実話ヤクザホラー! 「あそこは出る」と刑事も怖がる組事務所

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

 夏といえば怪談ですね。実は、不良にはスピリチュアル好きが多いです。「御朱印集め」がブームになる前からみんな集めてましたし、怪談や占いも好きですね。大きなパワーストーンのブレスレットは、ヤクザファッションの定番でもあります。

 また、幽霊など縁起の悪いデザインの刺青も魔除けとして人気があります。角界の「オシャレ番長」こと石浦関の着物も生首と幽霊の柄で話題ですが、デザインはやはり彫師さんだそうです。

 切った張ったの世界で生きているので、縁起を担ぐ気持ちはわかりますね。そういえば、オットの組の若い衆たちも、心霊スポットなどにとっても詳しかったです。以前はよく「姐さん、○○ホテルの○階は出ますから、泊まっちゃダメですよ」とか教えてもらっていました。

■組事務所で「殺し」は(多分)ありません

 殺人や自殺、火事のあった建物で「出る」というウワサは、まあありがちですよね。でも、「○○組の事務所に出る」となると、お聞きになったことのある方は少ないのではないでしょうか。これが実は結構あるんです。

 もともとみんな怖い話が好きですから、「○○事務所の廊下に白い人影がうずくまってる」とか、「入り口にいつも半透明の中年の男が立っている」とかいうウワサはよくありました。そうなると、必然的に「あそこの親分、やっぱり殺(や)ってるんだなあ」とか話題になります。でも、指定団体の事務所のことは警察が常に把握していますから、そこで殺人はまず起こらないと思うんですよ。

 そもそもヤクザの事件は目立つだけで、実際にはそうそう殺人は起こりません。ヤクザはカッとなって殴ったり蹴ったりすることはあっても(これもよくないですけど)、殺してしまったら自分も長い懲役に行かなくてはならないし、場合によっては親分にも殺人教唆の嫌疑がかかり、「使用者責任」も追及されますので、そういうことは計算しているはずです。だから、事務所に出る幽霊さんはおおむね「ヤクザに殺された人」ではないと思います。

■オッサンがオイオイ泣いている声が聞こえる

 例えば、某事務所には「刑事も怖がって行かない」というウワサがありました。刑事さんが「あの事務所は怖い」と言っているのを聞いた、とオットも生前に言っていました。目撃者によると、トイレ脇の洗面台のところに女性、キッチンに小さな子どもの霊がいるそうです。さらに午前零時をまわるとラップ音が鳴り、買ったばかりの家電がしょっちゅう壊れるなどの実害も続出だったとか。

 それで、若い衆から相談された姐さんが「拝み屋さん」(祈祷師)に見てもらったら、なんと「江戸時代からいる古い霊で、女性と子どもは(事務所とは)無関係らしい」と言われたそうです。近くに川があって、そこから来たのだとか。ヤクザが珍しかったんでしょうか。

 そこはもうないんですけど、「あの事務所はデボチン(刑事)も怖がって来ないから、シャブ(覚醒剤)や道具(拳銃)を預かってもらおう」とオットたちがよくふざけて言っていました。

 もう1つすごいのは、「泣きを入れるオッサン」が出る事務所です。これは、ある古い雑居ビルの一室を事務所にしていた組の若い衆から聞きました。明け方になると、「オレはまだ死にたくなかったのに……」と、オッサンがオイオイ泣いている声が聞こえるのだそうです。

 組員たちはまったく心当たりがないので調べてみると、その組が借りるずっと前にカタギさん同士の殺人があった物件でした。「どうりで間取りの割に安いと思いました。30年くらい前の事件でしたから、不動産屋の告知義務もなかったみたいです」と若い衆。私が聞いた時にはもう笑い話になっていましたが、そのビルは解体されたそうですよ。幽霊さんたちはどこへ行くんでしょうね。南無阿弥陀仏。

■殺した相手が夢枕に……

 以前のヤクザなら年がら年中、むやみに人を殺しているイメージかもしれませんが、実際には昔も今もそんなことはありません。「組織として仕方なく」という場合が多いです。それでも、罪悪感はあるようで、殺した相手が夢枕に立ったという話を以前はよく聞きました。それで自首した例もあります。

 でも、懲役に行っていたオットの若い衆は、「むしろカタギさんのほうが、サバサバしていて怖かったです」と苦笑していました。この若い衆と同じ施設にいた政治運動家さんは殺人犯で、「だって、(殺人も)組織のためですから」とまったく悪びれず、どうやって殺したかを笑いながら具体的に話していたそうです。

 まあ、私が女性だから若い衆たちも気を許して話してくれるのでしょうが、幽霊よりもヤクザよりも、その運動家さんのほうが怖いなあと思ってしまいました。

「バイアグラ」は女性にも効くというウワサ――元極妻が語る、セックスドラッグ裏話

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

 毎日暑いですね。お元気でいらっしゃいますか? 少し前ですが、テレビをつけたら朝から画面に「バイアグラ」の文字が躍っていて、クラクラしました。松居一代さんがらみですね。

 極妻時代は、朝から若い衆と掃除や洗濯、朝食づくりに追われていて、その間テレビがずっとつけっぱなしになっていました。

「わ、○○親分、逮捕(パク)られてるし!」「□□(芸能人の名前)、またシャブ? ウチも警察来るかしら」などとニュースやワイドショーを見ながらワイワイとやっておりました。懐かしいですね。

 極妻引退(?)後は、しばらくテレビも見ていなかったのですが、最近は、朝、時計代わりにつけています。それで松居さんのニュースを見て、バイアグラの知識なら負けないなあと思ってしまいました。

