杉咲花が主演する日本テレビ系連続ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』が秋ドラマのダークホースとして注目度を高めている。視聴率の上昇や視聴者の満足度の高さなど好調ぶりが際立っており、前クールの『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』に負けないヒット作となりそうな気配なのだ。
同ドラマはWEB連載の人気4コマ漫画『ヤンキー君と白杖ガール』(KADOKAWA)を原作に、勝ち気だ…
杉咲花が主演する日本テレビ系連続ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』が秋ドラマのダークホースとして注目度を高めている。視聴率の上昇や視聴者の満足度の高さなど好調ぶりが際立っており、前クールの『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』に負けないヒット作となりそうな気配なのだ。
同ドラマはWEB連載の人気4コマ漫画『ヤンキー君と白杖ガール』(KADOKAWA)を原作に、勝ち気だ…
杉咲花が主演する日本テレビ系連続ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』の第1話が6日に放送され、平均世帯視聴率8.8%、個人視聴率4.8%だったことがわかった。前クールの『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』の全話平均が11.4%だったことを考えると厳しい出だしとなったが、視聴者からは好評で見逃し配信でも人気が高く、これから上向いていく可能性が十分あると期待されているようだ。
<…2020年秋に放送開始するNHK連続テレビ小説『おちょやん』のヒロインが、若手演技派女優の杉咲花に決定した。
同ドラマは「大阪のお母さん」として親しまれてきた、女優・浪花千栄子さんの人生をモデルにした作品。大阪の南河内の貧しい家に生まれた主人公・竹井千代が、奉公に出ていた道頓堀で芝居のすばらしさに魅了され、女優の道を目指して、喜劇の世界と出会い、喜劇界のプリンスと二人三脚で、昭和の戦前、戦中、戦後の激動期を駆け抜ける物語だ。
朝ドラといえば、オーディションを開いて経験の乏しい若手女優をヒロインに抜擢するのが慣例だったが、18年後期『まんぷく』で実力派のママさん女優・安藤サクラをキャスティングで起用してから流れが変わった。記念の100作目(今年前期)となった『なつぞら』の広瀬すず、オンエア中の『スカーレット』の戸田恵梨香、来年春にスタートする『エール』の窪田正孝、そして『おちょやん』の杉咲で、ヒロイン(主演)は5作連続、オーディションなしでの選出となった。
熱心な朝ドラファンの中には、「キャリアの浅い無名の若手ヒロインがドラマを通して成長していく姿を見るのが楽しみ」という人も多い。事実、朝ドラで飛躍した、『あさが来た』の波瑠、『とと姉ちゃん』の高畑充希らは、その後大ブレークを果たしたし、『半分、青い。』の永野芽郁は各方面からオファーが殺到しているという。それではなぜ、NHKは路線を変更して、朝ドラのオーディションをやらなくなったのだろうか。
「一言で言えば、ズバリ視聴率至上主義とNHKの働き方改革の影響でしょうね。朝ドラは『あまちゃん』(13年前期、能年玲奈=現のん=主演)が社会現象を巻き起こすほどの大ヒットとなり、以後、視聴率20%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・以下同)超えが当たり前になっていて、着実に数字が獲れる女優をキャスティングで選択するように変わりました。また、働き方改革で、撮影にかけられる時間的な余裕がなくなったのです。キャリアのないヒロインを使うことで、NGや演技指導が増えてしまうと、もう時間が足りなくなってしまいます。オーディションからキャスティングに変更されたのは、もう必然だと思います。今後、仮にオーディションをやることがあっても、“出来レース”の可能性が高くなるでしょう。使えるかどうかわからない未知数の女優を、いちかばちか抜擢する余裕はないですよ」(テレビ局関係者)
新たにヒロインに決まった杉咲は『とと姉ちゃん』で、主人公・常子(高畑)の妹・美子役で出演しており、朝ドラのハードな撮影も経験済み。放送中のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』での演技も高評価を受けている。1月期に主演した連ドラ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)は平均10.7%と、しっかり結果も出しており、NHKとしては、ヒロインにうってつけの人材だったのだろう。新人ヒロインのフレッシュな演技を、もう朝ドラで見られなくなるのはさびしい気もするが……。
情報が溢れる現代社会において、どうすれば天職と呼べる仕事に就くことができるのでしょうか。悩める現代人の背中を温かくプッシュしてきた杉咲花主演ドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。ベテラン脚本家・遊川和彦の筆も暴走することなくクライマックスを迎えました。最終回となった第9話を振り返りたいと思います。
(前回までのレビューはこちらから)
前回の終わり、派遣先のイベント会社で倒れてしまったアタル(杉咲花)。目を覚ますとそこは病室で、大崎課長(板谷由夏)が「大きな病気じゃないから安心して。医者は過労だろうって」と説明します。イベント会社Dチームのメンバーを毎週のように鑑定していたアタルは、相手の苦しみや痛みにも触れるため、かなりの体力を消耗していたのです。アタルの毒親・キズナ(若村麻由美)が「もう占いはやめなさい」と言っていたのは、アタルの体を心配しての言葉でもあったことが分かります。
とりあえず、1日ぐっすり眠ったアタルは、元気に職場復帰。前回、アタルが籠で飼っていたカナリアを空に放つという不吉なシーンがありましたが、どうやらこれは最終回を盛り上げるためのミスリードで、本気の死亡フラグではなかったようです。ホッとするような、余計な思わせぶりにカチンとするような……。
最終話の案件は、前回に続いてゼネコンのCSR(社会貢献)事業としての卒業式イベントです。これはアタルが発案したもので、自然災害で卒業式が開けなかった被災地の小学生たちのために、きちんと卒業証書を渡してあげようという趣旨のものでした。
被災地を励ます復興支援イベントのはずが、クラアント企業の宣伝色が強く、イベントに参加した小学生の親たちからはブーイングが飛び交います。卒業ソングを歌うはずだった地元出身の人気歌手は熱愛が発覚し、出演をドタキャン。代々木部長(及川光博)が「私が代わりに歌とダンスを披露してもよいのですが……」とマイクでアナウンスするシーンでは、多くの視聴者が「ミッチー、最終回なんだし、歌って踊れよ」と心の中で叫んだはずです。
