映画『ドラクエ』は“5”が原案!? 正ヒロインを巡って論争勃発!

 2月13日放送の『news zero』(フジテレビ系)で、フル3DCGアニメーション映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が2019年の8月2日に公開されることが発表された。ドラクエファンからは歓喜の声が上がっているが、同時に懐かしの“論争”が再燃している。

 この日番組には、『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)や『永遠の0』(2013)などでお馴染みの映画監督・山崎貴が出演。ゲームの映画化を“鬼門”としていた山崎監督は、当初今回の企画を断っていたという。しかし“とあること”を思いついて、「すいません、やれる感じがしてきました」と承諾。その“とあること”は明かされていないが、『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』には確かな勝算があるようだった。

 そんな同映画の制作には、豪華スタッフ陣が集結。まず山崎監督は今回“総監督・脚本”という立ち位置で、監督には『STAND BY ME ドラえもん』(2014)で共に仕事をした八木竜一と花房真が。音楽は、シリーズを通して名曲を世に送り出してきたすぎやまこういちで、原作・監修には“ドラクエの生みの親”堀井雄二が関わっている。

「今回の映画は、シリーズの中でも熱狂的なファンが多い『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』が物語の原案となっているようです。堀井もTwitterで『ドラクエ5を原案にしています。台詞ひとつで深夜まで熱い議論を交わしたこともありました。形にしてくれた山崎監督に感謝です』とコメント。ファンからは『発表を見ただけでもう泣いた』『ドラクエ5原案で映画化はアツい』『堀井神が関わってるなら全面的に信頼できる』『めっちゃ壮大なストーリーだけどどんな映画になるんだろう』と期待の声が寄せられています」

 そんな中、ネット上では“ビアンカ”と“フローラ”のどちらが映画のヒロインになるかで論争が勃発。「どう考えても王道なのはビアンカ。よって映画もビアンカを嫁にするべき」「フローラがヒロインじゃなかったら映画見ない」「ビアンカは幼馴染だよ? ヒロインにならなかったらおかしいでしょ」「ビアンカを選ぶやつはお子様。フローラ以外ありえない」といった声が相次いでいた。

「『ドラクエ5』には主人公の花嫁を選択するシステムがあり、ビアンカを選ぶかフローラを選ぶかはファンの間でもわかれるところ。同ゲームは1992年に発売されたのですが、約27年が経った現在でも未だに“花嫁論争”が続いています。ゲームではプレイヤーの意思で選択できるのですが、それを映画で再現するのはかなり困難。『ビアンカバージョンとフローラバージョンを同時公開しないと戦争が起こりそう』との意見もありますが、山崎監督はこの問題をどう対処するのでしょうか」(同)

 とはいえ未だに“花嫁論争”がここまで盛り上がるのは、『ドラクエ5』が愛されている証拠。映画が公開されたらものすごい反響を呼びそうだ。

なぜアイドルはナチ衣装を着てはいけないのか? ヒトラー政権末期に現われた『ちいさな独裁者』

 映画を量産することで有名なベテラン監督が、以前こんなことを語った。「キャリアのない俳優でも、丸坊主にして軍服を着るとそれっぽくなるものなんです」と。役に合ったファッションをまとうことで、俳優は内面も役へと近づいていく。衣装の果たす役割はとても大きい。それがナチスドイツの軍服なら、なおさらだろう。中でも洗練されたデザインのナチスドイツ将校の軍服は、誰が着てもかっこよく映った。第二次世界大戦末期のドイツを舞台にした映画『ちいさな独裁者』(原題『Der Hauptmann』)は、ナチス将校の軍服をめぐる実話をベースにした興味深いドラマとなっている。

 本作の主人公となるのは、実在の人物ヴィリー・ヘロルト。1925年に屋根ふき職人の息子として生まれ、煙突清掃員の見習いとして働いていた。1943年にドイツ国防軍へと徴兵され、イタリアを転戦した後、ドイツ本国の防衛線に配属。1945年4月、連合軍とソ連軍の攻勢によりドイツの敗戦は濃厚となり、ヘロルトは戦場を離脱し、脱走兵となる。物語はここからスタートする。

 命からがらに戦場から逃げ出したヘロルト(マックス・フーバッヒャー)。極度の飢えと寒さに苦しみながら無人の荒野をさまよった末に、路上に放置されていた軍用車を見つける。車内にはナチス将校の軍服が残されていた。寒さを凌ぐため、将校の軍服をまとうヘロルト。馬子にも衣装で、丈が少し長いことを除けば、なかなか似合っていた。そんなとき、上等兵だと名乗るフライターク(ミラン・ペシェル)が現われ、ヘロルトを本当の将校だと勘違い。「部隊からはぐれてしまいました。同行させてください」と申し出る。今さら自分は脱走兵だとは言い出せないヘロルトは空軍大尉だと偽称し、架空の任務をでっち上げる。

 ヘロルトの将校ぶりがあまりに堂々としていたため、行く先々の人たちは簡単に騙されてしまう。ドイツ軍は規律を失い、すっかり弱体化していた。田舎町で略奪行為を働いていたならず者の兵士キピンスキー(フレデリック・ラウ)たちも従え、次第に勢力を増していく自称“ヘロルト親衛隊”だった。

 やがてヘロルト親衛隊は、脱走したドイツ兵たちで溢れ返った収容所に到着。ヘロルトは「ヒトラー総裁から特命を受けた」と大嘘をつき、まだ裁判を終えていない脱走兵たちをいっせいに処刑する。一晩で90人もの同胞を血祭りにした。収容所の警備隊長たちは、ヘロルトの見事な決断力を賞讃する。最初は自分の正体がバレないかとビクビクしていたヘロルトだが、わずか数日間で無秩序状態となっていた戦場の大英雄=大量殺戮者へと変貌を遂げるのだった。

 なぜ19歳の若者が将校のふりをしていたことを誰も見破れなかったのか。いや、ヘロルトは偽者だとバレていた。ヘロルトの片腕となるキピンスキーは、ヘロルトの将校服がサイズ違いなことに気づいていた。だが、彼はそのことを黙っていた。ヘロルトを将校に祭り上げておいたほうが、彼の権威のもとで好き放題に振る舞うことができると踏んだからだ。そんな計算高いキピンスキーらに支えられ、ヘロルトはますます暴君化していくことになる。

