おぼん・こぼん”解散ドッキリ”の困惑を解きほぐす、小籔千豊の”長尺語り”というスパイス

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(2月24~3月2日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

■平野レミ「シチューもカレーもそうだけど、一晩寝かせるとさ……」

 平野レミの料理は雑である、ということになっている。まな板に叩きつけられる食材、調理台に飛び散る調味料――。そんな様子を見ていると、確かに「雑」という言葉が頭に浮かぶ。生放送で平野がとにかくたくさん料理を作る、というような番組をNHKで定期的にやっているけれど、そんな時間制限のもとでは雑さにさらに拍車がかかる。食材が立ったりもする。

 だが、平野の魅力はそこだけではない。父はフランス文学者、夫はイラストレーターでエッセイストである。身の回りには文化的なあれやこれやがあり、平野もそれを吸収してきたはずだ。だからだろうか、平野の言葉はときに文学的になる。

 2月26日放送の『ごごナマ』(NHK総合)では、大根を使った料理を披露していた。いつものように平野のテンションは高く、ついついそこに目を奪われてしまいがちになる。けれど、彼女の口から出る言葉は、やはりしばしば詩的な響きを帯びる。たとえば、「いつも元気なレミさん。気分が上がらないときはあるのですか?」といった視聴者からの質問に答えたときのこと。平野は「たいていワイン飲んじゃうね」と、次のように続けた。

「シチューもカレーもそうだけど、一晩寝かせるとさ、気持ちがマイルドになって、でっかい気持ちになっちゃって。だから嫌なことがあったら一晩寝るの、ワイン飲んで。そうすると次の日は、『なーんでもない、昨日のことは』ってなっちゃうねー」

 嫌なことがあったら、お酒を飲んで一晩寝れば忘れる。それだけのことといえばそれだけだが、シチューやカレーに例えるところが詩的であり、かつ、料理愛好家っぽい。同様の話を別のところでは「時間も調味料」というような表現もしていた。なるほど、時間制限を課された平野がいつもより数割増しで面白くなるのも、時間という調味料が効いているのかもしれない。

 さて、この日はトークを交えながら50分の番組で大根料理を5品仕上げた平野。調理器具と調理器具がぶつかって派手な音を立てていた。調理台の上にはしょう油なのかソースなのか、茶色い液体が飛び散っていた。汁物を作ると、いつの間にか鍋の周りにこぼれていた。これだけ見ると、確かに平野は雑である。

 だがしかし、一度レミパンを手にするとどうだろう。どこまで知られているのかわからないけれど、レミパンにはさまざまな機能がある。たとえば、フタは自立する。持ち手の部分は、レミパンとセットで購入できる専用のおたまとかがピタッとくっついて置ける仕様になっている。フタの取っ手には菜箸などを一時的に入れておく穴もある。つまり、調理中にいったん使わないフタや菜箸などを調理台にじかに置かなくてよい、清潔で機能的な調理を可能にするグッズがレミパンなのだ。

 で、平野はそんなレミパンの機能を存分に使う。おたまや菜箸は調理台の上に乱雑に置かれることなく、レミパンの然るべき場所に収められていた。この日はどの食材も立てられてはいなかったけれど、鍋から外されたフタはキレイに立てられていた。

 平野の料理は雑である。しかし、自身が販売するレミパンの使用は丁寧だ。各局を渡り歩き、料理番組をあたかもレミパンの通販番組にしてしまう平野。そんな実業家としての側面もまた、彼女の魅力である。

■こぼん「テレビのエンタテインメントとしては面白くもなんともないでしょう」

 芸人に仕掛けられるドッキリの定番のひとつに、解散ドッキリがある。辛苦を長年ともにしてきた相方から唐突に解散を告げられたら、どう振る舞ってしまうのか? 宣告された側の困惑。浮かび上がる相方との関係性。にじみ出る芸人観。隠しカメラを通して伝えられる、そんなこんなを味わうドッキリである。悪趣味といえば悪趣味だが、ドッキリは総じて悪趣味だ。

 そんな解散ドッキリを、若手や中堅ではなく、長年連れ添ってきた師匠クラスの芸人に仕掛けるとどうなるか? 2月27日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、「芸人解散ドッキリ 師匠クラスの方が切ない説」が検証された。シチューやカレーのように一晩どころではない。一緒に芸の道を歩み始めて数十年という時間の長さが、このドッキリの最大の調味料である。

 説検証にあたり、用意されたサンプルは2組。問題だったのは、2組目のおぼん・こぼんである。今回のドッキリの見届け人であるナイツいわく、結成して53年になる2人は仲が良い時期と悪い時期を繰り返しており、現在は最悪。8年間私語を交わしていない状態らしい。そんななか、解散ドッキリが行われた。前置きからしてしびれる。

 仕掛け人であるおぼん(70)が会話を切りだす。が、「オレがなんで怒ってるか、オマエわかるか?」と、いきなりのケンカ腰である。もはや初めからドッキリを仕掛ける姿勢ではないわけだが、それに対しターゲットであるこぼん(70)も、「アンタのことはわからん」「もうええ」というように、おぼんの言葉にまったく聞く耳を持たない。つまり、こちらもケンカを受けて立つ構え。50数年前の結成時の話が蒸し返される。漫才協会の業務の話題にもなる。この場の空気にいたたまれなくなったマネジャーも席を立つ。そして、とうとうこぼんが口にする。

「すっきりしましょう」

 おぼんがドッキリで解散を告げるはずだったのに、こぼんがリアルに解散を提案してしまったのだ。

「テッテレー」と効果音が鳴り、「ドッキリ大成功!」のプレートを持って登場するナイツ。しかし、「シャレになるドッキリとならんドッキリあるで、これ」と言い、ナイツにおしぼりを投げつけるこぼん。そして、ドッキリのバラシがあったにもかかわらず、「一言謝れや」と、なぜかケンカを続けるおぼんであった(カメラがいったん引いた後の話し合いで、おぼん・こぼんの解散は回避されたそうだ)。

 今回のドッキリ、仕掛けたのは誰で、仕掛けられたのは誰だったのだろう? 予告ドッキリ(ターゲットになる芸能人に、ドッキリであることを事前に予告しておくドッキリ)など少しひねったドッキリも少なくない中で、『水曜日のダウンタウン』はこれまでも他に例のないいちだんとひねったドッキリを企画してきたが、ここにきて、そもそもドッキリを仕掛けた側も仕掛けられた側も、最終的にどこにもいないドッキリを放送してしまった。

 さて、ネタバラシ(と言えるのかどうか)が終わり、おぼんは部屋を後にした。正座したナイツがこぼんをフォローする。わざわざこのためにご足労いただき申し訳ありませんでした。でも、放送後の反響は大きいはずです。話題にもなるはずです。編集もうまいことゴニョゴニョしてくれるはずです。そう言ってなだめるナイツに、こぼんが言い放つ。

「でも、テレビのエンタテインメントとしては面白くもなんともないでしょう」

 時間は調味料である。しかし、おぼん・こぼんの53年にわたる時間は、塩とか砂糖とかそういった調味料というよりも、ハバネロとかジョロキアみたいな類いの香辛料。もはや味覚ではなく痛覚である。しかし、そんな痛覚を楽しむ好事家もいるのです、師匠。

■小籔千豊「この番組を見た人は、お暇なとき、浅草の方の東洋館に行って……」

 引き続き、『水曜日のダウンタウン』の解散ドッキリの話。VTRが終わって画面はスタジオに戻る。しかし、ダウンタウンとゲストの面々に浮かぶ困惑の表情。「いや~」という声も漏れる。VTRをどう受け止めてよいのか、わからない雰囲気だ。ここで、今回の説のプレゼンターである小籔千豊が語り始めた。小籔によると、この解散ドッキリのオファーは、マネジャーが一度断ったそうだ。しかし、おぼんが「漫才協会の役に立つのだったら、引き受けよう」ということで、了承したのだとか。

「で、こぼん師匠。大変怒ってはりました。途中、おぼん師匠が『サービス精神ないねん』って言うてはりましたけど、あんな怒ってるとこ普通やったらオンエアされたくないです。師匠が『もう流すな』言うたら終わりのところを、こぼん師匠は『かまへん。テレビ流していいよ』という、こぼん師匠のOKいただきましたので、このVTRが流れることになっております。ですので、サービス精神バリバリあるこぼん師匠。ありがとうございますっ! そして、なんと次の日も、いつもの劇場に出られて、おぼん・こぼん師匠、いつものように大爆笑をとってらっしゃったというふうに聞いております。あれだけケンカして仲悪かったのに、次の日ネタ、バッチリやって、ドーン。ですのでこの番組を見た人は、お暇なとき、浅草の方の東洋館に行って、おぼん・こぼん師匠の漫才、生で見ていただきたいなというふうに思いますね」

