フジテレビ『隣の家族は青く見える』高畑淳子の“顔芸”が達者すぎ!

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。第6話の視聴率は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)ですが、オリンピックの最中、ドラマは録画が増えるので、もはや視聴率に意味はないでしょう。前回から2カ月が経過した4家庭の現状から振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■高畑淳子の表情だけで笑える

 

 大器(松山ケンイチ)の両親と妹夫妻が、前回生まれた子どものお宮参りの帰りに、大器と奈々(深田恭子)の住むコーポを訪ねて来る。鯛のお頭付きのお祝い膳で迎える古風な奈々。

 奈々が言った「子どもが生まれる事自体が奇跡」という言葉に感動し、琴音(伊藤沙莉)が命名したのは「真奈」という名前(ちなみにハワイ語でマナは奇跡という意味だとも)。その琴音は、旦那の啓太(前原滉)に対し「おむつ変えただけで『俺今日めっちゃがんばった』みたいになる」のが気にくわない。いわゆる産後から旦那への嫌悪感が強まる「産後クライシス」。後半に妊活クライシスにも触れる場面もあり、未経験にはピンとこない「危機」を、多少教材的にだが教えてくれる。

 前回、奈々らが不妊治療をしていることを知り、自分の無神経な振る舞いを涙ながらに後悔した聡子(高畑淳子)は、子どもの話題になるたびに逆に過剰にドギマギ。高畑の顔の芝居があまりに冴えまくるので、全員のシーンで、この人の表情だけ見てても面白い。高畑主演のコメディドラマが観たい。

 広瀬渉(眞島秀和)は独立し、自宅で仕事を開始。それに応じるように、慣れない家事や大検の資格を取ろうとしたりするパートナー・朔(北村匠海)。前回「あなたは彼にはふさわしくない」と広瀬の元同僚・長谷部(橋本マナミ)に言われたことが大きいようだ。

 そして、別れる寸前だったのに焼けボックリに火がつき燃え上がり、結局踏みとどまった川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の事実婚カップル。ちひろは同居しだした亮司の前妻との子ども・亮太に歩み寄ろうとするが、亮太は拒絶しているように見え、双方うまくいかない。そんな中、亮司はよきパパになろうとしすぎて亮太を過剰にかわいがり、それがちひろは気に食わない。

 なかなか深刻な環境だと思うのだが、ちひろと明るく喧嘩しつつ、たまにいちゃつく様子は重くなりすぎない。今回も、ぞんざいに扱われるちひろと高橋のバタ臭い演技がマッチ。コメディ時の篠原涼子を彷彿とさせ、ますます仕事を増やしそう。『ラストシンデレラ』(フジテレビ系)で共演してますね。

 ちひろ、奈々、朔の仲良し女子会も恒例化。

 夫婦になり「安心」してしまうことを回避するため事実婚にしたと語るちひろと、それに対し「選択して事実婚なのと、事実婚しか選択できないのは、また違う」という同性カップルの朔。「逆に婚姻届という拘束力のあるものが欲しい」と願うなど、それぞれの価値観を素直にぶつけ合える関係。仲よすぎて、どこか特典映像のアフタートークにすら見えてくる。誰しも、こうなれたらいいのだが。

 小宮山深雪(真飛聖)は、長女・優香(安藤美優)の成績が落ちたことで悲願の私立中学入学に焦りだす。深雪に秘密で友達とダンス練習をする優香と父親・真一郎(野間口徹)は理解し合っており、さきほどの女子会トーク仲間からも浮き立ち、深雪だけがドラマの中で浮いてきている。自分勝手な価値観を押し付けたり、他人の価値観を否定してしまったり、どうしても「加害者」的な見え方になってしまうが、どんどん孤立してしまうことで余計、自分の価値観に必死にすがろうとする様が痛々しく、悲しく見えてくる。価値観に縛られ、もがき苦しむ様に見える深雪と、どう接するべきか? そんな問いを投げかけられているようにも感じる。

 今回、優香と亮太が同じクラスになっていたことも判明。こっそり優香を隠し撮りするなど不審な行動も見せたが、この突然現れた亮太が小宮山家に風穴を開けてくれるのか。朔もそうだが、深雪の価値観をポーンと飛び越えていくような人物と触れ合わせてほしい。すっかり「悪者」な深雪に、ドラマ後期、改心させるとかそんな単純なことではなく、もっと多くの人が感情移入してしまうような作りになってほしいし、時折その気配も感じる。

 今回、琴音が慣れない育児で必死になり、周りを全て敵としてみてしまうような場面があるのだが、深雪も真一郎が単身赴任している中、こうして苦労して必死に育児をしてきたのかと思うと素直に憎めない。

 ちなみに、優香の友人が、ダンスをしていることを亮太が親(深雪)にばらさないように「念のため口止めしときなよ」と優香にけしかけるのが、どこか残酷で笑いました。

■奈々の4度目の人工授精の結果は?

 

 一方、不妊治療のために仕事を調整しているのだが、それが言えないため、ついに理解ありそうだった上司に「やる気ないスタッフ雇ってるほど余裕ないんだよね」とまで言われてしまう奈々。他の同僚が妊娠したため人手が足りないらしく「こういうのってお互い様だから」と、あまりに悲しい言葉まで言われてしまう。他人を理解することの難しさ。自分の立場も言いたいが、いろいろ考えると奈々は言えないし、言わない人だろう。気遣いから我慢したり言えない人が損をしてしまう仕組みをヒリヒリと見せる。同じことを自分は誰かにしてしまっていないか? と考えてしまう。

 足を骨折した母親を見舞うため実家を訪ねるも、結婚や孫を強くせっつかれてしまう広瀬。後輩のふりして付いていった朔は、ゲイであることを告白しないことが親に対し残酷だと言い、広瀬は隠し通すことこそが親孝行だと言う。どちらが正解か、答えはない。どちらの価値観もあることを認識するのが正解なのかもしれない。カミングアウトするかしないかのスタンスで、たびたびぶつかる広瀬と朔だが、今回は親がいない朔の気持ちも影響しているようだ。広瀬の実家に着いた当初、柱に隠れるように所在無げにしていた朔。他人からの見え方にこだわってしまう深雪とは真逆で、しがらみから自由で、身軽で、それが強さにも見えたりもする朔だが、本人はその価値には気づいておらず、すぐ子どものようにヘソを曲げたりもする。代わる代わる他人の側面を見せるドラマだからこそ気づかせてくれる幸せのあり方。幸せの青い鳥の童話じゃないが、隣の芝だけでなく自分の家の芝の青さに気付けたらいいのだが。

 ちょっとしたミスだけで急に母親としての自信をなくし、弱音をぶちまけてしまう琴音。できちゃっただけで「子どもなんて欲しくなんてなかった」と感情だけで口走る琴音に平手打ちを食らわせる聡子。横にいる奈々を思っての行為だ。

「世の中には赤ちゃんが欲しくたってできない人だっているんだよ」「謝んなさい!」と泣きながら、ただならぬ気迫で迫る聡子に思わず「……誰によ?」と聞いてしまう琴音。このシーン、感動したという声も多いし、もちろんその意図はあるのだろうが、同時に少しだけ笑わそうとしている。このバランスが綺麗だし、挑戦的だ。

 あからさまな聡子の態度で、奈々は自分の不妊治療を聡子が知ってることに気づく。

 子どもをせっついたことを謝り「子どもができようができまいが、そんなことどうだっていいの、あんたちが幸せに暮らしてたらそれでいいのよ」と心から奈々に訴える聡子。真っ先に今ある目の前の幸せに気付けたのは聡子なのかもしれない。

 少しずつ、登場人物の悩みの裏側が見えてきたシリーズ中盤。価値観の違う人物と人物が触れ合うことが毎回新鮮に楽しみで、絡んでない人同士をつい考えてしまう。

 ちひろが触れようとすると激怒していたスマホを深夜に握りしめ、事故で急死した母親からの何気ない留守電の声をヘッドホンで繰り返し聴き涙する亮太には、親がそもそもいない朔がきっと寄り添ってくれるだろう。

 そして4回目の人工授精も残念な結果に終わってしまった奈々。大器が不倫? 浮気? のように訪ねた女性は誰なのか? ひやひやしながら次週を待ちたいと思います。
(文=柿田太郎)

 

江口のりこの“黒塗り”インド人メイクは大丈夫? 勝手に心配になるフジテレビ月9『海月姫』

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。視聴率は今回も平昌冬季五輪の女子パシュートや女子カーリングを裏に、5.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや下落。振り返ります。

 

■蔵之介が新聞の一面に

 

 前回ファッションショーの成功後、思わず月海にキスしてしまった蔵之介(瀬戸康史)。翌日、当然意識しまくる月海だが、外国では普通の「挨拶みたいなもん」だとごまかす蔵之介。蔵之介も実は意識しまくりなのだが、ここの進展は一旦保留。

 それはそうと、蔵之介のファッションショーでの告白が「鯉淵元大臣長男 女装男子 告白!」と翌日のスポーツ紙の一面を飾る騒ぎに。天水地区の再開発反対も表明したので、再開発推進を表明していた慶一郎(北大路欣也)の事務所には電話が殺到し、秘書である修(工藤阿須加)は対応に追われる。マスコミに囲まれているので自宅から出るなと慶一郎に言われた蔵之介だが、平然とカメラ前に現れ、前回立ち上げたブランド「ジェリーフィッシュ」のクラゲドレスを着て宣伝する豪胆ぶり。これにより急遽作ったジェリーフィッシュのホームページにも購入依頼が舞い込み、尼~ず全員でのドレス作りが始まる。

 カメラ前では女装は趣味だと語ったが、天水館住民(月海を除く尼~ず)には「女だけど(ベル薔薇の)オスカル的に長男って言ってるだけ」(千絵子)だと思わせてごまかす。原作漫画だと、リアリティよりノリ重視なので気にならないが、ドラマだとごまかしの連続が少々気になる。

 月海との進展が膠着状態だった修だが、2人きりでファミレスで会話するなど、今回は積極的。

 そこで異母兄弟である兄の蔵之介が、幼少のころ、いじめられていた自分を助けてくれた思い出を語る。

 母と別れ「本当は誰よりも寂しいはずなのに」「本当の気持ちはどこにあるのか」「遠慮してないか」と兄の気持ちを慮る修。

 ここで本来の目的であった、蔵之介の母(リナ・若村麻由美)にこっそり頼まれていたクラゲドレスの購入を月海に依頼。リナとの約束で蔵之介には内緒のため「これは僕と月海さんの2人だけの秘密です」と頼むが、その言葉に月海はクラクラ。ああ、三角関係。

 

■江口のり子がインド人に

 

 そんな中、蔵之介は、インドでは単価が安く生地も豊富とのことでインドの縫製会社に勤めるインド人・ニーシャ(江口のりこ)を連れてくる。

「MISIAちゃうで? 歌下手やからな?」と、コテコテの関西ノリに怯える内弁慶の尼~ずたちを前に、オーダーメイドしかない偏ったラインナップや生産管理の重要性を指摘、改善を指示するニーシャ。顔の作り的にまったく(いわゆる)インド人っぽくはないのだが、なんとなく今の江口の勢いでインド人ぽくなっている。インドは人種の坩堝なので南インドにはいそうといえばいそうなのだが、顔を黒く塗っているので、昨年大おおみそかに放送された『ガキ使SP』(日本テレビ系)でエディ・マーフィーをまねた時のように問題にされないか(参照記事)、勝手に心配してしまう。

 それはさておき、ニーシャの指示を受け、立て直しを焦る蔵之介と、もはやいっぱいいっぱいの尼~ずが衝突。

 特にまやや(内田理央)とばんば(松井玲奈)は「服を作ったって、楽しいのはお前と月海だけだ」(まやや)「どうせ作ったって自分らが着れる服なんてないしな」(ばんば)と重症。尼~ずピンチ。

