
今年7月、新卒向けの就職情報サイト「就活の教科書」が掲載した「【行く…
平昌オリンピック時のカーリング女子チームがきっかけで話題となった「もぐもぐタイム」という言葉が今、全国の小学校で形を変えて使われている。給食の全時間および一部時間、私語を禁止する学校やクラスが増えており、「黙食」または「もぐもぐタイム」などと呼ばれているのだ。
さらに、食べることに集中させるため、授業中と同じように机を黒板に向けたまま食べさせる学校もあるという。
しかし、無言の給食時間は、児童たちにとって心理的ストレスになることもあるようだ。
「今年の5月ごろ、小学3年になったばかりの息子が、突然『学校に行きたくない』と言いだしたんです。理由を尋ねると、『給食の時間が苦痛』だと。息子によると、新しく担任になった先生の方針で、給食中の私語が禁止になったそうなんです。息子も含め、耐えられずしゃべってしまう児童も多いようで、そのたびに先生の怒号が飛ぶので、それがストレスになっているようでした」
そう明かすのは、神奈川県在住の30代の主婦、Aさんだ。
「すぐに息子の担任に私語禁止ルールの意味について問い合わせました。すると、『給食時間内に食べきれない児童が多く、十分な栄養摂取をさせるために仕方なく私語禁止にしている』ということでした。息子の小学校の給食時間は25分。配膳の時間を引くと、15分くらいしかないので致し方ない。私が小学生だった時は、給食時間は授業と同じ45分あったと記憶していますが……」(同)
今の時代、給食時間が25分の小学校は珍しくはないようだ。その理由は「脱ゆとり」とも関係している。2011年に施行された新学習指導要領により、小学校の授業時数は6年間で5645時間となり、旧来より278時間も増加したのだ(※2020年度の改訂により、現行より140時間増えて5785時間となる)。それにより、多くの小学校では、休み時間や給食時間の削減を余儀なくされたのだ。
一方、都内の小学校で教頭を務める50代の教員は、私語禁止にせざるを得ない別の要因を指摘する。
「子育て世帯に増えている共働き核家族にとって毎食一汁三菜を用意することは難しく、毎食、丼物や麺だけといったワンディッシュメニューという家庭も少なくない。そうした環境に育った児童は、複数のおかずがある給食を食べるのが苦手というケースもある。友達とおしゃべりをしながらだと、時間内に完食できない児童も少なからずいる。そうした児童の親から『給食を完食させてもらわないと、子どもが栄養失調になる』と、お叱りを受けることもある」
現場にはそれなりの事情があるようだが、給食時間の私語禁止については「食事は楽しく食べるもの」「給食はクラスメイトとの交流の時間なのでは?」「まるで刑務所みたい……」と、SNSでは批判の声も上がっている。
ちなみに、食事中に会話をしている児童の方が健康というデータもあるようだ(出展:「栄養学雑誌vol.51」)。
学校給食法第2条にある「学校給食の目標」には「学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと」という一文がある。子どもたちが「つまらない…」と感じてしまう私語禁止の給食で、果たして明るい社交性が身につくものだろうか? および学校関係者は、給食の目的が栄養補給だけではないことを思い出すべきではないか。
大学進学率が50%を超える一方で、少子化もグングンと進行。大学間で生徒の激しい奪い合いが展開されているが、様々な追い風が吹いたことにより、来年の入試で受験生が飛躍的に伸びそうな大学があるという。
予定されていた英語民間試験が直前になって延期され、大人の思惑に翻弄される今年度の受験生たち。2021年の入試で導入が予定されている記述式問題についても、受験を控えた現役高校生や関係者から問題点を指摘する声が噴出し、ドタバタが続くなか、2020年の受験には大きな特徴があるという。大学関係者がいう。
