大酷評の実写版『鋼の錬金術師』、頼みの綱は“ワンピース商法”しかない!?

 またひとつ、コミック原作の実写化映画で黒歴史作品が誕生してしまったようだ。

 Hey! Say! JUMP・山田涼介が11月15日、都内で行われた主演作『鋼の錬金術師』(12月1日公開)のジャパンプレミアに出席。「原作を知らなくても、誰でも楽しめる作品。ぜひ、僕らと冒険に出かけましょう」と主人公のエドワード・エルリックを演じた本作をアピールした。

 同作品は『ハガレン』の愛称で知られる荒川弘の人気コミックで、累計7,000万部の大ベストセラー。ファンタジー世界を舞台に、失った母を生き返らせるため人体錬成の禁忌を犯したエド(山田)とアル(水石亜飛夢)兄弟が、絶大な力を秘めた賢者の石を求め旅する姿を描いている。

 しかし試写会後、ネット上では一部の原作ファンからの酷評レビューが飛び交い、「クソ映画すぎて観終わったあと号泣しました」「二度と観たくない」「キャラクターの性格・設定を改悪していて胸糞悪かった」といった落胆の声で埋め尽くされる事態となっている。

 人気コミックの実写化は、作品への思い入れの強いファンが多いことから、これまでも『進撃の巨人』や『テラフォーマーズ』などが大爆死している。ところが、ジャニーズタレントの主演作とあってか、今回の映画では、しっかりと“保険”がかけられているようだ。

「映画の観客には、荒川氏が7年ぶりに手掛けた新作漫画『鋼の錬金術師』0巻が特典として配られることになっているのです。原作コミックをコンプリートしているファンなら、絶対に手に入れたいアイテムで、“(一般鑑賞料金の)1,800円で0巻を買う”つもりで劇場を訪れる人は多いでしょうね」(漫画誌編集者)

 人気コミック原作が実写映画化される際の“特典本商法”といえば、過去には尾田栄一郎原作による映画『ONE PIECE FILM GOLD』に『ONE PIECE777巻』のプレゼント(500万部)を付け、興行収入53億円の大ヒットを飛ばしたことが記憶に新しい。また。『ONE PIECE film STRONG WORLD』では、来場者先着150万人(後に100万部増刷)に描き下ろしマンガ『ONE PIECE 巻零(ゼロ)』がプレゼントされ、興行収入48億円を記録。『ONE PIECE』の映画版の中でそれぞれ2位、3位の好成績につなげている。

 特典配布終了後、『ハガレン』の興行成績がナイアガラの滝のように垂直降下とならなければいいが……。

大酷評の実写版『鋼の錬金術師』、頼みの綱は“ワンピース商法”しかない!?

 またひとつ、コミック原作の実写化映画で黒歴史作品が誕生してしまったようだ。

 Hey! Say! JUMP・山田涼介が11月15日、都内で行われた主演作『鋼の錬金術師』(12月1日公開)のジャパンプレミアに出席。「原作を知らなくても、誰でも楽しめる作品。ぜひ、僕らと冒険に出かけましょう」と主人公のエドワード・エルリックを演じた本作をアピールした。

 同作品は『ハガレン』の愛称で知られる荒川弘の人気コミックで、累計7,000万部の大ベストセラー。ファンタジー世界を舞台に、失った母を生き返らせるため人体錬成の禁忌を犯したエド(山田)とアル(水石亜飛夢)兄弟が、絶大な力を秘めた賢者の石を求め旅する姿を描いている。

 しかし試写会後、ネット上では一部の原作ファンからの酷評レビューが飛び交い、「クソ映画すぎて観終わったあと号泣しました」「二度と観たくない」「キャラクターの性格・設定を改悪していて胸糞悪かった」といった落胆の声で埋め尽くされる事態となっている。

 人気コミックの実写化は、作品への思い入れの強いファンが多いことから、これまでも『進撃の巨人』や『テラフォーマーズ』などが大爆死している。ところが、ジャニーズタレントの主演作とあってか、今回の映画では、しっかりと“保険”がかけられているようだ。

「映画の観客には、荒川氏が7年ぶりに手掛けた新作漫画『鋼の錬金術師』0巻が特典として配られることになっているのです。原作コミックをコンプリートしているファンなら、絶対に手に入れたいアイテムで、“(一般鑑賞料金の)1,800円で0巻を買う”つもりで劇場を訪れる人は多いでしょうね」(漫画誌編集者)

 人気コミック原作が実写映画化される際の“特典本商法”といえば、過去には尾田栄一郎原作による映画『ONE PIECE FILM GOLD』に『ONE PIECE777巻』のプレゼント(500万部)を付け、興行収入53億円の大ヒットを飛ばしたことが記憶に新しい。また。『ONE PIECE film STRONG WORLD』では、来場者先着150万人(後に100万部増刷)に描き下ろしマンガ『ONE PIECE 巻零(ゼロ)』がプレゼントされ、興行収入48億円を記録。『ONE PIECE』の映画版の中でそれぞれ2位、3位の好成績につなげている。

 特典配布終了後、『ハガレン』の興行成績がナイアガラの滝のように垂直降下とならなければいいが……。

『るろうに剣心』作者・和月伸宏が“児ポ所持”で書類送検! 武井咲降板の実写版続編に、さらなる暗雲も……

 人気コミック『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の作者として知られるマンガ家・和月伸宏が、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)の容疑で書類送検されていたことが報じられた。

 報道によれば、和月は10代前半の女児の裸が収録されたDVDを複数所持しており、取り調べに対して「小学校高学年から中学2年生くらいまでの女の子が好きだった」と供述し、容疑を認めているという。

『るろうに剣心』といえば、1994年から99年にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載され、アニメ化、実写映画化など大規模なメディアミックス展開を果たしている大人気作。特に、2012年に第1作、14年に第2作と第3作が公開された実写映画は、興行収入ベースで計120億円以上を稼ぎ出すビッグヒットとなっていた。