ミッチーが歌とダンスを披露することもなく、卒業イベントは最悪の雰囲気に。そんな中、アタルは子どもたちの心の声に気づきます。子どもたちはゼネコンだとかクライアントだとかCSRだとかは関係なく、単純に小学生時代にお世話になった先生や家族、地域の人たちに「ありがとう」という気持ちを伝えたかったのです。アタルにそっと促される形で、子どもたちは事前に練習していた感謝の言葉をそれぞれ口にするのでした。子どもたちの純粋さのお陰で、卒業イベントは無事に終わることができました。
卒業イベントを終えたアタルは、やはり自分は占いの能力を活かした道を進むべきだと痛感します。せっかく、Dチームのメンバーと仲良くなったアタルですが、お別れの時間のようです。Dチームのメンバーもアタルの決断に納得し、アタルの背中をみんなで押すことになります。
アタルの最後の占いが始まりました。お腹の大きくなった神田(志田未来)には、目黒(間宮祥太朗)ときちんと話し合うべきだと伝えます。その結果、神田はお腹の赤ちゃんの父親である元彼と復縁することを目黒に打ち明けます。「がってんです!」とは言えずに落ち込む目黒には、「近いうちに運命の出逢いが待っています。だから、そのままの目黒さんでいてください」と励ますのでした。
コミュニケーション能力に難のある上野(小澤征悦)には、相手にストレートに気持ちをぶつけるようアドバイスします。いつもクールな田端(野波麻帆)には「物事を悲観的に考えすぎないで」と助言。その結果、上野はその場で田端にプロポーズ。田端も快諾し、結婚へと大きく前進します。
新しい企画書を書けずに悩む品川(志尊淳)には「将来は上野さんに負けない伝説のイベントをやることになります」と予言。そして義母の介護をするため退職することを考えている大崎課長には、「家族で話し合って、会社は辞めないでください。あなたは将来、この会社の社長になる人です」と目の前のトラブルを解消できれば、明るい未来が待っていると占うのでした。もうひとり、代々木部長には「この会社では出世の見込みはありません」と独立することを勧めます。
前回で伏線は全部回収を終えていたので、最終回はエピローグというか、はっきり言うと蛇足感は否めません。それでも脚本家の遊川和彦は、卒業式シーズンに合わせて、各キャラクターたちが占いに頼ることなく生きていく姿を最後に描きたかったようです。ちなみに第1話&第2話に続いて、最終回の演出も遊川自身が担当しています。
ここでアタルに代わって、脚本家・遊川和彦を占ってみましょう。広島県出身の彼は「映画監督になる」という大志を胸に上京しました。夢を叶える第一歩として製作会社のADとして働き始めますが、連続ドラマのチーフディレクターになることはできず、脚本家に転職することになります。AD時代の苦労や悩みを描いた加勢大周主演ドラマ『ADブギ』(TBS系)が好評となり、人気脚本家に。やがて『女王の教室』『家政婦のミタ』(日本テレビ系)で記録的高視聴率を残し、ヒットメーカーとしての地位を不動のものにしました。
阿部寛と天海祐希が共演した『恋妻家宮本』(13年)で映画監督デビューを果たし、長年の夢を現実のものに変えています。そして『ハケン占い師アタル』では脚本だけでなく、チーフディレクターも兼任することで、AD時代の果たせなかった願いをきちんと形にしてみせたわけです。映画監督やチーフディレクターには真っすぐな道程では辿り着けなかったものの、脚本家という別のルートを切り開いたことで、夢を手に入れることに成功したのです。
「失敗しても、いろんなことにチャレンジできる人が、いつか才能があると呼ばれるんです」と品川に贈ったアタルの格言は、脚本家・遊川和彦が自分自身に言い聞かせてきた言葉だったようです。
気になる15分拡大最終回の視聴率は11.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。第8話は9.8%と二ケタを割りましたが、無事に二ケタに復活、第1話の12.1%に次ぐ好数字を残しました。初主演ドラマ『花のち晴れ』(TBS系)がコケた杉咲花に加え、共演陣も地味だったことからオンエア前は期待されていなかった本作ですが、杉咲や志田未来らの演技は安定しており、遊川和彦の台詞の数々も人生経験抱負なベテラン脚本家ならではの含蓄を感じさせるものとして視聴者に好意的に受け入れられました。
個人的には、もっと遊川脚本の毒々しさに期待していました。Dチームのメンバーが、アタルの占いに依存して、どんどん腐ってダメ人間化していく危ういエピソードがあったら、かなりの話題になっていたのではないでしょうか。芸能界は霊能者とズブズブの関係にあることに言及できなかったことも残念です。ちなみにオセロの中島知子が依存していた自称霊能者はマンションを締め出された後、派遣社員として働くことで生計を立てているそうです。ネット記事で見かけました。ハケン占い師が実在することにびっくりです。
最終回は、イベント会社を去ったアタルが濃厚な負のオーラ漂わせる職場を見つけ、「ハケン占い師アタルです」と押し掛けるところで終わりました。新しい職場で、第2シリーズが続く可能性があることを匂わせるエンディングです。テレビ朝日は放送20周年を迎えた『科捜研の女』の沢口靖子のように、杉咲花にも占い師を延々と続けさせるつもりでしょうか。それはさすがにしんどいでしょう。沢口靖子道を歩めるのは、沢口靖子だけですから。
エンディングで印象に残ったのは、上野と田端の両家が初顔合わせした食事会のシーンでした。緊張しがちな食事会を盛り上げようと、普段はマジメな田端は「この結婚で、みんなが幸せになるかどうかを占います!」と唐突に言い出します。シュウマイをみんなで一個ずつ食べることで、ロシアンルーレットふうに「幸せになる、ならない」を判定しようというものです。その結果は、見事に「幸せに……ならない」でした。オー・マイ・ガーッ! でも、即座に上野がシュウマイを追加オーダーすることで「幸せになる」に変えてしまいます。要は占いや運勢といったものをどう受け止めて前向きに生かすかは、本人たちの工夫と努力次第ということをこのドラマは伝えたかったようです。
それにしても、第8話でアタルが放ったカナリアはその後どうなったのでしょうか。そのことが唯一の気がかりです。
(文=長野辰次)
働く人々の悩みを、毎回無料ですっきりとカウンセリングしてくれる『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。若手演技派・杉咲花とベテラン脚本家・遊川和彦との年の差タッグの活躍も残すところ僅かとなりました。実質的な最終回となった第8話を振り返ってみましょう。
(前回までのレビューはこちらから)
