本ではダメ扱いじゃないですか」

 そう語る彼女のそばを、ラフなTシャツとサンダル履きの女性が歩いていく。向かう先はタイの首都バンコク屈指の高級ショッピングモール「エムクオーティエ」だ。

「タイの暮らしには気取りがないんです。日本のようにきっちりしている必要はないし、適当で生きていける。日本は社会の目が厳しすぎるし、日本人はまじめすぎますよ」

 日本のストレスフルな、世間とやらをいつも気にする横並び社会。

「自分では気がついていないまま『パブリック・プレッシャー』にやられている日本人はたくさんいると思うんです。でも、日本しか知らないと、ほかに行き場がないし、違う価値観があることにも気づけない」

 中山舞子さんも、タイに来て初めて、日本がいかに世界的に見て「きつい」社会であるかを知った。

「『まあいっか!』で生きていけるのがタイなんです」

■未経験の分野なのに採用された

 大学を出て、ごく普通に就職をした。引越し業者のデータ管理だった。

「一日中ずっと終電までキーボードを打つだけの仕事。つまらなかった。ほかの友人たちが仕事にやりがいを感じているのがうらやましかった。でも、じゃあ何がやりたいのか、と言われると、それもわからなくて……」

 そんなとき、ふと大学時代に旅行に行ったタイのことを思い出した。海外かあ。外国で暮らせるのだろうか?

「調べてみると、生活費は安いし、ビザはとりあえず現地の語学学校に入れば取れる。行けるじゃん、って思ったその日に会社を辞めちゃった」

 半年くらい気ままに海外で過ごすか。そのくらいの気持ちだった。

「でも実際に来てみたら、パスポートひとつでアパートは借りられるし、タイ人は細かいこと気にしないし、日本よりずっとイイカゲンで、居心地いいんです」

 語学学校ではタイ語を学んでいたが、半年ほどでけっこう上達。仕事に生かせないかと思うようになった。誰しも渡タイ後、数カ月経つと、日本人やタイ人の知り合いが増え、仕事を紹介されたり、日本語フリーペーパーやネットの求人などを見て、なんとなく就職が決まってくるものだ。中山さんも世界遺産の街アユタヤ郊外の工業団地にある、日系メーカーで働き始めた。タイは日本の製造業にとって一大集積地だ。「現地採用」といわれる働き口も多く、タイ語がわかり、日本での職務経験があれば就職しやすいのだが、彼女もそれに期待して志望した。

「日本から赴任してくる駐在員と、タイ人との橋渡し的な仕事です。現場のタイ人と日本人の通訳をはじめ、タイ人の職務管理など、なんでもこなしてました」

 アジア各地に進出している日系企業は、日本の会社とはいえ、だいぶユルいという。

「未経験の分野なのに採用されたことがそもそも驚き。こっちは年齢制限も、新卒の縛りもありません。ほかの業種や職種への転職も珍しくないし、仕事の方向性、選択肢が豊富なんです。デスクではタイ人女子が緊張感もなく、パクパクお菓子食べながら仕事してるし」

 そんなタイのユルさは、長所でもあり短所でもある。

「私もずぼらだけど、タイ人はひどすぎ(笑)。あまりにも非効率的だし、もう少しちゃんとしてほしいと思う。タイ人のやり方では、たぶん日本には追いつけない。でも、そのぶん気楽でストレスがない」

 だから、日本と同じペースで働こう、生きようと思っている人がタイに来たら、逆にストレスになるだろう。それでも、「日本で現状に行き詰まっていたり、生活がつまらないと感じているなら、一度こっちに来ればいい」と感じている。

■日本がつらかったら、とりあえず外に出てみればいい

 転職社会のタイを渡り歩き9年目、今は堪能な語学力を武器に日系の会計事務所で働いている。日本人の会計士や弁護士も籍を置く。タイへの日系企業の進出は増える一方で、さまざまな業種で人が求められている。

「最近は忙しくて、夜8時くらいまで仕事することもありますが、できるだけ早く帰ります。『そんなに会社に時間は捧げないぜ』と思っているし、タイではそういう働き方が許されるので」

 プライベートでは日本人やタイ人の友人と食事に行ったり、ときには引きこもってゲームに没頭したり。

「タイに来たばかりの頃はよくクラブにも行ったけど、最近はボリウッドダンスの教室にハマってます」

住んでいるのはバンコク都心から高架鉄道で15分ほどの下町。

「大きなベッドルームと広々としたリビングが気に入っていて、1カ月1万2,000バーツ(約3万9,000円)。掃除や洗濯をしてくれるマンション共有のお手伝いさんも住み込んでいるし、ジムもあります。部屋は8階なんですが、眺めが良くて、バンコクの夜景をいつもぼんやり見ています」

仕事も大事だが、そうしたゆるやかな時間も大切にしたい。実際、タイ社会では残業は一般的ではない。タイ人の人生の中で、仕事の優先順位は低い。

「苦しんで働くより、人生は楽しんだ者勝ち。日本がつらかったら、とりあえず外に出てみればいい。合わないと思ったら帰ればいい。それだけ気軽に世界を行き来できる時代なんだから」

 日本では一生懸命がんばっていても、空回りしたり、報われないと感じている人も多い。

「だったらそのがんばりを、外に向けてみたらどうでしょうか。でも、いったん出てみたらもう、帰りたくなくなるかもしれませんが」
(室橋裕和)

「日本がつらかったら、外に出てみればいい」ユルいペースで働けるタイで、ジムつきマンションに暮らす女性

 近年、東南アジアに移住し、現地で仕事や生きがいを求める日本人女性が急増している。アジアで活躍し、日本にいるときよりも、はるかに生き生きと暮らす女性たちを紹介していくシリーズ。