「実は『るろ剣』の映画は、来年にも第4作の制作を控えていたんです。それが、今秋に明らかになったメーンキャスト・武井咲の妊娠でスケジュールが流動的になっていたところに、この原作者のトラブル発覚は、関係者にとって非常に頭が痛いところ。もともと『ジャンプ』のメインターゲットである男性だけでなく、女性からの人気も高い原作ですし、主演の佐藤健をはじめ多数のイケメン俳優が登場することから、映画のターゲットも、もちろん女性。それだけに、今回の件でのイメージ低下は計り知れません。今後の展開によっては、企画自体が吹き飛ぶ可能性もありますよ」(制作会社関係者)

 関係者が多大な被害を被ることになりそうな和月の愚挙。子どもに夢を与えるはずのマンガ家が、児童からの性的搾取に加担していたとなれば、決して許されることではない。

『るろうに剣心』作者・和月伸宏が“児ポ所持”で書類送検! 武井咲降板の実写版続編に、さらなる暗雲も……

 人気コミック『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の作者として知られるマンガ家・和月伸宏が、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)の容疑で書類送検されていたことが報じられた。

 報道によれば、和月は10代前半の女児の裸が収録されたDVDを複数所持しており、取り調べに対して「小学校高学年から中学2年生くらいまでの女の子が好きだった」と供述し、容疑を認めているという。

『るろうに剣心』といえば、1994年から99年にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載され、アニメ化、実写映画化など大規模なメディアミックス展開を果たしている大人気作。特に、2012年に第1作、14年に第2作と第3作が公開された実写映画は、興行収入ベースで計120億円以上を稼ぎ出すビッグヒットとなっていた。

「実は『るろ剣』の映画は、来年にも第4作の制作を控えていたんです。それが、今秋に明らかになったメーンキャスト・武井咲の妊娠でスケジュールが流動的になっていたところに、この原作者のトラブル発覚は、関係者にとって非常に頭が痛いところ。もともと『ジャンプ』のメインターゲットである男性だけでなく、女性からの人気も高い原作ですし、主演の佐藤健をはじめ多数のイケメン俳優が登場することから、映画のターゲットも、もちろん女性。それだけに、今回の件でのイメージ低下は計り知れません。今後の展開によっては、企画自体が吹き飛ぶ可能性もありますよ」(制作会社関係者)

 関係者が多大な被害を被ることになりそうな和月の愚挙。子どもに夢を与えるはずのマンガ家が、児童からの性的搾取に加担していたとなれば、決して許されることではない。

AV業界の頭脳たちが一堂に会す!? SODの極秘ミーティングに潜入!

 数多くの著名な監督たちが在籍する、AV業界の最右翼SOD(ソフト・オン・デマンド)。そんなSODもとい、AV業界の頭脳たちが一堂に集結するミーティングが、月に一度行われていることはご存じだろうか?

「ミーティングとはAV監督が40~50人がひと部屋に集まって、SODのプロデューサーさんのAV企画のプレゼンを元に、各監督が立候補する“競り”のようなものです。そこで手を挙げた監督の中から、SODさんから後日正式にオファーが来るという流れなんです。今月はアクメ物とか痴漢電車といった企画がありました」

 そう語るのは、映画『テレクラキャノンボール』でもおなじみの、カンパニー松尾監督。プロデューサーの出した企画を監督が実現するという流れだが、ということは監督たちから共感されずにボツになった、まだ見ぬどエロい企画もあるのではないだろうか? そんな、まだ日の目を見ないAVの情報をいち早く入手するために、10月某日、われわれ取材班はSODの本社に突撃した……が、われわれが到着する頃には会議は既に終わっていた。

「このまま手ぶらで帰るわけにはいかない」……そう考えていると、監督たちが別の部屋に移動し始めた。なんと、この日は会議の後に、現役人気AV女優・紗倉まなの小説を映画化した『最低。』の試写会が行われるという。

 

 いまや世界中に熱心なファンを持ちながら、世間から“最低”という偏見を持たれているAV女優という職業に足を踏み入れ、不安や孤独に苛まれながらも自分らしく生きようとする女性たちの姿を描いた本作。それでは実際の制作の現場を誰よりも知るAV監督たちの目にはどう映ったのか? 試写後に感想を直撃してみた。

「AV業界の特殊な話に見えるかもしれないけど、親子、特に母と娘の関係も大きなひとつのテーマになっていて、そういう意味で普遍的な話になっていましたね」とは、前出のカンパニー松尾監督。

「当たり前だけどAV女優も誰かの娘であり、母親であったり、恋人であったりする。AV女優の周囲の人間関係や痛切な思いをこの映画を通して改めて感じましたね。美化したり避けたりせず、そうした部分をちゃんと描いているなと思いました」(同監督)

 

 また、同じく会議に参加していた二村ヒトシ監督は「セックス自体が主題ではなく、セックスを仕事にすることが家族や恋愛に与える影響を描いた“家族”の映画ですが、女性の撮り方もバツグンに美しかった」と語るように、森口彩乃や佐々木心音の大胆な絡みシーンも本作の見どころのひとつとなっている。しかも、二村監督によればAV制作の裏側を垣間見られるような、妙に生々しい“AV業界あるある”(?)的なシーンも多かったという。

「単体女優のデビュー作の撮影を遠くのスタジオで行ったり、キカタン(企画単体)のコが親バレした翌日に平気な顔で現場に来るけども、きっと一晩中寝られなかったのでしょうか、絡み中に気を失ったり……と、僕から見ても実にリアルなシナリオでした」(二村ヒトシ監督)

 なかなか外からは見えにくいAV制作の舞台にしながら、多くの人の心を打つ物語が展開する映画『最低。』は、11月25日(土)より角川シネマ新宿ほか全国で公開予定だ。
(文=伊藤綾)

●『最低。』
出演/森口彩乃 佐々木心音 山田愛奈
忍成修吾 森岡龍 斉藤陽一郎 江口のりこ 渡辺真起子 根岸季衣 高岡早紀
監督/瀬々敬久
原作/紗倉まな『最低。』(角川文庫刊)
脚本/小川智子、瀬々敬久
製作・配給/KADOKAWA
11月25日より角川シネマ新宿他にて全国公開
C)2017 KADOKAWA
http://saitei-movie.jp/

AV業界の頭脳たちが一堂に会す!? SODの極秘ミーティングに潜入!