かつて人気占い師だったアタル(杉咲花)ですが、今は派遣社員としてイベント会社で働いています。そんなアタルの前に、母親のキズナ(若村麻由美)が現われました。大崎課長(板谷由夏)に退職願を渡し、一方的にアタルを連れ戻そうとします。「あなたの金儲けに利用されたくない」と抵抗するアタルですが、派遣先に退職願を差し出す常識知らずのキズナは聞く耳を持ちません。「あなたに占い以外の何ができると言うの?」と娘の働く職場で言い放ちます。いわゆる“毒親”のようです。
ここで、いつものごとく代々木部長(及川光博)が大崎課長らDチームのメンバーに難しい案件が届いていることを知らせます。大手ゼネコンのCSR(社会貢献)イベントのコンペがあるので、参加するようにとのことです。いつもは雑用を黙々と片付けているアタルですが、このコンペにオリジナルな企画を提案し、自分は会社に必要な存在であることを証明しようとします。
普段は冷静沈着なアタルなのに、自分が中心となって企画を考えるというプレッシャーから自分を見失ってしまいます。得意にしていた伝票整理やコピー取りでもミスを連発。会議の席では「ゼネコンのアイデアは、全然出てコン」と意味不明なダジャレを口にしてしまい、上野(小澤征悦)から「キャラじゃないから、やめとけ」と諭される有り様です。占い以外にも自分には能力があることを証明しようとするアタルの空回りが続きます。
コンペ案は防災講習を授業形式で開くという無難なものにまとまりかけますが、アタルは「何か違うかなって。クライアントは今までにないものと言っていたわけで……」と異議を唱えます。品川(志尊淳)は「派遣なのに企画案に反対するなんて」とディスります。アタルの占いのお陰で仕事の面白さに目覚めた品川ですが、恩はあっさりと忘れるタイプのようです。せっかく明るく働きやすいムードになっていた職場ですが、久々にギスギスした空気が戻ってきました。
冴えないときは冴えないことが続くものです。アタルが占い師だったことが社内で評判となり、「私たちも占ってくださ~い」と女子社員たちがアタルのもとに押し寄せてくるのでした。大崎課長たちが「ここは職場ですよ」と何とか追い返しましたが、やはりアタルには占いの道しかないのでしょうか。どんどんダウナー状態に陥っていくアタルでした。
ここまで1人で悩んでいたアタルですが、それは第1話から第7話までのDチームのメンバーの姿でもありました。神田(志田未来)のように自分に自信が持てず、目黒(間宮祥太朗)のように1人で空回りし、田端(野波麻帆)のように心を閉ざしてしまっていたのです。ここぞとばかりに、声の大きな上野が切り出します。「しようがないな。俺たちでアタルを占ってやるか!」。体育会系のパワハラ野郎だった上野ですが、すっかり頼りがいのある先輩になっていました。
会議室にこれまでアタルの占いによって救われたDチームの7人が集まり、アタルをカウンセリングします。アタルからの質問は「みなさんは、この会社で私に何ができると思いますか?」というシンプルなものでした。Dチームのメンバーにはアタルのような霊能力はありませんが、世界中の人々を感動させる奇蹟のチームとしての自負と団結力があります。Dチームを代表した大崎課長のアタルへの言葉はこうでした。
「自分にしかできない仕事。それは見つけるものじゃない、創るものじゃないかな。毎日時間をかけてコツコツ続けていくしかないんじゃないかな」
これまでアタルがDチームのみんなを励ましてきた言葉をぎゅっと凝縮し、悩んでいるアタルに優しく返す大崎課長でした。心温まる優しいブーメランに、アタルだけでなく視聴者も思わずウルッとしてしまいます。
職場の仲間たちに背中を押され、アタルはこれまで避け続けてきたキズナと正面から向き合います。「まだ答えは見つからない。でも、私はもがきたい。この会社で自分は何ができるか、もがき続けたい」と訴えます。警備のおじさんも、食堂のおばちゃんも、清掃のおばさんも、居酒屋の店長も、それぞれ特種能力を持っているわけではありませんが、それでも懸命に働く彼らの明るさ、朗らかさに敬意を感じていることをキズナに伝えます。
ここで、これまでスマホで撮ってきた記念写真の数々を見せるアタルでした。初めてのコピー、初めてのボード、初めての会議……。小さい頃から占いしかやらせてもらえず、高校にも進学させてもらえなかったアタルにとっては、何でもない雑用の数々も貴重な体験だったのです。働くということはお金を稼ぐだけではなく、社会と繋がるという行為でもあるわけです。これまでの伏線やエピソードがずんずん回収されていく第8話でした。
ところがまぁ、アタルが頭を下げてお願いしても、毒親キズナは金の卵を産むアタルを手放そうとはしません。こうなったら最後の手段です。「わかりました、あなたを鑑(み)ます」と実の母親であるキズナに宣告するのでした。
「母親だから言いたくなかったけど、いちばん酷いものが見えているんだよね」とアタルは容赦ありません。アタルの霊能力によって、キズナはうさん臭い占い稼業にハマるようになった過去へとタイムスリップします。そこにいたのは小学生時代のキズナでした。その頃のキズナは親が離婚したことから、同級生たちのイジメに遭っていました。イジメ地獄から抜け出したいあまり、少女時代のキズナはイジメっ子たちを「このままだとあんたたち死ぬよ。悪霊が取り憑いているよ」と脅すことで難を逃れたのでした。それ以来、キズナは霊能力のあるふりをして、今日に至ったのでした。
「これ以上、ママのことを嫌いになりたくない。私はドキドキしたいの。私はママから卒業したい」と占い師に戻ることを拒むアタルでした。と、自分の口にした言葉によって、アタルはひとつのアイデアが閃きます。ゼネコンのCSRイベントですが、被災地で卒業式ができなかった被災者家族に向けて卒業式形式のイベントを開くことを思いついたのです。
いつも会議中、居眠りしている代々木部長。これは現在公開中のミッチーが出演している映画『七つの会議』の主人公“居眠り八角”のパロディでしょうか。それはさておき、珍しく会議中も起きていた代々木部長は、アタルの企画案を「アタルちゃん、ナイスアイデア!」と称賛します。キズナもようやく諦めたようです。「もう二度と来ないわ。ただし、占いはやめなさい」「自由になりなさい。言っとくけど、自由ってしんどいわよ」と毒親なりの親身な言葉を残し、去っていくのでした。アタルの占いによって、霊能力がないことを明かされたキズナは、これから勉強し直して本物の占い師になるそうです。
今回で最終回と言っていいんじゃないかという濃い内容だった第8話。次週が最終回だそうです。そして不吉な死亡フラグが終わりに盛り込まれました。それまでアパートでカナリアを飼っていたアタルですが、キズナからの巣立ちと重ねるようにカナリアを籠から取り出して、空へと放ったのです。室内飼いしていたペットを野放しするという愚挙! いきなり自由の身になったカナリアは果たして生きていけるのでしょうか?
