「武器はトランプの押し売り」報道に、専門家から異論も……「F35は実質日本製」

「安倍首相は多くの武器をアメリカから買うことになるでしょう。そうすれば日本はさらに安全になり、アメリカは雇用が増える!」

 来日していた米・トランプ大統領のビジネスマンらしい発言に、安倍晋三首相は「F35Aもそうですし、イージス艦の量、質を拡充していく上において、アメリカからさらに購入していくことになると思っています」と返答。北朝鮮の脅威に対するものとして、アメリカからの積極的な装備の購入を示唆した。

 これには「アメリカの押し売りに応じるのか」「日本の軍拡競争への参加だ」など反発が広がった。しかし、専門家からは「武器屋としてのアメリカの存在感を周辺諸国にアピールした程度の意味合いしかない」という見方もある。

 軍事ジャーナリストの青山智樹氏は「もともと日本の防衛用機器はほとんどアメリカから購入していますが、その部品の多くが日本製なんです。そうして出来上がった武器をオーストラリアやインドにも輸出しているので、単に“押し売り”とする報道は政権を批判したいマスコミの浅い見方にも見える」という。

 アメリカからの導入が予定されている主要兵器は、F35戦闘機や地対空迎撃ミサイルシステムのイージス・アショア、中型輸送機のオスプレイなどと見られるが、F35は「当面、老朽化したF4ファントムとの交替にすぎない」と青山氏。

「ファントムは1981年に生産終了したもので、一番新しい機体でも40年が経過。その代替にF35が適切かどうかの議論はできても、日本では東京・武蔵村山市にエンジン工場があって、愛知県小牧市の三菱工場に運んで製造しているもの。アメリカにはライセンス料を払ってますが、実質的に日本製なんですよ」(同)

 では、導入の決まっているイージス・アショアはどうだろうか。

「新型コンピュータを搭載したイージス艦を常時、日本海に張り付けて北朝鮮からのミサイルに備えているところ、その迎撃システムを陸上に置くのがアショアです。イージスを地上配備するので、船と違って運用する要員を大幅に減らせるはず。日本のイージス艦は一隻1,200億から1,500億円かかると言われていますが、アショアの方は800億円程度と見られ、むしろお買い得なのでは。そのシステムも資料を見るとディスプレイやソフトウェアなど日本製を多数含むので、トランプ大統領が『もっと武器を売る』と言っても、日米の往復が増えるだけで、一方的に金が流れる話ではないと思います。日本が安く作ったパーツを、アメリカから高く買わされる部分が出てきたとしても、もう少し正確に実情を理解しておきたいところ」(同)

 では、ほかにアメリカから補充すると見込まれる装備は何か。

「たとえば長距離ミサイル。アメリカから射程2,000キロ以上のトマホークを買うという話が持ち上がっていますが、これに代わる中距離超音速ミサイルの開発を進めるという話もあります。この種のミサイルはインド、ロシアぐらいしか持っておらず、正面装備として見ても決して大きなものではありません。もし大きな買い物があるとすれば、空母と原子力潜水艦、そして核ですが、いずれも必要性は低いです」(同)

 空母は自衛隊に用途が見当たりにくいものとされる。緊張する中東など遠方に接近して圧力を加えるならともかく、日本近海で行動するなら本土を基地に行動すればいいだけだからだ。原子力潜水艦も同様で、一度潜航したら何年も浮上せずに世界中どこでも活動できるという特性は、こちらもその予算があれば3週間以上は潜れる通常型の潜水艦を多数作って、日本近海で行動させている方が効率的なのである。残る核については必要性以前に、世論が許すとは思えず、アメリカも保有を簡単には認めないと見られる。

「そうなると、あとは韓国でも問題となったTHAADなどの弾道弾迎撃ミサイルが必要になりそうです。すでに配備されているパトリオットPAC3は、もともと航空機の撃墜用。洋上のイージス艦から発射されるSM3もありますが、撃ち漏らす恐れを考えた場合に中距離の迎撃が可能になります。これはトレーラーに搭載した移動式で、1台で日本全域の防御は不可能なため、多数配備する必要がありますが、価格は800億から1,000億円とイージス・アショアと大差ありません」

 青山氏の見立てでは、トランプ発言で大騒ぎする必要はあまりないということ。それをわかっていて安倍首相が歩調を合わせたのなら、何か狙いがあってのことなのだろうか。そうでなければ、国内外で反発を招いているようなトランプ政権に媚びすぎている、という指摘も説得力が増してしまう話だ。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

