永野芽郁、主演映画『君は月夜に光り輝く』大コケ! 「“不治の病系”量産しすぎ」と世間は擁護!?

 3月15日に全国公開された映画『君は月夜に光り輝く』が大コケしていると、もっぱらのうわさだ。本作は電撃小説大賞を受賞した佐野徹夜のデビュー小説を、映画『君の膵臓をたべたい』の月川翔監督が映画化。主演は永野芽郁と北村匠海で、永野は月の光を浴びると体が淡く光る「発光病」という不治の病にかかった「余命0日」の少女を演じており、北村が少女のできなかったことを叶えようとする少年を熱演。永野はNHK朝ドラ『半分、青い。』で主演を務め、北村も『君の膵臓をたべたい』で主演を務めるなど、人気急上昇中の2人が主演ということで、業界内ではヒット確実の声が寄せられていた。

 しかし、ふたを開けてみれば興行成績は3月16日・17日の国内映画ランキング(興行通信社提供)で初登場5位、23日・24日では6位と今ひとつ。2017年に公開され大ヒットを記録し、最終興収35.2億円だった『君の膵臓をたべたい』の初日の土日2日間の動員数に比べ、なんと興収比56.7%の成績を叩き出しているのだ。

「関係者の間では、最終興収が10億円もいかないのではないかという危惧の声が出始めていますよ。永野さんといえば多数CMに出演していますし、直近の出演ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)も視聴率がよかったことから、数字の取れる女優だといわれていたんですがね……。これだけ集客力がないとは正直、驚きです」(映画会社関係者)

 しかし、ネットでは主演2人の集客力の問題ではないとする声が続出している。

「誰が悪いか? それはこんなつまんなそうな映画作ったやつだ」「見てないけど内容だいたい想像できる」「不治の病系、寿命がない系の映画が多すぎるのも原因だと思うな」「だって膵臓と似すぎて。キャストまでもだし(笑)続編かなんかですか?」「邦画の恋愛物はどちらかが余命何日じゃないと制作できない規則でもあるのか?」といった、“不治の病系映画アレルギー”の意見が多数見受けられるのだ。

「確かに、2月に公開された中条あやみさんと登坂広臣さん主演の映画『雪の華』も余命1カ月のヒロインが主人公でした。あまりにもこの手の映画が増えて、食傷気味なんでしょうね。作り手側が“客を舐めている”と思われても仕方がないかもしれません」(同)

 永野たちも、違う内容の映画に主演していたらヒットを勝ち取ることができたかも?  

“歩く伝説”山本政志監督が『ロビンソンの庭』と未完の大作『熊楠 KUMAGUSU』について語る

 1980年代に盛り上がったインディーズムーブメントにおいて、その中心にいた人物が山本政志監督だ。ロックバンド「じゃがたら」の初期プロデューサーを務め、16ミリフィルムで撮影した自主映画『闇のカーニバル』(82)はベルリン映画祭やカンヌ映画祭に出品された。音楽と映画が混然化した熱気を放ち、新しい時代の到来を感じさせた。続く35ミリフィルム作品『ロビンソンの庭』(87)は単館系での上映ながらロングランヒットを記録し、ミニシアターブームの先鞭となった。

 現在はワークショップスタイルの映画塾「シネマ☆インパクト」を主宰するなど、プロデューサーとしての活躍が目立つ山本監督。クラウドファンディングによるHDリマスター化を進めている初期代表作『ロビンソンの庭』にまつわる伝説の数々、また撮影が中断したまま18年の歳月が流れた町田康主演作『熊楠 KUMAGUSU』の内情を語った。

──バブル期の東京都内に残っていた廃墟の数々で撮影した『ロビンソンの庭』には、多くの伝説が残されています。出資者を求め、長者番付(高額納税者ランキング)の上から順に当たったそうですね。

山本政志監督(以下、山本) やったやった(笑)。その頃は長者番付が毎年発表されていて、上から順に電話した。もろろん、うまくはいかないよ。それでもめげずに、長者番付には載ってないけど、日本船舶振興会(現日本財団)の笹川良一会長ならお金をたくさんもっているはずだと思って電話したんだよ。「俺、頭いいな!」と思って。やっぱりダメだったんだけど、あの頃はなんでもやってみたね(笑)。それで経済紙の記者から「佐々木ベジって人に、会ってみたら」と勧められた。当時のベジさんは、“秋葉原のバッタ王”と呼ばれていた人だったんだよ。

──本名が佐々木ベジとはすごい。ネット検索してみると、今も「企業再生引受人」として活躍中のようですね。

山本 本当に面白い人だよ。初対面で、「テレビショッピングを撮れるか」と訊くから、「当たり前だろ」と答えたら、その場で広告代理店に電話して、地方局での放送を決めたんだよ。しかも、「明日までに納品しろ」と(笑)。こちらも「やれる」と答えたから断ることもできず、知り合いに電話をしまくって撮影できるスタジオを速攻で抑えたよ。4本くらい撮影して、翌朝まで掛けて編集したら、その編集スタジオに黒塗り車が現われたんだよ。どこの暴力団関係者かと思ったら、ベジさんだった(笑)。それでベジさんに融資してもらい、制作会社レイラインを立ち上げた。2年間弱で6000万円くらい出資してもらった。でも、俺は「じゃがたら」復活ライブとかアルバム制作だとか、好き勝手なことばっかやってた。そのつけは、全て親会社のベジさんのとこに回してね。そんなとき、うちのおふくろが遺産相続で4000万円受け取ったんで、「社会貢献に使うべきだ」と俺がぶんどったの。ベジさんから「その4000万円を預けたら、3倍にしてあげるよ」と甘い言葉を囁かれたけど、さすがにそれは断った(笑)。

混沌さを極めた廃墟での撮影

──映画制作費は守ったわけですね。いよいよ都内に残っていた廃墟の数々で『ロビンソンの庭』を撮影することに。

山本 目黒、立川、井荻、初台……。都内の6か所くらいの廃墟で撮影したかな。今はどこの廃墟も消えてしまったね。井荻の廃墟は確か、区民公園にするかゴミ処理場にするかで地元住民の間でトラブっていて、国会議員のところまで撮影の許可をもらいに行ったんだよ。「8ミリフィルムを使って、5~6人で撮っている小さな小さな映画です」とか言ってさ。本当はスタッフ50人くらいで、クレーン3台入れてガンガン撮ったんだけど。廃墟一面をペインティングして、やりたい放題やったね(笑)。

──ジム・ジャームッシュ監督作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(84)の撮影監督トム・ディチロが参加したことも話題でしたが、トムは撮影途中で帰国することに。ケンカ別れだったんですか?

山本 いや、そうじゃないよ。もともとトムとは40日間という約束で契約を結んでいたんだけど、最終的に撮影は2か月半に及んだ。途中から俺、スケジュールは気にせずにやりたいようにやろうと決めたわけ。プロデューサーの浅井隆(現『アップリンク』代表)にしてみれば「何、それ?」だよな(笑)。今はさすがにそんなことはしないけど、あのときは本当に自分が撮りたいものを撮ろうとこだわったんだよ。『ロビンソンの庭』が欧州の映画祭で上映された後、NYに寄って、ジム・ジャームッシュやトムや照明のジム・ハイマンたちと一緒に試写したんだけど、トムたちはガールフレンドに「俺が撮ったこのシーンの光がいいだろう」とか自慢してた。和気あいあいな雰囲気でさ。撮影現場の地獄のような日々はなんだったんだろうと思ったよ(笑)。プロデューサーの浅井は海外勢との仕事や海外映画祭での上映で、今の仕事につながるものがあったと思うし、演出補の諏訪敦彦は、8ミリ作品から続いて3本目の参加で、いつもながらの地獄を案外楽しんでたみたいだし、助監督だった平山秀幸さんは商業映画の監督として活躍することになるけど、『ロビンソンの庭』の打ち上げでは、「この現場に参加できてよかった」と酔っぱらいながら泣いてたし、美術を担当した林田裕至はこの作品が美術監督としてのデビュー作だし、俺もスタッフワークで作る映画の面白さが分かった。みんなのこだわりが結実した作品だよ。

──主人公のクミ(太田久美子)は廃墟で暮らすことで心の癒しを感じるものの、やがて自然界の大いなる力に呑み込まれてしまう。目に見えない大きな力に引き寄せられていく、大自然の前では人間なんてちっぽけな存在だというテーマは、その後の『熊楠 KUMAGUSU』や『水の声を聞く』(14)などに通じるものですね。

山本 それはあるね。ロジックじゃないんですよ。俺はヨーロッパ的なエコロジーの考え方には賛成できない。自然は人間が保護してあげなくちゃいけないって言うけど、人間も自然の一部なんだよ。その立ち位置の違いは、かなり大きい。『ロビンソンの庭』は主人公が自然に取り込まれていくみたいな展開になるけど、俺としては大きな意味での再生を描いたつもりなんだ。ロジックで映画を撮ろうとするとつまらなくなる。よくは分からないけど、なんか面白いなと感じてもらえるような映画にしたかったんだ。

──『闇のカーニバル』に続いて、太田久美子さんが主演。スクリーンで独特な佇まいを感じさせた太田さんのその後は……。

山本 何十年も会ってない。最後に電話で話したときは、チャネリング占いをやってるって話だった。宇宙から声が聞こえてきたらしいんだけど、その声が英語だったんで英会話スクールに通っていると話してた。面白いよなぁ。本当、俺の周囲はぶっ飛んだ奴らばっかしだったよ(笑)。

──「シネマ☆インパクト」で若い世代と接することも多いと思いますが、山本監督から見ると今の世代はどう映っていますか?

