『昆虫すごいぜ!』だけじゃない……俳優・香川照之の“偏愛”は、ボクシング界を変えるか

  フジテレビが22日に中継したプロボクシング『村田諒太VSエンダム2』。勝利を手にし、「日本人2人目のミドル級世界王者」「日本人初の五輪メダリスト世界王者」という栄誉を勝ち取ったのはもちろん村田諒太だが、この一戦を通じて、ほかにも手応えを感じた者がいたはずだ。

 まずは中継局のフジテレビ。平均視聴率20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)は、今年の同局最高視聴率だという。実は前回、5月20日のタイトルマッチもフジが中継し、視聴率は、17.8%を記録。この時点でも、近年のボクシングではトップの数字だった。

 村田は勝利インタビューで、「みんなあんまり好きじゃないかもしれないけど、電通のみなさん。また、あんまり好きじゃないかもしれないけど、フジテレビのみなさん。感謝してます」とコメントし、会場の笑いを誘っていた。

 だが、むしろ感謝したいのはフジテレビのはず。殴り合った直後に、こうした機知に富んだコメントが残せる王者の登場は、苦境が続くフジテレビにとって得難い人材ではないだろうか。

 そしてもうひとりが、ゲスト解説を務めた俳優の香川照之。この試合、村田にとってリベンジマッチだったように、香川にとってもリベンジマッチだった。

 実は香川、前回5月20日の中継でもゲスト解説を務めたのだが、このときはネット上で「ウザい」「試合に集中できない」といった厳しい意見が噴出。それを意識してか、今回の中継では香川のコメント回数は少なく、それでいて熱量のほとばしりはしっかりあって存在感は示す、という見事なゲストぶり。SNSを見ても、前回ほどの拒否反応はないように思えた。

 香川のゲストぶりが成功した理由がもうひとつ。視聴者が香川照之の「好きなものには異常な愛を注ぐ」という姿に慣れ、免疫ができてきた、という点もあるのではないだろうか。

 というのも、5月からの約半年間、熱狂的な人気を誇る『香川照之の昆虫すごいぜ!』(NHK Eテレ)の2回目と3回目が立て続けに放送され、特番の『香川照之の昆虫すごいぜ!特別編~出動!タガメ捜査一課~』も好評。香川の情熱的すぎる昆虫への偏愛は、視聴者に好意的に受け止められた。個性派俳優、という括りで紹介される香川が今年、明らかにブレイクスルーしたわけだ。

 そんな香川が昆虫と同等、それ以上に愛してやまないのがボクシングだ。たとえば、香川は『昆虫すごいぜ!』の番組内で、「本当にやりたい仕事とめぐり会えました」「これが僕の代表作です」と語っているが、実は同様のコメントを、ボクシング関連の話題でも語っていたことがある。

 それは2011年公開の映画『あしたのジョー』で、主人公・矢吹丈のトレーナー・丹下段平役を受けたときのこと。「やっと、ボクシングを仕事で生かすときがきた」「この映画は、僕にとっては映画ではない(中略)ボクシングをどう見せるかというショーに参加したという記憶です」と「映画.com」のインタビューで答えている。

 香川のボクシング解説に関しては、「俳優業の隙間に解説できるほど、ボクシングは甘くない」と辛辣な評価をするネット記事もある。だが、筆者にいわせれば、その評価自体が間違いだ。

 中学生のころからボクシング観戦を始め、以来30余年にわたって情熱を傾けてきたという香川。俳優の仕事が少なかった時代にも、「ボクシングマガジン」(ベースボール・マガジン社)でコラム「香川照之の熱病的思考法」を連載し、フジテレビ以外でもWOWOWなどで世界戦のゲストコメンテーターを務めるなど、ずっとボクシングが仕事であり、心の拠り所でもあった。決して“俳優業の隙間”なんかではないのだ。

 今回、村田諒太という、一般視聴者にとってもわかりやすいアイコンができたボクシング界。一方で、ボクシング人気華やかなりし頃と比べて階級が増え、団体数も増えてしまったため、“強さ”が伝えにくい・わかりにくい競技になった、という声も多い。

 それは今回のタイトルマッチ後、村田自身が「ここにいるボクシングを大好きな人は、僕よりも強いミドル級のチャンピオンがいることも知っています」と語っていたこととも通じる。

 そんな“わかりにくい”競技になってしまったボクシングの人気を再燃させるためには、ボクシングの歴史、選手、逸話、世界との差など、さまざまな側面に関して、わかりやすく、そして熱量込めて伝える存在が必要不可欠。その存在に香川照之こそが適任なのではないだろうか。

 というわけで、フジテレビ様。今こそ、『香川照之のボクシングすごいぜ!』の制作チャンスです。有田哲平がプロレスを語り尽くすことで大きな支持を集めているAmazonプライム番組『有田と週刊プロレスと』のように、鉱脈はきっとあると思うのだが。
(文=オグマナオト)

『昆虫すごいぜ!』だけじゃない……俳優・香川照之の“偏愛”は、ボクシング界を変えるか

  フジテレビが22日に中継したプロボクシング『村田諒太VSエンダム2』。勝利を手にし、「日本人2人目のミドル級世界王者」「日本人初の五輪メダリスト世界王者」という栄誉を勝ち取ったのはもちろん村田諒太だが、この一戦を通じて、ほかにも手応えを感じた者がいたはずだ。

 まずは中継局のフジテレビ。平均視聴率20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)は、今年の同局最高視聴率だという。実は前回、5月20日のタイトルマッチもフジが中継し、視聴率は、17.8%を記録。この時点でも、近年のボクシングではトップの数字だった。

 村田は勝利インタビューで、「みんなあんまり好きじゃないかもしれないけど、電通のみなさん。また、あんまり好きじゃないかもしれないけど、フジテレビのみなさん。感謝してます」とコメントし、会場の笑いを誘っていた。

 だが、むしろ感謝したいのはフジテレビのはず。殴り合った直後に、こうした機知に富んだコメントが残せる王者の登場は、苦境が続くフジテレビにとって得難い人材ではないだろうか。

 そしてもうひとりが、ゲスト解説を務めた俳優の香川照之。この試合、村田にとってリベンジマッチだったように、香川にとってもリベンジマッチだった。

 実は香川、前回5月20日の中継でもゲスト解説を務めたのだが、このときはネット上で「ウザい」「試合に集中できない」といった厳しい意見が噴出。それを意識してか、今回の中継では香川のコメント回数は少なく、それでいて熱量のほとばしりはしっかりあって存在感は示す、という見事なゲストぶり。SNSを見ても、前回ほどの拒否反応はないように思えた。

 香川のゲストぶりが成功した理由がもうひとつ。視聴者が香川照之の「好きなものには異常な愛を注ぐ」という姿に慣れ、免疫ができてきた、という点もあるのではないだろうか。

 というのも、5月からの約半年間、熱狂的な人気を誇る『香川照之の昆虫すごいぜ!』(NHK Eテレ)の2回目と3回目が立て続けに放送され、特番の『香川照之の昆虫すごいぜ!特別編~出動!タガメ捜査一課~』も好評。香川の情熱的すぎる昆虫への偏愛は、視聴者に好意的に受け止められた。個性派俳優、という括りで紹介される香川が今年、明らかにブレイクスルーしたわけだ。