■勃起薬はヤクザの合法シノギでもあり

 1998年にアメリカで発売されたバイアグラが、日本で販売されるようになったのは翌99年でした。もちろん98年から、不良の間では「アメリカのすごいクスリがある」と話題でした。

「(自分の気持ちとは無関係に)飲んだ瞬間に、とにかくムックムクなんスよ!」と、試してみたという若い衆たちがはしゃいでましたね。若いんだからいらないんじゃないかと思いましたが、単なる新しもの好きなんです。で、こういうのを輸入できる不良がいるんですね。不良といってもいろいろで、英語はもちろん中国語やロシア語ができるとか、株の知識がめっちゃあるとかいう人も珍しくありません。

 こういう人は、「小さな頃から悪ガキ」というよりは、大卒で大手企業にお勤めだったのに、主に女性問題などを「やらかして」いられなくなって、不良の世界へ……というルートが多かったです。今も同じなんじゃないですかね。こういう組員がいる組は、海外の合法ドラッグの買い付けや、株やFXで相当儲かってたと思います。もちろんウチは無縁でしたが。

 たとえば私のオットの兄弟分のAさんは、海外の合法勃起薬の輸入販売で儲けておられました。もちろん豪邸は「バイアグラ御殿」と呼ばれてます。合法ですからリスクはほぼありませんし、傘下のソープランドとかでも売れるのでウハウハです。

 この親分経由で、ウチにもいろんなセックスドラッグが来ていました。ウチの組もソープに卸していたようです。まあオンナがシノギに口を出すことは(タテマエとしては)ないので、私も深くは聞いていません。

 違法薬物ではありませんが、パッケージからして、もうアヤしい。しかも英語や中国語ですからね。でも、若い衆たちは喜んで使っていました。ちゃんとした「バイアグラ」の日本での認可はアメリカでの発売から1年後でしたし、お医者さんの処方が必要なので、それまではもっと手軽なジェネリック系「なんちゃってバイアグラ」や漢方系の興奮剤のほうが人気でしたね。こちらは錠剤以外にも、フィルム状で舐めるタイプや粉薬タイプ、液体と、形状もいろいろ。

 フィルムをうれしそうに見せながら、「これ、射精の直前に舐めると、マジ昇天しそうになるんスよ!」とニコニコしていた若い衆の英ちゃんも今や3児の父です。

■「女性用バイアグラ」はめんどくさい

 ご承知のようにバイアグラは男性用ですが、一時は女性にも効くというウワサが出回っていました。まあ「血行を極端によくするクスリ」なので、女性でも血流はよくなるということのようです。その一方で、女性を興奮させるセックスドラッグの開発はなかなか進んでいませんね。女性用バイアグラは、日本のメーカーも開発していたと思いましたが、検索したらないようです。昔は、私も試供品をもらったことがあります。

「姐さん、これ女性用バイアグラです」
「へえー。そんなのもあるのね」

 若い衆がうれしそうにくれたので、使ってみたこともありますが、効きませんでした。後で聞いたら、「酒が強い人には効かない」タイプだったようです。そんなものを私に持ってくるとは(笑)!

 アメリカで販売されている女性用バイアグラは「アディー」ですね。「性的欲求低下障害」の治療薬「フリバンセリン」の商品名です。あくまでも「治療薬」なんですよ。実はバイアグラも商品名で、勃起治療薬としては「シルデナフィル」です。

 ただし、アディーはバイアグラと違ってイタさない日も毎日飲まないと効果がないとか、けっこう面倒くさいようです。効き方も個人差があるとか。そもそも「性的欲求低下」っていわれても、オンナだって、したくない日はありますよね。年がら年中したいのは「セックス依存症」とかいわれて、ヤクザに利用されますから、ご注意を。って、裏社会の住人だった私が言うことじゃありませんね……。

「バイアグラ」は女性にも効くというウワサ――元極妻が語る、セックスドラッグ裏話

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

 毎日暑いですね。お元気でいらっしゃいますか? 少し前ですが、テレビをつけたら朝から画面に「バイアグラ」の文字が躍っていて、クラクラしました。松居一代さんがらみですね。

 極妻時代は、朝から若い衆と掃除や洗濯、朝食づくりに追われていて、その間テレビがずっとつけっぱなしになっていました。

「わ、○○親分、逮捕(パク)られてるし!」「□□(芸能人の名前)、またシャブ? ウチも警察来るかしら」などとニュースやワイドショーを見ながらワイワイとやっておりました。懐かしいですね。

 極妻引退(?)後は、しばらくテレビも見ていなかったのですが、最近は、朝、時計代わりにつけています。それで松居さんのニュースを見て、バイアグラの知識なら負けないなあと思ってしまいました。

■勃起薬はヤクザの合法シノギでもあり

 1998年にアメリカで発売されたバイアグラが、日本で販売されるようになったのは翌99年でした。もちろん98年から、不良の間では「アメリカのすごいクスリがある」と話題でした。

「(自分の気持ちとは無関係に)飲んだ瞬間に、とにかくムックムクなんスよ!」と、試してみたという若い衆たちがはしゃいでましたね。若いんだからいらないんじゃないかと思いましたが、単なる新しもの好きなんです。で、こういうのを輸入できる不良がいるんですね。不良といってもいろいろで、英語はもちろん中国語やロシア語ができるとか、株の知識がめっちゃあるとかいう人も珍しくありません。