「今年度の入試は、現在行われているセンター試験が最後の年となり、来年度から試験問題の傾向が変わるため、浪人を極端に嫌う傾向が強く出ています。そのため、志望校をワンランクもツーランクも下げて受ける予定の受験生が多く、とにかく安全志向で志望校を選んでいることが模試のデータなどでも明らかです。逆に言えば、最上位校は受験者減が見込まれますから、一発に賭けるのも1つの選択でしょう」(大学関係者)
そんななか、俄然存在感を増している学校があるという。大学の志願者数は毎年、必ず増減があるが、受験雑誌記者によれば、志願者が増える要素がいくつもあるのが筑波大学だという。
「志願者数増加の第一の理由は、ラグビーW杯で活躍した福岡堅樹選手です。彼は県下トップクラスの進学校から筑波大に進み、将来は医師を目指していることを公言して話題になりました。W杯と同時期には、26年ぶりに箱根駅伝への出場も決めています。さらに大河ドラマ『いだてん』のモデルとなった金栗四三も、筑波大学の前身の東京師範学校の出身です。昔から文武両道の大学でしたが、改めてアピールポイントが注目された形です
また、今年の受験生は、来年度の大学入試改革を控え、東大や一橋などの最難関校を狙う子がレベルを1つ下げれば、選択肢は自ずと筑波になって来ます。10年以上前なら筑波=一人暮らしでしたが、近年、つくばエクスプレスの開通により、都内からの通学も可能になりました。箱根駅伝に国立大学が出場するのは久々ですから、中継ではそのことが連呼されるはず。もし上位に入るようなことでもあれば、一気に志願者は増えるでしょう」(週刊誌記者)
英語民間試験は萩生田光一文科相の“身の丈発言”で吹っ飛んだが、今年の受験者の“身の丈”に合うのは筑波大学かも?
大学進学率が50%を超える一方で、少子化もグングンと進行。大学間で生徒の激しい奪い合いが展開されているが、様々な追い風が吹いたことにより、来年の入試で受験生が飛躍的に伸びそうな大学があるという。
予定されていた英語民間試験が直前になって延期され、大人の思惑に翻弄される今年度の受験生たち。2021年の入試で導入が予定されている記述式問題についても、受験を控えた現役高校生や関係者から問題点を指摘する声が噴出し、ドタバタが続くなか、2020年の受験には大きな特徴があるという。大学関係者がいう。
「今年度の入試は、現在行われているセンター試験が最後の年となり、来年度から試験問題の傾向が変わるため、浪人を極端に嫌う傾向が強く出ています。そのため、志望校をワンランクもツーランクも下げて受ける予定の受験生が多く、とにかく安全志向で志望校を選んでいることが模試のデータなどでも明らかです。逆に言えば、最上位校は受験者減が見込まれますから、一発に賭けるのも1つの選択でしょう」(大学関係者)
そんななか、俄然存在感を増している学校があるという。大学の志願者数は毎年、必ず増減があるが、受験雑誌記者によれば、志願者が増える要素がいくつもあるのが筑波大学だという。
「志願者数増加の第一の理由は、ラグビーW杯で活躍した福岡堅樹選手です。彼は県下トップクラスの進学校から筑波大に進み、将来は医師を目指していることを公言して話題になりました。W杯と同時期には、26年ぶりに箱根駅伝への出場も決めています。さらに大河ドラマ『いだてん』のモデルとなった金栗四三も、筑波大学の前身の東京師範学校の出身です。昔から文武両道の大学でしたが、改めてアピールポイントが注目された形です
また、今年の受験生は、来年度の大学入試改革を控え、東大や一橋などの最難関校を狙う子がレベルを1つ下げれば、選択肢は自ずと筑波になって来ます。10年以上前なら筑波=一人暮らしでしたが、近年、つくばエクスプレスの開通により、都内からの通学も可能になりました。箱根駅伝に国立大学が出場するのは久々ですから、中継ではそのことが連呼されるはず。もし上位に入るようなことでもあれば、一気に志願者は増えるでしょう」(週刊誌記者)
英語民間試験は萩生田光一文科相の“身の丈発言”で吹っ飛んだが、今年の受験者の“身の丈”に合うのは筑波大学かも?

