【画像アリ】美味すぎるからか? 需要はどんどん増えている昆虫食の本場・伊那で開かれた「美味しい昆虫シンポジウム」

 やっぱり昆虫は美味いのだ。

 一昨年には、本気の昆虫食を展示する「大昆蟲食博」を開催し全国から人が集まる盛況となった長野県伊那市。今でも昆虫が盛んに食される本場で、今度は「美味しい昆虫シンポジウム」が上伊那地域振興局の主催で2月17日に開催された。

 伊那谷の内外から、昆虫食を語り倒す熱い人々が集まるという、この催し。会場では、各種の昆虫食が試食・販売されると聞き、さっそく会場の伊那市創造館を訪れた。

 実は、近年昆虫食は世界的に熱い。国連食糧農業機関(FAO)が、人口増加による食糧危機に備えて、昆虫食を提唱しているからだ。

 講演者のひとり、株式会社昆虫食のentomo代表の松井崇さんは語る。

「コオロギと牛を比較した時に、必要な土地は1:100、水は1:2000。それでいて、栄養価はタンパク質も栄養価もコオロギが圧倒的。昆虫は、いわばスーパーフードなんです。日本でもここ数十年食べていないだけで、今でも世界人口のうち20億人あまりは昆虫食に親しんでいるんですよ」

 大正時代の調査では日本でも全国の広い地域で昆虫が食べられていることがわかっている。食されている種類も現在よりずっと多かった。別に昆虫食は伊那谷で続いてきた特異な文化ではなく、たまたま伊那谷では現在まで続いたという見方が正しい。

 そんな昆虫の美味さを存分に語ってくれたのは、昆虫料理研究家の内山昭一さん。最初ら「来る時に、車窓を眺めていたら美味しい昆虫がいそうだなあと思いました」と語る内山さん。とにかく料理研究家だけあって、これまで手がけた料理を、美味しそうに語るのがうまい。

「佃煮のイメージが強いざざ虫だが、茹でて酢醤油で食べると美味い」「蚕は油分が酸化しやすいので繭から取り出して食べると美味い」「ゴトウムシ(カミキリムシの幼虫)は、(マグロの)トロみたいで美味い」

 ……などなど話は止まらない。

 この後、登壇した、伊那市を代表するざざ虫研究家の牧田豊さん、地蜂愛好会会長の有賀幸雄さん、駒ヶ根シルクミュージアム館長の中垣雅雄さんも、それぞれに昆虫食の美味さを語り続けたのである。

 そんな魅力たっぷりの昆虫食。単にゲテモノ食いではないし、食糧危機のことを考えて、嫌々食べようというわけでは決してない。既にビジネスとしても魅力的な商材になっているのだ。

 そんなことを語ってくれたのは、伊那谷の土産物屋に行くと売っている、ざざ虫の佃煮など各種の昆虫食を製造販売している、つかはら信州珍味の塚原保治さんだ。

 近年、イナゴの佃煮などは爆発的に売れている。塚原さんは国産のイナゴにこだわっているが(なんと全国シェアの9割近くを取り扱い)、中国からの輸入も行われるようになっている。

 名物である、ざざ虫の値段も高騰中。

「台風などで川が荒れた後の年は、収穫量が減るんです。前は一日で5~6キロは獲れていたのですが、今は1キロ程度。ざざ虫漁は、株と鑑札が必要なんですが高齢化で漁師は減っています。技術的には難しくないので、興味がある方はやってみてはどうでしょうか」

 そんなざざ虫だが、買い取り価格は1キロあたり6,000~6,500円程度。なるほど、イナゴの瓶詰めは300円なのに、同じ大きさのざざ虫の瓶詰めが1,200円な理由に納得。漁期は冬場だけど、天竜川でざざ虫を獲って暮らすのも悪くないな。

