過去最高視聴率!『隣の家族は青く見える』の“子どもができなくてもハッピーエンド”は番組の良心

 コーポラティブハウスを舞台に、そこに暮らす住民のさまざまな価値観の形を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)最終話。視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高をマーク。流産の末、家を飛び出した奈々の行く末や、4組の「家族」の顛末は?

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■奈々は別れを決意

 

 長い不妊治療の末、授かった子を流産してしまった失意の奈々(深田恭子)は地元・伊豆にいた。迎えに来た大器(松山ケンイチ)に、奈々は別れを切り出す。

「治療をやめるってことは、大ちゃんに赤ちゃんを抱かせてあげられないってことだよ。そしたら私は、もう一緒にいる意味がないから」

 第1話で大器は「俺の子どもを産んでください」とコミカルながらに告白、交際が始まった。この言葉が奈々の中で大きいのだろう、いい意味でもつらい意味でも。

「2人とも子どもがいない未来を描けていなかった。未来は空っぽ、何にもない。赤ちゃんと一緒に消えちゃった」

「俺はどこいったの? 奈々の未来に俺入ってないの?」

「私はもう大ちゃんのこと幸せにしてあげられないから」

「俺がどうしたら幸せになるかって、なんで奈々が決めるの?」

「なんで子どもいなかったら幸せじゃないって、奈々が決めつけてるの。奈々にとって夫婦ってさ、単なる子作りの相手? 奈々にとって俺ってその程度の存在だったの?」

 奈々の手に指輪がないのに気付いた大器は、実家の居酒屋で荒れて酔い潰れる。

 そんな大器を叱ったりせず「あいつだってつらいんだ」と理解をしめす父・健作(春海四方)。『アンナチュラル』(TBS系)4話でしあわせの蜂蜜ケーキの工場長を演じてた方。

 母・聡子(高畑淳子)と妹・琴音(伊藤沙莉)で、潰れた大器をコーポへ送り、わずか3日で荒れた部屋を片付ける。

「いつまでたっても親なんだね」と笑う琴音に、聡子は言う。

「あんた達がいくつになってもこっちは死ぬまで親だし、あんた達も死ぬまで子どもよ」

 琴音もきっと、そういう母親になるだろう。

 大器の部屋にずっとあった小さな滑り台が外されているのに気付いた聡子は、大器を叩き起こし、毎日でも迎えに行けと叱咤する。奈々には言えなかった本音を語る大器。

「何のために子作りしてきたのか、何のために子作りしてきたのか、何のために結婚したのか、わかんなくなっちゃった」

■広瀬・朔はパートナーシップ提出

 

 朔(北村匠海)は大検に合格。そんな朔に広瀬(眞島秀和)は、パートナーシップ宣誓書の用紙を渡す。

 コーポのある世田谷区、そして都内では他に渋谷区でパートナーシップ制度があり、同性同士の暮らしを支援する。条例である渋谷区に対し、世田谷区のそれは要綱で、例えば、同性同士だからと部屋を貸さない事業者に対し、渋谷区ではその事業者が公表されたりするのだが、世田谷区ではそういった「ペナルティ」はなく「性的少数者に基礎自治体が向き合い、啓発の第一歩となることに意味がある」としている。

 後日、2人で宣誓書を提出。そこに現れたのは、息子がゲイであることを受け入れられず仲違いしていた広瀬の母・ふみ(田島令子)。いつの間にか「朔ちゃん」「お母さん」と呼び合う仲になっていることに驚く広瀬。

「朔ちゃんはね、自分のせいで貴方と私の関係が悪くなるのを恐れたの。家族を作るのが夢だったのに大切な人の家族を壊すなんて、本末転倒だって自分のことを責めて……だから今日来たのよ、朔ちゃんのために」

「今じゃ息子が一人増えたみたいだわ」

 ノーガードで飛び込んでいく朔の身軽さが羨ましく見える。母親と朔の様子をうれしそうに見つめる広瀬もそこに惹かれているのかもしれない。

 

■亮司とちひろは事実婚

 

 亮太(平山浩行)を亮司と同じ川村姓にする「子の氏の変更許可申立書」を記入しつつ、ちひろ(高橋メアリージュン)に「事実婚契約証」「遺言証」を見せる亮司。

 相続なんてどうでもいいと言うちひろだが「亮太のこともちひろに託せる」と言われすぐさまサインをした。

「あの子がまだ自分の居場所をなくすのだけは避けたいから」

 書類などなくても、彼らが家族であることは間違いないが「これが俺なりの家族の守り方なんだ」と亮司は言う。

 名字に代表される個の喪失や、家制度や家柄などに縛られる抵抗感、家単位で管理しようとする戸籍制度への疑問等から事実婚を選ぶカップルは昔からいた。しかしなかなか理解されず後ろ指を指される時代があった。こうやって明るくドラマで描かれる時代になったのは感慨深い。

 いい雰囲気になり、キス寸前のところに亮太が現れて終了というお約束もあり。

 

■真一郎とみゆきは離婚取り消し

 

 長女・優香(安藤美優)のダンス大会に付き添いで来た真一郎(野間口徹)。深雪(真飛聖)も実はこっそり応援にくるなど、すっかり雪解けムード。

 あれほどこだわっていた中学受験に対しても「むしろ苦労したり失敗したりすることも、優香の人生にとっては大切なことかもしれない。行きたい中学に行きなさい」とすっかり柔軟に。

 そんな深雪を見て、真一郎は離婚の申し出を撤回し、頭を下げた。同時に、深雪の子育てに心から感謝する。

「やり直せるかな」という深雪に「一緒に頑張ってくれないかな、パパとママとしてだけじゃなく、夫と妻としてもう少しいい関係でいられるように」。

 いい雰囲気になり、深雪が真一郎のメガネを外すシーンで笑ってしまったのですが、これは笑ってよかったのでしょうか。確かにメガネを外した野間口は変な色気があるのですが、それはそれとして笑いました。

「やっぱりイケメン」とのろける部分は親のラブシーンを見るみたいで個人的に非常に居心地が悪かった。野間口は声がいいですね。いいバイプレイヤーは耳に残る声をしてる人が多い気がします。こちらもキスどころか、ベッドインしようとして、やはり子どもが現れて失敗するという「カブせ」あり。

■子どものいない人生も選択肢にいれた奈々と大器

 

 大器は、何度も何度も、ライン(的なやつ)で変顔を送ってくるなど、不器用なアプローチを続けるが、奈々は返信できない。そんな奈々の元を聡子が訪れるが、戻っても大器につらい思いさせてしまうと語る奈々。しかし聡子は言う。

「つらい思いさせればいいじゃないの。妻がつらい思いしてる時は夫も一緒につらい思いするべきでしょ。うれしいことや楽しいことは誰とでも共有できるけど、つらいことや悲しいことは一番大事な相手としか共有できないんじゃないの? つらくても悲しくても悩んでも苦しんでも、2人で一緒に生きていこうって約束したことが夫婦なんじゃないの? それが結婚ってもんなんじゃないの?」

 小さく振り絞るように語る高畑淳子が、またしても全部持ってく勢い。このドラマ見ていた人は、もはや全員高畑ファンだ。

 奈々は帰宅するなり大器を抱きしめ謝る。ひとしきり気持ちを伝える奈々を、ただ「おかえり」と受け入れる大器。

「赤ちゃんを授かることが奇跡だって思ってたけど、一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことがそもそも奇跡なんだなって」

「大ちゃんと出会えたことが一番の奇跡なんだよ」

 子どもができることはもちろん素晴らしいが、それだけでない価値観に気付いた奈々。

「子どものいない人生は耐えられるけど、奈々がいない人生は耐えられないよ」と大器も応える。

 大器を思わず抱きしめ「だいすきーだいすきーだいすきーー」という奈々が、異様に深キョンぽくて生々しかった。

 結局、不妊治療を一旦終了した奈々。子どもを持たない夫婦の居場所も、あのコーポにはある。

 

■子どもができなくてもハッピーエンド

 

 コーポでのバーベキューの最中、ちひろに内緒でサプライズの結婚パーティーが始まった。事実婚を「結婚」として捉えない人がいるが、個人的なつながりを第三者機関に届けないというだけで、普通の結婚だ。このサプライズが亮太の発案だと知り、涙するちひろ。

「口悪い人って涙もろいのよ」という深雪を見て、第2話で価値観を押し付けるなとちひろに言われ『モスラ対ゴジラ』のように派手に大げんかしていた頃を懐かしむ。メガネを外した真一郎が神父になりきり、和ませる。

 朔は広瀬の仕事を手伝いだした。深雪はケーキ屋で働き始め、真一郎は塾講師をしつつ学習ボランティアも続けている。亮司たちも、なんじゃもんじゃゲームを全員で楽しめるくらい亮太と打ち解けた。

 奈々は部屋の滑り台を戻した。「たとえ2人きりの人生だとしても、子どもを避けるような生き方はしたくない」「お母さんという形ではなくても、子どもとは触れ合って生きていたい」という気持ち通り、復帰した職場でキッズダイビング教室を提案。子どもがいること、いないこと、どちらにもとらわれすぎない柔軟な考え方は、奈々をますます生きやすくするだろう。

 大器は職場でプレゼン。「価値観や家族の形態が多様化した現代社会だからこそ、あらゆる形態の家族や仲間が共存共生する社会を目指します」タイアップしてる厚生労働省がちらつくが、このドラマで得体の知れない肩の重みが取れた人もいたかもしれない。

 なかなかこのドラマのように簡単にはいかないだろう。しかし、子どもができないまま奈々たちは前を向いた。「子どもができて、はいハッピーエンド」にしなかったところに、良心を感じました。最終回は少々展開的に物足りない感もありましたが、全体にうまくまとめたいいドラマでした。続編は難しいかもだけど、また別の価値観さんたちを集めて、ぜひ新シリーズを!
(文=柿田太郎)

 

過去最高視聴率!『隣の家族は青く見える』の“子どもができなくてもハッピーエンド”は番組の良心

 コーポラティブハウスを舞台に、そこに暮らす住民のさまざまな価値観の形を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)最終話。視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高をマーク。流産の末、家を飛び出した奈々の行く末や、4組の「家族」の顛末は?

