1999年に歌手デビューするやいなや、世界的なアイドルとなったブリトニー・スピアーズ。10代後半~20代の人気絶頂期には常にパパラッチが彼女を取り囲み、白熱した報道合戦を繰り広げたものだった。私生活のトラブルや、常に注目を浴び続ける日常に追い詰められ、2007年にブリトニーは、バリカンで自ら坊主にしたり、傘でパパラッチの一人を殴ったりと精神崩壊を引き起こして世間に衝撃を与えた。
08年、ブリトニーには金銭管理などについての判断能力がないと見なされ、成年後見人制度下に置かれた。彼女の資産や私生活を管理するのは、長年確執がうわさされてきた父親ジェイミー・スピアーズ。しかし、ブリトニーは昨年、父親を成年後見人から外し、財産管理を委ねるのは金融機関のみにしたいと裁判を起こしたのだ。
現地時間6月23日、ロサンゼルス郡の裁判所で行われた裁判の審問に、ブリトニーがリモート出席。その証言内容が、スーパースターとは思えぬものだと再び世間に衝撃を与えている。
ブリトニーはまず、13年から4年間続いたラスベガス定期公演終了後、すぐに行った18年のワールドツアーについて、「ツアーの契約書には脅迫的にサインさせられた」と証言。その後、19年2月から再びラスベガス定期公演を望まれた時には、さすがに「休みが必要」と拒否したところ、セラピストに「非協力的で、薬をちゃんと飲んでいないようね」と、意思に反して炭酸リチウムという向精神薬に与えられたとのこと。ブリトニーは、こうした出来事について、
「それまで5年間服用していたものよりも強い薬で、酔っ払っているような状態になり、怖くなった」
「医師に『怖い』と打ち明けたら、6人の看護師が家にやってきて、監視されるようになった。外出もできなくなり、1カ月間そんな状態が続いた」
「父はこの件について『知らない』と言っているけど、父が許可しなければ起きないこと。クリスマス休暇の間、子どもたちと一緒に過ごす前に、私に検査(精神鑑定)を受けさせたのも父だった」
と、自分の思い通りに働かない娘に対し、父親が精神鑑定を受けさせていたと語った。さらに、リハビリ施設に行かせたのも父だと示唆している。
「『残念だけど、検査の結果、リハビリ施設で治療を受けるという診断が下ったよ。月に6万ドル(約660万円)かかるからね』と私に言った父は、本当にうれしそうだった。私のようにパワフルな人間をコントロールすること、実の娘を傷つけることに酔いしれていました」
「リハビリ施設では、休みなく、毎日働かされました。まるで性的人身売買の被害者のように、クレジットカードや現金、携帯電話、パスポート、所持品をすべて没収され、自分の意思に反して働かせられたのです」
「朝昼晩監視され、着替えの時もいるから、裸も見られた。プライバシーはなかった」
リハビリ施設での治療後、ブリトニーは活動を休止。ファンから心配するコメントが寄せられたが、「(インスタグラムで)私は大丈夫、幸せだとウソをついてきた。そう言い続けてれば幸せになれるかもと思ったから」「真実を言うと、私は幸せじゃない。眠れないし、怒りに満ちているし、もうめちゃくちゃ。うつ状態が続いている。毎日、泣いている」と吐露した。
そして、この13年間、自分を支配して奴隷のように扱う父親を成年後見人とし、それを認め続けるカリフォルニア州の司法に疑問を呈し、「父をはじめ、成年後見人制度に関わる人たちすべてを罰して欲しい」と強い口調で述べた。
また、成年後見人制度の適用を中止させるために精神鑑定が必須なことについて、「私は受ける必要がないと思う」「大金を稼ぎ、たくさんの人の生活を成り立たせている私が、そんな鑑定検査を受ける必要性はないと感じるから」と繰り返し主張。
自分が置かれている地獄のような状況や制度について、これまで何も語らなかったことについては、「正直、誰も信じてくれないと思ったから」と説明。「私はただ自分の人生を取り戻したいだけ。13年はあまりにも長すぎた」と感情的な口調で、“お騒がせセレブ”を罰するにしてはあまりにも度が過ぎていると怒りをこめて語った。
ブリトニーは、「自分のお金を取り戻し、自分の恋人が運転する車に乗りたい。正直、家族を相手に訴訟を考えている」「そして、自分の身に起きたことを、世間に向けてシェアしようと思う。隠し続けるのは、心の健康上よくないから」と宣言。よく知らないセラピストから虐待のような扱いを受けていること、コロナ禍においても、周囲の後見人スタッフにウソをつかれて行動を制限されてきたと訴え、「(私が)お金を払わされている相手に、これ以上指示されたくない」と怒りに満ちた声で明かした。
最後に、彼女は「成年後見人制度下にあるからと避妊リングを入れられて、妊娠できないようにさせられているんです。このリングを体から取り除き、子作りをしたい」と激白。
「この成年後見人制度は、私にとって良いことはなく、悪でしかない。私は、自分の人生を手にする権利があると思う。子どもの頃からずっと働き続けていたのだから、2~3年間休暇を取り、自分の好きなことをやりたい」と訴え、「ずっとこうして話していたい。だって、この(リモートの)電話を切ったら、(スタッフたちの)『ノー! ノー!』しか聞こえない現実に戻るから。(父親や成年後見人に関係する自分のチームに)いじめられて、孤立して。私はずっと孤独」と締めくくった。
このブリトニーの証言内容が報じられた後、Twitterでは「#FreeBritney」がトレンド入り。元恋人のジャスティン・ティンバーレイクをはじめ、クロエ・カーダシアンら数多くのセレブが彼女を応援する投稿をし、ネット上では、「めちゃくちゃしっかり話している。後見人なんて必要ない」「ブリトニーを自由にしてあげて!」と、彼女を支持する声が高まっている。
今後裁判では、ブリトニーが制度の適用を終わらせる精神状態にあるか、判断能力があるかがキーとなってくる。精神鑑定なしで制度適用が終了できるのかも、注目されるところだ。一方、父ジェイミーは5月に「娘は認知症だ」と主張しており、両者の主張は平行線のままになりそうだ。
その後ブリトニーはインスタグラムを更新し、「2年間、大丈夫なフリをしていてごめんなさい」「でも、大丈夫だと演技することで、精神的に少し楽になったのよ」というメッセージを投稿。1時間で60万近い「いいね!」を集めた。