通信傍受法施行も問題なし⁉ ヤクザ御用達の”機密性No.1”無料通信アプリって?

 異例の10連休と「平成」から「令和」への改元……。何かと騒がしかった5月前半だったが、ここにきてヤクザ業界がなにやら騒がしい。

 都道府県公安委員会の指定暴力団である複数の有力団体が、ある法案についての内部通達を出したことが、裏社会で話題になっているのだ。

「彼らが警戒しているのは、6月に予定されている通信傍受法の施行です。法律の施行に合わせて、警察庁は捜査上の規則も改正。これまで必要だっ通信事業者の立ち会いが免除されるなど、通信傍受をする上での障壁がかなり取り除かれるようになる。捜査の現場では『特殊詐欺を摘発する際の大きな武器になる』といわれています」(大手紙社会部記者)

 これに伴い、ある指定暴力団内部では、組員同士の連絡手段として、無料通信アプリを使用するように通達が出たという。

「使用が奨励されたのは、『Signal(シグナル)』というアプリ。2013年にアメリカ・サンフランシスコのソフトウェア会社が開発したアプリで、米上院議員間の連絡手段としても採用されています。日本でおなじみのLINEや中国でユーザーが多い微信(WeChat)などと同じような仕様のアプリですが、最大の特徴は、その高い機密性にあります」(IT関連業者)

 シグナルを一躍有名にしたのが、米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集活動を暴露したエドワード・スノーデン氏の存在である。米中央情報局(CIA)職員だったスノーデン氏が「愛用している」と公言し、秘匿性の高さを評価したことで話題を集めたのがこのアプリなのだ。

 インテリジェンスのプロがお墨付きを与えたアプリというわけだが、裏社会では以前から「犯罪ツール」として広く活用されているという。

「シグナルは通信内容を暗号化して保護するサービスがマウントされており、一度消去したメッセージの内容を復元するのは不可能に近い。そこに目を付けたのが、ヤクザや半グレなどの裏社会の人間。主に振り込め詐欺で詐欺電話を掛ける『掛け子』や詐取金の受け取り役である『受け子』の連絡手段として使ったり、違法薬物の取引などに悪用されているようです」(前出の記者)

急速に進展する犯罪のハイテク化に対応しようとする警察当局と、さらにその裏をかこうとする裏社会の住人たち。両者のいたちごっこは、まだまだ続きそうだ。

産経「高齢者相手に違法勧誘」だけじゃない! ヤクザにも見放された新聞業界の断末魔

 もはや「新聞離れ」という言葉さえ死語になりつつある“死に体”の新聞業界。その窮状を象徴するかのようなニュースが報じられた。

 全国紙の一角を占める産経新聞の販売店が、高額な景品で長期契約の勧誘を行っていたことが発覚。景品表示法に違反する疑いがあるとして、大阪府消費生活センターが大阪の本社を立ち入り検査していたという。

「大阪府内の販売店が、数十万円相当のドラム式洗濯機と引き換えに、1人暮らしの高齢者らに長期の新聞購読契約を勧誘。その後、解約を申し出たところ、『高額な解約金を求められた』として、自治体に苦情が寄せられていたのです。景品表示法は、商品に見合わない高額景品を用いた勧誘を禁じています。自治体側はこれまで再三にわたって指導していましたが、改善が見られないため、今回の措置に踏み切ったようです」(事情を知る関係者)

 浮き彫りになったのは、景品という餌で釣るしか消費者をつなぎ留められなくなった新聞の苦境だ。

 今回、問題が発覚した産経は経営危機がささやかれて久しく、こうしたニュースが報じられても「さもありなん」と納得してしまうのが正直なところ。とはいえ、ほかの新聞社も事情は同じだ。新聞の発行部数を公式に示す「ABC部数」(2018年7月度)によると、朝日、読売、毎日、日経、産経の5大紙は、この1年間でいずれも大きく部数を減らし、合計約129万部減を記録したという。

 退潮著しい新聞業界だが、そもそもこれまで大部数を維持してこられたのは、紙面のクオリティーうんぬん以前に、販売店側の営業力による部分も大きい。

 新聞販売店による強引な販売手法をたとえる言葉として、「インテリが書いてヤクザが売る」というたとえ話があるが、実はこのフレーズ、あながち誇張された表現ともいえない面があるという。