 突っ走ってしまったことを反省する月海に、仲間意識を高めるために決起集会開催などのアドバイスを送る修。やはり今回は一味違う。

「これからは何かあったらすぐに僕に相談してください。泣いたりする前に必ず!」と、もはやプロポーズぎみの修。

 月海は、居場所のなかった自分を受け入れてくれた天水館と尼~ずへの感謝を語りつつ、デモの開催を、まややとばんばに持ちかける。

「機会がないからやってないだけで、機会があればやってみたかったこと1位」だと、デモに食いつくまややと「昭和の国鉄ストライキ並みのデモをやってみたい」というばんばは、コロリと機嫌が回復。デモに挑むため、それぞれ思い思いのコスプレのような衣装を作りだすが、盛り上がる尼~ずを見て、着たい服を作ることの楽しさから何かヒントを見つけたっぽい蔵之介。

 ちなみに、まややは諸葛亮孔明、月海はクラゲと原作通りの格好だが、ばんばは「近畿周遊キンキちゃん」というキャラクター→近江鉄道のゆるキャラ「駅長がちゃこん」、ジジ様は、笠智衆(男はつらいよの時の御前様)→制服姿の海兵隊員と、視聴者にわかりやすく(?)原作からマイナーチェンジ。ばんばの手下のようになっている運転手の花森(要潤)は、時代関係なく変わらず月光仮面でした。

■修の月海への告白

 

 翌日、再開発を目論むグローバル・シティ・クリエイト(デベロッパー稲荷・泉里香のいる会社)の前で再開発反対デモを開始するが、「無許可のデモだ」と警備員らに追っ払われそうになった瞬間、修が先回りして取っていたデモ許可証を持って登場、みごとな王子様ぶり。

 これに対し稲荷は「色ボケしてんじゃないわよ」と嫉妬する乙女ぶり。本格的に参戦して4角関係になって欲しい。

「大丈夫です、何かあっても僕がなんとかします。だから安心して行ってらっしゃい」と送り出し、あげく帰り道では再開発反対派への寄り添う気持ちを語りつつ、「月見さん、好きです」と、ついに修が告白。今回は完全に蔵之介が守りで、修が攻めという構図。

 このまま、蔵之介は自分の気持ちを抑えるのか、それとも……。月海も修への好意を強く自覚しているので、もはや蔵之介の付け入る隙はなさそうだが……。

 そして天水館所有者である千絵子の母親(富山えり子・2役)の前に再度、稲荷が現れるところで6話は終了。

 羽生結弦の追っかけである千絵子の母は、前回、稲荷にオリンピックのチケットをもらって大喜びしていたので、ということは羽生の金メダル獲得時には会場にいたことになる。前回もオリンピック(羽生)ネタを差し込んでいたので、今回も羽生金獲得にちなみ、一部分だけでも話題が熱いうちに何か差し込んで欲しかったと思ってしまいました。ちなみに千絵子の母のおっかけは、原作ではぺ・ヨンジュン、映画ではチャン・グンソク、そしてドラマで羽生結弦と、見事その時代の世相に合わせている。

 今回、再開発にまつわるいざこざと同時に、月海の過去の思い出が語られた。

 幼少時、クラゲに夢中になるあまり、仲間が離れて行ってしまっていた月海の苦い過去。今回もまたか……と思いかけたところに、修のアドバイスや許可証取得の助け舟。トラウマを払拭してくれるほどの修の活躍に、もう2人の仲はこのまま固まってもおかしくないと思うのだが。

 気になるのは、傍若無人で怖いものなしっぽい蔵之介の素顔を、月海が知ったこと。幼少時、実の母と別れて暮らすことになった際に、泣きわめいたり、時々それ以降も一人でこっそり泣いていたという蔵之介の意外な一面を聞いたことで、月海の気持ちはどうなるのか。しかし、蔵之介の弱さや、強がりつつ自分(修)を助けてくれた蔵之介の優しさを、うれしそうに教えてくれたのは当の修で、月海は異母兄弟ながらお互いを思い合う2人の関係を知ったことになる。

 これを踏まえての次回の展開に期待しましょう。
(文=柿田太郎)

フジテレビ『隣の家族は青く見える』4.6%と超低空飛行も、深田恭子の“善き人”ぶりに注目!?

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。

 なかなか子どもができない奈々に、子どもがらみの事件が降りかかる第5話は4.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、さらにダウン。NHKで放送されていた平昌五輪のカーリングが高視聴率だったことが響いた模様。4家庭の現状から振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■また深雪の逆鱗に触れる事件が

 

 人工授精に向けて動き出した大器(松山ケンイチ)と奈々(深田恭子)夫妻。

 急きょ確定する排卵日の前日・前々日に合わせて、採れたて精子を医師に提出することの苦労を語る大器。奈々も、会社に理由を伏せながら3連休を取らねばならぬため、理解ある職場だが、それでも軽く注意されてしまう。確かに「人工授精のために」とは言えないだろう。

 大器は「『今日は精子とってから出勤しまーす』とか『人工授精終わってから出勤しまーす』とか言えるべきなんだよ~」と愚痴るが、それも確かに。妊活に前向きに向き合いだす大器の変化がわかる。後日、奈々は精子の温度が冷えないようタオルでくるみ、大切に運んだが、これらの活動が何ひとつ会社に言えないということが、ある意味一番つらいのかもしれない。

 よい精子をつくるために自転車に乗りすぎない(圧迫が×)とか、膝上ノートパソコンはよくない(精巣の高温×)などの情報も、ためになる。

 ゲイであることをを中傷するヘイトなビラが会社に配られたことをきっかけに、デザイン事務所からの独立を決めた広瀬。あんなの気にすることないと同僚・長谷部(橋本マナミ)は引き止めるが、決意は固い。

 川村亮司(平山浩行)が前妻の子を引き取ることで、出て行くことを決めた、ちひろ(高橋メアリージュン)。引っ越し費用を出すからと謝る亮司の言葉が、ちひろの気分を害する。言ってほしいのはそこじゃない。「すぐに出て行かないで、チャンスあげたのに、何にも言ってこない」と奈々・朔(北村匠海)ら女子トーク仲間にも愚痴っていた。

 だが、自分の責任のため、迂闊なことは言わず罪を被っているつもりの亮司。平行線どころか、別れ間際で、さらに溝が深まってしまう。

「男なんてプライド高い小心者ばっかりだから、リスクあることするわけない」「より戻したいなら女の子から言わなきゃ」と朔からアドバイス。

「違う環境で育った人間同士が心を通わせるなんて、そもそもムリなことしてるんだから、恋愛関係が続くこと自体奇跡」

「めんどくさいことや些細なことを乗り越えて、それでもこの人と! って思えた人と奇跡の山恋愛に登頂できる」

 朔先生のありがたい言葉に耳を傾ける生徒2人。

 深雪(真飛聖)は、奥様らと自宅で優雅にランチ……かと思いきや、まさかの、リア充ぶりを撮影させる有料サービス。

「この度も『リア充代行サービス・ハピネス』をご利用いただきありがとうございました」と、普通言わないであろう丁寧な説明セリフ有り。以前登場した高級バッグもここのレンタル&撮影だったようで、虚栄心が満たされず「いいね」依存が止まらない。

 この席で、他の3家族への愚痴や暴露が止まらない深雪。夫の無職の件などしゃべりすぎで心配なほど……。

 深雪はこのとき、大器と奈々のことを「アライカップル」と揶揄していたが、アライとはLGBTに理解・支援するスタンスのこと。ゲイである広瀬らだけでなく、それを許容する奈々達も気に食わないのだ。

 一方、長女の優香(安藤美優)は、友人の代役でダンス番組のオーディションに参加するが、塾からの連絡でサボったことが深雪にばれてしまう。

 

■娘のために嘘をつく真一郎

 

 深雪は、偶然通りかかった奈々に次女の萌香(古川凛)を預けて、慌てて塾へ。揶揄していたくせに。しかし、子どものできない2人には、これが貴重な擬似体験に。

 帰宅後、何をしていたか本当のことを言えない優香のため、自分が誘い出したと真一郎(野間口徹)が助け舟を出す。真一郎は優香がダンスを練習してるところを偶然見かけ、練習に打ち込む姿に感激していた。

 自分と会っていたというのは、もちろん優香を助けるための嘘だが「こうでもしなきゃ子どもたちとの時間作れないから」と語った気持ちは本物だろう。

 中学受験合格が悲願の深雪と、子どもの気持ちを尊重したい真一郎。出張時代、子どもの面倒を見てきたというプライドから「暇になったからって、急に口出さないでよ」とキレる深雪。言い返せない真一郎だが、どんどん火薬が蓄積されていってるような危険を感じる。

 深雪のキャラは相当嫌われる作りになっているのだが、それでも次女・萌香の無垢な笑顔に癒やされたりするシーンがごく稀にあり、首の皮一枚で救いを持たせている。

 今回は真一郎が優香にダンスを応援する旨をこっそり伝えたり、優香も中学受験について「辞めたらママがっかりするから」と母を想う気持ちを見せるなど、救いを入れている。

 今さらだが野間口の気弱な夫ぶりは見事で、地味ながら「顔」でしっかり芝居を見せ、「お前まで俺をバカにする気か」と、落とした小銭を追いかける哀愁も実にハマっている。

 

■謎の女が動きだす

 

 広瀬の同僚・長谷部が朔の働くバーに、いきなり訪問。朔について調べた調査報告書をチラつかせ「世間知らずのおぼっちゃまかと思ったら結構複雑な生い立ちなのね」といきなりバケの皮を自ら剥ぐ。

 中傷ビラも、広瀬と朔を別れさせるため長谷部がやったことで、「あなたは彼には相応しくない。彼の将来に邪魔になるようなことだけはしないで」と脅す。

 朔も初めは動じなかったが「広瀬くんのとこに転がりこんだ理由も話した?」と言われたとたん、言葉を失う。どんな理由があったのか。帰り際「ご馳走様」と注文した白ワイン代を払わず去るところが、長谷部の性格を表している。

 ちなみに調査報告書によると、朔のバーがあるのは渋谷の松濤で、ドラマの舞台となるコーポは世田谷区上用賀東2-1-4。東という住所はないが、上用賀2-1-4で検索すると、現在休苑中の馬事公苑がヒットする。いいとこ住んでますね。

 

■琴音の出産に立ち会い

 

 大器の妹・琴音(伊藤沙莉)が破水し、出産に立ち会う奈々。実は少し前に自分の人工授精が実らなかったのに、なぜが他人の子ども問題が次々降りかかる。

 緊迫した手術シーンの後、祭りで神輿を担いでいたとのことで、ハッピ姿で慌てて病院に駆けつける両親(春海四方・高畑淳子)と夫(前原滉)がスローモーションなことに爆笑。胎盤早期剥離でやや小さい子ながら無事出産。医師の説明を聞きながら2人目を見つめ合うのが大昔のジャンプの恋愛漫画『キックオフ』みたいで良かったです。

 ここまで肝っ玉母さん一辺倒だった聡子(高畑)も、奈々が不妊治療していたことを知り、自分の無神経さを後悔する。

「小さい頃は、大人になったら誰でもお母さんになれるものだって思ってたけど、実はそうじゃなくて、お腹の中に赤ちゃんが宿ることも、この世界に赤ちゃんが宿ることも、すくすく成長することも、みんな当たり前のように見えてるけど、本当は一つ一つが奇跡」と、ますます子どもが欲しいと強く思えた奈々。

 同時に、うらやむことをやめ「私は妊娠できないだけじゃない、まだ妊娠してないだけだって」と前向きに切り替える。本当に善の人ですね、奈々は。感情を強く出すと変な感じになっちゃうことの多い深キョンですが、こういうマイペースな雰囲気はマッチ。

 そして、決別し出て行く間際、無言で見つめあった瞬間、いきなりおっぱじめる亮司とちひろ。ここまで言えなかった気持ちが、セックスとして爆発。タランティーノの映画みたい。予定を切り上げ不意にやってきた亮太に、下着姿のちひろが見つかってしまうも、普通に挨拶する大人な亮太。

 終わり際まで見所が多く、尻尾まであんの詰まったたい焼きのような回。とりあえず、どうせうまくいくんだろ? と斜に構えながらも、ちひろと亮太の距離がどうなるのかが楽しみでなりません。
(文=柿田太郎)

 

まさかのソウルロケも実らず……平昌五輪の裏で月9『海月姫』視聴率急落の5.3%!