「武器はトランプの押し売り」報道に、専門家から異論も……「F35は実質日本製」

「安倍首相は多くの武器をアメリカから買うことになるでしょう。そうすれば日本はさらに安全になり、アメリカは雇用が増える!」

 来日していた米・トランプ大統領のビジネスマンらしい発言に、安倍晋三首相は「F35Aもそうですし、イージス艦の量、質を拡充していく上において、アメリカからさらに購入していくことになると思っています」と返答。北朝鮮の脅威に対するものとして、アメリカからの積極的な装備の購入を示唆した。

 これには「アメリカの押し売りに応じるのか」「日本の軍拡競争への参加だ」など反発が広がった。しかし、専門家からは「武器屋としてのアメリカの存在感を周辺諸国にアピールした程度の意味合いしかない」という見方もある。

 軍事ジャーナリストの青山智樹氏は「もともと日本の防衛用機器はほとんどアメリカから購入していますが、その部品の多くが日本製なんです。そうして出来上がった武器をオーストラリアやインドにも輸出しているので、単に“押し売り”とする報道は政権を批判したいマスコミの浅い見方にも見える」という。

 アメリカからの導入が予定されている主要兵器は、F35戦闘機や地対空迎撃ミサイルシステムのイージス・アショア、中型輸送機のオスプレイなどと見られるが、F35は「当面、老朽化したF4ファントムとの交替にすぎない」と青山氏。

「ファントムは1981年に生産終了したもので、一番新しい機体でも40年が経過。その代替にF35が適切かどうかの議論はできても、日本では東京・武蔵村山市にエンジン工場があって、愛知県小牧市の三菱工場に運んで製造しているもの。アメリカにはライセンス料を払ってますが、実質的に日本製なんですよ」(同)

 では、導入の決まっているイージス・アショアはどうだろうか。

「新型コンピュータを搭載したイージス艦を常時、日本海に張り付けて北朝鮮からのミサイルに備えているところ、その迎撃システムを陸上に置くのがアショアです。イージスを地上配備するので、船と違って運用する要員を大幅に減らせるはず。日本のイージス艦は一隻1,200億から1,500億円かかると言われていますが、アショアの方は800億円程度と見られ、むしろお買い得なのでは。そのシステムも資料を見るとディスプレイやソフトウェアなど日本製を多数含むので、トランプ大統領が『もっと武器を売る』と言っても、日米の往復が増えるだけで、一方的に金が流れる話ではないと思います。日本が安く作ったパーツを、アメリカから高く買わされる部分が出てきたとしても、もう少し正確に実情を理解しておきたいところ」(同)

 では、ほかにアメリカから補充すると見込まれる装備は何か。

「たとえば長距離ミサイル。アメリカから射程2,000キロ以上のトマホークを買うという話が持ち上がっていますが、これに代わる中距離超音速ミサイルの開発を進めるという話もあります。この種のミサイルはインド、ロシアぐらいしか持っておらず、正面装備として見ても決して大きなものではありません。もし大きな買い物があるとすれば、空母と原子力潜水艦、そして核ですが、いずれも必要性は低いです」(同)

 空母は自衛隊に用途が見当たりにくいものとされる。緊張する中東など遠方に接近して圧力を加えるならともかく、日本近海で行動するなら本土を基地に行動すればいいだけだからだ。原子力潜水艦も同様で、一度潜航したら何年も浮上せずに世界中どこでも活動できるという特性は、こちらもその予算があれば3週間以上は潜れる通常型の潜水艦を多数作って、日本近海で行動させている方が効率的なのである。残る核については必要性以前に、世論が許すとは思えず、アメリカも保有を簡単には認めないと見られる。

「そうなると、あとは韓国でも問題となったTHAADなどの弾道弾迎撃ミサイルが必要になりそうです。すでに配備されているパトリオットPAC3は、もともと航空機の撃墜用。洋上のイージス艦から発射されるSM3もありますが、撃ち漏らす恐れを考えた場合に中距離の迎撃が可能になります。これはトレーラーに搭載した移動式で、1台で日本全域の防御は不可能なため、多数配備する必要がありますが、価格は800億から1,000億円とイージス・アショアと大差ありません」

 青山氏の見立てでは、トランプ発言で大騒ぎする必要はあまりないということ。それをわかっていて安倍首相が歩調を合わせたのなら、何か狙いがあってのことなのだろうか。そうでなければ、国内外で反発を招いているようなトランプ政権に媚びすぎている、という指摘も説得力が増してしまう話だ。
(文=片岡亮/NEWSIDER Tokyo)