「実際、新聞の拡張はシノギのひとつにしていた」と明かすのは、関東に本拠を持つ、さる暴力団幹部だ。

「今から20年ぐらい前、新聞の販売部数がまだ右肩上がりを続けていた時代は、おいしいシノギだったよ。といっても、もちろんオレが直接勧誘するわけじゃない。息のかかった拡張員を雇って、そいつらにやらせていた」

 力が物を言うヤクザ社会。新聞の拡張をめぐる、組織同士でのシノギの奪い合いもあったという。

「優秀な拡張員を囲っていると当然、実入りもよくなる。だから、販売店同士での拡張員の引き抜きが、しょっちゅうあったんだ。それでトラブルになったら、俺たちの出番だよ。北関東は特に販売競争が熾烈で、よくトラブル処理のために出張っていったもんだよ。あ、それにマッチポンプもやったな。子飼いの拡張員に架空の発注を取ってこさせて、販売実績を水増しする。それで、よその販売店が引き抜きにきたら、『うちの販売員にちょっかい出したな』と、こう出るわけよ。で、解決金として、そいつの販売実績に応じた金を相手からふんだくる。もちろん、その実績ってのは架空のもんだから、こっちは丸もうけってわけさ」

 新聞業界がメディアの雄として君臨した時代。その裏側では、知られざる“仁義なき戦い”が繰り広げられていたのだ。

 冒頭で紹介した産経の違法勧誘の一件は、ヤクザからも見放された新聞業界の、最後の悪あがきといえるかもしれない。

法令違反で信頼失墜のレオパレス21 暴力団の入居も黙認!?「都内では2つの組が同時入居……」

 賃貸アパート大手のレオパレス21が施工した複数の建物に法令違反が見つかり、約1万4,000人の入居者が退去を余儀なくされている問題では、経営陣主導による組織的な不法行為だった疑いも指摘され始めている。

 今後、同社が失墜した信頼を回復するためには、コンプライアンスとガバナンスに対する意識の向上が急務となりそうだが、そんなレオパレスの成り行きを裏社会が見守っているという。

 指定暴力団三次団体の組員、A氏はこう明かす。

「暴排条例が各都道府県で施行されて以来、事務所用はもちろん、組員の住居用の賃貸物件も見つけることが困難になった。というのも、ほとんどの物件の賃貸契約書には『暴力団排除条項』が加えられ、『入居者・契約者が暴力団関係者であることが判明した場合には、契約を解除し即刻退去させる』というような一文が加えられている。ガラの悪い連中が昼間から出入りしていたりすると、すぐに管理会社や警察に通報され、こちらの身分がバレて退去を求められる。しかしレオパレスは、腰掛け的に住んでいる人が多いせいか、我々のような人間が隣人でも、あまり問題にされない。また、問題になったとしても、組事務所や組員が退去を求められたという話はほとんど聞かない。事実、レオパレスに事務所を構えている組は少なくない。都内のあるレオパレス物件 には、同時期に2つの組の事務所が入居していたことさえあったと聞いている。でも今回の問題を機に、我々に対する対応も厳しくなるかもしれない」

 一方、今から約5年前、新宿区内のレオパレスのアパートに住んでいたというK氏も、暴力団排除に対する同社の不作為をこう告発する。

「私が住んでいた部屋の真下の部屋が、暴力団の組事務所でした。それを知ったのは、入居して間もないころ、私服の警察官が『下の階はヤクザの事務所なん だが、何か変わったことはないか?』と、うちに聞き込みに来たからでした。組事務所の真上に住む なんて居心地悪いし、なんとかしてくれるようレオパレス側にも申し入れたのですが『対応は難しい』と繰り返すばかり。結局、半年で転居するしかなかった」

 建築基準法などに違反した建築物を量産してきたレオパレスだが、暴力団の事務所や組員の入居を黙認していたとなれば、暴排条例も軽視していたことになるが、果たして……。

「ためていいのは、ヤマザキパンのシールくらい……」捜査当局へのポイントカード情報提供、裏社会では常識!?