 そんな香川が昆虫と同等、それ以上に愛してやまないのがボクシングだ。たとえば、香川は『昆虫すごいぜ!』の番組内で、「本当にやりたい仕事とめぐり会えました」「これが僕の代表作です」と語っているが、実は同様のコメントを、ボクシング関連の話題でも語っていたことがある。

 それは2011年公開の映画『あしたのジョー』で、主人公・矢吹丈のトレーナー・丹下段平役を受けたときのこと。「やっと、ボクシングを仕事で生かすときがきた」「この映画は、僕にとっては映画ではない(中略)ボクシングをどう見せるかというショーに参加したという記憶です」と「映画.com」のインタビューで答えている。

 香川のボクシング解説に関しては、「俳優業の隙間に解説できるほど、ボクシングは甘くない」と辛辣な評価をするネット記事もある。だが、筆者にいわせれば、その評価自体が間違いだ。

 中学生のころからボクシング観戦を始め、以来30余年にわたって情熱を傾けてきたという香川。俳優の仕事が少なかった時代にも、「ボクシングマガジン」(ベースボール・マガジン社)でコラム「香川照之の熱病的思考法」を連載し、フジテレビ以外でもWOWOWなどで世界戦のゲストコメンテーターを務めるなど、ずっとボクシングが仕事であり、心の拠り所でもあった。決して“俳優業の隙間”なんかではないのだ。

 今回、村田諒太という、一般視聴者にとってもわかりやすいアイコンができたボクシング界。一方で、ボクシング人気華やかなりし頃と比べて階級が増え、団体数も増えてしまったため、“強さ”が伝えにくい・わかりにくい競技になった、という声も多い。

 それは今回のタイトルマッチ後、村田自身が「ここにいるボクシングを大好きな人は、僕よりも強いミドル級のチャンピオンがいることも知っています」と語っていたこととも通じる。

 そんな“わかりにくい”競技になってしまったボクシングの人気を再燃させるためには、ボクシングの歴史、選手、逸話、世界との差など、さまざまな側面に関して、わかりやすく、そして熱量込めて伝える存在が必要不可欠。その存在に香川照之こそが適任なのではないだろうか。

 というわけで、フジテレビ様。今こそ、『香川照之のボクシングすごいぜ!』の制作チャンスです。有田哲平がプロレスを語り尽くすことで大きな支持を集めているAmazonプライム番組『有田と週刊プロレスと』のように、鉱脈はきっとあると思うのだが。
(文=オグマナオト)

ミドル級新王者・村田諒太のアメリカ進出に“暗雲”!? フジテレビによる「囲い込み」の動きが……

 ボクシングのテレビ視聴率が突き抜けて高かったことで、フジテレビがWBA世界ミドル級新王者・村田諒太の“囲い込み”をしそうだという話が関係者から聞かれた。

「フジテレビは、これからボクシングには、さらに力を入れるようです。村田の所属である帝拳ジムは、来年アメリカで試合をやると言っていましたが、予定が変更になるかもしれません。フジ側がさらに高い放映権料を出して、ジムを説得するみたいです」(プロボクシングの興行関係者)

 10月22日、各局が選挙の開票速報の特番を放送する中で、主要局では唯一ボクシング中継をやっていたのがフジテレビ。その視聴率はダントツの20.5%(ビデリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した。選挙速報では、トップだったNHKでも17.1%だったのだから、フジは笑いが止まらないだろう。

 というのも、選挙放送が横並びの中、フジがその流れに背いてボクシング中継の英断をしたわけではなかったからだ。安倍晋三首相が衆議院を解散する前から、この放送は決まっていたもので、当初はフジ関係者から「頭が痛い」という弱気な話も聞かれたほどだった。

 村田はロンドン五輪で金メダリストを獲得し、2013年にプロデビュー。フジテレビと広告代理店の電通が大きくバックアップして世界王座奪取プランを描いてきたが、今年5月の世界初挑戦は、まさかの判定負け。その採点結果に抗議の声が巻き起こり、仕切り直しの再戦となったのが今回の試合だった。

 高視聴率には、追い風もあった。前回5月の視聴率は平均17.8%の高数字。採点問題が持ち上がったことで、より村田の知名度は上がり、今回の試合への注目度も増した。

 両国国技館の興行は当日券も販売できないほどの超満員で盛況となり、結果も村田の圧勝TKOだった。

「もともと村田のボクシング中継は、視聴率が7%程度で低迷していたんですが、世界タイトルマッチになって急上昇。フジはこれまで蒔いた種の収穫とばかりに回収をしたいはず。2~3度の高視聴率で満足するようなことはないでしょう」と前出関係者。

 ただ、村田陣営は次戦こそ来春、日本で行う予定だが、その後はアメリカに進出するとしている。アメリカで試合が開催されると、時差の関係で日本での放送は午前中になってしまい、フジテレビがビジネスを主導することもできなくなってしまう。

「アメリカ行きは、村田本人の希望。世界王座を奪取しても、獲った王座は、その上に『スーパーチャンピオン』もいるWBA王座ですから。世界チャンピオンといっても村田が“世界一”になったわけではないので、村田は上を目指したいんです。過去、WBAのチャンピオンになった亀田興毅や井岡一翔は、その上にスーパーチャンピオンがいるのに放送局のTBSが、それを隠すように伝えてました。でも、村田はリング上で『僕より強いチャンピオンがいる』と明言しています」(同)

 そのWBAミドル級のスーパーチャンピオンは、アメリカを主戦場にするのゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)だが、1試合で数億~十数億単位のファイトマネーを稼ぐ超大物。そう簡単に対戦が実現できるわけでもない。

「そこで、アメリカに行かせたくないフジテレビが日本で防衛戦をやらせようとするはず。できるだけ勝てそうな相手との試合にして、長々と防衛させれば、高視聴率を引っ張れるんです。村田が所属する帝拳ジムでは、WBC世界バンダム級チャンピオン時代の山中慎介がアメリカ行きを希望しても、13度も日本で防衛戦をやらせていましたし」(同)

 村田本人がより強い相手を希望しても、周囲はチャンピオンの延命ビジネスに走ってしまうのか。業界内の過去の例を見ると、過保護路線が多々あるだけに、ちょっと心配ではある。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