 数多くの著名な監督たちが在籍する、AV業界の最右翼SOD(ソフト・オン・デマンド)。そんなSODもとい、AV業界の頭脳たちが一堂に集結するミーティングが、月に一度行われていることはご存じだろうか?

「ミーティングとはAV監督が40~50人がひと部屋に集まって、SODのプロデューサーさんのAV企画のプレゼンを元に、各監督が立候補する“競り”のようなものです。そこで手を挙げた監督の中から、SODさんから後日正式にオファーが来るという流れなんです。今月はアクメ物とか痴漢電車といった企画がありました」

 そう語るのは、映画『テレクラキャノンボール』でもおなじみの、カンパニー松尾監督。プロデューサーの出した企画を監督が実現するという流れだが、ということは監督たちから共感されずにボツになった、まだ見ぬどエロい企画もあるのではないだろうか? そんな、まだ日の目を見ないAVの情報をいち早く入手するために、10月某日、われわれ取材班はSODの本社に突撃した……が、われわれが到着する頃には会議は既に終わっていた。

「このまま手ぶらで帰るわけにはいかない」……そう考えていると、監督たちが別の部屋に移動し始めた。なんと、この日は会議の後に、現役人気AV女優・紗倉まなの小説を映画化した『最低。』の試写会が行われるという。

 

 いまや世界中に熱心なファンを持ちながら、世間から“最低”という偏見を持たれているAV女優という職業に足を踏み入れ、不安や孤独に苛まれながらも自分らしく生きようとする女性たちの姿を描いた本作。それでは実際の制作の現場を誰よりも知るAV監督たちの目にはどう映ったのか? 試写後に感想を直撃してみた。

「AV業界の特殊な話に見えるかもしれないけど、親子、特に母と娘の関係も大きなひとつのテーマになっていて、そういう意味で普遍的な話になっていましたね」とは、前出のカンパニー松尾監督。

「当たり前だけどAV女優も誰かの娘であり、母親であったり、恋人であったりする。AV女優の周囲の人間関係や痛切な思いをこの映画を通して改めて感じましたね。美化したり避けたりせず、そうした部分をちゃんと描いているなと思いました」(同監督)

 

 また、同じく会議に参加していた二村ヒトシ監督は「セックス自体が主題ではなく、セックスを仕事にすることが家族や恋愛に与える影響を描いた“家族”の映画ですが、女性の撮り方もバツグンに美しかった」と語るように、森口彩乃や佐々木心音の大胆な絡みシーンも本作の見どころのひとつとなっている。しかも、二村監督によればAV制作の裏側を垣間見られるような、妙に生々しい“AV業界あるある”(?)的なシーンも多かったという。

「単体女優のデビュー作の撮影を遠くのスタジオで行ったり、キカタン(企画単体)のコが親バレした翌日に平気な顔で現場に来るけども、きっと一晩中寝られなかったのでしょうか、絡み中に気を失ったり……と、僕から見ても実にリアルなシナリオでした」(二村ヒトシ監督)

 なかなか外からは見えにくいAV制作の舞台にしながら、多くの人の心を打つ物語が展開する映画『最低。』は、11月25日(土)より角川シネマ新宿ほか全国で公開予定だ。
(文=伊藤綾)

●『最低。』
出演/森口彩乃 佐々木心音 山田愛奈
忍成修吾 森岡龍 斉藤陽一郎 江口のりこ 渡辺真起子 根岸季衣 高岡早紀
監督/瀬々敬久
原作/紗倉まな『最低。』(角川文庫刊)
脚本/小川智子、瀬々敬久
製作・配給/KADOKAWA
11月25日より角川シネマ新宿他にて全国公開
C)2017 KADOKAWA
http://saitei-movie.jp/

山田涼介『鋼の錬金術師』レビューに「中国人業者によるサクラ!?」 悪評続きで今年最大の大コケか

 Hey!Say!JUMP・山田涼介主演の実写映画『鋼の錬金術師』(12月1日公開予定、以下『ハガレン』)の“口コミ”が「両極端すぎる」と話題だ。

 注目を浴びているのは、映画情報サイト「Yahoo!映画」のレビュー投稿。18~19日にかけて突如、最高評価の「星5つ」を付けるレビュアーが殺到。しかし、「ジャニーズを心配する仲間は無駄だった!誰もが画面最大のkawaiiと思う!」「山田さんはこの映画のために、恐れを克服して、7メートルの高さから飛び降りて、私に敬服します。この映画は私の期待に値すると信じている」(原文ママ)など、その多くにおかしな日本語が見受けられ、中には中国語の「簡体字」が混ざった投稿も。

 この不可解な現象に対し、Twitterで「ハガレン実写の評価一晩で上がりすぎだろと思ったらお察し………中国人でも雇ったのかなあ」と揶揄する人物が登場。このツイートは、現在までに4万8,000以上のリツイートがされている。

 同映画は、単行本の累計発行部数6,100万部を突破する世界的大ヒット漫画の初実写化。主人公・エド役の山田をはじめ、本田翼、ディーン・フジオカ、蓮佛美沙子、本郷奏多、夏菜、佐藤隆太、松雪泰子ら豪華俳優が出演し、イタリアでロケを敢行。2D版、IMAX2D版、4DX版と、全国400スクリーン以上での大規模上映が予定されている。