 6,788万人以上が利用するポイントカード「Tカード」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブが、Tカードの会員情報に含まれる氏名や電話番号などの個人情報をはじめ、商品の購入履歴などを捜査当局に提供していることが判明した。2012年以降、本来は強制力のない「捜査関係事項照会書」による捜査協力要請があれば、対象となる会員の情報を捜査機関に提供していたという。

 さらに「Ponta」を展開するロイヤリティマーケティングや、「dポイント」のNTTドコモ、「楽天スーパーポイント」の楽天も、捜査当局に任意で情報提供していることを認めている。

 捜査当局からの照会への対応については、いずれも会員規約等にも明記されていない。犯罪捜査のためとはいえ、会員に許諾を得ないままで個人情報を第三者に提供することについて、賛否両論が巻き起こっている。

 しかし、反社会勢力の間では、ポイントカードの情報が捜査機関に利用されることは常識だったようだ。

 関東を拠点とする指定暴力団三次団体組員(48)は、こう明かす。

「捜査対象者の行動確認のために警察は、通信傍受法によって裁判所の令状がなければ傍受ができないことになっている電話やEメールのやりとりよりも、ポイントカードや交通系カードの利用履歴を照会しているということは、かなり前からよく言われていた。実際、2年ほど前、うちの親戚団体のフロントだったヤミ金の事務所が警察に挙げられたんだが、従業員が周辺のコンビニで頻繁にポイントカードを使っていたことで、場所が特定されたらしい。ヤクザも生活は楽じゃないので、もらえるポイントはためたいが、われわれがためてもいいのは、ヤマザキ春のパンまつりのポイントシールくらい(笑)。ポイントカード以外にも、移動履歴がまるわかりになるSuicaやPASMO、ETCカードなんかも、もちろん使わない」

 捜査当局に行動を把握されるのを嫌う裏社会の人々は今後、世界で進むキャッシュレス化の波に取り残されることになりそうだ。

築地も”密漁アワビ”だらけだった? 食品業界のタブー「密漁ビジネス」を暴く『サカナとヤクザ』

 アワビもウナギもカニも、日本人が口にする高級魚の大多数が、実は暴力団による密漁品であり、巨大な資金源になっている――。

 そんな衝撃の実態を突き止めるべく、密漁する暴力団や関係者に取材を続けた渾身のルポが『サカナとヤクザ』(小学館)だ。著書の鈴木智彦氏は『ヤクザと原発 福島第一潜入記』『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(ともに文藝春秋)などの著書を持つ、その道のプロ。知り合いの暴力団関係者に仲介してもらい、現場の人間に直接話を聞くという、一般人には到底不可能な突っ込んだ取材を敢行している。

 鈴木氏が最初に追ったのは、岩手・宮城にまたがる、三陸アワビの密漁団。津波が街を破壊し、無人で真っ暗な港が増えた隙に、ヤクザは高価なアワビを根こそぎ奪い取っていった。ある暴力団組長によれば、「あれだけ簡単に儲かる仕事は他にない。海で金を拾っているようなもの」だと。

 では、その密漁アワビはどこへ行くのか? 鈴木氏が卸先としてにらんだ場所が、移転問題で大揺れした「築地市場」だった。世界最大級の魚市場で、密漁アワビは売られているのではないか――。その真実を知るべく、築地でも3本の指に入る大手の仲卸にバイトで雇ってもらい、働きながら探っていく。

 ところ変わって、北海道の函館市には、大小10~15程度の密漁グループが存在する。全国的に有名な観光スポットである駅前の朝市でも、横流しされた“ヨコモノ”は堂々と売られている。「密漁品を扱ったことのない店なんてないよ」と地元暴力団組長は語り、鈴木氏が夏場に市場を回ってみると、店先から「カニはどうだい?」「獲れたてだよ、密漁だけど」と笑い声が聞こえてきたという。また、“密漁の街”と呼ばれていた根室には北方領土の問題もあり、相当複雑な背景が透けて見える。

 日本人が大好きなウナギ。これも、かなり闇に包まれている。2014年、ニホンウナギがIUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧IB類に指定され、日本で大量消費されていることが大問題になった。それなのに、牛丼チェーン店までもが提供できているのはなぜか? 考えてみれば、おかしな話だ。

 養殖するにしても、ウナギの稚魚が激減している。では、どうやって手に入れるのかというと、大量に確保するための台湾・香港ルートがある。鈴木氏が深掘りしようとすると、専門誌の記者からは「台湾・香港ルートに深く切り込むと東京湾に浮かびますよ」と忠告があったという。

 本書には、密漁にまつわるかなり具体的な地名や、ある程度個人を特定できそうな記述があるなど、関係業界を震撼させる、漁業に関するタブーが詰め込まれている。一般的な漁師は年収は右肩下がりで落ち込んでいるのに、ヤクザはなぜ大儲けできるのか? 