 こういう人は、「小さな頃から悪ガキ」というよりは、大卒で大手企業にお勤めだったのに、主に女性問題などを「やらかして」いられなくなって、不良の世界へ……というルートが多かったです。今も同じなんじゃないですかね。こういう組員がいる組は、海外の合法ドラッグの買い付けや、株やFXで相当儲かってたと思います。もちろんウチは無縁でしたが。

 たとえば私のオットの兄弟分のAさんは、海外の合法勃起薬の輸入販売で儲けておられました。もちろん豪邸は「バイアグラ御殿」と呼ばれてます。合法ですからリスクはほぼありませんし、傘下のソープランドとかでも売れるのでウハウハです。

 この親分経由で、ウチにもいろんなセックスドラッグが来ていました。ウチの組もソープに卸していたようです。まあオンナがシノギに口を出すことは(タテマエとしては)ないので、私も深くは聞いていません。

 違法薬物ではありませんが、パッケージからして、もうアヤしい。しかも英語や中国語ですからね。でも、若い衆たちは喜んで使っていました。ちゃんとした「バイアグラ」の日本での認可はアメリカでの発売から1年後でしたし、お医者さんの処方が必要なので、それまではもっと手軽なジェネリック系「なんちゃってバイアグラ」や漢方系の興奮剤のほうが人気でしたね。こちらは錠剤以外にも、フィルム状で舐めるタイプや粉薬タイプ、液体と、形状もいろいろ。

 フィルムをうれしそうに見せながら、「これ、射精の直前に舐めると、マジ昇天しそうになるんスよ!」とニコニコしていた若い衆の英ちゃんも今や3児の父です。

■「女性用バイアグラ」はめんどくさい

 ご承知のようにバイアグラは男性用ですが、一時は女性にも効くというウワサが出回っていました。まあ「血行を極端によくするクスリ」なので、女性でも血流はよくなるということのようです。その一方で、女性を興奮させるセックスドラッグの開発はなかなか進んでいませんね。女性用バイアグラは、日本のメーカーも開発していたと思いましたが、検索したらないようです。昔は、私も試供品をもらったことがあります。

「姐さん、これ女性用バイアグラです」
「へえー。そんなのもあるのね」

 若い衆がうれしそうにくれたので、使ってみたこともありますが、効きませんでした。後で聞いたら、「酒が強い人には効かない」タイプだったようです。そんなものを私に持ってくるとは(笑)!

 アメリカで販売されている女性用バイアグラは「アディー」ですね。「性的欲求低下障害」の治療薬「フリバンセリン」の商品名です。あくまでも「治療薬」なんですよ。実はバイアグラも商品名で、勃起治療薬としては「シルデナフィル」です。

 ただし、アディーはバイアグラと違ってイタさない日も毎日飲まないと効果がないとか、けっこう面倒くさいようです。効き方も個人差があるとか。そもそも「性的欲求低下」っていわれても、オンナだって、したくない日はありますよね。年がら年中したいのは「セックス依存症」とかいわれて、ヤクザに利用されますから、ご注意を。って、裏社会の住人だった私が言うことじゃありませんね……。

覚醒剤よりヤバい! ヤクザが「危険ドラッグは危険」と言う理由

 最近、危険ドラッグにまつわる事件が、また目立ってきましたね。しばらく見ない印象でしたが、ニュースの見出しだけでも「危険ドラッグを自宅で製造し密売、男逮捕」「京都新聞記者を逮捕 危険ドラッグ所持の疑いで」「東邦大病院の看護師を危険ドラッグ密輸容疑で告発」「危険ドラッグ密輸 青森市職員 起訴」などなど、すごいですね。

 特に、50代のTBS幹部社員がホテルで「30代知人女性」に危険ドラッグを「嗅がせよう」として、誤って顔にかけてしまい、赤く腫れたという事件には驚きましたね。おそらくは覚醒剤と成分が似ているといわれる「アロマリキッド」の類いだと思いますけど、顔が腫れるなんて超粗悪品ですよ。目的は、もちろんキメセクです。

 「ひどーい。こんなの今どきヤクザだってやらないわよね」と、思わずオットの遺影に話しかけてしまいました。

■オットの子分が「危険ドラッグは危険」と言ってます

 これらの報道には、「暴力団」の文字がほとんど見当たりませんでした。関与してないのではなく、バレないように巧妙に存在を消しているのだと思います。

 たとえば、危険ドラッグの製造密売で逮捕された30代男性は「派遣社員」でした。中国から安い指定薬物を密輸しようとして税関に見つかり、警察に通報されたそうです。ほかも、看護師や地方公務員ですから、「暴力団」との関係は一見薄そうですね。でも、関係ないわけがありません。ちなみに看護師さんと結婚してるヤクザは結構いるんですが、その話はまた。

 「危険ドラッグは儲かる」ということで、手を出しているヤクザは多いです。「覚醒剤と違ってテキトーに作れて、高く売れます」と、オットの若い衆も言っていました。銘柄としては「ラッシュ」が有名ですけど、同じ「ラッシュ」でも内容はバラバラなのだそうです。

 危険ドラッグは、大麻やそれに近い幻覚作用のある「ハーブ」に、薬局で売ってるカフェインや乾燥剤、さらには粉ワサビや洗剤、殺虫剤といった「舌に刺激を感じるもの」や「悪酔いするもの」などを混ぜた液体をスプレーして、もんで乾かすのが主流です。「問題は、『同じもの』をリクエストされた時ッスねー。テキトーに作ってるから、再現できないス」と笑っていた若い衆は、現在はカタギになって道路工事をしています。私のオットは指を詰めさせなかったので、社会復帰はしやすいと思います(ちょっと自慢)。