気になる第8話の視聴率ですが、9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。第6話の9.5%以来となる10%割れです。毒親を演じた若村麻由美の熱演もあり、内容的にはもっと数字が伸びてよさげでしたが、遊川脚本らしくないウェルメイドなストーリー運びが視聴者に飽きられてきたのでしょうか。
第8話の最後、職場で意識を失いぶっ倒れてしまったアタル。自由にしたカナリアに続いての死亡フラグです。占い師は自分の未来は占えないという、占い師のジンクスを逆手にとったような最終回となるのでしょうか。このままウェルメイド路線で終わりを迎えるのか、それともNHK朝ドラ『純と愛』や『○○妻』(日本テレビ系)のような衝撃のエンディングとなるのか。遊川脚本が一体どんな結末を用意しているのか興味津々です。
(文=長野辰次)
杉咲花演じる主人公・アタルの占いパワーによって、風通しのよい活気に満ちた理想の職場が誕生しつつある『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。ベテラン脚本家・遊川和彦のペンさばきも、オープニング曲のように軽快です。ミッチーこと及川光博がメインとなった第7話を振り返ってみましょう。
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親会社から出向してきた代々木部長(及川光博)は、出世欲の強い超俗物人間です。本社の社長にゴマをすりすり擦ることが、代々木部長の主な仕事です。タワーマンションに妻、年頃の娘2人と一緒に暮らしていますが、娘たちに「タワーマンションなのに5階じゃ、友達を呼べないよ」と愚痴られ、心の中で舌打ちする毎日でした。奥さんに「お茶にします?」と尋ねられても、やはり心の声で「いつもお茶だろ? いちいち聞くなよ」とディスってしまいます。2018年11月に女優の壇れいと離婚して間もないミッチーが演じると、代々木部長の深いため息がやたらとリアルに感じられます。
第6話では人事異動前に点数を稼ごうとリストラ計画を独断で進めた代々木部長ですが、アタル(杉咲花)の占いによって覚醒した大崎課長(板谷由夏)によって阻止されてしまいました。そのことを根に持った代々木部長は、これまで以上の難題を大崎課長たちDチームに与えます。普段は明るいみんなのミッチーも、怒らせるとすっごく怖そうですね。
代々木部長が持ってきた難題は、NY在住の人気ピアニストの来日ミニコンサートを1週間で企画しろというものでした。観客の人数が少ないという理由で、コンサートをドタキャンしたこともあるピアニストだとのこと。沢田研二のように気難しいミュージシャンだと言いたいようです。
しかし、今のDチームの6人は無敵戦隊です。アタルの占いによって悩みを解消し、みんな超ポジティブ人間に生まれ変わりました。困難な仕事ほど、やりがいを感じるようになっていたのです。「それ、私の仕事ですか?」が口癖だった田端(野波麻帆)は「それ、私がやります」と言うようになりました。神田(志田未来)は積極的に交渉を進め、品川(志尊淳)はアイデアを出し、チーフの上野(小澤征悦)がまとめます。仕事ができない目黒(間宮祥太朗)は「がってんです!」を連呼し、職場のムードを盛り上げています。プラネタリウム会場でのコンサートを企画し、人気ピアニストからの同意を得ることができました。
結束するDチームとは裏腹に、代々木部長は地獄へと転がり落ちていくことになります。人事異動の内示が出たのですが、代々木部長は本社に戻ることは許されず、Dチームの専属部長になることが確定したのです。独断でリストラを画策して失敗し、社内中の悪評をかったことが本社の上層部にバレていたのです。闇堕ちしていく代々木部長は、イベント会場に「コンサートを中止しろ。さもないと爆弾を……」と悪質なイタズラ電話を掛けてしまうのでした。これはもうパワハラではなく、犯罪です。
この痛すぎるイタ電は、代々木部長の心の声をずっと読んでいたアタルによって未然に防ぐことができました。「あんたがいると、みんなに悪影響を与える。しようがないから、あんたを鑑(み)ます」と頼まれてもいないのに代々木部長を占い始めるアタルでした。
代々木部長からの質問はひとつ。「俺はもう出世できないのか?」でした。社長たちにこれまでずっと尽くしてきたのに、何で評価されないのか。いつもヘラヘラと笑っている代々木部長ですが、ドス黒い不満の海に呑み込まれ、溺れ死ぬ寸前でした。アタルはまるで『クリスマス・キャロル』に登場するゴーストのように、そんな代々木部長を過去の世界へと誘うのでした。
アタルが連れ出した過去の世界では、代々木部長はクリエイティブ職志望のやる気満々の新入社員でした。「世界でいちばん感動するイベント」を目指して企画書を書きまくっていたのですが、尊敬する上司が影で笑い者にしていたのを立ち聞きしてしまいます。しかも、その上司は立ち聞きされていたことに気づくと悪びれもせず「お前、営業に行けよ」と言い放ったのです。以来、代々木部長は営業職で出世することで、クリエイティブ職の連中を見返してやろうと、歪んだ情念を燃やして現在に至ったのでした。
「占いは信じない」と言っていた代々木部長は、アタルに鑑定されてもすぐには改心しませんでした。ところが、大崎課長に頼まれて向かったコンサート会場で、これまでになかった上司らしい神対応を見せることになります。気難しいピアニスト(沢田研二ではありませんでした)は「やっぱり演奏は中止だ」と言い出したのですが、代々木部長は見事に一喝するのでした。
「あんたは人前で演奏するのが怖いだけだ。長年やってきて、才能に行き詰まっているのかもしれない。でも、どんなにつらくても諦めずに努力を続けていくこと。それが本当の才能なんだよ」
ピアニストの心を動かした代々木部長の熱い言葉。実はついさっきアタルから代々木部長が言われた台詞そのまんまでした。占い師の言葉は、誰にでも当てはまる使い勝手のいい台詞がほとんどです。自分が言われた言葉をそのまま違う相手に丸投げする。クソ上司ならではのナイスな機転でした。要は自分が弱気になっているときに、力強く背中を押してくれる人を誰もが求めているんだと思います。代々木部長に背中を押してもらったピアニストは、ステージに上がり、思い出の曲を演奏します。『ハケン占い師アタル』のオープニングに流れるロッシーニ作曲の「ウィリアム・テル序曲」でした。
コンサートを無事に終え、Dチームのメンバーは代々木部長を誘って、いつもの居酒屋へと繰り出していきます。代々木部長はスマホを取り出して、奥さんにこれから飲み会に出ること、そして本社には戻れないことをテレビ電話で伝えます。なぜか、代々木部長の奥さんは明るく笑っています。いつも顔を見て話すことのない夫が、テレビ電話とはいえ自分の顔を見て話してくれたことがうれしかったのです。会社では出世の道を失った代々木部長ですが、家庭崩壊の危機を回避することができたようです。Dチームとの乾杯の席で、思わず涙ぐむ代々木部長でした。
気になる第7話の視聴率は、10.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。先週は北海道で起きた地震の速報で中断されて9.5%に落ち込みましたが、晴れて視聴率を二ケタに戻すことに成功。安定した人気ぶりを証明してみせました。ミッチー、やったね!