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。女装イケメンの蔵之介(瀬戸康史)と童貞エリート・修(工藤阿須加)の異母兄弟との三角関係が動きだす第5話は視聴率5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。先週7.5%まで上昇したのだが、裏の平昌五輪スケート中継に押されダウン。オリンピック以上に激動だった内容を振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■五輪を意識し韓国ロケ

 

 裏の五輪を意識し、まさかのソウルロケ(「韓国ソウル」の太字テロップ付き)からスタート。本気で天水館を買収に動き出したデベロッパーの稲荷翔子(泉里香)は、天水館のオーナーである千絵子(富山えり子)の母親(そっくりだと思ったら富山の一人二役)に会いに訪韓。羽生結弦のおっかけをしている母親に男子フィギアのプレミアチケットを渡し、がっちりハートを掴む。遊んでますねー。

 父親の慶一郎(北大路欣也)が、自身の議員生活30周年パーティで、再開発賛成派であることを表明すると聞いた蔵之介は、その日に、前回立ち上げたファッションブランド(ジェリーフィッシュ)のショーをすることを天水館の住人(尼~ず)に提案。ブランドで儲けた金で、買収を阻止する狙い。当初、反対していた住人も『蒼天航路』全巻購入(まやや=内田理央)やプラレール購入(ばんば=松井玲奈)に目が眩み従う。

 人形マニアの千絵子の友人である人形ドレス裁縫の達人・ノムさん(安達祐実)も仲間に加わり、ドレス作りは順調に進行。「人形を人間だと思っていて、人間を虫けらだと思っている」安達祐実の年齢不詳ぶりや、地に足ついたオタク演技ぶりが見事。さすが祐実……恐ろしい子。

 ショー間際に裁縫が間に合わなくなった際も、まややの皮膚に直接裁断した布を木工用ボンドで貼り付ける技で乗り切る。これは人形のドレスによく使われる手法だという。さすが、ノムさん。

 蔵之介は、お抱え運転手・花森(要潤)が自分を監視していることを知り、慶一郎を問い詰めるが、慶一郎も自分の妨害をするなと言い返す。「何がしたいかわからぬが、やりたいことがあるならそれ相応の力を持ってからにしなさい」と見下す慶一郎に「オヤジには一生かかってもわかならいよ、俺のやりたいことなんて」と吐き捨てる蔵之介。愛人の子であるがゆえの根の深さ。

 でき上がったショー用のドレスをモデルとなる蔵之介の不在時に、スタイルの良いまややに代理で試着させサイズ調整するが、三国志オタクのまややは「曹操に縊り(くびり)殺された呂布の気持ちが初めてわかったぞー!」と嫌がる。今回特に多かった“まやや語録”を、どれだけの人が正確に聞き取れているのかは謎だし、「三国志監修」的な人がいるのかも謎だ。

 蔵之介のしてることが気になる修。「あの場所を守るためだ」という蔵之介に「お父さんも兄貴のいうことなら聞くと思う」「お父さんが期待してるのは兄貴の方だって僕もそう思っている。政治家に向いているのは兄貴だって」。

 愛人の子どもという出自であったり、兄の奔放さであったり、それぞれにコンプレックスを抱える(異母)兄弟。

 頭でっかちで自由に行動できない修を見越してか、母・容子(床嶋佳子)は「好きなことをすればいいのよ」「お父さんだって蔵之介だって私だって、みんな好きなように生きてるんだから」と声をかける。これが修の行動にどう影響するのか。

 月海のふとした提案から天水館でのショー開催が決定。

 そのモデル体型を見破っていた蔵之介が、まややもモデルとして一緒にショーに出演することを提案するも、まややは頑なに拒絶。部屋に閉じこもって、その理由を語るシーンが悲しい。

「『殺し屋』だ。小・中・高と続いた俺のあだ名だ。だから俺は高一の二学期から目を前髪で隠すようになってそこからは竹ボウキと呼ばれるようになった」

「俺は嫌いなんだ。この目も、ぎょろっとした身体も」

 千絵子は自分は小・中・高とあだ名が「ハム」だったと励ますが、原作では「大山のぶ代」で、それがドラマで使えないことも悲しい。自らに自信のない自分たちが安心して過ごせる天水館を守るためにとの千絵子の励ましが響き、立ち直るまやや。

 普段イカれすぎてるまややが弱音を吐き出すこのシーンは、原作でも筆者は一番と言っていいくらい好きなシーンだが、やはりうざいと思ってた人が弱いところを見せるのはズルい。

■まややが美人に!

 

 そして慶一郎のパーティ当日であり、天水館のショーの当日。蔵之介は何を思ったか父のパーティに自ら参加、なかなかショー会場である天水館に姿を現さない。

 蔵之介の後輩・琴音(最上もが)も手伝いに駆けつけたり、花森にいたってはショーの司会をノリノリでこなし、まややは、来ていない蔵之介の分まで、実は美人の素顔をさらし見事にモデルを務め上げる。

 衣装にジュースをこぼしてしまい、汚れを落とす間に客も帰ってしまい、絶体絶命のピンチ。そこに蔵之介がパーティ客を大勢引き連れ駆けつけるという、ドラゴンボールで最後に悟空が駆けつけるような、あの主役登場感。

 原作では最初から蔵之介は天水館にいるのだが、見せ場を最後に作らねばならないドラマこその改変でしょう。

 女装モードの蔵之介はショーの最中に自分が慶一郎の長男であることを明かし、客の興味を引きつけたところで、自分らのアトリエである天水館を守るため、再開発に反対だと表明。この「発表」を餌に、父のパーティの客を連れてきたのだ。思わず拍手をする修。

 こういった大胆な行動がリナ(慶一郎の愛人で蔵之介の実の母)にそっくりだと慶一郎の前で笑顔で語る妻・容子。容子は修の実の母であり、蔵之介の義母(戸籍上は母?)にあたるのだが、懐がデカい。

 妻にそう言われ思うところがあるのか、慶一郎はこっそりショーを見学。蔵之介の「反対表明」も聞いていたようだ。

 仕事のために修に色仕掛けをしていた稲荷は「兄に変な真似したら僕は許しませんよ?」と修に強く言われ「何よ……」としか言えない。まっすぐな修に真正面から叱られ、もう完全に好きになっちゃってる様子。都合よく稲荷が修に落ちていくのが可愛く見えてしまうのは、筆者が完全に男目線だからでしょうか。

 映画版で稲荷を演じていた片瀬那奈の弾けたバブリーっぷりがあまりにハマっていたので、イマイチ泉里香に物足りなさを感じていたのだが、弱さが混じる演技がいいですね。

 ショー終了後、蔵之介が来なかったらと思うと不安だったとの思いを伝える月海に、思わずキスをする蔵之介。そして、それを目撃してしまう修。月9らしくなってきました。

 そして、イタリア・ミラノでネット配信されていた映像を見ていたリナ(若村麻由美)から修の元に電話がかかってきたところで、今週はお開き。

 今回は恋模様や蔵之介の家庭事情を除くとファッションショーでまややが活躍するのが山場ですが、前髪を上げて美人になるのを逆算して内田理央を配役していたのを、ようやく回収。映画版でも太田莉菜が同じ逆算ありきで配役されてましたが、これはこれでもちろんいいシーンなのですが、結局美人に戻るだけなのが少し残念。せっかくなら「美人」のイメージのないくらいの「殺し屋」や「竹ぼうき」的な役者を、堂々と美人に見せてしまう(感じさせてしまう)くらいの逆算ではない演出パターンも何かで見てみたいものです。

 そして、主題歌ににゃんこスターが参加していることが先週発表され、一瞬なんでだろうと思ったけど、なるほど瀬戸がワタナベエンターテインメントだからなんですね。さすがキッチリ入れ込んできますね。

 ショーも終わり、次回からは2部とも言える後半がスタート。馴染んできたからか、全体にキャスト同士の雰囲気もよくなっている感じがします。さて、次回もオリンピックネタはあるのか? 楽しみです。
(文=柿田太郎)

『隣の家族は青く見える』アウティング上等? “オープンゲイ”北村匠海のキーマンっぷり

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。人工授精をめぐる激論や、広瀬(眞島秀和)がゲイだとバレる第4話は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回の5.9%から横ばい。振り返ります。

 

■人工授精を嫌がる人々

 

 主治医(伊藤かずえ)に人工授精を勧められた奈々(深田恭子)は「すごく人工的なものを想像しちゃうけど、実際には自然妊娠に近い治療法」と前向きに取り組もうとするが、拒否反応を示す人々も。

 夫の大器(松山ケンイチ)は「第3者の手が加わるっていうのがなあ」「理屈ではわかってるけどなんか抵抗ある」と割り切れない。

 職場の商品会議で「世の中、人工的なモノで溢れてるから、天然素材にこだわりたい」と、世に溢れる「自然」信仰「人工」否定論を口にしており、この悪意なき思考が人工授精への拒否反応に根底でつながっているのだろう。

 そして初登場の奈々の実母・春枝(原日出子)。当初は親子仲睦まじい雰囲気だったが、不妊治療、人工授精と聞いた瞬間に顔を歪める。

「子どもは自然に任せるのがいいに決まってる」というだけでなく、話を先に進め、「うちの子は体外授精で生まれましたって人に言える?」「自然に生まれたんじゃないことを理由にいじめられたらどうする?」と詰め寄る。

 偏見だと言い返す奈々に「偏見があるのが世の中ってもんなの」という考え方。実際、ありがちな意見を元にしてるのだろう。

 しかし、終盤「親は自分の子どもが苦しんでる姿を見るのが一番つらい」と不妊の身体に産んだことを詫びる母を見て、意見は違えど実際そうやって自分を想い育ててくれたことを実感し奈々は涙する。

 大器の人工授精に対する抵抗感を取り払ったのは、妹の琴音(伊藤沙莉)。

「自然分娩じゃないと子どもに愛情が湧かないんじゃ?」と夫に言われた琴音は、母乳や自然妊娠にこだわりたくても、それぞれの事情でそうできない人々がいることに触れ、「そういう人たちの気持ち全く考えないで自然自然って言うのも、どうかと思う」と「自然神話に取り憑かれれてる人」を斬る。

 帝王切開にはなんの偏見もないのに、自然妊娠にはこだわってた自分にふと気づく大器。その瞬間、注文してた「オーガニック」ドリンクが届くという皮肉が綺麗。

 

■ゲイを公表すべきか

 

 好意を寄せる同僚・長谷部留美(橋本マナミ)に対し曖昧な態度を続ける広瀬を快く思わない広瀬のパートナー・青木朔(北村匠海)は「女性の好意を利用して自分のセクシュアリティをカモフラージュするなんて、最低の人間のやること」と詰め寄る。

「たった一度の人生なのに自分を偽って生きるのは虚しくない?」

「親が生きているうちはカミングアウトしないことが、せめてもの親孝行だと思ってる」

 ゲイであることをオープンにする朔と、オープンにできない広瀬の対比が今回も軸だ。おそらく広瀬は朔のようになりたいが、そもそもの性格もあるだろうが、親だったり職場だったり、さまざまななしがらみを気にしてそうなれない。だから奔放に振る舞う朔に惹かれてるのか。