ミドル級新王者・村田諒太のアメリカ進出に“暗雲”!? フジテレビによる「囲い込み」の動きが……

ミドル級新王者・村田諒太のアメリカ進出に暗雲!? フジテレビによる「囲い込み」の動きが……の画像1
村田諒太オフィシャルサイトより
 ボクシングのテレビ視聴率が突き抜けて高かったことで、フジテレビがWBA世界ミドル級新王者・村田諒太の“囲い込み”をしそうだという話が関係者から聞かれた。 「フジテレビは、これからボクシングには、さらに力を入れるようです。村田の所属である帝拳ジムは、来年アメリカで試合をやると言っていましたが、予定が変更になるかもしれません。フジ側がさらに高い放映権料を出して、ジムを説得するみたいです」(プロボクシングの興行関係者)  10月22日、各局が選挙の開票速報の特番を放送する中で、主要局では唯一ボクシング中継をやっていたのがフジテレビ。その視聴率はダントツの20.5%(ビデリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した。選挙速報では、トップだったNHKでも17.1%だったのだから、フジは笑いが止まらないだろう。  というのも、選挙放送が横並びの中、フジがその流れに背いてボクシング中継の英断をしたわけではなかったからだ。安倍晋三首相が衆議院を解散する前から、この放送は決まっていたもので、当初はフジ関係者から「頭が痛い」という弱気な話も聞かれたほどだった。  村田はロンドン五輪で金メダリストを獲得し、2013年にプロデビュー。フジテレビと広告代理店の電通が大きくバックアップして世界王座奪取プランを描いてきたが、今年5月の世界初挑戦は、まさかの判定負け。その採点結果に抗議の声が巻き起こり、仕切り直しの再戦となったのが今回の試合だった。  高視聴率には、追い風もあった。前回5月の視聴率は平均17.8%の高数字。採点問題が持ち上がったことで、より村田の知名度は上がり、今回の試合への注目度も増した。  両国国技館の興行は当日券も販売できないほどの超満員で盛況となり、結果も村田の圧勝TKOだった。 「もともと村田のボクシング中継は、視聴率が7%程度で低迷していたんですが、世界タイトルマッチになって急上昇。フジはこれまで蒔いた種の収穫とばかりに回収をしたいはず。2~3度の高視聴率で満足するようなことはないでしょう」と前出関係者。  ただ、村田陣営は次戦こそ来春、日本で行う予定だが、その後はアメリカに進出するとしている。アメリカで試合が開催されると、時差の関係で日本での放送は午前中になってしまい、フジテレビがビジネスを主導することもできなくなってしまう。 「アメリカ行きは、村田本人の希望。世界王座を奪取しても、獲った王座は、その上に『スーパーチャンピオン』もいるWBA王座ですから。世界チャンピオンといっても村田が“世界一”になったわけではないので、村田は上を目指したいんです。過去、WBAのチャンピオンになった亀田興毅や井岡一翔は、その上にスーパーチャンピオンがいるのに放送局のTBSが、それを隠すように伝えてました。でも、村田はリング上で『僕より強いチャンピオンがいる』と明言しています」(同)  そのWBAミドル級のスーパーチャンピオンは、アメリカを主戦場にするのゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)だが、1試合で数億~十数億単位のファイトマネーを稼ぐ超大物。そう簡単に対戦が実現できるわけでもない。 「そこで、アメリカに行かせたくないフジテレビが日本で防衛戦をやらせようとするはず。できるだけ勝てそうな相手との試合にして、長々と防衛させれば、高視聴率を引っ張れるんです。村田が所属する帝拳ジムでは、WBC世界バンダム級チャンピオン時代の山中慎介がアメリカ行きを希望しても、13度も日本で防衛戦をやらせていましたし」(同)  村田本人がより強い相手を希望しても、周囲はチャンピオンの延命ビジネスに走ってしまうのか。業界内の過去の例を見ると、過保護路線が多々あるだけに、ちょっと心配ではある。 (文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

ミドル級新王者・村田諒太のアメリカ進出に“暗雲”!? フジテレビによる「囲い込み」の動きが……

ミドル級新王者・村田諒太のアメリカ進出に暗雲!? フジテレビによる「囲い込み」の動きが……の画像1
村田諒太オフィシャルサイトより
 ボクシングのテレビ視聴率が突き抜けて高かったことで、フジテレビがWBA世界ミドル級新王者・村田諒太の“囲い込み”をしそうだという話が関係者から聞かれた。 「フジテレビは、これからボクシングには、さらに力を入れるようです。村田の所属である帝拳ジムは、来年アメリカで試合をやると言っていましたが、予定が変更になるかもしれません。フジ側がさらに高い放映権料を出して、ジムを説得するみたいです」(プロボクシングの興行関係者)  10月22日、各局が選挙の開票速報の特番を放送する中で、主要局では唯一ボクシング中継をやっていたのがフジテレビ。その視聴率はダントツの20.5%(ビデリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した。選挙速報では、トップだったNHKでも17.1%だったのだから、フジは笑いが止まらないだろう。  というのも、選挙放送が横並びの中、フジがその流れに背いてボクシング中継の英断をしたわけではなかったからだ。安倍晋三首相が衆議院を解散する前から、この放送は決まっていたもので、当初はフジ関係者から「頭が痛い」という弱気な話も聞かれたほどだった。  村田はロンドン五輪で金メダリストを獲得し、2013年にプロデビュー。フジテレビと広告代理店の電通が大きくバックアップして世界王座奪取プランを描いてきたが、今年5月の世界初挑戦は、まさかの判定負け。その採点結果に抗議の声が巻き起こり、仕切り直しの再戦となったのが今回の試合だった。  高視聴率には、追い風もあった。前回5月の視聴率は平均17.8%の高数字。採点問題が持ち上がったことで、より村田の知名度は上がり、今回の試合への注目度も増した。  両国国技館の興行は当日券も販売できないほどの超満員で盛況となり、結果も村田の圧勝TKOだった。 「もともと村田のボクシング中継は、視聴率が7%程度で低迷していたんですが、世界タイトルマッチになって急上昇。フジはこれまで蒔いた種の収穫とばかりに回収をしたいはず。2~3度の高視聴率で満足するようなことはないでしょう」と前出関係者。  ただ、村田陣営は次戦こそ来春、日本で行う予定だが、その後はアメリカに進出するとしている。アメリカで試合が開催されると、時差の関係で日本での放送は午前中になってしまい、フジテレビがビジネスを主導することもできなくなってしまう。 「アメリカ行きは、村田本人の希望。世界王座を奪取しても、獲った王座は、その上に『スーパーチャンピオン』もいるWBA王座ですから。世界チャンピオンといっても村田が“世界一”になったわけではないので、村田は上を目指したいんです。過去、WBAのチャンピオンになった亀田興毅や井岡一翔は、その上にスーパーチャンピオンがいるのに放送局のTBSが、それを隠すように伝えてました。でも、村田はリング上で『僕より強いチャンピオンがいる』と明言しています」(同)  そのWBAミドル級のスーパーチャンピオンは、アメリカを主戦場にするのゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)だが、1試合で数億~十数億単位のファイトマネーを稼ぐ超大物。そう簡単に対戦が実現できるわけでもない。 「そこで、アメリカに行かせたくないフジテレビが日本で防衛戦をやらせようとするはず。できるだけ勝てそうな相手との試合にして、長々と防衛させれば、高視聴率を引っ張れるんです。村田が所属する帝拳ジムでは、WBC世界バンダム級チャンピオン時代の山中慎介がアメリカ行きを希望しても、13度も日本で防衛戦をやらせていましたし」(同)  村田本人がより強い相手を希望しても、周囲はチャンピオンの延命ビジネスに走ってしまうのか。業界内の過去の例を見ると、過保護路線が多々あるだけに、ちょっと心配ではある。 (文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──