 さて、そんな伊那谷の昆虫食だが、なんと3月1日からは、銀座NAGANOで各種イベントと販売が実施される。銀座NAGANOといえば、今や全国で知られる伊那名物のローメンもろくに置いてない「信州」ではなく「長野」が支配するアンテナショップ。これを契機に信州の魅力を多くの人にアピールしてもらいたい。
(文=昼間たかし)

嘘吐き政治家たちが逃亡したあとで……「東京ビッグサイト使用制限問題」同人誌の地獄はこれから

 いよいよ、今年から東京オリンピックに向けて東京ビッグサイトの使用制限が本格化する。

 それを前にして、1月9日に港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で、日本展示会協会の新年会が開催された。

 新年会と言えども、そこはビジネス、不安材料を声高に述べることは取引先や金融機関に対して不信感を抱かせる。それゆえにか、昨年まで盛んに言及された東京ビッグサイトの使用制限問題は、ほとんど突っ込まれなかった。

 会の冒頭で挨拶に立った協会の石積忠夫会長は「8万社出展できず、2兆円の売り上げを失い、装飾業社の仕事は半分になる」とし、使用制限に対する各種の運動が実を結ばなかったことに「私自身も忸怩たる思いで、申し訳ない気持ちでいっぱいだ」とは述べた。しかし、その挨拶も極めて前向きな方向でまとめられた。

 続いて壇上には、与党議員や関係省庁の担当者が次々と登壇し挨拶。そこでも、やはり展示会産業への期待を込めた言葉が並べられたのである。とりわけ注目されたのは、名古屋市の河村たかし市長。愛知県と名古屋は、巨大な展示会場を次々と建設中。そこには、東京ビッグサイトの使用が制限されたのを受けて、展示会をこちらへ招こうという意図が見て取れた。急用のため、ビデオメッセージとなった玉城デニー沖縄県知事の挨拶も同様であった。

 一方、これまで東京ビッグサイトの使用制限問題について言及してきた政治家は、こぞって逃亡したのが見て取れた。

 昨年、この新年会で「2兆円の損失を回避し、オリンピックが日本経済にプラスになるような手立てを考えなければいけない」と言及した元経済再生大臣の甘利明衆議院議員の姿もなかった。

 甘利議員だけではない。昨年までは、マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟の会長である古屋圭司衆議院議員をはじめ、幾人もの政治家が「私が解決する」という発言をしていたが、彼らはもうダンマリを決め込み、逃亡している。そうした彼らを批判する声が聞かれないのは、そんなことをしたところで1円の儲けも生み出さないからに他ならない。

 さて、いかに前向きになろうとも、東京ビッグサイトの使用制限による損失が、これからやってくるのは明らかだ。同人誌印刷所の関係者は、コミックマーケットのみならず、ほかの同人誌即売会も減少することで損失は莫大なものになるのではないかという。

「同人作家が発行部数を抑えることで、場合によっては売上の20%減もあり得ます。これは、従業員をリストラすることも考えなくてはならないほどの減収です。さらに、その減収により金融機関の信頼を失うのは、もっと怖い……」

 頒布される場所を補う方法として、同人誌書店と共に積極的にフェアを行うことも考えられるが、すでに印刷所によっては「発行部数の5割以上を最初から同人誌書店に納品している」(同)という状況。即売会の減少分まで補えるかは疑わしいという。

 問題はなんら解決されぬまま、ついに始まる東京ビッグサイトの使用制限は、どんな地獄をもたらすのか。関係者は生き残るために知恵を絞っている。
(文=昼間たかし)

2019年、誰もが“もう一つの肉体”を! 3Dアバターファイルフォーマット「VRM」の国際標準化へ、さらに一歩

 いよいよ2019年は、誰もが自分のもう一つの肉体=アバターを持つ時代になるのか。

 昨年12月、VR向け・3Dアバターファイルフォーマット「VRM」の国際標準化を目指す「VRMコンソーシアム」の発足が発表され、注目を集めている。

「VRMコンソーシアム」には、クリプトン・フューチャー・メディアやpixiv、ドワンゴなど13社が発起人として参加。今年2月に一般社団法人として「VRMコンソーシアム」を発足させるとしている。

