小池百合子は、なぜ「史上初の女性都知事」になれたのか? 2016年「東京都知事選のウラ側」を振り返る!

 7月5日に投開票となる「東京都知事選」に世間の注目が集まっている。一部メディアでは「小池百合子氏、圧勝ムード」などと報じられてきたが、学歴詐称疑惑問題の再燃、新型コロナウイルス感染拡大への対応に都民の不満が高まっている現状、そして2016年都知事選の際に掲げた公約「7つのゼロ」を「達成していない」点などが物議を醸しているのも事実だ。

 この「7つのゼロ」とは、待機児童、残業、満員電車、ペット殺処分、介護離職、都道電柱、多摩格差(多摩地区と東京23区の各種インフラ格差)ゼロで、この中で達成したのは「ペット殺処分」のみ。ただし、これも病気やケガなどを理由とした処分は除いたものだけに、「達成とは言えない」とする向きもある。

 そんな小池氏だが、4年前の都知事選に当選した際は、「初の女性都知事」として脚光を浴びていたのも記憶に新しい。当時、サイゾーウーマンでは、国会議員秘書・神澤志万氏に、小池氏の永田町評を綴ってもらっていた。「小池氏の人間性については評価がいまひとつ」と神澤氏が指摘する理由とは。4年前の都知事選を振り返るためにも、この機会に再掲する。


(初出:2016年8月1日)

史上初の女性都知事・小池百合子が誕生した裏事情 永田町から見た都知事選総括

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■自分の顔写真のポスターが、都内全域に貼られる快感

 日本の首都である東京都の知事選挙が終わりました。2020年には、東京オリンピック・パラリンピックもありますので、世界から注目されていたと言っても過言ではない選挙だったのではないでしょうか。

 アメリカの民主党では、ヒラリー・クリントン氏が初めて女性の大統領候補に選出されました。国務長官として立派に任務をこなした実績が高く評価されたんだと思います。

 そして、日本では、東京都知事に小池百合子氏が選出されました。初の女性都知事です。「女のくせに」と言われ続けている永田町の女たちは小池知事誕生に感動した人も多かったのではないかと思われます。普段は仲良く会話をしている秘書同士でも、選挙となると応援する候補者が違う場合、なんとなくお互いに距離を置くので、まだぶっちゃけた話ができていないんですよ(笑)。

 それにしても、今回の都知事選挙は21名もの方が立候補されました。番号の上に選挙ポスターが貼られる「公営掲示板」は都内で1万カ所以上。その全てに初日のうちにポスターを貼ることができた陣営は、3つくらいだったのではないでしょうか? 候補者21人分の21枚が全部貼られている掲示板は存在しなかったと思います。

 候補者の皆さんにそれぞれの思いはあるのでしょうが、選挙って、とにかくお金がかかるんですよ。得票数が有効投票総数の10分の1に満たないと供託金の300万円は没収されてしまいますし(今回も、ほとんど没収でしょう)、防水など特殊な仕様の選挙ポスターの印刷代といった公費も供託金没収者には支払われないため、選挙費用は事実上、全額自腹になります。

 そこまでして、出馬するのはなぜなんでしょうか? ある候補者によると、「自分の顔写真のポスターが都内全域に貼られ、たくさんの人に見てもらえることが快感で仕方がない。やみつきになる」とのこと。そんなもんなんでしょうか……。

■政界のボスたちの元を渡り歩いたイメージが強い

 20年前は、小池氏も「愛人顔」(色気があって魅力的だけれど、ちょっと態度がなれなれしい女性)カテゴリーでした。

 最初の選挙は1992年、細川護煕氏が党首だった日本新党から立候補した参議院選挙。その時の「初心を忘れず」というアピールだったと思いますが、日本新党のイメージカラーだった緑と白で、今回の都知事選挙を戦われていました。