「世の中のほとんどの人が、ゲイっていう存在を、自分とはまったく関係のないファンタジーか何かかと思っている」という朔の言葉が我々に突き刺さる。

 前妻との子どもを引き取ることにした川村亮司(平山浩行)は、子どもを作らないと約束してた杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)との同棲を解消することに。子どものベッドや勉強机の購入を笑顔でアドバイスするちひろがけなげだ。幼い子どものために余裕がない亮司を理解しようとはするが、どこかないがしろにされたと感じているちひろ。それでも双方、別れたくない気持ちが垣間見える。

■家の入口にヘイトな貼り紙が

 

 ある日、コーポの入口に「広瀬渉は同性愛者」「ゲイカップルの家」と中傷ビラが貼り付けられる事件が。専業主婦・深雪(真飛聖)は広瀬がゲイである事に嫌悪感を爆発させる。

 コーポ中にゲイであることを知られてしまった広瀬は、大器と奈々に相談。自分が気にしすぎてるだけで、朔のようにオープンにすべきかと思い始めていただけに「一瞬にして現実に引き戻されました」と落ち込む。

「知らないから怖いんじゃないでしょうか? 知ってしまえばなんてないことを知らないからって敬遠するってことあると思うんです」と奈々は言うが、「本音を言えばほっといて欲しいんですよ。別に受け入れてくれなくていいからそっとしといてくれ、と」と、とことん参っている広瀬。

 犯人に怒りつつ「あー気分悪いお風呂入ってくる」と切り替える奈々が、ちょっと面白い。

 しかも広瀬を中傷するビラは、職場にまでばら撒かれており、同僚・長谷部は「みんなも気にしてない」と励ますが、職場の雰囲気はおかしいし、まわり以上に本人がやりきれないだろう。

 家に帰ると、さらに「心の優しいゲイカップルの家です」と貼り紙が。しかしこれだけは「攻撃は最大の防御」が持論の朔がやったもの。オープンにすることで広瀬のように焦燥しきってしまうことから身を守るという朔の考え方はシンプルな分、強い。

 誰にも知られたくないなら近所付き合いのない家に住めばいいのに? という朔の問いに広瀬は言う。

「そんなことしたら本当に自分の世界だけに閉じこもってしまう気がして」

「世間にばれたくないからこそ、世間とつながってなきゃと思ってた」

「矛盾してるけど、それが俺なりのバランスの取り方だった」

 しっかり者に見える広瀬の弱さが暴かれるたびに、いたたまれなくなる。

 

■キレる深雪とキーマン・朔

 

 自分から娘の誕生会をやるからと人を集めておいて、そんな場合じゃないからと、「嘘をついていた」「詐欺にあったのと同じ」と広瀬らを問い詰める会議に切り替える女傑・深雪(真飛聖)。自分以外の住人すべてからその意見を否定されるも「あなたたちには子どもがいないからわからない」と、またしても子どもを盾に。子どもを持ちたくても持てない奈々のことは見えていない。もはや独走の浮き具合で逆に痛々しいほどだ。

 小学生の子どもの教育上よくないから対処(=出てけ)という深雪と、それに抗わず自分のような性的少数派はひっそり暮らすべきだと謝る広瀬。ここで奈々が立ち上がる。

「みんな同じ人間なのに、堂々と暮らせる人間とそうでない人がいるなんておかしい」

「人は誰だって自分が望む幸せを手に入れようとする権利があるはず」

 すっごく正論だし、すっごく同意なのだが、なぜだろう、この深キョンに必死に球を集めてシュートさせてる感じが少々気になる。テトリスの赤い棒を譲ってる感じ。主役だから仕方ないのかもしれないが、無理に演説みたい言っちゃうシステムにせず、自然解決するのも見てみたい。

 ここで、奈々に感動した朔が、「奈々に抱きついたら大器が発狂しちゃうから」との独自の理由で大器をハグするという珍行動。これに、全員笑ってしまい、ぎゅっと距離が縮まる(深雪以外)。退去間際なのに「だんだん、ここの人たち好きになってきちゃった」と、ちひろに思わせるなんて、やはり朔はキーマンだ。都合いい展開だが、朔の力で深雪を溶かしてあげてほしい。

 翌朝、奈々が図書館で借りてきていた人工授精に関する本やネットなどで勉強した大器はまとめた資料を、奈々の母・春枝に手渡す。自分も反対だったが、調べてみたと。

 奈々がやってることは不幸になるためじゃなく、幸せになるためにやっていることだと知ってほしいと。大器が夜通し勉強していたことを知り、沁み入る奈々。

 次回、人工授精に挑むのか? そして最初のビラの犯人は?

 話の合わなそうな人物同士がだんだん交わる感じが心地よく、くせになる展開。そして今回も大器の母を演じる高畑淳子の演技が見事。失礼ながら、こんなに目で笑わせられる方なんですね。高畑淳子主演のド・コメディが見たいです。次週も期待してます。
(文=柿田太郎)

低空飛行続くフジテレビ月9『海月姫』芳根京子の「覚醒」と脇役たちの“味”がいい!

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描くラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。第4話は視聴率7.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と1.6ポイントの上昇! 振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■ドラマ始まって以来の重い空気

 

 千絵子(富山えり子)やジジ(木南晴夏)に男では疑われる蔵之介(瀬戸康史)。しかし、男子が欲しかった政治家の家系の方針で、鯉淵家内では「蔵之介」という男として扱われており、本当は「蔵子」という女であるという、ヤケクソな言い逃れを試みる。これに千絵子は「あの子はね、ベルばらのオスカルだったのよ」と涙ながらに信じ込み、危機一髪のピンチを乗り切る。

 その疑惑の説明を受ける際、蔵之介が千絵子らに北京ダックをご馳走したと知ったまやや(内田理央)とばんば(松井玲奈)は、蔵之介に連絡しにかかる。

 クラブ(チャラい方)に遊びにきている女装した蔵之介の元に、北京ダックに目が眩んだまやや・ばんばと巻き添えを食らった月海が到着。

 バタフライというクラブ名を蝶々マニアの集いだと思って駆けつけたが、蔵之介のオシャレな後輩ら(クリエイティブ臭のする社会人)に見た目を笑われ、固まってしまう場違いクラブの3オタク。

 蔵之介は3人のことを「友達」だと庇い、クラブを出てご馳走を食べに行こうと誘うも、ばんばもまややも強く拒絶して帰宅。月海も従う。

「私たちとは住む世界が違う。あの人たちはあっち側の人間なんだから」と考えながら、手の甲に付いたクラブの入場スタンプを洗う月海。ばんば・まややが拒絶したのも、そこなのだろう。

 そんな中、蔵之介の後輩・桐山琴音(最上もが)が、今度プロデュースをするミュージックビデオの衣装にクラゲドレスを使いたいと申し出、他のダンサーの衣装も天水館の住人(尼~ず)で作ることに。もちろん毎度のごとく蔵之介が決めたことで、それで買収されそうな天水館を救おうという狙い。

 しかし、クラブでの件があるからかばんばとまややは拒絶。

「お前が来てから天水館の生活が壊れた」「早くあっちの世界に帰れ」と蔵之介を追い出しにかかるばんば。ドラマ始まって以来、初めての重い空気。

 

■稲荷が本気で修を好きに?

 

 一方、蔵之介の父で議員の鯉淵慶一郎(北大路欣也)は、出世のため天水地区再開発を進めたい考えで、息子で秘書の修(蔵之介の弟・工藤阿須加)に色仕掛け丸出しのデベロッパー・稲荷翔子(泉里香)と繋がることを暗に提案する。月海を想い、悩む修。

 前回、稲荷との誤解を解こうと修が天水館にやってきたが、そのとき修に会わなかった心情を語る月海。

「悲しいことや嫌なことがあったときは、心の中にある小さな箱に閉じ込めて(中略)ガムテープでぐるぐるに巻いてして二度と開かないようにしてしまえば、それは忘れたのと同じ」

 修への誤解を解くため、2人で会う機会をセッティングする蔵之介。今のところ完全に弟の恋をサポートする体制だ。

 しかし、稲荷は電話で自殺をほのめかし修をテンパらせ誘導、簡単に引っかかり月海との待ち合わせをすっぽかす修。女性に免疫がないが故の悲劇。

 修が駆けつけるや否やドッキリだとチャラけて種明かしをする稲荷。その瞬間、本気で心配した修のビンタが炸裂。

「バカヤロー!」これにより稲荷が本気で修を好きになりだすという例の展開。

 

■ばんばさんが男前

 

 蔵子(蔵之介)のいない尼~ずだけの天水館の食卓は、どこか元気がない。

 特に、蔵子にきつく当たったばんばは元気がなかったが、夜が明けると一心不乱にドレスのデザインをするばんばの姿が。

「蔵子を呼べ!」

 この時のばんばは、かなり男前。しかしドレスは新幹線を模した鉄オタでも着なそうな鉄オタ風味。ドラマ開始以来初めてばんばの男前な人物像が掘り下げられ、もっとこういうのがあってもいいのにと感じました。

 ばんばのデザインは採用されなかったが、前向きなばんばをきっかけに月海が「覚醒」、クラゲデザインを量産、なんとか2日で10着完成させる。ハサミを居合抜きのように振り回し立ち回る月海の姿がイカす。

 ここで初めて自分が愛人の子で、修とは異母兄弟であることなどが蔵之介から月海に語られる。ドレスに惹かれるのも、母親が舞台女優だったかららしい。

 養育費を払うのではなく、蔵之介を引き取ったのは代々政治家だから男はいくらでも欲しかったかららしい。設定変更の説明に聞こえなくもないが、もやもやをスッキリさせる。

「でも俺は母さんの近くに居たかった」

 もし自分が女だったら、母親の近くにいられたこと、母親の残したアクセサリー等があったことなどから女物の服に興味を持ったのではと、蔵之介は自己分析。母親は今現在どこにいるのかもわからないという。

 高級焼肉に連れていくと騙して、前回のように尼~ず全員をドレスアップさせ、琴音のMV撮影現場に連れていく蔵之介。場違いだと帰りたがる月海らに蔵之介は言う。

「前に言ったよね? オシャレは強く生きるための武器だって」

「今のみんなは武器を手にしてるんだから大丈夫」

「その証拠に、琴音が月海たちを見ても、前に会った人たちだって気付かなかったでしょ?」

 このたびたび出てくる「オシャレ=武器」理論。わかるようなわからないような……素直に納得したくないような部分もある。これは言ってる作家を受け入れられるかどうかという問題になってくるのだろうか。

 今回のMVに使用したドレス11着を元にブランドを立ち上げるという。ブランド名はジェリーフィッシュ(クラゲ)。

 

■三角関係がよりくっきりと

 

 自分のような人間と一緒にいて恥ずかしくないのか? といつまでも卑屈な月海に「俺が月海を変身させてるのは、普段の月海が恥ずかしいって思ってるからじゃない! 月海が本当はかわいい女の子だって思ってるからだろ?」と本音を言ってしまってから照れる蔵之介。

 そういえば、修に待ち合わせをすっぽかされた月海を迎えに来た蔵之介は、涙を我慢し、明るく努める月海をまっすぐに見つめていた。この「告白」で、月海は初めて蔵之介を意識しだし、蔵之介もドキドキしだし、いびつな三角関係がより明確に。

 これは、映画『恋しくて』(1987年)や漫画『タッチ』(小学館)など、恋に不器用な友人(兄弟)のためにいろいろレクチャーしたり譲ったりするが、影武者なり裏方のつもりだった自分の気持ちがどんどん大きくなって世話を焼くほどに苦しむという、距離の近い者同士がいる三角関係の王道パターンで、筆者はこの感じが好みなので、とことん苦しむのを期待したい。

 その頃、天水地区再開発を進めたい慶一郎は稲荷と会食の場に騙し打ちで修を同席させ、修が買収用地に住む月海に恋していることに触れる。

「政治に個人的な感情を持ち込まれては困る」「その通りだと思います」とシンクロする古狸と女狐。むしろ「個人的な感情に政治を持ち込んでる」だけなのだが、真面目な修はどうするのか。

 最後は、重機で天水館が取り壊されるような煽り方で来週へ。

 今回はギャグ的なパートよりシリアスな部分が多く、やや新鮮な回。ようやく話が繋がってきた感じなので、ここから物語的には見やすくなるのではないでしょうか?

