ティモシー・シャラメ主演のR18ホラー 美しき人喰いたち『ボーンズ アンド オール』

 文明社会における最大のタブーとして、カニバリズム(人肉食)が挙げられる。人間が同じ人間を共食いするという行為には、戦慄を覚えずにはいられない。そんな禁断のテーマを描いたのが、ルカ・グァダニーノ監督の新作映画『ボーンズ アンド オール』(原題『BONES AND ALL』)だ。

 ルカ監督のブレイク作『君の名前で僕を呼んで』(17)に主演したティモシー・シャラメとの再タッグ作と…

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フォロワー6万人もネットがなけりゃ無力! 共感度ほぼゼロの高所スリラー『FALL/フォール』

 さまざまなシチュエーション・スリラーがある中で、ここまでストレートで自業自得なものがあっただろうか。600メートルの電波塔に登って戻れなくなってしまったというおバカな設定の映画『FALL/フォール』が2月4日より公開中だ。

 トラウマを克服させようとして、あえてトラウマ体験をさせるという明らかに間違った方法をとる友人も友人だが、それについていく主人公も主人公だ。ほかの方法がも…

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『バビロン』は『ラ・ラ・ランド』とは真逆な漫☆画太郎的ギャグ満載の傑作

 2月10日より映画『バビロン』が公開されている。

 注目は、やはり『セッション』『ラ・ラ・ランド』『ファースト・マン』と立て続けに絶賛を浴びたデイミアン・チャゼル監督の最新作であること。ブラッド・ピットやマーゴット・ロビーなど豪華キャストも集結しており、第95回アカデミー賞では作曲賞と美術賞と衣装デザイン賞にノミネートされている。

 だが、この『バビロン』の評価…

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『名探偵コナン 黒鉄の魚影』大ヒット間違いなしで窮地――4月公開の日本映画2作品

 木村拓哉と綾瀬はるかが共演する映画『THE LEGEND & BUTTERFLY(レジェンド&バタフライ)』(以下、『レジェバタ』)。1月27日に上映開始し、全国週末興行成績をもとにした映画ランキング(興行通信社調べ、以下同)では初登場1位をマークしていたが、公開2週目となる2月6日発表のランキングでは、アニメ映画『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(同3日公開、以下『鬼滅』)に首位の座を奪われた。

 『鬼滅』は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で吾峠呼世晴氏が連載していたマンガ作品が原作のアニメ映画。4月からテレビアニメ第3期が始まるということで、その第1話と、すでにテレビで放送された第2期(遊郭編)の10、11話を特別上映した形だ。

「かたや『レジェバタ』は“東映創立70周年記念作品”で、総製作費20億円をかけた大作。武将・織田信長(木村)が政略結婚した妻・濃姫(綾瀬)との絆を深め、ともに天下統一を目指す姿を描いたストーリーで、公開から10日間で観客動員92万人、興行収入12億円を突破していますから、“大コケ”しているわけではありません。ただ、翌週に公開した『鬼滅』は公開から3日間で動員81万人、興収11億円を超え、早くも『レジェバタ』に並ぶほどの数字を叩き出している。この勢いなら、ランキングの順位だけでなく興行成績も『鬼滅』が上になりそうです」(同)

 近年、邦画界ではアニメの勢いが凄まじい。2022年は『ONE PIECE FILM RED』が大ヒットを記録し、同年に国内で公開された邦画の中で興収1位を獲得。さらに、同作品を筆頭に『劇場版 呪術廻戦 0』(2位)、『すずめの戸締まり』(3位)、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(4位)と、邦画興収ランキング上位4作をアニメが独占した。

「今年も、やはりアニメが優勢という状況は続くでしょう。例えば、4月14日に公開される『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は大ヒット間違いない。漫画家・青山剛昌氏が『週刊少年サンデー』(小学館)で連載中の『名探偵コナン』は、アニメ映画シリーズも毎回大きな話題を呼んでいますし、第26作目となる『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は人気キャラクターの1人・灰原哀(林原めぐみ)がキーパーソン。新作公開に向け、現在テレビシリーズの特別総集編となる『名探偵コナン 灰原哀物語 黒鉄のミステリートレイン』も上映されているだけに、製作側も相当な気合の入れようです」(同)