 永田町では、小池氏といえば「変遷の人」。日本新党を出て新進党の小沢一郎→保守党の熊谷弘→自民党の小泉純一郎と、政界のボスたちの元を渡り歩いてきました。そのイメージが強いからかもしれませんが、永田町では、小池氏の人間性については評価がいまひとつな感じです。

 でも、選挙の中盤の世論調査で「小池候補が増田候補をややリード」という結果が伝えられると、勝ち馬に乗りたい方たちが続々と小池選挙事務所を訪問し始めました。そもそも、選挙とはそういうものです。「人間性については疑問があるけど、知事になった時に相手にされないと支障が出るからね」と、いかにも自分たちは最初から小池候補を応援していたようにアピールするわけです。

 自民党本部は、当初は自民党都連と小池氏の対立を静観していました。まさか、小池氏が有利な状況になるとは想定しておらず、「東京都のことより国政が大事」と、内閣改造の準備を着々と進めていたのです。

 でも、小池氏と鳥越俊太郎氏が優勢になってきてしまい、終盤はさすがに党幹部も増田寛也氏の応援に入りました。自民党の意地がありますから。そのおかげで、最後の3日間は増田氏がかなり追い上げたようですが、小池氏のアイデア戦法に歯が立たなかったようです。

 鳥越氏も惜しかったですね。でも、いかんせん出だしが遅かった。それに野党共闘がうまくいかなかったのが残念です。「この政策を言ってはダメ、あれもダメ」と政策面での調整に手間取り、街頭演説で政策を訴えられなかった。「政策のない鳥越」などとマスコミで揶揄されるようになり、やっと、1日に1つずつ政策を出していく、という戦法を取ったものの、小池氏には追いつけませんでした。

 鳥越候補という「神輿」を担ぐグループが多すぎたのも、失敗でしたね。野党共闘もあまり多いと、選挙戦略はうまくいかないというモデルケースになったのではないかと思います。

 石原慎太郎元知事による「厚化粧」発言など、いろいろありましたが、当選した以上、小池氏には「初の女性都知事」というお祝いムードを早々に終息させ、東京都民のため、地道に都政をハンドリングしてもらいたいものです。

 そして、女性の敵は女性ですからね。神澤や後輩の永田町女子たちは、厳しい目で今後の都政を監視していきたいと思います(笑)。

永田町のアラフォー女性秘書は独身が多い その理由とは?

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Photo by Bold Content from Flickr

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■年内解散に秘書もヒヤヒヤ?

 「年内解散」が現実味を帯びてきている永田町です。神澤の長年の経験から察するに、自民党は「来年1月解散、2月選挙」を前提にして、「地元活動を徹底せよ」という指令を出しているようです。なので、今はひとり、またひとりと仲間の秘書たちが「選挙が終わるまで」との期間限定で地元へ行かされています。

 とはいえ「(実際には選挙は)ないだろうなー」と思っていたのです。でも、ここにきて民進党内のいざこざが原因で、どんどん「解散総選挙」の雰囲気が高まっています。しかも解散時期が、年内に前倒しされそうな……。

 選挙は、議員もですが、秘書にとっても仕事を続けられるかどうかの瀬戸際のイベントなので、その動向は気になります。

■それなりの収入を保証される「公設秘書」という身分

 国会議員には、3人の公設秘書の給与を国費で用意してもらえる制度があります。それぞれ「政策秘書」、「第一秘書」、「第二秘書」という呼称で登録される「特別職国家公務員」で、条件は犯罪歴がなく、日本の国籍を有していること、年齢が65歳以上でないことです。

 労働条件は、それぞれの国会議員の事務所で違うので一概には言えませんが、「公設秘書」になれれば、それなりの収入を保証されます。なお、政策秘書だけは「国会議員政策担当秘書資格」という国家試験に合格しなければなりません。かなりの難易度で、合格者も年に20人未満です。ただ、それに合格してもコネがないと就職できないので、それほど人気はないようです(笑)。