 しかし、15日に都内でジャパンプレミアが行われると、ネット上では「なぜ、あの原作で、こんなにつまらない映画が出来上がるのか……」「この映画作った人、原作読んだの?」「金髪のヅラを被った日本人が、イタリアで騒いでる奇妙な映画」といった酷評が殺到。「中には、ワーナー・ブラザース史上、最大の大コケ映画となるのではないか?」と予想する人も見られた。

「中国人業者への“サクラ疑惑”が浮上している『ハガレン』ですが、製作発表段階から『<テラフォーマーズ>の二の舞いになるのでは?』と話題に。昨年公開された『テラフォーマーズ』は、伊藤英明や武井咲、山下智久らが出演し、アイスランドで大規模ロケを行う力の入れようでしたが、興業収入は7億8,000万円と不発。不吉なことに、『ハガレン』も『テラフォーマーズ』と同じくワーナー・ブラザースの配給で、もはやデジャヴ。ジャパンプレミア後の反響から、ワーナーも相当焦っているようです」(芸能記者)

 悪評相次ぐ『ハガレン』だが、今年最大の大コケ映画となってしまうのだろうか?

家族に愛された記憶のない人へ捧ぐ至高の処方箋! カルト王の輝く青春『エンドレス・ポエトリー』

 親から温かい言葉を掛けられたことがない。家族で一緒に過ごした楽しい思い出がまるでない。お盆にお墓参りすることも、お正月に帰省することも疎遠になってしまった──。そんな人におススメなのが、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の最新作『エンドレス・ポエトリー』だ。本作は御年88歳になるホドロフスキー監督が、自身の青春時代を振り返った自伝的映画。実家を飛び出した主人公が運命の恋人や芸術家仲間たちと出逢い、両親の呪縛から解き放たれていく姿を色彩豊かに描いた映像詩となっている。道なき道を進もうとする若き日の自分を、ホドロフスキー監督が叱咤激励する形で物語は進んでいく。

 ストーリーに触れる前に、ホドロフスキー監督がどんなにグレートな人物であるかをご紹介。1929年、南米チリ生まれのホドロフスキー監督は、『エル・トポ』(70)や『ホーリー・マウンテン』(73)といった超シュールな作品で知られるカルト映画の王様。1975年にはSF大作『デューン』の製作に取り組み、絵コンテにフランスコミック界のビッグネームであるメビウス、デザインに新進画家だったH・R・ギーガーを起用。残念なことに『デューン』の企画はハリウッドの大手スタジオに反対されて頓挫したものの、このときの絵コンテやデザイン画は『スター・ウォーズ』(77)や『エイリアン』(79)などの人気SF映画に多大な影響を与えている。

 映画監督としては不遇の時代が続いたホドロフスキー監督だったが、お蔵入りした『デューン』の舞台裏を再現したドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』(13)の撮影で『デューン』のプロデューサーだった旧友ミシェル・セドゥーと感動の再会。彼の支援によって『リアリティのダンス』(13)を撮り、23年ぶりに映画界への復活を果たした。80歳を過ぎて枯れるどころか、頭の中に止めどなく溢れ出る鮮烈なイメージを自由自在に映像化してみせる映画仙人のごとき存在となっていたのだ。

 ホドロフスキー監督の故郷チリで撮影された『エンドレス・ポエトリー』は、監督の少年期と変わり者の両親にスポットライトを当てた『リアリティのダンス』に続く、ホドロフスキー人生劇場の第二幕。家族との葛藤も、命懸けの恋愛も、青春の蹉跌も、すべて南米の明るい陽射しの中で撮影されたマジックリアリズムの世界へと昇華され、安くて美味いチリワインのような豊潤な味わいを感じさせる。ちなみに撮影監督は日本でも人気のクリストファー・ドイルだ。

 チリの首都サンティアゴに、ホドロフスキー一家が引っ越してきたところから本作はスタート。前作『リアリティのダンス』では共産主義に傾倒していた父親(ブロンティス・ホドロフスキー)だが、今はもうお金儲けのことしか考えていない鼻持ちならない商売人だった。音楽を愛する母親(パメラ・フローレス)は父親の言いなりのまま。思春期を迎えたアレハンドロ(イェレミアス・ハースコヴィッツ)は詩人になることを夢見ていたが、父親は「詩人はみんなオカマだ。お前は医者になれ」と息子の将来を一方的に決めつけようとする。高圧的な父親、息子に無関心な母親、ユダヤ系ファミリーの閉鎖的な体質に我慢できなくなったアレハンドロは、親族が集まった本家の庭の木を斧で切り倒すという暴挙に。そのまま両親のもとを飛び出し、若いアーティストたちの溜まり場となっている下宿での新生活を始める。少年時代と決別した青年アレハンドロ(アダン・ホドロフスキー)は、酒場で2リットルのビールジョッキを飲み干す豪快な女詩人ステラ(パメラ・フローレス2役)にひと目惚れし、危険な恋に身を焦がすことになる。

 アレハンドロを迎え入れる下宿先の住人たちが奇人変人ばかりで楽しい。小柄な日本人女性(伊藤郁女)をいつも肩に乗せている合体ダンサー、鍵盤をカナヅチで叩きながら演奏する超絶ピアニスト、全身にペンキを浴びて即興で絵を描くパフォーマンス画家などなど。まるで前衛芸術家版「トキワ荘」のようだ。初めて創作詩を詠むアレハンドロを、下宿仲間たちが大歓迎してくれる。生まれて初めて他者から自分の存在を肯定されたことが、アレハンドロは無性にうれしい。芸術家たちや恋人ステラとの刺激的な体験のひとつひとつが、新しい詩となり、より過激な創作活動へとアレハンドロを掻き立てていく。