 このように、小籔は長尺でしゃべる。今さら言うことではないかもしれないが、短いネタが歓迎されるといわれて久しいテレビのバラエティ番組の中で、演説調の語りを聞かせるのが小籔の真骨頂である。

 小籔は以前、こんなことを話していた(『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合、2月18日放送)。座長として吉本新喜劇の台本も手がける小籔だが、その台本は、マンネリと評されることも少なくない新喜劇の笑いの中で、異彩を放っているという。定番の型をしばしば排しているからだ。演者が台本の意図を読み取れないこともあり、観客がついてこられない恐れもある。しかし、小籔は言う。

「過去の人がやってきたことでいま定番になってることって、最初は逆風吹いてたと思うんですよ。みんな頑張って新しいことやったから今があるとしたら、逆風怖がるってセコいですよね。ボクが死んで100年後に新喜劇学を研究する大学の教授が出てきて、そのときにボクが『小籔の乱、間違いだ』って言われるのか。小籔は正しいことを言ってたのか」

 小籔は自身の行為を長い歴史の中に置く。先人たちの挑戦の積み重ねの上に自分を位置付け、さらに自分の挑戦の最終的な評価は将来の人の判断に委ねる。その言動から、時に「保守的」と言われることもあり、発言の内容には個人的にムムムと思うこともある。けれど、個々の発言の内容というよりも、長い歴史軸の上に自身の言動を置いて省察する姿勢にこそ、小籔が保守的と呼ばれて然るべきところがあるのかもしれない。

 小籔の話は長い。そして、その話が置かれる時間軸も長い。おぼん・こぼんショックが残るスタジオの空気を慰撫し、テレビの視聴者の困惑を少しずつ解きほぐすのは、このような幾重にも長い時間のしゃべりだったのだろう。カレーやシチューの尖った味も、時間を置くとマイルドになるように。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

クロちゃん、「モンスターハウス」で見せたモンスターぶりは本当!? 連日キャバクラ通いの異常な私生活!

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)内で放送されていた、クロちゃんの恋愛リアリティー企画「モンスターハウス」が、12月26日に終了した。

 クロちゃんを含む男女6人による、3カ月にわたる共同生活に、どんなオチがつくのか注目されたが、クロちゃんは、なんと2人に指輪を差し出して告白。さすがはモンスターという展開をみせるも、どちらにもフラれるという結果に、SNSは大いに盛り上がった。

「女性のほうから熱烈アプローチを受けたり、参加者の一人と3度もキスをしたりと、一時は、女性3人全員、誰とでもうまくいってしまうのではという気配もあり、意外なモテぶりが話題となりました。企画終了後、キスをした女性は、『優しくて面白くて気が使える』『リアルにモテると思いますよ』とインタビューに答えていましたね」

 あのクロちゃんが、リアルにモテるとは、果たして本当か。クロちゃんと親しいある芸人は、こう明かしてくれた。

「クロちゃんのオンナ好きは異常なほど。仕事が終わればほぼ毎日、キャバクラに行っています。馴染みのお店のお気に入りの女の子をお目当てに、というわけではなく、その目的はその日限りの“お持ち帰り”。それ以外には興味がないため、新規のお店ばかりを訪ねては、女の子を口説きまくっているんです。すでにその人数は1万人を超えたと本人は話していますからね」

 1万人とはすごいが、勘違いしないで欲しいのは、1万人をお持ち帰りしているわけでは、もちろんないということだ。

「1万人以上をホテルに誘って、実際にお持ち帰りができたのは、これまでに3人だと言っていました(笑)。確率にして、0.03%。有名人でこの確率は、あまりにも低いんじゃないでしょうか。それでもめげることなく、3,000回に1回訪れる幸せのために、キャバクラ通いを続けているわけですから、そのメンタルはやはりモンスターですね」(同)

 やっぱりクロちゃんは、テレビに出せるギリギリか、もしくはアウトな人のようです。

クロちゃん、「モンスターハウス」で見せたモンスターぶりは本当!? 連日キャバクラ通いの異常な私生活!

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)内で放送されていた、クロちゃんの恋愛リアリティー企画「モンスターハウス」が、12月26日に終了した。

 クロちゃんを含む男女6人による、3カ月にわたる共同生活に、どんなオチがつくのか注目されたが、クロちゃんは、なんと2人に指輪を差し出して告白。さすがはモンスターという展開をみせるも、どちらにもフラれるという結果に、SNSは大いに盛り上がった。

「女性のほうから熱烈アプローチを受けたり、参加者の一人と3度もキスをしたりと、一時は、女性3人全員、誰とでもうまくいってしまうのではという気配もあり、意外なモテぶりが話題となりました。企画終了後、キスをした女性は、『優しくて面白くて気が使える』『リアルにモテると思いますよ』とインタビューに答えていましたね」

 あのクロちゃんが、リアルにモテるとは、果たして本当か。クロちゃんと親しいある芸人は、こう明かしてくれた。

「クロちゃんのオンナ好きは異常なほど。仕事が終わればほぼ毎日、キャバクラに行っています。馴染みのお店のお気に入りの女の子をお目当てに、というわけではなく、その目的はその日限りの“お持ち帰り”。それ以外には興味がないため、新規のお店ばかりを訪ねては、女の子を口説きまくっているんです。すでにその人数は1万人を超えたと本人は話していますからね」

 1万人とはすごいが、勘違いしないで欲しいのは、1万人をお持ち帰りしているわけでは、もちろんないということだ。

「1万人以上をホテルに誘って、実際にお持ち帰りができたのは、これまでに3人だと言っていました(笑)。確率にして、0.03%。有名人でこの確率は、あまりにも低いんじゃないでしょうか。それでもめげることなく、3,000回に1回訪れる幸せのために、キャバクラ通いを続けているわけですから、そのメンタルはやはりモンスターですね」(同)

 やっぱりクロちゃんは、テレビに出せるギリギリか、もしくはアウトな人のようです。

『水曜日のダウンタウン』の「モンスターハウス」に風雲急! “独裁者”クロちゃんが不気味に動き出す

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)内で、放送されるたびに話題となる「モンスターハウス」。もはや蛇足だとは思うが、一応説明すると「もしもテラスハウスの中にゲスの権化・クロちゃん(安田大サーカス)が紛れ込んでしまったら……」的な企画内容。

 最近はプレゼンテーターのたむらけんじが登場するだけで観覧客のボルテージが上がるのがわかる、異様な人気ぶり。

 今夜放送の最新回(第6週目)の前に、クロちゃんの本性が同居人たちにバレまくるなど急展開を迎えた前回(第5週目)を振り返りたい。

■ハウス内結婚を目論むクロちゃん

 まず第5週目の本編前に、クロちゃんの衝撃のキスシーン(第4週目)を「おさらい」するスタジオ出演者たち。何度見ても、観客席から悲鳴が上がる。

 もはや今年1年を振り返るニュースの中に紛れ込んでいても違和感がないほどの事件映像。「嘘ツイート」「胎動するベッド」らと並ぶクロちゃんの代表作だ。

 そして、第5週目本編は、クロちゃんと友人の芸能マネジャーの会話からスタート。

 キスをした蘭のことも、キスはしてないけどデートを重ね口説きまくってる莉音のことも、両方とも好きだとノロケる二股真っ最中のクロちゃん。

ついには「モンスターハウスで彼女作ったらそのまま結婚するつもりだからさ」

というちょっとした犯行予告まで飛び出す。

 

■ハウス全員でのオンエア鑑賞

 この日は「モンスターハウス」の最初の回がテレビ放送される日で、クロちゃん含めたハウスの住人全員でオンエアを観ることに。

 クロちゃん的には「一番好き」などと、それぞれの女性を口説いている場面を双方の女性と一緒に観ることになるわけで、普通に考えたらその地獄の状態は回避したいはず。

 なので仕事のフリでもして帰ってこないのでは? と思ったが、しっかりオンエア時間前に帰宅するどころか、「楽しみ」と言いながらシャンパン開けて盛り上がる図太いクロちゃん。

 図太いというか、いまいちその心理が読めない。

 そして、いよいよオンエアスタート。

 クロちゃんが莉音と2人きりになるや否や「本当に一番好きだよ」と光の速さで告白したシーン。

 意外にも、まんざらでもない様子でその映像を観る莉音。クロちゃんも特に嫌がるでもなくそれを観ている。

「俺もう決めたの、莉音にだけは嘘つかないでおこうって」

 こういうシーンを当事者が観る場合、現状いい関係でないとキツイはずなのだが、普通に観れているということは、やはりそれなりに莉音とはいい関係であるということなのだろうか。