山本 女の子は今も面白い子が多いけど、男の子はみんなマジメで大人しいな。もっと個性を出せばいいのにと思うよ。コンプライアンスだとか、リスクマネジメントとか気にせずにさ。いや、でも変な奴らは今もいるところにはいるんだろうな。だいたい当時から俺らは少数派だったわけだし、俺らみたいな人間ばっかりだったら、世の中は回らなくなるよ(笑)。

──「シネマ☆インパクト」の一環として製作された大根仁監督の『恋の渦』(13)はスマッシュヒットし、話題になりました。大根監督が語っていた「製作費10万円」というのは本当?

山本 大根監督のリップサービスだよ。実際はもっと使っている。現場で30~50万円。あっ、充分に安いか(笑)。編集費も含めて製作費100万円ってところだね。でも、今にして思えば、『恋の渦』はワークショップスタイルでヒットした映画の走りだな。「ENBUゼミナール」の市橋浩治プロデューサーが製作した『カメラは止めるな!』(18)は興収30億円のヒットだっけ? 面白いと思うよ。そういう予想もしていなかったことが現実でも起きるから、この世の中は面白いんだよ。この間、夢を見てさ。市橋プロデューサーがバリ島風の豪華御殿で暮らしていて、ライオンの頭をなでなでしてたんだよ。夢だよ。それでこの間、彼に会いに行ったときに「ライオンはどこだ?」と尋ねたら、すごく怪訝そうな顔をしてたよ(笑)。

『熊楠』はまだ生きている

──1991年に町田康主演で撮影を進めていたものの、撮影が中断してしまった『熊楠 KUMAGUSU』のことが気になります。映画の完成をまだ諦めてないそうですね。

山本 『ロビンソンの庭』を撮ったことで、より大きな自然について考えるようになり、日本で初めてエコロジー的思想を提唱した南方熊楠の生涯に興味を持つようになったんだよ。熊楠が暮らした熊野でのロケを含めて撮影は60%以上済んでいたけど、製作費が底を突いてどうにもならなくなってしまった。その後、アミューズの当時の会長が出資を検討してくれた時期もあったし、俺自身でプロデュースしようと頑張ってもみたんだけど、『熊楠 KUMAGUSU』は簡単には動かないんだよ。

──最初の撮影から18年の歳月が流れ、熊楠の青年時代を演じた町田康は熟年期も演じられる年齢になったわけですが……。

山本 撮影が中断してしまったことを肯定的に受け止めるなら、町田康がひとりで熊楠の生涯を実年齢で演じられるようになってきたということだね。それは大きなメリットだと考えている。撮影のたむらまさきさんは2018年に亡くなったけど、『熊楠 KUMAGUSU』が完成したら自分の最高傑作になると言ってくれていた。だから、映画は絶対に完成させたい。まずは『ロビンソンの庭』のHDリマスター化。その次に新作を何本か撮って、それから『熊楠 KUMAGUSU』にもう一度取り組もうと考えている。

──『ロビンソンの庭』のHDリマスター化は、クラウドファンディングで製作費を募っていますが、今なら動画配信サービスの企業あたりを営業すればお金は出るんじゃないですか?

山本 HDリマスター化されたら、そういったところにも売り込むつもりだけどね。でも、なるべくなら自前で資金は調達したい。著作権を手放すと、劇場が「山本政志特集をやりましょう」と言ってくれたときに、すぐには組めなくなってしまう。俺の監督作の中で『アトランタ・ブギ』(96)だけはアミューズに権利があるから、特集上映のときに一本だけ上映されない状況なんだよ。この間も、香港の映画関係者が相米慎二監督の『台風クラブ』(85)の著作権がどこにあるか探すのを手伝ったんだけど、撮った本人が故人になっている作品は著作権の所在先が分からないケースが増えてきている。それもあって、なるべく自分の作品は自分でコントロールできる状態にしておきたいんだ。

──山本監督の新作と『熊楠 KUMAGUSU』の撮影再開を楽しみにしています。

山本 新作『脳天パラダイス』は年内には撮る予定で、すでに「シネマ☆インパクト」でワークショップオーディションをやってるところ。その後、何本か撮って、自分の中で気持ちが整ったら『熊楠 KUMAGUSU』をやりたいね。これが完成したら、監督としてのキャリアはもう終わってもいいくらいの気持ちなんだよ。『ロビンソンの庭』HDリマスターのクラウドファンディングに興味を持ったみなさん、ぜひお金持ちの知り合いも紹介してください(笑)。

(取材・文=長野辰次)

歩く伝説山本政志監督が『ロビンソンの庭』と未完の大作『熊楠 KUMAGUSU』について語るの画像5

『ロビンソンの庭』(1987年公開)
監督/山本政志 製作/浅井隆 撮影/トム・ディッチロ、苧野昇 音楽/じゃがたら、吉川洋一郎、ヘムザ・エル・ディン 
出演/太田久美子、町田康、上野裕子、CHEEBO、OTO、坂本みつわ、IZABA、横山SAKBI、溝口洋、利重剛、室井滋

■『ロビンソンの庭』HDリマスター版制作クラウドファンディング実施中!!
https://motion-gallery.net/projects/ROBINSONS-GARDEN

●山本政志(やまもと・まさし)
1956年大分県生まれ。16ミリフィルムで撮影した『闇のカーニバル』(82)がベルリン映画祭、カンヌ映画祭に選出される。続く35ミリフィルム作品『ロビンソンの庭』(87)はベルリン映画祭zitty読者賞、ロカルノ映画祭審査員特別賞、日本映画監督協会新人賞を受賞。1991年『熊楠 KUMAGUSU』の撮影に取り組むが、資金難のため中断。97年には文化庁海外派遣文化研究員としてニューヨーク留学を経験。主な監督作に『アトランタ・ブギ』(96)、『リムジン・ドライブ』(00)、『聴かれた女』(07)、『水の声を聞く』(14)など。プロデューサー、俳優としても活躍中。

実写映画『アラジン』、ジーニーの日本語吹き替えキャストが「予想通りすぎる」と話題

 3月26日に実写映画『アラジン』の日本語版予告映像が解禁。日本語吹き替えのキャスト陣も発表されたのだが、ジーニー役の声優が「予想通りすぎる」と話題になっている。

 同映画はディズニーの人気アニメ『アラジン』を実写化した注目作。監督は『スナッチ』や『キング・アーサー』などでお馴染みのガイ・リッチーで、ランプから出てくる青色の魔人“ジーニー”役にはウィル・スミスが抜擢された。既にジーニーのビジュアルはUS版予告映像などで公開されており、日本でも「ただの青くなったウィル・スミスで笑った」「ウィル・スミスの成分が濃すぎる」と話題に。ちなみに同映画は6月7日に公開される。

 そんな実写映画『アラジン』の続報として日本語吹き替えキャストが発表されたのだが、ジーニー役に起用されたのはレジェンド声優の山寺宏一。彼は今回のキャスティングを受けて、「きっと“これぞ最高のエンタテインメント!”という素晴らしい作品になると確信しています。吹替版でもそれがしっかりと伝わるよう、出演声優の1人として全力を尽くします」と意気込みを語っていた。

「ジーニー役を山寺が務めるとあって、SNSなどでは『なんかすごい安心した』『むしろ山ちゃんじゃなかったら暴動が起こるレベル』『これは当然のキャスティングでしょ』『まだ映画見てないけど脳内で再生できる』と納得の声が。というのも山寺はディズニーアニメーションの『アラジン』でも、ジーニーの日本語吹き替えを務めてきました。それだけではなく、彼は『インデペンデンス・デイ』などの映画でウィル・スミスの吹き替えを担当したことでもお馴染み。今回はジーニー×ウィル・スミスの吹き替えなので、2重の意味で山寺が適任と言えるでしょう」(芸能ライター)

 ネット上では「映画は字幕派だけど、『アラジン』は山ちゃんがジーニーだから吹き替えで見たい」という人もおり、山寺の起用は映画そのものの期待値を上げている様子。それだけ日本では、“ジーニー=山寺宏一”というイメージが強いのだろう。

「山寺はジーニーについて『愛おしいくらい大切で特別な存在。僕を声優として成長させてくれたのも、“声優って難しいけど、最高に楽しい!”と思わせてくれたのもジーニーです』と語っており、本人にとっても思い入れが強い様子。予告映像では『ショータイムだ!』といった台詞を聞くことができるのですが、『完全にあの頃の“ジーニー”だ!』と感動するファンも少なくありません」(同)

 アニメーション映画『アラジン』が公開されたのは1992年で、現在山寺は57歳。それでも“あの頃”の演技ができるのは、彼の卓越した技術があってのことだろう。

長澤まさみ出演の“お蔵入り大作映画”がついに日本公開! 濃厚ラブシーン報道も、実際は……?

 2014年、「長澤まさみ、ついに世界へ!」との触れ込みで注目された、一本の映画があったのをご記憶だろうか?