 高度にシステム化された未来社会の恐怖を描いたハリウッドSF大作『ダイバージェントNEO』(15)などで知られるロベルト・シュヴェンケ監督は、母国ドイツに戻り、本作を撮り上げた。宣伝のために2018年に来日したロベルト監督は、ヘロルトをストローマン(わら人形)に例え、興味深いコメントを残している。

「この映画は第二次世界大戦末期に起きた実話ですが、映画の中で描かれている権力構造はどの時代にも通じるものです。人間は権力を集め、利益のために人を操る方法を知っています。例えば、中絶に反対すれば、中絶反対派の支持を得ることができる。銃の所有に賛成すれば、銃規制反対派の票が集まる。自分がその考えを本当に支持しているのかどうかは関係ありません。それが政治家というものです。そして彼らが実際に権力を手に入れると、物事は急激に変化するのです。国民は自分たちに都合のいい“ストローマン”を代表に選んだつもりですが、実はストローマンが“支配者”なんです。彼らは一度権力の座に就くと、その地位を維持しようと努めます。また現代では、権力を得るために全体主義国家を築く必要性すらありません。トーク番組の司会者ショーン・ハニティーのように影響力のある発言者がいれば、宣伝省も必要ないのです」

 いつでも取り替えられるストローマン(わら人形)を代表に選んだつもりが、非力のはずのストローマンは権力の座に就くと自発的に動き出し、無慈悲な独裁者へと変身していく。売れない絵描きだったアドルフ・ヒトラーも、ドイツ労働者党(後のナチ党)に入党するまでは一介のストローマンだった。やがて過激な演説ぶりが評価され、ナチスドイツ総統にまで登り詰めた。中身が空っぽなわら人形を独裁者へと変えてしまう、権力システムの恐ろしさをロベルト監督は本作の中で描いてみせている。

 人気絶頂期にあるアイドルグループ「欅坂46」だが、2016年のハロウィンステージに使用した衣装がナチスドイツを想起させるとユダヤ系人権団体から抗議を受けたことは記憶に新しい。ヒトラー政権下で宣伝大臣を務めたヨーゼフ・ゲッベルスはナチスドイツの制服にこだわり、ドイツの人気ブランド「ヒューゴ・ボス」の創設者に軍服を大量生産させた。ナチスのファッションにはある種の格調の高さとフェティシュさが漂い、今も多くの人を惹き付ける。ナチ風ファッションをまとった本人も、その姿を前にした大衆も陶酔させてしまう危険な力がある。アイドルはなぜナチ風衣装を身にまとってはいけないのか。その疑問に対する答えが、映画『ちいさな独裁者』にはある。
(文=長野辰次)

『ちいさな独裁者』
監督・脚本/ロベルト・シュヴェンケ
出演/マックス・フーバッヒャー、ミラン・ペシェル、フレデリック・ラウ、ベルント・ヘルシャー、ワルデマー・コブス、アレクサンダー・フェーリング、ブリッタ・ハンメルシュタイン
配給/シンカ、アルバトロス・フィルム、STAR CHANNEL MOVIES 2月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
(c)2017-FILMGALERIE 451,Alfama Films,Opus Film
http://dokusaisha-movie.jp

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日本の全映画会社が買付け拒否! 禁断のドキュメンタリー映画『カニバ/パリ人肉事件38年目の真実』TOCANAが配給決定! 佐川一政の“現在”が明かされる!!

※第74回ヴェネチア国際映画祭 オリゾンティ部門審査員特別賞受賞作品※
『カニバ/パリ人肉事件38年目の真実』日本公開決定!!!

(原題:Caniba、監督・撮影・編集・製作:ヴェレナ・パラヴェル、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー、出演:佐川一政、佐川(弟)ほか(C)Norte Productions, S.E.L、2017年/フランス・アメリカ合作/90分/DCP)

★(株)サイゾーが運営する「TOCANA」編集部第1回配給作品!★

 2019年、(株)サイゾーが運営する知的好奇心を刺激するサイト「TOCANA」編集部が洋画配給事業をスタートさせる。自社買付けで配給する第一回目の作品は1981年にフランス・パリで日本人留学生である、佐川一政がオランダ人女性を銃で射殺し、その遺体を食してしまった猟奇殺人事件「パリ人肉事件」。それから約30年後、2013年に脳梗塞で倒れ歩行が困難となり、実弟の介護を受けつつ年金暮らしをする佐川にフランスの撮影クルーが2015年6月より約1カ月間密着。奇妙な弟との関係性を浮き彫りにしながら、過去の事件を通して佐川の心の奥にある“カニバリズム”について追求した衝撃ドキュメンタリー。当時の事件を振り返りながら、淡々と証言する佐川。そしてラストに誰も知らない戦慄の事実が佐川本人から語られる――。邦題は「カニバ/パリ人肉事件38年目の真実」に決定した。

 本作は2017年のヴェネチア国際映画祭でオリゾンティ部門審査員特別賞を受賞、監督はハーバード大学で感覚民族誌学研究所のディレクターも務める映画作家、ヴェレナ・パラヴェルとルーシァン・キャステーヌ=テイラーの2人。

 この作品は日本の全洋画配給会社が“あまりにも衝撃的な内容”だということで、買付けと配給宣伝を断念したが、この度、出版社である(株)サイゾーのTOCANA編集部が自社で買付けし配給と宣伝を手掛けることとなった。劇場公開は2019年夏、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショー。

<サイゾーからコメント>
●「本作は、「パリ人肉事件」という猟奇的な殺人事件と佐川一政をセンセーショナルに描いて消費することを目的とした作品ではなく、佐川一政の性的カニバリズム欲求や育ってきた環境及び家族との関係に迫り、事件の根幹にある心の闇を追求した貴重な作品です。ショッキングな事件が題材だからといって、日本でこの作品を上映しないという選択は、我々日本人がこの事件を知り、そこから学ぶ機会を奪ってしまうということに繋がってしまいます。事件が起きたフランスとイギリス人監督2人が撮影し、世界中で上映された本作は、加害者が生まれ育った国の日本人こそまさに観るべき作品であり、その上で、佐川一政とカニバリズムについて考える責任があるのではないでしょうか。人間の持つ狂気を知ることで、再びこうした凶悪事件が起きないよう、教訓にしていきたいものです」
(株)サイゾー TOCANA編集長 角 由紀子

●「佐川一政の名前を出版業界で聞かなくなって長い時間がたちました。彼には異端の文筆家として一定の評価を得ていた時代がありました。一部でタレント的な扱われ方をしていたこともありました。が、2000年代半ば以降、表舞台から姿を消します。晩節を迎えた佐川氏はあの事件をどう振り返り、自身をどう総括しようとしているのか。かくいう私も、一時期彼と仕事をした身として純粋な興味を持ちました。心神喪失状態だったと判断された犯行時の自分と向き合おうとする強い意志を持ちながらも、社会的にも経済的にも、その過ちに苦しめられ続けているという現実とのジレンマに苛立ちを見せることもあった佐川氏。その後、味方であり続けた両親を失い、健康も損ない、困窮生活を強いられてきたと聞きます。そんな佐川氏が行き着いた「今」を届けることは、かつて彼にスポットを当てた出版業界の人間に課された、ひとつの役割だと考えています」
(株)サイゾー 代表取締役 揖斐 憲

■2019年夏、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国ロードショー!