 ちなみに、同時期には『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』(4月21日)や『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』(同28日)といった実写邦画の公開も控えている。

 『東京リベンジャーズ2』は漫画家・和久井健氏が「週刊少年マガジン」(講談社)で連載していた『東京卍リベンジャーズ』の実写版第2作目で、主演はDISH//のボーカル・北村匠海。6月30日に第3作目『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』も公開予定の人気実写シリーズだ。

「一方の『TOKYO MER』は、21年にTBS系『日曜劇場』枠にて鈴木亮平主演で放送された連続ドラマの劇場版。連ドラは全話の世帯平均視聴率が13.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録していたので、関係者は映画にも期待を寄せていると思います。しかし、『コナン』と公開時期が重なる作品は、その影響で軒並み存在感が薄れてしまう恐れが。『コナン』公開時、毎度のことながら、話題性も客足もすべて持っていかれかねないからです。『東リベ2』『TOKYO MER』は『レジェバタ』の二の舞いになる可能性が高いでしょう」(同)

 『コナン』と戦うことになる邦画の中に、番狂わせの特大ヒットを記録する作品はあるだろうか。今から公開ウィークが楽しみだ。

『トムとジェリー』某国民的アニメのように3D化すればいいってもんじゃない

 1940年。映画会社MGMのアニメーター、ウィリアム・ハンナとジョゼフ・バーベラは「猫と鼠のキャラクターを使ったオリジナルアニメ」の企画を思いつき、2月10日に短編アニメ『上には上がある』を劇場で公開した(ちなみにこの時はまだトムとジェリーではなく、ジャスパーとジンクスという名前だった)。

 この映画がヒットしたことで二人は改めてプロジェクトを立ち上げ、『トムとジェリー』と改…

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『イニシェリン島の精霊』に登場する“妖精”の2つの意味は…

 第95回アカデミー賞で主要8部門9ノミネートを果たし、ほかにもゴールデングローブ賞や英国アカデミー賞など、多くの映画賞において『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と並んで今年の最有力候補と謳われる映画『イニシェリン島の精霊』が日本でも1月27日より公開中。コリン・ファレルの終始困った表情が印象的な作品だ。

 1920年代のアイルランド、アラン諸島の架空の島、…

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城定秀夫監督が映画界で高評価される理由とは? 映画愛溢れる『銀平町シネマブルース』

 生命の喪失と再生、夢の終わりと現実との対峙。文字にすると仰々しいが、そんな普遍的なテーマをユーモアと祝祭感をたっぷりに描いたのが、ただいま絶賛ブレイク中の城定秀夫監督の新作映画『銀平町シネマブルース』だ。埼玉県川越市に実在する創業60年を迎える老舗映画館を舞台に、生きづらさや貧困ビジネスといった社会問題を盛り込みつつ、ホロリとさせる群像劇コメディが繰り広げられる。

 イケてな…

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「Kōkiに寄り添って一緒に作りたい」清水崇監督が「この子だ」と感じた理由

  NetflixなどVODが盛り上がる中で、2022年もホラー映画が多く話題になった。2023年に最新作『忌怪島/きかいじま』の公開が控える清水崇監督に、昨今のホラー映画の状況を聞きつつ、年末年始に見たい作品を考えるインタビュー。後編は、2022年公開された『牛首村』のエピソードや舞台裏について聞いてみた――。

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豊川悦司が惚れ惚れするほどの暗殺者に…『仕掛人・藤枝梅安』が描く人殺しの無常さ

 2月3日より映画『仕掛人・藤枝梅安』が公開されている。原作は池波正太郎のベストセラー時代小説であり、「必殺シリーズ」の翻案元としても知られた作品だ。

 出演者は主役の豊川悦司を筆頭に、片岡愛之助、菅野美穂、早乙女太一、柳葉敏郎、天海祐希など豪華。池波正太郎生誕100年という記念すべき年に映画として蘇った本作は、娯楽として楽しめるだけでなく、現代で観られる意義も確かにある作品だ…

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『THE FIRST SLAM DUNK』興収89億円を突破! キスマイ藤ヶ谷太輔主演映画は伸び悩み……映画館動員ランキング