 ちなみに別の若い衆からは「姐さん、危険ドラッグだけはやったらダメですよ。シャブのほうがいいですよ」と言われたこともあります。「ほどほどにしときなさいよ」と言っておきましたが、「若い人たちはなんでもアリだなあ」と、極妻の私ですら思いました。

 これほど危険ドラッグの密売が盛んに行われているのは、「暴力団対策基本法」(暴対法)よりも「暴力団排除条例」(暴排条例)の影響が大きいと思います。「暴力団員」だけでなく、その家族や友達も排除する条例で、ほとんどのヤクザや周辺者が正業(土木や産廃、飲食関係が多いです)から排除されてしまいました。

 そういえば、2011年夏に突然、島田紳助さんが泣きながら記者会見して、「暴力団と交際していました」と謝ったのをご記憶の方も多いと思いますが、「ヤクザと付き合ったら芸能界追放」みたいなルールなんですね。この会見後の10月に、東京で暴排条例が施行されて、今ではすべての都道府県で条例ができています。

 こうなってしまったら、生活のために危険ドラッグや覚醒剤の密売、あるいは「オレオレ詐欺」をやるしかなくなりますよ。それに、条例の内容は自治体によって若干違うそうですが、だいたいは「ヤクザをやめてから5年以上たたないと、カタギとは認めない」的な決まりがあります。この5年間は、どうやって生活しろというのでしょうね。それに、5年後すぐに「カタギ」と認められる保証はありません。何かあれば必ず「元暴力団員」と報道されるでしょうしね。

 行き場を求めてヤクザになった彼らを追い込んだところで、ヤクザ以上に悪くなるのは当然でしょう。でも、「とにかく暴力団を排除しろ」という警察庁の号令に異議を申し立てれば、「ヤクザと関係があるのか?」と思われてしまいますから、政治家さんもお役人さんも「言いづらい」のだそうです。まあ、お気持ちはわかりますが、これからは、ますますヤクザは見えにくい存在、つまりマフィア的になっていくでしょう。

覚醒剤よりヤバい! ヤクザが「危険ドラッグは危険」と言う理由

 最近、危険ドラッグにまつわる事件が、また目立ってきましたね。しばらく見ない印象でしたが、ニュースの見出しだけでも「危険ドラッグを自宅で製造し密売、男逮捕」「京都新聞記者を逮捕 危険ドラッグ所持の疑いで」「東邦大病院の看護師を危険ドラッグ密輸容疑で告発」「危険ドラッグ密輸 青森市職員 起訴」などなど、すごいですね。

 特に、50代のTBS幹部社員がホテルで「30代知人女性」に危険ドラッグを「嗅がせよう」として、誤って顔にかけてしまい、赤く腫れたという事件には驚きましたね。おそらくは覚醒剤と成分が似ているといわれる「アロマリキッド」の類いだと思いますけど、顔が腫れるなんて超粗悪品ですよ。目的は、もちろんキメセクです。

 「ひどーい。こんなの今どきヤクザだってやらないわよね」と、思わずオットの遺影に話しかけてしまいました。

■オットの子分が「危険ドラッグは危険」と言ってます

 これらの報道には、「暴力団」の文字がほとんど見当たりませんでした。関与してないのではなく、バレないように巧妙に存在を消しているのだと思います。

 たとえば、危険ドラッグの製造密売で逮捕された30代男性は「派遣社員」でした。中国から安い指定薬物を密輸しようとして税関に見つかり、警察に通報されたそうです。ほかも、看護師や地方公務員ですから、「暴力団」との関係は一見薄そうですね。でも、関係ないわけがありません。ちなみに看護師さんと結婚してるヤクザは結構いるんですが、その話はまた。

 「危険ドラッグは儲かる」ということで、手を出しているヤクザは多いです。「覚醒剤と違ってテキトーに作れて、高く売れます」と、オットの若い衆も言っていました。銘柄としては「ラッシュ」が有名ですけど、同じ「ラッシュ」でも内容はバラバラなのだそうです。

 危険ドラッグは、大麻やそれに近い幻覚作用のある「ハーブ」に、薬局で売ってるカフェインや乾燥剤、さらには粉ワサビや洗剤、殺虫剤といった「舌に刺激を感じるもの」や「悪酔いするもの」などを混ぜた液体をスプレーして、もんで乾かすのが主流です。「問題は、『同じもの』をリクエストされた時ッスねー。テキトーに作ってるから、再現できないス」と笑っていた若い衆は、現在はカタギになって道路工事をしています。私のオットは指を詰めさせなかったので、社会復帰はしやすいと思います(ちょっと自慢)。

 ちなみに別の若い衆からは「姐さん、危険ドラッグだけはやったらダメですよ。シャブのほうがいいですよ」と言われたこともあります。「ほどほどにしときなさいよ」と言っておきましたが、「若い人たちはなんでもアリだなあ」と、極妻の私ですら思いました。

 これほど危険ドラッグの密売が盛んに行われているのは、「暴力団対策基本法」(暴対法)よりも「暴力団排除条例」(暴排条例)の影響が大きいと思います。「暴力団員」だけでなく、その家族や友達も排除する条例で、ほとんどのヤクザや周辺者が正業(土木や産廃、飲食関係が多いです)から排除されてしまいました。

 そういえば、2011年夏に突然、島田紳助さんが泣きながら記者会見して、「暴力団と交際していました」と謝ったのをご記憶の方も多いと思いますが、「ヤクザと付き合ったら芸能界追放」みたいなルールなんですね。この会見後の10月に、東京で暴排条例が施行されて、今ではすべての都道府県で条例ができています。