 おそらく、お偉いさんや、食品関係の大手企業などにとっては、できるだけ触れてほしくない中身ばかりだろう。けれど、この機会に、私たちが食べる“サカナ”の出所を今一度、考えてみてはいかがだろうか?

(文=上浦未来)

 

●すずき・ともひこ

1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌「実話時代」(三和出版)編集部に入社。「実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。週刊誌、実話誌などに広く暴力団関連記事を寄稿する。主な著書に『ヤクザと原発 福島第一潜入記』『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(ともに文藝春秋)など。

 

「ヤクザのナンパ」に中止命令!?  元極妻が考える、今どきの暴力団の扱い

gokutsuma30 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

■大洪水の処理もヤクザなら早いのに……

この原稿を書かせていただいている7月11日も、まだ西日本の豪雨被害が続々と伝えられています。気象庁が「平成30年7月豪雨」と名付けたそうで、平成最後に最悪の水害……というのは、なんとも悲しいことですね。11日22時現在の報道では、13府県で死者175人、行方不明や連絡の取れない人は少なくとも61人、土砂災害は483件だそうです。これからは農作物の被害も深刻ですね。

震災もそうですが、21世紀でもこんな被害が出るのは驚きとしか言いようがないです。被害のない場所にいる私はコンビニでお釣りを募金させていただくくらいですが、ヤフーやLINEも募金を受け付けているそうですよ。ネットといえば、岡山県は32人の安否不明者のお名前などをサイトで公表したら、生存情報が寄せられて、不明者は18人にまで減ったそうです。まだ18人も……。でも、ネットすごいですね。

 前回は大阪北部の地震について書かせていただいたのですが、やっぱりこういう時は、ヤクザの出番だったのですけどね。おうちの中に入った泥のかきだしなんかも、うまいもんですよ。親分の号令の下、てきぱきと作業を進めます。警察も親も先生も怖くないけど親分は怖いから、みんながんばるのです。今なんか、ヘタに被災地に入ったら通報すらされちゃいますからね。

■ナンパはヤクザの仕事みたいなもの

 1995年の阪神・淡路大震災の際も、すでにマスコミはヤクザの災害支援をスルーしていましたが、それでもあの頃はまだできていました。テキヤによる焼きそばの炊き出しとか大好評でしたからね。海外のマスコミは、おもしろがって報道してましたけど。

 日本のヤクザは、事務所とトップの名前と顔と自宅を広く知られているわけですが、これは外国のマフィアではありえないことですし、ましてやマフィアが表立って災害支援なんかするわけないので、単純に「珍しい」のだと思います。

 で、若い衆は被災地でもナンパしたりするわけです。ナンパはヤクザの仕事みたいなもの。ヤクザにとって人生でいちばん大切なのは「モテ」なので、ナンパは最重要課題なのです。

 でも、6月1日付で、なんとヤクザに全国初の「ナンパ」中止命令が出たそうで、不良の間では話題になりました。報道によりますと、5月中旬に40~70代の幹部組員ら3人が組事務所近くで20代の女性の腕を引っ張り、立ちふさがったりにらみつけたりして「電話番号を教えろ。今から言う番号にかけてくれ」などと要求したそうです。これに対して、千葉県警が、暴力団対策法に基づく中止命令を出したとのこと。

 そもそも、これって事実なのでしょうか? 事実なら、これは「ナンパ」じゃなくて強要罪とかですよ。さっさと逮捕(パク)ればいいのに、何を意図して「ナンパ」の「中止命令」を出したのか、ほんと意味がわかりません。「70代のオジーのヤクザがいいトシしてナンパ」を前面に出して、ウケを狙いたかっただけのような気がします。

 あと、警察に限らず、お役所は「初物好き」ですよね。「日本初の」とか「女性初の」とか。でも“ヤクザ初”のナンパ中止命令……。警察は、よっぽどネタに困ってるのでしょうか? もうギャグでしかないです。

 前から気になってましたが、何かやらかして報道される有名人さんは、たいてい「事実と違うことを書かれた」とおっしゃってますよね。私も覆面で書いてますんで、お聞きしづらいところではありますが、ご本人にお聞きしたら、やっぱり「ぜんぜん違うお話」なのだと思いますよ。