 東京国際映画祭の開催中に、ホドロフスキー監督の末の息子であり、青年期のアレハンドロ役で主演したアダン・ホドロフスキーがフランスから来日。父親のことを嫌っていたホドロフスキー監督だが、監督自身はどのような父親だったのだろうか。観客とのティーチインイベントで、息子アダン・ホドロスキーはこう語った。

「フツーの家庭じゃなかったよ(笑)。父は妥協という言葉を知らなかった。子どもの足に合う靴を見つけるまで、靴屋を30軒ほど探し続けたことがある。男の子たちは夕食の前に椅子に立たせられ、1人ずつ詩を朗読させられた。兄弟の中には父に命じられて、裸になってスープの中におしっこをさせられたなんてことも。(日本文化を愛する)父親からは、忍者のように音を立てずに歩く修業をさせられたこともあるよ」

「撮影現場での父は、とにかく人の意見を聞かない。僕の腕を掴み、『こう動くんだ。ここを見ろ』と自分の指示するとおりに動くことを望むんだ。でも僕ができずにいると、3テイク目からは諦めて、『もう勝手にやれ』と僕が演じたいように演じさせてくれたんだ」

 ホドロフスキー監督も自身が嫌っていた父親のように頑固でアクの強い存在らしいが、それでも若き日の自分を演じる息子アダンに対し3テイク目から自由な演技を認めるあたりに、ホドロフスキー監督なりの修正された“家長像”を感じさせる。

 ホドロフスキー監督が生まれ育ったチリは戦前から長きにわたって軍事独裁政権が続き、父親が医学の道に進むように強要したのは息子の身を心配してのことだった。実際、チリの国民的詩人パブロ・ネルーダは1950年代にイタリアへの亡命を余儀なくされている。だが、劇中のアレハンドロは父親が束縛しようとすればするほど、奔放に創作の世界へと打ち込んでいく。生きることに絶望していた親友の詩人エンリケ(レアンドロ・ターブ)には、「詩人なら、現実を異なる視点で見るんだ」という言葉で励ます。アレハンドロにとって詩の創作は、シビアな現実を見つめ、暗い未来を照らすための灯火でもある。ままならない現実社会から目をそらすのではなく、詩人として、そして映画監督として目の前に横たわる問題を咀嚼し、ワンステージ上の創作の世界へ押し上げていく。

 やがてアレハンドロは、より広い世界とさらなる自由を求めてパリへ旅立つことを考え始める。でもフランス語が話せず、知り合いがひとりもいない異郷で果たして生きていけるのか。躊躇する若き日の自分自身の背中を、白髪姿のホドロフスキー監督が現われ、「生きることを恐れるな」と力強く後押しする。

 生を祝福する赤い精霊たちと黄泉の国からの使いであるガイコツたちとが入り乱れて群舞するクライマックス。新しい世界へ旅立とうとするアレハンドロの前に、ずっと嫌いだった父親が立ちはだかる。「お前のことが心配だったんだ。家に戻ってきて、家業を手伝ってくれ」と息子アレハンドロを引き止めようとする。足元にすがりつく父親に対し、大人になったアレハンドロはこんな言葉を残す。

「父は何も与えないことで、私にすべてを与えてくれた。父は誰も愛さないことで、私に愛の必要性を教えてくれた」

 アレハンドロ・ホドロフスキー監督は、不仲だった父親の存在を映画の中で受け入れることを果たした。家族という名の呪縛からようやく解き放たれたホドロフスキー監督。彼の冒険旅行はこれからまだまだ続く。
(文=長野辰次)

『エンドレス・ポエトリー』

監督・脚本/アレハンドロ・ホドロスキー 撮影/クリストファー・ドイル 音楽/アダン・ホドロフスキー 衣装/パスカル・モンタンドン=ホドロフスキー
出演/アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ、フリア・アベダーニョ、バスティアン・ボーデンホフェール、キャロン・カールソン、アドニス、伊藤郁女
配給/アップリンク 11月18日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラスト有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

11月22日(水)~30日(木)、渋谷アップリンク・ギャラリーにて写真展「菊池茂夫が撮るホドロフスキー」を開催。入場無料。

(C)2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE
photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky
http://www.uplink.co.jp/endless/

 

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エマ・ワトソン嬢による“人類補完計画”が発動!! 『ザ・サークル』は理想郷か、ブラック企業か?

 出会い系アプリで知り合った恋人にLINEで連絡し、食べログで人気のお店へ出掛ける。注文するのは、もちろんインスタ映えするメニューだ。自宅に戻ると、政治家や芸能人のTwitter発言がニュースとなって流れている。1日の終わりにFacebookの「いいね」の数を確認し、それから眠りに就く。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)は、すっかり日常生活の中に溶け込んでいる。エマ・ワトソン主演映画『ザ・サークル』は新しいSNSを運営する巨大企業を舞台にした、極めて現実味のある近未来サスペンスだ。24時間ずっとSNSと繋がり続けることで、孤立化することなく、秘密を抱えて悩むこともない理想世界を築こうとする若き主人公の野心と挫折を描いた注目作となっている。

 本作の主人公であるメイ(エマ・ワトソン)が転職する先のIT企業「サークル」がすごい。若者たちが憧れる人気ベンチャー企業で、出来たばかりの本社はまるで大学のキャンパスのように緑豊かで広々としており、ガラス張りのオフィスはデザインも優れた快適空間そのもの。社員のことを「サークラー」と呼ぶ、とても自由な社風だ。社員食堂はGoogle社と同じく無料で食べ放題。週末には人気アーティストが出演するライブイベントやパーティーも開かれ、退屈する暇がまったくない。