 しかしその直後の蘭とクロちゃんのシーンで、ハウス内の空気が激変する。

 

■「どっちが好き?」「どっちも」

 クロちゃんと2人きりのとき「蘭ちゃんが一番好き」と蘭に言っていたのが莉音にバレてしまったのだ。

 莉音はすぐさま「うわ最悪!」と反応、立て続けに「ショックっていうか、悲しい」「人間不信になりそう」と嘆く。

 ここですかさず、この期に及んで「なんかあったら助けるから」とお馴染みの口説き文句を、やや雑に繰り出すクロちゃん。

 今まさにその「なんか」を巻き起こしてる張本人なのに。

 しかし、これは嫌な見方だが、今回は口説きモードのときに言ってるのとは違い、芸人モードで笑かしにかかっていた感も否めない。笑っていた人は少ないかもしれないが、言い方がボケのそれだった。

かしその言葉に対し「それ私にも言ってたよね」と蘭が付け加えると、事態は更に深刻に。「本当に泣きそう」と取り乱す莉音。

 一方、蘭は終始落ち着いているように見えた。

 こちらはキスしているからなのか、事前に莉音とクロちゃんのことは織り込み済みだからなのか、はたまたクロちゃんのことなど元からなんとも思っていないからなのか、とにかく実に余裕のある蘭。

 もともと無邪気そうな莉音より大人びている蘭は、酒の勢いで面白半分にキスしただけの可能性も強い。

 蘭はさらに「どっちの方が好き?」と、やけに艶っぽい声で、この状況を楽しむかのようにクロちゃんを追い込む。

 しかし、やられっぱなしだったクロちゃんが前半で一番光っていたのは、この質問に「どっちも」と即答したところ。実に最低で最高だ。

 その後、男女別々で部屋に別れ、ダメなオジさんのダメな言い訳を聞かされる2人の若者たちの顔も完全に感情が無でよかった。

「自分に嘘つきたくない」

「今までこうやってきたから」

 こんなクロちゃんのどうしようもない言葉に言い返したいけど、一応歳上だし黙って聞いててあげてる感じ。悲劇と喜劇が入り混じる様に、妙な味わいがあった。

 しかし、本当にクロちゃんがゲスとして黒光りするのは、もう少し後だ。

■結局普通にモテているのでは?

 ここまで見て、クロちゃんの不誠実さに目が行きがちだが、まず何よりクロちゃんが普通に二股を成立させ、三角関係のど真ん中、いわゆるモテのポジションに居座っているのに驚く。

 女性との一対一のやりとりもオンエアされてしまう特殊な環境でなかったら、このモテ期もまだ続いているわけだからすごい。

 女の子のグラスをこっそり舐めるクロちゃんのお家芸的な非モテの「ゲス」と、女の子の気持ちを弄び、嘘の言い訳で傷つけるヤリチン的な「ゲス」はまるで違うはずだが、この日のクロちゃんは基本後者だった。

 だから、クロちゃん「ごとき」に「積み上げてきたものが……」と真剣に悲しむ莉音を見ていると、確かに修羅場ではあるのだが、それはそれとして、悲しまれるほどモテている現状は、今までのクロちゃん的には、ある種幸せなのでは? と思えてしまう。

 だって、二股さえしなければ、少なくともこのままどちらかとは付き合えたかもしれないのだ。

 これは彼女を作るのが念願だったクロちゃん(マネジャーとの会話で言っている)からしたら大金星のはずだ。

 なのに「好き」の大安売りで“二兎を追う者は~”状態へと落下。

 すぐ相手に好きだと伝えることで見返りに自分を愛してもらいたいという弱さが根底にあると思われるが、いつか「ゲス」の座から引退し、商売抜きで動けるようになったとき、クロちゃんに今は語れない気持ちを語ってほしい。

 

■さりげなくダウンタウン今田の共演に触れる余裕も

 しかし疑問なのは、クロちゃんが2人の女性にそれぞれ「好きだ」と言いまくっていたのはいいとして(よくはないが)、それがカメラ前であること、オンエアされるであろうことをどう踏まえていたかということである。

 普通ならオンエア鑑賞冒頭から、もっとおどおどしそうなものだが、このときのクロちゃんは他のメンバーと同じように、自分たちが映るたびにキャッキャ盛り上がり、なんならその日の『水曜日の~』のスタジオゲストに「今田さんが出てない?」と、お笑い好きなら気になるダウンタウンと今田耕司の共演に食いついてみせたりと、ある種の余裕すら感じさせた。

 つまり、まったくと言っていいほど後ろめたさや、二股がバレるという不安な顔を見せてはいなかったのだ。

 

■松本のコメントを観ているハウス住人も見たかった

 この疑問に対し、スタジオの松本は「うまく編集してもらえてると(クロちゃんは)思ってたのでは?」との見方を提示していたが、確かにそういう「辻褄」がないとクロちゃんの心理は説明できない。「ゲスだから」で片付けるのは少し無理があるのだ。

 松本は「気持ち悪い」だけで片付けられない、このコーナーが成立するための核心部分に常に敏感だ。

 第1週目の鑑賞直後も「お互いが口説かれてるっていうのは、オンエア見ないようにできてるの?」と、いの一番に構成のキモに触れていた。

 その際も、オンエアを全員で見る予定だと聞くや否や「そこをクロちゃんが、どうさばくかやな」と、今回(第5週目)の筋書きにまで言及している。

 今回のオンエアでは、第1週目のごく一部を鑑賞した部分しか放送されていないが、当然このVTR明けた後の松本のコメントも全員で鑑賞していたはずである。

 だとしたら、ハウス内は輪をかけて重い空気になったと思うので、そのときの映像も見てみたかった。

 

■権力を手に入れた悪魔

 そして数日後。なあなあにしようとするクロちゃんに対し、莉音の怒りは収まらない。クロちゃんが帰ってくるまでは楽しそうだったのに、クロちゃんが帰宅後、一気にハウスの空気が悪くなる。もはやこれ以上共同生活は無理なのでは? と思われた直後、絶妙なタイミングで「使者」が現れる。

 それはコーナー開始時、クロちゃんを目隠しして連れてきたのと同じような黒服の男(よく見たら別人だが)。

 彼が提示してきたのは「これからこの家を出て行く人を1名決めて頂きます。」と書かれたメモ。

 それは、くじ引きをして「◯(当たり)」を引いた人間1人に、その人選の決定権が与えられるというもので、もちろん本家『テラスハウス』にはない展開。

「俺、やめないからね!」

 追い出される理由に関しては身に覚えのありまくるクロちゃんは、指名される前から空気をビンビンに察知し、声を荒らげる。

 生き残るためには自分が指名する側になるしかないのだが、なんとここで見事に「◯」の書いた紙を引き当てる、まさにモンスターなクロちゃん。

 先ほどの醜態など微塵もなかったかのように、ニヤリと微笑むクロちゃん。言葉を失うメンバー。

 やらせかどうかなんて、どうでもいい。最悪なのにどこか気持ち良さを感じてしまう見事な展開。

「俺のことを落とそうとしてたじゃん? 困ったなあ」

「1人ずつ、面談しよっか? どんだけの思いがあって、ここで生活してるのか?」

 いろいろありつつも楽しかった楽園に、独裁制が敷かれる。

「じゃあ、わかりました。わたくし下の部屋にいるから、一人ずつ来てもらおうかな」

「みんなが納得する方法を考えよう」

「下で待ってまーす」

 敬語が余計に恐怖を倍増させる。

 最初にくるように言われたのは、山崎大雅というイケメン大学生。

 莉音とキスをしたというクロちゃんの嘘を、今回皆の前でバラした格好になった彼が「消される」可能性は高い。

 今夜放送となる第5週目回の予告動画でクロちゃんは語る。

「俺があっての企画だから。『モンスターハウス』っていうくらいだから」

 どんな感情で言っているのわからない、謎の「自負」。

 しかも女性陣が全員泣いている映像も。

 今夜、独裁者がどんな「醜さ」を見せてくれるのか楽しみだ。

(文=柿田太郎)

視聴者を翻弄させる『水曜日のダウンタウン』×「クロちゃん」という”禁断の組み合わせ”

三度のメシよりテレビが好き。テレビウォッチャーの飲用てれびが、先週見たテレビの気になる会話をピックアップします。

■平野レミ「死んだばっかりの魚のおいしいこと」

 一般的に、死は悪いことである。少なくとも、善いことだとはされにくい。けれど、平野レミは言う。

「死んだばっかりの魚のおいしいこと」

 12月4日放送の『有吉弘行のダレトク!?』(フジテレビ系)の料理コーナーに出演した平野。いつものように忙しく調理をし、レミパンもちゃっかりアピールし、食材を立てて盛り付ける。今回立たされたのはパクチーだった。