大災害時こそ“ヤクザの出番”!?  元極妻が明かす、コワモテが非常時に活躍するワケ

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

■大災害といえばヤクザの出番

 このたびの大地震で被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

 関西の地震にはびっくりしましたが、その前日の6月17日に群馬県と周辺地域で震度5弱の地震がありましたね。千葉県と周辺地域の地震はずっと続いていて、都内の元極妻の友達と「群馬と千葉で地震なんて怖いわね。次は東京かしらね」なんて言っていたら、東京を飛び越えてしまいました。余震は各地で続いているようですし、東京などほかの地域も用心に越したことはありません。

 さて、最近の暴力団排除条例のせいでなかなか活動できませんが、かつては大災害といえばヤクザの出番でした。

 今回も、関西では元親分たちがご近所の屋根から落ちた瓦を片づけ、屋根にブルーシートをかけてあげたりしているそうです。ご近所限定で、タダだそうですよ。「暴排条例がなければ、知り合いの現役にも声をかけて、もう少し手伝ってあげられるのに」と残念そうでした。ほんと残念ですね。くどいですが、暴排条例は困る人のほうが多いと思いますよ。

 炊き出しも、以前はよくやっていました。特にテキヤさんたちの焼きそばなどの炊き出しは大人気で、行列ができたと聞いています。プロなんだから当たり前ですよね。それに、友好団体と連携しての物資の運搬でも力を発揮していました。

 でも、せっかく各地域からの支援物資が届いても、避難所の人数と合わないことも多々あります。お役所はとにかく「悪平等」で、当日が消費期限のおにぎりも、数がそろわなければ配らなかったりした例も多いそうです。

「ナニ? 足りない? すぐに確保してやるから、先にジジババとガキに回せや」

 コワモテが配りながらこう言えば、不平不満も出にくいんですね(笑)。実際に、その後に別の友好団体から届いた食料を、ちゃんと配っています。

 そして、もうひとつのヤクザの出番は、がれきの撤去作業です。道に散乱したさまざまなものをどかさないと、クルマが通れません。実は、解体業と並んでレッカー車などの移動業務は、資本金が少なくてもできる「屈強なオトコたちのビジネス」なのです。もちろん解体業者さんやレッカー業者さんが「反社会的勢力」という意味ではないですよ、念のため。「屈強なオトコたち」の中には、少なからず不良もいたということです。

「地震や津波が起こったら、真っ先に乗り込むのはレッカー部隊だよ。がれきをどけないと、先に進めないからな」

 引退した親分が、懐かしそうにこうおっしゃっていました。

「ヤクザが被災地に入るのは、シノギのタネを見つける目的もあるっちゃあるけど、マジで『困った時はお互いさま』と思ってるから。家を失った人たちが自分の作った焼きそばを食べて『おいしい』って言ってくれたら、うれしいんだよ、純粋に。まあ家庭に恵まれてないから、承認欲求ての? も強いんだわ」

 そうなんですよ。不良になるのは、たいてい家族に問題がある子どもですね。本当は寂しいんですよ。

「そうはいっても、物資を調達したり運んだりするカネは、『どうせ人を泣かせて取ったカネだろう』って言われるから、痛いやね(苦笑)。まあ、街角で募金集めてるヤクザもいるからなあ」

 ガクッとくるオチですが、暴排のせいで「人を泣かせない合法なビジネス」がシノギにできないのですから、何だってやるしかありません。過度な暴力団排除で、いいことは何もありません。「ヤクザをやめろ」というなら、正業に就けるようにしないと「貧困暴力団」による犯罪がますます増えますよ。

■暴排が生んだ「貧困暴力団」

 災害から話が飛びますが、「貧困暴力団」が問題になっているようですね。暴排条例によって正業に就けず、困窮のあまり「任俠」を忘れてなりふり構わない暴力団、というような意味らしいです。報道によれば、「貧困暴力団」の犯罪は、薬物、密漁、他組織や半グレとの連携などだそうで、「いや、それは昔からだし」というのがヤクザ業界の共通した見方です。