 映画『男たちの挽歌』(1986)、『レッドクリフ』(2008~10)シリーズの世界的映画監督、ジョン・ウーがメガホンを取り、チャン・ツィイーやソン・ヘギョといった、アジアを代表する豪華キャストが出演。日本からは金城武と我らが長澤まさみの出演が発表されていた『THE CROSSING』である。

「中国版タイタニック」とも言われる、1949年の大型客船の沈没事故『太平輪事件』を描いた作品で、前後編の二部作で、当初の予定を大きく上回る75億円もの製作費をかけた超大作映画。長澤は、金城演じる台湾人の日本軍医の恋人役で、ウー監督からの『是非とも』と直々の指名を受けての出演だったようで、金城とのラブシーンではついに巨乳をご開帳――と、当時、週刊誌各誌がこのニュースを伝えていたが、14年12月に、中国、台湾、香港で前編が公開されながら、日本にはほとんどニュースが伝わって来ず。

「15年夏に後編が公開されてもなお、日本での配給が決まりませんでした。配給圏が高額であったことも、理由の一つですが、実は、中華圏でも前編の評判が最悪だったんです。一時は後編の公開すら危ぶまれ、ウー監督のキャリアの晩節をけがしたとも言われました。とにかく、話が暗く、ストーリーの展開が遅くて盛り上がりに欠ける上に、肝心の“船”が出て来ないというまさかの連続で、〈129分の予告編〉と酷評されたんです」(映画関係者)

 せめて、長澤の巨乳の全容でも拝めれば、日本での配給もすんなり決まっただろうが、

「巨乳どころか、前後編合わせてもお肌の露出自体がほとんどなく、巨乳の膨らみさえ確認できません。後編で、雨に濡れての濃厚なキスシーンはありますが、金城が長澤の首に吸い付くまで。黒木瞳は、同作にノーギャラで出演したことが、公開当時、話題になりましたが、長澤のギャラもかなり買い叩かれたのでは。だとしたらとても脱げない。脱いでいたら、15年に大きな話題になって、ヌード画像がネットに氾濫していたことでしょう」(同前)

 そんな『THE CROSSING』が、なんと4年半遅れて、この6月に日本上陸を果たすという。

「長澤にしてみたら、複雑な心境かもしれません。マスコミに脱ぐ脱ぐと勝手に煽られてしまっていただけに、脱いでないと今度は“脱ぐ脱ぐ詐欺”などと書き立てられ、不入りの戦犯かのような扱いをされるのが、目に見えていますからね」(同)

 日本公開版だけ、長澤のヌードが拝める特別編で大ヒット!――なんてことはあるわけないか……。

平井大「THE GIFT」に有名洋楽パクリ説浮上! あいみょんにオレンジレンジも……オマージュはどこまでOK?

 近年人気を集めつつあるシンガーソングライター・平井大。現在上映中のアニメ映画『ドラえもん のび太の月面探査記』の主題歌に平井が歌う「THE GIFT」という曲が抜擢され、その人気はさらに高まりつつあるが、現在そんな平井にある疑惑が持ち上がっているという。

 3月8日にテレビ朝日系で放送された『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初登場を果たした平井は、この「THE GIFT」を熱唱。国民的アニメである『ドラえもん』映画の主題歌という事もあって、多くの好評を集めたが、この番組を見た洋楽ファンから、様々な曲に酷似しているという声が挙がったのだ。特に似ているとネット上で話題になったのは、エリック・クラプトンの『ティアーズ・イン・ヘブン』、マイケル・ジャクソンの『マン・イン・ザ・ミラー』、ビージーズの『愛はきらめきの中に(原題:How Deep Is Your Love)』の3曲。中でも、イントロから歌いだしまでの部分に関しては、『ティアーズ・イン・ヘブン』そのものであると言う声がかなり多く存在。途中の指を鳴らす音を入れる部分に関しては、『マン・イン・ザ・ミラー』を想起する人が多いようだ。他にも、大ヒットし、日本でも放映された米ドラマ『フルハウス』のオープニングテーマで、ジェシ・フレデリックの『エブリホエア・ユー・ルック』に似ているという声など、さまざまな曲との類似点を指摘されているような状況となっている。

 この騒動に対して、ネット上では「オマージュとかじゃないレベル」「Mステで聞いて爆笑してしまった」「聴いてみたらまんまで笑った」「清々しいパクリだな」と、本当に疑惑の通りではないかとする声が多い。中には「複数の曲からパクるのはJ-POPでは常とう手段だし別にいいや」「いい曲なんだから別によくない」と擁護する声もそれなりにあるが、「平井大という名前自体、平井堅の……」と、名前すら有名アーティストの平井堅から拝借したのではないかという疑念すら、冗談交じりで挙がっているような状況だ。

「あのイントロはまんまでちょっと笑っちゃったところはあります(笑)。でも、途中の指を鳴らすところあたりはまあ個人的な感覚ではギリギリセーフかなと思いますけどね。オマージュやリスペクトで済む範囲ないじゃないでしょうか。近頃は同じくシンガーソングライターのあいみょんさんも、『マリーゴールド』という曲で有名ゲーム『メダロット2』のBGMを盗作したのではという疑惑が挙がっていましたよね。こちらも個人的な感覚ではそこまでの問題ではないとは思ってますけど……」(音楽業界関係者)

 こうしたパクリ疑惑は古今東西、音楽シーンでは頻発しているものだという。

「例えば、アウトだった事例としては、ロックバンド・オレンジレンジが2004年に発表した『ロコローション』なんかが挙げられますね。これは米国の歌手であるリトル・エヴァが1962年にリリースした曲である『ロコ・モーション』のメロディがそのままだったことから、曲の制作者であるキャロル・キング側から抗議があったとして、カバー曲として扱われることになりました。この際、バンドのリーダーであるNAOTOさんが音楽雑誌で『オレたちの中の合言葉はパクろうぜ! です』と発言していたことが話題になり、それがより問題に火をつけてしまったんですよね。僕が専門とするハードロックやヘビーメタルで言えば、レインボーというバンドの『スポットライト・キッド』という曲に対して、アルカトラスというバンドの『ジェット・トゥ・ジェット』という曲がイントロなどのリフ(曲の随所で繰り返されるフレーズのこと)が酷似していることで知られています。これらはともに1980年代初頭の曲ですが、レインボー側が訴えを起こすこともなく、現在ではどちらも名曲として扱われていますよ。まあ、ほとんどの場合はこういう感じになると思いますけどね。人によってオマージュやリスペクトがどこまでOKかという範囲は異なるので、なんとも言えない部分はあるのですが」(同)

 はたしてこの曲はオマージュやリスペクトの範囲に収まるものなのか、それとも盗作なのか。今後、大きな問題が起こらないことを祈るばかりである。

平井大「THE GIFT」に有名洋楽パクリ説浮上! あいみょんにオレンジレンジも……オマージュはどこまでOK?

 近年人気を集めつつあるシンガーソングライター・平井大。現在上映中のアニメ映画『ドラえもん のび太の月面探査記』の主題歌に平井が歌う「THE GIFT」という曲が抜擢され、その人気はさらに高まりつつあるが、現在そんな平井にある疑惑が持ち上がっているという。

 3月8日にテレビ朝日系で放送された『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に初登場を果たした平井は、この「THE GIFT」を熱唱。国民的アニメである『ドラえもん』映画の主題歌という事もあって、多くの好評を集めたが、この番組を見た洋楽ファンから、様々な曲に酷似しているという声が挙がったのだ。特に似ているとネット上で話題になったのは、エリック・クラプトンの『ティアーズ・イン・ヘブン』、マイケル・ジャクソンの『マン・イン・ザ・ミラー』、ビージーズの『愛はきらめきの中に(原題:How Deep Is Your Love)』の3曲。中でも、イントロから歌いだしまでの部分に関しては、『ティアーズ・イン・ヘブン』そのものであると言う声がかなり多く存在。途中の指を鳴らす音を入れる部分に関しては、『マン・イン・ザ・ミラー』を想起する人が多いようだ。他にも、大ヒットし、日本でも放映された米ドラマ『フルハウス』のオープニングテーマで、ジェシ・フレデリックの『エブリホエア・ユー・ルック』に似ているという声など、さまざまな曲との類似点を指摘されているような状況となっている。

 この騒動に対して、ネット上では「オマージュとかじゃないレベル」「Mステで聞いて爆笑してしまった」「聴いてみたらまんまで笑った」「清々しいパクリだな」と、本当に疑惑の通りではないかとする声が多い。中には「複数の曲からパクるのはJ-POPでは常とう手段だし別にいいや」「いい曲なんだから別によくない」と擁護する声もそれなりにあるが、「平井大という名前自体、平井堅の……」と、名前すら有名アーティストの平井堅から拝借したのではないかという疑念すら、冗談交じりで挙がっているような状況だ。

「あのイントロはまんまでちょっと笑っちゃったところはあります(笑)。でも、途中の指を鳴らすところあたりはまあ個人的な感覚ではギリギリセーフかなと思いますけどね。オマージュやリスペクトで済む範囲ないじゃないでしょうか。近頃は同じくシンガーソングライターのあいみょんさんも、『マリーゴールド』という曲で有名ゲーム『メダロット2』のBGMを盗作したのではという疑惑が挙がっていましたよね。こちらも個人的な感覚ではそこまでの問題ではないとは思ってますけど……」(音楽業界関係者)

 こうしたパクリ疑惑は古今東西、音楽シーンでは頻発しているものだという。

「例えば、アウトだった事例としては、ロックバンド・オレンジレンジが2004年に発表した『ロコローション』なんかが挙げられますね。これは米国の歌手であるリトル・エヴァが1962年にリリースした曲である『ロコ・モーション』のメロディがそのままだったことから、曲の制作者であるキャロル・キング側から抗議があったとして、カバー曲として扱われることになりました。この際、バンドのリーダーであるNAOTOさんが音楽雑誌で『オレたちの中の合言葉はパクろうぜ! です』と発言していたことが話題になり、それがより問題に火をつけてしまったんですよね。僕が専門とするハードロックやヘビーメタルで言えば、レインボーというバンドの『スポットライト・キッド』という曲に対して、アルカトラスというバンドの『ジェット・トゥ・ジェット』という曲がイントロなどのリフ(曲の随所で繰り返されるフレーズのこと)が酷似していることで知られています。これらはともに1980年代初頭の曲ですが、レインボー側が訴えを起こすこともなく、現在ではどちらも名曲として扱われていますよ。まあ、ほとんどの場合はこういう感じになると思いますけどね。人によってオマージュやリスペクトがどこまでOKかという範囲は異なるので、なんとも言えない部分はあるのですが」(同)