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■奈々は別れを決意

 

 長い不妊治療の末、授かった子を流産してしまった失意の奈々(深田恭子)は地元・伊豆にいた。迎えに来た大器(松山ケンイチ)に、奈々は別れを切り出す。

「治療をやめるってことは、大ちゃんに赤ちゃんを抱かせてあげられないってことだよ。そしたら私は、もう一緒にいる意味がないから」

 第1話で大器は「俺の子どもを産んでください」とコミカルながらに告白、交際が始まった。この言葉が奈々の中で大きいのだろう、いい意味でもつらい意味でも。

「2人とも子どもがいない未来を描けていなかった。未来は空っぽ、何にもない。赤ちゃんと一緒に消えちゃった」

「俺はどこいったの? 奈々の未来に俺入ってないの?」

「私はもう大ちゃんのこと幸せにしてあげられないから」

「俺がどうしたら幸せになるかって、なんで奈々が決めるの?」

「なんで子どもいなかったら幸せじゃないって、奈々が決めつけてるの。奈々にとって夫婦ってさ、単なる子作りの相手? 奈々にとって俺ってその程度の存在だったの?」

 奈々の手に指輪がないのに気付いた大器は、実家の居酒屋で荒れて酔い潰れる。

 そんな大器を叱ったりせず「あいつだってつらいんだ」と理解をしめす父・健作(春海四方)。『アンナチュラル』(TBS系)4話でしあわせの蜂蜜ケーキの工場長を演じてた方。

 母・聡子(高畑淳子)と妹・琴音(伊藤沙莉)で、潰れた大器をコーポへ送り、わずか3日で荒れた部屋を片付ける。

「いつまでたっても親なんだね」と笑う琴音に、聡子は言う。

「あんた達がいくつになってもこっちは死ぬまで親だし、あんた達も死ぬまで子どもよ」

 琴音もきっと、そういう母親になるだろう。

 大器の部屋にずっとあった小さな滑り台が外されているのに気付いた聡子は、大器を叩き起こし、毎日でも迎えに行けと叱咤する。奈々には言えなかった本音を語る大器。

「何のために子作りしてきたのか、何のために子作りしてきたのか、何のために結婚したのか、わかんなくなっちゃった」

■広瀬・朔はパートナーシップ提出

 

 朔(北村匠海)は大検に合格。そんな朔に広瀬(眞島秀和)は、パートナーシップ宣誓書の用紙を渡す。

 コーポのある世田谷区、そして都内では他に渋谷区でパートナーシップ制度があり、同性同士の暮らしを支援する。条例である渋谷区に対し、世田谷区のそれは要綱で、例えば、同性同士だからと部屋を貸さない事業者に対し、渋谷区ではその事業者が公表されたりするのだが、世田谷区ではそういった「ペナルティ」はなく「性的少数者に基礎自治体が向き合い、啓発の第一歩となることに意味がある」としている。

 後日、2人で宣誓書を提出。そこに現れたのは、息子がゲイであることを受け入れられず仲違いしていた広瀬の母・ふみ(田島令子)。いつの間にか「朔ちゃん」「お母さん」と呼び合う仲になっていることに驚く広瀬。

「朔ちゃんはね、自分のせいで貴方と私の関係が悪くなるのを恐れたの。家族を作るのが夢だったのに大切な人の家族を壊すなんて、本末転倒だって自分のことを責めて……だから今日来たのよ、朔ちゃんのために」

「今じゃ息子が一人増えたみたいだわ」

 ノーガードで飛び込んでいく朔の身軽さが羨ましく見える。母親と朔の様子をうれしそうに見つめる広瀬もそこに惹かれているのかもしれない。

 

■亮司とちひろは事実婚

 

 亮太(平山浩行)を亮司と同じ川村姓にする「子の氏の変更許可申立書」を記入しつつ、ちひろ(高橋メアリージュン)に「事実婚契約証」「遺言証」を見せる亮司。

 相続なんてどうでもいいと言うちひろだが「亮太のこともちひろに託せる」と言われすぐさまサインをした。

「あの子がまだ自分の居場所をなくすのだけは避けたいから」

 書類などなくても、彼らが家族であることは間違いないが「これが俺なりの家族の守り方なんだ」と亮司は言う。

 名字に代表される個の喪失や、家制度や家柄などに縛られる抵抗感、家単位で管理しようとする戸籍制度への疑問等から事実婚を選ぶカップルは昔からいた。しかしなかなか理解されず後ろ指を指される時代があった。こうやって明るくドラマで描かれる時代になったのは感慨深い。

 いい雰囲気になり、キス寸前のところに亮太が現れて終了というお約束もあり。

 

■真一郎とみゆきは離婚取り消し

 

 長女・優香(安藤美優)のダンス大会に付き添いで来た真一郎(野間口徹)。深雪(真飛聖)も実はこっそり応援にくるなど、すっかり雪解けムード。

 あれほどこだわっていた中学受験に対しても「むしろ苦労したり失敗したりすることも、優香の人生にとっては大切なことかもしれない。行きたい中学に行きなさい」とすっかり柔軟に。

 そんな深雪を見て、真一郎は離婚の申し出を撤回し、頭を下げた。同時に、深雪の子育てに心から感謝する。

「やり直せるかな」という深雪に「一緒に頑張ってくれないかな、パパとママとしてだけじゃなく、夫と妻としてもう少しいい関係でいられるように」。

 いい雰囲気になり、深雪が真一郎のメガネを外すシーンで笑ってしまったのですが、これは笑ってよかったのでしょうか。確かにメガネを外した野間口は変な色気があるのですが、それはそれとして笑いました。

「やっぱりイケメン」とのろける部分は親のラブシーンを見るみたいで個人的に非常に居心地が悪かった。野間口は声がいいですね。いいバイプレイヤーは耳に残る声をしてる人が多い気がします。こちらもキスどころか、ベッドインしようとして、やはり子どもが現れて失敗するという「カブせ」あり。

■子どものいない人生も選択肢にいれた奈々と大器

 

 大器は、何度も何度も、ライン(的なやつ)で変顔を送ってくるなど、不器用なアプローチを続けるが、奈々は返信できない。そんな奈々の元を聡子が訪れるが、戻っても大器につらい思いさせてしまうと語る奈々。しかし聡子は言う。

「つらい思いさせればいいじゃないの。妻がつらい思いしてる時は夫も一緒につらい思いするべきでしょ。うれしいことや楽しいことは誰とでも共有できるけど、つらいことや悲しいことは一番大事な相手としか共有できないんじゃないの? つらくても悲しくても悩んでも苦しんでも、2人で一緒に生きていこうって約束したことが夫婦なんじゃないの? それが結婚ってもんなんじゃないの?」

 小さく振り絞るように語る高畑淳子が、またしても全部持ってく勢い。このドラマ見ていた人は、もはや全員高畑ファンだ。

 奈々は帰宅するなり大器を抱きしめ謝る。ひとしきり気持ちを伝える奈々を、ただ「おかえり」と受け入れる大器。

「赤ちゃんを授かることが奇跡だって思ってたけど、一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことがそもそも奇跡なんだなって」

「大ちゃんと出会えたことが一番の奇跡なんだよ」

 子どもができることはもちろん素晴らしいが、それだけでない価値観に気付いた奈々。

「子どものいない人生は耐えられるけど、奈々がいない人生は耐えられないよ」と大器も応える。

 大器を思わず抱きしめ「だいすきーだいすきーだいすきーー」という奈々が、異様に深キョンぽくて生々しかった。

 結局、不妊治療を一旦終了した奈々。子どもを持たない夫婦の居場所も、あのコーポにはある。

 

■子どもができなくてもハッピーエンド

 

 コーポでのバーベキューの最中、ちひろに内緒でサプライズの結婚パーティーが始まった。事実婚を「結婚」として捉えない人がいるが、個人的なつながりを第三者機関に届けないというだけで、普通の結婚だ。このサプライズが亮太の発案だと知り、涙するちひろ。

「口悪い人って涙もろいのよ」という深雪を見て、第2話で価値観を押し付けるなとちひろに言われ『モスラ対ゴジラ』のように派手に大げんかしていた頃を懐かしむ。メガネを外した真一郎が神父になりきり、和ませる。

 朔は広瀬の仕事を手伝いだした。深雪はケーキ屋で働き始め、真一郎は塾講師をしつつ学習ボランティアも続けている。亮司たちも、なんじゃもんじゃゲームを全員で楽しめるくらい亮太と打ち解けた。

 奈々は部屋の滑り台を戻した。「たとえ2人きりの人生だとしても、子どもを避けるような生き方はしたくない」「お母さんという形ではなくても、子どもとは触れ合って生きていたい」という気持ち通り、復帰した職場でキッズダイビング教室を提案。子どもがいること、いないこと、どちらにもとらわれすぎない柔軟な考え方は、奈々をますます生きやすくするだろう。

 大器は職場でプレゼン。「価値観や家族の形態が多様化した現代社会だからこそ、あらゆる形態の家族や仲間が共存共生する社会を目指します」タイアップしてる厚生労働省がちらつくが、このドラマで得体の知れない肩の重みが取れた人もいたかもしれない。

 なかなかこのドラマのように簡単にはいかないだろう。しかし、子どもができないまま奈々たちは前を向いた。「子どもができて、はいハッピーエンド」にしなかったところに、良心を感じました。最終回は少々展開的に物足りない感もありましたが、全体にうまくまとめたいいドラマでした。続編は難しいかもだけど、また別の価値観さんたちを集めて、ぜひ新シリーズを!
(文=柿田太郎)

 

フジテレビ月9『海月姫』全話平均6.1%フィニッシュ! 低迷の原因「世代間のドラマの見方の違い」くっきり

 オタク女子だけが住む共同アパートを舞台に、クラゲオタク・月海の恋模様を描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。天水館を救うため単身海外へ“身売り”されに行こうとした月海(芳根京子)を、ギリギリ空港で奪還した蔵之介(瀬戸康史)らだが、そのため天水館には住めなくなる。行き場をなくした住人(尼~ず)の行く末と、月海をめぐる三角関係の結末を描く最終回の視聴率5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。見ている人は絶賛、見ていない人はまったく見てない(当然だが)と、くっきり二極化されたドラマに。

 

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■修の失恋

 

 月海も尼~ずも、全員漫画喫茶暮らしに。一瞬『anone』(日本テレビ系)の初回を思い出し、広瀬すずらの「見切れ」を期待するも、もちろんそれはなし。

 デベロッパー稲荷(泉里香)は、月海がカイ・フィッシュ(賀来賢人)の元へ行かなかったことで、再び天水館を買収できると沸き立つが、そこへ再開発自体見直しの連絡が。蔵之介と修(工藤阿須加)の気持ちを汲み取った政治家の父・慶一郎(北大路欣也)が手を回したのだ。親バカ。

 月海を追ってきたカイに「彼女(月海)に(デザイナーとしての)才能を捨てさせた」と言われ火がついた蔵之介は、一からファッションの勉強をするため、ジェリーフィッシュ(蔵之介と月海中心で作ったファッションブランド)解散を決意。最後に再び月海の新デザインを元にファッションショーをしようと一同盛り上がる。