 「新しい脅威」とかいわれていますが、これだけ締めつけられれば、今までやらなかった犯罪だってやりますよ。さすがに海外銀行の内部情報をハッキングしてATMで14億円ものお金を一斉に不正引き出しするような事件は、以前では考えられませんでしたね。2016年の事件ですが、関係者の逮捕は最近まで続いています。

 こうした犯罪を可能にしたのは、テクノロジーですね。LINEで連絡を取り合っていたそうですが、全員と連絡を取って指令を出していたのは数人でしょう。みんなでやっていたら、必ず取り分でモメますからね。ヤクザらしくない犯罪に走らせているのが、暴排条例なんですよ。

 ヤクザも元ヤクザも、正業に就けていれば犯罪も減りますし、何より労働現場での人手不足も解消されますよ。これからは建設業を含めて空前の人手不足時代がやってきますし、大災害時にもヤクザが活躍したら、かなり助かると思います。

岸田政調会長と“記念撮影”の元暴力団幹部は関西キックボクシング界の「重鎮」だった! 関係者に広がる不安

 次期総理とも目される自民党の岸田文雄政調会長が、山口組系の元暴力団幹部と3月2日、大阪のホテルで開かれたイベントで記念撮影していたことで、脇の甘さが指摘されている。

 元暴力団幹部は9年前にヤクザの世界から抜けている「カタギ」の人間だというのだが、その名を轟かせた幹部時代の影響力が現在もあると見る大阪府警関係者もいるという。これを伝えた写真誌「FRIDAY」(講談社)では元幹部が、分裂した山口組間で移籍した組織の裏工作に関与しているという話も紹介された。森友問題で揺れる与党だけに、これにも野党が注目しているようだが、一方で格闘技界でもこの話が飛び火している。

 何しろ問題の元幹部は現在、名前を変えて大阪のキックボクシング団体「競拳インターナショナル」の代表理事を務めていることがわかっており、「代表者が元暴力団幹部」ということを初めて知った格闘技関係者らも衝撃を受けているのだ。

「私は、まったく知りませんでした。関係者からご本人を紹介されたとき、実業家の方だと聞いていましたし、元ヤクザだということは一度も耳にしてません」

「たくさん少年選手を育てている若獅子会館の館長ということで通っていたので、元暴力団だと聞いてビックリです」

 これらは、元幹部が関わったキックボクシングイベントに接した人々から聞かれたものだ。今後について聞くと、それぞれ「どうすることもないですが、正直、怖い」「子どもを道場に通わせているので不安は多い」と答えている。

 また、別のキック団体を運営する関係者は「更生されている方なら問題はないはずですが、キック界のイメージダウンは大きい」と話す。

「何しろキックは、暴力団と長く縁の切れない世界だったことが競技のメジャー化を邪魔してきたんです。昔、老舗団体の全日本キックボクシング連盟では、トップの会長が暴力団と組んでの偽装結婚で逮捕されていたり、歌舞伎町の有名な暴力団組長が後ろ盾になったりしていました。ほかにも、不良キャラで知られる人気選手がトラブルになった相手に知人組員の実名を出したこともありますし、ある大阪のキックボクサーは、暴力団傘下のドラッグディーラーが本業だったということもありました。そういう密接な関係をたびたびさらしてきたので、離れていったスポンサー企業も多かったんです」(同・団体関係者)

 最近でも、ジム経営者が暴力団と組んでの療養費詐欺で逮捕されたり、暴力団の影がウワサされる詐欺グループのメンバーとして現役キック王者が逮捕されたこともあった。また、先日、大規模な振り込め詐欺事件で逮捕されたグループのリーダー格も、裏社会との関係がウワサされていた人物だったという。

「元ボクシングの亀田興毅や、キック王者の梅野源治の後援をしていた人で、キックボクシングジムの運営者としても知られていました。ヤクザとの関係はハッキリしていなくても、振り込め詐欺のリーダー格が堂々と運営側になれるなんていうことが業界をダメにしているのでは」(同)

 そんな揺れるキック界で、またも浮かび上がってきたヤクザとの接点。もちろん元幹部であっても、組を脱退後、目安として5年経過すれば社会的には一般人と同じ扱いをされるのだが、それでも「怖い」という声が聞こえてしまうのが実情だ。

「実際、暴力団対策法逃れのための偽装離脱も多いので、更生したから大丈夫です、という話を鵜呑みにしにくいのは仕方ないです。過去、元ヤクザのキック関係者が、組員時代の人間関係を商売に利用していたということもありましたし」(同)