 昨年、3Dアバターを使えるサービスが、飛躍的に増大した。しかし、まだフォーマットはアプリケーションやプラットフォームごとに仕様が異なるために、せっかく作ったアバターも限られたところでしか使えないのが実情。まだ、多くの人は理想的な自分の分身を作って眺めて楽しむ程度で止まってしまっている。

 すでに「VRchat」では、多くのアバターがセックスまで楽しんでいるわけだが、それを誰もが遊ぶにはまだまだ敷居が高いことは否めない。今後、標準フォーマットができれば、もっと間口は広がっていくことになるだろう。

 ただ、サービスが増加する中で、標準フォーマットを作成する動きは、必然のもの。VRに関わる企業が考えているのは、それをどうやって収益化するかだという。

「収益を上げるのは、標準化されたフォーマットを、どこで読み込んで遊ぶか。ユーザーが利用してくれる遊び場をどのように提供するかです。まず魅力的な遊び場を提供できるかどうかが成功のカギになるでしょう」(VRに詳しい関係者)

 昨年公開された映画『レディ・プレイヤー1』では、近未来の仮想現実が普及した世界が描かれた。作中に登場するような、さまざまな娯楽やビジネスを、ユーザーが作成したアバターを通して利用できる場……そんなものを生み出した企業が、覇権を握っていくことになるだろう。

 恐らく、ひとつのカギになるのはセックスであろう。すでに分身として異性のアバターを利用し、同化している人は多い。そして、その多くがアバターに性欲を抱く回路を開いている。そうしたアバターを通したセックスを「VRchat」なんかよりも、もっと簡易にできるようになったら、世界は激変するだろう。

 2019年には、きっとそうなると思っている。
(文=昼間たかし)

オタク議員・荻野稔大田区議が辞職へ「一度、けじめをつけます」「もし、お許しいただけるならもう一度応援をいただきたい」

 年の瀬に、大変なニュースが飛び込んできた。コミケにサークル参加したり、コスプレを用いた町おこしなどで「オタク議員」として知られている東京都大田区の荻野稔大田区議会議員が、年末をもって議員辞職を決めたというのだ。

 さっそく本人を突撃した筆者に、荻野区議は「年末付けで、議員を辞職するための辞職願を区議会議長に提出済みです。年末年始を挟むため、正式には手続きも発表も年明けになってしまいますが……」と明かす。

 辞職のきっかけとなったのは、世間の注目を集めた10月の事件が原因だ。

 すでに報道されているように、荻野区議の銀行口座が振り込め詐欺に利用されていたことが発覚。しかも、口座を譲渡した容疑で任意聴取を受けるに至ったのである。

 記者会見での説明などによれば、荻野区議は親族や周囲からのたび重なる金の無心に悩み、ネットで見つけた金融業者に連絡。その業者から「キャッシュカードを送れば、口座に現金を入金して送り返す」と指示され、自身の持つ信用金庫のカードを郵送した。

 その後、この業者と連絡が取れなくなったことから、荻野区議はすぐに口座を停止した。だが、すでに口座は振り込め詐欺に利用され、大阪府堺市の女性が200万円をだまし取られる被害に遭ってしまったのだ。これ自体は、公人としてあまりにも脇が甘い行為。その件に触れたところ、荻野区議は改めて謝罪の言葉を口にした。

「本当に申し訳ございませんでした。記者会見でも述べましたが、自身の愚かさ、未熟さゆえの過ちです……」

 荻野区議は、記者会見で自らの無知が原因で口座の不正譲渡を行ってしまったことを謝罪。自身に直接の責任はないものの、被害者女性に直接、被害額200万円の全額を弁償している。

 被害者にも弁償をしたことで、すでに反省の意は示しているはずなのに、ここにきて辞職を決意した理由はなにか。荻野区議は語る。

「来年4月には大田区議会議員選挙があります。現状では、自身のけじめをつけているとはいえない。有権者の方から見ても、その後、どうなったのかわからない中途半端な状態に見えると思います。一度、議員辞職という形で責任を取り、その上で区民のみなさんに判断していただく必要があると考えました」