 メイが入社してしばらくすると、創業者でありカリスマ経営者のベイリー(トム・ハンクス)が全社員を集めてのスピーチを行なう。「全人類がひとつに繋がる完全なる社会を目指そう」。ベイリーが熱く語る企業理念に、メイたち社員は惜しみない拍手を送る。サークル社は福利厚生も充実しており、メイだけでなくメイの両親にも医療保険が適応されるとのこと。そのお陰で、病気がちだったメイの父親は最新の治療を受けることができ、すっかり元気に。この世の理想郷のような最先端企業の一員になれたことが、メイにはとても誇らしかった。

 

 ある日、メイはスピーチ中のベイリーから壇上に呼ばれ、新サービス〈シーチェンジ〉の体験モデルにならないかと持ち掛けられる。〈シーチェンジ〉とは超マイクロカメラを衣服に付けたり、お気に入りの場所に設置することで、その人の見る風景や体験を多くの人とリアルタイムでシェアできるというもの。メイは〈シーチェンジ〉の体験モデルになることに応じるだけでなく、「シーチェンジカメラを24時間身に付け、私の生活を完全に透明化します!」と高らかに宣言する。トイレ休憩とバスタイム以外はすべて可視化するというメイの大胆な言動はたちまち話題となり、メイは世界中で1,000万人のフォロワーを持つアイドル的存在となっていく。

 24時間オープンにし、プライベートをなくせば、ひとりでクヨクヨ悩まずとも気づいた誰かがすぐに励ましてくれる。秘密という概念そのものが消滅するため、犯罪も起きなくなる。自分が体験した感動を世界中の人たちと共有することができる。人類の祖であるアダムとイヴは、神に隠れてこっそりと知恵の実を食べたために楽園を追放されてしまったが、メイが実践するこの新しいライフスタイルが世界中に広まれば、人類は自分たちの手で新しい楽園を築くことができる。SFアニメ『新世紀エヴァンゲリヲン』(テレビ東京系)の中で提唱された“人類補完計画”のように、もう人類はそれぞれが孤独であることに悩み、罪の意識に苦しむこともなくなるはずだったが……。

 SNS上での人気者となったメイは社内でも発言力を増していく一方、メイのもとから去っていく人たちもいる。メイが実家にテレビ電話をしたところ、元気になった両親はSEXの真っ最中だった。娘にSEXを見られただけでも気まずいのに、その映像はリアルタイムで世界中に流れてしまった。メイからの連絡に両親は応えなくなってしまう。大学時代の親友アニー(カレン・ギラン)はメイにサークル社への転職を勧めてくれた恩人だが、サークル社でのポジションをメイに奪われ、職場から去ってしまった。幼なじみのマーサー(エラー・コルトレーン)はSNSを嫌っており、音信不通となる。でも、メイは平気だった。なんせ、1,000万人を超えるフォロワーがメイの味方だったから。

 

 理想社会として描かれるSNSの世界だが、そこで持ち上がるのは同調圧力という問題。Facebookでみんなが「いいね」を押していると、自分も「いいね」しないといけないような強迫観念にとらわれることがあるが、メイが実践するSNSでも同じ現象が起きてしまう。「全人類がサークルに加入し、ひとつに繋がる」という壮大なサービス〈ソウルサーチ〉のプロジェクトリーダーに選ばれたメイは、〈シーチェンジ〉の小型カメラとネットワーク力によって、指名手配中の犯罪者や行方不明者をたちどころに発見してみせる。この〈ソウルサーチ〉が本格的に普及すれば、人類は一体化し、神にもなれる。あるユーザーが、メイと幼なじみのマーサーがケンカ別れしたままなことを思い出し、〈ソウルサーチ〉の力を使って、メイとマーサーとの感動的な再会&仲直りを提案する。善意から発せられたこのアイデアは、膨大な数の「いいね」を集め、SNS上で巨大なうねりとなっていく。システムの推進者であるメイも、孤独の中に安らぎを見出していたマーサーも、想像を絶する善意の波に呑み込まれていく。

 この世界はほんの少し視点を変えるだけで、まったく別なものに見えてくる。メイたち新入社員を熱狂させていたカリスマ経営者のベイリーだが、部外者には新興宗教の教祖のようにも映る。ベイリーは神の奇跡の代わりに、SNSという新しい聖典を若い信者たちに与えた。完全なる民意の反映、透明化された社会を実現させるはずだった〈ソウルサーチ〉だが、全員参加を強要する新しいファシズムの誕生だった。誰かにとってのユートピアは、別の誰かにとってのディストピアになりかねない。メイが夢見たSNSと実生活をリンクさせた理想世界は、システムを運営する側にとっても非常に便利で、都合のいいシステムでもあることを覚えておきたい。
(文=長野辰次)

『ザ・サークル』
原作・脚本/デイヴ・エガーズ 監督/ジェームズ・ポンソルト 
出演/エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、エラー・コルトレーン、パットン・オズワルト、グレン・ヘドリー、ビル・パクストン
配給/ギャガ 11月10日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
C)2017 IN Splitter, L.P. All Rights Reserved.
http://gaga.ne.jp/circle/

 

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映画愛をむさぼる悪徳プロデューサーは実在する!? 地方ロケの内情を映画化した『エキストランド』

 映画やテレビドラマの地方ロケに、今や欠かせないのがフィルムコミッション(FC)。ロケ地に選ばれれば撮影クルーが長期間滞在することで地元経済が潤い、映画やドラマがヒットすれば地域のPRになり、町おこし&村おこしにも繋がる。ロケ場所の斡旋からエキストラの募集まで無償で対応するFCは、ゼロ年代に入ってから全国各地で続々と誕生した。だが、そんな地元を愛し、映画製作を応援してくれる人々の善意をしゃぶり尽くそうとする悪徳プロデューサーがいるらしい……。11月11日(土)より劇場公開が始まる吉沢悠主演映画『エキストランド』は、各地のロケ現場で実際に起きているトラブルの数々を盛り込んだコメディタッチの問題提起作となっている。