2020年度から始まる大学入試共通テストで予定していた英語民間試験が、11月1日、見送られることに決まった。
引き金となったのは、所管する萩生田光一文科相の「身の丈」発言だが、当の本人はどこ吹く風だという。
「”文春砲”により菅原一秀経産相、河井克行法相が立て続けに辞任し、これ以上政権にダメージは与えられないと、野党の反発を丸呑みした格好です。しかし萩生田氏は失言によるバッシングを逆手にとり、見送りに舵を切った節があるのです」(文科省担当記者)
この騒動、どうやらその内実は、安倍内閣の「お友達」による内ゲバのようなのだ。
今の高校2年生以降の大学受験は、これまでの「センター試験」が「大学入試共通テスト」に代わり、英語に関しては、TOEFLや英検など6団体・7種類から選ぶ計画だった。これが何ともお粗末な制度設計だと、前出の記者は指摘する。
「文科省は試験について命令する権限がなく、運営方法は各民間団体に丸投げ。参加を予定していたTOEICは呆れて、7月に離脱を表明しています。蓋を開けると、受験料は約5800円から約2万5,000円と幅広い上、受験会場が一部の都道府県にしかない試験もある。民間だから利益を出すためには仕方ないことですが、不公平感が広がっていました」
受験生の経済状況や地域によって差が出てしまうことなり、その点を10月24日夜、BSフジのニュース番組で問われた萩生田氏は「自分の身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と言い放ったのだった。
教育の格差を文科行政トップが認めたとして、野党やメディアが猛反発。 萩生田氏は 28日、謝罪に追い込まれた。
そもそも新テストは、下村博文・自民党選挙対策委員長の肝いりで、文科相時代の2013年1月、「教育再生実行会議」をスタートさせて道筋をつけたものだ。民間活用は氏の強い働きかけがあってこそだ。
「この9月に大臣になった萩生田氏は、当初からこの制度を『下村先生がつくったものでしょ』と中止にしたがっていました。とはいえ、懸命に準備を進めてきた官僚や業者のことを考え、頭を悩ませていた。皮肉にも、失言によって、いかに制度が”無理筋”か世に明るみになってしまった。萩生田氏にしてみれば渡りに船だったはずです」(同前)
実はこの2人、第1次安倍政権崩壊後も失意の底にある安倍氏を連日訪ねた盟友で、加計学園問題でも名前がそろって登場している。安倍氏もそれに応え、両氏を重要ポストで処遇したきたのだが、その近さゆえに”近親憎悪”となるのも、また世の常である。
「萩生田氏は親分肌で、下村氏に比べて人望があり、菅義偉官房長官も『オレの後継は萩生田だ。喧嘩が出来る』と評価しています。同じく『お友達』の世耕弘成・党参院幹事長は、今回の決断を『受験生の立場に立った思いやりにあふれた決断』と下村氏を当てこするかのような発言をして参戦。いずれの言動も、安倍氏の出身派閥・清和会の跡目争いが念頭にあると見るべきでしょう」(官邸担当記者)
だが最も翻弄されているのは、高校生たちだ。こんな政局ごっこをされては、日本の英語教育が世界に伍していくことは出来そうにない。
――あまりにも速すぎるデジタルテクノロジーの進化に、社会や法律、倫理が追いつかない現代。世界最大の人口14億人を抱える中国では、国家と個人のデータが結びつき、歴史に類を見ないデジタルトランスフォーメーションが進行している。果たしてそこは、ハイテクの楽園か、それともディストピアなのか――。
■作業幇(ゾウイエバン)
2014年に、中国の小中高校生向けに、宿題の写真をスマートフォンでアップロードすると、その「解き方」を探してくれるアプリとして誕生した。またオンライン上で1対1の学習指導などをおこなってくれる有料サービスなども備えている。もともと百度(バイドゥ)から生まれたが、スピンアウトして有力ベンチャーキャピタルから出資を受けて、現在はユニコーン企業(時価総額1000億円以上の未上場企業)のひとつに数えられている。