 荻野区議は、記者会見と謹慎を経て、今後とも区議会議員としての任期を全うしたいと語っていた。にもかかわらず、このタイミングで辞職を決めたことをどう考えているのか。そのことを問うと、荻野区議は言葉を詰まらせた。

「私自身、悩んだのですが……やはり、けじめを……」

 実のところ、いまだに所属する日本維新の会からは党員資格が停止されたまま。さらに、事件の捜査についても、いまだ書類送検にも至っていないことも、荻野区議にとっての枷になっている。

「このまま、歯にものが挟まった状態で、事件についても止まったままで、またみなさまの代表をやらせてくださいというのも、誠意がないと思います。何より、今のまま区議会にいても議員としての活動や情報発信が難しく、みなさまから期待された活動もできない。出席してお給料をもらうだけになってしまう。そういった状況でズルズル続けてしまうよりも……と考えて、辞職願を提出しました。責任を取り、信託をいただけるなら、もう一度挑戦させていただきたいと思っています」

 事件の発覚以来、荻野区議は苦悩の日々を送ってきた。これまでの支援者の中には、突然、音信不通になる者もいた。だが、一方で事務所を訪ねてくれる人も後を絶たなかった。

「地域の方々には暖かい言葉もかけていただきました。また、年上の方々からは人生のアドバイスも多くいただきました。今回の事件は、身の丈に合わないことをやっていた自分の不始末だと思っています。地元の方からの『あなたは生き急ぎすぎだ』という言葉は身に染みました」

 だが、事件によって信頼を失ったことは事実。さらに辞職してしまっては、次回の区議選は苦しいものになるのではないか……。

「どんな形であれ、選挙は優しいものではありません。ここまで追い込まれてしまったのだから、必死にやるしかないと思っています。言葉を尽くして、信頼を取り戻そうと思っています」

 幾度も反省の言葉を口にしながらも、再出発に駆ける意志を語った荻野区議。31日のコミックマーケットには、予定通りサークル参加する予定だという。
(文=昼間たかし)

 

「東京ビッグサイト問題」完全に手詰まりの中で探る改善策の行方……日本展示会協会が解決に向けて開催した集会の空気

「これは決起集会なのか?」

「シャンシャンで終わらせるだけだろう」

「ビールでも振る舞って帰す気じゃないのか」

 参加した関連業者からは、さまざまな不安の入り交じった声が聞こえてきた。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックが原因の東京ビッグサイト使用制限問題。ギリギリまで打開策を探っている日本展示会協会が5月29日に開催した「ビッグサイト問題」に関する議論・要望・意見交換会」。集まった500人余りの展示会主催者と関連業者の顔は、決して明るくはなかった。

 東京五輪にあたって東京ビッグサイトがメディアセンターとして利用されるために、同施設でのイベント開催が不可能になる。そんな問題が浮上したのは15年のことだ。

 以来、主催者を中心に組織される日本展示会協会は、東京都などに改善策を要求。東京ビッグサイトで開催される、さまざまな展示会が主たる業務になっているディスプレイ業や印刷業者など関連業者による都庁デモなども繰り返し行われてきた。

 だが、東京ビッグサイトをメディアセンターとして利用する方針は変わらなかった。東京都では、東京ビッグサイトから1.5キロほど離れた青海の都有地に仮設展示棟を建設するなどの「善処」を示した、けれども、それらは業者側にとっては焼け石に水。19年以降の各種催しの規模縮小や中止は避けられない。

 日本展示会協会によれば、19年4月から20年11月まで、東京ビッグサイトの平均利用可能面積は35%まで縮小。関連企業8万2,000社が影響を受け、2.2兆円の損失が見込まれるとしている。