 はたしてこの曲はオマージュやリスペクトの範囲に収まるものなのか、それとも盗作なのか。今後、大きな問題が起こらないことを祈るばかりである。

万物に神宿る日本神道とハリウッド文化の融合!? ぼっち少女が中古車に恋をした『バンブルビー』

 廃車置き場で眠っていた年代物のビートル(フォルクスワーゲン・タイプ1)に、18歳の少女がひと目惚れ。実はそのボロボロのビートルは、遠い星からやってきたロボット生命体が擬態した姿だった。やがてその秘密を知った少女は、心優しいロボット生命体と掛け替えのない友情を育んでいく。ハリウッドのブロックバスター映画『バンブルビー』は、期待以上に日本人好みのハートウォーミングな青春ドラマに仕上がっている。

 マイケル・ベイ監督の大ヒット作『トランスフォーマー』(07)を皮切りに、「トランスフォーマー」シリーズはこれまで全5作がハリウッドで実写映画化されてきた。そのスピンオフ作となる『バンブルビー』は、ロボット生命体のバンブルビーが地球を訪れた1980年代が舞台。つまり、エピソード0という位置づけ。過去の「トランスフォーマー」シリーズを観ていない人でも、問題なく楽しめるようになっている。

 同シリーズはもともと日本生まれの変形ロボット玩具がベースになっていたわけだが、それに加えて日本人が『バンブルビー』に好感を覚える要素に、トラヴィス・ナイト監督の実写デビュー作だということも挙げられる。トラヴィス監督の前作『KUBO二本の弦の秘密』(16)は、日本昔話と時代劇をリミックスさせた異色の和風ストップアニメーションとして話題を集めた。

 トラヴィス監督は父親に連れられて8歳のときに初来日し、すっかり日本文化の虜になり、その後もたびたび来日している大の日本通。『KUBO』では少年の演奏する三味線に合わせ、折り紙たちが舞い踊るシーンが斬新だった。そんなトラヴィス監督が手掛けたことで、実写映画『バンブルビー』にも全編にわたって“Kawaii”テイストが溢れている。

 米国の西海岸で暮らす少女チャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)は18歳の誕生日を迎えるが、「おめでとう」と声を掛けてくれる友達はひとりもいなかった。家庭内にすら居場所のないチャーリーは、廃車置き場で見つけた年代物の黄色いビートルに夢中になる。ちんまりとかわいいいのに世間から忘れ去られたような寂れた雰囲気が、そのときのチャーリーの心情とマッチしていた。

 チャーリーが懸命に修理し、ビートルは目を覚ますことに。ビートルの正体は、自在に変形してみせるロボット生命体だった。体は大きいくせに臆病でドジなロボット生命体に、チャーリーは「バンブルビー」と名付ける。ぼっち少女チャーリーの暗く閉ざされていた青春は、バンブルビーという仲間ができたことで明るく開放的なものへと変わっていく。バンブルビーに乗って海岸線をぶっ飛ばせば、気分はサイコーだった。だが、バンブルビーを狙う怪しい影がすぐ近くにまで迫っていた―。

 異星からやってきたバンブルビーとロック音楽を愛する少女チャーリーとのコミュニケーション方法が楽しい。カセットやラジオから流れるザ・スミス、a-ha、ティアーズ・フォー・フィアーズといった80年代のヒット曲から、バンブルビーは地球人のナイーブな感情を学んでいく。また、バンブルビーは言葉の代わりにそのときの気持ちを表した曲をカーラジオから選曲し、チャーリーと心を通わせ合う。80年代の洋楽好きには、たまらないシーンとなっている。

 他の人たちにはオンボロのビートルにしか映らないバンブルビーだが、チャーリーにとっては孤独さを癒してくれる大切な存在だった。中古車にありったけの愛情を注ぐチャーリーの姿は、万物には八百万の神が宿ると信じる日本神道をどこか思わせるものがある。トラヴィス監督がアニメーター出身ということも大きいだろう。アニメーターの語源であるanimateには「命を吹き込む」という意味がある。つまり、無生物に生命を与え、動かすことがアニメーターの仕事だ。“わびさび”をはじめとする日本的美意識を愛するトラヴィス監督が命を吹き込むことで、中古のビートルは八百万の神が宿ったかのように変幻自在に活躍してみせる。

 ジェームズ・キャメロン製作総指揮の『アリータ:バトル・エンジェル』(公開中)は木城ゆきとのSFコミック『銃夢』を原作にしたハリウッド大作で、これもまた日本人的価値観が大きく取り入れられている。アクションシーン満載の『アリータ:バトル・エンジェル』だが、ひときわ印象に残るシーンがある。サイボーグであるアリータ(ローサ・サラザール)は異様に瞳が大きく、多くの観客は違和感を覚えたはずだ。

 だが物語の後半、アリータは第一形態である少女の体から、第二形態である大人の女性の体へとトランスフォームする。このとき、アリータの面倒をみる医師のダイソン(クリストフ・ヴァルツ)だけでなく、我々観客もアリータの成長、成熟ぶりに目が釘づけとなる。違和感だらけだったはずの女性サイボーグに、いつしか心が揺さぶられていることに気づく。未完成のものに感情移入して応援したくなるのも、日本人的な感性ではないだろうか。

 一神教であるキリスト教が信じられている米国では、万物にさまざまな神が宿るという日本神道、東洋的アニミズムは相容れないものだと思っていたが、アニメ・漫画・ゲーム・フィギュアなどを介して日本的な宗教観や嗜好性が、少しずつだが米国映画の中に溶け込みつつあるようだ。

 ちなみにジェームズ・キャメロンに木城ゆうとの『銃夢』を勧めたのは、日本のアニメや特撮ドラマが大好きなギレルモ・デル・トロ監督。『バンブルビー』や『アリータ:バトル・エンジェル』、そしてデル・トロ監督が日本の怪獣映画へのオマージュを捧げた『パシフィック・リム』(13)といった映画が、民俗学者たちの研究対象になる可能性は充分あるように思う。

(文=長野辰次)

万物に神宿る日本神道とハリウッド文化の融合!? ぼっち少女が中古車に恋をした『バンブルビー』の画像4

『バンブルビー』
監督/トラヴィス・ナイト 脚本/クリスティーナ・ホドソン、ケリー・フレモン・クレイグ
出演/ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンデボーグ・Jr.、ジョン・オーティス、ジェイソン・ドラッカー、パメラ・アドロン、ステファン・シュナイダー
配給/東和ピクチャーズ 3月22日(金)より全国公開
(c)2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. (c)2018 Hasbro. All Rights Reserved.
https://bumblebeemovie.jp

 

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映画やTVドラマでよく見るおじさん俳優の素顔!! 川瀬陽太は演技だけでなく、トークも味わい深い

 俳優が売れるか売れないかは、大きな事務所に所属しているかどうか次第。長い間、ずっとそう思っていた。だが、そんな固定概念はひとりの男によって砕かれた。川瀬陽太、49歳。フリーランスの俳優だ。ピンク映画やインディーズ映画で活躍し、近年は『64 ロクヨン』『シン・ゴジラ』(16)などのメジャー映画、テレビドラマ『anone』(日本テレビ系)や『この世界の片隅に』(TBS系)にも出演。味のある個性派俳優として評価される一方、ここに来て主演&メインキャストを務めた新作映画が続々と公開されている。2月に公開された主演映画『おっさんのケーフェイ』に続き、大阪・釜ヶ崎でロケを行なった16ミリフィルム作品『月夜釜合戦』が公開中、3月23日(土)からおじさん愛に溢れた『天然☆生活』、そして4月6日(土)からはピンク映画時代からの盟友・いまおかしんじ監督とのタッグ作『こえをきかせて』の劇場公開が待っている。50歳を目前にし、さまざまな現場から引っ張りだこ状態となった川瀬陽太の人気の秘密に迫った。

──平成最後の春、川瀬さんの主演映画が目白押し状態です。

川瀬陽太(以下、川瀬) たまたまです。撮影時期はバラバラなんです。『月夜釜合戦』は4年前に、『ローリング』(15)と並行して撮ったものです。『おっさんのケーフェイ』は2年前。『天然☆生活』は比較的最近ですが、どうしても自主映画は撮影から劇場公開まで時間が空いてしまいますね。『こえをきかせて』も劇場公開されることになり、なぜか出演作がこの春に集中したんです。

──俳優業24年目にしての大ブレイク!

川瀬 いやいや。ブレイクと言われてみても我が暮らし楽にはならず、じっと手を見る―ですよ(苦笑)。

──地道に現場でキャリアを積み重ねて人気俳優に。フリーランサーの鑑です。

川瀬 ははは、そうですかね。まぁ、フリーの役者でもこのくらいはできますよ、と見せられたことはちょっと良かったかなとは思っています。

──最近は映画だけでなく、テレビドラマでも川瀬さんを観る機会が増えてきました。川瀬さんがワンポイントで出演することで、作品のアクセントや隠し味になっていますよね。

川瀬 僕自身は隠れている気はないんですが(笑)、隠し味でも重宝されているのならありがたいと思っています。たまに僕が出演していない映画でも、「よかったです」と言われることがあり、「ありがとうございます」と答えるようにしているんです(笑)。

──個性派俳優・川瀬陽太によく似た俳優がもう一人いる!?