「中国の受験戦争は、比喩じゃありません。本当の戦いなんです」
2019年6月7日朝、北京市内の空気はいつもよりも張り詰めていた。何しろこの日は、中国全土の高校3年生たちが、これからの人生を大きく左右することになる大学入試の統一試験「高考」を受験する日だからだ。
たまたま取材のために北京に滞在していた私は、受験会場に足を運んで、たくさんの受験生たちがやってくる様子を眺めに行った。同行してくれたのは、中国の最高学府である清華大学大学院生の夏目英男さん(23)だ。
今年は1031万人の生徒がこの一発勝負のテストに挑み、どの大学に入学できるかが決まる。超名門の清華大学や北京大学、浙江大学を頂点にして、場合によってはわずか1点の差で、14億人の学歴ヒエラルキーにおける位置づけが決まってしまう。
ちなみに学歴社会で知られる中国にとって、ことさら受験生たちが受けるプレッシャーは半端なものではない。
さらに日本の大学受験よりも過酷なのは、中国には私立大学という選択肢が事実上ないことだ。いわゆる東京大学や京都大学などの国立大学に落ちても、慶応大学や早稲田大学に行けばいい、という「逃げ道」がほとんどないという。
会場まで、両親がマイカーで送りにくるケースも多い。そしてお弁当を抱えて、会場の外で待機して、我が子の奮闘を祈っているのだ。
「もう6年前に受験したのですが、この日が来ると、反射的に緊張しますね」
自身も留学生向けの高考を経験している夏目さんによれば、中国には高校生活のすべてをこの日のために捧げている生徒が、たくさんいるのだという。誰もが知っている名門校は、衡水市(河北省)にある「衡水中学校」だ。
全寮制のこの高校では、まるで牢屋のように鉄格子がはまった部屋で、起床から就寝まで、分刻みで勉強のスケジュールが組まれている。ランチタイムを過ごす食堂で、テキストを読みながら行列している姿は、中国でも賛否両論あるという。
しかし、一流大学に合格すれば、出自に関係なく大きなチャンスがつかめるのも事実。そのタフな戦いのために役立つのが、ものすごいスピードで進化している中国の「教育アプリ」だ。
中国のエドテク(教育テクノロジー)に詳しい人が、一様に注目株として名前を挙げるのが、作業幇(ゾウイエバン)というスマートフォンのアプリだ。
14年に始まったこのサービスは、K12(幼稚園から高校)の子どもたちが、あらゆる学習をすることができるモバイルプラットフォームだ。このサービスが面白いのは、人工知能を使った「宿題の解き方」を教えてくれる機能。例えば数学のプリントで、わからない問題があったら、すかさずスマホのカメラで撮影をすればいい。
そうすると自分が悩んでいる問題と、似たような問題をデータベース上から自動的に探し出してくれて、どうやれば解くことができるのかという「解き方」をアドバイスしてくれるのだ。だから数学が苦手でも、このアプリを片手に理解を進めることができる。
さらにこのアプリを通して、動画によるオンライン授業であったり、1対1の家庭教師サービスであったり、リアルタイムで質問をすることができる「バーチャル塾」のようなサービスも展開されている。
日本の子どもたちの多くは塾にせっせと通っているが、ここ中国では、スマートフォンを使ってオンラインレッスンを受けることが当たり前になっているという。
「合計ユーザー数は1.3億人以上、毎月利用しているアクティブユーザーも9000万人に上っています。信じられない人数です」と、同社に出資している、投資ファンドのレジェンドキャピタルの幹部は証言する。
同じように、ユニークな教育アプリは数多く誕生している。