 そんな平野の次男の嫁は、食育インストラクターの和田明日香。時々、一緒にテレビにも出ている。で、そんな嫁のところに、平野は突然、カツオを届けに行ったりするらしい。それも、みんな寝ている夜中に。

平野「遠くの方からさ、北海道とか九州から帰ってくるときさ、必ずさ、市場に行って魚を買ってくるの。でっかいやつ。それをさ、嫁に食わせようと思って(インターホンを)キンコンキンコンキンコン鳴らして。そしたら、もう寝てるんだよね。『食べなさい新鮮だから。今日よ、死んだばっかりだから食べなさい』つって。それがさ、どうもね、嫌らしいのよね」

有吉「(夜中の)11時とか12時とかに?」

平野「だってさ、死んだばっかりの魚のおいしいこと。あれを嫁に食べさせようと思って」

 以前、クイズ番組などでもおなじみの言語学者の金田一秀穂が、人の感覚が言葉によって左右されているということのたとえで、こんな話をしていた(NHK『SWITCHインタビュー 達人達』2016年1月30日)。

「“死んだ魚の生の肉”と言われてもおいしく感じないけれど、“刺身”と言われるとおいしく感じる」

 僕たちは言葉を変えることで、死のような怖いものやタブーを、安心できるものに変えているのだ、と。

 しかし、「死んだばかりの魚はおいしい」と言ってはばからない平野は、そんな研究者の知見を脇に追いやる。そういえば平野は、料理研究家という肩書を嫌い、料理愛好家を自称する人だ。愛する父親の遺骨を、その愛ゆえに、ちょっと食べちゃったりする人でもあった。善悪もタブーも「おいしい」への愛で、あるいは愛ゆえの「おいしい」で上書きしていく、料理愛好家・平野レミはやっぱりすごい。

■伊集院光「食べ物の善し悪しは、そのときのボクの状況による」

 善とは何か。悪とは何か――。3日放送の『100分de名著』(NHK)では、そんな善悪の基準の話をしていた。同番組は、毎月1冊の本について4週にわたり、MCの伊集院光とアナウンサーが解説の先生と一緒に読解していく番組。今月取り上げられていたのは、哲学者・スピノザの『エチカ』という本だ。

 解説の先生によると、スピノザは善悪を「組み合わせの結果」と考えている。つまり、それ自体として善いもの、悪いものがあるわけではなくて、何かと何かの組み合わせの結果として、善いことや悪いことがある。

 このあたりは、伊集院のたとえ話を聞いたほうがわかりやすいかもしれない。伊集院は、哲学書をはじめとしたややこしい話を、自分の経験に置き換えて翻訳するのが本当にうまい。

伊集院「ハイカロリーな食べ物は、いい食べ物なのか、悪い食べ物なのか。この食べ物はいい食べ物なのか悪い食べ物なのかは、そのときのボクの状況による。うちのかみさんには、ハイカロリーな食べ物は悪いって、必ず言われますけど」

 なるほど、その食べ物の善し悪しは、周囲はいろいろ言ったとしても、食べる人の体調なり体質なりによって変わる。おいしいステーキも、胃腸の調子がよくないときは悪しきものになるだろう。ストロング系のお酒も、いっときの苦しさを忘れるアイテムとしては善いけれど、とりわけ先輩への批判をネットで配信しそうな夜は控えておいたほうがいいだろう。

 では、「組み合わせ」がよいとはどういう状態か? 解説の先生いわく、そのあたりをスピノザは、「活動能力」の増大として捉えているらしい。組み合わさることである人の力を増大させるものが、その人にとって善いもの、ということのようだ。

 ここで僕もひとつたとえ話を出すとするならば、『ダレトク!?』にも出てきた平野のレミパンは、バラエティ番組の中で面白いアイテムになりそうで、なかなかそうなったことがない。だがしかし、レミパンが「面白い」に変換されたレアなケースもある。ずっと前の『ぴったんこカン・カン』(TBS系/2016年6月25日)での、次のような適当すぎるやりとり。

平野「この人、レミパン欲しくないって言ったのよ」

高田「オレはどっちかっていうと、紐パンがいいかな」

 レミパンも、高田純次と組み合わさると面白くなる。バラエティ番組の中で面白いということは、善いということだ。バラエティという枠組みを与えられた高田純次との組み合わせで面白くなりそうにないものも、あまり想像がつかないわけだけれど。

■クロちゃん「ひとりずつちょっと、面談しようかな」

 あるいは、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)と安田大サーカス・クロちゃんの組み合わせ。同番組では現在、「モンスターハウス」という企画が進行している。男女6人が同じ家で共同生活を送り、その恋愛模様を観察する『テラスハウス』(フジテレビ系)的な企画。本家と違うのは、メンバーの1人にルックス的に「美男美女」とは言い切れない、クロちゃんがいるということだ。5日は、第4回目が放送された。

 この企画でのクロちゃんのこれまでの振る舞いが、なかなか味わい深い。2人の女性それぞれに「一番好き」と言ったり、自撮りするフリして女性の写真をこっそり撮っていたり、キスした相手の女性がそれまで座っていたソファに顔をうずめたり。

 今回は、そのクロちゃんの味わい深さが、一層深まっていく展開だった。二股をかけていたことがバレたクロちゃん。そんなクロちゃんから距離を置き始めるメンバーたち。5人で和気あいあいと食卓を囲んでいても、クロちゃんがやって来ると一気に場が冷え切っていく。そんななか、ブラックボックスを手にした黒服が現れる。箱の中にはクジが入っており、当たりを引いた人はメンバーの中から1人を排除することができるという。自分以外の誰かが当たりを引くと自分が排除されてしまうと焦るクロちゃんは、最後まで「出ていかないからね、オレは!」とクジを引くことを拒む。しかし、当たりを引いたのはクロちゃんだった。さっきまでとは表情が豹変し、黙り込む周囲をよそに、饒舌にしゃべり始めるクロちゃん。権力を手にしたクロちゃんは提案する。

「ひとりずつちょっと、面談しようかな」

 VTRを見たスタジオの面々は、困惑していた。

おぎやはぎ・小木「これ流していいの?」

松本人志「オレが松竹芸能(註:クロちゃんの所属事務所)のエラいさんなら、ストップかけるけどね」

 同企画でのクロちゃんの言動は、”味わい深い”という表現では収まらないものかもしれない。場合によっては、悪と認定されても仕方ないのかもしれない。一緒に生活している人たちにとっては、なおのことそうだろう。

 では、そんな悪かもしれないものをバラエティとして見ている、テレビの前のこちら側はなんなのか? あるときはクロちゃんの言動に笑い、あるときは卑しむこちら側は善なのか? 何を楽しんでいるのだろう? 何を見ているのだろう? 悪とは何か? 善とは何か? 美しいとは、醜いとはどういうことか? バラエティとは? ヤラセとは? コンプライアンスって? ポリコレって? 松竹のエラいさんってどんな人だ? そもそもクロちゃんって芸名はどういう了見だ? 「しん」ってなんだ? HIROは元気か? 団長も元気か? 森脇健児って誰だ?

 この企画を見終わった後、僕は毎回いろいろと考えてしまう。『水曜日のダウンタウン』とクロちゃんの組み合わせは、少なくとも僕の活動能力を高めてしまっている。では、それは善いことなのか?

 全体の仕掛けがまだよくわからない、この企画。目隠しをされてよくわからないところに放り込まれたクロちゃんと同じく、テレビの前のこちらも最終的に、善悪の境界がよくわからないところに連れて行かれるような気がする。あるいは、すでに連れて行かれているのか……。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

クロちゃんの使い方新境地『水曜日のダウンタウン』の「モンスターハウス」はどこへ行く?