6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像1
(撮影=名鹿祥史)
“涙のカリスマ”として、プロレス界に一時代を築いた“邪道”大仁田厚が10月31日、東京・後楽園ホールでの「さよなら大仁田 さよなら電流爆破」で、リングに別れを告げる。実に6度にわたって引退、復帰を繰り返してきた大仁田だが、「今回は本当に引退」だと言う。引退試合を目前に控えた大仁田を直撃し、引退に至る経緯を聞きつつ、元参院議員でもある氏に来たる衆院選についての話も聞いてみた。(取材・文=ミカエル・コバタ) ――周囲では、「本当に引退するのか?」という声もありますが、今度こそ本当に辞められるんですよね? 大仁田厚(以下、大仁田) もちろん。本当は6回も引退、復帰を繰り返したつもりはないんだけど、どこかに6回って書かれたから、もう6回でいいやって思ったんだけど……。「まだ動けるじゃないか」って言われますけど、肉体的な問題もあるし、もうボクの時代じゃないですよ。ボクはプロレスが大好きだし、今でも何千人というお客さんは呼べるけど、最後の幕引きをしなきゃいけない。引退の言葉は何度も使ってきたから、今回は「さよなら」です。 ――かねて、「還暦で電流爆破デスマッチをやって引退」を公言されていましたが、それを有言実行されると……。 大仁田 そうですね。10月25日で60歳になりますから、肉体的にも限界です。この先、顔見せ的な試合はできるかもしれませんが、ボクはそういうのは好きじゃない。動けるうちに引いた方がいいと思ったんです。 ――10月29日に、名古屋国際会議場で、最後の電流爆破デスマッチ(大仁田&KAI vs ミノワマン&青柳政司)を行いますね? 大仁田 平成元年にFMWは名古屋で旗揚げしたんですけど、そのときの対戦相手が青柳館長。あれから28年の月日を経て、こういうことになって、これも何かの縁なんでしょうね。異種格闘技戦はFMWの原点。タッグを組むKAIは、ボクのファンでプロレスラーになった選手。総合格闘家のミノワマンとは初対戦になりますが、水と油のおもしろさがある。青柳館長はバイク事故で右脚を複雑骨折して引退したけど、「もう一度、大仁田を蹴りたい!」ということで、この試合のために、1日限定で復帰する。このメンバーで電流爆破をやるわけですから、どんな試合になるか想像もつかない。だからこそ、おもしろいんじゃないですか。 ――10月31日の引退試合(大仁田&雷神矢口&保坂秀樹 vs 藤田和之&ケンドー・カシン&NOSAWA論外)では、アントニオ猪木さんの弟子である藤田選手と対戦します。かなり、意外な人選だと思いますが……。 大仁田 そういう声もありますが、ボクはジャイアント馬場さんの弟子です。そのライバルだった猪木さんとは、対戦要望を出して、実現目前までいったけど、諸々の事情で流れて、交わることができなかった。だったら、最後に猪木さんの遺伝子である藤田選手と闘ってみたいと思ったんですよ。馬場さんと猪木さんの代理戦争じゃないけど……。
6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像2
――当日、猪木さんを会場に招待するようなプランはないのですか? 大仁田 ないです! 呼んでも来ないですよ。実はあいさつに行きたくて、秘書さんを通じてアポイントを取ろうとしたんだけど、取り次いでくれなくてダメ。礼を尽くそうとしても、アポが取れない。プロレス界の首領なら、もっとドーンと構えてほしいよ。ボクは猪木さんに嫌われてる男の1人なんでしょうね。 ――むしろ引退試合を電流爆破デスマッチで、という選択肢もあったと思いますが? 大仁田 もちろん。当初は旧川崎球場跡地(現・富士通スタジアム川崎)も考えたけど、あそこはもうアメフトやサッカーのスタジアムで、思い出深い川崎球場じゃないんですよ。だったら、後楽園にしようと思って。後楽園はデビューした場所だし、全日本プロレスで最初の引退式をやった場所でもあるし、思い出がいっぱい詰まってるんです。だから、最後は後楽園なんです。 ――ZERO1・超花火プロレスの工藤めぐみエクスプロージョンプリンセスからは、引退試合3日後となる11月3日に川崎市スポーツ文化・総合センターで開催される「電流爆破フェスティバル」へのオファーが届きましたが、出る可能性はありますか? 大仁田 それは絶対ないです。工藤選手の気持ちはうれしいけど、それは出ません。それをやったら、10月31日のチケットを買ってくれたファンを裏切ることになる。遠方の人で、休みを取って来てくれる人もいるわけだし。その話が出て、チケット購入者からキャンセルが出たりしましたけど、それは100パーセントないです。 ――引退後のプランは決まっているんですか? 大仁田 まだ決まってません。ただ1カ月は休もうと思ってます。痛めている膝、肩、右手の問題もありますし。しばらく体を休めたいですね。 ――商売を始められるような考えはないですか? 大仁田 いやー、ボクは商売には向いてないですよ。じいちゃんが商売人だったけど、博打じゃないけど、相場師みたいなもんだった。 ――今回こそ、本当に引退されるんですよね? 大仁田 そうだよ。もうボクの時代じゃないって! ただ、たとえば老人ホームとか慰問して、そこでリングを作って、アマチュアとしてやることはあるかもしれない。それはあくまでもボランティアであって、プロレスラーとしてではない。プロレスラーの大仁田厚は幕引きで、もう幕を開けることはないです。それからボクは「イジメ撲滅」「地方の活性化」を掲げて、全国300カ所くらい回ったんですけど、地方の活性化にはプロレスがいいって思うんですよ。地方でやると、おじいちゃん、おばあちゃん、子どもたちが来るんです。だから地域プロレスは応援したい。
6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像3
――大仁田さんは元参院議員でもありますが、今でも政治には興味を持たれているんですよね? 大仁田 関心はあります。やっぱり地方の活性化をすべきだと思うんです。東京中心の世の中で、すべてが東京に集まる中、地方はどんどん過疎化して、空き家問題もある。高齢化、少子化の問題もある。地方の財源の問題もある。最近はよく「タバコは吸うな」って言いますけど、たばこ税の多くは地方税ですよ。規制に入ると、地方の財源はどんどんなくなっていく。地方は官僚や有力な国会議員に頭を下げて、補助金をもらう状態。地方がどんどん疲弊していく中で、地方革命が起きないかな? 誰か地方から声を上げないかな? って思ってます。希望の党、立憲民主党もいいけど、誰か地方党とかいって名乗り上げる人はいないのかと思う。沖縄県みたいに、政府に反発すると、補助金も削られて、締め付けられて財源がなくなっていく。予算で地方をいじめるわけですよ。 ――国政より、地方自治に興味があるわけですか? 大仁田 そうだね。地方にはその地方の特色があって、地方新聞があるんです。たとえば群馬に上毛新聞、栃木に下野新聞というのがあって、シェアが80パーセントくらいある。この間、佐賀新聞の社長とお会いしたんですが、ここも80パーセントくらいのシェアを持っている。共同通信とか大きなところと提携は結んでいるんだろうけど、地方新聞が立ち上がるべきじゃないかと思うんですよ。「地方のことを考えろ!」って。地方が立ち上がらなければ、日本の国はダメ。 ――自民党の石破茂さん(衆院議員)なんかはどうですか? 大仁田 ボクは好きですよ。地方の人が陳情に行っても、流す人がいるんだけど、あの人は幹事長時代、陳情に来ると、ちゃんと話を聞いていたって、国会議員仲間から聞きましたね。鈴木宗男さん(元衆院議員)なんか、陳情に来ると、その場で官僚に連絡して、その場で話を決めたっていう伝説がある。そういう地方のためになる人が必要だと思う。 ――今回の衆院選(22日投開票)は、どう見られていますか? 大仁田 どこが野党だかわからない。本当の野党は共産党と社民党くらいだろ。リベラルという意味は非常に難しいけど、大衆主義的な傾向があって、はき違えがある。共産党の理想論は聞いてたら素晴らしいけど、その予算はどうするの? 理想ではメシ食えないよ。ボクはもう自民党員じゃないし、好きな人を応援したいと思います。党ではなく、人で選ぶべきだと思う。「地方のために、何をしてくれるんだ!」って、議長の胸ぐらをつかむぐらいの気持ちを持った人が出るべき。「てめぇー、なめんなよ!」というくらいの国会議員がいてもいいじゃない。自国は自国で守らないといけないし、日本という国の存在感を高めないといけない。それができる人を首相にして、全責任を負わせないと……。選挙権も18歳からになったわけだし、投票率が100パーセントになれば、日本の国は変わりますよ。建設関係の人たちとかが自民党を勝たせようとしたりするけど、日本がどういう方向を向くかを国民も考えないと……。第2次安倍(晋三)政権になって、5年近くになるけど、お灸を据えないといけない。野党にがんばってもらいたいけど、選択肢がなかなかないな。
6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像4
――猪木参院議員がたびたび訪朝されてますが、どう見られていますか? 大仁田 訪朝しても、金正恩(キム・ジョンウン)は出てこないじゃん。猪木さん的には、北朝鮮とのパイプがあるというのを、自民党とかにアピールする材料でしかないんじゃないの? だって、なんのために行ったのか、中身がないじゃない。帰国後、何も決まっていない。猪木さんが「平和の祭典」をやっても、ミサイルをぶっ放してるじゃない。そこら中に。「平和の祭典」をやった成果があるんなら、ミサイルは撃ってこないだろ。あくまでも猪木さんの政治的なアピールだと思いますよ。北朝鮮の特命大臣とか狙ってるんじゃないの?(笑) ――国会議員を1期で辞められたのはなぜですか? 大仁田 1期で辞めたのは、政治家になりきれなかった男だからかな。政治家は平気でウソをつく。いや言ってるときは本当なんだけど……。ウソをつくのが商売のようなところがある。その点、宗男さんなんか正直だった。「オレが国会議員を続けていたら、(北方領土の)2島は返還されたんだよ。4島じゃなくてもいいじゃない」って言ってたね。2島だけでも返還されれば、北海道の漁業の人たちが、そっちの方にも鮭や昆布を取りに行けるでしょ。北海道は拓殖銀行が潰れて、経済が落ちたけど、そのときにがんばってたのが宗男さん。今でも、あの年になって、がんになっても、立とうとする精神力は買うべきだよ。北海道のためにって。あれこそ地方革命だよ。それから、参院議員になってわかったのは、あの世界は「官僚と世襲」だと痛感した。それでイヤになって、1期で辞めた。それは今でも変わらないな。 ――どうしても、地方の方に目が行ってしまうわけですか? 大仁田 そうだね。ボクはいろんな都市を回って、たくさんの市長や知事に会ったけど、どこかお手本になるような都市作りをしてくれないかな。日本は根本に立ち返り、家族とは何か、きょうだいとは何か、友人とは何かを考えるべき。ネットの世界は生き方の手本じゃないよ。自分が感じ、自分で動いて、食べて飲んで、それを自分の生き方にしなきゃいけないと思います。 ――それでは、将来的に、大仁田さん自身が、どこかの市長選に出馬するような意向はありますか? 大仁田 今のところないけど、どこかでボクを生かしてくれる所があれば、立ちたいという気持ちはメチャメチャ持ってます。 ――わかりました。それでは最後に何かメッセージがあれば、お願いします。 大仁田 10月31日、後楽園ホール。「大仁田の最後を見てやろうか!」という人がいたら、ぜひ足を運んでください。それから、ネットでよく、故・鳩山邦夫先生に「借金返せ!」って書き込みしてる人がいるんだけど、その件はもう鳩山家との間で解決してますから。それでも文句ある人は、ボクのところに直接聞きに来てください。
6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像5
★大仁田厚試合情報 10月21日(土) A-TEAM 沖縄・豊見城市豊崎美らSUNビーチ特設会場(18時開始) 10月29日(日) 大仁田興行 愛知・名古屋国際会議場(15時開始) 10月31日(火) 大仁田興行 東京・後楽園ホール(18時半開始) ★大仁田厚オフィシャルサイト http://onitafire.com/ ●大仁田厚(おおにた・あつし) 1957年10月25日、長崎県長崎市生まれ。高校を3日で中退し、73年10月、旗揚げしたばかりの、故ジャイアント馬場率いる全日本プロレスに新弟子第1号として入門。74年4月14日、後楽園ホールでの佐藤昭雄戦でデビュー。82年3月にNWAインターナショナル・ジュニアヘビー級王座を奪取するなど、同団体のジュニアのエースとして活躍。83年4月20日、東京体育館でのヘクター・ゲレロ戦で左膝蓋骨を粉砕骨折し、長期欠場を余儀なくされる。戦線復帰はしたものの、左膝のケガは癒えず、85年1月3日、後楽園で引退式を行う。88年12月3日、ジャパン女子プロレスのリングで復帰。89年10月、FMWを旗揚げ。有刺鉄線、電流爆破など過激デスマッチ路線で新境地を開拓。社長兼エースとして、同団体を牽引し、“涙のカリスマ”と称される。95年5月5日、川崎球場で2度目の引退。96年12月に復帰すると、以後、引退、復帰を繰り返す。2001年に自民党から参院選に出馬し当選。42歳で駿台学園高等学校を、47歳で明治大学政治経済学部経済学科を卒業。