第7話の終わりには、アタルが暮らすアパートに母親のキズナ(若村麻由美)が無断で侵入し、アタルを連れ戻そうとします。悩みを抱えた信者たちを洗脳し、大金を搾り取っているキズナにとっては、人の心を見通してしまうアタルは大事な大事な金の鶏だったのです。
予告によると次週はそんなアタルの悩みを、Dチームのみんながカウンセリングすることになるようです。アタルの占いによって救われたDチームのメンバーは、アタルを毒親キズナから守ることができるのでしょうか。大詰めを迎えたストーリー展開も視聴率的にも大いに期待できそうです。
(文=長野辰次)
悩める現代人にヒーリング効果があると評判の『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。ベテラン脚本家・遊川和彦のポイズン度高めのオリジナルストーリーですが、若手演技派女優・杉咲花がさらりと主人公アタルを演じることで程よく中和されています。アタルのボスである大崎課長にスポットライトを当てた第6話を振り返ってみましょう。
(前回までのレビューはこちらから)
物語も後半戦に入り、いつものお約束的な展開から少しずつ変化が現われ始めました。いつも冒頭に登場し、「悩んでいるのはあなただけじゃない」と微笑んでいた謎の女性・キズナ(若村麻由美)ですが、キズナが今回カウンセリングしていた相手は都内のイベント会社に勤める大崎課長(板谷由夏)でした。自殺を考えるほど追い詰められていたようです。いつになくシリアスムードな幕開けです。
大崎課長の悩みは、代々木部長(及川光博)から命じられた「チームから出向社員を1人選んでほしい」というものでした。都内から通勤3時間を要する倉庫管理会社へと飛ばし、自主退職を促すという陰湿なリストラ計画だったのです。ミッチー演じる代々木部長のクソ上司ぶりに、ますます拍車が掛かっています。
人のよい大崎課長は、リストラ候補を容易に選ぶことができません。それにも増して、派遣社員のアタル(杉咲花)が来て以来、職場の雰囲気がすっかり変わったのです。みんな、大崎課長に文句ばかり言っていたのに、今では誰もがやる気まんまんで働いています。「もう辞めます」が口癖だった品川(志尊淳)は「俺、もっと頑張ります」と明るい笑顔を見せています。顔を合わせれば言い争っていた上野(小澤征悦)と田端(野波麻帆)はいい感じですし、神田(志田未来)と目黒(間宮祥太朗)はラブラブモードです。
リストラの件だけでも頭が痛いのに、ローンを支払い中のマンションに帰れば、中学生の息子は反抗期の真っ盛り。学校の人間関係で悩みを抱えているようですが、ひと言も話そうとはしません。夫は「こっちは仕事で疲れているんだ。母親の仕事だろ」と息子のケアを一方的に押し付けてきます。そのくせ、若い女の子との火遊びをこっそり楽しんでいるようです。会社ではクソ上司、家庭ではクソ夫に悩まされる大崎課長。職場のリーダー、主婦、母親の三役を兼任するのはハンパなく大変です。
酒に酔った大崎課長は、荒井由実の1970年代の名曲「やさしさに包まれたなら」を口ずさみます。「小さい頃は神さまがいて、不思議に夢をかなえてくれた やさしい気持ちで目覚めた朝は 大人になっても奇蹟は起こるよ」と歌う大崎課長ですが、悩める40代の働く女性をやさしく包み込んでくれる神さまはどこにもいそうにはありませんでした。
クソ上司の代々木部長に出向者を早く決めるように迫られた大崎課長は、ついつい神田が妊娠していることを漏らしてしまいます。代々木部長は「妊娠しているなんて知らなかった」「倉庫管理はデスクワークだから、彼女にとってもいいはず」と一方的に神田を出向候補に決めてしまうのでした。
神田に自分の口からそのことを伝えなくてはならない大崎課長は自責の念に囚われ、警報が鳴る線路の踏み切りでボーッとしてしまいます。そのとき声を掛けてきたのが、キズナが主宰する新興宗教まがいの団体にいる信者たちでした。キズナに引き合わされた大崎課長は「あなたは悪くない。悪いのは周囲や環境」「必要なのは、あなたを解放すること」と甘い言葉に洗脳されてしまいます。
ここでアタルの出番です。会社を辞め、家庭も捨てて、大崎課長はキズナのところで世話になると言い出します。「目を覚まして!」とアタルは大崎課長の顔に思いっきりビンタをカマします。「誰にでも当てはまることを泣きながら言って、お金を巻き上げているんです」とキズナのインチキ占いぶりを暴露するアタルでした。そんな手口が嫌になって、アタルは母親であるキズナから逃げてきたのです。
アタルの鑑定が始まりました。大崎課長の悩みは、いつまで経っても自分に自信が持てないということでした。学生の頃は学級委員に選ばれ、職場ではいち早く管理職に選ばれるなど、周囲から常に信頼されてきた大崎課長です。でも本人いわく「憧れていた先輩や仕事のできる上司の真似をしてきただけ。いつニセモノと呼ばれるかと、ずっと怖かった。もう疲れちゃった」と本音を吐露します。
キズナに15万円も払うなど、すっかりカモにされまくった大崎課長。そんな彼女のマジメさを普段から見てきたアタルは、優しく力強く包み込みます。
「誰かの真似でもコツコツと努力していけば、それは本物なんだよ。もう、あんたのオリジナルだよ。本物のリーダーこそ、悩みに悩むもの。部下に丸投げするリーダーは、ニセモノだから」
アタルの熱い言葉によってキズナの洗脳から目覚めた大崎課長は、反撃に転じます。クソ上司・代々木部長に神田を出向させることを撤回するように迫るのでした。神田の年収は300万円。チーム6人がそれぞれ毎月5万円分ずつ利益を上乗せすれば、神田の年収分はクリアできる。一致団結している今のこの6人なら可能ですと強気に宣言します。もちろん、大崎課長の後ろには神田たちが顔をそろえ、大きくうなずいてみせるのでした。「それでもダメと言うなら、社長に直訴します」と大崎課長にすごまれ、あたふたと退散するクソ上司でした。出向計画は社長命令ではなく、代々木部長が点数稼ぎのために思いついた独断だったのです。
翌朝、気持ちよく目覚めた大崎課長は起きるやいなや、隣りのベッドで寝ているクソ夫をバチンとビンタし、学校に向かう息子にお弁当を渡しながら「大いに悩みなさい、ママはいつも側にいるから」と勇気づけて送り出します。「やさしさに包まれたなら」の歌詞内容を大崎課長は自分なりにアレンジして、実行に移したのでした。神さまが現われるのをじっと待つのではなく、自分から行動していくことを決意したのです。