川瀬 多分、宇野祥平くんあたりじゃないかなと。あいつも映画にいろいろ出ていますからね。それで、あいつの手柄は俺がもらおうと。逆のこともあるのかもしれませんが(笑)。宇野くんとも話したんですが「単館ではサインを求められるけど、シネコンじゃ声を掛けられることもないよな」と。売れているといっても、そんな感じです。そんな状況を楽しみながら、気楽に俳優業をやっています。

 

映画をつくるつもりが演じる側に

──売れっ子俳優の川瀬さんですが、桑沢デザイン研究所を卒業。もともとは俳優ではなく映画スタッフを目指していた?

川瀬 そうなんです。『SRサイタマノラッパー マイクの細道』(テレビ東京系)に出演したとき、主題歌を歌っていたライムスターのMummy Dさんから「僕、後輩です」と言われました。けっこう有名なアーティストやデザイナーが育っている学校なんです。僕も本当は研究所を卒業したら、映画の美術スタッフになるつもりでした。それで福居ショウジン監督の自主映画に参加していたときに、「お前しかいない」と頼まれて、カメラの前に立つことになって。多分、内容がハードで、暴力的なシーンもあったので、事務所に所属している俳優に頼めなかったんでしょうね。その後、瀬々敬久監督のピンク映画に出て、初めてギャラをもらいました。お金をもらえたこと以上に、「俺を必要としてくれる現場があるんだ」と思えたことが大きかった。だから、今までこの仕事が続いたんじゃないかと思います。

──監督の意図を汲み取る大道具みたいな……?

川瀬 そうですね。映画のスタッフには演出部や技術部などありますが、俳優部という感覚ですね。芝居をするスタンドインみたいな感じでやってきました(笑)。いまおか監督の『こえをきかせて』はピンク映画と同じくらいの低予算映画ですが、このくらいのバジェットと撮影期間だと自分に何ができるかなぁって考えます。現場に入って、「こういうロケ地なら、こんなことができるな」とか思いつくことが多いですね。

──事前に台本を読み込んで、徹底的に役づくりするタイプではないんですね。

川瀬 台本は読みますが、あまり役づくりはし過ぎないようにしています。大喜利に参加するような感覚ですね。脇役のときはかなり自由に遊ばせてもらっていますが、主演のときはさすがに変わります。ストーリーだけでなく、周囲も引っ張っていく必要がありますから。その点では、主演俳優は大変だと思います。大きな映画で主演を張る俳優になると、興収結果が今後のキャリアにも関わってくるわけでしょ。僕は主演といっても大規模な作品ではないので、楽しみながらやっています。僕に求められているのはカメレオン俳優的なものではなく、ある種のタイプキャストであることが多いので、やりやすいですよ。

──いまおか監督は林由美香主演作『たまもの』(04)など珠玉のピンク映画を生み出してきた才人。長い付き合いになるそうですね。

川瀬 瀬々監督のボスに向井寛さんという監督兼プロデューサーがいたんですが、向井さんがやっていた「獅子プロダクション」で僕が仕事をするようになった頃、いまおか監督が助監督から監督になったんです。いまおか監督の監督デビュー2作目『痴漢電車 感じるイボイボ』(96)に僕も出ています。そこから20数年間の付き合いですね。いまおか監督がデビュー作『彗星まち』(95)を撮ったとき、上の世代が「ミトコンドリアが風邪をひいたみたいな映画を撮りやがって」と評していたんです。それを聞いて、「うまいこと言うなぁ」と(笑)。それで、「俺はそんなミトコンドリアが風邪をひいたみたいな映画を観たい」と思ったんです。いまおか監督は神代辰巳監督に憧れ、助監督をやっていました。いまおか監督も登場キャラクターたちを突き放して描くことが多いんですが、そのキャラクターたちがもがく姿がいいんです。いまおか監督は基本的にネガティブなことは描かない。ネガティブなことは起きるけれど、みんな幸せになってほしいと願いながら撮っている監督だと思うんです。

──そんな世界に、社会からドロップアウトしたおじさん役の川瀬さんはよく似合うわけですね。

川瀬 なんで、みんな俺のことを社会からドロップアウトさせたがるんでしょうか。こんな、ええとこの坊を捕まえて(笑)。僕はこう見えてもインテリ家族のもとで育ったんですよ(※お父さんは理系の大学講師)。まぁ、ピンク映画から僕のキャリアは始まったわけで、真っ裸からのスタートでした。失うものは何もありませんし、ストレスも感じません。

 

発見された原始人!?

──殺人犯などの犯罪者役を演じていても、観客は川瀬さんにどこか人のよさを感じてしまうのかもしれません。

川瀬 そうだといいですね。実はゴリゴリにハードな役はあまり得意ではないんです。「やれ」と言われればやりますが、個人的には本当の悪人はいないと思っています。加虐側の人間を演じるときは、そいつがそうなったのには何か理由があったんじゃないかと考えるんです。みんな幸せになりたいのに、その方法が分からずにそんなことになっちゃうわけです。ゼロ年代あたりは理解不能なモンスター的なキャラを描く作品が多くて、そんな役にけっこう呼ばれましたが、これからの若い監督には「俺はただの書き割りじゃねぇんだからな」と、その監督のためになればと思って言うこともありました。

──『こえをきかせて』ではヒロインの渡辺万美とテレフォンセックスならぬテレパシーセックスするシーンが印象に残ります。

川瀬 いいシーンですよね。台本を読みながら、いちばんおもろいシーンだなと思いました。カメラの前で一人でおっぱいを揉むマネを延々と続けるわけです。すっごいアホな絵ですよ。いまおか監督は「アホやなぁ」と笑いながら撮っている。やらされる身になってみろと(笑)。でも、僕はベタな泣かせるシーンで泣いたことがないんです。どこか、滑稽な姿のほうが胸が熱くなる。本人が一生懸命な分だけ、おかしみも生じるし、観ている人にも伝わるんじゃないかと思うんです。

──川瀬さん演じる精肉屋の安春は、ハルカ(渡辺万美)の心の叫びが聴こえてしまう。SFの世界でなくても、ありうる話じゃないかなと思うんです。

川瀬 そうかもしれませんね。俺の体験談で言うと、20代の頃は携帯電話を持っていませんでしたが、友達の電話番号を4~5件は覚えていました。待ち合わせで、30分くらいは普通に待っていましたよね。それって、相手のことを察している、相手のことを考えているからだと思うんです。今は友達の電話番号を覚えなくなったし、相手が5分遅れただけで携帯電話に連絡を入れますよね。ひと昔前までは、実はテレパシーみたいなすごいことを交わし合っていたのかもしれません。いろんな人のことを想いながら暮らしていたんじゃないのかなと思うんです。この業界の先輩でも「あの人はなんで他人の気持ちが分かるんだろう」と驚かせられる人がいました。人の心の機微が分かるパイセンたちがいたこの業界は、僕が好きな世界でもあったんです。

──デジタル化が進む現代社会に抗うように生きているんですね。

川瀬 ははは、原始人みたいな役が多いんですよ。僕は昔からやっていることは変わらないんです。ここに来て、みなさんに気づいてもらえた。「原始人、発見!」みたいな感じじゃないですか(笑)

40代になれば何とかなる

──フリーランスの俳優として、四半世紀を過ごしてきたわけですよね。

川瀬 数年間だけ事務所に入っていたことはありますが、辞めてからもう10数年になりますね。今は仕事がありますが、それは単価が安いからでしょう。銀行口座の残高はちっとも増えません(苦笑)。伊藤猛って先輩俳優がいたんですが、「30代はつらいぞ。40代になれば何とかなる」と言われていました。本当、30代は地獄でした。数カ月間、電話がまったく鳴らないんです。気が狂いそうになりました。40代になって少しずつ仕事が来るようになったんです。伊藤猛さんの予言したとおりでした。そう言った伊藤猛さんは52歳で亡くなったんですけどね。40歳を過ぎると、役者仲間たちがこの仕事を辞めていったり、それこそ亡くなったりして、その分だけ仕事が回るようになってきた。それもあって、余計にこの仕事を辞めることができずにいるんです。『anone』など地上波のテレビドラマに出るようになって、女優業を辞めて地方に引っ込んだ知り合いの女性から「がんばってるね」とLNEが来たときは、ちょっと泣きそうになりました。何だか『北の国から』(フジテレビ系)みたいなだなって。

──業界を去っていった、いろんな人たちの声が聴こえてきたんですね。それこそ『こえをきかせて』の安春のように。

川瀬 そうですね。こんな俺でも、ほんの少しは誰かを励ます足しにはなっているのかなぁって。でも、基本的にはあまり考え込むタイプではありません(笑)。

──多忙すぎて、現場をダブルブッキングしたことはありませんか?