 あと、このドラマは尼~ずキャストのなりきりぶりの評判が悪くないのだが、他の脇役がいい味を出している。鯉淵家の運転手・花森役の要潤は律儀なギャップある壊れ方が似合ってるし、稲荷の同僚の佐々木公平役の安井順平(元アクシャン)は「あれはあれで」人を食ったいい味を出している。

 次回はさらに新キャラも登場するし、彼らにも今回のばんばのようないい見せ場が今後あることを期待しつつ、来週へ。
(文=柿田太郎)

 

「だったら、馬鹿のほうがいい──」フジテレビ『隣の家族は青く見える』深田恭子の“汚顔”が美しい

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組それぞれの「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。

 第3話は、ゲイカップルであることを隠していた広瀬渉(眞島秀和)と青木朔(さく・北村匠海)が中庭でキスしてるところを五十嵐奈々(深田恭子)に見られてしまった続きからスタート。

(前回のレビューはこちらから)

 

■ゲイだと打ち明ける朔

 

「親戚間のスキンシップ」だと、動揺しまくりでごまかす広瀬と「何それ、かえって気持ちわるいよ」と笑顔で動じない朔のスタンスの違いがクッキリ。

 奈々は「大丈夫です」と理解を示して立ち去るが、「何が大丈夫なの? ねえ?」と朔にすがる広瀬。ダンディだったのに、朔の前ではペース乱されまくりで取り乱す広瀬が可愛く見えてくるのがニクい。

 次の日、ゲイであることを公言していない立場の広瀬(クローゼットというらしい)のために、秘密にしてほしいと奈々に頼む朔。広瀬を振り回しながらも、しっかり想っているのが伝わる。

 朔に嫉妬してないフリして、すごく嫉妬してくる夫・大器(松山ケンイチ)をニヤニヤ見つめる奈々。さぞ大器を可愛く思ったことだろう。

 そんな奈々は、不妊治療でクロミッドと呼ばれる排卵誘発剤を飲むことに。妊娠の確率が上がるというが、これがある意味、今回のドラマを引き起こす。

 不妊治療の出費がかさむこと、去年から都が助成金を出していること、しかし年齢制限(妻が35歳未満)で、奈々たちがぎりぎり受給できないことなどリアルな情報(夫婦の所得合算730万未満なども)も、さりげなく盛り込む。深キョンがあまりに昔ながらの見た目なのでピンとこなかったけど(褒めてます)。

 

■イラつく奈々

 

 一足先に妊娠している大器の妹・琴音(伊藤沙莉)が、胎動があったと実家で騒動になっているのを、いつものように少しだけ傷つきながら、それでも笑顔を保つ奈々。琴音の実母・聡子(高畑淳子)の親バカぶりや、奈々の不妊への開けっぴろげな接し方など、一世代前の肝っ玉母さんぶりが見事。

 ここまで他に比べるとおしどり的な五十嵐夫妻だったが、薬の副作用なのか、奈々は少しイライラしてしまうとの自覚が。主治医(伊藤かずえ)に「妊活はできるだけリラックスして行うことが大切」だと言われ、夫もそう感じている可能性があるから話し合うようにと勧められる。費用の件もそうだが、不妊治療にのしかかる現実を細かく描き、経験者からの共感の声も多いようだ。

■「子ども」で揉める川村家と小宮山家

 

 川村亮司(平山浩行)は、急死した前妻との間にいる10歳の子ども(亮太・和田庵)を引き取ろうと考えていると現在のパートナー・杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)に告げる。前回亮太と一緒にいるのを目撃して不信感を募らせていたちひろは素直に受け入れられない。

 伝えるのが遅くなったこと詫びつつ「亮太を引き取ってこの家で暮らしたい」という亮司。

「もしちひろが嫌なら……」

「嫌なら何? 引き取るのやめる? それとも私と別れる?」

 気持ちをぶつけるちひろに「父親としての責任」として「引き取らないという選択肢はない」と言い切るが「婚約者としての責任は?」と問うちひろ。2人は子どもを持たないことを条件に婚約したのだが「事情が変わったんだ。本当にすまない」と亮司に言い切られてしまう。

 後日、式場の解約や自分が引っ越すことなどを気丈にも笑顔(のフリ)で伝えるちひろ。そんなちひろに何も声をかけられない亮司。

 小宮山家の長女・優香(安藤美優)は厳しい母親・深雪(真飛聖)に内緒で友人とダンスに励んでいるが、帰りが遅くなり激昂される。本当は今度あるダンスのオーデションに参加したいらしいのだが、それも言えず従うしかできない。

 この日は求職中で時間を潰す父・真一郎(野間口徹)と図書館付近でニアミスしかけたし、広瀬や朔と話したそうな雰囲気も時折見せており、それを嫌がる深雪と今後何かありそうだ。

 今回もイライラが止まらない深雪だが次女の萌香(古川凛)の無垢な笑顔に救われた顔も見せる。

 

■ついに妊娠か?

 

 そんな中、仕事帰りの奈々が自宅前で倒れる。たまたま通りかかった朔が五十嵐家に運び介抱するが、そこへ帰宅した大器は、いきなり激怒。奈々は大したことなかったが、いくら事情を説明しても信じない大器に朔は全告白する。

「俺ゲイなんです」「女の人に興味ないんです」「広瀬渉の恋人なんです」

 落ち着いた後、深々と謝る大器。照れ隠しなのか「彼イケメンだから……」と言い訳するも「私、そんな面食いじゃないからね!」と奈々に言われ、言葉を失う大器。それを茶化しつつ大器とも打ち解ける朔。

 基礎体温の高温期が続き、生理も来ていないため、妊娠の可能性で活気づく大器と奈々。妊娠検査薬を買いに行った際に、うまい具合に義母・聡子に出くわしごまかすものの、しっかり見破る聡子。

 奈々の妊娠を喜び、我を忘れるほど大喜びする高畑のドタバタ芝居が本当に素晴らしく、女優としての底力を感じる。しっかり者でクレバーな次女役の伊藤沙莉との相性も実によく、この2人の「親子漫才」だけ15分ほど見ていたくなるほど。

 亮司ともめて家を飛び出した際に植木鉢を割ってしまったお詫びに、奈々を訪ねてきたちひろ。奈々はちひろを初めて家に招く。うっかり卓上に置きっ放しにしていた検査薬を見られてしまい、それきっかけで不妊治療をしていることを打ち明ける。検査薬使用前に生理がきて「リセット」してしまったことも、ここで語られた。

 少し他の家庭と距離を取っていたちひろだが、打ち明ける奈々に心許すように自分たちが別れることになったことを語りだす。

 子どもを引き取ることは「不可抗力」だとしながらも「私を説得するわけでもなく、あっさり結婚を諦めちゃったのがショックでさ」と本音を吐き「まあその程度の女だったってことだよ」と強がり笑う。

「そこまで愛されてなかった」から説得されなかったんだと納得しようとするちひろだが、奈々に言われた「愛してるからじゃないかな」「好きな人に無理させることほど辛いことってないと思うから」という言葉が沁みる。

■「だったら馬鹿の方がいい」

 

 翌日、落ち込む奈々の気持ちを汲んでか、気分転換に外へ連れ出す大器。富士山麓にある、胎内に見立てた洞窟や御胎内神社で安産祈願をし、うまくいかなくても目の前にある幸せを前向きに楽しむその2人の姿は、不妊だけでなく多くの価値観にとらわれる人々に何かを伝えるはずだ。

 その日の夕食時、大器作のお好み焼きを食べながらリラックスした奈々が打ち明けたのは、大器の妹・琴音の妊娠発覚時、実は喜んであげられなかったという本音。「不妊治療をしだしてから嫌な人間になってそうで辛い」と言う奈々を励ます大器。

 自分はいくら苦労しても妊娠できないのに、いきなりできちゃった他人(身内ではあるが)の妊娠。

「それで喜んでたら、お人好し通りこして馬鹿だよ?」

「だったら馬鹿のほうがいい」

 汚い泣き顔で言う奈々が綺麗でした。

 直後のセリフ「5枚焼くからね、絶対食べてよ?」は、おそらく松ケンのアドリブ。現場でもムードを作ってそうな彼に対する安心感があるから、深キョンはいい芝居ができたのではないかなと勝手に思ってます。

 あと、ソースとマヨネーズをすごい勢いでお好み焼きに噴射する手際のよさが尋常ではなく「何かやってたのか?」と途中から気になってしまい、その後、集中できなかったことを記しておきます。

 今回は、朔と大器とか、奈々とちひろとか、登場人物が今までより深く触れ合うことで、解決までいかなくても見えていなかった価値を感じたり見つめ直すシーンが印象的でした。来週は奈々の母が来て一悶着あるみたいで、そちらも楽しみです。
(文=柿田太郎)

視聴率は5.9%……『海月姫』謎の“童貞いじり”激増は「はあちゅう騒動」への忖度?

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く月9のラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。第3話の視聴率は5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。ここまできたら、もはや数字は関係ない。トレンドにはよく名前が上がっているのだが……。

 前回の第2話では、天水館に出入りし出した女装美男子・蔵之介(瀬戸康史)と、その弟で政治家秘書の修(工藤阿須加)が異母兄弟であること、蔵之介は、父親で議員の鯉淵慶一郎(北大路欣也)と愛人・リナの間に出来た子であること、しかも、そのリナと慶一郎との情事を見かけてしまったために修は女性が苦手となってしまったことなどが判明した(慶一郎いわくBまでらしい)。

 やり手デベロッパー・稲荷翔子(泉里香)は色仕掛けで修に強引に近づくが、月海は、まんまと修と稲荷がデキていると勘違いしショックを受ける。

 そんな中、稲荷の進める再開発事業から天水館を守るため、蔵之介はクラゲをモチーフとしたドレスを作って売ろうと月見に提案した。

 それに続く今回は、原作にも映画にもアニメにもないドラマオリジナルパートがとても多かった。軸は2つ。ドレス作りと、月海・修のデートだ。振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■修を利用し合う父親と地上げ女

 稲荷という女性が修の忘れ物(メガネ)を届けに来たことに疑問を持った父・慶一郎は、お抱え運転手・花森(要潤)に問うが、何も知らないという。しかし「こないだ言ってたレクサスのホイール買ってもいいぞ?」と言われ、すかさず修が朝帰りした情報を売り渡すレクサス大好きな花森(原作ではベンツ好きだがスポンサーがトヨタのため)。

 その女性のことを調べるように言われて、また断るが、「新しいレクサス買ってやるぞ」という殺し文句に、すかさず事情通らしき相手(すぎもっちゃん)に電話をかけるレクサス大好きで薄情者の花森。原作では、「運転手であると同時に修の幼馴染みであるため修に対してスパイのような真似はできない」と断るのだが(すぐ寝返るが)、ドラマでは「子どもの頃から修を見守ってきたのでスパイのような真似はできない」という理由に変更されている。

 結局「実年齢のバランスを踏まえ、原作の設定とは違い、修が1歳下の弟という設定」に変更したシワ寄せだろう。この年齢設定も伝わってるとは言いがたく、正確な理由を知ってなお、原作のまま兄・修、弟・蔵之介でいけたのではないかと思ってしまう。しつこくてすみません。

 とにかく「修が童貞を捨てられて本当によかった」と勘違いしている慶一郎。

 再開発に対する地域住民の「反対」の声が大きくなったら、稲荷を利用してその住民らを押さえつけることもできると画策。修もそれを利用して稲荷に近づいたんだな? と買いかぶる親バカぶり。