 また、一定の期間、公設秘書を経験すると「政策担当秘書選考採用審査」の認定のための講習を受けることができます。国会議員の推薦を受けて、この講習を受講するだけで資格を得ることもできるのです。試験で資格を取った政策秘書を「試験組」、公設秘書の経験年数で資格を取った政策秘書を「経験組」と呼び、両者は長年対立しています。「試験組」からすれば、「政策もできないのに政策秘書を名乗るな」ってことなんでしょうね。これに対して「経験組」からすれば、「あらゆることに対応できる柔軟性があってこそ優秀な秘書なのだから、政策だけ担当していればいいわけではない」という理屈のようです。

■40代の女性公設秘書は、月給35~60万円

 永田町には、多くのアラフォー女性秘書が働いていますが、独身の比率が高いですね。そして、それなりに稼いでおられます。40代の女性で考えると、公設秘書は月給35~60万円程度で、民間企業の平均賃金より高いのも、独身が多い理由のひとつかもしれません。

 でも、神澤は、一番の理由は、それだけのキャリアを積むまでの間、女性というだけで攻撃してくるオジサマたちと戦い続けた結果、デートをする時間を作ることもできず、男性に対する夢も希望も失い、「気がつけば独身」っていうことかなあと思います。

 中には、“愛人秘書”という立場で独身を続ける人もいますが、愛人でかつ優秀でない限り、再就職先は見つからず、いずれは永田町から追い出されてしまいます。

 議員が自費で雇う私設秘書だとお給料が安く、生活が大変なので、議員の落選などで就職活動が必要になった時は、それはもう必死です。そんなに苦労をしても、民間企業ではなく永田町で働くことを選択する独身アラフォー女性の本音は、「ここまで頑張ってきた自分を大切にしたい」ということではないでしょうか。

 そして、40代ともなれば、キャリアも10年以上のベテランとなります。地元からの陳情の対応を任されたり、政治資金を集めるパーティを取り仕切ったりと、責任が大きくなっています。事務所の中でも、「女」から「人間」として扱ってもらえるようにシフトしてくる時期であり、仕事内容も面白く感じる頃なのかもしれませんね。

 自分が関わった陳情をうまく処理できて感謝してもらえたり、根回しに成功してプロジェクトが無事に完了したりした時、ボスと一緒に法案策定を頑張って、それが法律として成立した時などの充実感・達成感は、なかなか味わえないものだと思います。

 女性秘書は、40代でやっと、ひとりの人間として見てもらえる機会が出てくるので、「もっともっと頑張って、もっともっとたくさんの人たちを救える法律を作る手伝いをしたい!」という使命感が、永田町の女傑(?)を支えているのかもしれません……。

■年齢を重ねた女性の枠は、とても狭い

 秘書の再就職活動はほんとに厳しくて、表向き年齢制限はないものの、実際、年齢を重ねた女性の枠は、とても狭いです。仲間たちとよく「今のボスに感謝して、仕事頑張らないとね~」と話しています。悪く言えば、今の事務所にしがみついていないと、次の事務所に採用してもらえる可能性はゼロに近いのも現実なのです。万が一の時は退職金もほとんどない公設秘書。私設秘書の場合は、そもそも退職金なしが普通で、貯金が趣味という人もいますよ。なので、アラフォー女性秘書の未来は、なかなか明るくありません。

 そんな中の解散総選挙の雰囲気、人一倍一生懸命頑張って、ボスの立場も自分の雇用も守りたいのが本音です。どうなるのかわからないのが、選挙の怖さです。これから、もっともっと忙しい毎日になるのでしょうね。

 忙しい中で“遅めの春”をゲットしている先輩たちもいるので、「いつかは結婚したい」という願望を捨てていない、欲張りな一面もありますよ(笑)。

 ※連載は今回で終了です。引き続き、ビジネスジャーナルに移動して連載します。

モデル、客室乗務員、キャバ嬢……議員秘書のユニークな前職

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国会中継は知名度を上げるチャンス!? 議員が有名になりたがるワケ

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国会が火事!? 火災報知機より大音量のベルで始まる本会議の裏側