 こうなってしまったら、生活のために危険ドラッグや覚醒剤の密売、あるいは「オレオレ詐欺」をやるしかなくなりますよ。それに、条例の内容は自治体によって若干違うそうですが、だいたいは「ヤクザをやめてから5年以上たたないと、カタギとは認めない」的な決まりがあります。この5年間は、どうやって生活しろというのでしょうね。それに、5年後すぐに「カタギ」と認められる保証はありません。何かあれば必ず「元暴力団員」と報道されるでしょうしね。

 行き場を求めてヤクザになった彼らを追い込んだところで、ヤクザ以上に悪くなるのは当然でしょう。でも、「とにかく暴力団を排除しろ」という警察庁の号令に異議を申し立てれば、「ヤクザと関係があるのか?」と思われてしまいますから、政治家さんもお役人さんも「言いづらい」のだそうです。まあ、お気持ちはわかりますが、これからは、ますますヤクザは見えにくい存在、つまりマフィア的になっていくでしょう。

突然ですが「ヤクザ罪」ってご存じですか?――元極妻が明かす、ヤクザが逮捕されるワケ

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

 6月16日、神戸山口組のトップ・井上邦雄組長がまた逮捕されましたね。その10日前には携帯電話が「30代知人女性」の名義だったとして詐欺容疑で逮捕されていますが、大親分を逮捕するには、どっちも昔ならあり得ない容疑です。「トップを拘留して組の動きを封じるためでは?」と見られているようですが、そんなに長い拘留はできないでしょうし、実際のところよくわかりません。

■ヤクザであること自体が「罪」

 そんな話をしていたら、編集者さんから聞かれました。

「ていうか、ほかの組員さんは、どうやって携帯電話を入手しているんですか?」

 おお、素朴ないい疑問ですね。実は、ちょっと前までは自分名義のケータイを持ってるヤクザのほうが珍しかったんですよ。いわゆる「トバシ」(わかんない人は検索してください)やプリペイドカードで使う携帯電話が多かったです。今は自分名義で使っている人が多いですし、彼女や「周辺者」(盃はあげてない若い衆)に買わせることもあります。

 とはいえ、同じことをしていても、全員が逮捕されているわけではないですよね。これはなぜなんでしょう。

 ぶっちゃけボーイフレンドに携帯電話を契約してもらって使っている女の子がいても、そもそも警察からマークされませんよね。また偽名でホテルに泊まっても、事務作業用のハサミやカッターナイフを文具ポーチに入れていても、普通は逮捕されません。でも、ヤクザだと「旅館業法違反」や「銃刀法違反」で逮捕されることもあるのです。これが、「ヤクザ罪」なんです。「ヤクザだから」逮捕するということです。

 私が知り合いの刑事さんから聞いたお話では、「自分名義のほうが盗聴しやすいから、たいていは使わせて泳がせている。それにオンナや若い者に買わせている件まで全員摘発したら、留置場がいっぱいになっちゃうから、やれるわけない」そうです。つまり逮捕しようと思えばできるけど、全員ではなくて、井上組長のような幹部さんだけを逮捕するようです。

 「それがイヤならヤクザをやめろ」とおっしゃる方の気持ちもわかります。同じ犯罪でも懲役は長めですし(これも「ヤクザ罪」のひとつ)、上下関係は厳しいし、ヤクザをしていても何もいいことありませんしね。でも、亡きオットや周辺の組員さんたちを見ていると、「ほかに行き場がないから、ヤクザとして生きていくしかない人たちなんだな」と実感します。ほとんどが育った環境に問題があって、不器用で寂しがり屋なんです。やりたくてヤクザをやっている人なんか、まずいませんよ。

 「ヤクザをやめろ」という前に受け皿を作ってあげないと、行き場がなくなって、ますます悪いことをすることになります。

 「日本も海外みたいに『結社罪』を作って、『ヤクザ組織』の存在を罪にしろ」という声もありますが、これもどうでしょうか。

 だって結社罪のあるイタリアは、マフィアがのさばっていますよね。ウチのご近所に住んでいるイタリアからの留学生さんは、「マフィアは良くも悪くも『隣人』ですネ。今もしょっちゅう政治家がマフィアに殺されてますヨ」と流暢な日本語で言ってました。これ以上ヤクザを追い込んだらマフィア化してしまうかもしれません。

 ちなみにこの留学生さんは、お若いのに好きな映画が『ゴッドファーザー』なのだそうです。マフィアが身近なんですね。実は『ゴッドファーザー』は、日本のヤクザにもとっても人気があります。お正月にはオットや若い衆とおせちをいただきながら毎年のように見ていましたし、オットの兄弟分が入院する時など、お見舞いにDVDのボックスセットをプレゼントしたことも一度や二度ではありません。オットの命日にまた見たくなりました。

『極道の妻たち』の岩下志麻みたいな姐さんはいない――極道いろいろ、極妻もいろいろ

 皆様、はじめまして。待田芳子と申します。

 オットは某指定組織の三次団体幹部、つまりヤクザでした。「でした」というのは少し前に刑務所で病死したからなのですが、近ごろの暴力団排除は本当にひどいなあと思います。大都市を中心に、ヤクザは妻までがクレジットカードを止められ、銀行口座や生命保険を解約され、子どもたちは保育園や私学で入園・入学を拒否されています。私は以前からメディアの取材は積極的に受けさせていただくようにして、そうしたことを、なるべく記者さんたちに丁寧にお話をして、記事に反映してもらえるようにしてきました。ちゃんと聞いて原稿にしてくださる記者さんも少なくなく、そういったご縁から、今回の執筆の機会をいただくことになった次第です。

