暗いニュースばかりだけれど……書店業界は“復活傾向”のワケ

 出版取次大手の日本出版販売(日販)によれば、今年2月の売り上げが前年同月比で0.5%増となった。その理由は、集客イベントが成果を出したものとしている。書店といえば、近頃「閉店」のニュースばかりで、暗い話が続く出版業界にあって、少しばかりは明るいニュースである。

 書店の閉店ニュースは、今年に入ってから幾度も報じられている。大阪府堺市を中心に12カ所の書店を展開していた天牛堺書店が破産し、全店舗が閉店。同じく大阪にあるスタンダードブックストア心斎橋も4月で閉店。東京では、神保町の老舗であるマンガ専門の高岡書店が3月末で閉店する。

 このほか、全国の新聞記事を拾っていくと、北海道千歳市の文教堂千歳店の閉店など、地域では大きな話題になっている事例が多い。

 こうしたニュースから見えてくるのは、Amazonなどネット書店の拡大により利用する機会が減ったとはいえ、依然として書店には、それなりの需要があるということだ。ネット書店に比べて書店の利点は、その場で本が手に入ることや、偶然の出会いなど、いくつも思い当たる。逆に問題はといえば、注文した品がすぐに届かないことくらい。

 出版統計を見ても、雑誌は年々減っているが、書籍は微減。やっぱりいくらネットが発達しても、情報を得る手段としての本の信頼性は失われていないことがわかる。ゆえに今後書店が生き残るために必要なのは、各種フェアなどを開催して、品ぞろえをアピールすること。さらに、流通網の整備で、注文品がすぐに届く体制を作ることではないだろうか。

 暗いニュースばかりの中で、書店の生き残り策は続く。

(文=是枝了以)

ブランドイメージ失墜の危機……丸善雄松堂書店の“ひどいリニューアル問題”は予想外に深い傷

 日本の文化を担ってきた老舗書店が、どうなってしまっているのか――。

 日本有数の書店・出版グループの丸善が、ある店舗のリニューアルをめぐる問題で急速に企業イメージを悪化させている。

 発端となったのは、書店員のつくるフリーペーパーとして読書好きには知られていた『にゃわら版』の制作者・かいぬし氏が、勤務先であった立教大学内の丸善雄松堂書店を辞めるに至った経緯をブログで公開したこと。

 すでに多数のアクセスを集めているが、そこには驚きの内容が記されていた。

・勤続10年のかいぬし氏をはじめ、ベテランスタッフも7人が退職。12月に入った新人もほとんど退職

・大学内の書店なのにまともに教科書販売ができなかった

・退職にあたって「もうにゃわら版は書きませんという念書」を要求された

 などなど……。
https://nyawaraban2014.amebaownd.com/posts/4135126

 問題の発端は、昨年の店内のリニューアル。

 この際、丸善雄松堂書店は店舗面積を半分にした上で見栄えのよい書店を追求。洋書を並べてかっこよく見せる一方で、大学の授業で指定されている教科書が置かれなくなったり、毎年売れる簿記のフェアなどが行えなくなったり。

 オシャレ追求型書店によくある「見栄えはいいけど、中身はスカスカ」の極北になってしまったのだという。

 さらに、書店員の経験と知識もないがしろにされ、書店はバイトだけでも回るかのような扱いの果てにベテラン書店員は次々と辞めることを余儀なくされたというのである。

 丸善雄松堂は、グループ内の法人営業を中心とする企業。

 少々ややこしいが、現在の丸善は大日本印刷の子会社の丸善CHIホールディングスが母体。その中に、大学や研究施設などの法人営業を中心とする丸善雄松堂や、書店の丸善やジュンク堂を運営する丸善ジュンク堂書店。さらに、出版部門は学術部門の丸善出版株式会社や児童書の岩崎書店。さらに、図書館の運営を担う図書館流通センター(TRC)も丸善グループである。

 今回は、あくまで丸善の中の一子会社のやらかし。書店や出版部門の伝統を担う丸善は、そこまでひどいとは思いたくない。そんな声もネットでは散見される。

 だが、グループ内には、まだ多くの問題が。人数が限られているので、特定を避けるためにぼやかすが、最近、グループ内の出版部門の子会社を退職した社員は話す。

「とにかく仕事が忙しい。忙しいのはいいんですが、給料が安いんです。でも、出版社を希望して入ることができたのですから、安いのは構いません。でも、何年勤務しようとないんですよ、ボーナスが……」