さらに巨大なエドテク企業となっているのが、猿補導(ユェンフーダオ)だ。あらゆる科目のオンライン授業を、スマートフォン上で受けることができるこのサービス。教師のキャラクターや難易度もさまざまだ。
アプリを開いてみると、トップ大学を目指している生徒に向けた「オンライン夏期講習」の受講者を募集していた。7月13日から20日にかけて8日間、午後7時から9時までのライブストリーミング講座は、合計で299元(約5000円)で参加できる。
ひとりあたりの授業料は高くはないけれども、すでにこの授業は1241人(6月8日時点)もの受講者が集まっており、単純計算で500万円近いレッスン料が集まることになる。
授業が始まると、スマホ画面の横いっぱいにホワイトボードが広がり、そこに数式や解き方などが次々と書き込まれてゆく。
また右端上には教えている先生のライブ映像が、右端下にはチャット形式で生徒たちとのやり取りが表示される。
それぞれの先生には受講者からのレビューコメントがついており、「前回110点だったテストの成績が、先生の授業を受けてから134点に上がりました!」といった声が並んでいる。
まさにオンラインショッピングや、オンライン動画といったモバイル時代のビジネスが、そのまま受験勉強に「応用」されている印象だ。
夕日が沈む頃、中国全土の高考の初日を終えた生徒たちが、それぞれの家族らと共に自宅に帰ってゆく。この日のことは、大学受験をしたあらゆる中国人にとって、忘れがたい1日になるようだ。
教育は国家100年の計にあり、とは昔からよく言われたことだ。中国では2000年代前半まで、大学への進学率は、10%前後だったといわれる。それが近年、30%から40%にまで上がっている。
しかし今でも、北京や上海などの都市部と、地方都市などでは、教育をめぐる環境格差が大きいのが実態だ。だからこそテクノロジーを駆使した、スマートフォンを使った学習アプリが、次々に生まれてきている。
例え良い教師や学校になかなか恵まれない環境にあったとしても、教育アプリをつかえば中国全土の名門校の「過去問」などが手に入り、オンライン授業であれば地理的なハンディキャップも埋めることができるのだ。
また今回は紹介することができなかったが、オンラインのみならず、リアルな学校空間もテクノロジーによって進化をつづけている。例えばカメラによる顔認識の技術を使って、いま生徒がどのくらい授業に集中しているのか、といった状況をデジタル的に分析することができるサービスなども登場しているという。
筆者が勤めるNewsPicksにも、中国出身の女性エンジニアの同僚がいる。30代前半の彼女も上海にある全寮制の高校で、朝から晩まで、3年間にわたって勉強をしたのだという。いきさつがあって、大学は日本の理系大学としてはトップの東工大に進学した。
「勉強ばかりの高校生活を送ったので、日本の大学入試は楽勝でした」
良いか、悪いかではなく、中国にはこうした過酷な受験レースで勝ち上がった人たちがいる。その頭脳は、長期的にこの国の競争力になるに違いない。(月刊サイゾー7月号より)
後藤直義(ごとう・なおよし)
1981年生まれ。青山学院大学文学部卒。毎日新聞社、週刊ダイヤモンドを経て、2016年4月にソーシャル経済メディア『NewsPicks』に移籍し、企業報道チームを立ち上げる。グローバルにテクノロジー企業を取材し、著書に『アップル帝国の正体』(文藝春秋)など。
――前記事では海外での童話の規制事情を紹介してきたが、実は創作童話や児童文学の締め付けも厳しいみたいで……。
何百年も前の童話の中には今の価値観だと許されないような表現や描写もあるだろう。その結果、前記事でも紹介したような排除運動が起きているわけだが、憂き目にあっているのは童話だけではない。