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■心臓に悪い!? 本会議の開会ベル

 9月26日から11月30日まで66日間の日程で第192回臨時国会が始まり、予算委員会を筆頭に本会議、委員会と各党の分野別勉強会などなど、国会議員および秘書たちは多忙な日々を過ごしています。

 この夏に初当選した参議院議員たちは、とてもフレッシュで、やる気にあふれているようです。秘書もほぼ決まったようで、議員と一緒に歩いている姿を見て、「新しい職場が決まったんだね」と思うこともしばしば。また、最新の『国会議員要覧』(国政情報センター)や『政官要覧』(政官要覧社)に掲載された議員・秘書名の一覧を確認して、「あの秘書があの事務所にね~」と派閥内の「いろいろ」を想像したりしています。

 国会内がいろいろ入れ替わるので、仕事でやりとりをする議員の事務所に知り合いの秘書がいると、なにかととてもスムーズです。知り合いの数も秘書の優秀さがわかる基準のひとつですね。

 ところで、国会の本会議には衆参ともに、開会前の「予鈴」、そして開始時の「本鈴」として、ものすごく大きなベル音が永田町に鳴り響きます。初めて聞く人は、「火事なのか」って思わず逃げようとしてしまうほど大きいんです。神澤は、この音を20年間も聞いているので、今ではすっかり慣れてしまい、ベル音を聞いても動じません(笑)。

 でも、臨時国会開会日の本会議の時に、近くにいた新人秘書が、予鈴を聞いた途端に目が飛び出るんじゃないかと思うほど驚き、「神澤さん、どうしてそんなに落ち着いているんですか? 火事ですよ。大丈夫ですか!?」とパニクっていました。この様子を見て、「そういえば自分も新人だった頃は、ベル音を聞くたびに驚いていたなー」と懐かしく思いました。何年たっても慣れずに「心臓に悪いから、音を小さくしてほしい」とぼやく秘書もいるくらいです。

 ちなみに今年の6月に参議院議員会館でボヤ騒ぎがありましたが、その時の火災報知機の音が本会議のベル音より小さくて、秘書はみんな落ち着いて仕事していました。ただ、あまりにも長く音が続くので、やっとドアを開けて、放送に耳を傾けたという笑えない話があります。

 それから、10年以上前の話になりますが、旧議員会館の時代に議員会館の裏口から侵入しようとした犯人が、女性の衛視(院の職員で、いわゆるガードマン)と揉み合いになり、灯油の入った一升瓶を廊下の奥の方へ投げ、火をつけた事件がありました。

 その時、神澤も議員事務室の中で仕事をしていたのですが、なんだか「ポワーン、ポワーン」というような音が聞こえてきました。音量も小さいし、「なんだろうなー」と思いながらも仕事を続けていたら、なんだか煙い。ドアを開けると、階段の方から白い煙がもくもくと最上階まであがってきて、やっと「何かがあったんだ」と気づきました。

 避難指示の放送もなかなかされず、やっと放送があったと思えば「自室待機」で、何が起きているのか情報もさっぱりなくて、とても不安だったことがありました。現在の会館は、その時の教訓が生かされて、緊急事態でも安心な避難ルートが用意されています。

■傍聴には一般傍聴券が必要

 読者の皆さんには、この心臓に悪いといわれる本会議のベル音を一度、聞きに来てほしいですね。その時は、せっかくですから、本会議や委員会を傍聴していただけたらと思います。

 衆議院本会議の場合、傍聴席は、貴賓席、参議院議員席、外交官席、公務員席、公衆席および新聞記者席と分かれています。一般の方は、本会議が始まる30分前から先着順に交付される一般傍聴券が必要になります。また、議員の紹介を受けて傍聴することも可能です。

 重要法案が審議される場合や、天皇陛下がご臨席される国会開会式は人気があるので、あらかじめ議員事務所に申し込んでおいた方がいいと思います。委員会は議員の紹介がなければ傍聴できませんが、所属している委員会以外でも手配は可能ですので、躊躇せずにお願いをしてほしいと思います。