 閉鎖されている天水館に侵入し、「変態(メタモルフォーゼ)」をコンセプトとするジャージ素材を使った新作ドレスの製作を開始、ノムさん(安達祐実)やニーシャ(江口のりこ)も助っ人に現れる。キャラ再現とかの次元を超えたノムさんの存在は見るたびに癖になるので、スピンオフとかでぜひ見たい。

 前回、修から求婚された月海だが、「今、作りたいものがあるんです」と誠意を持ってお断り。「兄貴(蔵之介)と?」という問いに「はい」と答える月海を見て、悲しそうに空を見上げつつ笑ってみせた修。無理だとわかっても、どうしていいかわからず、告白することに「逃げて」しまう。この心理は、実にいい童貞の描き方だと思います。

 帰宅後、蔵之介と気まずそうにしながらも2人でパスタを食べるのだが、おそらくこれは蔵之介が子どもの頃から修に作ってあげてきた思い出のカルボナーラ。「3人で暮らせたら楽しいだろうな」「恋愛とか結婚とか関係なく、このおかしな3人でずっと暮らすのは無理かな」と語る初恋愛&初失恋の修が悲しい。「もしそれができたら、母さんもこの家にいられたかもな」と返すマザコン蔵之介も負けてないが。

 

■修の成長

 

 月海や蔵之介と3人で出かけた水族館(新江ノ島水族館)で、ファッションショーをやることを思いつく修。ここは初回放送で月海、蔵之介と3人で出かけた思い出の場所。前回、月海の海外渡航を引き止めに行く途中に修が偶然助けた女性が、この水族館の館長だったから借りられたというミラクル。

 ショー当日。実は自身の会社のCEOを解雇されたカイや、それより前に自由に生きるため会社を辞めていたファヨン(伊藤ゆみ)、稲荷とその同僚・佐々木(安井順平)、そして海外から蔵之介の母親・リナ(若村麻由美)も駆けつける。幼少時に別れて以来の母親の姿を目にして、動揺を隠せない蔵之介。

「今までたくさん蔵子(蔵之介)さんに助けてもらったから今度は私たちが助ける番です」と月海に促され、尼~ず全員で蔵之介の代わりにモデルとして舞台に立つ。

「無理よ! こんなふっくらさん(自分)とアフロ(ばんば)と幽霊(ジジ)よ?」と千恵子(富山えり子)は抵抗したが、ジジ(木南晴夏)は「大丈夫です。これは私たちのドレスですから」と眼鏡を外し、ばんば(松井玲奈)も花森にアフロの前髪を上げられ、いざ舞台に。

「やばい、俺全然いけるわ、あの子(ジジ)」(佐々木)や「あのアフロの子(ばんば)まで可愛いじゃない」(稲荷)と絶賛される2人。唯一、何も言われない千恵子を猛烈に応援したくなった。

「立派になったあの子を見てあげてほしい」という慶一郎の計らいでやってきたリナは「立派になったわね」と蔵之介と抱きしめる。涙で化粧が落ちたからなのか、男装姿になった蔵之介は「これが俺たちのラストステージだ」と月海の手を取り、舞台袖から「愛してる」と告白し、光の中へ飛び出して行った。きゃあああああ。

 無事ショー終了後、修は以前頼まれたリナからの伝言(7話)を月海に伝える。

「兄貴が大切に思ってる女性がいて、もしその人とうまくいくようなことがあったら、伝えてほしいって。『私の分まで愛してあげて』って」そう言って笑顔で立ち去る修は、少し大人の顔だった。

■天水館フォーエバー

 

 天水館での打ち上げでは、突然入ってきたカイ(とファヨン)が「君たちにしか作れない素敵なドレスだった」とショーを絶賛。退職金代わりにもらったという天水館の管理人になるとのことで、これからも尼~ずは家賃を稼ぐために服を作り、ここに住めることに。そして、服飾の勉強のため大学を辞め、明日からニューヨークへ向かうと決心した蔵之介は、いよいよ皆の前であの告白をする。

「実は、俺……男なんだよ!」

 しかし、全員とっくに気付いていたというオチ。ばんばとまやや(内田理央)ですら、少し前に花森が口を滑らせていて知っていたのに、千恵子だけが「ええええええええーーーー!」と驚愕。一番しっかりしてそうなのに純粋。

 そして今まで一度も部屋から出てこず、いつも筆談で「ご託宣」をくださる売れっ子BL漫画家の目白樹音先生(滝藤賢一)が、ついに登場。こちらも男だったことを知り、再度絶叫し気絶する千恵子。ショーでの唯一の不変ぶりが逆に気になったが、目白先生は入居時に千恵子に一目惚れしたため、男を近づけぬよう天水館を男子禁制としたのだという事情が発覚。結ばれてほしい。ちなみに滝藤賢一は『貴族探偵』や『コード・ブルー 3rd season』にも出ており、最近の月9常連。

 鯉淵家では、お抱え運転手の花森(要潤)と修と両親が結婚記念日のお祝いをしてるところに稲荷と佐々木が乱入。再開発計画が頓挫して以来すっかり柔らかくなった稲荷は、特に今回乙女っぽくキャラ変し、修に抱きつくなど、なんとなくいいムード。佐々木と稲荷もお似合いだと思ったが、まあ普通に考えて修ほったらかしで佐々木とくっ付くのも変ですしね。

 なぜかエンディング後の提供バックで稲荷が月海のコスプレ(おさげ髪にスウエットに眼鏡)をするシーンが流れたが、どこかで使うはずだったシーンなのだろう。

 いよいよ最後。月海が想いを伝える。

「今までは傷つくのが怖くて開けられなかった扉を、開けることができたんです。蔵之介さんが魔法をかけてくれたから」

「だから私は、(蔵之介の帰りを)待っていません! 蔵之介さんがいなくても、ジェリーフィッシュの服を作り続けます」「だから心置きなく勉強してきてください!」

 照れ隠しに皮肉を言いかける蔵之介に月海が強引に接吻。めでたしめでたし。

 もともと修に惹かれていたはずの月海(なんなら婚約者)だったのに、最後「守られているだけじゃだめだと思った」と修の求婚を断った気持ちの変化は、そのまま月海(や尼~ず)の外の世界に対するスタンスの変化なのでしょう。

 後半、残念だったのは、ファヨンの思わせぶり感にほとんど意味がなかったこと。カイとファヨンのつながりもほとんど描かれず、特に最終回はいつの間にか終わってしまった感がありました。原作では、カイ編はファッション業界のややこしい裏話的な物語なので、今回のドラマ化のテイスト向きではなく、そこをごっそり切ったのはいいと思いのですが、残されたキャラが置いてけぼりを食う形になってしまいました。

 全体としては、キャラや短いパートは面白くパワーを感じたのですが、もともとギャグ重視の漫画だから許される強引な展開を実写化したこと+時間がない中で全巻を一応網羅する駆け足展開、この2つにより、つなぎや辻褄の合わせ方がどうして強引になってしまい、感情移入を保つのが難しかった層に広がらなかったのが、数字が伸びなかった原因ではないでしょうか。

 若年層は「点」のパワーやノリを喜び、上の世代は「線」での展開やつながりをもっと求めた。そんな世代間のドラマの見方の違いもあるのかもしれません。

 しかし、そもそも深夜やネット向きな内容を、急遽決定した「月9」用に仕上げるだけでも大変だろうし、それでいて脇役まで含めキャストの健闘が目立ちました。

 全話平均6.1%と数字的には残念な結果ですが、そもそもオリンピックもあったし、その逆境をネタに盛り込む遊び(今回も「もぐもぐタイム」発言あり)なども意欲的で、健闘したと言えるのではないでしょうか。いま軽くクラゲロスです。お疲れさまでした。
(文=柿田太郎)

深田恭子、号泣──『隣の家族は青く見える』彼女がオリーブの木を植えた意味は?

 コーポラティブハウスを舞台に、4組の「家族」の価値観を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。評判もいいようで、第9話の視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、わずかながら上がってきている。今回はある事件を軸に、人々が理解しようとしたり、和解に至ったりする様子が描かれた。

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■朔が広瀬の親の元へ突撃

 

 息子にゲイであることを告白された際、受け入れることができなかった広瀬(眞島秀和)の母・ふみ(田島令子)は、少し時間が経ったからなのか、単身訪ねて来た朔(北村匠海)を戸惑いながらも受け入れようとする。

「まだ理解が追いつかなくて。親が理解してあげなければ本当はダメよね。人様はもっと理解してくれないことだろうから」

 親を知らず育った朔は、産んでくれたことへの感謝と、現在幸せであることを、もし親に会えたなら伝えたいと言う。それは広瀬もきっとそうだと言われ、救われた顔をするふみが印象的。相手を理解しようとすることは、ひいては自分を救うことでもあるのかもしれない。

 朔がふみと会っているころ、届け物を持ってきた同僚・長谷部(橋本マナミ)が、一度だけでも抱いて欲しい、子どもだけでも欲しいと広瀬に迫る。「そんな格好(下着姿)をされても、本当に何も感じない」と悲しそうに語る広瀬。長谷部は広瀬への強い想いからか、逆に広瀬を理解しようとしてこなかったのかもしれない。

 

■人前で抱きしめ恋人宣言

 

 前回、真一郎(野間口徹)に離婚を切り出された深雪(真飛聖)。次女・萌香(古川凛)は、深雪を元気づけるため風船を追いかけ、危うく踏切で轢かれかける。通りかかった朔が助けたものの、その朔は怪我をして病院へ。

 深雪は数年前の夫の海外出張中にも、長女の優香(安藤美優)が何者かに誘拐されかけたトラウマがあるといい、すっかり怯えていた。深雪の全身を武装していた鎧がどんどん外れていく。

 朔の怪我は大したことなかったのだが、取り乱して駆けつけた広瀬は、「家族なんです! 戸籍上は違うけど、一緒に住んでるんです! 家族同然の恋人なんです!」と看護師に詰め寄り、朔を見つけるなり「見られたっていい、そんなこともうどうだっていいから」と、人目もはばからず抱きしめる。不覚にも普通に泣きました。

 子どもの教育上よくないと、以前広瀬に食ってかかった深雪は気まずそうだったが、「これからは多様性を認める世の中にしていかないとダメだよねー」と、すでにLGBTなど多様性について授業で習ってるらしい優香は笑ってるし、未就学の萌香も「朔ちゃんとわたるん、愛し合ってるね」と、微塵も偏見がない。偏見があるのは、ある程度人生を重ねた世代なのだろう。

 ちなみにその夜の朔と広瀬の入浴シーンも、この流れでなんの違和感もなく見れました。

■深い雪解け

 