米国では図書館や学校に対して行政ではなく、保護者がクレームを申し立て、特定の地域だけで禁書にされた創作童話や児童文学がある。わかりやすいのは、人種差別的だという『ハックルベリー・フィンの冒険』や、反キリスト教的だとしてやり玉に挙げられていた『ハリー・ポッター』シリーズだろう。一方で、イマイチよくわからない理由で禁書に指定された本もある。
例えばディズニー映画でもおなじみの『クマのプーさん』は06年にカンザス州の一部地域において「動物が人間の言葉を話すという表現は神への侮辱」という理由で、禁書になっている。また、カンザスつながりでいえば『オズの魔法使い』は「子どもに無利益であり、子どもを臆病にさせる」という理由で、シカゴやテネシーなどの図書館や学校で禁止されたこともある。
さらに、ニューヨークの動物園で赤ちゃんペンギンを育てる2羽の雄ペンギンの実話を描いた『タンタンタンゴはパパふたり』(日本語版・ポッド出版)という絵本は、05年の出版以降、多くの保守的な地域で「LGBTQIA+コンテンツだから」という理由で禁書となった。ちなみに、シンガポールでは14年に国立図書館で破棄処分されている。
そして昨年も同じような理由で、『にじいろのしあわせ~マーロン・ブンドのあるいちにち~』など、LGBT理解と個性の尊重を訴える児童書や絵本が何冊も禁書扱いされた。「宗教」や「教育」という名目なのかもしれないが、大人の思惑で子どもたちから本を取り上げていいのだろうか。
――学校や図書館から童話を取り上げる動きはスペインに限ったことではない。ここでは各地で行われている童話の追放運動を見ていこう。
●ディズニー版ですらNGなの?
カタール
2016年、SEKインターナショナル・スクール・カタールという私立学校に通う生徒の保護者が、学校の図書館に置いてあったディズニー版『白雪姫』は「性的な描写を連想させ、イラストや文章が教育上好ましくない」という理由(どのシーンかは不明)で、カタール最高教育審議会(SEC)にクレームを申し立て、SECは学校側に本を撤去するように命じた。「The Guardian」紙によると、性的、もしくは品位を欠くという理由で、コンテンツに検閲が入ることはカタールでは珍しくないという。
●「相手の同意なしのキス」は有害
イギリス
2017年、ニューカッスルの学校に通う息子が借りてきた『いばら姫』を現代版に描いた児童文学を見た保護者が、同書で描かれている「眠っていて意思表示ができない女性にキスをするという行為は、『相手の同意なしに性的行為に及ぶ』というレイプの根本的問題と重なる」として、学校の教材から外すべきだと主張。ツイッターでも問題のページを開いた写真と「#MeToo」のハッシュタグを用いて問題提起したが、彼女のクレームに対しては多くの反対意見が上がった。
●行政が主導して童話を排除?
オーストラリア
2017年、メルボルンがあるビクトリア州政府は、学校や幼児教育にジェンダーバイアスを見直す教育プログラムの一環として、教室内にあるおもちゃや絵本の中に、男女のステレオタイプを助長するようなものがあれば排除すると、一部報道で伝えられた。このプログラムが実行されることで『シンデレラ』、『美女と野獣』、『ラプンツェル』などの童話が教室から撤去されると問題視されたが、州政府は「童話を締め出すことはあり得ない」と説明した。
●そもそも禁書が多すぎる!
米国各地
上のコラムでもいくつか紹介しているが、米国では図書館に対して、「この本を置くな」と市民団体からクレームが寄せられたり、学校が指定する課題図書にも「こんな本を子どもに読ませるな」と保護者が噛みつくことがあり、これまでに数多くの本が禁書扱いされてきた。童話もご多分に漏れず、90年にはカリフォルニア州の2つの校区で『赤ずきん』の「子どもなのにワインを持っている」イラストが問題視されて禁書となった。(月刊サイゾー7月号『ヤバい本150冊』より)
給食は残さず食べるべきか?