 あいにく、いつ会議が開かれるか、ということについては前日でないと確定しないことが多く、あらかじめ日程を決めて国会を訪問したい場合は、参観手続き(衆議院または参議院内の見学)をおすすめします。希望する日の60日前からFAXで申込みをすることができますし、少人数であれば、当日その場で申し込むことも可能です。

 もし本会議開会中で参観ができなくても(セキュリティ上、本会議の前後1時間は参観中止)、本会議を15分間傍聴できる「短時間傍聴券」に変更してもらうこともできます。これは希望しなければ変更してもらえません。職員の方から親切に教えてくれるわけではないので、注意してくださいね。ちなみに、一般で申し込むより、議員事務所の紹介を受けたほうがいろいろ特典があります。

 会議ではコワい顔をして議論している議員たちが談笑しているなど、テレビでは放送されない、本会議や委員会の裏側は「面白い」と言っていただくことが多いです。おみやげを買える売店や食堂もオススメです。売店や食堂は議員事務所が案内をしないと入れないので申し込まれて傍聴された方は、ぜひ観光気分でお越しください。以前ご紹介した吉野家国会支店限定の牛重弁当も食べに来てほしいです。

今井絵理子は小柄で目立たない!? オーラのある議員とオーラのない議員

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「二重国籍」問題でも蓮舫代表誕生 民進党の秘書だけが疲弊し、数千万円が消えた選挙

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被災地視察は迷惑? 災害支援はどこまでが国会議員の仕事か

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台風の影響で陥没してしまった道路

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■被害に対するお見舞いより、商売の心配

 台風や地震の被害が、全国各地で深刻な状況です。特に北海道、岩手県では、多くの人命が失われ、家屋や田畑が水没し、作物が全滅してしまったところもありました。

 現地では、台風の直撃を受けて対応に追われている段階から、農協への野菜の「引き合い」の電話がひっきりなしだったそうです。「引き合い」とは、「購入の打診」という意味で、要するに台風の被害で希望する野菜を手に入れられるか心配になった市場からの問い合わせが殺到したということです。

 被害に対するお見舞いよりも、商売の心配なんて、悲しい現実ですね。被害に遭われた方たちへ、心よりお見舞い申し上げます。

■国会議員の視察は迷惑?

 今年の8月は、北海道付近に次々と台風がやってきました。8月に発生した台風は7つあり、そのうち6つが日本に接近したそうです。しかも、その6つすべてが北海道に近づき、7号、9号、11号は上陸しました。台風の威力は相当なもので、尊い命が犠牲になりました。

 北海道と東北は、過去に多くの被災経験があるので、災害に強い街づくりをしてきました。堤防もしっかりとしたものだったのに、河川が氾濫してしまうほど集中的に豪雨が降ったのです。1951年の統計開始以来、1年で3つの上陸は最も多い数で、北海道は経験したことのない大雨となりました。まさに想定外の「異常気象」ですよね。

 北海道は、台風に慣れていなかったこともあり、河川が氾濫した影響で橋が流されたり、写真のように道路が陥没してしまったりと、尋常でない被害が報告されています。

 こうした災害の際には、国会議員が被災地へ視察に入ります。「国会議員に何ができるの? お見舞いくらいでしょ」と厳しい意見を頂戴することもありますが、視察の目的は、現地の被害状況を体感し、復旧に必要な支援を確認することです。優先順位もありますし、報道ベースの情報だけではわからない現場の声、被災者の声を正確に政府へ届けるためなのです。

 しかし、現在進行形で被害が進んでいる地域には、国会議員が視察で入れない場合もあります。受け入れ体制の準備が大変なので、当事者の自治体が敬遠することと、国会議員の安全が保証されないと現地入りが難しいからなんですね。必死に現場対応している市役所などの職員からすれば、「緊急事態に国会議員の世話なんかしていられるか!」というのが本音だと思います。