 日本展示会協会では「最後のチャンス」として、改めて東京都に要望を届ける方針を打ち出しており、その一貫として開催されたのが、今回の「議論・要望・意見交換会」であった。

 これまで、この問題では幾度も「タイムリミット」「最後のチャンス」という言葉は使われてきた。けれども、いよいよ本当に手詰まりになる時が迫っている。

 東京ビッグサイトを管轄する東京都が、最大限の「善処」として青海に仮設展示棟をつくることを決めた。けれども、これもまったく十分ではない。

 むしろ、これは主催者と関連業者に、余計に不満と不安を募らせる原因となっている。まず、その設備が問題だ。東京都では面積は2万3,000平方メートルあるとするが、ここにレストランや受付、控え室などを準備すると、有効面積は1万8,000平方メートル程度と、現在の西展示棟の半分ほどにしかならない。また、トラックヤードなどの設備も十分ではなく、搬入搬出にも困難が見込まれる。

 このような状況で、果たして来場者が集まる展示会が可能なのか? そんな不満と不安が渦巻いているのだ。

 完全に手詰まりともいえる状況。だが参加者が自由な発言を交わす場であるはずの「議論・要望・意見交換会」は、まったく振るわなかった。参加者からは、冒頭に記したような声が次々と漏れていた。中には「これはガス抜きか」と、こぼす関連業者もあった。

 もう、どうにも手遅れなのは薄々わかっている。でも、関連業者には、まだ仕事は通常通り回っているという現状がある。それが、余計に不信を生んでいるように見える。

 ある関連業者は、こんな言葉を漏らした。

「今のところは、仕事はいつも通りです。でも、主催者には来年、再来年の開催予定が決まっているはず。どのタイミングで仕事が減ることになるのか……」

 これまでの取材の中では、問題が浮上して以降、日本展示会協会や関連業者による解決に向けた動きそのものが作戦ミスだったと指摘する人もいる。

 ただ、今さらそれを指摘しても、なんら事態は改善しない。もはや降りられないレールを進みつつある中で、どうやって被害を最小限に減らすか。それが、これからの課題となっていくだろう。

 なお、これまで問題の解決を口にしてきた、幾人もの政治家や、その関係者の姿が会場には見られなかったことは記憶しておきたい。
(文=昼間たかし)

「東京ビッグサイト問題」完全に手詰まりの中で探る改善策の行方……日本展示会協会が解決に向けて開催した集会の空気

「これは決起集会なのか?」

「シャンシャンで終わらせるだけだろう」

「ビールでも振る舞って帰す気じゃないのか」

 参加した関連業者からは、さまざまな不安の入り交じった声が聞こえてきた。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックが原因の東京ビッグサイト使用制限問題。ギリギリまで打開策を探っている日本展示会協会が5月29日に開催した「ビッグサイト問題」に関する議論・要望・意見交換会」。集まった500人余りの展示会主催者と関連業者の顔は、決して明るくはなかった。

 東京五輪にあたって東京ビッグサイトがメディアセンターとして利用されるために、同施設でのイベント開催が不可能になる。そんな問題が浮上したのは15年のことだ。

 以来、主催者を中心に組織される日本展示会協会は、東京都などに改善策を要求。東京ビッグサイトで開催される、さまざまな展示会が主たる業務になっているディスプレイ業や印刷業者など関連業者による都庁デモなども繰り返し行われてきた。

 だが、東京ビッグサイトをメディアセンターとして利用する方針は変わらなかった。東京都では、東京ビッグサイトから1.5キロほど離れた青海の都有地に仮設展示棟を建設するなどの「善処」を示した、けれども、それらは業者側にとっては焼け石に水。19年以降の各種催しの規模縮小や中止は避けられない。

 日本展示会協会によれば、19年4月から20年11月まで、東京ビッグサイトの平均利用可能面積は35%まで縮小。関連企業8万2,000社が影響を受け、2.2兆円の損失が見込まれるとしている。