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)内でだけ、異様なブレイクを見せるクロちゃん(安田大サーカス)の新企画「モンスターハウス」。

 いわゆる『テラスハウス』のパロディで、本家に出ていそうなキラキラした男女の中にクロちゃんが1匹混じるという恋愛リアリティショー風なこの企画、主演であるクロちゃんは大方の予想を裏切り、先月14日に放送された第3話では、同居する女子の1人と濃厚なキスに至るという確変を見せ、ネットを騒然とさせた。

 もはや単なるパロディでは説明がつかないこの企画の妙な面白さにハマる人が急増している。

 

■どこでも口説きにかかるクロちゃんのたくましさ

 第1話の放送は、カメラワークや選曲、ロケーションなど、本家(テラスハウス)と見紛うほど洒落た雰囲気にこだわっているものの、正直まだ何がしたいのかよくわからず、『水曜日~』のほかの企画と比べると、長い尺の割にダレた印象を受けた。

 同じ日の直前に放送されたクロちゃん企画(クロちゃんのベッドの下、ギリ人も住める説)が安定の面白さだっただけに、余計にそう感じたのかもしれない。

 もちろんクロちゃんらしさ溢れる見せ場はあった。

 目隠しにヘッドホンで知覚を奪われたまま、なんの説明もなくドッキリ的に連れてこられ、そこで見知らぬ男女5人と共同生活をしろとの無茶振りに怯え戸惑ったのも束の間、女子の自己紹介にはしっかり相槌を打ち、自分の良さも何気にアピール、そして男子の自己紹介には、あからさまに無言を貫くという「らしさ」。

 さらに全員の自己紹介が済んだ直後「彼氏彼女いるか、はっきり確認しといていいですか?」と、いの一番に身辺調査を開始する「らしさ」。

 目隠しを外され、異様な企画に放り込まれたことがわかってから、わずか5分足らずで、目の前に居合わせた女性を落とすための行動を開始できるクロちゃんの環境適応力は尋常でなく、まるでマタギのよう。

 その勢いのままにその週(第1話)の放送内で2人に好きだと告白する(そのうち1人は第3話目でキスした蘭ちゃん)。

 よく、鳥の雛は卵から孵った時、目の前にいる生き物を親だと認識するというが、クロちゃんの場は、目隠しを外した時、目の前にいた人物(異性)を恋愛対象と認識するのだろう。

 このようなクロちゃんの細かいゲスさで楽しませてくれはしたものの、前振りが大きなわりに大きな山場はなく、特にクロちゃん以外の住人同士での恋愛トークやデートシーンなどは『テラスハウス』をなぞるだけの無駄な時間に思えた。

■クロちゃんがうまくいってる居心地の悪さ

 第2話も、しばらくは「ただの」テラスハウスのような時間が続いた。勢いに乗るクロちゃんはグラビアなどで活躍する女子を狙っており、ある日普通にデートをする。

 クロちゃんが普通にデートをする、もはやパラレルワールドのような世界がそこに広がる。

 その女子、莉音は他の2人の女性に比べ唯一クロちゃんを受け入れてくれているように感じられる。

 夜景が見えるレストランでの食事中。

「いつさ、(私を)いいって思ってくれたの?」

「初めに会ったとき、かわいいなって思った」

「えーうれしい!」

 2人のやりとりを見ていると、莉音がまんざらでもない感じに見えてくる。恥ずかしながら、実際の女性の心理的にこれがどうなのかはわからないが、少なくとも表面上は嫌そうではなく、前向きに楽しんでいるように見えた。

 その後も、

「俺もっとデート誘ってく気だからね」

「莉音にはもっと喜んでもらわないといけないからさ」

「クロちゃんなんか、すごい響くこと言う」

「ほんとに莉音のこと守るね」

「ありがとう」「本当優しい!」

 出会ったばかりで初デートで、なおかつ片方がクロちゃんとは思えない会話が垂れ流される。

 莉音はそもそも、

「思ってたよりもそんな変な人じゃなかった」

「やばそうな人だって勝手に思ってたけど、会ってしゃべってみたら、全然優しい」

「ギャップ萌えかも、意外に普通の人なんだって」

 と、デート前からすでにクロちゃんに肯定的だった。

 その後もクロちゃんは、恋人がよくやる手のつなぎ方をしたり、ふいに莉音の頭をポンポンしたり、キス寸前まで顔を近づけたりと、フルスロットル。

 しかも決して無理矢理ではなく、ペースは早いもののイケメンがやっていたら違和感ない程度にコトを進めていく。

 VTRの途中、松本がワイプの中で「見方がわからん」と笑いながらも困っていたのが印象的だ。

 クロちゃんの恋愛的なやりとりが成り立ってしまってるから、居心地が悪いのだろう。

 単にキモがりつつ悲鳴を上げるだけの観覧客(ほぼ若い女性)に比べ、芸人的にどう面白がったらいいのかという気持ち悪さもあるだろう。だってやってることはある意味普通だし、いつまでも「気持ち悪い」だけでは引っ張らない。

 そんな中、第2話で一番笑ったのは、そのクロちゃんがいない場面での会話だった。

 

■本家テラスハウスでは絶対に出てこない一言

 後日、莉音は他の男性同居人との雑談の中で、クロちゃんとのデートについて聞かれ「なんか守るとか言ってくれて、心強いなって思った」と肯定しつつも、いつもと変わらぬ無邪気な笑顔で続けた。

「私の思い過ごしかも知れないんだけど、キスされそうになって、めっちゃ言いにくいんだけど、言っていいのかな……? なんか、口が臭くて」

 爆笑するワイプの芸人たち。テーブルを叩きながら大喜びする浜田、天を仰ぐように仰け反る陣内智則。

 この瞬間、この企画が初めて「始まった」気がした。

 莉音の口は止まらない。

「なんか独特な、この世のものとは思えない……卵腐って放置したみたいな……」

 世界に数多ある恋愛リアリティショーで、初めて出たであろう「口が臭い」というデートの感想。しかも腐敗臭。

 このときの、得も言われぬ面白さはなんなのだろうか。

 監視カメラのような世間の目に見張られ、鎖のような人間関係に縛られた我々が持て余す、どうしようもない欲。それを一切隠すことなくさらけ出し、欲望の海をザブザブと単身泳ぎまくる自由なクロちゃん。

 罵詈雑言を一身に引き受け、その身を切り刻まれながらも血まみれで道を行く醜きダークヒーローを、いつのまにか羨んでいる自分に気づかされる。

 しかし、どんなにがんばっても「見た目がおじさん」「口が臭い」で切り捨てられる悲しき面白さ。

「それでこそクロちゃん!」「クロちゃんここにあり!」的な奇妙なカタルシスを感じてしまう。

 だから第3話の衝撃のキスシーン(相手は莉音ではなく蘭だが)も見ていて、変な感情になりつつも、クロちゃんがキス事後に1人になってからうわ言のように呟いた「忘れんなよ、忘れんなよ俺、キスしたよ、忘れんなよ」という言葉は、気持ち悪くも胸に響いてしまったし、どこか他人事として切り捨てられない妙な強さがあった。

 例えその後に、女の子のグラスを舐め回していたとしても。

 そしていよいよ今夜第4話のオンエア。

 今やプレゼンテーターのたむらけんじが「モンスターハウス」と告げるだけで観客席がキャー! と湧くほど人気コーナーになっている。

 人によりこの企画の味わい方は違うであろうが、何にせよ変な部分を刺激する企画であることには違いない。

 今後、気になるのは、まだクロちゃんとしっかり絡んでいない奈良歩美というレースクイーンの女性。彼氏がいたことがないというわりに、性交渉的なことにハマっていた時期があるとか、不意に出会い系の男性と会ってきたと告白したりとか、底が深そう。

 そして本日放送の4週目となる回では、いよいよ『水曜日の~』での地上波オンエア自体をモンスターハウスの住人全員で視聴したらしい。

 果たしてクロちゃんの数々の「悪事」はどう受け止められるのか。放送を待ちたい。
(文=柿田太郎)

『水曜日のダウンタウン』が日テレを批判!? 『ヒルナンデス!』などを馬鹿にしたVTRが話題

 7月4日の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、日本テレビをディスるような企画を放送したと話題に。ネット上で「喧嘩売りすぎだろwww」といった声が上がっている。

 この日の放送では、“隠せば引っ張れる説”を検証。VTRに登場する人物やモノなどを「大御所芸人M」「大ヒット漫画M」などというテロップをつけて正体を隠せば、答えが明かされるまで番組を見てもらえるのではないかと提案した。

 『水曜日のダウンタウン』では、レギュラー出演者の松本人志を「大御所芸人M」、浜田雅功を「大物司会者H」などと過剰なまでに隠していく。検証VTRに移ると、渋谷のことを「S街やH公でお馴染みの若者の街S!」と紹介。さらにテロップで隠すだけでなく、「ゲスト登場まで〇〇秒」といったカウントダウンなども表示して、やたらと視聴者の目を引こうとする。

 検証VTRが終わると、プレゼンターの博多大吉が「普通のコーナーより見てしまいませんでしたか?」と質問。出演者たちが渋い表情を浮かべると、「『イライラした』とかは今日の論点ではないので…」と心情を察していた。