■コワモテなのにひらがなもロクに読めない・書けないのは普通

 最近は子どものために離婚している極妻さんも増えていますし、ヤクザをやめるお父さんも目立ちます。でも、それって数字上のことなので、「ヤクザが減った」「暴排の効果だ」と喜ぶことではないと思います。だって、今までヤクザとして生きてきた人がそうカンタンに仕事を見つけられるわけがないのですから。

 そもそも皆さんが思われるほど、ヤクザ社会はギスギスしていませんでした(今はシノギがないので、ややギスギスしてきましたが)。

 ヤクザになる人は、主に家庭の事情で学校に行けなかった人が大半ですから、コワモテなのにひらがなもロクに読めない・書けないのは普通です。それだけで本が何冊も書けるくらいおバカなエピソードがありますが、そんなこんなを仲間内でネタにして笑いとばし、助け合ってきたのです。

 たとえば、みんなでちょっといいレストランに行って、オットが「サンペレグリノ」を頼んだことがありました。サービスの手間暇も考えて、若い衆たちがこぞって「オレも」「ワシも」となるのは、いつものことです。でも、この時は運ばれたグラスを口にした1人が「なんや、これっ? ただの水やんか! コラッ!」と叫び、ボーイさんが笑いをこらえていました。

 暴排条例施行の前で、みんな赤いシャツやらスキンヘッドやらの“いかにも”な外見だったので、余計に面白かったのだと思います。オットも「このバカ、ミネラル・ウォーターも知らんのか!」とウケていましたが、「まあワシも昔はそうやったなあ」と遠い目をしていました。

 こんなメンバーは、だいたい懲役に行って読み書きを覚えます。刑務所とは「侠(おとこ)を磨く場」といわれますが、その前に学校で勉強しなかったことを教えてくれる場所でもあるのです。

 覚えたてのたどたどしい字で、刑務所から「ねえさんの、つくってくれた、かれーらいすがまたたべたいです」なんて手紙が来ると、ホロっとしますね。ヤクザになるコたちは、ほとんどが親の愛に恵まれていません。人間関係に問題があるのはそのせいでしょうね。それでも上下関係が厳しい組にいられるコたちのほうが、まだ更生の見込みはあるかもしれませんよ。

 私はなるべく彼らの「お母さん」的な役割を果たすようにしてきました。「極妻」といっても、まさに十人十色なのですが、私は昔ながらのスタンダードなタイプでしたね。若い衆に手伝わせて、みんなの分の食事を作り、洗濯や掃除もしていました。あとは逮捕された時の弁護士との連絡、本や服の差し入れ、手紙の代筆などですね。

 ちなみに映画『極道の妻たち』の岩下志麻さん演じる環さんみたいな極妻はいません(笑)。実際は完全な男の世界ですから、オットの子分に「あんた、指詰めなアカンよ」なんて言えるわけはないのです。まあファッションや話し方に、映画の影響を受けているのがミエミエの姐さんはいますけどね。

 伴侶にヤクザを選ぶわりには、まっとうな職業の女性も多く、私の知り合いの姐さんたちにも、看護師や保険の外交員、スーパーの店員や事務員などの出身の方がいます。変わったところでは鍼灸師やファッションモデル、クラブのピアニストなんかもいるんですよ。あとは「アタシと結婚したいならヤクザをやめて」と言って足を洗わせた焼き鳥屋のおかみさんもいます。ご主人はゼロから焼き鳥の作り方を練習したそうで、けっこうおいしいです。

 極道もいろいろ、極妻もいろいろ、というわけです。私の場合はオットが亡くなって、この世界から離れることになりましたが、これを機に体験した面白エピソードを伝えていきたいなあ、なんて思っています。

『極道の妻たち』の岩下志麻みたいな姐さんはいない――極道いろいろ、極妻もいろいろ

 皆様、はじめまして。待田芳子と申します。

 オットは某指定組織の三次団体幹部、つまりヤクザでした。「でした」というのは少し前に刑務所で病死したからなのですが、近ごろの暴力団排除は本当にひどいなあと思います。大都市を中心に、ヤクザは妻までがクレジットカードを止められ、銀行口座や生命保険を解約され、子どもたちは保育園や私学で入園・入学を拒否されています。私は以前からメディアの取材は積極的に受けさせていただくようにして、そうしたことを、なるべく記者さんたちに丁寧にお話をして、記事に反映してもらえるようにしてきました。ちゃんと聞いて原稿にしてくださる記者さんも少なくなく、そういったご縁から、今回の執筆の機会をいただくことになった次第です。

■コワモテなのにひらがなもロクに読めない・書けないのは普通

 最近は子どものために離婚している極妻さんも増えていますし、ヤクザをやめるお父さんも目立ちます。でも、それって数字上のことなので、「ヤクザが減った」「暴排の効果だ」と喜ぶことではないと思います。だって、今までヤクザとして生きてきた人がそうカンタンに仕事を見つけられるわけがないのですから。

 そもそも皆さんが思われるほど、ヤクザ社会はギスギスしていませんでした(今はシノギがないので、ややギスギスしてきましたが)。

 ヤクザになる人は、主に家庭の事情で学校に行けなかった人が大半ですから、コワモテなのにひらがなもロクに読めない・書けないのは普通です。それだけで本が何冊も書けるくらいおバカなエピソードがありますが、そんなこんなを仲間内でネタにして笑いとばし、助け合ってきたのです。