6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──

6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像1
(撮影=名鹿祥史)
“涙のカリスマ”として、プロレス界に一時代を築いた“邪道”大仁田厚が10月31日、東京・後楽園ホールでの「さよなら大仁田 さよなら電流爆破」で、リングに別れを告げる。実に6度にわたって引退、復帰を繰り返してきた大仁田だが、「今回は本当に引退」だと言う。引退試合を目前に控えた大仁田を直撃し、引退に至る経緯を聞きつつ、元参院議員でもある氏に来たる衆院選についての話も聞いてみた。(取材・文=ミカエル・コバタ) ――周囲では、「本当に引退するのか?」という声もありますが、今度こそ本当に辞められるんですよね? 大仁田厚(以下、大仁田) もちろん。本当は6回も引退、復帰を繰り返したつもりはないんだけど、どこかに6回って書かれたから、もう6回でいいやって思ったんだけど……。「まだ動けるじゃないか」って言われますけど、肉体的な問題もあるし、もうボクの時代じゃないですよ。ボクはプロレスが大好きだし、今でも何千人というお客さんは呼べるけど、最後の幕引きをしなきゃいけない。引退の言葉は何度も使ってきたから、今回は「さよなら」です。 ――かねて、「還暦で電流爆破デスマッチをやって引退」を公言されていましたが、それを有言実行されると……。 大仁田 そうですね。10月25日で60歳になりますから、肉体的にも限界です。この先、顔見せ的な試合はできるかもしれませんが、ボクはそういうのは好きじゃない。動けるうちに引いた方がいいと思ったんです。 ――10月29日に、名古屋国際会議場で、最後の電流爆破デスマッチ(大仁田&KAI vs ミノワマン&青柳政司)を行いますね? 大仁田 平成元年にFMWは名古屋で旗揚げしたんですけど、そのときの対戦相手が青柳館長。あれから28年の月日を経て、こういうことになって、これも何かの縁なんでしょうね。異種格闘技戦はFMWの原点。タッグを組むKAIは、ボクのファンでプロレスラーになった選手。総合格闘家のミノワマンとは初対戦になりますが、水と油のおもしろさがある。青柳館長はバイク事故で右脚を複雑骨折して引退したけど、「もう一度、大仁田を蹴りたい!」ということで、この試合のために、1日限定で復帰する。このメンバーで電流爆破をやるわけですから、どんな試合になるか想像もつかない。だからこそ、おもしろいんじゃないですか。 ――10月31日の引退試合(大仁田&雷神矢口&保坂秀樹 vs 藤田和之&ケンドー・カシン&NOSAWA論外)では、アントニオ猪木さんの弟子である藤田選手と対戦します。かなり、意外な人選だと思いますが……。 大仁田 そういう声もありますが、ボクはジャイアント馬場さんの弟子です。そのライバルだった猪木さんとは、対戦要望を出して、実現目前までいったけど、諸々の事情で流れて、交わることができなかった。だったら、最後に猪木さんの遺伝子である藤田選手と闘ってみたいと思ったんですよ。馬場さんと猪木さんの代理戦争じゃないけど……。
6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像2
――当日、猪木さんを会場に招待するようなプランはないのですか? 大仁田 ないです! 呼んでも来ないですよ。実はあいさつに行きたくて、秘書さんを通じてアポイントを取ろうとしたんだけど、取り次いでくれなくてダメ。礼を尽くそうとしても、アポが取れない。プロレス界の首領なら、もっとドーンと構えてほしいよ。ボクは猪木さんに嫌われてる男の1人なんでしょうね。 ――むしろ引退試合を電流爆破デスマッチで、という選択肢もあったと思いますが? 大仁田 もちろん。当初は旧川崎球場跡地(現・富士通スタジアム川崎)も考えたけど、あそこはもうアメフトやサッカーのスタジアムで、思い出深い川崎球場じゃないんですよ。だったら、後楽園にしようと思って。後楽園はデビューした場所だし、全日本プロレスで最初の引退式をやった場所でもあるし、思い出がいっぱい詰まってるんです。だから、最後は後楽園なんです。 ――ZERO1・超花火プロレスの工藤めぐみエクスプロージョンプリンセスからは、引退試合3日後となる11月3日に川崎市スポーツ文化・総合センターで開催される「電流爆破フェスティバル」へのオファーが届きましたが、出る可能性はありますか? 大仁田 それは絶対ないです。工藤選手の気持ちはうれしいけど、それは出ません。それをやったら、10月31日のチケットを買ってくれたファンを裏切ることになる。遠方の人で、休みを取って来てくれる人もいるわけだし。その話が出て、チケット購入者からキャンセルが出たりしましたけど、それは100パーセントないです。 ――引退後のプランは決まっているんですか? 大仁田 まだ決まってません。ただ1カ月は休もうと思ってます。痛めている膝、肩、右手の問題もありますし。しばらく体を休めたいですね。 ――商売を始められるような考えはないですか? 大仁田 いやー、ボクは商売には向いてないですよ。じいちゃんが商売人だったけど、博打じゃないけど、相場師みたいなもんだった。 ――今回こそ、本当に引退されるんですよね? 大仁田 そうだよ。もうボクの時代じゃないって! ただ、たとえば老人ホームとか慰問して、そこでリングを作って、アマチュアとしてやることはあるかもしれない。それはあくまでもボランティアであって、プロレスラーとしてではない。プロレスラーの大仁田厚は幕引きで、もう幕を開けることはないです。それからボクは「イジメ撲滅」「地方の活性化」を掲げて、全国300カ所くらい回ったんですけど、地方の活性化にはプロレスがいいって思うんですよ。地方でやると、おじいちゃん、おばあちゃん、子どもたちが来るんです。だから地域プロレスは応援したい。
6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像3