第6話はネット上でかなりの荒れ模様でした。クライマックスに差し掛かるところで、いきなり『報道ステーション』(テレビ朝日系)の富川悠太アナウンサーが現われ、北海道南部で震度6弱の地震が起きたことを伝えたのです。災害に関する速報は仕方ありませんが、数分後に再開されたドラマは、富川アナが出演していた分だけ、先に進んでいたのです。テレ朝の見逃し配信で確認したところ、大崎課長が自殺願望に囚われ、キズナの鑑定を受けるシーンが飛んでしまっていました。テレビ朝日のお粗末な対応に、リアルタイムでドラマを楽しんでいた視聴者は大ブーイング。「ドラマはカットせずに、報道ステーションを遅らせてスタートさせろ」と怒りのコメントがネット上に溢れ出しました。
昨秋、好感度の高かった小川彩佳アナが番組降板して以降、『報道ステーション』の人気低迷の責任を負わされている富川アナ。今回もテレ朝のお祖末対応の矢面に立たされた格好です。地震速報は本人の責任ではありませんが、アンラッキーなときはアンラッキーなことが続くものです。富川アナにしてみれば、「どうすれば僕と報道ステーションはまた人気が復活するんでしょうか」とアタルに占ってもらいたいところでしょう。
今回、妊娠している神田が出向させられないよう、大崎課長らは一致団結して素晴しいチームワークを発揮しました。このエピソード、なんかデジャヴ感があるなぁと思ったら、三谷幸喜の人気ドラマ『王様のレストラン』(95年放送/フジテレビ系)の第3話によく似ていました。スタッフがそれぞれ経費を抑えることで、リストラ計画を回避し、チーム力が逆にアップするという名エピソードでした。ベテラン脚本家の遊川和彦にしてみれば、「真似でもいい。コツコツと続けていれば、それはもう本物なんだ」ということでしょう、きっと。
アタルの居場所をついにキズナが探し当てた第6話の視聴率は、9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。初回から第5話の10.3%まで5週連続で2ケタをキープしてきましたが、ついに連続記録が途切れてしまいました。地震速報の後、ドラマ内容をカットしたまま適当に放送したテレビ朝日の対応のまずさが、そのまま視聴率減に反映されてしまいました。お詫びに富川アナがドラマにゲスト出演し、アタルに徹底的にダメ出しされまくれば、視聴者もすっきりするのではないでしょうか。富川アナとテレビ朝日、考えてみてください。
(文=長野辰次)
若手演技派・杉咲花が、占いパワーでサラリーマンたちの悩みをいっきに解決する『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)。高視聴率ドラマ『女王の教室』『家政婦のミタ』(日本テレビ系)などで知られるベテラン脚本家・遊川和彦の筆さばきも快調で、初回から視聴率二ケタを連続キープしています。野波麻帆がメインとなった第5話を振り返ってみましょう。
(前回までのレビューはこちらから)
深夜ドラマ版『モテキ』(テレビ東京系)では大根仁監督のアテ書き脚本のお陰で土井亜紀役を好演した野波麻帆ですが、それ以外ではパッと代表作が思い浮かびません。美人だし、演技力もあるのですが、潜在能力を存分に発揮できていない印象があります。そんな野波が演じる田端も、仕事はできるけれど、社内での評価は高くありません。田端たちの勤めるイベント会社に派遣社員として現われたアタル(杉咲花)の占いによって、社内評価の低い女・田端はどう変わるのでしょうか?
2月14日のオンエアということで、第5話は“バレンタイン”をモチーフに、働く女性たちの悩みが描かれます。いつも残業することなく、定時できっちり退社する田端にとって、仕事に直接関係のない社内の煩わしい人間関係は面倒で仕方ありません。そんなとき、職場の後輩である神田(志田未来)から「どうします、バレンタイン? 男性は喜びますし……」と尋ねられます。「そういうのは止めようと、去年話したよね」と職場の男性社員たちに義理チョコを用意することをきっぱりと拒否する田端でした。
義理チョコの件に加え、社内の広報誌の取材も受けるよう上司の代々木部長(及川光博)から頼まれ、田端はついつい不満顔になってしまいます。田端がいつもプリプリしているのには理由がありました。田端が高校生のときに母親が病気で亡くなり、それ以来ままならない人生を彼女は歩んできました。父親は勤めていた会社を早期退職し、弟は就活に失敗してニート状態。田端が家計を支え、家事までしなくてはならなかったのです。余計な仕事はやりたくないという気持ちはすごく分かります。
そんな田端にとっての唯一の安らぎタイムは、会社帰りに立ち寄るカフェでした。ここのカフェの男性店員(五十嵐健人)は福士蒼汰似のさわやかなイケメンくんです。年下の彼から「お疲れさまです」とカフェラテを渡される瞬間に、癒やしを感じる田端でした。職場や家族の前ではクールな田端にも、乙女チックな一面があったのです。
イケメンのカフェ店員を心の支えにしていた田端ですが、同じ大学出身の代々木部長から強引に誘われた大学のOB会で溜め込んでいた怒りが爆発します。クライアントの製菓会社の社長もOB会に出席していたのですが、「スタイルがいいんだから、もっと色っぽい服を着たら」など無神経なセクハラ発言を浴びせられたのです。
「いい加減にしろ、どいつもこいつも! いい年齢して、同じ大学出身だからって集まって。仕事に必要なのは学歴じゃなくて、スキルだろ!?」
田端の主張はもっともなのですが、学閥やら普段の付き合いが幅を利かせる日本のサラリーマン社会では、ヒステリックな女性に見られてしまう不憫な田端でした。
大学OB会で恥をかかされたと代々木部長はプンプンです。田端本人ではなく、大崎課長(板谷由夏)に文句を言い、バレンタインイベントから田端は外されてしまいます。「バレンタインイベントなんて、反吐が出る」と憎まれ口を叩く田端ですが、残念なことが続きます。イケメンのカフェ店員がこの日限りでバイトを辞めるとのこと。その場に居合わせたアタルから「告白したら、どうですか?」と囁かれる田端ですが、自分の心に正直になれない田端でした。ますますストレスを溜め込んでしまいます。
あまりに田端がギスギスしていることから、普段は周囲に気を遣うタイプではない体育会系の先輩・上野(小澤征悦)から「なぁ、田端。アタルに占ってもらったらどうだ? お前の悩みを解決してくれるぞ」と声を掛けられます。上野からの意外な言葉でしたが、やはり田端は素直になれません。実は田端がいつも鍵を掛けていたデスクの引き出しの中は、占いや改名などスピリチュアル系の本でいっぱいでした。おかしなセミナーに通ったり、パワースポットも巡ったそうですが、まったくご利益はなかったようです。
「もう疲れた、幸せを探すの……」
田端が漏らした言葉を聞いたアタルが、やはり鑑定することになります。田端からの質問はひとつだけ。「なんで、私は幸せになれないの?」という切実な悩みでした。