「今回の説ですが、ネット上では日本テレビの番組をディスっていたと話題になっています。実はこのようにテロップで隠しまくって、関心を引こうとする手法は『ヒルナンデス!』『秘密のケンミンSHOW』『火曜サプライズ』『幸せ! ボンビーガール』(全て日本テレビ系)などでよく目にするもの。そのため『日テレ馬鹿にしてるだろこれwww』『日テレにケンカ売ってるwww』『VTRが完全にヒルナンデス意識してて笑った』『日テレへの強烈な挑戦だな』『完全に日テレへの皮肉で笑う』といった声が上がっていました」(芸能ライター)

 実は『水曜日のダウンタウン』では、つい最近も日本テレビをディスったようなVTRを放送している。

「6月20日放送の回では、“テレビに食べ物が映ったら同じもの食わなきゃいけない生活、フードファイターなら24時間ギリ達成出来る説”を検証。この説によって日本テレビがやたらとグルメ番組ばかり放送していることが明らかに。そして説の結論を『木曜日の日テレは食べ物がめちゃくちゃ出る』と皮肉っぽく打ち出していました」(同)

 視聴率ランキングではトップに君臨している日本テレビ。やり方としては正しいのかもしれない。

『水曜日のダウンタウン』で110番通報騒動……バラエティー番組“ガチンコ”の限界点

 人気バラエティー番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の企画を巡り、通行人から110番通報が相次ぎ、同局が警視庁から厳重注意を受けていたことがわかった。

 通報の内容は、5月下旬にJR恵比寿駅付近で男性が車で連れ去られたというもの。後に、同番組の企画ロケであることが判明し、警視庁渋谷警察署が厳重注意したという。

 同局の関係者は「人気番組ですし、わりと過激で時間をかけるロケも多い。現場はその一環で今回の企画を敢行したのでしょうが、これだけ凶悪犯罪が多発している昨今、連れ去りロケをすること自体が間違っている」と手厳しい指摘。

 一方で、ベテラン放送作家は「バラエティー番組の限界が下がり、企画ロケのハードルがまたひとつ、上がってしまった」とため息をつく。

「今回の企画の場合、ポイントはいかに“ガチンコ”ぽくやれるかという点。だけど、これが事例としてNGになってしまった。となれば、類似企画は当然できないわけで、これは他のバラエティー番組にも影響を与える。テレビ局サイドも、これまで以上に過敏に反応する中で、リアリティを出すロケがどんどんやりにくくなる。今回も、現場がもっと注意深く周囲に気を配っていれば簡単に防げた事例。残念ですよ」(同)

 バラエティー番組においては、もはやどんな演出も「限界」にきているのかもしれない。

あのモンスターに一体なにが……!? ジャイアント白田「体調不良説」を本人に直撃!

 大食い番組全盛時代、フードバトルでモンスターと恐れられた男、ジャイアント白田。なぜか今、定期的に「体調不良説」「失踪説」などが降って湧く男でもある。

 先日放送された『水曜日のダウンタン』(TBS系)の「テレビに食べ物が映ったら同じもの食わなきゃいけない生活、フードファイターなら24時間ギリ達成出来る説」でも、途中でギブアップするなど、全盛期の活躍ぶりからはほど遠いふがいなさをお茶の間に見せてしまった。

「大食い」というジャンルに命を懸けて取り組んできた男は、いま何に命を懸けているのか? そして、かつてのモンスターに現在の大食い界の実情はどのように映っているのか? ジャイアント白田と、日本の大食い界の現在地を探る――。

***

――今、一般の人からタレントさんまで、いわゆる「フードファイター」ではない人たちがYouTubeなどで大食い動画を配信するのが流行していますが、白田さんはレジェンドとして、そのような昨今の流れをどのように見ていらっしゃいますか?

ジャイアント白田(以下、白田) いや、フードファイターたちも、たとえば正司(優子)さんやロシアン佐藤さん、アンジェラ佐藤さんなんかも動画撮ったりしてるんじゃないかなぁ。あと、僕なんかよりずっとレジェンドの魔女・赤阪(尊子)さん、彼女もやってるみたいな話聞きますよ。

――フードファイターの方々も、活動の場所をテレビからネットに移してるということですか?

白田 そうですねぇ。その筆頭株が木下ゆうかちゃんじゃないかな。テレ東の大食い選手権では優勝経験がないのに、YouTubeでは大ブレークして。というか、単純に今、テレビで大食いの番組や大会って、ほどんどないじゃないですか。

――そうなんです。寂しいんですよ。

白田 大会がない中で、変な話、大食いで食ってくって大変じゃないですか。僕が現役でバリバリにやってた頃って、有名になりたくてやっていたわけじゃなくて、大会で優勝することが目的だったんですよ。みんなで切磋琢磨して、レベルもどんどん上がっていって、それがすごく楽しかったんですけど、一時期から大食いっていうジャンルを足掛かりにしてちょっと顔を売りたいなみたいな、大食いから有名になりたいという人が増えていった印象はあります。

――タレント化していった。

白田 そうですね。タレント志望みたいな感じで大食いに足つっこんでくる人が増えたかなとは思う。これは言っていいかわからないですけど(笑)。

――白田さんの感覚は、そうではなかったんですね。

白田 小林尊くんと当時よく話してたのは「もっともっとフードファイターをアスリート化して、それこそオリンピックの競技に入れるみたいな勢いで、競技として世の中に広めていきたいよね」って。

――なるほど、今の流れとはまったく違いますね。

白田 僕は今の現役の子たちのことをそこまで知らないからわからないですけど、見てる印象としてはアスリートとして自分の限界に挑んでいくとか、大会に向けて自分のパフォーマンスを上げていくとか、そういう意識の面ではそこまでギラギラしたものは感じないかなぁ。

――白田さんご自身がユーチューバーとして稼ぐことに興味はないですか?

白田 ゆうかちゃんの話聞くと「すごいないいな」って思うことはありますけど(笑)、僕はやろうと思ったことはないですね。まず頻繁に動画を上げ続ける、頻繁に大食いをし続けるっていうことが僕の性分には合ってないというか。僕は大会に照準を絞って胃を鍛えていくタイプだから。

――アスリートですね。

白田 それと年齢も年齢だから、(YouTubeで大食いは)やろうとは思わないですね。

――白田さんも全盛期の頃は相当、体を酷使されてきたと思うんですけど……。

白田 ものすごい酷使しました(笑)。

――40代目前になって、体調の変化を感じていますか?

白田 体調の変化というか、やっぱり現役当時から感じていたことではあるんですけど、年々「量を食べたい」っていう欲求ってなくなってくるんです。とはいえ職業柄、胃に入れてナンボ、胃を広げてナンボみたいなことを求められるので、やらなきゃいけない。でも、量を食べたいモチベーションはどんどん下がっていく。以前はそれでも「あの大会で優勝したい」とか「あの記録を抜きたい」とか明確な目標があるから頑張れたんですけど、そういった目標がだんだんなくなっちゃう。そのギャップですよね。大会を引退(2007年)した2年くらい前から、そういった葛藤はありました。

――モチベーションが下がっているのに、食べなければいけない……。

白田 頑張れなくなっていましたね。

――でも引退した27歳って、たとえばほかのスポーツでしたら、一番脂が乗ってくる時期ですよね。フードファイターにとっての一番いい年齢は、もっと下?

白田 うーん、MAX鈴木は、確か僕の1個下なんですけど、彼の場合は確か35くらいから出てきて、強いモチベーション持って頑張ってて。だから年齢というよりは、量を食べることに対するモチベーション、欲求の強さじゃないですかね。さらにタレント化することで、普通に生活してたら見られない世界をのぞく楽しさもある。それが原動力になってる人もいると思う。そういう意味で、フードファイターに適した年齢なんてホントはないのかなって思いますよ。

――モチベーションひとつで頑張れる。

白田 そう。菅原(初代)さんとか、バラエティでもちょこちょこ一緒になりますけど、あの人、今でも現役のときと同じくらい食べるので(笑)。普段トレーニングほとんどしてないらしいんですよ。それなのに、ぶっつけ本番でかなりのポテンシャルを発揮できるのはなんでなんだろうなって、いつも不思議です。

――フードファイターの中にも、いろいろなタイプがいる。鍛えて鍛えて臨む人と、菅原さんのように自然体で行く人と。

白田 菅原さんを自然体とするのもアレですけどね(笑)。自然体で10キロくらいの容量いける。あれでトレーニングしたら、超人になっちゃうんじゃないですか?

――白田さんが引退を決めたきっかけは?