――大仁田さんは元参院議員でもありますが、今でも政治には興味を持たれているんですよね? 大仁田 関心はあります。やっぱり地方の活性化をすべきだと思うんです。東京中心の世の中で、すべてが東京に集まる中、地方はどんどん過疎化して、空き家問題もある。高齢化、少子化の問題もある。地方の財源の問題もある。最近はよく「タバコは吸うな」って言いますけど、たばこ税の多くは地方税ですよ。規制に入ると、地方の財源はどんどんなくなっていく。地方は官僚や有力な国会議員に頭を下げて、補助金をもらう状態。地方がどんどん疲弊していく中で、地方革命が起きないかな? 誰か地方から声を上げないかな? って思ってます。希望の党、立憲民主党もいいけど、誰か地方党とかいって名乗り上げる人はいないのかと思う。沖縄県みたいに、政府に反発すると、補助金も削られて、締め付けられて財源がなくなっていく。予算で地方をいじめるわけですよ。 ――国政より、地方自治に興味があるわけですか? 大仁田 そうだね。地方にはその地方の特色があって、地方新聞があるんです。たとえば群馬に上毛新聞、栃木に下野新聞というのがあって、シェアが80パーセントくらいある。この間、佐賀新聞の社長とお会いしたんですが、ここも80パーセントくらいのシェアを持っている。共同通信とか大きなところと提携は結んでいるんだろうけど、地方新聞が立ち上がるべきじゃないかと思うんですよ。「地方のことを考えろ!」って。地方が立ち上がらなければ、日本の国はダメ。 ――自民党の石破茂さん(衆院議員)なんかはどうですか? 大仁田 ボクは好きですよ。地方の人が陳情に行っても、流す人がいるんだけど、あの人は幹事長時代、陳情に来ると、ちゃんと話を聞いていたって、国会議員仲間から聞きましたね。鈴木宗男さん(元衆院議員)なんか、陳情に来ると、その場で官僚に連絡して、その場で話を決めたっていう伝説がある。そういう地方のためになる人が必要だと思う。 ――今回の衆院選(22日投開票)は、どう見られていますか? 大仁田 どこが野党だかわからない。本当の野党は共産党と社民党くらいだろ。リベラルという意味は非常に難しいけど、大衆主義的な傾向があって、はき違えがある。共産党の理想論は聞いてたら素晴らしいけど、その予算はどうするの? 理想ではメシ食えないよ。ボクはもう自民党員じゃないし、好きな人を応援したいと思います。党ではなく、人で選ぶべきだと思う。「地方のために、何をしてくれるんだ!」って、議長の胸ぐらをつかむぐらいの気持ちを持った人が出るべき。「てめぇー、なめんなよ!」というくらいの国会議員がいてもいいじゃない。自国は自国で守らないといけないし、日本という国の存在感を高めないといけない。それができる人を首相にして、全責任を負わせないと……。選挙権も18歳からになったわけだし、投票率が100パーセントになれば、日本の国は変わりますよ。建設関係の人たちとかが自民党を勝たせようとしたりするけど、日本がどういう方向を向くかを国民も考えないと……。第2次安倍(晋三)政権になって、5年近くになるけど、お灸を据えないといけない。野党にがんばってもらいたいけど、選択肢がなかなかないな。
6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像4
――猪木参院議員がたびたび訪朝されてますが、どう見られていますか? 大仁田 訪朝しても、金正恩(キム・ジョンウン)は出てこないじゃん。猪木さん的には、北朝鮮とのパイプがあるというのを、自民党とかにアピールする材料でしかないんじゃないの? だって、なんのために行ったのか、中身がないじゃない。帰国後、何も決まっていない。猪木さんが「平和の祭典」をやっても、ミサイルをぶっ放してるじゃない。そこら中に。「平和の祭典」をやった成果があるんなら、ミサイルは撃ってこないだろ。あくまでも猪木さんの政治的なアピールだと思いますよ。北朝鮮の特命大臣とか狙ってるんじゃないの?(笑) ――国会議員を1期で辞められたのはなぜですか? 大仁田 1期で辞めたのは、政治家になりきれなかった男だからかな。政治家は平気でウソをつく。いや言ってるときは本当なんだけど……。ウソをつくのが商売のようなところがある。その点、宗男さんなんか正直だった。「オレが国会議員を続けていたら、(北方領土の)2島は返還されたんだよ。4島じゃなくてもいいじゃない」って言ってたね。2島だけでも返還されれば、北海道の漁業の人たちが、そっちの方にも鮭や昆布を取りに行けるでしょ。北海道は拓殖銀行が潰れて、経済が落ちたけど、そのときにがんばってたのが宗男さん。今でも、あの年になって、がんになっても、立とうとする精神力は買うべきだよ。北海道のためにって。あれこそ地方革命だよ。それから、参院議員になってわかったのは、あの世界は「官僚と世襲」だと痛感した。それでイヤになって、1期で辞めた。それは今でも変わらないな。 ――どうしても、地方の方に目が行ってしまうわけですか? 大仁田 そうだね。ボクはいろんな都市を回って、たくさんの市長や知事に会ったけど、どこかお手本になるような都市作りをしてくれないかな。日本は根本に立ち返り、家族とは何か、きょうだいとは何か、友人とは何かを考えるべき。ネットの世界は生き方の手本じゃないよ。自分が感じ、自分で動いて、食べて飲んで、それを自分の生き方にしなきゃいけないと思います。 ――それでは、将来的に、大仁田さん自身が、どこかの市長選に出馬するような意向はありますか? 大仁田 今のところないけど、どこかでボクを生かしてくれる所があれば、立ちたいという気持ちはメチャメチャ持ってます。 ――わかりました。それでは最後に何かメッセージがあれば、お願いします。 大仁田 10月31日、後楽園ホール。「大仁田の最後を見てやろうか!」という人がいたら、ぜひ足を運んでください。それから、ネットでよく、故・鳩山邦夫先生に「借金返せ!」って書き込みしてる人がいるんだけど、その件はもう鳩山家との間で解決してますから。それでも文句ある人は、ボクのところに直接聞きに来てください。
6度引退→復帰の大仁田厚に聞く「今度こそ本当に引退?」さらに、政治と地方とアントニオ猪木──の画像5
★大仁田厚試合情報 10月21日(土) A-TEAM 沖縄・豊見城市豊崎美らSUNビーチ特設会場(18時開始) 10月29日(日) 大仁田興行 愛知・名古屋国際会議場(15時開始) 10月31日(火) 大仁田興行 東京・後楽園ホール(18時半開始) ★大仁田厚オフィシャルサイト http://onitafire.com/ ●大仁田厚(おおにた・あつし) 1957年10月25日、長崎県長崎市生まれ。高校を3日で中退し、73年10月、旗揚げしたばかりの、故ジャイアント馬場率いる全日本プロレスに新弟子第1号として入門。74年4月14日、後楽園ホールでの佐藤昭雄戦でデビュー。82年3月にNWAインターナショナル・ジュニアヘビー級王座を奪取するなど、同団体のジュニアのエースとして活躍。83年4月20日、東京体育館でのヘクター・ゲレロ戦で左膝蓋骨を粉砕骨折し、長期欠場を余儀なくされる。戦線復帰はしたものの、左膝のケガは癒えず、85年1月3日、後楽園で引退式を行う。88年12月3日、ジャパン女子プロレスのリングで復帰。89年10月、FMWを旗揚げ。有刺鉄線、電流爆破など過激デスマッチ路線で新境地を開拓。社長兼エースとして、同団体を牽引し、“涙のカリスマ”と称される。95年5月5日、川崎球場で2度目の引退。96年12月に復帰すると、以後、引退、復帰を繰り返す。2001年に自民党から参院選に出馬し当選。42歳で駿台学園高等学校を、47歳で明治大学政治経済学部経済学科を卒業。