今回のアタルの回答は、多くの人に当てはまるものでした。アタルは田端の記憶を遡っていきます。田端の人生のターニングポイントは、母親を病気で失った高校時代でした。病弱だった母親を支えるために、田端はしっかりした性格になり、また医者を目指して医学部受験を考えていました。ですが、母親が亡くなったショックで父親は働かなくなり、医学部受験は諦めてしまったのです。以来、田端は恋をする暇もなく、家事と家計をひとりで背負ってきたのでした。
過去の記憶の世界で、田端は入院中の母親と再会を果たします。母親は高校時代の田端の手を握って「ママは充分幸せよ。自分で選んだ人生だし、好きなものにいっぱい出逢えたもの」と笑顔で語ります。母親は病気になった我が身を嘆くことなく、夫や子どもたちに出逢えたことに感謝していたのでした。自分は恵まれない不幸な人生を歩んでいるとずっと思い込んでいた田端ですが、母親の手の温かさを思い出し、急に背中が軽くなったような感覚を覚えます。
「全部、お母さんが教えてくれてたじゃない。幸せは周りと比べてもしようがない。世の中は不公平なのが当たり前。みんな、平等に不公平なんだよ。自分の運命を呪っても意味がない。幸せは待っているものじゃない、自分で創るものなんだよ」
アタルはそんな言葉を投げ掛けることで、田端が自分自身に向けていた長年の呪いを解消してみせるのでした。アタルに鑑定してもらった田端がバレンタインのイベント会場に駆け付けると、告白タイムの真っ最中でした。イケメンのカフェ店員に想いを伝えることはできなかった田端ですが、意外なサプライズが会場で待っていました。田端にチョコを渡したいという人物が現われたのです。
チョコを持って現われたのは、後輩の神田でした。「いつも残業することなく、自分の姿勢を貫く先輩の姿に励まされています」とチョコと共に感謝の気持ちを伝える神田でした。神田からのチョコを受け取らずに走り去った田端ですが、それはきっと号泣してしまいそうで、恥ずかしかったからに違いありません。
神田たちがイベントを終えて職場に戻ってくると、いつもは定時で退社する田端がホットチョコの差し入れを持って待っていました。「こんな素敵な仕事をしていることに初めて気づいた。私に悪い点があったら言って」という田端。目黒(間宮祥太朗)から「たまには笑ってください」と言われ、半笑い顔を不器用そうに浮かべます。このときの野波麻帆は、サイコーにチャーミングでした。
アタルの「自分の人生を呪っても意味がない」という言葉をきっかけに、田端はぐんと変わります。またアタルの言葉は、田端だけでなく、田端の父親と弟も救うことになります。田端は母親代わりになることを止めたので、田端に依存しきっていた父親と弟は否応なく自立せざるを得なくなったのです。共依存で共倒れしてしまう前に解決の糸口を見つけることができて、本当によかったなと思います。言葉を操ることを生業としている脚本家・遊川和彦にとっても、会心の回だったのではないでしょうか。
もはや新興宗教アタル教と呼びたくなる世界です。大崎課長を除く社員全員が、アタルの鑑定を受けてからすっかり別人のようになってしまいました。以前はバラバラだった職場が、みんなお節介好きで、仕事も大好きなポジティブ人間ばかりに変わってしまいました。覇気のなかった品川(志尊淳)も、今では瞳をキラキラと輝かせています。パッと見は明るくなった職場ですが、みんなアタルに心の中を見抜かれ、アタルには頭が上がらない状況とも言えます。
アタル自身がこの占いパワーが怖くなって、キズナ(若村麻由美)のもとから逃げ出したようです。アタルの派遣先は小さなイベント会社ですが、これがもしテレビ局や政治団体といった社会に影響を与える組織だったらとんでもない事態になってしまうのではないでしょうか。アタルの力を悪用しようとする人物が現われるに違いありません。神田はあまりペラペラとアタルの秘密をしゃべらないほうがいいと思います。
野波麻帆が働く女性たちの気持ちをすっきりと代弁した第5話の視聴率は、前週と同じく10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。これで初回の12.1%を皮切りに、5週連続で視聴率二ケタを記録しました。次週の第6話は、いつも会社の上層部と現場との板挟みになっている大崎課長がメインになるようです。またシリーズ後半戦からは、キズナも物語に絡み始めると思われます。みんなの悩みを無償で解決してきたアタルですが、アタルの悩みはいったい誰が解いてくれるのでしょうか。気になるところです。
(文=長野辰次)
極めて下馬評が低かった、杉咲花主演のテレビ朝日系連続ドラマ『ハケン占い師アタル』が、大方の予想に反して好調だ。
初回は12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と好発進。第2話は10.9%と降下したが、その後も、第3話10.0%、第4話10.3%と推移し、2ケタをキープ。4週連続で10%超えを果たしている。
今期の民放連ドラの中で、『アタル』のほかに、初回から2ケタ台を維持しているのは、現時点で北川景子主演『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)、沢村一樹主演『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)だけで、『アタル』の健闘ぶりが見てとれる。
同ドラマの主人公・的場中(杉咲)は、悩みや原風景をはじめ、他人のあらゆることが見えてしまう特殊能力をもつ。その中がイベント会社に派遣社員として勤務することになり、その占い能力を駆使し、周りの正社員たちが抱える悩みを根本から解決していくストーリー。
脚本は、『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』(いずれも日本テレビ系)、NHK連続ドラマ小説『純と愛』など、クセのある作品を描く、遊川和彦氏が手掛けている。
杉咲といえば、若手女優の中では“演技派”として評価されているが、ヒロインを務めた木村拓哉主演映画『無限の住人』(2017年)が壮絶爆死。初の連ドラ主演作となった『花のち晴れ~花男 Next Seaon~』(TBS系、昨年4月期)は、大きな注目を集めながらも、全話平均8.3%と大コケし、実力はともかく、その人気には疑問符が付いていた。
それだけに、米倉涼子や木村の作品がオンエアされている、テレ朝の看板ドラマ枠「木9」の主演は「荷が重すぎる」との評がもっぱらだった。しかも、脇役陣は、小澤征悦、志田未来、間宮祥太朗、志尊淳、野波麻帆、板谷由夏、若村麻由美、及川光博といった、いささか地味なメンバーで、数字が取れそうなキャストが入っていないことで、「深夜枠で十分なのでは?」ともいわれていた。にもかかわらず、好調をキープしている要因は何なのだろうか?