 現に、天水商店街を中心に反対の声が上がり出しているらしいのだが、稲荷は稲荷で、「鯉淵Jr.(修)を動かして私の意のままに扱えれば、その上の鯉淵慶一郎を動かせる」。

 結局、修を介して双方が双方を利用しようとしている。古狸と女狐の騙し合い。

■ドラマ、オリジナルのシーン

 一方、修はそんなことはつゆ知らず、蔵之介に月海にまた会いたいと打ち明ける。このシーンは、修が、いかにも弟然としていて、また蔵之介は、いかにもお兄ちゃん然としていて、これはこれでいいシーンだった。

 デートすることを蔵之介に勝手に決められテンパる月海の演技も面白く、オタク演技に慣れてきたのか適度に力が抜け、回を追うごとにナチュラルなコメディエンヌぶり。次はもう少し自然に演じられる役を見てみたい。

 かわいい弟のため、そして月海のため、メイクやスタイリングを(強引に)請け負う蔵之介。このデートのくだり全て原作にないオリジナルだ。

 デートなぞ初めての月海に蔵之介がさずけた秘策は2つ。

 1つはメガネ禁止。視界がぼやけて至近距離でも緊張しないからという理屈。

 もう1つは「そうですね」。「会話に困った時の魔法の言葉」で「とりあえず相手に同意しておけば悪くは思われない」ということらしい。

 案の定、緊張して何を話していいかわからない月海は『いいとも!』の観客のように「そうですね」を連発する。

「お昼は食べましたか?」→「そうですね」

「この後近くのお店を予約したんですが事前にお伝えすればよかったですね」→「そうですね」

「段取り悪いですよね」→「そうですね」

 結果、修が落ち込むというコント。

 結局ご飯を食べに行くが、視力を奪われたままの月海はグラスを割ってしまい、そこで思わずメガネをかけてしまう。

 しかし、驚いたのは修の方。そのメガネ込みの顔を見て、月海と何度か会っていたこと、そして「気色悪い」と言ってしまったことに気づく。

「ごめんなさい、僕今まで大変失礼なことを……いえ……なんでもありません」

 修は謝りかけるが、自分のしでかしたことの重さに気づき、具体的に謝罪できず、月海には何も伝わらない。双方のマンツーマン初デートは気まずいまま尻すぼみでお開きとなった。月海はその気まずさを、自分が嫌われたからだと思い込む。

■月海のセンスが爆発

 恋模様と並行して、ドレス作りも進行する。月海の書いたハナガサクラゲのイラストを見て、それをドレスに見立て興奮する蔵之介。

「俺こんなドレスあったら何十万しようと絶対買う」

 それに対し「ハナガサクラゲは非常にデリケートな生き物だから、飼うのは不可能であります」とオヤジのような勘違いをする海月バカ一代の月海。

 蔵之介はひと巻き丸ごと買ったという布の上に半裸で寝そべり、月海に裁断させる。男なのにお構いなしに部屋に上がりこみ、月海のためにあれこれ尽力する。

 千絵子(富山えり子)のミシンの技術を借りて完成したのは、布の素材がしょぼいため実に安っぽいスカート。しかし、ここで月海のセンスがどんどん開眼。スカートを縦に割き、縫い目を生かしておしゃれに仕立て直していく。

 蔵之介は、ジジ(木南晴夏)をそそのかし千絵子とともに、修に嫌われてると思い込み鯉淵家に近づきたがらない月海を強制的に自宅へ拉致。蔵之介の部屋でさらに作業を進める。

 そこでは、さらに月海のセンスが爆発。真珠のネックレスを引きちぎり、その真珠を裾から垂らして真珠の触手として装着。蔵之介はその出来に目を丸くする。

 ネックレスはウン百マンする(母の形見だろう)らしいのだが、蔵之介は意に介さない。

「こんな素晴らしいドレスに化けるならあの人もきっと喜ぶだろう」

 この辺は原作通りなのだが、そもそも、これを天水館の資金にしたら? とも思ってしまう。

 この後、ジジは鯉淵パパと対面し、枯れ専として萌える~という展開なのだが、北大路欣也はどう見ても「枯れ」てなく、ジジが萌えるにはアクが強すぎる。

 ジジは老けてれば誰でもいいわけではないはずなので、こだわりのある人(枯れ専がオタクなのかわからないが)を描くなら、こういうところはちゃんとしないといけないのでは? と思ってしまう。

 しかし原作でも「オタク」という意味で「腐女子」という言葉をずっと誤って使っていたので、どっちもどっちか。

 ここで問題が勃発。

「息子のお友達だね、いらっしゃい」

「蔵之介のことだからお茶もだしてないんだろうな」

「ん? 息子?」

「ん? クラノスケ?」

 慶一郎の発言から蔵之介が男だということが千絵子(とジジ)にばれてしまう。後日、蔵之介は千絵子に、今後一切天水館への出入りを禁止されてしまう。

■稲荷 vs 月海

 ぐいぐいくる稲荷を断るため「好意を寄せている女性がいます。ですからあなたと今後このように2人で会うことはできません」とはっきり告げる修。

 それを聞き諦めると言いながらも、「これからは修さんの恋を応援します。乙女心のことは私に何でも聞いてください」と、修の懐に入り込む稲荷。当然うわ手だ。

 ここで修に電話が。

「あ、すぎもっちゃん? 今、修さんが『トゥギャザー』してるのって開発屋の『ちゃんねー』の方だよね?」

「旦那様に報告してんだけど『巻き』がすごくて、『ケツカッチン』なのよ? 悪いけど『巻き巻き』でお願いできる?」

 修の女事情をスパイしてる花森が、協力者(すぎもっちゃん)にかけるつもりでうっかり修に電話をかけてしまったことで、慶一郎の指示で尾行されていることなどが修にばれてしまう。やってることはエグイのに、口調がルー大柴だからか、どこか憎めない。得な人柄だ。

 すぐさま花森と合流し、事情を問い詰める修。

 おかしいのは、その一番聞かれたくない内容を、稲荷のいる車中で全て話してる点だ。修と花森、どちらも聞かれたくない内容のはずなのに、全部筒抜けで話し合う。

「私とのこと言っちゃたんですか?」と慶一郎と繋がりたい稲荷はうれしそう。

 しかもその時、ドレス作りをひと段落させ、夜道を歩く蔵之介・月海と偶然出くわしてしまう。この4人で話すのは初めてだ。

「この地上げ屋(稲荷)とどこ行ってたんだ?」と噛み付く蔵之介。

「ホテルのバーでお酒飲んでいただけよ、ねー修?」としなだれかかる花森。

「稲荷さん、先ほど話した(好意を寄せている)女性がこの方です」と月海を認識させる修。

 なぜここまで稲荷を信用してしまっているのかが、今回一番の謎。いろいろ大人の都合でこねくり回されたあげく、修のキャラだけが異様に割りを食っている気がする。

 すかさず稲荷は「私、修さんとかこういう関係なの」と先日催眠術で修を昏睡させて撮ったベッドインしている自撮り写真を月海に見せる。「おわおおお!!」と、のけぞる月海。そりゃそうだ。

「さっき修さんから話聞いたんだけど、あんたのことずっと気持ち悪いオタクだって思ってたんだってえ、化粧と服装で騙されて、自分で誘ったのが気色悪いあんただって気付かなかったんだってえ(笑)」

「修がそんなこと言うわけない」と蔵之介はフォローするが、月海の耳には入らない。

 この展開のために、修が普段の月海を初めて見たとき「気色悪い」と発言(第1話)をさせたのだろうが、本人を前に「気色悪い」発言をしてるのは事実なので、稲荷だけが悪いとも言えなくなってしまわないだろうか?

 もちろん悪意を過剰に追加してるのは稲荷だが、あそこで簡単に「気色悪い」と口走るような人間に修を仕立ててしまうのは安易すぎなかったか。ちょっとした展開の都合のために主要キャストの人格の根底を貶めるような手の入れ方には、改めて疑問を感じる。どんなにドンくさくても、修の好感は何よりも保たないといけないと思うのだが。

 稲荷の口撃に思わず逃げ出す月海。蔵之介は追いかけるが、修は立ち尽くしたまま。

「これだけはハッキリ言わせていただく。僕はあなたと心まで結んだ覚えはありません」

 いや、そういうのいいから月海を追っかけてないの?

「あなたが自分でも気づいてないこと教えてあげましょうか? あなたみたいな男はね、本当は私みたいな女に振り回されるのが好きなの。本当に私のことが嫌なら、いちいち構わなきゃいいじゃない?」後半はその通りだと思います。

「心の奥底で、もう一度私とセックスしたいって思ってるからよ(ハート)」

 フラフラになりながら立ち去る修を見て「あれ、童貞っすね」と肉まんを齧りながら呟く稲荷の下僕・佐々木(安井順平)がいい。

 一方、天水館に戻った月海は、決して部屋から顔を出さない売れっ子漫画家の目白先生に「嫌なことを忘れて眠りたいときはどうすればよいでしょうか?」と筆談で尋ねて、一言「酒」と答えをもらう。

■鯉淵家と天水館が断絶?

 帰宅後、「メガネをかけた女性が月海さんだと気づけなかったのは事実だ」「正直わからないでいる、僕が好きだと思った女性は、綺麗に着飾った月海さんだったのかな」と月海の元に行くことを拒否する修。気持ち悪いと言ったことは否定しているが、それは稲荷の前で月海の陰口を言っていないという意味だろう。少しわかり難い。

「もういい。これ以上月海傷つけるな」と呆れる蔵之介。

 屋台で酔い潰れていた月海をお姫様だっこで抱えて帰る女装姿の蔵之介がシュール。亡き母親に抱っこされてたことを思い出し、「お母さん」と寝言を呟く月海を見つめる蔵之介。

 蔵之介が男だと知った天水館の住人(尼~ず)は、月海を励ましつつ鯉淵家の人間と関わるなと言い放つ。もちろん月海は知ってたのだけど。

 しかもこのタイミングで修が意を決して月海を訪問してくる。つくづく間の悪いやつだが、それは修の良さでもある。

「月海さん、僕はあなたのことを水族館で抱きしめるまで、女性に触れたことはありませんでした」

「なぜあんな行為をしたのか、それは決してあなたのことが可愛かったからだけじゃないんです」

 玄関より中に入れてもらえず、ばんば(松井玲奈)とまやや(内田理央)に押さえられつつ叫び続ける修。こんなこと隣人の前で叫ばれたら絶対嫌だな~と思うが、このやけくそ具合は確かに童貞だ。はあちゅうにいじって欲しい。

「あなたのことを抱きしめたのは、あなたのことを守りたいと思ったからです」

「もう一度僕と会ってください! 月海さん!!」

 ここで来週へ続く。

 原作から映画やアニメでも童貞いじりはずっとあったのだが、このドラマではなかなか「童貞」というワードが出なくて、「女性が苦手」みたいに濁していたので、何かコンプライアンス的なものなのか、それこそ、はあちゅう案件がらみで自粛したのかと思っていたが、3話にして思いっきりいじられていた。ネットの予告動画でも「童貞童貞」言ってたから、なんだろうとは思っていたのだけど、もしかしたら、世の情勢を見回して今頃ゴーサインが出たのだろうか? 考えすぎかもしれないが謎だ。

 3話目にして役者のクセのある芝居は安定してきたが、細かい心理がいまいちよくわからない部分が多い。特に修は大事なキャラクターなので、ぜひ愛される人物に育ててあげて欲しい。そして視聴率などこの際気にせず、吹っ切って突き進んでいただきたい。中盤以降どう展開させるのか、どこをゴールにするのか、次回の放送を待ちたい。
(文=柿田太郎)