 今どき、よほどのブラック企業でもない限り、雀の涙ほどの寸志であっても準備するもの。それすらないとは……。一気にブラック感が強まる。

 前述のかいぬし氏のブログでも、ベテラン書店員に最低賃金しか支払っていないことが発覚。これは、一種の「やりがい搾取」と取られても仕方ない。

 もともと丸善は本だけでなく、服や靴、ハヤシライスなども販売し、この国の生活文化を担ってきた企業。いくらグループ内の子会社のやらかしとはいえ、「丸善」という名前が大きく傷ついたことは間違いない。

 これを回復するには、膨大な時間がかかるだろう。
(文=是枝了以)

ブランドイメージ失墜の危機……丸善雄松堂書店の“ひどいリニューアル問題”は予想外に深い傷

 日本の文化を担ってきた老舗書店が、どうなってしまっているのか――。

 日本有数の書店・出版グループの丸善が、ある店舗のリニューアルをめぐる問題で急速に企業イメージを悪化させている。

 発端となったのは、書店員のつくるフリーペーパーとして読書好きには知られていた『にゃわら版』の制作者・かいぬし氏が、勤務先であった立教大学内の丸善雄松堂書店を辞めるに至った経緯をブログで公開したこと。

 すでに多数のアクセスを集めているが、そこには驚きの内容が記されていた。

・勤続10年のかいぬし氏をはじめ、ベテランスタッフも7人が退職。12月に入った新人もほとんど退職

・大学内の書店なのにまともに教科書販売ができなかった

・退職にあたって「もうにゃわら版は書きませんという念書」を要求された

 などなど……。
https://nyawaraban2014.amebaownd.com/posts/4135126

 問題の発端は、昨年の店内のリニューアル。

 この際、丸善雄松堂書店は店舗面積を半分にした上で見栄えのよい書店を追求。洋書を並べてかっこよく見せる一方で、大学の授業で指定されている教科書が置かれなくなったり、毎年売れる簿記のフェアなどが行えなくなったり。

 オシャレ追求型書店によくある「見栄えはいいけど、中身はスカスカ」の極北になってしまったのだという。

 さらに、書店員の経験と知識もないがしろにされ、書店はバイトだけでも回るかのような扱いの果てにベテラン書店員は次々と辞めることを余儀なくされたというのである。

 丸善雄松堂は、グループ内の法人営業を中心とする企業。

 少々ややこしいが、現在の丸善は大日本印刷の子会社の丸善CHIホールディングスが母体。その中に、大学や研究施設などの法人営業を中心とする丸善雄松堂や、書店の丸善やジュンク堂を運営する丸善ジュンク堂書店。さらに、出版部門は学術部門の丸善出版株式会社や児童書の岩崎書店。さらに、図書館の運営を担う図書館流通センター(TRC)も丸善グループである。

 今回は、あくまで丸善の中の一子会社のやらかし。書店や出版部門の伝統を担う丸善は、そこまでひどいとは思いたくない。そんな声もネットでは散見される。

 だが、グループ内には、まだ多くの問題が。人数が限られているので、特定を避けるためにぼやかすが、最近、グループ内の出版部門の子会社を退職した社員は話す。

「とにかく仕事が忙しい。忙しいのはいいんですが、給料が安いんです。でも、出版社を希望して入ることができたのですから、安いのは構いません。でも、何年勤務しようとないんですよ、ボーナスが……」

 今どき、よほどのブラック企業でもない限り、雀の涙ほどの寸志であっても準備するもの。それすらないとは……。一気にブラック感が強まる。

 前述のかいぬし氏のブログでも、ベテラン書店員に最低賃金しか支払っていないことが発覚。これは、一種の「やりがい搾取」と取られても仕方ない。

 もともと丸善は本だけでなく、服や靴、ハヤシライスなども販売し、この国の生活文化を担ってきた企業。いくらグループ内の子会社のやらかしとはいえ、「丸善」という名前が大きく傷ついたことは間違いない。

 これを回復するには、膨大な時間がかかるだろう。
(文=是枝了以)

書店にも読者にも作者にもうれしい!「本の予約・取り寄せ用フォーマット」は書店再生への大発明か

 もはや書店は時代に合わないビジネスのように見られている。昨年には、全国で書店のない自治体・行政区が、全国のうち2割に及ぶことも話題になった。

 もはや、読者の意識が従来の書店からネット書店に向いているだけが理由ではない。欲しいときに欲しい本が店頭にないことが問題だ。

 これに頭を悩ませているのは読者だけではない。著者の側も同様の悩みを抱えている。発行部数が少ない本の場合、一部の書店にしか配本されないケースがしばしば見られる。

 結果、マンガなどの連載作の場合、単行本の売り上げ不振で打ち切られる。書き下ろし単行本の場合、次作の出版の際にマイナスに判断される材料となってしまう……。

 ようは、流通のミスマッチによって読者の書店離れが引き起こされているのである。こうした中で、話題のなっているのがマンガ家・一二三氏(Twitter ID:@hifumix_0123)が公開した「本の予約・取り寄せ用フォーマット」だ。