川瀬 今のところはありません。昔は助監督の下のほうだったのが、長いことやっているとチーフ助監督になっていたりするんです。撮影日が被ってしまったときは、両作品のチーフ助監督同士が知り合いだったりして、うまくスケジュールをずらしてもらったりしました。そういうことができるようになったのも、40歳過ぎてからです。恥ずかしながら、食べていけるようになったのも40歳になってから。小さい現場も大きな現場も関係なく、声を掛けてもらえるようになった。「あ~、ここが俺の職場かもしれないな」と思えるようになりましたね。

──今や名バイプレイヤーに。

川瀬 その言葉も違和感あるんです(苦笑)。光石研さんや松重豊さんがバイブレイヤーなら、俺なんか路傍の石ですよ。『シン・ゴジラ』で共演した大杉漣さんとは少し面識がありましたが、現場でご一緒したことはありません。でも、大杉さんもそうですし、蛍雪次朗さんもピンク映画から一般映画にも出るようになった。勝手に繋がりを感じています。ピンク映画は予算も人数も少なく、そこからスタッフと一緒にキャリアを重ねていくことができた。そのことが自分にとってはベースになっているし、ありがたいなと思っているんです。自分がどこまでやれるのかは分かりません。体調管理なんて、インフルエンザに罹らないように気をつけているぐらいです。でも、20代でピークが来なくてよかった。こんな劣化したおじさんになってから、仕事が来るようになったわけですから。これでいいんだ、よかったなと思っています(笑)。

「付き合いが長いので、もはやプライベートでは話すことがない」という川瀬陽太といまおか監督だが、そんないまおか監督からも彼の俳優評をもらった。

いまおか「川ちゃんは脇役もできるし、俳優としての“華”もあるので主演もできるタイプ。ピンク映画に出てくれた俳優は、次第に出なくなるものなんですが、川ちゃんは今でも呼ぶと出てくれる。うれしいですよ。メジャー映画にも出るし、ピンク映画や今回みたいな低予算の映画にも出てくれる貴重な役者です。役者って呼ばれてナンボの芸者みたいな職業ですが、川ちゃんは出逢いとか運とかをつかむ才能もあるんでしょう。日本映画を観るとき、リリー・フランキーが出ていると安心するところがありますよね。川ちゃんもスクリーンに出てくると、観客は『この映画は面白そうだ』と期待できる。そんな存在になっているんじゃないですか」

 事務所の力ではなく、現場を愛する力で人気俳優となった川瀬陽太。これから、ますます頻繁に出没するだろう“映画原人”川瀬陽太をぜひスクリーンで目撃してほしい。

(取材・文=長野辰次/撮影=尾藤能暢)

『こえをきかせて』
モデルのハルカ(渡辺万美)は精肉屋の安春(川瀬陽太)の心の声を聞いてしまう。以来、2人は悩みを打ち明け合う仲となっていく。
監督・脚本/いまおかしんじ
出演/渡辺万美、吉岡睦雄、今川宇宙、長屋和彰、広瀬彰勇、古藤真彦、丸純子、川瀬陽太
配給/アルゴ・ピクチャーズ、レジェンド・ピクチャーズ R15+ 4月6日(土)~8日(月)、渋谷ユーロライブにて限定公開
(C)2019キングレコード

『月夜釜合戦』
労働者の街・釜ヶ崎で撮影した16ミリフィルム作品。古典落語「釜泥」をベースに、ヤクザ、旅芸人、活動家たちがお釜争奪戦を繰り広げる。
監督・脚本/佐藤零郎
出演/太田直里、川瀬陽太、渋川清彦、門戸紡、西山真来、カズ、デカルコ・マリィ、緒方晋、赤田周平、下田義弘、大宮義治、北野勇作、海道力也、角田あつし、大宮将司、日野慎也、柴哲平、岡元あつこ、得能洋平、福井大騎、足立正生
配給/映画「月夜釜合戦」製作委員会 3月22日(金)まで渋谷ユーロスペース、4月20日(土)より横浜シネマリンほか全国順次公開中
(C)映画「月夜釜合戦」製作委員会 
http://tukikama.com

『天然☆生活』
『トータスの旅』でゆうばり国際映画祭グランプリを受賞した永山正監督の新作インディーズ映画。川瀬陽太のボンゴ演奏も見どころ、聴きどころ。
監督・製作・脚本・編集/永山正史 脚本/鈴木由理子
出演/川瀬陽太、津田寛治、谷川昭一朗、鶴忠博、三枝奈都紀、秋枝一愛
配給/Spectra film 3月23日(土)より新宿K’s cinemaにてレイトショー
(C)TADASHI NAGAYAMA
https://www.tennen-seikatsu.com

●川瀬陽太(かわせ・ようた)
1969年北海道生まれ、神奈川県出身。桑沢デザイン研究所を卒業後、映画スタッフを経て、福居ショウジン監督の『RUBBER’S LOVERS』(96)で俳優デビュー。瀬々敬久監督のピンク映画『すけべてんこもり』(95)に主演以降、『64 ロクヨン』(16)や『菊とギロチン』(18)など多くの瀬々監督作に出演。冨永昌敬監督の『ローリング』(15)と山内大輔監督の『犯る男』(15)で2016年日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞。近年の映画出演作に『シン・ゴジラ』(16)、『バンコクナイツ』(17)、『トータスの旅』(17)、『blank13』(18)、『おっさんのケーフェイ』(19)など多数。『SRサイタマノラッパー マイクの細道』(テレビ東京系)、『anone』(日本テレビ系)、『この世界の片隅に』(TBS系)などテレビドラマへの出演も増えている。

映画やTVドラマでよく見るおじさん俳優の素顔!! 川瀬陽太は演技だけでなく、トークも味わい深い

 俳優が売れるか売れないかは、大きな事務所に所属しているかどうか次第。長い間、ずっとそう思っていた。だが、そんな固定概念はひとりの男によって砕かれた。川瀬陽太、49歳。フリーランスの俳優だ。ピンク映画やインディーズ映画で活躍し、近年は『64 ロクヨン』『シン・ゴジラ』(16)などのメジャー映画、テレビドラマ『anone』(日本テレビ系)や『この世界の片隅に』(TBS系)にも出演。味のある個性派俳優として評価される一方、ここに来て主演&メインキャストを務めた新作映画が続々と公開されている。2月に公開された主演映画『おっさんのケーフェイ』に続き、大阪・釜ヶ崎でロケを行なった16ミリフィルム作品『月夜釜合戦』が公開中、3月23日(土)からおじさん愛に溢れた『天然☆生活』、そして4月6日(土)からはピンク映画時代からの盟友・いまおかしんじ監督とのタッグ作『こえをきかせて』の劇場公開が待っている。50歳を目前にし、さまざまな現場から引っ張りだこ状態となった川瀬陽太の人気の秘密に迫った。

──平成最後の春、川瀬さんの主演映画が目白押し状態です。

川瀬陽太(以下、川瀬) たまたまです。撮影時期はバラバラなんです。『月夜釜合戦』は4年前に、『ローリング』(15)と並行して撮ったものです。『おっさんのケーフェイ』は2年前。『天然☆生活』は比較的最近ですが、どうしても自主映画は撮影から劇場公開まで時間が空いてしまいますね。『こえをきかせて』も劇場公開されることになり、なぜか出演作がこの春に集中したんです。

──俳優業24年目にしての大ブレイク!

川瀬 いやいや。ブレイクと言われてみても我が暮らし楽にはならず、じっと手を見る―ですよ(苦笑)。

──地道に現場でキャリアを積み重ねて人気俳優に。フリーランサーの鑑です。

川瀬 ははは、そうですかね。まぁ、フリーの役者でもこのくらいはできますよ、と見せられたことはちょっと良かったかなとは思っています。

──最近は映画だけでなく、テレビドラマでも川瀬さんを観る機会が増えてきました。川瀬さんがワンポイントで出演することで、作品のアクセントや隠し味になっていますよね。

川瀬 僕自身は隠れている気はないんですが(笑)、隠し味でも重宝されているのならありがたいと思っています。たまに僕が出演していない映画でも、「よかったです」と言われることがあり、「ありがとうございます」と答えるようにしているんです(笑)。

──個性派俳優・川瀬陽太によく似た俳優がもう一人いる!?

川瀬 多分、宇野祥平くんあたりじゃないかなと。あいつも映画にいろいろ出ていますからね。それで、あいつの手柄は俺がもらおうと。逆のこともあるのかもしれませんが(笑)。宇野くんとも話したんですが「単館ではサインを求められるけど、シネコンじゃ声を掛けられることもないよな」と。売れているといっても、そんな感じです。そんな状況を楽しみながら、気楽に俳優業をやっています。

 

映画をつくるつもりが演じる側に

──売れっ子俳優の川瀬さんですが、桑沢デザイン研究所を卒業。もともとは俳優ではなく映画スタッフを目指していた?

川瀬 そうなんです。『SRサイタマノラッパー マイクの細道』(テレビ東京系)に出演したとき、主題歌を歌っていたライムスターのMummy Dさんから「僕、後輩です」と言われました。けっこう有名なアーティストやデザイナーが育っている学校なんです。僕も本当は研究所を卒業したら、映画の美術スタッフになるつもりでした。それで福居ショウジン監督の自主映画に参加していたときに、「お前しかいない」と頼まれて、カメラの前に立つことになって。多分、内容がハードで、暴力的なシーンもあったので、事務所に所属している俳優に頼めなかったんでしょうね。その後、瀬々敬久監督のピンク映画に出て、初めてギャラをもらいました。お金をもらえたこと以上に、「俺を必要としてくれる現場があるんだ」と思えたことが大きかった。だから、今までこの仕事が続いたんじゃないかと思います。

──監督の意図を汲み取る大道具みたいな……?