日本の全映画会社が買付け拒否! 禁断のドキュメンタリー映画『カニバ/パリ人肉事件38年目の真実』TOCANAが配給決定! 佐川一政の“現在”が明かされる!!

※第74回ヴェネチア国際映画祭 オリゾンティ部門審査員特別賞受賞作品※
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(原題:Caniba、監督・撮影・編集・製作:ヴェレナ・パラヴェル、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー、出演:佐川一政、佐川(弟)ほか(C)Norte Productions, S.E.L、2017年/フランス・アメリカ合作/90分/DCP)

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 2019年、(株)サイゾーが運営する知的好奇心を刺激するサイト「TOCANA」編集部が洋画配給事業をスタートさせる。自社買付けで配給する第一回目の作品は1981年にフランス・パリで日本人留学生である、佐川一政がオランダ人女性を銃で射殺し、その遺体を食してしまった猟奇殺人事件「パリ人肉事件」。それから約30年後、2013年に脳梗塞で倒れ歩行が困難となり、実弟の介護を受けつつ年金暮らしをする佐川にフランスの撮影クルーが2015年6月より約1カ月間密着。奇妙な弟との関係性を浮き彫りにしながら、過去の事件を通して佐川の心の奥にある“カニバリズム”について追求した衝撃ドキュメンタリー。当時の事件を振り返りながら、淡々と証言する佐川。そしてラストに誰も知らない戦慄の事実が佐川本人から語られる――。邦題は「カニバ/パリ人肉事件38年目の真実」に決定した。

 本作は2017年のヴェネチア国際映画祭でオリゾンティ部門審査員特別賞を受賞、監督はハーバード大学で感覚民族誌学研究所のディレクターも務める映画作家、ヴェレナ・パラヴェルとルーシァン・キャステーヌ=テイラーの2人。

 この作品は日本の全洋画配給会社が“あまりにも衝撃的な内容”だということで、買付けと配給宣伝を断念したが、この度、出版社である(株)サイゾーのTOCANA編集部が自社で買付けし配給と宣伝を手掛けることとなった。劇場公開は2019年夏、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショー。

<サイゾーからコメント>
●「本作は、「パリ人肉事件」という猟奇的な殺人事件と佐川一政をセンセーショナルに描いて消費することを目的とした作品ではなく、佐川一政の性的カニバリズム欲求や育ってきた環境及び家族との関係に迫り、事件の根幹にある心の闇を追求した貴重な作品です。ショッキングな事件が題材だからといって、日本でこの作品を上映しないという選択は、我々日本人がこの事件を知り、そこから学ぶ機会を奪ってしまうということに繋がってしまいます。事件が起きたフランスとイギリス人監督2人が撮影し、世界中で上映された本作は、加害者が生まれ育った国の日本人こそまさに観るべき作品であり、その上で、佐川一政とカニバリズムについて考える責任があるのではないでしょうか。人間の持つ狂気を知ることで、再びこうした凶悪事件が起きないよう、教訓にしていきたいものです」
(株)サイゾー TOCANA編集長 角 由紀子

●「佐川一政の名前を出版業界で聞かなくなって長い時間がたちました。彼には異端の文筆家として一定の評価を得ていた時代がありました。一部でタレント的な扱われ方をしていたこともありました。が、2000年代半ば以降、表舞台から姿を消します。晩節を迎えた佐川氏はあの事件をどう振り返り、自身をどう総括しようとしているのか。かくいう私も、一時期彼と仕事をした身として純粋な興味を持ちました。心神喪失状態だったと判断された犯行時の自分と向き合おうとする強い意志を持ちながらも、社会的にも経済的にも、その過ちに苦しめられ続けているという現実とのジレンマに苛立ちを見せることもあった佐川氏。その後、味方であり続けた両親を失い、健康も損ない、困窮生活を強いられてきたと聞きます。そんな佐川氏が行き着いた「今」を届けることは、かつて彼にスポットを当てた出版業界の人間に課された、ひとつの役割だと考えています」
(株)サイゾー 代表取締役 揖斐 憲

■2019年夏、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国ロードショー!

X JAPANのYOSHIKIがハリウッドで音楽監督も、なぜかファンからは“落胆の声”続出

 X JAPANのYOSHIKIが、ハリウッド映画トリプルXシリーズの最新作『xXx 4』で、音楽監督を務めることが発表された。

 同作はヴィン・ディーゼル主演のアクション映画だが、ハリウッドで初めて映画とテレビシリーズが同時制作される超大作となっており、YOSHIKIは音楽監督としてテーマソングをはじめとする楽曲の総指揮を執る。また、中国の動画共有サイトiQiyi(アイチーイー)がプロデュース、フランスのLux Populi Productionが制作を手がける長編アニメーション映画『Spycies』の音楽総指揮を務めることも決定している。

「まさにワールドワイドな活躍ぶりですが、今回の発表でファンからは落胆の声も上がっています。というのも、『DAHLIA』(1996年)以来となるX JAPANのフルアルバムの発売がまた遠のくのではないか、とファンに危惧されているからです。たださえ、つい先日も自身のTwitterで3度目となる頸椎の手術を受ける可能性を示唆して、ニューアルバムの発売が危ぶまれているわけですからね。『なんかもう、意地でアルバムを出さないつもりでいそう』なんて声も、ファンからは上がっています」(音楽ライター)

 こうしたファンの声ももっともで、昨年9月に外国特派員協会での会見でYOSHIKI が明らかにしたように、アルバムのレコーディング自体は終了している。にもかかわらず、発売時期については明言せず、「今後、マネジメント、エージェントと決めていく」としているのだ。