 たとえば、みんなでちょっといいレストランに行って、オットが「サンペレグリノ」を頼んだことがありました。サービスの手間暇も考えて、若い衆たちがこぞって「オレも」「ワシも」となるのは、いつものことです。でも、この時は運ばれたグラスを口にした1人が「なんや、これっ? ただの水やんか! コラッ!」と叫び、ボーイさんが笑いをこらえていました。

 暴排条例施行の前で、みんな赤いシャツやらスキンヘッドやらの“いかにも”な外見だったので、余計に面白かったのだと思います。オットも「このバカ、ミネラル・ウォーターも知らんのか!」とウケていましたが、「まあワシも昔はそうやったなあ」と遠い目をしていました。

 こんなメンバーは、だいたい懲役に行って読み書きを覚えます。刑務所とは「侠(おとこ)を磨く場」といわれますが、その前に学校で勉強しなかったことを教えてくれる場所でもあるのです。

 覚えたてのたどたどしい字で、刑務所から「ねえさんの、つくってくれた、かれーらいすがまたたべたいです」なんて手紙が来ると、ホロっとしますね。ヤクザになるコたちは、ほとんどが親の愛に恵まれていません。人間関係に問題があるのはそのせいでしょうね。それでも上下関係が厳しい組にいられるコたちのほうが、まだ更生の見込みはあるかもしれませんよ。

 私はなるべく彼らの「お母さん」的な役割を果たすようにしてきました。「極妻」といっても、まさに十人十色なのですが、私は昔ながらのスタンダードなタイプでしたね。若い衆に手伝わせて、みんなの分の食事を作り、洗濯や掃除もしていました。あとは逮捕された時の弁護士との連絡、本や服の差し入れ、手紙の代筆などですね。

 ちなみに映画『極道の妻たち』の岩下志麻さん演じる環さんみたいな極妻はいません(笑)。実際は完全な男の世界ですから、オットの子分に「あんた、指詰めなアカンよ」なんて言えるわけはないのです。まあファッションや話し方に、映画の影響を受けているのがミエミエの姐さんはいますけどね。

 伴侶にヤクザを選ぶわりには、まっとうな職業の女性も多く、私の知り合いの姐さんたちにも、看護師や保険の外交員、スーパーの店員や事務員などの出身の方がいます。変わったところでは鍼灸師やファッションモデル、クラブのピアニストなんかもいるんですよ。あとは「アタシと結婚したいならヤクザをやめて」と言って足を洗わせた焼き鳥屋のおかみさんもいます。ご主人はゼロから焼き鳥の作り方を練習したそうで、けっこうおいしいです。

 極道もいろいろ、極妻もいろいろ、というわけです。私の場合はオットが亡くなって、この世界から離れることになりましたが、これを機に体験した面白エピソードを伝えていきたいなあ、なんて思っています。

神戸山口組組長がスマホ詐欺容疑で逮捕! 他人名義で携帯を契約したら犯罪?

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回の番組>
各局ニュース番組

<今回の疑問>
神戸山口組組長が逮捕された「知人名義で携帯電話の契約」は何が問題?

 6月6日、指定暴力団神戸山口組の井上邦雄組長が、詐欺容疑で逮捕された。井上容疑者の逮捕容疑は4年前、神戸市灘区の携帯電話販売店で、自分で使うことを隠して知人女性の名義でスマートフォンの機種変更契約をしたというもので、「知人が契約した携帯電話を使っていた」と容疑を認めていると報じられた。では、他人名義での契約で、何をだまし取ったことになるのか? アディーレ法律事務所の時光祥大弁護士に聞いた。

 時光弁護士によると、この場合だまし取ったものは、「携帯電話本体」ということになるという。

「詐欺罪が成立するには、(1)だます行為(欺罔<ぎもう>行為)、(2)勘違いすること(錯誤)、(3)財産の交付、(4)財産的損害の発生という流れが必要です。

 まず、本当は、携帯電話を神戸山口組の組長が使用するつもりなのに、それを伏せて、あたかも知人女性が使用するかのように申し込んだことが欺罔行為(1)です。神戸山口組の組長が使用するつもりだと申告する義務があったということになります。そして、電話販売店の従業員は、知人女性が利用するものと錯誤(2)し、携帯電話本体という財産を交付(3)してしまいました。そして、携帯電話会社は、その携帯電話本体を販売した、つまり失ったことで、財産的損害が発生(4)しました。なお、詐欺罪では、仮に正規の料金を払ったとしても、携帯電話本体を失ったこと自体で財産的損害が発生したと考えます」

 では、親や子、配偶者などの名義で携帯を契約して使用している場合も罪になるのだろうか?

「購入の際に、子どもや配偶者が使用すると申告して購入していれば、そもそも欺罔行為はありません。また、仮にそういった申告をしていなくても、一般人の家族が使うのであれば、携帯電話販売店もおよそ拒否しないでしょうから、申告する義務はなかったとして、やはり欺罔行為はなかったと考えられるのではと思います」

 家族ではなく、友人や知人の名義で携帯電話を契約して使用することはセーフなのだろうか?