 東日本大震災の際、当時の菅直人総理大臣が福島の原発をヘリコプターで視察し、大ヒンシュクを買ったことは記憶に新しいと思います。

■役に立つ国会議員もいれば、「役立たず」も

 では、国会議員は、被災地のために何ができるのでしょうか? 「必要なことは、なんでもできます」というのが、答えです。

 今回のような大規模な災害が起こると、国会議員はまず視察し、状況を判断します。そして、それぞれの地域の予算では復旧が難しい場合、激甚災害法に基づいて「激甚災害指定」をするように政府へ働きかけます。指定を受けられれば、通常を超える財政的な復旧支援を、国ができるようになるからです。

 財政支援のメニューには、土木関係の予算、農業関係の予算等があります。もし、岩手の被害の復旧支援で土木関係の予算が多く使われることになった場合、北海道には農業関係の予算を多く充て、田畑や周辺の道路も修復できるようにするなどの調整役を務めるのが国会議員なのです。

 各自治体(都道府県、市町村)は、自分たちの管轄を超えての作業はできません。道路ひとつをとっても、市道、県道、国道に分かれ、管理している組織が違います。河川も一級河川だと国、二級河川は都道府県という管理組織の壁があります。それを国会議員が全体的に見て調整するのです。

 とはいえ、正直なところ「国会議員」といっても、調整のできる能力・実力を備えている人と、「役立たず」がいるのが現実です。また、所属政党によっても力は違います。与党議員の方が政権に近いので、こういう時に頼りになるのは、今は自民党・公明党の議員かもしれません。でも野党の議員でも実力がある人は、普段から大臣とのパイプを持っていて、きちんとお役に立ちます。

 実は、「デキる議員」と「デキない議員」の見極めは、とても難しいですね。テレビなどのメディアに頻繁に登場する議員は有名なので役に立ちそうですが、上西小百合さんのような議員もいますから(笑)。

■ふるさと納税で被災地を支援しよう

 読者の皆さんにも、被災地を直接支援する方法があるのをご存じですか? そのひとつは「ふるさと納税制度」です。ぜひ、この制度を利用して、被災地を手助けしましょう。

 ふるさと納税制度とは、実際には「税金」ではなくて「寄付」です。支援したい市町村や都道府県に対して寄付をする際に、自分が寄付したお金の使用目的を、災害支援に限定することもできます。住民税からおよそ2割の還付を受けられますし、自治体によっては、返礼品(地域の特産品など)を用意しているところもあります。

 ですから、支援を受ける自治体にも、寄付をする皆さんにも互いにメリットがあります。今は、ネットからでも気軽に手続きができるので、ぜひチェックしてみてください。

 国会議員の仕事ぶりは、一般の人たちにはわかりにくいですよね。メインの仕事は立法作業、法律を作ることですが、そのほかにもたくさんありますよ。今回の話のように、命にかかわる作業を支援することもありますので、また少しずつお伝えしていけたらと思います。

民進党代表選挙は出来レース 華やかな経歴とオーラ、資金力で勝利!?

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蓮舫公式サイトより

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■民進党の代表は蓮舫議員に

 民進党の代表選挙が9月2日に告示になり、蓮舫参議院議員、前原誠司衆議院議員、玉木雄一郎衆議院議員が立候補しました。正直、永田町では当事者以外は関心がありません。皆さんはいかがですか?

 だって、今回は最初から蓮舫議員が代表になることが決まっていましたからね。15日の臨時党大会で淡々と結果が報告されるでしょう。

 それにしても、蓮舫さんは世間からは人気がありますね。民進党初の女性の代表ということに加え、元キャンギャルという華やかな経歴も魅力なんでしょう。実際、蓮舫さんは目立ちます。体にフィットしたスーツをまとい、高いヒールで颯爽と歩いている姿は、カッコいいです。わかりやすく、歯切れのいい話し方にも好感が持てます。