不倫発覚の“あびる優の夫”才賀紀左衛門に心配の声「ハニートラップだった可能性が……」

不倫発覚のあびる優の夫才賀紀左衛門に心配の声「ハニートラップだった可能性が……」の画像1
「RIZIN FIGHTING FEDERATION」炬公式サイトより
「脳みそは日々殴り合いのことか、エッチのことしか考えてない」とまで坂上忍に言われてしまった不倫発覚の格闘家・才賀紀左衛門を心配する声が高まっている。 22  知人キックボクサーによると「不倫がハニートラップだった可能性がある」というのだ。 「彼は私生活ではチャラいところもありましたから、以前も別の女性と親しくなってたことはあるんですよ。でも、その女性が“反グレ”グループと付き合っているような奴で、紀左衛門を脅そうとしていたことがあったと聞きました。結局、その女性自身が薬物か何かの疑いで警察に疑われたとかで、それ以上の危ない動きはなかったらしいですけど、今回の不倫相手もヤバい相手じゃないかってウワサがあります」  共演したタレントの武井壮に「すごいライトな感じの兄ちゃん」と言われるほど奔放な言動で知られる才賀は、2014年9月にタレントのあびる優と再婚。翌年には女児が生まれていたが、今年9月にあびるが友人と奄美大島に旅行していた間、娘を親族に預け、美人モデル宅に宿泊したことが報じられた。才賀はメディアに出て「反省しています」と不倫を認めて謝罪していた。  空手家としてK-1やキックボクシングの舞台では有力選手に連敗し、KO勝ちも少ないタイプだったが、ビッグマウスなキャラクターで14年から総合格闘技に進出。15年に新団体の「RIZIN」に起用され、テレビ中継にもたびたび登場したが、戦績は1勝4敗。目立っていたのはリングサイドで金切り声を上げて応援する妻・あびるの方だった。そんな折の今回の騒動とあっては「リング外の方が派手」と言われてしまいそうだが、前出キックボクサーは、周囲の不穏な動きをキャッチしていた。 「ほとんど知られていませんが、昨年、K-1ファイターでもあった元格闘家がハニートラップに遭って、ベッド写真をネタに強請られるトラブルがあったんです。紀左衛門の不倫相手も、その犯人に近い人脈じゃないかという見方があって、変なことにならなければいいけどって心配してます」  また、一部メディアには、同様に才賀がハニートラップの被害に遭っているという内容の怪文書が届いている。ただ、そこにはその仕掛人が妻・あびる優だとも書かれていた。 「優ちゃんは本当に紀左衛門を愛している感じだったので、さすがにそれはありえないと思ってますけど、紀左衛門の親が大金持ちなので、何かと不安があるんですよ」  才賀は今年2試合をこなしただけだが、そのわりに日頃、高級レストランなどで豪遊している日常をSNSなどで明かしており、「そういうボンボンなタイプは、悪い奴に狙われやすい」と前出キックボクサー。  最近、六本木・西麻布など都内の繁華街では、「芸能人ハンター」とも呼ばれる不良集団によるトラブルが続発し、そのせいか、この界隈での夜遊びが知られていた有名人たちが姿を消し始めている。  才賀がそのターゲットとなっていても、確かにおかしくはない。闇社会の連中に狙われた元野球選手が過去、美人局に1億円を支払った例もあるだけに、才賀のゴシップがその類いのトラブルでないことを祈りたい。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