「ひとつの線引きとしては、本当の目的(誰が使用するのかなど)を販売店が知っていれば、販売を拒否するかどうかだと思います。例えば、本当の目的がヤミ金に転売する目的だった場合、当然販売店は拒否するでしょう。この場合は詐欺罪が成立しそうです。では、友人に使用させる目的だった場合はどうでしょうか。正直なところ、ケースバイケース(友人との親密度、販売店の約款などを考慮して)というしかないでしょう。ただ詐欺罪になる可能性も十分ありますので、やめておくほうが無難です。

 なお、携帯電話不正利用防止法という法律もあります。通信事業者に無断で、通話可能な携帯電話を、『業として(簡単に言うと、何度も行うつもりで)』『有償で』譲渡・売買した場合は、犯罪になる可能性があります。この法律は振り込め詐欺などの対策のために制定されたものであり、友人1人に無料で貸してあげただけでは刑罰は科されません」

 ただし今回は、指定暴力団である神戸山口組の組長であったことが大きな問題だったと、時光弁護士は指摘する。

「暴力団追放条例にもとづく暴力団排除のため、電話販売店は、指定暴力団の組長に携帯電話を販売することはないでしょうから、仮に神戸山口組の組長が使用するつもりだとわかっていれば当然拒否しています。だからこそ、神戸山口組の組長が使用するつもりだと申告する義務があったと考えることができます」

 ところで、組長に名義を貸した知人女性は罪に問われないのだろうか?

「知人女性が、組長と一緒になって電話販売店に機種変更の申し込みをしていた場合、共同して詐欺をしたとして、詐欺罪(組長と共犯)が成立する可能性があります。勝手に名前を使われただけの場合は、詐欺罪にはならないでしょう」

 つまり、家族の名義で携帯電話を契約することは基本的に問題ないが、友人や知人名義の場合は、転売したり、貸す時にお金のやりとりが発生することも考えられるため、詐欺罪や携帯電話不正利用防止法になる可能性もあるということだ。むやみに名義貸しなどしないのが賢明だろう。

アディーレ法律事務所

<疑問大募集>
ドラマ、バラエティーから、ニュース、CMまで、弁護士に聞いてみたい、テレビを見ていて感じた疑問を募集しています。下記フォームよりご応募ください。

ご応募はこちらから

暴力団は、そもそも何が悪い? 山口組の分裂ってどういうこと? 弁護士に聞いてみた

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回の番組>
各局ニュース番組等

<今回の疑問>
暴力団は、法的に何が問題か?

 今年4月、日本最大の指定暴力団である山口組から分裂した神戸山口組の有力幹部らが新組織「任侠団体山口組」を結成したが、その後、対立抗争とみられる組員同士の傷害事件など、暴力団に関する事件がテレビや新聞などで相次いで報じられている。そもそも暴力団とは何が悪いのか? アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いた。

 岩沙弁護士によると、暴力団とは、「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」(暴力団対策法2条2号)だという。警察庁の統計によると、交通法令違反を除く平成27年度の全検挙人数30万4,868人のうち、暴力団構成員等は2万1,643人であり、全国の犯罪の7%については暴力団が関わっていることになるそうだ。

 では、そもそも暴力団は、どのような違法行為をしているのだろうか?

「違法行為の種類としては、暴行罪・傷害罪・恐喝罪などの暴力的な犯罪、窃盗罪・詐欺罪などの財産犯、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反などの薬物犯罪、その他、風営法違反、銃刀法違反など多岐にわたります。暴力団員による犯罪は、基本的に暴力的な犯罪が多かったのですが、最近では減少傾向にあり、覚せい剤や麻薬などの薬物犯罪、売春や賭博等の非合法なサービスの提供に変わってきています」

 よくニュースで報じられる山口組は、「指定暴力団」と呼ばれているが、一般の暴力団との違いは何か?

「暴力団対策法の規定に基づき指定された暴力団を『指定暴力団』といいます。指定される条件は暴対法3条に列挙されており、暴力団が次の3つのいずれにも該当すると認められる場合です。

(1)暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成または事業の遂行のための資金稼ぎを行いやすくしている団体であること
(2)幹部または所属全暴力団員のうちに、暴力的犯罪など暴力団特有の犯罪の前科を有するものが一定の割合以上いること
(3)代表する者またはその運営を支配する地位にある者の統制の下に階層的に構成されている団体であること

 平成28年4月に神戸山口組が新たに指定暴力団として指定され、指定暴力団は22団体となりました。暴対法は、指定暴力団に所属する構成員に対し、暴力的要求行為を禁止し、違反者に対し、中止命令または再発防止命令を発します。また、これらの命令に違反すると刑罰が科せられます。禁止されている暴力的要求行為は、口止め料を要求する行為、みかじめ料を要求する行為、不当債権取立行為など27種類の行為が定められています。指定されていない暴力団の組員が指定暴力団の威力を示して27種類の暴力的要求行為をすることを『準暴力的要求行為』といい、禁止されています。また、刑法やその他の特別法は、指定の有無にかかわらず、当然適用されます」

 では先日、神戸山口組から離脱した一派が「任侠団体山口組」を結成したが、暴力団の分裂は、一般社会にどのような影響を及ぼすと考えられるのか?

「暴力団が分裂した場合は、対立抗争が始まります。対立抗争には、一般人が巻き込まれるケースがあり、1980年代に山口組の一部が分裂して起こった『山一抗争』の時には、スナックでアルバイトをしていた女性が流れ弾に当たって亡くなる事件も起きています。抗争が起きやすい場所は、暴力団事務所や幹部の自宅周辺ですが、暴力団幹部が宿泊や会合で使用する行きつけのシティホテルなども要注意でしょう」

 抗争に巻き込まれないためには、少なくとも暴力団が集まる場所には近寄らないほうがよいだろう。

アディーレ法律事務所

<疑問大募集>
ドラマ、バラエティーから、ニュース、CMまで、弁護士に聞いてみたい、テレビを見ていて感じた疑問を募集しています。下記フォームよりご応募ください。

ご応募はこちらから