 中庭。深雪は萌香のことだけでなく、ゲイに対する偏見について全家庭の前で謝罪する。

深雪「私は自分と違うものを排除することで自分を守ってた」「狭い世界に閉じこもって生きてきたこと、今さらながら後悔してるところです」

広瀬「誰だってそうですよ。自分が信じてきた価値観を覆すのは勇気がいります」

亮司(平山浩行)「悪気なく誰かを傷つけてることあるだろうなって思いますし」

朔「誰のことも傷つけずに、自分のことも傷つけずに生きるのって無理じゃないかな」

ちひろ(高橋メアリージュン)「誰かが傷つくのを恐れて、言いたいこと全部引っ込めちゃうのも違う気がするしね」

大器(松山ケンイチ)「傷つけたとしても後で声に出して話し合えば分かり合えるかもしれない」

奈々(深田恭子)「いつか分かり合える時が来るといいですよね」

「3・15中庭会談」として後世まで語り継がれる歴史的会談。根の深かった深雪の気持ちが溶けていくのを見て「深雪」の名前の意味に気付く。直後の深雪とちひろのお馴染みの口論も、もはや棘々しさは皆無で心地よく、舞台化しても映える脚本だと思った。

 筆者は、大器のいう全て「声に出して話す」という物語の運び方が説明的で苦手ではあるのだが、こうした意図を掲げられると、もう黙るしかないです、ごめんなさい。

 ちなみに撮影で使われた電車は「上用賀」行きと書かれていたが、おそらく群馬の上毛電鉄。以前大器が歩いていたのは東急池上線沿線だったが、いろいろ合わせて撮影している模様。

 

■オリーブの木

 

 不妊治療の末、ついに前回妊娠した奈々。親や職場に報告したり、エコーで心拍を確認したり、母子手帳をもらってきたり、マタニティマーク(「お腹に赤ちゃんがいます」のキーホルダー)をつけたりと、不安を抱えつつも幸せそうだ。そんな奈々は庭にオリーブの苗木を2株植える。

 調べてみると、樹齢の長いこのオリーブという種は「他家受粉」といって、他の木の花粉でないと受粉しにくいらしい。同じ個体で受粉できるものを「自家受粉」(一年草などに多い)というのだが、それに対し他家受粉は個々の遺伝子が多様性に富むため、耐性もさまざま(一気に全滅しにくい)で生物として強くなるというメリットがあるという。

 このドラマのテーマである「多様性」。さまざまな価値観を持つ、違った人間同士が関わることで、お互い学びあったり助け合ったりして成長することができるということを、この木は表しているのだろう。

 オリーブの樹を植えた直後に、萌香が行方不明になり、これまで以上に住人が協力したっていたのは象徴的だ。

 仲直り目的で開かれたバーベキューの最中、突然、奈々が倒れた。その時も、それぞれが補うように対処した。深雪は動転する大器からかかりつけの病院を聞き出し連絡、亮司は車を回し、ちひろはブランケットをかけ、流れる血を隠した。奈々が運び出されたあと、オリーブの木が映し出されたのが印象深かった。

 今回はオープニングがいつもの軽快な曲ではなく、最後に流れるミスチルのしっとりした主題歌からスタートし(といってもこのドラマのオープニングはいつも中盤だが)、ただならぬ気配を漂わせていた。

 奈々は、流産してしまった。医師(伊藤かずえ)から初期の流産は珍しいことではないと告げられるも、唐突すぎる展開に2人の気持ちはついていけてない。

 しばらく経ってから、それぞれ強烈に悲しみが襲ってくる様子がリアルだ。特に奈々は翌日、また病院へ行くためバッグを手にした瞬間、大器がつけたマタニティマークが目に入り、涙が止まらなくなる。マークを引きちぎりながら嗚咽する深キョンの芝居は、彼女史上最高のものと思えるくらい気持ちがこもっていた。

 奈々は置き手紙を書き、失踪してしまう。

「ママになりたかったのでなく大ちゃんをパパにしてあげたかったのだと気付きました」「ごめんね大ちゃん……、ごめんね赤ちゃん……」と、自分を過剰に責めてしまう様子がリアルだとの視聴者の声が多かった。

 次回、ドラマは最終回を迎える。今回植えられたオリーブの木が今後、どう成長するのかもっと見ていたい。
(文=柿田太郎)

 

 

丸坊主じゃないICONIQがキーマン『海月姫』ラストは、稲荷と佐々木がくっついてほしい!

 オタク女子だけが住む共同アパート天水館を舞台とする月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。天水館買収の危機を救うため、アパレルの富豪(カイフィッシュ・賀来賢人)の誘いに乗り、デザイナーとして海外へ行くことを受け入れた月海(芳根京子)を、仲間が取り戻そうと奮闘する第9話の視聴率は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや上昇。打ち切りもなかったようで、ラスト2回!

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■ファヨンはあのICONIQ

 

 天水館住人(尼~ず)や蔵之介(瀬戸康史)、修(工藤阿須加)が月海へ想いを伝えようとゲリラ出演したテレビ番組(『たけ散歩』)を見て涙する月海は、決心がぐらつくが、カイに天水館がなくなると脅され、戻ることを諦める。

 月海はパスポートができるまでの期間、カイの作ったクリエイターが集まるサロンで基礎を学ぶが、そこでデザイナーらしき女子に月海の作った服を「利益にならない服なんて、ただのゴミ」だと否定される。

 カイの部下・ファヨン(伊藤ゆみ)にも大量の焼却待ちの在庫を見せられ「お金を産むために、お金を燃やし続けるんです」と言われるが「それじゃ結局は何も残らないってことですよね」と月海は納得できない。その言葉にハッとするファヨン。その後もファヨンは「これからは馴れ合いでドレスを作っていた時とは違う」と月海にきつく当たるが、真意が見えない。ちなみに伊藤ゆみは10年以上前にエイベックスからデビューしていた、あのICONIQ(アイコニック)。もちろん今回五厘刈りではないが、変わらぬ美貌で終盤のキーマンとなる。

 

■カイに想いを寄せているファヨン

 

 海外に行くのは月海の本意ではないはずと信じる蔵之介と修の異母兄弟、兼恋敵コンビは共に月海を探すが、運転手の花森(要潤)の仲間の事情通・すぎもっちゃん(浜野謙太)のアイデアでカイのブランドのモデルオーデションを受け潜入することに(女装した蔵之介のみ)。

 カイのいるホテル(月海の居場所)を聞きだすも、スタッフから「自分の周りの才能ある女と片っ端から寝るのが社長の悪い癖」だと聞き、慌てる蔵之介。

 ホテルで見張っていたファヨンに「あなたは月海さんのなんなんですか?」と問われ、悩みつつも蔵之介は「こ、恋人だよ」と言い切った。だが、その時のファヨンの安堵のリアクションから、カイのことを想っていることを見破った蔵之介は、自分が月海を取り戻せば、カイはファヨンの元に戻ってくる、だから居場所を教えろと持ちかけ、揺さぶる。自分の気持ちは曖昧なのに、人のことはすぐにわかるのは、あるっちゃある話だ。

 蔵之介とのことがあったからなのか「独創的な彼女のデザインは、うちのビジネスモデルには合わない」と詰め寄るファヨンに、共に過ごした孤児だった時代の話を始めるカイ。

「(親になってくれる大人をいつも待っていたが)選ばれたのは、金持ちが捨てた真っ白いシャツを着ていたやつだった」
「月海となら、この世界を変えられる」

 カイは、自分が育てるクリエイターに必ず白いシャツを着せていた。あの手この手で満たされなかった過去への復讐をしているのだろう。

■稲荷と佐々木がくっついてほしい

 

 月海のパスポートが出来上がる日、「月海奪還の最後のチャンス」(蔵之介)として、都内のパスポートセンター各所を手分けして見張る尼~ずと助っ人たち。文句を言いつつ律儀に見張る稲荷(泉里香)が、すっかり味方になっている。その際、修と2人でタッグを組んだ稲荷の同僚・佐々木(安井順平)が張り込みつつ、修に尋ねる。

「一度ちゃんと聞きたかったんだけどさ、うちの稲荷翔子は全然脈なし?」

 修を利用しようと色仕掛けで近づいた稲荷は、今や修のまっすぐさにほだされている。

「好きとか嫌いとか、そういう感情は一切ありません」と、はっきり答える修に「それ絶対あいつに言わないでね、一番傷つくやつだから」とフォローする佐々木がいい。

 登場当初、完全に尼~ずを見下していた稲荷が、必死に聞き込みをするまやや(内田理央)らに心を動かされていく様子も悪くない。前回、修と稲荷がくっついてほしいと個人的な願望を書いたが、よく考えたら佐々木と稲荷って実にいいカップルだ。もはや絶対付き合ってほしい。

 それはさておき、カイ側が仕掛けたであろうおとりに翻弄され、パスポート受け取りの月海を押さえられなかったメンバー。

 なんとか月海は成田に向かったらしいと情報を得るが高速は渋滞……。

 しかし! 鉄オタ・ばんばさん(松井玲奈)が時刻表を脳内で検索、最適なルートを導き出すという大活躍ぶり! ナビタイムとか使えば誰でもわかるんじゃ……とか考えてはいけない。蔵之介にルートを説明しつつ、ばんばの目に見えているであろう多くのウインドウが空中に浮かぶ描写は近未来的で、思わず『マイノリティ・リポート』のトム・クルーズみたい! と叫んでしまいました。ちなみにこの時、松井玲奈が前髪を上げ、初めての「顔出し」。原作では、おそらく次回やるであろう場面で「顔出し」するのだが、長らくばんばの子分と化してきた花森(要潤)がおののく姿が見れたのがよかったです。

 空港に蔵之介と修が駆けつける展開は、いかにも懐かしのザ・月9。

「あなたは我々に消費されるべき人間ではありません」と付き添いのファヨンがギリギリで解放してくれ、間に合わなかったと思って落ち込む2人の前に月海が現れる展開も王道。

 蔵之介と「やったな月海!」「はい! やりました!」」と浮かれかけるも、「本当によかった」と修に唐突に抱きしめられ、固まる月海。テンションの上がった顔が、スッと悩むような顔に変化する芳根の芝居がいい。これは何を意味するのか。

 

■働く尼~ず

 

 今回、「私たちが一人ひとり自立していないと、月海が無事に戻ってきた時、安心して戻って来れない」(千絵子/富山えり子)との思いから、なんと生粋のニート・尼~ずたちが働き出すというオリジナルの展開に。

 まやや→ティッシュ配り、千絵子→コーヒーショップ店員、ジジ様(木南晴夏)→パソコン事務。そしてばんばさんは企業でまさかの受付を担当、申し込んだ方にも採用した方にもメリットのない謎の人選。しかし、それぞれ過剰に虐げられつつ(ジジ様以外)も慣れない仕事に必死に向き合う姿が熱い。