白田 もともと30歳までに自分の店を持ちたいなと考えていました。それはフードファイターになるずっと前から。フードファイターのトレーニングって、ものすごく時間がかかるんです。ひとつの大会に向けて、最低でも3カ月は必要。めっちゃ食べて胃を少しずつ広げていくみたいなイメージなんですけど、でもすごくおなかいっぱいになったら、いろんなことめんどくさくなるじゃないですか(笑)。そういうわけで、トレーニングが一日仕事になっちゃう。単純に自分の将来の夢に対して時間が取られすぎちゃって、このままフードファイターとしてやっていくのもなぁ、潮時なのかなぁっていうのは、割と早い段階で考えてましたね。

――3カ月間……途方もないですね。

白田 途方もないですし、孤独。トレーニング期間中は、「俺なんでこんなことしてるんだろう」って、ただただ思ってましたね。自分はフードファイターになりたかったわけではなく、自分の店を持ちたいと思ってやってきたけど、「タレントが店を出した」みたいな感じで言われますしね。

――白田さんとしては順番が逆だったわけですね。

白田 タレントを目指していたわけではまったくないし、有名になりたいみたいな欲求も全然なかったんですよ。

――でも、現実として自分の名前がどんどん世間に知られていき……それに違和感はなかったですか?

白田 そうですね……途中でもう慣れちゃいましたけど(笑)。最近はそこまでテレビに出てないですし、あったとしても月に数本……でも相変わらずインパクトあるし(笑)、どこに行っても顔は指されますけど。違和感というか「もういい加減忘れてよ」とは思いますね。

――『水曜日のダウンタウン』は大きいと思うんですよ……。番組内での「ポンコツ」的な立ち位置については、どう思われますか?

白田 なんとも思わないですよ(笑)。好きに使っていただいて結構ですと。

――懐が深い!

白田 そんなことはないですけど(笑)。

――やっぱり、回数よりもインパクトだと思うんですよ。

白田 江頭さん的な感じですかね(笑)。

――テレビ出演に関しても、食べる仕事はもうあんまり……でしょうか。

白田 そうですね。量食べる仕事は、ほぼほぼ断ってます。『水曜日のダウンタウン』も、僕が食べられない前提で呼ばれてる(笑)。

――だって全盛期の白田さんを知っている身としては、「どこか体調悪いのかな……」と思ってしまうんですよ。

白田 確かに確かに。でも、体調はすこぶるいいです。問題ないです。たまに「また挑戦してみたいな」って思うことはあるんですよ。でも、いざトレーニングするか……となると、そんな気はさらさらなくて(笑)。――でも、それくらい、あの頃にすべてを傾けたっていうことですよね、情熱のすべてを。かつての同志である、小林さんやギャル曽根さんらレジェンドたちとの交流は、まだおありですか?

白田 ありますよ! 小林くんは日本に帰ってくるたびに会いますし、医大生だった射手矢(侑大)くんは医者になってて、彼とは自宅も近いから。ただあの頃やってた仲間で、将来フードファイターで食ってこうって考えていたのは小林くんくらいだったんじゃないかなぁ。

――それぞれ将来やりたいことは違っていたんですね。

白田 フードファイターがこの先どうなるかっていうのを、いま彼ひとりが身をもって示してくれているというか。彼がいい感じになってくれたら、若い世代の子たちも先をイメージしやすくなるんじゃないかな。

――若い子たちに相談されたりしますか?

白田 ないことはないですけど、僕からアドバイスできることなんてないですよ。ただ大会が少ないっていうのは若い子たちのジレンマとしてありますよね。だからというわけじゃないけど、YouTubeなどを使ってフードファイターとしての認知を上げていくやり方を取ってるんだと思う。

――セルフプロデュースですね。

白田 そういう部分では、今の子たちのほうがずっと長けている。僕が現役の頃は、そんなこと考えたことなかったから。記録しか考えてなかった。僕は偉そうなことを言える立場じゃないですけど、記録を追い求めて「自分は世界最強のフードファイターになるんだ」っていう人と、「この業界で一番稼ぐ人間になるんだ」っていう人とでは、取るべき道は全然変わってくると思うんです。将来自分がどんなフードファイターになりたいのかっていうイメージは、もっと明確に持ったほうがいいのかもしれない。

――なるほど。

白田 漠然と「フードファイターになったら稼げそうだな~」ってふわっと思ってる人たちは確かに多くて、そうじゃないよねとは思う。もっと強く、ビジョンを持ってやったほうがいいように思いますね。

――それだけ体も酷使しますし。

白田 そうなんです。あとネットって、一度アップすると残ってしまうじゃないですか。だからそのあたりは慎重になったほうがいい気もする。

――でもやっぱり、テレビで大食いが見たいんですよ……。

白田 僕もテレビで見たいです。でも、今のテレビって、いろいろうるさいじゃないですか。だからテレビでは、もうやれないんじゃないのかなって。だったらネットの動画配信だったり、お祭りみたいなころで大会を開催したり、僕らとしては競技としての大食いを復活させたいですね。

――そのときには、白田さんだったり小林さんだったりギャル曽根さんだったり、そういうアイコン的な存在は不可欠になるんじゃないのかなと思うんです。

白田 ギャル曽根は確かに、大食いというコンテンツで成功した最たる例ですよね。ギャルみたいなメイクでよく食べるというギャップと、アスリート的な大食いとは真逆な「私これ苦手だから食べたくない」とか、試合中にメイク直したり、ギラギラしてる世界に自由奔放な子がやってきて記録を作るという。大食いの世界に風穴をあけたという意味では、ギャル曽根の功績はデカイと思うんですよ。

――なんか漫画の世界みたいなんですよね……当時の大食いって。

白田 確かに。見てる人がそういうドラマを感じてくれるような大食いの世界がまた戻ってきてくれればいいなって、僕も陰ながら応援してます。

(取材・文=西澤千央)

あのモンスターに一体なにが……!? ジャイアント白田「体調不良説」を本人に直撃!

 大食い番組全盛時代、フードバトルでモンスターと恐れられた男、ジャイアント白田。なぜか今、定期的に「体調不良説」「失踪説」などが降って湧く男でもある。

 先日放送された『水曜日のダウンタン』(TBS系)の「テレビに食べ物が映ったら同じもの食わなきゃいけない生活、フードファイターなら24時間ギリ達成出来る説」でも、途中でギブアップするなど、全盛期の活躍ぶりからはほど遠いふがいなさをお茶の間に見せてしまった。

「大食い」というジャンルに命を懸けて取り組んできた男は、いま何に命を懸けているのか? そして、かつてのモンスターに現在の大食い界の実情はどのように映っているのか? ジャイアント白田と、日本の大食い界の現在地を探る――。

***

――今、一般の人からタレントさんまで、いわゆる「フードファイター」ではない人たちがYouTubeなどで大食い動画を配信するのが流行していますが、白田さんはレジェンドとして、そのような昨今の流れをどのように見ていらっしゃいますか?

ジャイアント白田(以下、白田) いや、フードファイターたちも、たとえば正司(優子)さんやロシアン佐藤さん、アンジェラ佐藤さんなんかも動画撮ったりしてるんじゃないかなぁ。あと、僕なんかよりずっとレジェンドの魔女・赤阪(尊子)さん、彼女もやってるみたいな話聞きますよ。

――フードファイターの方々も、活動の場所をテレビからネットに移してるということですか?

白田 そうですねぇ。その筆頭株が木下ゆうかちゃんじゃないかな。テレ東の大食い選手権では優勝経験がないのに、YouTubeでは大ブレークして。というか、単純に今、テレビで大食いの番組や大会って、ほどんどないじゃないですか。

――そうなんです。寂しいんですよ。

白田 大会がない中で、変な話、大食いで食ってくって大変じゃないですか。僕が現役でバリバリにやってた頃って、有名になりたくてやっていたわけじゃなくて、大会で優勝することが目的だったんですよ。みんなで切磋琢磨して、レベルもどんどん上がっていって、それがすごく楽しかったんですけど、一時期から大食いっていうジャンルを足掛かりにしてちょっと顔を売りたいなみたいな、大食いから有名になりたいという人が増えていった印象はあります。

――タレント化していった。

白田 そうですね。タレント志望みたいな感じで大食いに足つっこんでくる人が増えたかなとは思う。これは言っていいかわからないですけど(笑)。

――白田さんの感覚は、そうではなかったんですね。

白田 小林尊くんと当時よく話してたのは「もっともっとフードファイターをアスリート化して、それこそオリンピックの競技に入れるみたいな勢いで、競技として世の中に広めていきたいよね」って。

――なるほど、今の流れとはまったく違いますね。

白田 僕は今の現役の子たちのことをそこまで知らないからわからないですけど、見てる印象としてはアスリートとして自分の限界に挑んでいくとか、大会に向けて自分のパフォーマンスを上げていくとか、そういう意識の面ではそこまでギラギラしたものは感じないかなぁ。

――白田さんご自身がユーチューバーとして稼ぐことに興味はないですか?