 日本展示会協会では「最後のチャンス」として、改めて東京都に要望を届ける方針を打ち出しており、その一貫として開催されたのが、今回の「議論・要望・意見交換会」であった。

 これまで、この問題では幾度も「タイムリミット」「最後のチャンス」という言葉は使われてきた。けれども、いよいよ本当に手詰まりになる時が迫っている。

 東京ビッグサイトを管轄する東京都が、最大限の「善処」として青海に仮設展示棟をつくることを決めた。けれども、これもまったく十分ではない。

 むしろ、これは主催者と関連業者に、余計に不満と不安を募らせる原因となっている。まず、その設備が問題だ。東京都では面積は2万3,000平方メートルあるとするが、ここにレストランや受付、控え室などを準備すると、有効面積は1万8,000平方メートル程度と、現在の西展示棟の半分ほどにしかならない。また、トラックヤードなどの設備も十分ではなく、搬入搬出にも困難が見込まれる。

 このような状況で、果たして来場者が集まる展示会が可能なのか? そんな不満と不安が渦巻いているのだ。

 完全に手詰まりともいえる状況。だが参加者が自由な発言を交わす場であるはずの「議論・要望・意見交換会」は、まったく振るわなかった。参加者からは、冒頭に記したような声が次々と漏れていた。中には「これはガス抜きか」と、こぼす関連業者もあった。

 もう、どうにも手遅れなのは薄々わかっている。でも、関連業者には、まだ仕事は通常通り回っているという現状がある。それが、余計に不信を生んでいるように見える。

 ある関連業者は、こんな言葉を漏らした。

「今のところは、仕事はいつも通りです。でも、主催者には来年、再来年の開催予定が決まっているはず。どのタイミングで仕事が減ることになるのか……」

 これまでの取材の中では、問題が浮上して以降、日本展示会協会や関連業者による解決に向けた動きそのものが作戦ミスだったと指摘する人もいる。

 ただ、今さらそれを指摘しても、なんら事態は改善しない。もはや降りられないレールを進みつつある中で、どうやって被害を最小限に減らすか。それが、これからの課題となっていくだろう。

 なお、これまで問題の解決を口にしてきた、幾人もの政治家や、その関係者の姿が会場には見られなかったことは記憶しておきたい。
(文=昼間たかし)

時間切れ・東京ビッグサイト会場問題に関係者の新たな動き「もう政治家には……」

 タイムリミットを過ぎ、最悪の事態を回避すべく模索が続いている。

 昨年、注目を集めた東京五輪開催とその前後の期間を含め東京ビッグサイトが使用できなくなる問題。今年2月には「展示会産業で働く人々の生活と雇用を守る会」が、問題の解決を訴えて、3回目となるデモを実施したが、事態が動くことはなかった。まもなく年度も替わり、問題はなんら解決できないままに時間切れとなる見込みだ。

 東京ビッグサイトの使用制限による各種展示会・イベントの開催規模縮小や中止による損害は、2兆円規模になるといわれている。

 昨年来、幾人かの政治家らが「私が、問題を解決する」と公言したものの、今ではまったく沈黙してしまっている。今のところ、そうした政治家に面と向かった批判はみられない。ただ、それはあくまで表向きの話。

 関係者からは幾人かの政治家らを名指しで「解決できないから、フェードアウトを決め込んでいる」と呆れの言葉を聞いたこともある。

 とはいえ、そうした無責任な政治家たちを批判したところで倒産を免れるわけではない。今、展示会業界の関係者らの間では被害を最小限に抑えるための、さまざまな動きが水面下で進んでいる。

「東京ビッグサイト規模の展示会場というものは、残念ながらありません。でも、中小の会場であれば首都圏にはいくつもあります。そうした会場をフル活用して、損失を免れることができないか検討が続いているのです」(業界関係者)

 現在のところ、そうした会場を用いて、どの程度の催しを開催することができるのか検討は続いている。以前の記事で記した、同人誌即売会を中小の会場に分散、かつ土曜日開催も視野に入れるのも、そのひとつといえる。