 月海は帰宅後、天水館がなくなる覚悟で、自分を取り戻すため尼~ずが動いてくれたことを知る。追い出されるくらいなら明日自ら出て行くと語る尼~ずと食事をするのも、もうこれが最後。その尼~ずが稼いだ金で作ったすきやきを頬張りつつ、月海は「おいしい」と涙する。

 そして、修がイタリアで買った指輪を月海にはめつつ「僕と結婚してください」と正式にプロポーズ。それを黙って見つめる蔵之介。三角関係の結末は、もちろん次回の最終回。

 次回はカイが再度、日本に月海を取り返しにやってくるみたいだし、安達祐実の怪演が見事だったノムさんや、その他オールスターキャストも結集。

 シンガポールで月海がそこそこ長く過ごす部分は今回ごっそり省いていたが、どうやら駆け足ながら全17巻のラストまで描くようなので、最後まで見届けたい。とりあえず、稲荷と佐々木がくっつけば筆者的には相当満足です!
(文=柿田太郎)

深キョンついに妊娠!『隣の家族は青く見える』第8話は高橋メアリージュンの強い芝居に涙させられる神回

 コーポラティブハウスを舞台に、4組の「家族」の価値観を描く『隣の家族は青く見える』。第8話は、視聴者も知らぬいくつかの「理由」があかされ視聴率は6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや上昇。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■『毒親』に悩まされてきた2人

 

 今回まず目立ったのは、ずっと仲違いしてきたちひろ(高橋メアリージュン)と深雪(真飛聖)の関係の変化。

 亮太(和田庵)の死んだ母親の言葉「人間いつ死ぬかわかないから、やりたいことやっとけ」という言葉に触発され優香(安藤美優)は、受験を辞めて公立中に進み、ダンスを続けたいと母・深雪(真飛聖)に告白。「ママの言う通りにして後悔するのが嫌なの」と言われ、激怒し手を上げかけた深雪のその手を、ちひろが掴む。「子どもをストレスのはけ口にしないで」と語るちひろには、何か理由がありそう。

 後日、亮太の誕生日が近いことを知り、ケーキ作りの手伝いを奈々に頼むちひろだが、奈々(深田恭子)はお菓子作りの腕が「プロ級」だという深雪を連れてくる。ギクシャクしつつも、距離が縮まりだす。

 ここで深雪は、自身が小・中と受験に失敗し、母親に褒められずに育ったという過去を明かす。確かに前回「あなたは受験に失敗したとこから人生狂ってしまった」と、いまだ年老いた実母に圧をかけられていた。

「でもね、子どもができた時、初めて喜んでくれて、ようやく両親に認めてもらえたって思った」という深雪は、子どもの存在を「両親と私をつないでくれた魔法の架け橋」だと言い、だから他人にもつい「子どもを作れ」と勧めてしまう、と。

 深雪も内側に、いわゆるインナーチャイルドを抱える弱い人間なのだ。初めて深雪の弱さを知ったちひろも、母親にいつも殴られていたという自身の過去を明かす。

 確かにちひろは前回「みんながみんな子ども時代が幸せだとは限らないからね」と朔(北村匠海)と共感していた。

「こんな親にだけはなりたくないと思ってて、ある日、気づいたんだよね。そっか、子どもを産まなきゃいいんだって」
「私みたいな育てられ方した人間がいい母親になんかなれるわけないから」
「産んだはいいけど愛してあげられませんでしたじゃ、子どもがかわいそう」

 反目していた2人には『毒親』によって苦しんだという共通する子ども時代があったのだ。深雪は子どもを育てることで、ちひろは子どもを持たないことで、当時のことに折り合いをつけているのだ。

 自分と同じく母親を「失った」亮太がSOSを発した時には必ずそばにいてあげたいと語るちひろの思いを知り、何かが溶けるような表情を見せた深雪が印象的。

 深雪はまだ自身の『毒親』に対し希望を持っているかもしれないが、ちひろは切り捨てているようだ。もし優香をあそこで叩いてしまっていたら、自分が優香に「切り捨て」られていたかもしれない。実際そんなことはないかもしれないが、深雪が、気まずい中、お菓子作りに来たのは、優香との関係を守ってくれたちひろに対する感謝があったのかもしれない。

 この物語では無理だろうが、いつかちひろが(勝手な推測だが)「切り捨て」た母親とまた通じ合い、亮太らを紹介できる、そんな日がきたらいいなと思った。

 そして、こういう場をちゃんとセッティングする奈々、頼もしい。

■死んだ母に「許された」亮太

 

 そして誕生日当日。ちひろは完成したケーキをうれしそうに差し出すも、亮太はいきなりそれを床に叩き落とし、「今日はお母さんが死んだ日だ」と外へ飛び出す。

「悪かった、私が! 知らなかったの! 今日がお母さんの命日だなんて知らなかったの」
「亮太ごめん、亮太を傷つけるつもりなんかなかったの! 本当にごめん、ごめんなさい、ごめんなさい!」

 正直知らなかったちひろに落ち度はないし、それはそれとしてケーキを叩き落とした亮太も幼いのだが、ちひろはすぐさま全力で亮太に飛び込んだ。本気で向き合おうとするちひろの思いが亮太に届く。

「仕事で(誕生日)一緒にいられないって言うから『お母さんなんか別にいらない』って言っちゃったんだ」
「でももう謝れない、お母さんのこと傷つけたの」

 あれから1年間、誰にも言えず、ずっと小さな身体で抱えていたのだろう。実父・亮司(平山浩行)にも言えなかった気持ちをちひろに向けて語ったのは、亮太もちひろに心から向き合おうとしているからだろう。

「2人とも亮太と暮らしたくて何年も親の権利を争ったんだよ? そうやって、やっと亮太と暮らす権利を手に入れたお母さんが、寂しさの裏返しで言った言葉を本気にするわけないじゃんか」
「悔しかったと思うよ、亮太を残して死ぬの、無念だったと思う。最後の最後まで亮太を残して死ぬの心配で心配で仕方なかったと思う」

 亮太はこの言葉がなかったら大人になっても後悔でずっと前を向けなかったかもしれない。死者は何も語れないが、亮太は初めて『許された』気持ちになったのではないか。高橋は強く気持ちを吐き出す芝居がよくハマる。筆者的にはこのドラマで一番のシーン。

 

■別れを切り出される深雪

 

 いつの間にか定期預金を解約していたことを知り、インスタ映えなど虚栄心を満たすために散財してるのでは? と深雪を責める真一郎(野間口徹)。しかし、夫のみならず子どもにまで裏切られたと思い込む深雪はもう限界を迎えており、「私はずっと後悔の連続」「私の人生は一体どこにあるのよ」と気持ちを吐き出すが、真一郎は「君一人に子育てをさせてしまったツケだな。済まない」と謝りつつも、離婚しようと告げる。

 争いを避けようとする彼らしい選択だが、今までと違い深雪の根底にある弱さを知った我々には、キレる深雪に、真一郎には届いていない彼女なりのSOSに感じる。子どもも引き取ると言われ、「魔法の架け橋」を奪われた深雪のこの先が心配だ。

 

■それぞれの「理由」

 

 今回、深雪やちひろの他にも、我々が初めて知る「理由」があった。

 子どもが1歳になったら仕事復帰したいという大器(松山ケンイチ)の妹・琴音(伊藤沙莉)と母親・聡子(高畑淳子)の対立。当初、早急な仕事復帰に反対してした聡子だが、「好きな仕事に汗水垂らして働いてるお母さんとお父さん見て育ったから、そんな姿を私も真奈(娘)に見せたい」という琴音の気持ちを知り、涙する。

 また奈々の上司・倉持(寿大聡)は奈々の不妊治療告白以後、やけに強く理解を示していたが、実は倉持にも7年間ずっと治療をして、やっと子を授かったという過去が。それゆえ「文句を言うとこっちが悪者みたくなる」と奈々への陰口をたたく他の部下に対し、「想像力が足りない」「人生には他人の協力がないとできないことがある」と理解を求める。

 それぞれ人には表面上ではわからない過去や背景がある。そんな当たり前のことに気付かせてくれ、他人に対する態度が短絡的な感情によるものではないか? と見ている我々にも自問させてくれる回だった。

 聡子は「自分と違う立場の人や違う事情を抱えた人のことも理解して思いやることができたら理想的だけど、実際はその立場になってみたり事情を聞いてみないとわからないことだらけ」と語っていたが、これが今回の主題だろう。

 厚生労働省とタイアップしてるだけに教訓めいたことをスローガンのように語ったり、言いたいことを言葉のみでつらつら語らせるシーンがときおり見られるのだが(言ってる内容は実に正論)、高畑が絡むと、演技が上手すぎて、その違和感がまったく気にならなくなるのが凄い。

 伊藤沙莉との親子ゲンカのシーンは毎回達者同士で見応えあるし、正直あまり上手い方ではない深田も高畑と絡むと見事に引っ張られているように見える。細かいが「二度見」の上手さなどは志村けんレベルだし、しつこいようだが高畑敦子、凄い。

 

■奈々が妊娠! だが……

 

 排卵を誘発する注射を自分で打ったり、一人で採卵の処置を受ける奈々の不安な様子も丁寧に描かれた。いよいよ体外受精、そしてついに妊娠。ここまで大器と苦労した回想が流れる。

 しかし、もちろん妊娠して終わりではないし、まだまだ不安定だ。この結末をどうもっていくのか。安易かもしれないが、無事出産してほしいと思う。しかし、実際悩んでいる人々は、あまりにご都合主義では冷めてしまう。もちろんその後の子育ても大変だし苦労は続く。

 残り2回。それぞれが腹を割り出してから面白さが加速している。次回が待ちきれない。
(文=柿田太郎)

視聴率恵まれぬ『海月姫』は次週で打ち切られてしまうのか? 「ズブ濡れで抱きしめる瀬戸康史がエロい」の声多数

 オタクばかりが住むアパート天水館を舞台に、そこで暮らすクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様を描く月9『海月姫』(フジテレビ系)の第8話は、視聴率5.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と最低記録をギリギリ回避。天水館が買収される絶体絶命のピンチに現れた超大金持ちは敵か味方か?