「無論、人気脚本家・遊川氏の作品への期待感もあると思いますが、やはりテレ朝の『木9』枠は、数字をもっているということでしょうね。この枠のドラマは、17年4月期以降、6クール連続で2ケタをキープしています。今やTBS日曜劇場枠をしのぐほどの“強い枠”になっています。杉咲が主演では力不足の感は否めなかったのですが、実際に見てみたら、そこそこおもしろく、何か引きつけられるモノがあるようです。その辺りが遊川作品の魅力なのでしょう。それに、各回の実質的な主人公は、持ち回りで脇役の面々が務めており、“主演”といいながら、杉咲の出演シーンが短いのも高視聴率の要因となっているようですから、なんとも皮肉な話です」(テレビ誌関係者)
好調とはいっても、米倉や木村が主演する作品のように、15%を超えるようなレベルには到底たどりつけないだろうが、杉咲主演作で、全話平均2ケタで終えることができれば、テレ朝的には万々歳。だが、ドラマのストーリー展開が主人公中心で回っていないことを考慮すると、これで杉咲が「数字を取れるようになった」とはとてもいえそうにない。
(文=田中七男)
誰もが抱える職場での悩みやトラブルを、占いパワーで解決してしまう杉咲花主演ドラマ『派遣占い師アタル』(テレビ朝日系)。当たり外れの激しいベテラン脚本家・遊川和彦のシナリオも、今のところは順調です。同僚たちから鼻つまみ者となっていたオッサン社員が一刀両断された第4話を振り返ってみましょう。
(前回までのレビューはこちらから)
かつて天才占い少女として騒がれたアタル(杉咲花)ですが、現在は派遣社員として都内のイベント会社に通っています。今回、アタルが鑑定することになるのは、40代になるチームリーダーの上野(小澤征悦)です。10年前に伝説のイベントを成功させましたが、その後は部下を大声でドヤしつけるだけで、職場ではウザがられる存在となっています。妻とは5年前に離婚し、中学生になる娘(桜田ひより)からも相手にされなくなりました。イライラが募り、ますます声がデカくなる一方の上野です。かつて天才占い少女として騒がれたアタル(杉咲花)ですが、現在は派遣社員として都内のイベント会社に通っています。今回、アタルが鑑定することになるのは、40代になるチームリーダーの上野(小澤征悦)です。10年前に伝説のイベントを成功させましたが、その後は部下を大声でドヤしつけるだけで、職場ではウザがられる存在となっています。妻とは5年前に離婚し、中学生になる娘(桜田ひより)からも相手にされなくなりました。イライラが募り、ますます声がデカくなる一方の上野です。
いつものごとくお調子ものの代々木部長(及川光博)が現われ、上野ご指名での案件が届いていることを告げます。10年前に上野が成功させた伝説のイベントのクライアント社の社員が起業したので、その初イベントを上野にお願いしたいという内容でした。これには上野、大張り切り。10年前のスタッフジャンパーを羽織り、イベントの記念品を机に飾り直し、伝説をもう一度再現しようと意気込みます。
いつもは品川(志尊淳)が上野のアシスタントを務めていましたが、第3話で品川が上野をパワハラ告発したため、上野のアシスタントから外れています。やる気はあるものの仕事がまるでできない目黒(間宮祥太朗)と妊娠中の神田(志田未来)が上野の下で動きますが、思うようには仕事は進みません。10年前に伝説のイベントを一緒にやった社外スタッフからは仕事を断られ、孤立感を深めていく上野です。そんな上野のことを不憫そうに見つめるアタルでした。
徹夜で企画書を書き上げた上野ですが、クライアントからの返事に落ち込んでしまいます。上野を指名してきた社長から「10年前のイベントの焼き直しにしかすぎない」と酷評されてしまったのです。しかも自分に直接言わずに、大崎課長(板谷由夏)を通して知らされたことに、上野は大ショックを受けてしまいます。
上野にとって唯一の自慢だった“伝説のイベント”を、そのイベントを一緒に成功させたクライアントから完全否定され、上野は自暴自棄に陥ります。親会社から出向してきた代々木部長に向かって「俺はあんたのことを上司として認めていない」と暴言を吐き、さらに目黒、神田、品川たちに「なんで、お前たちみたいな奴らと仕事しなくちゃいけないんだよ。俺はもっと優秀なスタッフと仕事がしてぇんだよ」と当たり散らします。会社員として言ってはいけないことを口にしてしまった上野でした。
上野は自分が感じたことをそのまま言葉にしているだけで、悪意はありません。苦言を吐くことで、若手社員たちが伸びてくれることを期待しています。自覚がないあたり、実に典型的なパワハラ野郎です。上野のキャラクターがひどくリアルに感じられるのは、脚本家の遊川和彦自身の姿と重なるからではないでしょうか。2012年に放映されたNHK朝ドラ『純と愛』のヒロインを演じた夏菜に対して、脚本だけでなく演出面にも口を出した遊川のダメ出しが繰り返されたそうです。愛の鞭のつもりだったダメ出しですが、夏菜は精神崩壊寸前となり、トイレに閉じこもったと言われています。上野=遊川和彦のパワハラ気質は、はたして治すことができるのでしょうか?
行きつけの居酒屋で上野が悪酔いをしていると、神田、目黒、品川が現われます。会社から姿を消した上野のことが心配になったのです。アタルに鑑定してもらうことを勧める3人でしたが、上野は「助けてくれって言葉が俺はいちばん嫌いだ」と断ります。このとき、いつもは口数の少ない品川が「後悔してもいいのかよ、ジジイッ!」と一喝するのでした。アタルに占ってもらってから、品川たちは目には見えない形で少しずつ変わり始めていたのです。
毎晩のように自分で掘った穴に生き埋めになる悪夢にうなされていた上野は、結局はアタルに鑑(み)てもらいます。上野からの質問は以下の3つです。
1) 俺のなくした携帯電話はどこにある?
2) なんで俺は周りの奴らに嫌われているの?
3) 俺はまた伝説のイベントをやることができる?
今回のアタルの鑑定結果も冴えていました。1)の答えは、希望と携帯電話はすぐなくすけど、よく探せば近くにあるとのこと。携帯電話をすぐなくす人は、一緒に希望も見つけたいものですね。
2)の答えは「他人を叱るには、資格がいる」でした。上野にはその資格がないというわけです。他人に説教をしている暇があれば、自分磨きに時間を費やせとアタルは説きます。ごもっともな回答に、思わずうなずく上野でした。
3)の答えを導くために、アタルは例によって上野の記憶の水脈を遡上します。子どもの頃の上野は親戚が集まる場で手品を披露し、みんなを喜ばせるのが楽しかったことを思い出します。ですが、次第にみんなを喜ばせるよりも、自分がすごいと言われることに快感を感じるようになってしまったのです。アタルは言い放ちます。「伝説のイベントをDVDで見たけど、伝説と呼ぶほどのもんじゃねぇよ。でも、あんたはいい顔してた。みんなを喜ばせたいという情熱とやる気が溢れていた。失ったのは才能じゃなくて、あのときの気持ちだよ」と。
アタルの鑑定によって、上野はすっかり心を入れ替えます。メールの返信をしなくなった娘からも「いつかパパの職場を見学に行っていい?」とうれしいメールが届きます。上野だけでなく、職場のみんなも大喜びです。この日をきっかけに、上野は伝説のイベントのスタッフジャンパーと記念品を処分するのでした。
杉咲花がまるで『ドラえもん』のように職場の問題をいっきに解決してしまうお決まりの定番ストーリーだった第4話。いじめっ子のジャイアンがすっかり改心して、のび太と仲良くなったようなエピソードでした。そんな第4話の視聴率は10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。これで初回から4週連続で二ケタキープ、しかも第3話の10.0%から0.3ポイントのアップです。
今回、上司が部下から評価される「360度フィードバック」が話題として取り上げられましたが、上司への厳しい意見はなかなか下の立場の人間は言えないもの。上野のパワハラ上司ぶりを、アタルが巧みに更生させた第4話にスッキリ感を覚えた視聴者は多かったようです。DVD化されたら、中間管理職の研修ビデオに使われそうなエピソードでした。
過去の成功体験にすがることをやめた上野の姿は、脚本家の遊川和彦が自分自身の戒めとして描いているように思えた第4話でした。現在は相席スタートの山﨑ケイのエッセイを原作にした深夜ドラマ『人生が楽しくなる幸せの法則』(日本テレビ系)に主演している夏菜ですが、遊川作品に再び出演する日は訪れるのでしょうか。占いを信じてボロボロになった元信者役を演じれば、ぴったりハマリそうですけど。
(文=長野辰次)
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