 本作の主人公は、映画プロデューサーの駒田(吉沢悠)。前作が大コケしてしまい、プロデューサー生命が危うい状況だった。仕事がまるでない駒田は、芸能プロダクションの社長(仁科貴)が税金対策のために製作する映画『フリーター、ひとりで家を建てる』のプロデューサーを引き受けることに。「脚本は一字一句も変えちゃダメ」という無茶な注文だったが、どう転がしても面白くならないこの脚本を無事に映画化できれば、次回作は人気俳優を主演に据えた大作を撮らせてあげると言い含められる。えのき市がFC業務を始めたばかりなことに着目した駒田は、えのき市役所のFC担当・内川(前野朋哉)やボランティアで参加した地元の人々をいいようにコキ使った非道極まりないロケ撮影を始める。すべては、映画プロデューサーとしての駒田の実績づくりのためだった──。

 

 本作を企画し、『東京ウィンドオーケストラ』(17)などで知られる新鋭・坂下雄一郎監督と共同で脚本を書いたのは田中雄之プロデューサー。全国13カ所のFCをリサーチして回ったという田中プロデューサーに、地方ロケで起きているトラブルの実例や本作に登場するような悪徳プロデューサーは実在するのかどうか訊いてみた。

──田中プロデューサーの前作『らくごえいが』(13)も、映画製作の裏側を描いたバックステージものでした。FCを題材にした『エキストランド』は、どのような経緯から生まれた企画だったんでしょうか?

田中 プロデューサーである僕が、映画製作を題材にした映画が好きなんです。岩井俊二さんがプロデュースした『虹の女神 Rainbow Song』(06)が大好きな映画のひとつなんですが、これも映画製作の話です。園子温監督の『地獄でなぜ悪い』(13)や古いところでは『雨に唄えば』(52)も好きです。映画の製作現場ってすごく人間的なところだし、決していいことばかりでもない。描き方によってはコメディにもホラーにもなると思うんです。FCを題材にしたのは、僕自身の実体験から。以前、短編映画をプロデュースした際に「わたらせフィルムコミッション」のお世話になったんですが、ロケ場所のコーディネイトから細かいことまでいろいろと支援してもらい、すごく助かった。逆に四国でロケした際は、たまたま同時期に他の作品の撮影と重なっていたため、地元FCの協力なしで撮影したんですが、とても大変でした。FCなしでの地方ロケは難しい。それもあって、FCの方たちに興味が湧き、各地のFCを訪ねてお話を聞いて回ったんです。取材をもとに最初は僕が企画や脚本を開発していましたが、映画業界以外の人たちにも楽しめるようなエンタメ作品として仕上げるため、脚本開発から坂下監督に参加してもらったのが『エキストランド』なんです。

 

■映画の現場で起きるトラブルのあれこれ

 

──劇中で描かれている映画製作にまつわるトラブルは、実際に起きていること?

田中 映画的に誇張はしていますが、ほぼ起きていることだと思います。映画をめぐるトラブルのいちばんの原因は、外側から見た映画業界の華やかさと、そのイメージとは裏腹な貧しい製作内情とのギャップから生じていると思うんです。国内の映画の製作本数は年々増えていますが、一部のヒットしたメジャー系と赤字続きのインディペンデント系との格差がますます進んでいる状況。でも、映画業界の内情にあまり詳しくない人は「映画はすごい」という印象を持ち、映画のロケ地になれば、日本国中で話題になると思い込んでしまう。映画って、今もある種の魔力を持っているんだと思いますね。吉沢悠さん演じる駒田プロデューサーは、そんなギャップに付け込んでやりたい放題やってしまうわけです。

──プロデューサーの駒田は、ずっと新作が撮れずにいる石井監督(戸次重幸)を起用し、製作費100万円で映画を撮らせようとする。ピンク映画は一本の製作費が300万円だと聞きますが、一本100万円は安すぎませんか。

田中 100万円は、あまりにも安いですよね(笑)。1,000万円くらいだとインディペンデント映画としてリアルな数字かもしれません。坂下監督の「映画業界じゃない人が観ても、ちゃんと安すぎるとわかる数字にしたほうがいい」という意見もあって、映画の設定は100万円にしました。実際の『エキストランド』は製作費1,000万円以上ですが、インディペンデント映画で製作費1,000万円を回収するのは大変です。チケット代1,000円として、1万人を動員しても興行収入は1,000万円。それを劇場と映画とで分けます。映画館に毎日100人を呼び込み、それが100日間続いても赤字になるわけです。ほとんどのインディペンデント映画は製作費を回収できていないんじゃないかと思います。今回の『エキストランド』は、自分たちがやりたい映画をつくるために出資者は募らずに、完全なインディペンデント作品として製作しています。本当にしんどかった。

 

 

──悪徳プロデューサーの駒田は「脚本の善し悪しは一般人にはわからないだろう」と高を括って、ロケ先で無茶振りをする。これはありうる?