川瀬 そうですね。映画のスタッフには演出部や技術部などありますが、俳優部という感覚ですね。芝居をするスタンドインみたいな感じでやってきました(笑)。いまおか監督の『こえをきかせて』はピンク映画と同じくらいの低予算映画ですが、このくらいのバジェットと撮影期間だと自分に何ができるかなぁって考えます。現場に入って、「こういうロケ地なら、こんなことができるな」とか思いつくことが多いですね。

──事前に台本を読み込んで、徹底的に役づくりするタイプではないんですね。

川瀬 台本は読みますが、あまり役づくりはし過ぎないようにしています。大喜利に参加するような感覚ですね。脇役のときはかなり自由に遊ばせてもらっていますが、主演のときはさすがに変わります。ストーリーだけでなく、周囲も引っ張っていく必要がありますから。その点では、主演俳優は大変だと思います。大きな映画で主演を張る俳優になると、興収結果が今後のキャリアにも関わってくるわけでしょ。僕は主演といっても大規模な作品ではないので、楽しみながらやっています。僕に求められているのはカメレオン俳優的なものではなく、ある種のタイプキャストであることが多いので、やりやすいですよ。

──いまおか監督は林由美香主演作『たまもの』(04)など珠玉のピンク映画を生み出してきた才人。長い付き合いになるそうですね。

川瀬 瀬々監督のボスに向井寛さんという監督兼プロデューサーがいたんですが、向井さんがやっていた「獅子プロダクション」で僕が仕事をするようになった頃、いまおか監督が助監督から監督になったんです。いまおか監督の監督デビュー2作目『痴漢電車 感じるイボイボ』(96)に僕も出ています。そこから20数年間の付き合いですね。いまおか監督がデビュー作『彗星まち』(95)を撮ったとき、上の世代が「ミトコンドリアが風邪をひいたみたいな映画を撮りやがって」と評していたんです。それを聞いて、「うまいこと言うなぁ」と(笑)。それで、「俺はそんなミトコンドリアが風邪をひいたみたいな映画を観たい」と思ったんです。いまおか監督は神代辰巳監督に憧れ、助監督をやっていました。いまおか監督も登場キャラクターたちを突き放して描くことが多いんですが、そのキャラクターたちがもがく姿がいいんです。いまおか監督は基本的にネガティブなことは描かない。ネガティブなことは起きるけれど、みんな幸せになってほしいと願いながら撮っている監督だと思うんです。

──そんな世界に、社会からドロップアウトしたおじさん役の川瀬さんはよく似合うわけですね。

川瀬 なんで、みんな俺のことを社会からドロップアウトさせたがるんでしょうか。こんな、ええとこの坊を捕まえて(笑)。僕はこう見えてもインテリ家族のもとで育ったんですよ(※お父さんは理系の大学講師)。まぁ、ピンク映画から僕のキャリアは始まったわけで、真っ裸からのスタートでした。失うものは何もありませんし、ストレスも感じません。

 

発見された原始人!?

──殺人犯などの犯罪者役を演じていても、観客は川瀬さんにどこか人のよさを感じてしまうのかもしれません。

川瀬 そうだといいですね。実はゴリゴリにハードな役はあまり得意ではないんです。「やれ」と言われればやりますが、個人的には本当の悪人はいないと思っています。加虐側の人間を演じるときは、そいつがそうなったのには何か理由があったんじゃないかと考えるんです。みんな幸せになりたいのに、その方法が分からずにそんなことになっちゃうわけです。ゼロ年代あたりは理解不能なモンスター的なキャラを描く作品が多くて、そんな役にけっこう呼ばれましたが、これからの若い監督には「俺はただの書き割りじゃねぇんだからな」と、その監督のためになればと思って言うこともありました。

──『こえをきかせて』ではヒロインの渡辺万美とテレフォンセックスならぬテレパシーセックスするシーンが印象に残ります。

川瀬 いいシーンですよね。台本を読みながら、いちばんおもろいシーンだなと思いました。カメラの前で一人でおっぱいを揉むマネを延々と続けるわけです。すっごいアホな絵ですよ。いまおか監督は「アホやなぁ」と笑いながら撮っている。やらされる身になってみろと(笑)。でも、僕はベタな泣かせるシーンで泣いたことがないんです。どこか、滑稽な姿のほうが胸が熱くなる。本人が一生懸命な分だけ、おかしみも生じるし、観ている人にも伝わるんじゃないかと思うんです。

──川瀬さん演じる精肉屋の安春は、ハルカ(渡辺万美)の心の叫びが聴こえてしまう。SFの世界でなくても、ありうる話じゃないかなと思うんです。

川瀬 そうかもしれませんね。俺の体験談で言うと、20代の頃は携帯電話を持っていませんでしたが、友達の電話番号を4~5件は覚えていました。待ち合わせで、30分くらいは普通に待っていましたよね。それって、相手のことを察している、相手のことを考えているからだと思うんです。今は友達の電話番号を覚えなくなったし、相手が5分遅れただけで携帯電話に連絡を入れますよね。ひと昔前までは、実はテレパシーみたいなすごいことを交わし合っていたのかもしれません。いろんな人のことを想いながら暮らしていたんじゃないのかなと思うんです。この業界の先輩でも「あの人はなんで他人の気持ちが分かるんだろう」と驚かせられる人がいました。人の心の機微が分かるパイセンたちがいたこの業界は、僕が好きな世界でもあったんです。

──デジタル化が進む現代社会に抗うように生きているんですね。

川瀬 ははは、原始人みたいな役が多いんですよ。僕は昔からやっていることは変わらないんです。ここに来て、みなさんに気づいてもらえた。「原始人、発見!」みたいな感じじゃないですか(笑)

40代になれば何とかなる

──フリーランスの俳優として、四半世紀を過ごしてきたわけですよね。

川瀬 数年間だけ事務所に入っていたことはありますが、辞めてからもう10数年になりますね。今は仕事がありますが、それは単価が安いからでしょう。銀行口座の残高はちっとも増えません(苦笑)。伊藤猛って先輩俳優がいたんですが、「30代はつらいぞ。40代になれば何とかなる」と言われていました。本当、30代は地獄でした。数カ月間、電話がまったく鳴らないんです。気が狂いそうになりました。40代になって少しずつ仕事が来るようになったんです。伊藤猛さんの予言したとおりでした。そう言った伊藤猛さんは52歳で亡くなったんですけどね。40歳を過ぎると、役者仲間たちがこの仕事を辞めていったり、それこそ亡くなったりして、その分だけ仕事が回るようになってきた。それもあって、余計にこの仕事を辞めることができずにいるんです。『anone』など地上波のテレビドラマに出るようになって、女優業を辞めて地方に引っ込んだ知り合いの女性から「がんばってるね」とLNEが来たときは、ちょっと泣きそうになりました。何だか『北の国から』(フジテレビ系)みたいなだなって。

──業界を去っていった、いろんな人たちの声が聴こえてきたんですね。それこそ『こえをきかせて』の安春のように。

川瀬 そうですね。こんな俺でも、ほんの少しは誰かを励ます足しにはなっているのかなぁって。でも、基本的にはあまり考え込むタイプではありません(笑)。

──多忙すぎて、現場をダブルブッキングしたことはありませんか?

川瀬 今のところはありません。昔は助監督の下のほうだったのが、長いことやっているとチーフ助監督になっていたりするんです。撮影日が被ってしまったときは、両作品のチーフ助監督同士が知り合いだったりして、うまくスケジュールをずらしてもらったりしました。そういうことができるようになったのも、40歳過ぎてからです。恥ずかしながら、食べていけるようになったのも40歳になってから。小さい現場も大きな現場も関係なく、声を掛けてもらえるようになった。「あ~、ここが俺の職場かもしれないな」と思えるようになりましたね。

──今や名バイプレイヤーに。

川瀬 その言葉も違和感あるんです(苦笑)。光石研さんや松重豊さんがバイブレイヤーなら、俺なんか路傍の石ですよ。『シン・ゴジラ』で共演した大杉漣さんとは少し面識がありましたが、現場でご一緒したことはありません。でも、大杉さんもそうですし、蛍雪次朗さんもピンク映画から一般映画にも出るようになった。勝手に繋がりを感じています。ピンク映画は予算も人数も少なく、そこからスタッフと一緒にキャリアを重ねていくことができた。そのことが自分にとってはベースになっているし、ありがたいなと思っているんです。自分がどこまでやれるのかは分かりません。体調管理なんて、インフルエンザに罹らないように気をつけているぐらいです。でも、20代でピークが来なくてよかった。こんな劣化したおじさんになってから、仕事が来るようになったわけですから。これでいいんだ、よかったなと思っています(笑)。

「付き合いが長いので、もはやプライベートでは話すことがない」という川瀬陽太といまおか監督だが、そんないまおか監督からも彼の俳優評をもらった。

いまおか「川ちゃんは脇役もできるし、俳優としての“華”もあるので主演もできるタイプ。ピンク映画に出てくれた俳優は、次第に出なくなるものなんですが、川ちゃんは今でも呼ぶと出てくれる。うれしいですよ。メジャー映画にも出るし、ピンク映画や今回みたいな低予算の映画にも出てくれる貴重な役者です。役者って呼ばれてナンボの芸者みたいな職業ですが、川ちゃんは出逢いとか運とかをつかむ才能もあるんでしょう。日本映画を観るとき、リリー・フランキーが出ていると安心するところがありますよね。川ちゃんもスクリーンに出てくると、観客は『この映画は面白そうだ』と期待できる。そんな存在になっているんじゃないですか」

 事務所の力ではなく、現場を愛する力で人気俳優となった川瀬陽太。これから、ますます頻繁に出没するだろう“映画原人”川瀬陽太をぜひスクリーンで目撃してほしい。

(取材・文=長野辰次/撮影=尾藤能暢)