(前回までのレビューはこちらから)

 

■月海がシンガポール行きを決意

 

 世界を股にかけるアパレルブランド社長のカイ・フィッシュ(賀来賢人)は3億円出す代わりにジェリーフィッシュ(月海がデザインを手がける立ち上げたばかりのブランド)のドレスやデザインだけでなく、「他にない不思議な美的感覚をもっている」「0から1を生み出すことができる」デザイナーの月海ごと欲しいという。

 カイの本拠地・シンガポールに連れて行くと聞き、蔵之介(瀬戸康史)は「月海のことも、あの服のこともわかっていない」と英語で反論、譲らない。

 ジェリーフィッシュの出店スペースに戻った2人を待ち構えていたのは、ついに天水館の売買契約書を手に入れ、鼻高々のデベロッパー・稲荷(泉里香)。引っ越し資金50万出すから即退去しろと詰め寄る。

 金もないし、住むところも奪われかけ、八方ふさがりの天水館オタク住人(尼~ず)たち。

 一方、異母兄弟の兄・蔵之介の実母であるリナ(つまり父親の元愛人)にジェリーフィッシュ(蔵之介がプロデューサー)のドレスを届けるためミラノへ来ている修は、月海に渡す婚約指輪を作ろうとイタリア滞在を延期。

 そうと知らない月海は、助けを乞おうと鯉淵宅を訪ねるが、会えないどころか修はスマホをなくしており、連絡すらつかない。修の両親(慶一郎・容子/北大路欣也・床嶋佳子)に、それとなく助けを求めるが「残念だけどね、私にもどうすることもできないよ」と慶一郎。修のフィアンセとされている月海は、持ち前の人の良さで両親に好印象を残すが、慶一郎にダメな長男だと揶揄される蔵之介を必死にフォローする姿は何を意味するのか。

 失意の尼~ずメンバーは、お別れ会で泥酔。翌朝、稲荷が引っ越し業者を引き連れ天水館を強襲、力ずくで追い出しにかかるが、そこへ会社から急きょ買収が中止になったとの連絡が入る。

 前日「ここでしか生きられない人たちの集まりでしたから」と悲しそうに語るジジ(木南晴夏)の言葉を聞き、月海がシンガポールに行くことで天水館を救おうとカイに連絡、要求を飲んでいたのだ。

「私さえ向こうに行けば、みなさんがここに残ることができ、立ち退かなくてもよくなりますので」

 こう言って一人シンガポールに行こうとする月海を、尼~ずは引き止めるどころか「行ってまいれ」(まやや・内田理央)「天水館のためよ、がんばってね」(千絵子・富山えり子)と送り出す。その薄情ぶりにガッカリな蔵之介だけは、なんとか止めようとするも、迎えのリムジンに乗り月海はいなくなる。

 

■蔵之介と稲荷が手を組む?

 

 左折しにくそうな長いリムジンで寂れた漁港に連れて来られた月海は、そこでなぜか釣りをしながらカイの身の上を聞くことに。親に捨てられ施設で育ったこと、昔こうして釣った魚を、みんなで分け合って食べたこと。

 その後、気のいい漁労関係者にすんなり混じって、明らかに冷凍されてたような色あいの焼き魚を齧りつつ2人の距離がちょっと近づく。カイは「君が世界を変えるんだ」と、とことん本気。

 戻ってきたカイの元に詰め寄る「昨日の敵は今日の友」蔵之介と稲荷コンビ。往年のジャンプを思わせるライバル同士の力の合わせっぷり。ピッコロと悟空が手を組んだ時のような期待をしたものの、あっさり警備員に取り押さえられ、あげくカイに「私は月海さんを一流にする。貴方にそれができますか?」と圧倒的な自信を突きつけられる始末。

 パスポートができるまでと月海が送り込まれたのは、クリエーターたちが集まるという秘密のサロン・キューブ。「個人が持つ感性を高めることを目的として集まっている」らしいが、ただのオシャレ無職の合コン会場に見えなくもない。中には、今をときめくにゃんこスター(OPを歌う)も本人役で混在。ザ・ワタナベパワー。ちなみに稲荷の手下・佐々木として短い出番ながら好演が光る元アクシャンの安井順平もワタナベ所属だ。

■ずぶ濡れで抱かれる月海

 

 今回、月海がいなくなったことで、月海に対する蔵之介の気持ちがどんどん大きくなる。

「ここまでこれたのは、あいつがいたからだ」「なのに、あいつだけ犠牲にするなんて俺にはできない」と、月海を探すため運転手・花森(要潤)に頭を下げる様子や、ようやく帰国した修に「なんでちゃんと捕まえておかなかったんだ」「俺は諦めない。どこにいようと、どんな遠くに行こうと俺はあいつを捕まえる」と語る様子など、もう完全に恋。

 それでいて、月海のいるホテルに忍び込んでまで「あんなに真っ直ぐ好きになってくれるやつ他にいないからな?」「天然記念物みたいなもんだよ、あいつは」と修のフォローをするなど、じれったかった蔵之介だが、酔ってシャワーで倒れた勢いのまま「行くな、どこにも行くな月海!」と、介抱しようとする月海を強く抱きしめる。シャワーも止めずにずぶ濡れで抱き合う姿がエロし。

 だが、カイはカイで、「今夜は彼らの最後のパーティだ」と蔵之介が来ているのを知ってて泳がせつつ、次の日、蔵之介が寝ている隙に月海を連れだし「仲間なんてこの世界ではなんの意味もない、早く切り捨てたほうがいい」と迫るなど、余裕をみせる。ちなみに蔵之介たちはセックスとかしていないのかと勘ぐったが、してない模様です。

 

■尼~ずの真意

 

 気になるのは、月海を「売った」尼~ずたちだが、なぜあの時止めなかったんだと蔵之介に問い詰められると「月海殿の才能が買われたのだぞ」(まやや)「わしらと違ってあいつには才能がある」(ばんば)「みんな全然平気なんかじゃないわよ! 寂しいに決まってるじゃない! 悲しいに決まってるじゃない!」(千絵子)と、卑屈さゆえの行動だったことが判明。

 月海にこの気持ちを伝えるため彼らがとった行動は、ジジの愛する中原丈雄(本人役)の『たけ散歩』の生放送ロケに見切れる作戦。蔵之介や修、花森らとともに「月海さん帰って来てください」「尼~ずは永遠に不滅」と書かれたプラカードを持ち、気持ちを叫ぶ仲間の姿を月海は偶然目撃する。偶然すぎるけど。

 そこで皆の気持ちを知った月海は号泣。尼~ずのためならと自分を騙していた気持ちが崩れる中、次週へ。

 

■次回が最終回?

 

 次回予告には「ラストミッション」の文字が。普通なら、あと2話あるはずだが、視聴率的に打ち切りもあり得るだけに、今回の数字次第でどちらにもできる予告にしている気がする。十分来週終われるお膳立てが整ってしまっているのが気になってしまうが、なんとか持ちこたえていただきたい。

 今回、なんと言っても見所は蔵之介の覚醒だが、脇のサポートも光っていた。

 蔵之介に頭を下げられ「なる早で居場所調べて欲しい“ちゃんねー”いるんだけど?」と、ちゃらい口調で仲間に電話する花森は、ドラマ花森史上かつてなくかっこよかった。

「正直、前々から兄と月海さんとの間に固い絆のようなものを感じていて、僕が入り込んじゃいけないんじゃないかって」と気づいてしまった悲しい修の背中を「んなもん簡単でしょ? 好きか嫌いかどっち?」「だったらそのダサい指輪で止めて来なさいよ」と強く押してやる咬ませ犬的な稲荷もイカしていた。

 原作ではカイ・フィッシュが出てからそこそこ長いのだが、ボリューム的にも内容的(具体的なファッション業界の内情)にも無理だろし、どうまとめ上げるのか。もともと漫画の勢いで乗り切れていた整合性が実写だとどうしても気になってしまう部分も多いのだが、それを超える気持ちよさを最後に持ってきて欲しい。とりあえず、修と稲荷がくっつくことを勝手に強く希望して来週を待ちます。
(文=柿田太郎)

大告白大会……登場人物全員が愛おしく見えてくる『隣の家族は青く見える』はどこか懐かしいホームドラマ

 集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、4組の「家族」の価値観を軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。第7話で描かれたさまざまな告白。視聴率は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■3人の亭主の男子会

 

 夫が求職中のため、深雪(真飛聖)は実家の母(多岐川裕美・裕福そう)に生活費を無心したいが言い出せず。それどころか深雪の母が孫の中学受験の成功を願い口にした言葉がつらい内容だった。

「貴女は受験に失敗したところから、人生狂ってしまったから」

 おそらく深雪はずっとこの価値観を植え込まれて育ってきたのだろう。長女(優香・安藤美優)の受験に執着する悲しい背景。

 深雪は帰宅する途中、見知らぬ女性宅を隣人の大器(松山ケンイチ)が訪ねるのを目撃。「浮気では?」と奈々(深田恭子)に報告する深雪だが、奈々を思っての行為というよりは、自分の失意を他人の不幸で満たそうとする行為に見える。目撃時、思わず笑顔になっていた深雪の表情が忘れられない。こうやってずっと自分の精神を守ってきたのだろう。

 夫・真一郎(野間口徹)が、子どもに無償で勉強を教える学習支援ボランティアをしていると知り深雪は激怒。人生で初めてやりがいを見つけた真一郎は職探しをしつつボランティアを続けることを真剣に頼むが、それなら家を出て行けと言われ激高する。

 体外受精について相談する奈々に対し、大器はもう不妊治療をやめないかと提案。

「なんでステップアップするたびに、いろいろ理由つけて反対するの? 私もう反対されるの嫌なんだけど」

「俺だって嫌だよ! つらそうにしてる奈々見るのも嫌だし、つらいの我慢してる奈々見て見ぬふりするの嫌なんだよ?」

 不妊治療の話ばかりで余裕もなくなり衝突してしまうとデメリットを語り、これで夫婦と言えるのか? と吐き出す大器と、夫婦だからやってこれたんだと反論する奈々。後にそれはカウセリングに通っていただけだとわかるのだが、奈々は浮気のことも口にしてしまう。

 亮司(平山浩行)とちひろ(高橋メアリージュン)のカップルは、共に暮らすことになった亮司と前妻の子・亮太(和田庵)のことで衝突。

「亮司は亮太君に嫌われたくないんだよ? だから必死で機嫌とってるの。でも好かれもしないよ、このままじゃ? 彼の心の中に入ってってやらなきゃ、いつまでたっても欲しいもの買ってくれるだけの便利なおじさんのまんまだよ?」

「これは俺と亮太の問題だ、俺たち家族のことに口出さないでくれ」

 すぐさま言葉のあやだと謝るも、「家族」に加えてもらえなかったちひろは傷つく。そして「他人」だから見えていることもある。

 真一郎、大器、亮司は玄関を出たところで、ばったり遭遇。間髪入れず「いいところで会った、飲み行きましょう!」と誘ったのは、一番それを言わなそうなキャラ、真一郎。思わず「お前が誘うんかい」と言いたくなったが、このへんのセンスは毎回見事。大器の実家の居酒屋で発散する3人。