「手術を受ければ確実にアルバムの発売は遅れるだろうし、加えてボーカルのToshlとの確執も取り沙汰されており、X JAPANの活動そのものが停滞しそうです。レコーディング自体は終わっているわけで、あとはリリースするだけでいいんですよ? そんな状況なのに新たな仕事を入れるわけですから、もはやニューアルバムを出す気がないと思われても仕方がありません。そもそもレコーディングが終わっていないのではないか、と勘繰りたくもなります。まさに“出す出す詐欺”ですね」(同)

 ネット上では、口さがないファンから「もう才能が枯渇しているのでは?」との声も聞かれるYOSHIKIだが、映画音楽などではなく、本職のX JAPANのニューアルバムで改めて健在ぶりを見せつけてほしいものだ。

大量殺人事件は近代と現代との境界線で起きた!! 真相を闇に葬る“村社会”への挑戦状『眠る村』

 平成時代の閉幕まで残り数カ月。だが、まだ真相が解明されていない昭和の大事件が残されている。1961(昭和36)年に三重県と奈良県の県境にある小さな集落で起きた「名張毒ぶどう酒事件」がそれだ。東海テレビ報道部のドキュメンタリーチームの歴代スタッフが総力を注いだドキュメンタリー映画『眠る村』は、闇に包まれたままの昭和の怪事件の謎に迫り、さらに罪なき男を死刑囚に仕立てた司法界の不可解さに斬り込んだ渾身作となっている。

 山村に言い伝えられる伝説や因習をモチーフにした『八つ墓村』や『悪魔の手毬歌』などのミステリー小説で知られる昭和の人気作家・横溝正史の世界に迷い込んだような恐怖を感じる。三重県名張市からさらに山奥へと入った小さな集落・葛尾で開かれた恒例の懇親会で事件は起きた。懇親会に参加した女性たち20人にぶどう酒が振る舞われ、ぶどう酒を口にした女性17人が倒れ、そのうち5人が亡くなった。何者かがぶどう酒に毒物を混入したのだ。

 懇親会に出席していた奥西勝さん(事件当時35歳)はこの事件で奥さんと愛人を同時に失うが、警察から三角関係の精算を目的で犯行に及んだと疑われ、自白を強要される。まだ幼い2人の子どもを家に残してきた奥西さんは、「家族が村落民によって迫害され、大変苦しんでいる。お前が犯人だと自白するより他にない」と迫られ、警察が用意した自白調書を認めてしまう。

 奥西さんが自白に応じたことで、集落の人たちの言動が変わる。それまでの証言を取り消し、奥西さんしか犯行に及ぶことができないようなアリバイ証言へと変わった。まるで口裏合わせをさせられたかのように。だが、裁判が始まると奥西さんは「自白を強要された」と無罪を主張。有力な証拠がないことから、一審は無罪を勝ち取るが、二審では一転して死刑判決。戦後の裁判で一審無罪、二審で逆転死刑という判決はこの事件以外はない。1972(昭和47)年に最高裁でも有罪を言い渡され、奥西さんの死刑が確定した。奥西さんが無罪なら、真犯人は誰なのか。日本の司法は大量殺人鬼を野放しにしているのかと非難されることは明白だった。奥西さんは小さな集落の平穏を、いや日本という村社会の秩序を守るために、人身御供に選ばれてしまったのだ。

 1959(昭和34)年に開局した東海テレビは、開局直後に地元エリアで起きたこの怪事件を追い続けてきた。名古屋から片道3時間を要する事件現場へと通い詰めた。死刑が確定した奥西さんには家族と弁護人、もしくは一部の支援者しか面会することが許されなかったが、東海テレビ報道部は現場の取材を続けた。そして、1987(昭和62)年放送のドキュメンタリー番組『証言~調査報道・名張毒ぶどう酒事件~』を皮切りに、検察・司法側の問題点を訴えてきた。

 唯一の物的証拠はぶどう酒の王冠に残っていた歯型だったが、検察が裁判所に提出した歯型の鑑定写真が奥西さんの歯型とは異なる可能性があることを指摘した。また、奥西さんが毒性の強い農薬ニッカリンTを所有していたことも容疑の一因となっていたが、残されたぶどう酒からはニッカリンTを混ぜた際に生成される成分は検出されていない。弁護団は繰り返し再審を請求してきたが、裁判所はかたくなに再審を拒んでいる。

 拘置所の独房で、奥西さんはいつ処刑されるか分からない恐怖と毎日闘い続け、2015(平成27)年10月に獄中死を遂げる。享年89歳。ほぼ半世紀にわたって自分の無罪を塀の内から訴え続けた生涯だった。

 本作の監修を務める門脇康郎初代ディレクターが手掛けた問題作『証言』の後、しばらく空白期間が続いた東海テレビだったが、アナウンサー出身の阿武野勝彦プロデューサーが2002(平成14)年から報道部長となり、ドキュメンタリーチームを率いることに。齊藤潤一第2代ディレクターの『重い扉~名張毒ぶどう酒事件の45年~』『黒と白~自白・名張毒ぶどう酒事件の闇~』『毒とひまわり~名張毒ぶどう酒事件の半世紀~』と奥西さんの冤罪性を訴えるドキュメンタリー番組を隔年ペースでオンエア。齊藤ディレクターが演出し、仲代達矢や樹木希林ら名優たちが出演したドキュメンタリードラマ『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(13)と、鎌田麗香第3代ディレクターの初ドキュメンタリー作品『ふたりの死刑囚』(16)は劇場公開され、地元エリア以外の人たちに強烈なインパクトを与えた。

 劇場公開され、異例のヒット作となった『死刑弁護人』(12)や『ヤクザと憲法』(15)、さらには『人生フルーツ』(16)など、テレビドキュメンタリーの概念を覆す異色作を次々と放つ阿武野プロデューサーに、ここでご登場願おう。

「これまで東海テレビでは、初代の門脇から齊藤、鎌田と3人のディレクターがバトンを繋ぐ形で、名張毒ぶどう酒事件を追ってきました。3人は無罪を勝ち取った奥西さんが拘置所から出たところをインタビューしたいと、その一念でずっと取材を続けてきたんです。そのインタビューする相手が亡くなってしまった喪失感は大きかった。取材を続けるモチベーションを失ってしまったわけです。でも、89歳になる奥西さんの妹・岡美代子さんが第10次となる再審申請を行ない、ここで我々は取材を止めていいのかということになったんです。また、奥西さんが亡くなったことで、それまで沈黙を守ってきた集落に変化が起きるのかどうかについても記録しておくべきではないのかと。もしかして真実を語る人が現われるのではないかというわずかな期待もあって、取材を続けることにしたんです」