 おそらくは殺到するであろう各種の催しを、どのように割り振っていくのか。それは業者間よりも東京都が音頭を取る形が望ましいという声もある。

 このままでは、五輪倒産する企業も現実のものとなり、怨念が生まれるのは必至。

 運動が成果を挙げられなかった中で、展示会や関連業者が、どのような形で難局を乗り切っていくのか。今後は、その動向も取材していくことにする。
(文=昼間たかし)

東京ビッグサイト問題抗議デモは、これが最後? シュプレヒコールは、やり場のない怒りへ……

 問題の解決に向けた糸口もないまま、関係者の苦悩だけが深刻なものになっている。昨年の6月以来、3回目となる東京ビッグサイト問題抗議デモ。報道関係者に向けた案内には「これが最後となる可能性もある」と、悲痛な叫びと受け取れる一文までもが綴られていた。

 東京オリンピック・パラリンピックを理由とした東京ビッグサイトの使用制限。それに伴う各種展示会・イベントの開催規模縮小や中止が、2兆円規模の損失をもたらすことが知られるようになって3年あまりになる。この間、昨年4月には使用制限期間のわずかな短縮が提示される動きもあった。

 けれども、抜本的な解決にはなっていない。展示会のディスプレイを施工する業者、同人誌印刷会社からケータリング業者まで、多数の産業が「使用制限で損をする」というのは、逃れられない未来になっているのだ。

 デモを主催する「展示会産業で働く人々の生活と雇用を守る会」の下茂貴樹氏は、以下のように語る。

「今は、仕事で毎週のように東京ビッグサイトに行っている。これがなくなってしまうということは、倒産する会社も出てくるということです。東京ビッグサイトが使えないからと、その時期だけ別の仕事ができるわけじゃないんですよ」

 今回「これが最後となる可能性」とまで記したのは、もう軌道修正を検討する時間も極めて少ないからだ。

「2019年には、東京ビッグサイトを五輪のメディアセンターとして使用するための工事も本格化します。ですから、もうあと数カ月で解決しなければ時間切れになってしまうのです」(同)

 どうしようもないままで損失を被り、ともすれば会社が倒産する未来だけが近づいている。

 確かに、この問題をめぐっては、直接東京ビッグサイトから会場を借りるイベント主催企業と関連企業との温度差、問題解決に向けたアプローチの手法や、その取捨選択など、さまざまな問題もあったことは否めない。このデモ自体が、解決に向けた直接的な糸口になるかもわからない。

 それでも、損することを規定路線にされてしまった人々が「そんなのやってられるか!!」と、声を出さずにはいられない心情をくみ取らずにはいられない。

 デモに参加したイベント関連事業を営む会社社長は語る。

「誰に言えばいいのか……。騒いでも、受け止める主体が定かではないのは確かです。それでも……」

 どうしようもない怒りの炎は、果たしてごうごうと燃え上がるのだろうか。引き続き、この問題を追っていくことにする。
(文=昼間たかし)

どうするんだ? ようやく決まった「東京ビッグサイト」の“代替施設建設スケジュール”で、問題も幕引きか?

 もう、状況が変化することはないと、諦めの声も聞かれる東京五輪期間中の東京ビッグサイト会場問題。

 2018年に入り1カ月余り。この間の大きな動きとしてあるのが、青海での代替施設の工事予定がようやく明らかになったことくらいである。

 東京都などの発表によれば建築・設備の各施工は大和ハウス工業、新菱冷熱工業、飯田電機工業の3社で分担。今年6月4日に着工の後、来年3月29日の竣工を目指している。

 現在のところ施設の名称は「東京ビッグサイト青海展示棟ホールA・B」とされている。

 この代替施設は、現状の東京ビッグサイト展示場の約4分の1程度の規模。そのため、代替施設としては、あまりにも小さすぎるとして批判されてきた。

「実際に展示会に関係する業者へのヒアリングなども、ほとんど行われていません。ですので、使い勝手がどのようになっているのか、不安は尽きません。東京都は、ただかわりになるハコモノを準備すればいいと考えているようにみえる」