 楽観的過ぎるかもしれないが、この状況すら悪くないとすら思えてしまう。題材こそ現代的だが、どこか懐かしいホームドラマの匂いがする。今回特に。

■女子会に深雪乱入

 

 奈々、ちひろ、朔の女子会が今回も。ここだけドラマというより「コーナー」を見ている気持ちになる。ラジオの人気コーナーが始まった時の、あの気持ち。

 今回は、いきなり「子持ち」となったちひろの苦労話がメイン。「私はお母さんなんかしてません、良識ある大人として同居中の子どもに最低限の責任を果たしてるだけです」と謙遜しつつ、子ども嫌いのはずのちひろは、どこかうれしそう。

 子どもの面倒や家事で鏡を見る暇もないと語る中、奈々が言った「深雪さんのところとか2人もいるのに、いつもきれいにしててすごいよね」という言葉に共感する深雪の天敵・ちひろ。

 自分の芝がちゃんと他所からも、天敵からも青く見られているということを深雪にも早く気づかせてあげてほしい。そして自分の幸せを雑に扱い、安易に他人を羨む行為を自分はしていないのか? と、ふと考えさせられる。

「子どもがいない未来なんて考えられない」と語る奈々に「幸せな子ども時代だったんだね」と親のいない朔が、そして「みんながみんな子ども時代が幸せだとは限らないからね」と、ちひろが言う。奈々もまた、自分の当たり前の幸せに気づけていない部分があるのだ。

 今回はこの女子会に、なんと深雪が乱入。長女・優香が亮太と仲良くなってから成績が下がったと食ってかかる。「あの子の母親じゃないんで」と初めは流していたちひろだが、あまりの言われように「うちの亮太のせいでお宅の娘さんの成績が下がったっていう証拠でもあんのかって聞いてんのよ!」。

 第2話以来の両雄の激突。いつも思うが、高橋メアリージュンにはいつか女子プロレスラーを演じてほしい。きっとハマる。

 慌てる奈々に対し、「もっとやれー」と喜ぶ朔。そして、「うちの亮太」が聞こえたのか、うれしそうに覗き込む亮太。朔と亮太が絡むのが楽しみだ。

 

■広瀬のカミングアウト

 

 前回登場した広瀬の母・ふみ(田島令子)が、いきなり逆訪問。広瀬の意向でゲイカップルであることは隠しているため、それを汲んで広瀬不在の中、仕事の後輩として出入りしてるフリの朔が必死に「痕跡」を隠す。写真立てを隠し、ベッドを独り者っぽくして一安心……のはずが、リビングにデカデカと飾られた「(同居するにあたっての)三つの誓い」で即バレ。笑いました。それは以前決めた「喧嘩しても電話する」などの2人の取り決めで、しっかり布石回収。

 そこへ帰ってきた広瀬がはっきりとカミングアウトする。親に育てられず、しがらみなく生きてきた朔に対し、母親に初めてゲイを告白する広瀬はつらそうだ。

「何がいけなかったのかなあ……」「普通じゃないでしょ」「目を覚まして」と、息子を病気のように考え、原因を考えたり自分を責めてしまうふみ。

「原因とかない」「ゲイは病気じゃない」「普通ってなんなんだろうね」

 言い返すのも虚しそうな広瀬を見ていると、カミングアウトしたがらなかったことに納得してしまう。

 だが広瀬は「自分や自分の好きな人を否定されることが、こんなにも悲しいことだなんて、今の今まで知らなかった。カミングアウトしてよかった」と言い切った。おのおの同じタイミングで焼き芋を買ってくるほど繋がっている2人。朔はカミングアウトすることを安易に勧めていた自分を悔いているようだった。

 

■4つの「告白」

 

 今回、衝突と同時にさまざまな告白が見られた。

 ゲイであることの告白(広瀬が母に)、実は無職であったことの告白(真一郎が奈々に)は記したが、ちひろとまだ気まずい亮司は、亮太とベッドに入りつつ、離婚した原因を語った。お互い仕事のことばかりでの行き違いらしいが、時を経て仲直りし、ちひろとの再婚の予定を報告した際には「今度は大事にしなさいよ」と励まされたという。「遺言なら守らないとダメじゃん」と父をベッドから追い出す亮太と、その会話がうまい具合にちひろに聞こえているのもいい。

 そして、奈々は勇気を出して職場で不妊治療していることを告白。人手不足のためか理解してくれない目線も感じたが、それでも奈々は切り開きたかったのだろう。前の晩、ゴールの見えないつらさ、リセットされるたび、妊婦や赤ちゃんを見かけるたびに襲われるつらさを大器に語りつつ妊活続行への理解を求め、仲直りしつつベッドへ。

 男子会後、おそらくちゃんと喧嘩をしたことがなく落とし所がわからない真一郎だけは中庭にテントを張り、敷地内野宿。カップ酒で浮かれる野間口のアドリブっぽい芝居が光るが、深夜、凍える真一郎に「みっともないから戻って!」とイラつきながら許しを感じさせる真飛聖もよかった。この日は、この2人で副音声もしていたのだが、ここでも真飛が話をリードしていてなんか微笑ましかったです。

 今回、特に揉め事→理解、むず痒い仲直りの展開が心地よく、登場人物全員が愛おしく感じた回でした。次回も期待大です。
(文=柿田太郎)

視聴率4%台突入! フジ月9『海月姫』の工藤阿須加は、芳根京子以上にヒロインだ!!

 オタク女子だけが住む共同アパート・天水館を舞台に、主人公のクラゲオタク・月海(芳根京子)の恋模様などを描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。

 前回、修(工藤阿須加)が月海に好きだと告白し、盛り上がっていくはずなのに視聴率は4.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、低めで更新。若い層からは高い支持を得て評判も上がってきているようなのだが……。

 展開が早い編集などは若者向けだが、じっくり見たい層は敬遠してるのかもしれない。ベタな三角関係は大人も好きだと思うので、ここから巻き返してもらいたい。兄であるがゆえ弟の恋を応援しつつ、自らの恋心が膨らむ蔵之介(瀬戸康史)と、不器用な童貞の弟・修。あまり楽しめていない視聴者の方は、この2人の目線で見ることをお勧めします。振り返ります。

 

■月海を「フィアンセ」と呼ぶ修

 

 修に告白されて人格崩壊するほどテンパる月海は、蔵之介に電話で相談。なんの気なしに電話した月海だが、三角関係の一角を担う蔵之介は気が気じゃない。

 このままプロポーズをすると焦る修(蔵之介の異母弟)に、蔵之介は、月海がこれ以上パンクしないよう早まるなとアドバイス。月海に対する自分の気持ちが大きくなる中、弟を応援したい気持ちもありつつ、それでいて悪気ない月海に報告までされてしまい、あんなにリア充っぽいのに、オタク女と童貞男の恋に挟まれ三角関係の醍醐味にどっぷり浸かる蔵之介。

 一方、天水館住人(尼~ず)による服飾ブランド「ジェリーフィッシュ」は、ジジ(木南晴夏)が生産調整を務めだし、順調に制作を続ける。

 そこへ修からの、結婚を前提に交際してくれというマジのラブレターが届く。最初、差出人がわからず怪しい手紙だと思い、全員の前で読み上げたのは、またも蔵之介。早まるなと伝えたのに、まるで響いていない修のエネルギーがすごい。

 恋文に沸き立つ尼~ずたちの前に、今度は千恵子の母親(富山えり子・千恵子と二役)が登場。親子そっくりなのでコピーロボットだと言い出し、母親の鼻を押す安定のまやや(内田理央)の騒ぎぶり。千恵子の母を呼び寄せたのは天水館買収をもくろむデベロッパーの稲荷(泉里香)だが、出ていきたくない千恵子らは、こっそり土地の権利書を隠し、時間稼ぎ。

 その間にプロモーションスペースに出店し、売れ線のラインナップを売って大金を稼ごうと一同盛り上がる。盛り上がりのどさくさに乗じ「月海、今は恋をしてる暇なんかないからな?」と、少しずるい蔵之介。

 しかし修も月海を呼び出し、(天水館を守るため)力になるからと、ぐいぐい来る。ドラマ的には、とにかく蔵之介が「どう動くか待ち」な状況。

 月海を除く尼~ずは、天水館を守るため、月海と修をくっつけようというスタンス。

 修の父親の慶一郎(北大路欣也)は再開発側の稲荷とくっつけたいのだが、運転手の花森(要潤)には婚約指輪の購入に付き合うように言っているようで、それぞれの思惑が絡まる。そして早くも婚約する気の修のまっすぐさが少し怖い。

 修は稲荷のところへも出向き、法律では6カ月前には立ち退きを伝えないといけないと責めたて、その際も月海のことを「僕のフィアンセ」と公言、初恋をエネルギーにとにかくひた走る。

■蔵之介の「長男」っぷり

 

 告白されたことを、月海は、無神経にも蔵之介に優しい笑顔で語る。

「不思議なんです、この感覚。心の臓が激しく脈を打ち、神経が引きつるような痛みを伴い、なのになぜか不思議とつらくないんです。むしろこの痛みが心地いいんです。このまま死んじゃってもいいくらいに」

「よかったじゃん」「おめでとう、でもクラゲ服の方も頑張ってもらうからな?」と、いったん自分の感情を引っ込める蔵之介。このへんは設定変更されて「長男」となったことが生きている部分かもしれない。

 後半「私にとって蔵之介さんはクラゲのお姫様なんです」と、月海はふと口にしていた。まだ男性として意識していないのだろう。だからこそ、苦手な男性なのになんでも話せる関係になっているのだが(そもそも女装だし)。

 恋模様を交えつつ、なんとか売れそうな手頃っぽいワンピースなどを完成させるが、インド人の裁縫屋・ニーシャからは「めっちゃダサいやん」と酷評される。

 ニーシャは、ちまたに溢れるファストファッション(ユニクロとかH&Mみたいな流行デザインを低価格で作るアパレル)批判をぶちまけたあげく「この業界は、とっくに終わってんねん」と吐き捨てる。当たり前だけど、服飾系のスポンサーは入っていなかったので一安心。

 酷評され落ち込んでいた月海だが、「毒クラゲ」というコンセプトを思いつき、真っ白で物たりなかったデザインを染め上げる。

 

■父親の愛人に会いに向かった海外

 

 自分の異母兄弟である蔵之介の実母・リナにジェリーフィッシュのドレスを届ける修。まさかのイタリア・ミラノ。5話の韓国といい、意外と世界を股にかける展開だが、予算的な問題か、まったくミラノの映像はなし。

 初めての恋を謳歌している修は、父の愛人でもあるリナに初めて正面から向き合い、嫌いだったという彼女を理解しようとする。

「誰かのことを本当に好きになると愛おしくて苦しくてどうしようもなくて気持ちを抑えることができない」

「だからもう僕に謝らないでください。悪いと思わないでください」

 女性嫌いの根源となったリナに、それを伝えにきたという。恐ろしい行動力だ。

 別れ際、「蔵之介には今、恋人がいるの?」とデリケートなことを聞くリナに「大切に思っている女性はいると思います」と、蔵之介が月海にキスをしていたこと(5話)を回想しながら答える修。

 もしも蔵之介がその子(月海)とうまくいくようなことがあったら「たくさん蔵之介を愛してあげて、私の分まで」と、その子に伝えて欲しいと、酷なお願いをするリナ。これは布石になりそうだから、覚えておきましょう。

 

■あらたなイケメンが三角関係に乱入?