 逆に「元ヤクザ」という肩書きに、嫌がらせをするアウトローもいるという話だ。

 実際、件の元幹部にも2年ほど前から自身のFacebookなどのSNSで偽アカウントが複数出現。うちひとつは「元山口組です」と書かれており、過去の素性を知る人物による嫌がらせに見えたところもあった。本人と思われるFacebookの方は、なぜか元ボクシング世界王者でタレントの、具志堅用高とのツーショット写真が使われていて、今回の事態について「15年前に空手道若獅子会 10年前にキックボクシング若獅子会館を設立 その間暴力団には1度も所属した事は無く四六時中 格闘技振興に精進してまいりました。(中略)私はまさに風評被害者です」と書いている。

 長い間、興行の世界にヤクザは付き物といわれてきただけに、疑心暗鬼からなる偏見は消えそうにない。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

奈良県の“元暴力団市議”問題に地元記者は及び腰「報じたら自分や家族が危ない……」

 日本維新の会公認の奈良県香芝市議・鈴木篤志議員が、山健組の元暴力団組員だと報じられたが、地元紙の記者は「この話を追うと地元ヤクザを敵に回すってウワサがあって、怖くて後追いできない」と言っている。

「全国的な暴力団追放キャンペーンでヤクザが街から消えたって言いますけど、それは都市部の話ですよ。地方だと、警察や政治家、地元企業までそういう連中を黙認して、昔と変わらないつながりが残ってるところが、まだまだあります。香芝は“山口組”が幅を利かせてきたテリトリーで、実際に事務所もありますし、過去に手榴弾が爆発する事件や、詐欺事件なんかも起こしてます。でも、ヤクザがらみの話を追及するのはタブーなんです。万一にも敵意を持たれたら、ヤクザだけじゃなく地元の権力者や有力者からも睨まれる可能性があるので、一切触れられないです。元ヤクザ議員もその類いの匂いがプンプンします」(同)

 実際、ヤクザ議員のニュースを後追いする記者は、異様に少なかった。維新の会の本拠地・大阪では2月16日、松井一郎府知事の定例会見があったが、本件について質問した記者はひとりだけで、これに松井知事が「僕は会ったこともない」「その人の過去の問題について聞かれても、答えを出せるような状況ではない」と、まるで他人事の回答だったのに、記者らは結託して「本件はノータッチ」と決めたかのように追及しなかった。

 問題の鈴木市議は、暴力団関係者が「組員だった」と証言し、当時の写真まで掲載されている。2013年に破門となっているが、市の暴力団排除条例では、脱退後5年間は暴力団員扱いされると定められており、これは全国でもおおよそ一般的な目安だ。問題は鈴木議員がこれを隠して17年の選挙で当選していることで、「週刊新潮」(新潮社)の記事では、当人は市議会から聴取を受けても暴力団の経歴を否定したという。こうなると「隠していた」のみならず「ウソをついていた」ことになる。「過去の経歴なんか知らない」で済まされる話ではないだろう。

 鈴木市議は、立候補時の公式プロフィールに学歴「奈良大学付属高校卒業」、現職「県議秘書・会社役員」、家族「妻・3女・2男の7人家族」、尊敬人物「本田宗一郎」と書いてはいたが、過去の経歴については一切触れていない。子育て支援や議員報酬2割減の公約を列記しても、これは維新の会の候補者全員が共通で記していたもので、何者かよくわからない人物だった。

 ポスターには松井知事と写真を大きく並べたものもあり、そのあたりいろいろ突っ込めそうな話があるはずだが、「これを報じた週刊誌は東京の方々だからやれたんでしょう。関西じゃ追及するの怖いですよ」と前出記者。

「破門となった元暴力団組員であれば、更生して再チャレンジするということ自体は否定できませんけど、何しろヤクザが普通に存在する世界でのこと。裏社会の動きに精通しているなら、アウトローな人間が絡みたがる公共事業などにも暗躍できます。ちょうど香芝だと、ゴミ処理事業に怪しい金の動きがあって、そういうところでヤクザが暗躍することだってあり得ます。元ヤンキーみたいな市の職員がまったく出勤してなくても1年ぐらい給料をもらえていたりもしましたし、そんなことがあったのもアウトロー絡みの匂いがしました。でも、そんなの追求したら自分や家族が危険に晒されますよ」(同)