 そんな不満の声を漏らすのは、展示会関連産業の関係者だ。日本展示会協会が新年会でも要求を続けるとしている有明の東京臨海広域防災公園へのメディアセンター新設が実現する可能性を含め、さまざまな展開を想定した動きを関連業者は強いられている。

「来年、実際にオープンしてからではないと、導線もどうなっているのか判然としません。いきなり『完成したので、どうぞ』といわれても困りますよ」(同関係者)

 また、東京ビッグサイトの利用可能時期が延びたことで、両方の施設を使った大規模な催しも可能ではあるものの、両施設の距離は徒歩で20分程度。りんかい線・ゆりかもめでも一駅の距離のため、近いようにも見えるが、やはり、そのような使い方は現実的ではない。

 年も明けて、この問題に関心を寄せて声を挙げていた人々も次々とフェードアウトしているように見える。このまま、この問題は終焉を迎えるのか……?
(文=昼間たかし)

実務経験ゼロでも自信たっぷり……事例はいつも大洗!? 「聖地巡礼」に群がる“アヤシげ”な人々

 ホント、こんな人が増えたな。いや、前からか……?

 先日、あるアニメ・マンガ関係の会合で「観光振興」などの仕事をしているという人物と名刺交換をする機会があった。どうやら、先方は筆者の名前を知っていたそうで「お名前は存じてます」と言う。

 そう言われれば、こちらの返事は当然「どちらの作品を読んでいただいていますか?」となる。すると、その人物は、こう返答した。

「いや、Twitterで『また昼間か』とか……」

 別に腹も立たず、冷静にその人物の名刺に目をやった。肩書には、ある学会に所属していることと、ある関西の町の観光物産協会の会員であることが記されていた。

 その町のことが嫌いになりかけた。とはいえ、正直な言葉を返して、場を荒らすのもよくない。なので、こんな質問をしてみた。

「最近、盛り上がっていたり、面白い取り組みをしている地域はどこですか?」

 すると、こう言われた。

「それは、大洗ですよ。大洗は盛り上がってますよ」

 思わずあぜんとしてしまった。そんなことは誰でも知っているし、多くの人が言及していることである。

 これまで、地方都市でいきなり「うちでも、アニメやマンガで町おこしを」「地域を舞台にしたゲームをつくります」「コスプレイヤーを集めてイベントをやります」といった人が現れては、何も実現できないままに消えていった事例を数多く聞いていた。

 きっと、この人物もその類いに違いはなかった。

 何よりも、いきなり町に悪印象を与える人を抱えているこの観光物産協会も、大変なんだろうな……と思った。

 特段、聖地巡礼は専門ではないが、あちこちの地方都市の取材を重ねている筆者。大洗をはじめとする成功例が注目されるゆえだろうか? 次々と現れる“アヤシげ”というべきか、どうしようもない人に出会うこともある。一昨年に報じた『東方Project』の聖地に出没していた「私は天照大神と話ができる」という人物(その後、現在まで姿を見ていない)ほど、ぶっ飛んだ例には出くわさないが(参照先「おたぽる」)、「なんだかな」と首をかしげさせられる人は尽きない。

 昨年、首都圏の行政機関でアニメ・マンガの地域振興に携わる知人が、ある記事に登場していた。たまたま顔を合わせた時に、その記事に触れたら顔をしかめられた。

「いやね、記事を書いたあの人……地方のコンサルとか名乗ってるけど、アニメ・マンガも含めて実務経験もないのに、さも自分には実績があるかのように話すんですよ。宣伝にもなるから、取材は断らないようにしていますけどねえ……」

 聖地巡礼に携わる大半の人が、素朴な気持ちで地域を盛り上げようとしているのは、まごうことない事実である。

 だからこそ、アヤシげなヤツらは、浮かび上がって見えるということか。
(文=昼間たかし)