 東海テレビの取材班は、奥西さんが亡くなって間もない事件現場の集落を訪ねる。この地域では口にすることがタブーとなっている毒ぶどう酒事件について、また奥西さんが無罪を訴えたまま獄中死したことについて、事件当時を知る集落民にマイクを向ける。取材班を自宅へと招き入れる事件被害者たち。この距離感の近さは、3代にわたるディレクターたちの長年の取材の賜物だろう。事件後に生まれた世代が、事件に巻き込まれた母親に「ちょっとでも奥西さんは犯人じゃないと思ったことはない?」と尋ねる。高齢となった母親は、息子に何を語るのか。緊張の瞬間をカメラは映し出す。本作の大きな見せ場である。

 また本作は、これまでの東海テレビでは触れなかったエピソードも盛り込んでいる。それは集落に伝わる2つの昔ばなしだ。ひとつはこの地は昔から水害が多く、鎌倉時代に一人の僧侶が人柱となったという言い伝え。渓流に近い岩に刻まれた観音像は、僧侶の魂を供養し、その古い記憶を後世に伝えるためのものらしい。もうひとつは伊賀名張地方の伝承で、「川で洗濯をしていた女房がタライを転がし、亭主に取りに行かせている間、別の男と情事を持つ」という艶笑譚。山奥にあり、娯楽の少なかった集落では、男女関係がとても大らかだったという。奥西さんは妻の他に愛人もいたことから警察に疑われたわけだが、そのことは集落民はみんな知っており、わざわざ隠す必要はなかった。集落における複雑な人間関係は事件の真相を知る上で重要な手掛かりだが、ゴシップ記事を得意とする週刊誌と違い、テレビ局報道部が製作する番組ではこの手のことは扱いにくい。今回は伝承を紹介することで、事件を解く鍵を提示してみせている。

「集落の人間関係については、いろいろ分かっています。『約束』では事件前、奥西さん宅に隣人の奥さんが姑にご飯のお櫃を頭から被せられて逃げ込んできたことには触れていますが、集落における男女関係についてはテレビでは扱うことは難しかった。あるとき、名張毒ぶどう酒事件の弁護団とは異なる弁護士から興味深い話を聞いたんです。『事件は境界線で起きる』と。都会と田舎、富と貧困……そんな異なる世界の境界線上で摩擦が生じ、軋轢が起きるということです。その話を聞いて思ったのが、名張毒ぶどう酒事件は近代と現代という異なる時代の境界線上で起きたのではないかということでした。昭和30年代の山奥の集落にはまだ近代の名残りがあったのではないか。そこに街での生活体験のある奥西さん夫婦が現われ、何らかの摩擦が生じたのではないか。この事件には時代の変遷が大事なのかもしれない。そこで、古くから伝わる伝承を探してみようということになり、2つの逸話が盛り込まれたんです。その逸話をどう解釈するかは、この作品をご覧になったみなさんに委ねようということです」

 東海テレビのカメラは、古い伝承が残る集落の中で、名張毒ぶどう酒事件も過去に起きた悲しい伝説のひとつへと次第に変容しつつあることを伝える。また、5人もの犠牲者を出したこの事件で、奥西さんを6番目の犠牲者にしてしまった司法システムの頑迷さを糾弾する。集落民の証言が怪しく一転し、はっきりした証拠がないにも拘らず、無実の男に死刑判決を下し、再審をことごとく棄却する裁判所の歴代裁判長の顔と名前を一人ずつカメラは映し出していく。彼らこそが、奥西さんを人柱に選んだ“眠る村”の首謀者たちではないのか。

 真実よりも秩序が重んじられる司法界の在り方にスポットライトを当てた一連の「司法シリーズ」をはじめ、様々な問題作を放ってきた阿武野プロデューサーだが、平成最後の年となる2019年1月いっぱいで定年を迎えることが決まっている。異色作を次々と生み出してきた阿武野プロデューサーに、かねてより尋ねてみたいことがあった。阿武野プロデューサーの作品には、視聴率を重んじるテレビマンの思考性とも司法の論理とも異なる独自の筋金が貫いているように感じられる。静岡県伊東市のお寺で生まれ育ったという生い立ちも関係しているのだろうか。

「番組をつくる上で、そのことを意識したことは特にはありません。ですが、毎週日曜になると喪服を着た人たちが寺に集まり、法事が営まれていました。悲しい顔をした人たちが集まる場で育ったことは、自分の人格形成にどこか影響しているかもしれません。40歳過ぎまでは、お盆の忙しい時期には実家に戻り、袈裟を着て檀家回りをしていました。仏飯を食んだ身として、社会に恩返しすること、人の家に分け入り、その暮らしを見るということを知らず知らずのうちに教わったような気がします。節目の定年を迎えましたが、1年更新で今の仕事は続けることになっています。本作の齊藤潤一監督がすでに立派なプロデューサーになってくれたので、もう少し距離をとりながら若手の成長を見守りたいと思います」

 賞狙いで番組をつくることも、収益目的で作品を劇場公開することも考えたことはないという阿武野プロデューサー。そんな彼をはじめとする東海テレビ歴代スタッフの祈りは、“眠る村”で暮らす人たちを目覚めさせることができるのだろうか。
(文=長野辰次)

大量殺人事件は近代と現代との境界線で起きた!! 真相を闇に葬る村社会への挑戦状『眠る村』の画像4

『眠る村』
ナレーション/仲代達矢 プロデューサー/阿武野勝彦
音楽/本多俊之 音楽プロデューサー/岡田こずえ
監修/門脇康郎 監督/齊藤潤一、鎌田麗香
製作・配給/東海テレビ 配給協力/東風 2月2日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
(C)東海テレビ放送
http://www.nemuru-mura.com/

大量殺人事件は近代と現代との境界線で起きた!! 真相を闇に葬る村社会への挑戦状『眠る村』の画像5『パンドラ映画館』電子書籍発売中!
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山下智久、映画版『コード・ブルー』大ヒットでも、新ドラマは超不安?

 ヒットするかどうかは五分五分?