 ひと昔前までは政治家と反社会勢力が裏でつながっているという話は当たり前だった。関西では入れ墨をした元アウトローの職員が多数いることが話題になったこともある。前回の市長選(16年)が無投票で決まった香芝市だが、ヤクザ市議を野放しにしているのは、裏社会の存在を気にして波風を立てない地方の町にありがちな“空気感”ということなのか、はたまた……。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

奈良県の“元暴力団市議”問題に地元記者は及び腰「報じたら自分や家族が危ない……」

 日本維新の会公認の奈良県香芝市議・鈴木篤志議員が、山健組の元暴力団組員だと報じられたが、地元紙の記者は「この話を追うと地元ヤクザを敵に回すってウワサがあって、怖くて後追いできない」と言っている。

「全国的な暴力団追放キャンペーンでヤクザが街から消えたって言いますけど、それは都市部の話ですよ。地方だと、警察や政治家、地元企業までそういう連中を黙認して、昔と変わらないつながりが残ってるところが、まだまだあります。香芝は“山口組”が幅を利かせてきたテリトリーで、実際に事務所もありますし、過去に手榴弾が爆発する事件や、詐欺事件なんかも起こしてます。でも、ヤクザがらみの話を追及するのはタブーなんです。万一にも敵意を持たれたら、ヤクザだけじゃなく地元の権力者や有力者からも睨まれる可能性があるので、一切触れられないです。元ヤクザ議員もその類いの匂いがプンプンします」(同)

 実際、ヤクザ議員のニュースを後追いする記者は、異様に少なかった。維新の会の本拠地・大阪では2月16日、松井一郎府知事の定例会見があったが、本件について質問した記者はひとりだけで、これに松井知事が「僕は会ったこともない」「その人の過去の問題について聞かれても、答えを出せるような状況ではない」と、まるで他人事の回答だったのに、記者らは結託して「本件はノータッチ」と決めたかのように追及しなかった。

 問題の鈴木市議は、暴力団関係者が「組員だった」と証言し、当時の写真まで掲載されている。2013年に破門となっているが、市の暴力団排除条例では、脱退後5年間は暴力団員扱いされると定められており、これは全国でもおおよそ一般的な目安だ。問題は鈴木議員がこれを隠して17年の選挙で当選していることで、「週刊新潮」(新潮社)の記事では、当人は市議会から聴取を受けても暴力団の経歴を否定したという。こうなると「隠していた」のみならず「ウソをついていた」ことになる。「過去の経歴なんか知らない」で済まされる話ではないだろう。

 鈴木市議は、立候補時の公式プロフィールに学歴「奈良大学付属高校卒業」、現職「県議秘書・会社役員」、家族「妻・3女・2男の7人家族」、尊敬人物「本田宗一郎」と書いてはいたが、過去の経歴については一切触れていない。子育て支援や議員報酬2割減の公約を列記しても、これは維新の会の候補者全員が共通で記していたもので、何者かよくわからない人物だった。

 ポスターには松井知事と写真を大きく並べたものもあり、そのあたりいろいろ突っ込めそうな話があるはずだが、「これを報じた週刊誌は東京の方々だからやれたんでしょう。関西じゃ追及するの怖いですよ」と前出記者。

「破門となった元暴力団組員であれば、更生して再チャレンジするということ自体は否定できませんけど、何しろヤクザが普通に存在する世界でのこと。裏社会の動きに精通しているなら、アウトローな人間が絡みたがる公共事業などにも暗躍できます。ちょうど香芝だと、ゴミ処理事業に怪しい金の動きがあって、そういうところでヤクザが暗躍することだってあり得ます。元ヤンキーみたいな市の職員がまったく出勤してなくても1年ぐらい給料をもらえていたりもしましたし、そんなことがあったのもアウトロー絡みの匂いがしました。でも、そんなの追求したら自分や家族が危険に晒されますよ」(同)

 ひと昔前までは政治家と反社会勢力が裏でつながっているという話は当たり前だった。関西では入れ墨をした元アウトローの職員が多数いることが話題になったこともある。前回の市長選(16年)が無投票で決まった香芝市だが、ヤクザ市議を野放しにしているのは、裏社会の存在を気にして波風を立てない地方の町にありがちな“空気感”ということなのか、はたまた……。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)