『隣の家族は青く見える』主役・深田恭子が「損してる」!? ミスチルかけて「はい感動」では……

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組それぞれの「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)の第2話が放送された。視聴率は第1話の7.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)から6.2%と、ややダウン。評判は悪くないようなのだが、厳しい数字に。

 深田恭子・松山ケンイチが主演ではあるが、群像劇の面が強く、第1話では一見うまくいってそうな4組の「家族」にある、それぞれの不満や悩みの種が紹介された。早くも大きく衝突してしまった第2話を振り返ります。

(前回のレビューはこちらから)

 

■メインの4組をおさらい

 

・五十嵐大器(松山ケンイチ)と五十嵐奈々(深田恭子)の新婚夫妻。不妊症が発覚、不妊治療を開始しだす。

・川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の結婚を控えたおしゃれカップル。子どもは絶対いらないと断言するちひろに対し、前妻が急死し、妻の元にいる実子を案じだす川村。

・小宮山真一郎(野間口徹)と小宮山深雪(真飛聖)と子ども2人からなる、一番わかりやすい家族。深雪は、ちひろのブランド品を妬んだり、自分の価値観(女は子どもを持つのが幸せ)を押し付けがち。求職中の真一郎を恥じてひた隠しにし、真一郎もその扱いに抗えないでいる。

・広瀬渉(眞島秀和)青木朔(さく・北村匠海)の男性同士のカップル。広瀬のもとに奔放な朔が押しかけてきて同棲開始。その関係は周囲に公言していない。

 

■広がる火種

 

 生活が進むにつれ、集合住宅内ではいろいろ火種が広がりつつある。

 今回も先陣を切ってかき混ぜだすのは、詮索好きの専業主婦・小宮山深雪。おすそ分けをしつつ各家庭を覗き込もうとしたり、ゴミの出し方や花壇の水やりを仕切り、中庭バーベキューを定期開催したがるなど、周囲の家庭にぐいぐい踏み込もうとしてくる。

 深雪に、職が見つかるまで仕事に行ってるフリをしろと言われている夫の真一郎は、ネットカフェで時間を潰す毎日。家では深雪に罵られてばかりで居場所がない。

 天敵といっていいほど深雪と価値観の合わないネイリストの杉崎ちひろは、前回に続き深雪に対する嫌悪感が増してる様子。そんなちひろに隠れて、パートナー川村は亡くなった前妻が育てていた10才になる実子・亮太(和田庵)と接触を繰り返すが、5年ぶりということもありなかなか打ち解けられない。

 一方、広瀬たちカップルもギクシャクしだす。

 中庭で奈々と何気ない会話をしていた(青木)朔を慌てて呼び寄せ「他の住人とは関わるなって言ったよね?」と、とがめる広瀬。

「じゃあ俺は一生誰にも会わないように、この家に隠れていればいいわけね?」

 関係を隠すことなく自由に振る舞いたくてイラつく朔と、関係をまだ隠ししておきたくて朔の振る舞いに慌てる毎日の広瀬。異性同士でもよくあることなのかもしれないが、秘め事の意識が強い広瀬の狼狽ぶりは激しい。

 

■奈々と朔が急接近

 

 みなが遠回しに敬遠しだす深雪を、唯一、家に上げて普通に接したり、まだ距離感のあり得体の知れない人物であるはずの朔に分け隔てなく接するなど、このコーポの良心とも呼びたくなる「いい人」の奈々。だが、自分の不安や悩みを表に出すのは苦手なようだ。

 前回、いきなり妊娠していることが発覚した第5の「家族」ともいうべき大器の妹・五十嵐琴音(伊藤沙莉)と両親が営む焼き鳥屋の従業員・糸川啓太(前原滉)の「出来ちゃった」カップルがいるのだが、母親(高畑淳子)の口うるささに「あーあ、妊娠なんかするんじゃなかった」と嘆く琴音の言葉に、奈々は敏感に反応してしまう。誰にも言えないが、焦っているようだ。

 その夫・大器は毎晩振る舞われる「妊娠に効きそう料理」や医者に言われた「タイミング」での子作り行為の波状攻撃に「子作り意識しだしてから、全然楽しくなくなったんだよなあ」と後輩・矢野朋也(須賀健太)を前にボヤく。

 しかも約束してた「タイミング」の日に、自身の開発した玩具のクレームで深夜に帰宅するなど、いろいろうまくいかない。

 そんな中、子宮卵管造影検査を控え、中庭で不安そうな奈々に気づいた朔が声をかけることで2人は打ち解け出す(ちなみに、この検査でも大器の精子の検査でも、異常はなかった)。

 雪が積もっても、そんなに寒くても花を咲かすという庭の植物(クリスマスローズ)を指し「たぶん、咲きたいって気持ちが大っきいんだろうね」「人間も同じだよね。辛いことや苦しいことの先に喜びや幸せがあるってわかっていたら、前に進める」「奈々ちゃんはあるの? 今くじけそうになってることの先に希望、ある?」と問いかける。戸惑いながらも「うん、ある」と答える奈々に「じゃあ、頑張れるんじゃない」と微笑む朔。「朔ちゃん」と呼びはじめた奈々が心を許したのがわかる。

 朔はこの後、広瀬が同僚の長谷部留美(橋本マナミ)と仲良さげに帰っている職場近くの夜道に突然現れ、「いつも『叔父』が! お世話になってます」とプレッシャーをかけたりと攻撃的な一面を見せるのだが、それも奈々に対して言った「希望」に裏打ちされた行動なのだろう。

 まだ広瀬の意向で押さえつけられているが、何かしでかしそうな朔は、おそらくこの物語を動かすキーマンになってきそうだし、北村自身も強い印象を残しそうな役だ。

 

■幸せなそうな側面も

 

 例えばちひろは、深雪のいきなりのおすそ分け訪問(玄関で阻止)にイライラしながらも深雪の手作り菓子を頬張り、川村と美味しいと笑い合ったり、深雪は深雪で自分が勧めた「マクロビ」や「グルフル(グルテンフリー)」の話を奈々がちゃんと聞いてくれているときに実にうれしそうだったり、その奈々も子作りがうまくいかず落ち込んでる時、「一人全自動(歯磨き)」という芸を披露して和ませる大器に優しさを感じたり、広瀬も、言うことを聞かない朔にイラつきながらも「朔~仕事終わったよ~」と笑顔で帰宅する様子に気持ちが溢れていたり、つわりで苦しむ琴音のために高額なスイカを買ってきてくれたり頼りなさそうな夫・糸川啓太だったり、それぞれが不満や問題を抱える反面、幸せを感じている部分があることもちゃんと見せている。

 それぞれの価値観の中で、各々が見落としがちな幸せを描いているのだが、これらが、ややもすれば重めになりすぎる内容を見やすくしており、力の抜けたテイストを生み出している。一方で、これをヌルさと取る人は物足りないドラマだと感じるだろうし、難しいところだ。

■ついに引火する火種

 

 妻の待つ家に帰るのを恐れ、中庭でこそこそしていた真一郎を自宅に招く大器。最初は、大器だけだと思っていたのに、奈々がエロいカッコで出迎えてしまったりと微笑ましい空気だったが、前職の愚痴を語る真一郎の口が止まらなくなる。

「家族のために働いてるのに、家族と少しも一緒にいられないなんて虚しいじゃないですか?」

「だから思い切って辞めたのに、妻には非難され邪魔にされてるっていう……」

 絶対に公言しないようにと深雪に言われているのだが、もう限界なのだろう。

「結局は男なんてただの金ヅルなのかもしれないですね……」と自嘲気味に笑う真一郎を2人は慰めるが、自宅に帰るなり、深雪は「帰宅が遅い」「再就職はまだか?」と非難轟々。限界を超えてしまいそうなほど重すぎる足取りでリビングから消えていく。

 真一郎が帰った後、子作りのプレッシャーに対し「本当は嫌になってるんじゃないの?」と奈々に図星を突かれて慌てる大器。この辺の双方の都合の裏表がリアルだ。

 名古屋の前妻の実家では「亮太はいずれ僕が引き取ります」と義母に宣言する川村の姿が。自分のことを想う父の気持ちを知った諒太は、一緒にゲームをしながら「行ってもいいよ、東京……」と徐々に心を開きだす。かなり昔のドラマのような、少し懐かしいテイストのシーン。

 しかし、実子とこっそり会っている幸せそうなその姿を、驚かそうと名古屋までやってきたちひろに目撃されてしまう。

 一方、コーポでは川村たち以外の全員でバーベキューの真っ最中。ショックを受けて先に帰宅したちひろを、何も知らない深雪がいつものように囃し立てる。

「お2人とも、そろそろ真剣に子作りした方がいいと思うのよね……」

「どんなに見た目年齢が若くても、子宮や卵巣は若作りできないじゃなーい?」

 我慢できないタイミングだけに、ちひろはついにキレる。

「子ども作んないとなんかまずいんですか?」

「子どもを作って少子化に歯止めをかけることだけが女性にできる社会貢献じゃないですよね? 例えば会社の同僚が妊娠して産休を取る。その抜けた穴は男性社員や独身者、子どものいない既婚者が埋めてるんです。働いてるってだけで十分社会貢献してるのに、他人の尻拭いまでしてるんだから文句言われる筋合いないと思いますけど!」

 深雪ももちろん言い返す。

「あなただっていずれ子持ちになるんだから、お互い様なんじゃないですか?」

 だが名古屋で何かがフル充電されているちひろは止まらない。

「わたしは子どもなんが嫌いだし、母親になんか絶対なりたくない!」

「自分の物差しだけで他人を測るなって言ってんのよ!」

 血色ばむそのマイクパフォーマンスはプロレスラーのように勇ましいし、見た目もちょっとそう見えた。

 ここで主役の奈々の出番。

「もうやめましょうよ! 子どもがいる人もいない人も、働いてる人も働いていない人も、いろんな人がいていいじゃないですか? どうしてみんな同じじゃないといけないんですか? みんな違っててもいいじゃないですか?」

 いきなりこのドラマの主題をつらつらと説明する奈々。というか深キョン。正直、2人のケンカが迫真だっただけに、少し演技的に損をしたかもしれない。このキャラ自体、深キョンが演じやすいように当て書きされてるのか、ここまでさほど違和感は感じなかったんですが、少々「ん?」ってなってしまいました。

 そしてこれは芝居の問題ではないが、奈々のセリフがあまりに正論というか、いきなり正解のサンプルみたいな言葉を、主役だからって理由で奈々に言わせてる感じが響かないというか……盛り上げた場面を突然トンビが油揚げ持ってくような唐突さを感じました。いい題材なだけに、全部言葉で言わせて、ミスチルかけて「はい感動」って感じが少し残念。

 なんとなく最終回みたいな空気すら感じる煽り方な気もしたが、このドラマは主題がぶちあげられたここからが本当のスタートなのだろう。

「今日のところはお開きにしておいた方がよさそうですね」「小宮山さんが謝ることじゃないですから」と、大人な対応をする大器だが、別れ際に奈々に手を振る朔をかなり強めに睨みつけ、別の火種がくすぶりだす。

 誰もいなくなった中庭で「やめろよ、こんなところで」と言いながら、そこそこゆったりめのキスをして、まんまと奈々に見られてしまうわたるん(広瀬)&朔。あれだけ必死に隠していながら中庭の真ん中でしたら、そりゃそうなるだろというガバガバな演出に謎は残りましたが、広瀬は酒に酔っていたのでしょう。

 印象に残ったのは、五十嵐家で真一郎が愚痴を漏らしつつ、大器や奈々をうらやむシーン。

「うちなんて子ども向けの料理ばっかりですよ……こんなスタミナ料理なんて並んだことないもんなあ、うらやましいなあ」

 そうやって真一郎が羨ましがる大器と奈々は、その「子ども」を授かれなくて苦労している。円満に子どもを育てているからこその「子ども向けの料理」なのだが、真一郎にも、もちろん深雪にも、よそは「青く」見えているのだろうし、奈々にも、親の干渉を鬱陶しがる琴音の姿や、いろいろ言われながらも当たり前のように子育てをしている深雪の姿は「青く」見えているのかもしれない。奈々がもう正解を言ってしまったこの後、ドラマがどう展開するのか来週も楽しみです。
(文=柿田太郎)

フジ月9『海月姫』6.9%急落で早くも危険水域!「脱落者続出は必然」そのワケとは……?