 国会は、年齢を重ねるごとに体つきがまん丸になっていく女性議員ばかりなので、元女優の三原じゅん子参議院議員と並ぶくらい綺麗オーラがあると思います。

■選対事務所の場所で資金力がわかる

 少し前まで代表選挙といえば、高級ホテルの中に選対事務所が用意され、秘書は泊まり込みで票の取りまとめをするものでした。その選対ごとに懇意にしているホテルが違い、ホテルマンのサービスの度合いで、どのくらいの資金が用意されているのかをうかがい知ることができたのです。党内の関心も高く、新しい代表とその派閥の党内での力関係で、自分たちの立ち位置も左右されるかもしれないという緊張感がありました。

 蓮舫さんの支持母体の野田(佳彦元首相)グループは、国賓が宿泊するレベルのホテルに選対を構えたのに対して、前原さんは紀尾井町の古いビルの中の貸会議室を借りて頑張っているみたいですから、資金力の差は歴然とわかりますね。

 民主党時代の代表選挙も、鳩山由紀夫さんが代表選挙に出馬されていた時などは、何かと豪華でしたね。小沢(一郎)グループの選対もなかなかリッチで、多忙ながらも恵まれている環境でした。

 それにしても、センセイ方はそれぞれ事務所があるのに、なんでわざわざホテル? と思われるかもしれません。これにはいくつか理由があります。ホテルは出入り口がいくつかあるので、コッソリ抜け出して密談もできますし、マスコミがたくさん来ても対応しやすいのです。また、レストランや売店があって、生活に便利ということもあります。

■ますます自民党政権が盤石になる

 読者の皆さんは意外に思われるかもしれませんが、残念ながら、蓮舫さんの評判は、国会議員にも、秘書にも、官僚にも、そして党職員からもよくありません。霞が関界隈のタクシーの運転手さんの1人は「(蓮舫さんは)とにかく威張ってるからニガテ。運転手の仲間内では『乗せたくない議員ナンバーワン』だよ」と言っていました。本人に、そのつもりはないのかもしれませんが、なんか「威張っているだけ」の印象なんですよね。

 蓮舫さんが民進党の代表になれば、きっと党内もまとまらず、ますます自民党政権が盤石になるという見方をしている人も多いです。もはや民進党は、すっかり「万年野党」ですね。以前はイギリスの「シャドウキャビネット」(影の内閣)を見習って「ネクストキャビネット」(次の内閣)を組閣し、「いつでも政権交代可能な政党だ」などと意気込んで活動していたのに、そんな面影はまったくありません。

 政権交代が現実的だった時期の代表選挙は、とても活気がありました。「もしかしたら、次の総理大臣を自分たちが選べるかもしれない」という期待感があり、みんな民主党の党員やサポーターになりたがったものでした。中には、自民党員なのに民主党サポーターに登録し、投票に参加している秘書までいたくらいです。

 余談ですが、「ネクスト大臣」だった議員の中で、実際に民主党の内閣で大臣に就任したのは、原口一博衆議院議員のみでした。その原口議員も「第3の候補」として、今回の代表選挙で名前が取り沙汰されていましたが、推薦人が集まらず、出馬は見送られました。なんでも、国会議員への推薦依頼を秘書にさせていたそうで、びっくりです。本当に代表選挙に出馬したいのであれば、自分で頭を下げるべきですよね。最近、マスコミへの露出がなかったので、単なる売名行為だったのではと疑ってしまいます。なんだか、情けない話ばかりの民進党です。

 民進党の代表選挙の日程を考慮して、国会の開会時期は26日にずらしたようですが、こんな出来レースの代表選挙であれば、さっさと国会を開いたらよかったのではないでしょうか。

 平成29年度予算の概算要求の時期になり、国会開会に備えて各党の会議が続々と予定されています。のんびりしていた閉会中の雰囲気は台風とともに吹っ飛び、災害対策にも追われている永田町です。代表選については、また書かせてくださいね。

ボスである議員が大臣になると秘書も偉くなるのか? 永田町の秘書の上下関係

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