 山下智久が4月からスタートする新ドラマ『インハンド』(TBS系)で主演を務めることが発表された。

 同ドラマは朱戸アオ氏の人気漫画が原作。山下が演じるのは寄生虫が専門の科学者で、右手にロボットハンドのような黒い義手を装着している。そんな彼が次々と起こる難事件に首を突っ込み、科学的なアプローチで鮮やかに解決していくという。

 山下が主演した劇場版『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』は興行収入92億円超を記録しただけに、今作も高視聴率が期待されている。しかし、テレビ誌ライターはこんな懸念を明かす。

「山下といえば、“棒演技”俳優として有名です。しかし、『コード・ブルー』はほとんど感情を表に出さないキャラであったため、それが奇跡的にドハマリしていました。逆に、感情を表に出すシーンのあった主演ドラマ『アルジャーノンに花束を』(TBS系)は、平均視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と爆死。演技力不足で感情移入ができないといった批判の声が上がったものでした」

『インハンド』で山下が扮する天才科学者は、無愛想なキャラのため、“山下向き”とも言えそうだが……。

「この天才科学者は、買い取った植物園の巨大温室を研究所兼自宅とし、さまざまな動物たちと気ままに暮らしています。無愛想なだけでなく、ドSで変態という要素もある。山下自身、『変わり者を演じるのはめちゃくちゃ難しい。やり過ぎると引かれてしまうし、バランスが大事だなと思います』と語っているように、“演技力”が重要になってきますから、不安しかありません」(同)

 山下が無愛想だけではない、味のある演技ができるのか注目だ。

往年のカルトホラー映画が続編vsリメイク対決!! 衝撃の展開『ミスター・ガラス』『サスペリア』

 SNSの世界が多様な価値観で成り立っているように、集団創作によって生まれる映画も様々な価値観を内包しており、それゆえに観る人によって異なる解釈が可能となっている。イタリアンホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督の代表作『サスペリア』(77)、毎回のように“ドンデン返し”が話題を呼ぶM・ナイト・シャマラン監督のヒット作『アンブレイカブル』(00)がそれぞれ新解釈によって生まれ変わった。どちらも深遠なテーマをはらんだ、進化したドラマとして楽しませてくれる。

“決して、ひとりでは観ないでください”というキャッチコピーによって日本でも大ヒットしたカルトホラー『サスペリア』。性的マイノリティーたちの純愛もの『君の名前で僕を呼んで』(17)で知られるルカ・グァダニーノ監督も13歳のときにテレビ放映された『サスペリア』にハマった一人だった。西ドイツの名門バレエ団の寄宿学校を舞台に、バレリーナを目指す少女たちの思春期ホラーといった趣きのあったオリジナル版から、学校の創立者は魔女だったという伝説部分にルカ監督は着目し、独自にストーリーを膨らませたものにしている。

 名門バレエ学校からコンテンポラリーダンスカンパニーへと設定をアレンジされたリメイク版で強烈なインパクトを与えるのは、ダンスカンパニーならではの舞踊シーン。ダンサー特有の常人離れした身体性を、ルカ監督は呪術思想と結び付けた。秘密の多い寄宿舎から逃げ出そうとした女の子は、カンパニーでの活躍を夢見る主人公スージーの願いが込められたダイナミックな踊りが呪いへと反転することで、直視しがたいほどに人体破壊されることになる。舞踊とは人間ならざるものに捧げる神事であり、また舞台とはあの世とこの世とを仲介する空間でもあるという、いにしえから続く芸能の在り方をまざまざと思い出させてくれるシーンとなっている。

 ダンサーならではの選ばれし特権的肉体性に加え、ミカ監督はオリジナル版が公開された1977年という時代性にも注目した。終戦から4年後に東ドイツと分裂した西ドイツは、1970年代に入るとドイツ赤軍による政治テロによって街は騒然としていた。ダンスカンパニーの背後でうごめく不可解な事件、さらに頻繁に起きるテロ騒ぎによって、もうひとりの主人公である心理療法士ヨーゼフの脳裏に、第2次世界大戦中に妻と生き別れた暗い記憶が甦る。あの大戦のさなか、多くの人たちが愛する恋人や家族と再会することを願いながらも、その願いは叶えられなかった。叶えられなかった強い願いは、やがて深い呪いへと姿を変えていく。祈りと呪いは背中合わせの関係であることを思い知らされる。東日本大震災が起きた2011年に放映されたダークファンタジーアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(毎日放送、TBS系)を連想する人もいるかもしれない。

 SMの世界に身を投じるヒロインを演じた『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(15)でブレイクしたダコタ・ジョンソンが、リードダンサーを目指す主人公スージー役。『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(13)や『ドクター・ストレンジ』(16)などで人間を超越した存在を演じてきたティルダ・スウィントンが、カリスマ振付師のマダム・ブランほか複数の役を演じ分けている。尖った作品が大好きなクロエ・グレース・モレッツも意外な場面に登場。また往年のファンには、オリジナル版のスージーを演じたジェシカ・パーカーが重要な役を演じているのも見逃せないところだ。

 現在公開中の『ミスター・ガラス』(原題『GLASS』)は、ナイト・シャマラン監督の『アンブレイカブル』の続編であり、近年のヒット作『スプリット』(16)の登場キャラクターたちも巻き込んだ“シャマラン・ユニバース”とでも呼ぶべき世界となっている。『アンブレイカブル』で自分には超人的パワーが備わっていることに気づいたデヴィッド(ブルース・ウィリス)は、成人した息子ジョセフ(スペンサー・トリート・クラーク)とホームセキュリティーの店を営む傍ら、フィラデルフィアにはびこる犯罪者たちを懲らしめる自警団活動を極秘に行なっていた。そんなある日、デヴィッドは多重人格者であるケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)と路上で遭遇。ケヴィンが街で多発する少女誘拐事件と関係していると直感したデヴィッドは、ケヴィンの中に眠る23人の人格の中で最凶人格のビーストと対峙することになる。

 互角のバトルを演じたデヴィッドとビーストだが、駆け付けた多数の警官たちに捕獲され、施設へと収容されるはめに。そして、その施設には『アンブレイカブル』でデヴィッドの超人性を実証するために恐ろしい事件を企てた知能犯イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)も幽閉されていた。精神科医ステイプル(サラ・ポールソン)は、この3人は自分のことを超人と思い込んでいる誇大妄想狂だと診断し、治療によって常人に戻そうとする。一堂に会したデヴィット、イライジャ、ケヴィンは、精神科医の常識を遥かに上回るとんでもない行動を起こす。

 邦題が「ミスター・ガラス」となっているように、今回はガラスのように壊れやすい肉体の持ち主であるイライジャが物語の核となっていく。デヴィッドやビーストのような超人的なパワーは持っていないイラジャは、どうして自分のような脆弱な存在がこの世に生まれてきたのかを幼い頃からずっと考え続けてきた。自分のような最弱の存在がいるのならば、真逆な最強の存在もいるに違いないと、不死身の体を持つデヴィッドを見つけ出した。超人に目覚めたデヴィッドの存在が、ケヴィンの中に眠る最凶人格ビーストも引き寄せることになる。3人の出逢いは偶然の産物ではなく、必然の出来事だった。