田中 FCには3要件というのがあり、その中のひとつで、撮影の規模や内容で優遇や拒否することは禁止されているんです。予算規模が小さいとか、学生映画だからという理由では断れないことになっています。県や市の職員がFC業務をやっていることも多いので、ロケ地のマイナスイメージになる内容だと受けてくれないこともあると思うんですが、脚本が面白いかどうかということは判断材料にはならない。それにFCに申請する際、まだ脚本が完成しておらず、企画書段階で申し込むことが多いと思います。だから企画書にいいことばっかり並べれば、通ってしまう可能性があるでしょうし、脚本がほとんど人目に触れないまま、撮影が始まることもあるようです。でも、だからといって、相手を騙すようなことはしちゃダメですよね。映画製作者とFCは信頼関係で映画をつくっていくわけですから。

──劇中ではエキストラをめぐるトラブルも次々と起きる。エキストラ100人集めるのは、低予算映画では容易なことではない。

田中 人口の小さな町では大人数を集めるのは難しいと思います。映画の撮影現場はスケジュールが押して食事休憩が2~3時間遅れるのはよくあることですが、エキストラとして参加した人でも自分たちがぞんざいに扱われているかどうかはスタッフの対応からすぐわかると思います。スケジュールが押している場合は、きちんと状況を説明するとか、そういうことがあるかないかでわかりますよね。浜松のFCで聞いた話ですが、園子温監督の『新宿スワン』(15)の歌舞伎町シーンは浜松でロケ撮影されたんですが、ロケ日が地元のお祭りと重なって、「沢尻エリカや山田孝之が来ている」と野次馬が集まって危険な状態になり、撮影が一時中断したそうです。ニュースにもなっていました。このとき撮影のために集まっていたエキストラたちがTwitterで「撮影中止」という情報を拡散し、騒ぎが収まってから再び集まって、撮影を再開したそうです。スタッフとエキストラとの信頼関係を感じさせる、いいエピソードだなと思いました。『エキストランド』では「信州上田フィルムコミッション」に協力してもらい、たくさんの上田市の方たちにエキストラとして参加してもらいました。こういう作品を撮っている中で、劇中のようなトラブルが起きてはシャレにならないので、作品内容を事前に丁寧に説明することは心掛けました。例えば、田んぼの中で泥だらけになるシーンで「汚れが目立つ衣装のほうがいいですよね」と、わざわざ白いシャツで来てくれたエキストラの方もいらっしゃいました。エキストラのみなさんに撮影を楽しんで帰ってもらえて、うれしかったですね。

 

■宿泊費&飲食代を支払わない撮影クルーがいる!?

 

──地方ロケで起きやすいトラブルは何でしょうか?

田中 撮影に使ったロケ現場を撮影前の状態に戻さずに散らかしたまま次の現場へ移動してしまう、器物を破損してしまうといったケースはよく聞きます。謝れば済むものではないんですが、「映画なら何をやってもいい」という態度だと必ず問題を起こします。映画撮影は暴力的行為だということを認識していないとダメだなと思います。FCの方もベテランになると「この作品の撮影は深夜まで掛かりそうだな」と予測できる場合は、住宅街から離れた場所を紹介するなど、うまく対処しているようです。FCからいちばんよく聞くのは、やはり金銭トラブル。信じられないことに、ロケ先の宿泊費や飲食代を支払わないまま、ばっくれる撮影クルーがいるそうです。支払うにしても、支払うタイミングでトラブルになることもあるようです。撮影側の都合で、翌々月払いとか、遅いときは映画の公開まで払われないとか。ホテル側からしてみれば、その場で支払ってほしいでしょうから、そのへんのコミュニケーションがとれてないトラブルがあるみたいです。仮にスタッフ30人が一泊5,000円のホテルに泊まったとしたら、1週間で100万円越えてしまう。小さなホテルだと、支払いのタイミングはかなり重大な問題ですよね。

──ずばり、悪徳プロデューサーは実在する?

田中 映画で描かれた駒田というプロデューサーは各地で聞いてきたよくないエピソードの集合体なので、実際にはあんな人物はいないはずです。ただし、自分のキャリアづくりしか考えずに、トラブルばかり起こすあくどいプロデューサーは存在するかもしれません。ジャパン・フィルムコミッションでは年に一度集まって、トラブルにどう対処していくのかスキルアップ研修を開いているそうです。問題が起きていなければ、わざわざ研修をやる必要もないはずですよね。僕個人はプロデューサーの駒田って、『スター・ウォーズ』シリーズの悪役ダース・ベイダーみたいな存在だと思っているんです。最初は面白い映画をつくろうと頑張っていたけど、映画製作に行き詰まってダークサイドに堕ちてしまう。駒田プロデューサーは、ダースベイダーみたいな存在なんです。それもあって、爽やかなイメージのある吉沢悠さんに、この役をお願いしました。駒田は決して根っからの悪人ではないし、僕自身も含めて映画製作に関わっている人間はいつダークサイドに堕ちてしまうか分からない。だから、この作品は自分への戒めでもあると思っています。こんな悪徳プロデューサーは、駒田が最後のひとりであってほしいですね。
(取材・文=長野辰次)

『エキストランド』
監督/坂下雄一郎 プロデューサー/田中雄之
脚本/坂下雄一郎、田中雄之
出演/吉沢悠、戸次重幸、前野朋哉、金田哲、後藤ユウミ、嶺豪一、中村無何有、宇賀那健一、鷲尾英彰、長野こうへい、仁科貴、棚橋ナッツ、古川一博、芹澤興人
配給/コトプロダクション 11月11日(土)より渋谷ユーロスペース、上田映劇ほか全国順次公開
(c)Koto Production Inc.
http://extrand.jp

●田中雄之(たなか・たけし)
1982年東京都生まれ。慶應大学を卒業後、博報堂に入社。映画を中心にコンテンツ×企業のタイアッププロモーションを多数手掛ける。博報堂を退社後、2011年より東京芸術大学大学院映像研究科に進学し、落語を題材にしたオムニバス映画『らくごえいが』(13)を企画プロデュース。卒業後に「コトプロダクション」を設立。監督&プロデュースした短編映画『FIVE PERCENT MAN』は現在各地の映画祭に出品中。その他のプロデュース作に清水崇監督の『雨女』(16)、エグゼクティブプロデュース作としてサンダンス映画祭ショートフィルム部門大賞を受賞した『そうして私たちはプールに金魚を、』(16)などがある。宮崎大学地域資源創成学部の講師も務めている。