 これは著者が、自作のタイトルやISBNコードを書き込んで配布すれば、読者は書店でスマホなどを用いて画像を表示するだけでスムーズに注文ができるようにしたもの。

 このフォーマットへの反響は大きく、書誌情報を入力するだけでフォーマットを生成できる「書籍予約・取寄せフォーマット用生成ツール」(http://monokakitools.net/bookinfo/)ツールも有志によって公開されている。

 このツールによって、取り寄せや事前予約も簡便になり、結果、書店を通じた新規読者の開拓も期待されている。

 全国100の書店をめぐり『「本を売る」という仕事: 書店を歩く』(潮出版社)を上梓した、フリー記者の長岡義幸氏は、ネット書店隆盛の中での、実書店の意義を次のように語る。

「多くの本と出会う機会が得られるのは実書店ならでは。自分が買いたい一点を探すのではなく、目当ての周辺の本や、まったく知らなかった本にも出会うことができるんです」

 ネット書店でも、自分の欲しい本を購入すると関連する本は表示される。それでも、得られる情報の量でいえば実書店のほうが、はるかに多いといえるだろう。話題のフォーマットには、そうした機会を与える期待もあるようだ。

 現在、主にマンガ家の間に広まっているこのツールだが、汎用性は高いので、マンガ家以外も使うことができる。筆者も以前、新聞に自著の書評が掲載されたのに、書店の「今週の書評掲載された本」コーナーで欠品していて、非常にイラついた記憶が……。これからは、ぜひ、このフォーマットを使わせてもらおうと思っている。
(文=昼間たかし)

書店にも読者にも作者にもうれしい!「本の予約・取り寄せ用フォーマット」は書店再生への大発明か

 もはや書店は時代に合わないビジネスのように見られている。昨年には、全国で書店のない自治体・行政区が、全国のうち2割に及ぶことも話題になった。

 もはや、読者の意識が従来の書店からネット書店に向いているだけが理由ではない。欲しいときに欲しい本が店頭にないことが問題だ。

 これに頭を悩ませているのは読者だけではない。著者の側も同様の悩みを抱えている。発行部数が少ない本の場合、一部の書店にしか配本されないケースがしばしば見られる。

 結果、マンガなどの連載作の場合、単行本の売り上げ不振で打ち切られる。書き下ろし単行本の場合、次作の出版の際にマイナスに判断される材料となってしまう……。

 ようは、流通のミスマッチによって読者の書店離れが引き起こされているのである。こうした中で、話題のなっているのがマンガ家・一二三氏(Twitter ID:@hifumix_0123)が公開した「本の予約・取り寄せ用フォーマット」だ。

 これは著者が、自作のタイトルやISBNコードを書き込んで配布すれば、読者は書店でスマホなどを用いて画像を表示するだけでスムーズに注文ができるようにしたもの。

 このフォーマットへの反響は大きく、書誌情報を入力するだけでフォーマットを生成できる「書籍予約・取寄せフォーマット用生成ツール」(http://monokakitools.net/bookinfo/)ツールも有志によって公開されている。

 このツールによって、取り寄せや事前予約も簡便になり、結果、書店を通じた新規読者の開拓も期待されている。

 全国100の書店をめぐり『「本を売る」という仕事: 書店を歩く』(潮出版社)を上梓した、フリー記者の長岡義幸氏は、ネット書店隆盛の中での、実書店の意義を次のように語る。

「多くの本と出会う機会が得られるのは実書店ならでは。自分が買いたい一点を探すのではなく、目当ての周辺の本や、まったく知らなかった本にも出会うことができるんです」

 ネット書店でも、自分の欲しい本を購入すると関連する本は表示される。それでも、得られる情報の量でいえば実書店のほうが、はるかに多いといえるだろう。話題のフォーマットには、そうした機会を与える期待もあるようだ。

 現在、主にマンガ家の間に広まっているこのツールだが、汎用性は高いので、マンガ家以外も使うことができる。筆者も以前、新聞に自著の書評が掲載されたのに、書店の「今週の書評掲載された本」コーナーで欠品していて、非常にイラついた記憶が……。これからは、ぜひ、このフォーマットを使わせてもらおうと思っている。
(文=昼間たかし)