 デヴィッドが不死身の体を持っていることも、ケヴィンが24人もの人格を持つ多重人格者であることも、精神科医ステイプルによれば単なる本人の思い込みらしい。目の前で繰り広げられる超常現象を、ステイプルは薬物の過剰摂取、もしくは異常なまでの躁状態が招いたものと強引に解釈しようとする。結局、現代科学の範疇でしか物事を判断できない女医ステイプルは、イライジャたちの存在を完全には理解することができない。

 超常現象は信じる人の目にだけ映る。信じればそれは存在する。ナイト・シャマランの世界は、どこか宗教的な匂いが漂う。そして“ミスター・ガラス”ことイライジャは、フィクションとリアル、宗教と非宗教との世界を隔てる透明なガラスの壁を突き崩そうとする。ガラスの壁が取り壊された世界は、いったいどんな光景が広がっているのだろうか。

 オカルト映画のオカルトとは、occuilere(隠されたもの)というラテン語が語源となっている。リメイク版『サスペリア』とヒット作の続編『ミスター・ガラス』は、隠されたものを白日のもとに晒そうとする。我々はかつてない、新しい恐怖を体験することになる。
(文=長野辰次)

『ミスター・ガラス』
監督・脚本/M・ナイト・シャマラン
出演/ジェームズ・マカヴォイ、ブルース・ウィリス、アニャ・テイラー=ジョイ、サラ・ポールソン、サミュエル・L・ジャクソン
配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン 1月18日より全国ロードショー中
(c)2018 UNIVERSAL STUDIOS
https://www.disney.co.jp/movie/mr-glass.

『サスペリア』
監督/ルカ・グァダニーノ 音楽/トム・ヨーク
出演/ダコタ・ジョンソン、ティルダ・スウィントン、ミア・ゴス、クロエ・グレース・モレッツ、ルッツ・エバースドルフ、ジェシカ・ハーパー、エレナ・ファキナ 
配給/ギャガ R15+ 1月25日(金)より全国ロードショー
C)2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC All Rights Reserved
https://gaga.ne.jp/suspiria

 

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木村拓哉、出演バラエティ番組で高視聴率連発! 『マスカレード・ホテル』好発進も、態度のデカさで好感度ダウン!

 一時は、その人気に陰りが見えていた木村拓哉だが、まだまだ健在であることを証明したようだ。

 木村は18日公開の主演映画『マスカレード・ホテル』のPRのため、ここ最近バラエティ番組に立て続けに出演した。その主な視聴率は、14日の『帰れマンデー見っけ隊!!3時間SP』(テレビ朝日系)の「帰れま10×木村拓哉・長澤まさみが本気の参戦!」企画、16日の『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、17日の『ニンゲン観察モニタリング★木村拓哉が女装してスタジオ収録に潜入SP!!』(TBS系)が、いずれも2ケタ(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)をマーク。

 そして、初登場となった、20日放送の『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)では、「0円食堂」企画にチャレンジしたが、同番組は18.6%の高視聴率を獲得し、その後枠の人気番組『世界の果てまでイッテQ!』の18.5%をも上回った。

 ジャニーズの後輩TOKIOの番組である『DASH!!』は、山口達也の不祥事による脱退で、4人体制となり、昨年5月12日に再スタートを切った。当初、世の関心が高かったこともあり、高い視聴率を獲得したが、それも最初の1カ月くらいしかもたなかった。その後、番組がつまらなくなったこともあり、視聴率はグングン下落。同12月には12%台にまで落ち込んだ回もあった。

 それだけに、木村の出演で、どこまで数字を上げられるか注目されたが、18%超えは再始動初回の20.8%以来、8カ月ぶりの快挙。“キムタク効果”を大いに発揮したともいえるが、本当にそうなのか?

「昨年8月19日に、嵐・二宮和也が助っ人出演した回は15.5%でしたから、木村が出演した効果は大いにあったのでしょう。ただ『0円食堂』企画でなかったら、ここまで数字は上がらなかったはずです。『0円食堂』は人気企画なのですが、山口の事件以降、封印されていました。一般の農家や食品加工場などをアポなしで回って、“物乞い”をする企画ですから、イメージダウンを考慮して、自粛していました。その人気企画が久しぶりに放送されるとあって、視聴率を押し上げた要因となったのも事実ですね」(テレビ誌関係者)

 木村の必死の番宣が実ってか、『マスカレード・ホテル』は週末の土日2日間で、動員48万4,000人(興行通信社調べ、以下同)、興行収入6億3,300万円(同)の好成績を収め、「週末観客動員ランキング」で堂々のトップ。

 前回の木村の主演映画『検察側の罪人』(18年8月公開)は、二宮との初共演が話題になり、初週の土日2日間で、動員31万8,000人、興収4億1,600万円を記録し、同作も1位スタートだったが、今作はそれを大きく上回る好発進。

 木村主演の前々作『無限の住人』(17年4月公開)は、初週の週末2日間で、14万5,000人しか動員できず、興収は1億8,900万円止まりで6位スタートだった。最終的な興収は9億6,500万円で、10億円にも届かず大爆死に終わっただけに、『マスカレード・ホテル』は、『HERO』劇場版第2弾(15年7月公開)以来の好スタートとなり、木村人気の健在ぶりをアピールする格好となった。むろん、初共演でヒロインを務めた長澤の貢献度も高いといっていいだろう。

 ところが、明るい材料ばかりではない。『DASH!!』出演時の態度の悪さに、バッシングも噴出しているのだ。

 この放送で、木村は長瀬智也、国分太一と共に千葉県香取市を訪れ、養鶏場や農家、豚肉加工場などを回り、廃棄する食材を探しに出た。だが、その際、一般人にお願いをしに行っているにもかかわらず、手をポケットに入れたままだったり、腕を組んだままだったりで、その態度が「食材をもらいに行ってるのに、何様のつもり?」といった反感を買うなど大不評なのだ。

 出演したバラエティ番組は高視聴率をマークし、『マスカレード・ホテル』は好発進し、せっかく存在感を示したにもかかわらず、“好感度”を下げるという残念な結果になってしまった木村。このバッシングが、今後、映画の観客動員減につながらなければいいのだが……。

(文=田中七男)