『こえをきかせて』
モデルのハルカ(渡辺万美)は精肉屋の安春(川瀬陽太)の心の声を聞いてしまう。以来、2人は悩みを打ち明け合う仲となっていく。
監督・脚本/いまおかしんじ
出演/渡辺万美、吉岡睦雄、今川宇宙、長屋和彰、広瀬彰勇、古藤真彦、丸純子、川瀬陽太
配給/アルゴ・ピクチャーズ、レジェンド・ピクチャーズ R15+ 4月6日(土)~8日(月)、渋谷ユーロライブにて限定公開
(C)2019キングレコード

『月夜釜合戦』
労働者の街・釜ヶ崎で撮影した16ミリフィルム作品。古典落語「釜泥」をベースに、ヤクザ、旅芸人、活動家たちがお釜争奪戦を繰り広げる。
監督・脚本/佐藤零郎
出演/太田直里、川瀬陽太、渋川清彦、門戸紡、西山真来、カズ、デカルコ・マリィ、緒方晋、赤田周平、下田義弘、大宮義治、北野勇作、海道力也、角田あつし、大宮将司、日野慎也、柴哲平、岡元あつこ、得能洋平、福井大騎、足立正生
配給/映画「月夜釜合戦」製作委員会 3月22日(金)まで渋谷ユーロスペース、4月20日(土)より横浜シネマリンほか全国順次公開中
(C)映画「月夜釜合戦」製作委員会 
http://tukikama.com

『天然☆生活』
『トータスの旅』でゆうばり国際映画祭グランプリを受賞した永山正監督の新作インディーズ映画。川瀬陽太のボンゴ演奏も見どころ、聴きどころ。
監督・製作・脚本・編集/永山正史 脚本/鈴木由理子
出演/川瀬陽太、津田寛治、谷川昭一朗、鶴忠博、三枝奈都紀、秋枝一愛
配給/Spectra film 3月23日(土)より新宿K’s cinemaにてレイトショー
(C)TADASHI NAGAYAMA
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●川瀬陽太(かわせ・ようた)
1969年北海道生まれ、神奈川県出身。桑沢デザイン研究所を卒業後、映画スタッフを経て、福居ショウジン監督の『RUBBER’S LOVERS』(96)で俳優デビュー。瀬々敬久監督のピンク映画『すけべてんこもり』(95)に主演以降、『64 ロクヨン』(16)や『菊とギロチン』(18)など多くの瀬々監督作に出演。冨永昌敬監督の『ローリング』(15)と山内大輔監督の『犯る男』(15)で2016年日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞。近年の映画出演作に『シン・ゴジラ』(16)、『バンコクナイツ』(17)、『トータスの旅』(17)、『blank13』(18)、『おっさんのケーフェイ』(19)など多数。『SRサイタマノラッパー マイクの細道』(テレビ東京系)、『anone』(日本テレビ系)、『この世界の片隅に』(TBS系)などテレビドラマへの出演も増えている。

新宿の名物男がドキュメンタリー映画になった!! 映画と美女と酒を愛する仮面の男『新宿タイガー』

 新宿には早朝と夕方に極彩色の風が吹き抜ける。極彩色の風の正体は、年代物の自転車に乗ったベテランの新聞配達員だ。人は呼ぶ、彼のことを「新宿タイガー」と。お祭りの夜店で買ったタイガーマスクのお面と造花やぬいぐるみが混然一体化した不定形のオブジェを担ぐ姿が、新宿タイガーのトレードマークだ。映画『新宿タイガー』はそんな彼のお面の下の素顔に迫った世界初のドキュメンタリー作品となっている。

 新宿で朝を迎えた人や週末は新宿の映画館で過ごす人たちにとっては、おなじみとなっている新宿タイガー。彼が仮面の姿のまま朝刊・夕刊を配る姿は、もはや新宿の欠かせない風景となっている。新宿タイガーが現われると、そのとき街は少しだけファンタジックな空間に変わる。

 最近はスマホ世代に「新宿タイガーに遭遇するといいことがある」「新宿タイガーと一緒に写真を撮ると幸せになれる」というちょっとした都市伝説も広まりつつあるらしい。そう、新宿タイガーは“生きた都市伝説”なのだ。街で声を掛けると、親指を立てて陽気に応えてみせる。ISSAよりもずいぶん昔から「いいね!」ポーズで新宿という街をほっこりさせてきた。

 初のドキュメンタリー作品となる佐藤慶紀監督は、そんな新宿タイガーの知られざる日常生活を1年の取材期間を費やして追い掛けた。付き合いの長い知人・友人たちが素顔の新宿タイガーについて語る。

 まずは新宿タイガーが勤めている新聞販売所の女性所長。新聞社が主催したハワイへの研修旅行に販売所を代表して新宿タイガーが参加した際の逸話が披露される。初めての海外旅行となった新宿タイガーは、このときもいつものファッションだった。彼にとってはこれが正装なのだ。当然ながら税関員から呼び止められたそうだが、マジメな新聞配達員だと分かり、無事ハワイへ入国。帰りは同じ税関員から「新宿タイガーなら、いつでもOKだ!」と見送られたらしい。

 映画ファンに愛される井口昇監督も登場する。『電人ザボーガー』(11)や『ヌイグルマーZ』(14)などの泣けるカルト映画で知られる井口監督は、彼自身が熱心な映画マニアでもある。若い頃、かなりレアな映画を求めて新宿の映画館へ通っていたそうだが、劇場に数人しかお客がいないときでも新宿タイガーに遭遇する確率が非常に高かったという。新宿タイガーはめちゃめちゃ映画が好きなのだ。大好きな映画と女優について語り出すと、新宿タイガーは止まらなくなる。映画を鑑賞することが彼のエネルギー源となっているのだ。

 新宿タイガーの生態を追うということは、彼が生息する新宿という街を記録することでもある。新聞を配り、集金をし、仕事が終われば新宿のシネコンやミニシアターをはしごする。夜更けとなり、新宿タイガーが向かうのは新宿ゴールデン街だ。

 新宿タイガーが恋をしているのは、スクリーンの中の美女たちだけではない。生身の女性にも熱く愛を語る。お面をはずした素顔の新宿タイガーがバーカウンターでお気に入りの舞台女優を熱心に口説く様子を、カメラは映し出す。「理想の女性」「最高の女優」と褒めちぎられ、ホロ酔い気分の女優もまんざらでもないらしい。仮面を被ったファンタジックな男と虚構の世界に生きる女優は相性が合うのかもしれない。
 
 映画や女優についてはエンドレスで語り続ける新宿タイガーだが、自身の過去については口数が減る。なぜ、タイガーマスクのお面を被るようになったのかと尋ねても「野生の勘」としか語らない。そこで佐藤監督ら取材クルーは、新宿タイガーが誕生して45年になることに着目した。長野県生まれの新宿タイガーが上京したのが1967年で、「新宿の虎になる」ことを決意したのが1972年。1960年代の新宿は、若者たちが理想や夢を語り合う活気と自由さに溢れた街だった。学生運動の華やかな時代で、若者たちは自分たちの手で理想社会を生み出せると信じていた。若松孝二を師匠と仰ぐ白石和彌監督が実録映画『止められるか、俺たちを』(18)で描いた時代だ。しかし、72年に「あさま山荘事件」が起こり、その熱気は急激に冷めていく。

 若者たちが夢や理想を語らなくなったことへのアンチテーゼとして、どうやら新宿タイガーは孤独な闘いを続けているらしい。つまり新宿タイガーは「ひとりフラワーチルドレン」、もしくは「走るラブ&ピース」ということになる。45年間休むことなく新宿を駆け抜ける仮面の男の、分かりにくいダンディズムに本作は触れている。

 見方によっては孤高のメッセンジャーにも思えるし、ただの女好き・酒好きな変わり者のおっさんにも見える。多分、どちらも新宿タイガーの正しい一面ではないだろうか。新宿きっての名物男であり、かつ変わり者でもある新宿タイガーをゴールデン街は優しく迎え入れる。ゴールデン街にあるバー「シネストーク」のオーナーである田代葉子ママは、新宿タイガーとの思い出を振り返る。「癌の治療を受けて髪が抜けた後、チリチリ頭になって。みんな触れないようにしていたけど、新宿タイガーは『おっ、ピーターパンだ』と笑ってくれた。あの言葉にすごく救われた」。葉子ママの瞳には、新宿タイガーは大切なヒーローとして映っているようだ。

 葉子ママは語る。「新宿タイガーは新宿の風なんじゃないかと思う」と。夢やロマンを語る新宿タイガーに対して、ロマンチックな言葉を贈る葉子ママ。ロマンにはロマンで応えるのが、新宿で青春を過ごした大人たちの流儀らしい。

 新宿には早朝と夕方、極彩色の風が吹き抜けていく。人は呼ぶ、彼のことを「新宿タイガー」と。新宿タイガーがこの街から姿を消すことになったら、新宿はひどく味気ない退屈なビル街になってしまうだろう。「新宿タイガーに逢うといいことがある」。そんな都市伝説を広めながら、新宿タイガーには映画と美女について、いつまでも熱く語り続けてほしい。

(文=長野辰次)

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『新宿タイガー』
監督・撮影・編集/佐藤慶紀 ナレーション/寺島しのぶ
出演/八嶋智人、渋川清彦、睡蓮みどり、井口昇、久保新二、石川雄也、里美瑤子、宮下今日子、外波山文明、速水今日子、しのはら実加、田代葉子、大上こうじ
配給/渋谷プロダクション 3月22日(金)よりテアトル新宿にてレイトショー
(c)「新宿タイガー」の映画を作る会
http://shinjuku-tiger.com

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