各種食物アレルギーなどにより、食べられるものは個々人で異なることが明らかになっている今の時代に、いまだ一部の小中学校では、給食を残さず食べるよう指導していることが問題になっている。
11月に報じられた一般社団法人「日本会食恐怖症克服支援協会」の発表では、同協会には、小中学校の給食指導をめぐる相談が、昨年5月から今年9月までに、のべ1,000件以上も寄せられている。中には、給食を残さず食べるよう強要されたことが原因で、不登校になる児童・生徒もいるという。
「給食を残さず食べる」ことがクラスの目標にされていた経験のある人も多い。どうしても食べることができないメニューが出てしまい、給食後の掃除時間などに、ほこりまみれの中で涙目で流し込んだ経験がある人も少なくはないだろう。
すでに多くの小中学校で、こうした指導は過去のものになっている。都内の小学校教諭は語る。
「とりわけアレルギーの問題が知られるようになってから、給食の完食指導を行う教師は減りました。何しろ生死に直結する問題ですからね。それに食の細い子どもというのもいるものです。ですので、残さず食べるのではなく、量が多かったり、食べられないものがあれば、食べ始める前に戻す指導などをしています。また、一部の地域では本当に給食がまずいところがあって……残す残さない以前に、食べること自体が苦痛になっているという新たな問題を抱えている学校もあります」
そんな中でも、給食を残さないように指導する教諭というのは「どこか壊れているタイプ」だという。
「病的に、画一的な指導をすることを美徳と考えている教諭は、年齢にかかわらず、いるものです。そうした教師というのは、得てして学級崩壊などの問題を起こすもので。給食以前に、問題教師が淘汰されない従来のシステムを改善しなきゃならないでしょう」(同)
今どき「給食を残すな」と指導する教諭は、要注意人物とみて間違いなさそうだ。
(文=是枝了以)
いったい、どういう基準で成績をつければよいのか。全国の小学校で頭を悩ます教師が増えている。この春から「道徳の時間」が、国語・算数・理科・社会などと同じ「教科」になったからだ。
これは、教科書会社にとって大きなビジネスチャンスとなり、全国の自治体で採択してもらい売上を伸ばそうとして話題を振りまいた。
東京書籍では文部科学省の検定意見を受けて、「パン屋」を「和菓子屋」に変えて話題に。下町ボブスレーを教材として取り上げた教育出版では、安倍首相が映っている写真を使い、採択する自治体を増やすための作戦ではないかと批判された。今年に入り実際の下町ボブスレーは、冬季五輪不採用など数々の醜態でニュースになったが、このアイデアを考えた人は、どうしているのだろうか。
そんな「道徳の時間」も、3学期制の小学校ではいよいよ1学期の通知表の時期に差し掛かりて、どんな形で評価をすればいいのか教師たちは頭を悩ませているのだ。
「もともと道徳というのは、あらかじめ決まった答えを与えるものではありません。古くから教材に使われてきた『星野君の二塁打』なんて、どちらが正しいか、大人になってからも結論はでないでしょう」(教科書会社社員)
『星野君の二塁打』は、少年野球をテーマにした教材。星野君は監督の送りバントのサインに対して、打てそうな気がして、これを無視。二塁打を打ってチームを選手権大会出場へ導く。
だが、監督は「いくら結果がよかったからといって、約束を破ったことには変わりはないんだ」と星野君をとがめて、大会への出場禁止を言い渡すというもの。
これについて、強権的なこの監督を無能と見るか、指示に従わなかった星野君を糾弾するか結論は出ない。
現在、小学校で利用されている教科書も多かれ少なかれ、同様に結論を示さないものばかり。それを成績として評価するのは、困難なことだ。
「文部科学省や教科書会社もやりっ放しではありません。授業の態度や感想の記述などさまざまな評価の指針を示しています。ただ、教科がひとつ増えたわけですから、負担が増えたのは確かです」(都内の教員)
多くで採用される通知表での評価方法は、数値ではなく文章によるもの。要は、通知表の科目成績欄と共についている学校での生活態度の記述欄が、もうひとつ増えるような形が想定できる。
担任教師の客観的という名の主観に基づく評価が繰り返されることになりそうな道徳の教科化。そんなものを真正面からクラスの人数分書くなんてことが、本当に可能なのか。
(文=昼間たかし)
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