博多っ子のソウルフードを生み出した夫婦の実話! 特許申請はしないこだわり『めんたいぴりり』

 福岡の名産品として人気の「からしめんたいこ」だが、歴史はそう古くはない。「ふくや」の創業者・川原俊夫がめんたいこを売り出したのが昭和24年(1949)。日韓併合時代の釜山で生まれ育った俊夫が、子どもの頃に食べていたタラコのキムチ漬けを独自にアレンジしたものだった。最初はなかなか売れなかったが、北海道産のスケトウダラの新鮮な卵を使うことで食感がグレードアップ。昭和50年(1975)の山陽新幹線の開通によって、全国区へと人気が広まった。B級グルメなれど、熱々の白いご飯の上に乗せたピンク色のめんたいこには、どこか汎アジア的なスケールの大きな風味が漂う。福岡のローカルタレントから全国区の人気タレントとなった博多華丸の初主演映画『めんたいぴりり』は、多くの人に愛されるB級グルメを生み出した“のぼせもん”の男と、その家族を描いた実話ベースの物語だ。

 映画『めんたいぴりり』は2013年に福岡のローカル局・テレビ西日本でオンエアされた連続ドラマ『めんたいぴりり』のその後を描いたものとなっている。DVD化されているので、ぜひ『めんたいぴりり』第1部・釜山編を観てほしい。本作の主人公となる海野俊之(博多華丸)とその妻・千代子(富田靖子)の青春時代から戦争体験を描いたもので、ローカルドラマと思えないほどクオリティーが高い。釜山で生まれ育った俊之と千代子は国籍は日本だが、日本本土には足を踏み入れたことがなかった。海の向こうの福岡には「博多山笠」と呼ばれる伝統の祭りがあることを知り、まだ見ぬ祖国に憧れを抱きながら2人は大人へと成長した。

 結婚した俊之と千代子は満州国で暮らし始めるが、俊之は兵役召集され激戦地となった沖縄戦線へと送られる。満州に残された千代子は、参戦したソ連軍から逃げるように子どもの手を引き、1年がかりで引き揚げ船に乗船。俊之とは終戦後の福岡でようやく再会を果たす。焼け野原状態だった福岡の中洲で、一家は小さな食料品店を営み始める。

 テレビドラマ版『めんたいぴりり』釜山編は波瀾万丈だったが、映画『めんたいぴりり』は俊之たち一家と従業員たちが織り成すほのぼの系ホームドラマとなっている。俊之が試行錯誤しながら開発したからしめんたいは徐々に知られ始め、俊之の味を真似たライバル業者が現われる。特許申請や商標登録すればいいのに、俊之はまったく無頓着だ。「めんたいこは、たかがお総菜ばい」と、同業者の石毛(柄本時生)に製造方法を教えてしまう。周囲の人々は俊之のお人よしぶりを嘆くが、俊之の特許申請はせず、訪ねてきた人には無料で作り方を教えるというオープンソースな姿勢が、後に大きな花を咲かせることになる。次々とめんたいこを売り出す業者が続き、からしめんたいは福岡を代表する名産品へと育つことになる。釜山生まれの俊之は、生粋の博多っ子よりも気っ風のいい博多っ子だった。

 沖縄戦からの帰還兵だった俊之は、戦後の自分の命は拾い物だと考えていた。お金儲けすることよりも、大陸から引き揚げてきた妻と子どもたちも受け入れてくれた福岡という街に役立つことができれば、それが喜びだった。従業員たちを食べさせることでカツカツなのに、台風で家を失った元博多人形師の丸尾(でんでん)たちを家に泊め、朝から酒を呑んでドンチャン騒ぎする。なじみのホステスのキャサリン(中澤裕子)のいるキャバレーでも気前よく散財する。家計をやり繰りする千代子はいつも頭を抱えていた。

「俺のめんたいこを食べた人には、みんな幸せになってほしか」と俊之が願いを込めて作っためんたいこは、キャバレーの客や西鉄ライオンズの選手たちにも知られ、やがて店は大繁盛することに。だが当然ながら、めんたいこを食べた人みんなが幸せな人生を歩めるわけではない。長男・健一(山時聡真)の小学校の同級生・英子(豊嶋花)は両親がおらず、アルコール依存症の叔父に引き取られてビンボー暮らしを強いられている。遠足に参加するための新しい靴もリュックもない。「幸せになる魔法のめんたいこを食べたのに、どうして私は幸せになれないの」と英子は泣く。俊之は自分ひとりの力では、不幸を生み出す社会をどうにもすることができないことを痛感する。

 現実の「ふくや」もかなりユニークな会社だ。「ふくや」の社員はPTAや町内会の役員に選ばれると特別手当てが支給され、授業参観や運動会などの地元のイベントに積極的に参加することが奨励されている。企業として利潤を生み出すだけでなく、従業員たちが暮らしている町そのものを明るく活性化させることを社風としている。創業者の精神を今も受け継いで、からしめんたいこの製造・販売に励んでいる。トヨタ自動車のような大企業ではないものの、博多っ子気質を感じさせる「ふくや」は福岡の人たちから愛されるブランドとなっている。

 劇中の千代子は夫のことを「この、のぼせもんが!」と、たびたび罵倒する。“のぼせもん”とは、目の前のことに熱中しすぎてしまう直情型人間のことを揶揄した福岡のローカルスラング。福岡には前後の見境なく、突っ走ってしまう“のぼせもん”気質の人間が多く、家族や周囲の人間はその尻ぬぐいで苦労するはめになる。ちなみに「ふくや」の包装紙に印刷されている音符のフォルテのような形をした「F」の文字は、創業者・川原俊夫の妻・千鶴子と初代番頭・焼山徳重が50年前に考案したデザインをベースにしたものだ。よき理解者たちに支えられ、俊之はその生涯を“のぼせもん”として過ごすことができた。「みんなを幸せにしたい」と願っていた男は、実はいちばんの幸せものだった。
(文=長野辰次)

映画『めんたいぴりり』
原作/川原健 脚本/東憲司 監督/江口カン
出演/博多華丸、富田靖子、斉藤優(パラシュート部隊)、瀬口寛之、福場俊策、井上佳子、山時聡真、増永成遥、豊嶋花、酒匂美代子、ゴリけん、博多大吉、中澤裕子、髙田延彦、吉本実憂、柄本時生、田中健、でんでん
配給/よしもとクリエイティブ・エージェンシー 1月18日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
C)2019めんたいぴりり製作委員会
http://piriri_movie.official-movie.com/

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