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く今期の月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。

 先週の第1話では、男子禁制の天水館に、ふいに現れた女装美男子・蔵之介(瀬戸康史)がシャイすぎる月海をメイクで変身させたり、蔵之介の弟(原作では兄)の政治家秘書・修(工藤阿須加)が変身後の月海に一目惚れしたり、主に人物や設定の紹介といった感じで、視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったのだが、今週の第2話は6.9%とダウン。早くも危険水域にきてしまった。さっそく振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■あらすじ

 まず第1話でさして説明のなかった月海以外の天水館の住人(尼~ず)を整理しておきたい。

・千絵子(富山えり子):和装・和裁・和人形オタク。大家の娘で、この中で比較的常識ある方。

・まやや(内田理央):三国志オタク。万年ジャージで前髪長く、表情一切わからず。もっともテンション高く、変な動きで情緒不安定。

・ばんば(松井玲奈):鉄道オタク。昔の鶴瓶ヘア(天パらしい)のため、こちらも表情一切わからず。ドラマでは、まややに寄せたのか、原作に比べテンション高め。

・ジジ(木南晴夏):いわゆる枯れ専と呼ばれる地味中年男性好き。当人も地味でおとなしめ。

・目白先生(?):売れっ子のBL漫画家だが部屋から一切出てこず、声も出さない(ドアの隙間から紙で筆談はあり)。他の住民に「ご託宣」を与えたり、アシスタント仕事を与えたりして、神のごとく崇められている。

 こんな天水館に勝手に出入りし出す女装姿の蔵之介。月海以外の住人には男性だと知られていない。

 そんな蔵之介は、老朽化のため破裂した天水館の水道管の修繕費(20万円)を稼ぐため、フリーマーケットに参加することを尼~ずに提案し、実行に移す。香川の琴平電鉄のつり輪が200万円(ばんば)など売れそうにないものしかない中、なぜか月海の手作りクラゲ人形が若い女子に大好評。急遽、尼~ず総出で人形を増産し、なんとか費用を捻出する。

 千絵子が人形を15万円で売ったのが実はデカいのだが、初めて住人同士で力を合わせたということで、なんとなく蔵之介の存在がみなに認められ出すという展開。死ぬほど金持ちなんだから、20万円くらいポンと蔵之介が親の金から出しそうなのに……。

 そんな中、天水館のある場所が高層ホテル建設の再開発地域に含まれており、大家である千絵子の親も土地を売ることを決断していたことが発覚。蔵之介に尻を叩かれ、地域センターでの再開発の説明会に抗議に向かう尼~ずたち。

 しかし、そこで月海の隣に座ったのは蔵之介の弟で、政治家の父親の秘書を務める修。先日水族館で、母親のことを思い出し取り乱す月海(蔵之介によりメイクとかされてる)を抱きしめていたくせに、「今日は月海さんはいらっしゃらないんですか?」と月海の存在に気づかない。コミックなら受け入れられる展開なのだが、さほど変化が見えない今回の実写化では、やはり違和感を感じてしまう。

 ここで登壇したデベロッパー・稲荷翔子(泉里香)に追いやられ、逃げるように会場を後にする尼~ず。壇上から雑談を注意され、「オタクなので注目を浴びることに耐えられず逃げ出す」という心理なのだが、「人の視線が苦手」と、はっきり活字で表記された原作部分を読まずに、これが伝わっているのか少し謎だ。

 開発・土地買収を進めたい稲荷は、修の父親で議員の鯉淵慶一郎(北大路欣也)を味方につけるため、あからさまな色仕掛けで修に接近。その稲荷が相合傘状態で修と歩く姿を目撃した月海は、ショックを受ける。

 仕事のために、なりふり構わぬ稲荷は、修のドリンクに薬を盛り、昏睡状態にして共にベッドインしている写真を撮影する……のが、原作含め今までの作品だったのだが、コンプライアンス地獄の今のテレビでは、ドラマですらその表現が無理なのか、紐で吊るした5円玉で催眠術をかけて眠らせるという苦肉の策。

「いざってときのために、通信講座受講してたのよ」という説明も苦しいが、このご時世そこは仕方ないのだろう。犯罪誘発だとか騒ぎになって、サイゾーとかに揚げ足を取られるのもあれですし。とにかく、記憶のない修の弱みを握るのに稲荷は成功する。

 一方、天水館では、蔵之介の手で尼~ずメンバー全員をメイクやウイッグやおしゃれな服で「ビフォアアフター」化。「悲しいけど、世の中には人を見た目で判断する人間がいっぱいいる」「だから鎧を身に纏え」ということらしい。この意味のないファッションショーに月海は、「お母さん、不思議です。あげに苦しかった胸のあたりが、いつの間にか軽くなりました(鹿児島弁)」と満足げ。

 修が女性を苦手とする原因を、運転手の花森(要潤)から聞き出す蔵之介。それは昔ミュージカルを観に行った時に、「慶一郎様と、リナ様のあの現場(性交)」を見てしまったことが原因らしい。果たしてリナ様とは?

 そんな中、稲荷が挨拶がてら天水館に乗り込んでくるが、尼~ずたちは気押されたり、手土産のマカロンに浮かれたりと防戦一方。契約は、大家である千絵子の母親と話を進めていると強気な稲荷だが、居合わせた蔵之介は「うちらがここのオーナーになればいいわけだ」「1億だろうと5億だろうと10億だろうと、買う!」と啖呵を切り、追い払う。

 にわかに活気付く尼~ずだが、稲荷の手土産に混じっていた修のメガネ(先日の忘れ物)に気づいた月海だけは元気がない。修と稲荷が付き合ってると思いこみ、号泣しだす月海を、今度は蔵之介が抱きしめる。

 蔵之介は、父親に天水館を買い取る資金として3億円無心し、さすがに断られる流れなのだが、いつまでもプラプラしてることを説教された腹いせなのか、修が男嫌いになった原因の話を半笑いで父にぶつける蔵之介。

「俺の母さんの舞台を観に行くたびに、楽屋でエロいことしてたんでしょ?」

「トラウマになっちゃうよね? 父親と愛人が抱き合ってる現場を目の当たりにするなんてさ」

 つまり、蔵之介と修は異母兄弟で、修の女嫌いの原因は蔵之介の母親(愛人・リナ)だったのだ。兄・弟の年齢上下は逆だが、これは原作通り。

 稲荷のせいで失恋気分の月海だが、自室でこっそりクラゲっぽいウエディンドレスを着ているところを蔵之介に見つかり、恥ずかしすぎてテンパる。母が大きくなったらクラゲのようなドレスを作ってくれると言っていたから……とか、いろいろ言い訳する月海だが、亡き母がドレスを集めていたことを思い出した蔵之介は、クラゲドレスを売って天水館を買い取ろうとひらめく。

 

■それでも頑張っている芳根京子

 

 前回、結構悪く書いてしまったので、よかったなというところをまず意識してみました。

 月海のビフォアアフターの差があまり見えないところは相変わらずだが、それでも芳根京子の芝居は安定しており、前回不満を感じたオタク特有の早口口調がやや力みすぎなところも、今回はいい力の抜け方で、かつ全体に思い切りもありいいと思います。

 尼~ずの面々は漫画に寄せすぎて、特にまややとばんばは、もはや誰でもいいのでは? という意見も上がってますが、木南晴夏演ずる枯れ専のジジの薄いキャラは、映画版を凌ぐハマり具合だと思います。

 あと細かいところですが、第1回の放送で、初めて蔵之介が尼~ずの面々に遭遇した際、自分らがオタクだと指摘され「いいえ、まだまだ私たちはオタクとは呼べませんよ」と千絵子がうれしそうに謙遜する感じもリアルでよかったです。

 原作コミックでは「石化」といって、尼~ずが人見知りを発動したり動揺すると石のように固まってしまうくだりがあり、アニメはもちろん映画でもCGでそこを再現していたのだが、おそらく時間的な問題なのか予算的なものか、ドラマでそれができないための苦肉の索としての「いいえ、まだまだ~」なのかもしれない。

■修に月海を「気色悪い」と言い切らせた問題

 

 そして、ここからは気になるところなのだが、まず、第1話、第2話と見て感じたのは、やはり脚本なり演出なりの雑さ。

 今頃になって蔵之介が大学生であることが明かされたり(早くに秘書だと紹介される弟・修に比べ、なぜここまで蔵之介の立場が明かさなかったのかが謎)意図のわからない部分が多い。

 月海が自らクラゲっぽいドレスを着ているのを蔵之介に目撃されるシーンでも、原作ではフリマで古着を調達し、それを材料として「クラゲ人形」を作るシーンがあっての、その残り物の服があったから月見が自室で羽織ることにつながるのだが、今回いきなりそのクラゲドレスが現れた背景がよくわからない。

 そしてここまでの話において、修と稲荷が歩く姿を見てショックを受けるほど月海は修を想っているのだが、なぜそこまで好きになれているのかが、いまだにピンとこない。アマクサクラゲに似てクールだかららしいのだが、第1話でメイク前の普段の月海を前に、修は引き気味に「気色悪い」と言っている。

 確かに、原作でも「あーきもかった」と独り言のように言ってはいる。しかし、それは月海のいない場所で独り言としてだし、しかもその時の月海は、おデコにキョンシーのお札を貼り、暴れて取り乱していた。

 しかし、ドラマではそこまで言われるほど暴れてもいないのに、目の前でハッキリ「気色悪い」と修に言わせている。ただオタクとして男性が苦手で挙動不審なだけで、だ。これは本人を目の前にして言わせてはダメではないだろうか? これがずっと引っかかってしまう。

 確かにフリとしては好きな人間に嫌われていた方が落差が生じていいのかもしれない。だが、いくらコメディパートだからといって、あえて本人の前で「気色悪い」と言わせてしまうのは迂闊すぎないだろうか?

「気色悪い」と言われた月海の姿は、少々パニクっていたとはいえ、飾り気ない月海そのものの姿だったはずだ。飾り気ない自らの姿を「気色悪い」と重めに全否定。恋に落ちるどころか人間不信になりかねない出来事だと思うのだが、異性が苦手な「オタク」には神経がないとでも思ってるのだろうか。

 さらに、この2人は次の日、普通に水族館デート(蔵之介もいたが)をしたりもしている。その時、修はメイクで変身した月海にデレデレたり、あげく抱きしめたりしてるし、月海もその「気色悪い」事変などなかったように接している。

 たとえ自分ではない「他人」に言っていることになってるとはいえ、目の前で女性に「気色悪い」と言い切るような人に、メイクしたらすぐ抱きしめられて、果たして月海はうれしいのだろうか? そんな安易な性格なのだろうか?

 そこをクリアしない限り、このドラマを楽しく観ることができないというのが素直なところだ。

 人気原作があるからと、話の運びや「使えそうな」エピソード素材を散りばめ、尺を稼ぎ、切り貼りするだけで、人物の心理のや気持ちのつながりをおろそかにしていては、コメディ部分はおろか、うわべの恋愛模様すら描けないのではないか。

 ネットを見る限りでは、このドラマを観ている人は原作や過去の映像作と見た上で比較しながら鑑賞している人が多いようだ。だから確認をしただけでドラマ自体に魅力を感じない人は、どんどん脱落していくだろう。原作の「付録」のような意識で製作が映像化してるのだとしたら、この先ますます不安である。

 現場が頑張っているのは、もちろんわかる。まだ始まったばかり、なんとか盛り返していただきたい。
(文=柿田太郎)