 井上雄彦氏の人気コミック『SLAM DUNK』(集英社)を新たな視点で描く東映の劇場アニメーション映画『THE FIRST SLAM DUNK』が、全国の映画館動員ランキング(興行通信社調べ、1月13日~1月19日)で1位を獲得した。同作は公開から51日間で観客動員数約610万人、興収89億円を突破する大ヒット中で、100億円の大台も夢ではなくなってきた。

 邦画の実写作品では竹内豊主演、ヒロインを黒木華が務める『映画 イチケイのカラス』が健闘し2位にランクイン。同作は浅見理都氏の同名コミックを実写ドラマ化した人気シリーズの劇場版で、ドラマ版から2年後を舞台に、岡山県に異動した主人公が、真実を求めて国家の暗部に踏み込んでいく物語。監督はドラマ版に続き、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)シリーズの田中亮氏が務める。

 2021年のドラマ放送時も視聴率以上に人気の高いドラマではあったが、劇場版も公開から10日間で動員44万人、興収5億7769万円を記録し、あらためてその人気の程を証明した形だ。フジテレビは過去にも『踊る大捜査線』シリーズなど、連ドラの映画化でヒットを飛ばしており、本作にも10億円超えの期待がかかる。SNS上でも「面白かった」「竹野内豊がかっこ良すぎた」など高評価が多い印象だ。

 そして3位は、『THE FIRST SLAM DUNK』の動員面でのライバルと言える新海誠監督のファンタジー長編アニメーション『すずめの戸締まり』。公開10週目を経て、少しずつ順位を落としてはいるが、ベルリン国際映画館出品など話題も多く、今後、再びランキングを上げてくることも十分に考えられる。なお、『すずめの戸締まり』はすでに興収113億円を突破、動員851万人の大台を突破している。

 ジェームズ・キャメロン監督の最新作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は4位。アメリカではすでに興収20億ドルを突破しているが、日本では公開38日間で動員204万人、興収37億2839万円と期待されたほどの成果は上げていない。

 人気テレビシリーズの劇場版である『Dr.コトー診療所』は5位。同作は公開から38日間で動員168万人、興収21億9983万円を記録している。リピーター客も多いようで、SNSでは2回目、3回目を見たという人のレビューも。

 二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』も健闘し6位にランクイン。こちらも公開45日間で動員154万人、興収20億3833万円を突破。派手な作品ではないものの、「泣ける映画」として評判が高いことなどからロングランに突入しており、二宮はこの作品で「第46回日本アカデミー賞」の優秀主演男優賞を獲得した。

 7位はテレビシリーズの特別編集版として公開された『名探偵コナン 灰原哀物語 −黒鉄のミステリートレイン−』。「漆黒の特急(ミステリートレイン)」をメインエピソードとして制作された同作は、灰原哀の過去にスポットを当て、彼女と黒ずくめの組織との関係などが中心となっている。

 8位もアニメ作品で、公開4週目の『かがみの孤城』が入った。こちらは公開から31日間で興収8億3544万円を突破。公開当初は興収5億円と予想されていたがそれを上回るヒットとなっており、口コミ評判も良いことから、まだまだ動員を伸ばす可能性がある。

 Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔と前田敦子が出演する注目作『そして僕は途方に暮れる』は9位という結果に。同作は『愛の渦』『娼年』などで知られる三浦大輔監督が自身のヒット舞台を映画化。面倒な現実と向き合おうとせず、ひたすら逃げ続け、次第に追い詰められていく主人公の運命を描く。舞台版に続き、藤ヶ谷がクズな主人公を熱演し、ジャニーズファンの間では大きな話題となっていたが、動員は伸び悩んでいるようだ。

 10位には前週いったん圏外へと消えた『ONE PIECE FILM RED』が再ランクイン。同作は公開25週目で興収193億円、動員1400万人を突破しており、スタジオジブリの名作『ハウルの動く城』(04年)の興収196億円超えが視野に入っている。

【全国映画動員ランキングトップ10(1月13日~1月19日 、興行通信社調べ)】
1位  THE FIRST SLAM DUNK
2位  映画 イチケイのカラス
3位  すずめの戸締まり
4位  アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
5位  Dr.コトー診療所
6位  ラーゲリより愛を込めて
7位  名探偵コナン 灰原哀物語 −黒鉄のミステリートレイン− 
8位  かがみの孤城
9位  そして僕は途方に暮れる
10位   ONE PIECE FILM RED