不倫発覚の“あびる優の夫”才賀紀左衛門に心配の声「ハニートラップだった可能性が……」

不倫発覚のあびる優の夫才賀紀左衛門に心配の声「ハニートラップだった可能性が……」の画像1
「RIZIN FIGHTING FEDERATION」炬公式サイトより
「脳みそは日々殴り合いのことか、エッチのことしか考えてない」とまで坂上忍に言われてしまった不倫発覚の格闘家・才賀紀左衛門を心配する声が高まっている。 22  知人キックボクサーによると「不倫がハニートラップだった可能性がある」というのだ。 「彼は私生活ではチャラいところもありましたから、以前も別の女性と親しくなってたことはあるんですよ。でも、その女性が“反グレ”グループと付き合っているような奴で、紀左衛門を脅そうとしていたことがあったと聞きました。結局、その女性自身が薬物か何かの疑いで警察に疑われたとかで、それ以上の危ない動きはなかったらしいですけど、今回の不倫相手もヤバい相手じゃないかってウワサがあります」  共演したタレントの武井壮に「すごいライトな感じの兄ちゃん」と言われるほど奔放な言動で知られる才賀は、2014年9月にタレントのあびる優と再婚。翌年には女児が生まれていたが、今年9月にあびるが友人と奄美大島に旅行していた間、娘を親族に預け、美人モデル宅に宿泊したことが報じられた。才賀はメディアに出て「反省しています」と不倫を認めて謝罪していた。  空手家としてK-1やキックボクシングの舞台では有力選手に連敗し、KO勝ちも少ないタイプだったが、ビッグマウスなキャラクターで14年から総合格闘技に進出。15年に新団体の「RIZIN」に起用され、テレビ中継にもたびたび登場したが、戦績は1勝4敗。目立っていたのはリングサイドで金切り声を上げて応援する妻・あびるの方だった。そんな折の今回の騒動とあっては「リング外の方が派手」と言われてしまいそうだが、前出キックボクサーは、周囲の不穏な動きをキャッチしていた。 「ほとんど知られていませんが、昨年、K-1ファイターでもあった元格闘家がハニートラップに遭って、ベッド写真をネタに強請られるトラブルがあったんです。紀左衛門の不倫相手も、その犯人に近い人脈じゃないかという見方があって、変なことにならなければいいけどって心配してます」  また、一部メディアには、同様に才賀がハニートラップの被害に遭っているという内容の怪文書が届いている。ただ、そこにはその仕掛人が妻・あびる優だとも書かれていた。 「優ちゃんは本当に紀左衛門を愛している感じだったので、さすがにそれはありえないと思ってますけど、紀左衛門の親が大金持ちなので、何かと不安があるんですよ」  才賀は今年2試合をこなしただけだが、そのわりに日頃、高級レストランなどで豪遊している日常をSNSなどで明かしており、「そういうボンボンなタイプは、悪い奴に狙われやすい」と前出キックボクサー。  最近、六本木・西麻布など都内の繁華街では、「芸能人ハンター」とも呼ばれる不良集団によるトラブルが続発し、そのせいか、この界隈での夜遊びが知られていた有名人たちが姿を消し始めている。  才賀がそのターゲットとなっていても、確かにおかしくはない。闇社会の連中に狙われた元野球選手が過去、美人局に1億円を支払った例もあるだけに、才賀のゴシップがその類いのトラブルでないことを祈りたい。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

九州ボクシングジム同士が“泥沼”訴訟劇……火種は協会の「使途不明金問題」か

九州ボクシングジム同士が泥沼訴訟劇……火種は協会の「使途不明金問題」かの画像1
「YANAGIHARAボクシング&フィットネスジム」公式サイトより
 プロボクシングのジム関係者同士が名誉棄損の裁判で争っていることがわかった。訴えたのは福岡・北九州市の「YANAGIHARAボクシング&フィットネスジム」の経営者である柳原廣一会長で、訴えられたのが福岡・春日市の「三松スポーツボクシングジム」を運営する松尾友徳会長だ。  柳原会長は、7月に行われた西部日本ボクシング協会の会合で、松尾会長から「柳原は暴力団だ」などとする事実ではない暴言を浴びせられたとして、100万円の損害賠償と謝罪文の提示を求めている。九州のボクシングジム会長同士の間で、いったい何があったのか。  7月2日、福岡県内のホテルで行われた会合は、協会に加盟するプロボクシングジムの会長たちが集まる協会の「臨時総会」で、当時の松尾会長は協会の事務局長を務めていた。  訴状によると、松尾会長はその会議の場で「柳原は暴力団」などの発言をし、さらに柳原会長が行政に認可されない、いわゆる“闇金”を営んでいたかのようにも言っていたという。しかし柳原会長は、いずれも事実ではなく、約30名の出席者の前で誤解を受け、さらなる第3者からの中傷につながる恐れがあるため訴訟に踏み切ったとしている。松尾会長の発言は、証拠として会議の録音テープが裁判所に提出されている。  その柳原会長に取材したところ、「裁判中のことなので、お話しは控えます」としたが、相手の発言の事実関係については「私は暴力団でも元暴力団でもありません。金貸しをしていたのは事実ですが、闇金などではなく、ちゃんと福岡県知事登録の正規の金融業で、それも過去のことです。暴力団と親しいこともなく、逆に関係を断って脅されたことがあるほどです」と答えた。  対して松尾会長の方は「発言はした。それは逃げない。いきなり訴えてきたから対応するしかない」と回答。ただ、柳原会長が暴力団なのかと聞くと、「そうではない。ヤクザについて詳しい話をしていたから」と話した。  同じ業界内の人間同士、訴訟などになる前に解決できなかったものかとも思うが、実はこの対立、協会内の別の部分に“火種”があったようだ。  西部日本ボクシング協会は九州全域のほか、広島県、山口県、沖縄県のプロボクシングジムが加盟する組織だが、最近になって資金の使途不明金問題が持ち上がり、協会長の本田憲哉・本田フィットネスボクシングジム会長と、事務局長の松尾会長が責任を問われ協会の役員を解任されたばかりだった。そこで、その不明金について追及をしていた側のひとりが柳原会長だったという。協会内の別のジム会長が匿名を条件に内情を打ち明けた。 「使途不明金は口座の明細と報告書が食い違っている点などを指摘されたものでした。本田さん、松尾さんの執行部2人は問題を否定して話が平行線という感じでしたが、臨時総会で解任されたんです。それで誰を次のトップにするかって話になったとき、松尾さんが『柳原は元ヤクザだからダメだ』みたいなことを言っていたんです。柳原さんはトップに立候補してなかったんですけどね」  結局、次期協会長は選挙をして役員を再選することになり、この9月、元世界チャンピオンの平仲信明・平仲ボクシングスクールジム会長が当選した。 「松尾会長はその平仲会長を支持していたようなので、旧執行部が勝ったとも言えますね。だから、その訴訟はまるで第2ラウンドですよ」(同)  使途不明金について松尾会長は「横領とかではなく、ただの記載ミス。税理士を入れて、ちゃんと説明する予定」としたが、その中で飛び出した名誉棄損の裁判については法廷に決着の場が移された。「判定勝ち」となるのはどちらだろうか。 (文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)