白田 ゆうかちゃんの話聞くと「すごいないいな」って思うことはありますけど(笑)、僕はやろうと思ったことはないですね。まず頻繁に動画を上げ続ける、頻繁に大食いをし続けるっていうことが僕の性分には合ってないというか。僕は大会に照準を絞って胃を鍛えていくタイプだから。

――アスリートですね。

白田 それと年齢も年齢だから、(YouTubeで大食いは)やろうとは思わないですね。

――白田さんも全盛期の頃は相当、体を酷使されてきたと思うんですけど……。

白田 ものすごい酷使しました(笑)。

――40代目前になって、体調の変化を感じていますか?

白田 体調の変化というか、やっぱり現役当時から感じていたことではあるんですけど、年々「量を食べたい」っていう欲求ってなくなってくるんです。とはいえ職業柄、胃に入れてナンボ、胃を広げてナンボみたいなことを求められるので、やらなきゃいけない。でも、量を食べたいモチベーションはどんどん下がっていく。以前はそれでも「あの大会で優勝したい」とか「あの記録を抜きたい」とか明確な目標があるから頑張れたんですけど、そういった目標がだんだんなくなっちゃう。そのギャップですよね。大会を引退(2007年)した2年くらい前から、そういった葛藤はありました。

――モチベーションが下がっているのに、食べなければいけない……。

白田 頑張れなくなっていましたね。

――でも引退した27歳って、たとえばほかのスポーツでしたら、一番脂が乗ってくる時期ですよね。フードファイターにとっての一番いい年齢は、もっと下?

白田 うーん、MAX鈴木は、確か僕の1個下なんですけど、彼の場合は確か35くらいから出てきて、強いモチベーション持って頑張ってて。だから年齢というよりは、量を食べることに対するモチベーション、欲求の強さじゃないですかね。さらにタレント化することで、普通に生活してたら見られない世界をのぞく楽しさもある。それが原動力になってる人もいると思う。そういう意味で、フードファイターに適した年齢なんてホントはないのかなって思いますよ。

――モチベーションひとつで頑張れる。

白田 そう。菅原(初代)さんとか、バラエティでもちょこちょこ一緒になりますけど、あの人、今でも現役のときと同じくらい食べるので(笑)。普段トレーニングほとんどしてないらしいんですよ。それなのに、ぶっつけ本番でかなりのポテンシャルを発揮できるのはなんでなんだろうなって、いつも不思議です。

――フードファイターの中にも、いろいろなタイプがいる。鍛えて鍛えて臨む人と、菅原さんのように自然体で行く人と。

白田 菅原さんを自然体とするのもアレですけどね(笑)。自然体で10キロくらいの容量いける。あれでトレーニングしたら、超人になっちゃうんじゃないですか?

――白田さんが引退を決めたきっかけは?

白田 もともと30歳までに自分の店を持ちたいなと考えていました。それはフードファイターになるずっと前から。フードファイターのトレーニングって、ものすごく時間がかかるんです。ひとつの大会に向けて、最低でも3カ月は必要。めっちゃ食べて胃を少しずつ広げていくみたいなイメージなんですけど、でもすごくおなかいっぱいになったら、いろんなことめんどくさくなるじゃないですか(笑)。そういうわけで、トレーニングが一日仕事になっちゃう。単純に自分の将来の夢に対して時間が取られすぎちゃって、このままフードファイターとしてやっていくのもなぁ、潮時なのかなぁっていうのは、割と早い段階で考えてましたね。

――3カ月間……途方もないですね。

白田 途方もないですし、孤独。トレーニング期間中は、「俺なんでこんなことしてるんだろう」って、ただただ思ってましたね。自分はフードファイターになりたかったわけではなく、自分の店を持ちたいと思ってやってきたけど、「タレントが店を出した」みたいな感じで言われますしね。

――白田さんとしては順番が逆だったわけですね。

白田 タレントを目指していたわけではまったくないし、有名になりたいみたいな欲求も全然なかったんですよ。

――でも、現実として自分の名前がどんどん世間に知られていき……それに違和感はなかったですか?

白田 そうですね……途中でもう慣れちゃいましたけど(笑)。最近はそこまでテレビに出てないですし、あったとしても月に数本……でも相変わらずインパクトあるし(笑)、どこに行っても顔は指されますけど。違和感というか「もういい加減忘れてよ」とは思いますね。

――『水曜日のダウンタウン』は大きいと思うんですよ……。番組内での「ポンコツ」的な立ち位置については、どう思われますか?

白田 なんとも思わないですよ(笑)。好きに使っていただいて結構ですと。

――懐が深い!

白田 そんなことはないですけど(笑)。

――やっぱり、回数よりもインパクトだと思うんですよ。

白田 江頭さん的な感じですかね(笑)。

――テレビ出演に関しても、食べる仕事はもうあんまり……でしょうか。

白田 そうですね。量食べる仕事は、ほぼほぼ断ってます。『水曜日のダウンタウン』も、僕が食べられない前提で呼ばれてる(笑)。

――だって全盛期の白田さんを知っている身としては、「どこか体調悪いのかな……」と思ってしまうんですよ。

白田 確かに確かに。でも、体調はすこぶるいいです。問題ないです。たまに「また挑戦してみたいな」って思うことはあるんですよ。でも、いざトレーニングするか……となると、そんな気はさらさらなくて(笑)。――でも、それくらい、あの頃にすべてを傾けたっていうことですよね、情熱のすべてを。かつての同志である、小林さんやギャル曽根さんらレジェンドたちとの交流は、まだおありですか?

白田 ありますよ! 小林くんは日本に帰ってくるたびに会いますし、医大生だった射手矢(侑大)くんは医者になってて、彼とは自宅も近いから。ただあの頃やってた仲間で、将来フードファイターで食ってこうって考えていたのは小林くんくらいだったんじゃないかなぁ。

――それぞれ将来やりたいことは違っていたんですね。

白田 フードファイターがこの先どうなるかっていうのを、いま彼ひとりが身をもって示してくれているというか。彼がいい感じになってくれたら、若い世代の子たちも先をイメージしやすくなるんじゃないかな。

――若い子たちに相談されたりしますか?

白田 ないことはないですけど、僕からアドバイスできることなんてないですよ。ただ大会が少ないっていうのは若い子たちのジレンマとしてありますよね。だからというわけじゃないけど、YouTubeなどを使ってフードファイターとしての認知を上げていくやり方を取ってるんだと思う。

――セルフプロデュースですね。

白田 そういう部分では、今の子たちのほうがずっと長けている。僕が現役の頃は、そんなこと考えたことなかったから。記録しか考えてなかった。僕は偉そうなことを言える立場じゃないですけど、記録を追い求めて「自分は世界最強のフードファイターになるんだ」っていう人と、「この業界で一番稼ぐ人間になるんだ」っていう人とでは、取るべき道は全然変わってくると思うんです。将来自分がどんなフードファイターになりたいのかっていうイメージは、もっと明確に持ったほうがいいのかもしれない。

――なるほど。

白田 漠然と「フードファイターになったら稼げそうだな~」ってふわっと思ってる人たちは確かに多くて、そうじゃないよねとは思う。もっと強く、ビジョンを持ってやったほうがいいように思いますね。

――それだけ体も酷使しますし。

白田 そうなんです。あとネットって、一度アップすると残ってしまうじゃないですか。だからそのあたりは慎重になったほうがいい気もする。

――でもやっぱり、テレビで大食いが見たいんですよ……。

白田 僕もテレビで見たいです。でも、今のテレビって、いろいろうるさいじゃないですか。だからテレビでは、もうやれないんじゃないのかなって。だったらネットの動画配信だったり、お祭りみたいなころで大会を開催したり、僕らとしては競技としての大食いを復活させたいですね。

――そのときには、白田さんだったり小林さんだったりギャル曽根さんだったり、そういうアイコン的な存在は不可欠になるんじゃないのかなと思うんです。

白田 ギャル曽根は確かに、大食いというコンテンツで成功した最たる例ですよね。ギャルみたいなメイクでよく食べるというギャップと、アスリート的な大食いとは真逆な「私これ苦手だから食べたくない」とか、試合中にメイク直したり、ギラギラしてる世界に自由奔放な子がやってきて記録を作るという。大食いの世界に風穴をあけたという意味では、ギャル曽根の功績はデカイと思うんですよ。

――なんか漫画の世界みたいなんですよね……当時の大食いって。

白田 確かに。見てる人がそういうドラマを感じてくれるような大食いの世界がまた戻ってきてくれればいいなって、僕も陰ながら応援してます。

(取材・文=西澤千央)