 

 月海が出来立ての店に向う途中、謎のイケメンが新たに登場。バイリンガルのカイ・フィッシュ(賀来賢人)は、そのまま出店を手伝うが、実は海外に150店舗ものセレクトショップを手がけるアパレルの社長であることが判明。

 3億円でドレスのデザインごと売ってほしいとの提示に「これで一発逆転だ!」と喜んだ蔵之介だが、「デザイナーのMiss月海、貴方と一緒に」と、カイは意味深な付け足し。

 金持ちの息子の蔵之介に輪をかけたハイパー金持ちで、都合よすぎるくらい渡りに船だが、ジェリーフィッシュの出店に対し「何日あったって売れません」「あそこ(出店スペース)は負け犬の集まり」と、不穏なことを平気で言う。そんなカイと蔵之介が、次回激突する模様。

 蔵之介、修、カイ・フィッシュと、まさにこの世に春といった感じのヒロイン月海だが、このドラマを見ていると、つい修を気にしてしまう。高学歴はともかく、冴えない具合は月海以上だし、実母とのことで悩みつつも自由に生きる蔵之介に対し、しがらみまみれの親の秘書を務めつつ、リナと父親の情事を目撃してしまったというトラウマを乗り越え成長していくさまは、月海以上に応援したくなるし、不器用に月海と接しながらも、たまに笑顔を見せると、ついうれしくなってしまう。

 彼こそがこのドラマの真の「ヒロイン」なのでなないか?

 最後、せっかく隠した権利書が、鳩サブレーの空き缶に入って埋められているのがあっさり稲荷に見つかってしまった。次回、修をヒロインとして楽しみつつ見てみたい。
(文=柿田太郎)

フジテレビ『隣の家族は青く見える』高畑淳子の“顔芸”が達者すぎ!

 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。第6話の視聴率は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)ですが、オリンピックの最中、ドラマは録画が増えるので、もはや視聴率に意味はないでしょう。前回から2カ月が経過した4家庭の現状から振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

■高畑淳子の表情だけで笑える

 

 大器(松山ケンイチ)の両親と妹夫妻が、前回生まれた子どものお宮参りの帰りに、大器と奈々(深田恭子)の住むコーポを訪ねて来る。鯛のお頭付きのお祝い膳で迎える古風な奈々。

 奈々が言った「子どもが生まれる事自体が奇跡」という言葉に感動し、琴音(伊藤沙莉)が命名したのは「真奈」という名前(ちなみにハワイ語でマナは奇跡という意味だとも)。その琴音は、旦那の啓太(前原滉)に対し「おむつ変えただけで『俺今日めっちゃがんばった』みたいになる」のが気にくわない。いわゆる産後から旦那への嫌悪感が強まる「産後クライシス」。後半に妊活クライシスにも触れる場面もあり、未経験にはピンとこない「危機」を、多少教材的にだが教えてくれる。

 前回、奈々らが不妊治療をしていることを知り、自分の無神経な振る舞いを涙ながらに後悔した聡子(高畑淳子)は、子どもの話題になるたびに逆に過剰にドギマギ。高畑の顔の芝居があまりに冴えまくるので、全員のシーンで、この人の表情だけ見てても面白い。高畑主演のコメディドラマが観たい。

 広瀬渉(眞島秀和)は独立し、自宅で仕事を開始。それに応じるように、慣れない家事や大検の資格を取ろうとしたりするパートナー・朔(北村匠海)。前回「あなたは彼にはふさわしくない」と広瀬の元同僚・長谷部(橋本マナミ)に言われたことが大きいようだ。

 そして、別れる寸前だったのに焼けボックリに火がつき燃え上がり、結局踏みとどまった川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)の事実婚カップル。ちひろは同居しだした亮司の前妻との子ども・亮太に歩み寄ろうとするが、亮太は拒絶しているように見え、双方うまくいかない。そんな中、亮司はよきパパになろうとしすぎて亮太を過剰にかわいがり、それがちひろは気に食わない。

 なかなか深刻な環境だと思うのだが、ちひろと明るく喧嘩しつつ、たまにいちゃつく様子は重くなりすぎない。今回も、ぞんざいに扱われるちひろと高橋のバタ臭い演技がマッチ。コメディ時の篠原涼子を彷彿とさせ、ますます仕事を増やしそう。『ラストシンデレラ』(フジテレビ系)で共演してますね。

 ちひろ、奈々、朔の仲良し女子会も恒例化。

 夫婦になり「安心」してしまうことを回避するため事実婚にしたと語るちひろと、それに対し「選択して事実婚なのと、事実婚しか選択できないのは、また違う」という同性カップルの朔。「逆に婚姻届という拘束力のあるものが欲しい」と願うなど、それぞれの価値観を素直にぶつけ合える関係。仲よすぎて、どこか特典映像のアフタートークにすら見えてくる。誰しも、こうなれたらいいのだが。

 小宮山深雪(真飛聖)は、長女・優香(安藤美優)の成績が落ちたことで悲願の私立中学入学に焦りだす。深雪に秘密で友達とダンス練習をする優香と父親・真一郎(野間口徹)は理解し合っており、さきほどの女子会トーク仲間からも浮き立ち、深雪だけがドラマの中で浮いてきている。自分勝手な価値観を押し付けたり、他人の価値観を否定してしまったり、どうしても「加害者」的な見え方になってしまうが、どんどん孤立してしまうことで余計、自分の価値観に必死にすがろうとする様が痛々しく、悲しく見えてくる。価値観に縛られ、もがき苦しむ様に見える深雪と、どう接するべきか? そんな問いを投げかけられているようにも感じる。

 今回、優香と亮太が同じクラスになっていたことも判明。こっそり優香を隠し撮りするなど不審な行動も見せたが、この突然現れた亮太が小宮山家に風穴を開けてくれるのか。朔もそうだが、深雪の価値観をポーンと飛び越えていくような人物と触れ合わせてほしい。すっかり「悪者」な深雪に、ドラマ後期、改心させるとかそんな単純なことではなく、もっと多くの人が感情移入してしまうような作りになってほしいし、時折その気配も感じる。

 今回、琴音が慣れない育児で必死になり、周りを全て敵としてみてしまうような場面があるのだが、深雪も真一郎が単身赴任している中、こうして苦労して必死に育児をしてきたのかと思うと素直に憎めない。

 ちなみに、優香の友人が、ダンスをしていることを亮太が親(深雪)にばらさないように「念のため口止めしときなよ」と優香にけしかけるのが、どこか残酷で笑いました。

■奈々の4度目の人工授精の結果は?

 

 一方、不妊治療のために仕事を調整しているのだが、それが言えないため、ついに理解ありそうだった上司に「やる気ないスタッフ雇ってるほど余裕ないんだよね」とまで言われてしまう奈々。他の同僚が妊娠したため人手が足りないらしく「こういうのってお互い様だから」と、あまりに悲しい言葉まで言われてしまう。他人を理解することの難しさ。自分の立場も言いたいが、いろいろ考えると奈々は言えないし、言わない人だろう。気遣いから我慢したり言えない人が損をしてしまう仕組みをヒリヒリと見せる。同じことを自分は誰かにしてしまっていないか? と考えてしまう。

 足を骨折した母親を見舞うため実家を訪ねるも、結婚や孫を強くせっつかれてしまう広瀬。後輩のふりして付いていった朔は、ゲイであることを告白しないことが親に対し残酷だと言い、広瀬は隠し通すことこそが親孝行だと言う。どちらが正解か、答えはない。どちらの価値観もあることを認識するのが正解なのかもしれない。カミングアウトするかしないかのスタンスで、たびたびぶつかる広瀬と朔だが、今回は親がいない朔の気持ちも影響しているようだ。広瀬の実家に着いた当初、柱に隠れるように所在無げにしていた朔。他人からの見え方にこだわってしまう深雪とは真逆で、しがらみから自由で、身軽で、それが強さにも見えたりもする朔だが、本人はその価値には気づいておらず、すぐ子どものようにヘソを曲げたりもする。代わる代わる他人の側面を見せるドラマだからこそ気づかせてくれる幸せのあり方。幸せの青い鳥の童話じゃないが、隣の芝だけでなく自分の家の芝の青さに気付けたらいいのだが。

 ちょっとしたミスだけで急に母親としての自信をなくし、弱音をぶちまけてしまう琴音。できちゃっただけで「子どもなんて欲しくなんてなかった」と感情だけで口走る琴音に平手打ちを食らわせる聡子。横にいる奈々を思っての行為だ。

「世の中には赤ちゃんが欲しくたってできない人だっているんだよ」「謝んなさい!」と泣きながら、ただならぬ気迫で迫る聡子に思わず「……誰によ?」と聞いてしまう琴音。このシーン、感動したという声も多いし、もちろんその意図はあるのだろうが、同時に少しだけ笑わそうとしている。このバランスが綺麗だし、挑戦的だ。

 あからさまな聡子の態度で、奈々は自分の不妊治療を聡子が知ってることに気づく。

 子どもをせっついたことを謝り「子どもができようができまいが、そんなことどうだっていいの、あんたちが幸せに暮らしてたらそれでいいのよ」と心から奈々に訴える聡子。真っ先に今ある目の前の幸せに気付けたのは聡子なのかもしれない。

 少しずつ、登場人物の悩みの裏側が見えてきたシリーズ中盤。価値観の違う人物と人物が触れ合うことが毎回新鮮に楽しみで、絡んでない人同士をつい考えてしまう。

 ちひろが触れようとすると激怒していたスマホを深夜に握りしめ、事故で急死した母親からの何気ない留守電の声をヘッドホンで繰り返し聴き涙する亮太には、親がそもそもいない朔がきっと寄り添ってくれるだろう。

 そして4回目の人工授精も残念な結果に終わってしまった奈々。大器が不倫? 浮気? のように訪ねた女性は誰なのか? ひやひやしながら次週を待ちたいと思います。
(文=柿田太郎)