○第2回
中山舞子さん(仮名・39)タイ・バンコク在住
会計事務所勤務

■日本しか知らないと、違う価値観があることにも気づけない

「女だったら化粧しなきゃとか、眉毛整えてとか、ちゃんとした格好してないと日本ではダメ扱いじゃないですか」

 そう語る彼女のそばを、ラフなTシャツとサンダル履きの女性が歩いていく。向かう先はタイの首都バンコク屈指の高級ショッピングモール「エムクオーティエ」だ。

「タイの暮らしには気取りがないんです。日本のようにきっちりしている必要はないし、適当で生きていける。日本は社会の目が厳しすぎるし、日本人はまじめすぎますよ」

 日本のストレスフルな、世間とやらをいつも気にする横並び社会。

「自分では気がついていないまま『パブリック・プレッシャー』にやられている日本人はたくさんいると思うんです。でも、日本しか知らないと、ほかに行き場がないし、違う価値観があることにも気づけない」

 中山舞子さんも、タイに来て初めて、日本がいかに世界的に見て「きつい」社会であるかを知った。

「『まあいっか!』で生きていけるのがタイなんです」

■未経験の分野なのに採用された

 大学を出て、ごく普通に就職をした。引越し業者のデータ管理だった。

「一日中ずっと終電までキーボードを打つだけの仕事。つまらなかった。ほかの友人たちが仕事にやりがいを感じているのがうらやましかった。でも、じゃあ何がやりたいのか、と言われると、それもわからなくて……」

 そんなとき、ふと大学時代に旅行に行ったタイのことを思い出した。海外かあ。外国で暮らせるのだろうか?

「調べてみると、生活費は安いし、ビザはとりあえず現地の語学学校に入れば取れる。行けるじゃん、って思ったその日に会社を辞めちゃった」

 半年くらい気ままに海外で過ごすか。そのくらいの気持ちだった。

「でも実際に来てみたら、パスポートひとつでアパートは借りられるし、タイ人は細かいこと気にしないし、日本よりずっとイイカゲンで、居心地いいんです」

 語学学校ではタイ語を学んでいたが、半年ほどでけっこう上達。仕事に生かせないかと思うようになった。誰しも渡タイ後、数カ月経つと、日本人やタイ人の知り合いが増え、仕事を紹介されたり、日本語フリーペーパーやネットの求人などを見て、なんとなく就職が決まってくるものだ。中山さんも世界遺産の街アユタヤ郊外の工業団地にある、日系メーカーで働き始めた。タイは日本の製造業にとって一大集積地だ。「現地採用」といわれる働き口も多く、タイ語がわかり、日本での職務経験があれば就職しやすいのだが、彼女もそれに期待して志望した。

「日本から赴任してくる駐在員と、タイ人との橋渡し的な仕事です。現場のタイ人と日本人の通訳をはじめ、タイ人の職務管理など、なんでもこなしてました」

 アジア各地に進出している日系企業は、日本の会社とはいえ、だいぶユルいという。

「未経験の分野なのに採用されたことがそもそも驚き。こっちは年齢制限も、新卒の縛りもありません。ほかの業種や職種への転職も珍しくないし、仕事の方向性、選択肢が豊富なんです。デスクではタイ人女子が緊張感もなく、パクパクお菓子食べながら仕事してるし」

 そんなタイのユルさは、長所でもあり短所でもある。

「私もずぼらだけど、タイ人はひどすぎ(笑)。あまりにも非効率的だし、もう少しちゃんとしてほしいと思う。タイ人のやり方では、たぶん日本には追いつけない。でも、そのぶん気楽でストレスがない」

 だから、日本と同じペースで働こう、生きようと思っている人がタイに来たら、逆にストレスになるだろう。それでも、「日本で現状に行き詰まっていたり、生活がつまらないと感じているなら、一度こっちに来ればいい」と感じている。

■日本がつらかったら、とりあえず外に出てみればいい

 転職社会のタイを渡り歩き9年目、今は堪能な語学力を武器に日系の会計事務所で働いている。日本人の会計士や弁護士も籍を置く。タイへの日系企業の進出は増える一方で、さまざまな業種で人が求められている。

「最近は忙しくて、夜8時くらいまで仕事することもありますが、できるだけ早く帰ります。『そんなに会社に時間は捧げないぜ』と思っているし、タイではそういう働き方が許されるので」

 プライベートでは日本人やタイ人の友人と食事に行ったり、ときには引きこもってゲームに没頭したり。

「タイに来たばかりの頃はよくクラブにも行ったけど、最近はボリウッドダンスの教室にハマってます」

住んでいるのはバンコク都心から高架鉄道で15分ほどの下町。

「大きなベッドルームと広々としたリビングが気に入っていて、1カ月1万2,000バーツ(約3万9,000円)。掃除や洗濯をしてくれるマンション共有のお手伝いさんも住み込んでいるし、ジムもあります。部屋は8階なんですが、眺めが良くて、バンコクの夜景をいつもぼんやり見ています」

仕事も大事だが、そうしたゆるやかな時間も大切にしたい。実際、タイ社会では残業は一般的ではない。タイ人の人生の中で、仕事の優先順位は低い。

「苦しんで働くより、人生は楽しんだ者勝ち。日本がつらかったら、とりあえず外に出てみればいい。合わないと思ったら帰ればいい。それだけ気軽に世界を行き来できる時代なんだから」

 日本では一生懸命がんばっていても、空回りしたり、報われないと感じている人も多い。

「だったらそのがんばりを、外に向けてみたらどうでしょうか。でも、いったん出てみたらもう、帰りたくなくなるかもしれませんが」
(室橋裕和)