あの“ハゲ芸人”が、豊田真由子前衆院議員を「急襲」した舞台裏を激白!「一般人として扱われ……」

“ハゲ”ネタでおなじみの漫談家・ユリオカ超特Qが11月4日、都内で行われたお笑いライブに登場。先の衆院選で“ハゲの天敵”豊田真由子前衆院議員を「急襲」した舞台裏を語った。

 豊田氏といえば、元秘書への「このハゲー!」などの暴言騒動で自民党を離党。先の衆院選では無所属で立候補したが、落選していた。

 その選挙戦が佳境に入った10月20日朝のことだった。選挙運動中の豊田氏に、頭のはげた男性が駆け寄り、「ハゲは怒ってます」と苦言を呈する場面が情報番組『ビビット』(TBS系)で放送されたのだ。

 豊田氏は狼狽しながら、「うちの夫もそうなので……」などと対応。声をかけた男性は「じゃあよかったです。(ハゲを)代表して許します」と握手した。

「番組では女性リポーターがその男性を直撃するも、あくまで一般人として扱っていました。しかし、めざとい視聴者が『ユリオカさんじゃねえか』『ユリオカさんが面白すぎて吹いた』とネット上でコメント。ネットニュースでも取り上げられるほど話題となりました」(芸能ライター)

 今回のお笑いライブで、ユリオカは、この件に言及。その顛末をこう明かしていたという。

「ユリオカさんは、一度は“ナマ豊田氏”を見てみたいと思い立って、選挙事務所にスケジュールを確認。早朝から豊田氏を待ち構えていたそうです。『ビビット』と鉢合わせたのは本当に偶然だったそうで、番組スタッフには自分が一般人でないことを目で訴えかけたそうですが、認識されていなさそうな空気を察知、そこで一般人を演じることに切り替えた。オンエアで使われるために、芸人人生で初めて、わざとヘタに受け応えして“一般人らしさ”を演出したそうです。ネットで話題になったことで、ユリオカさんを知らない人は名前を検索して調べようとしたはず。ところが、画像のトップにはユリオカさんとよく似ていると言われるイジリー岡田さんの顔が間違って上がっているため、知名度アップにはつながらなかった、とボヤいていましたよ」(観客の一人)

 落選した豊田氏だが、「ハゲの代表」との歴史的和解を果たせただけでも、立候補した意味はあった……かも!?

あの“ハゲ芸人”が、豊田真由子前衆院議員を「急襲」した舞台裏を激白!「一般人として扱われ……」

“ハゲ”ネタでおなじみの漫談家・ユリオカ超特Qが11月4日、都内で行われたお笑いライブに登場。先の衆院選で“ハゲの天敵”豊田真由子前衆院議員を「急襲」した舞台裏を語った。

 豊田氏といえば、元秘書への「このハゲー!」などの暴言騒動で自民党を離党。先の衆院選では無所属で立候補したが、落選していた。

 その選挙戦が佳境に入った10月20日朝のことだった。選挙運動中の豊田氏に、頭のはげた男性が駆け寄り、「ハゲは怒ってます」と苦言を呈する場面が情報番組『ビビット』(TBS系)で放送されたのだ。

 豊田氏は狼狽しながら、「うちの夫もそうなので……」などと対応。声をかけた男性は「じゃあよかったです。(ハゲを)代表して許します」と握手した。

「番組では女性リポーターがその男性を直撃するも、あくまで一般人として扱っていました。しかし、めざとい視聴者が『ユリオカさんじゃねえか』『ユリオカさんが面白すぎて吹いた』とネット上でコメント。ネットニュースでも取り上げられるほど話題となりました」(芸能ライター)

 今回のお笑いライブで、ユリオカは、この件に言及。その顛末をこう明かしていたという。

「ユリオカさんは、一度は“ナマ豊田氏”を見てみたいと思い立って、選挙事務所にスケジュールを確認。早朝から豊田氏を待ち構えていたそうです。『ビビット』と鉢合わせたのは本当に偶然だったそうで、番組スタッフには自分が一般人でないことを目で訴えかけたそうですが、認識されていなさそうな空気を察知、そこで一般人を演じることに切り替えた。オンエアで使われるために、芸人人生で初めて、わざとヘタに受け応えして“一般人らしさ”を演出したそうです。ネットで話題になったことで、ユリオカさんを知らない人は名前を検索して調べようとしたはず。ところが、画像のトップにはユリオカさんとよく似ていると言われるイジリー岡田さんの顔が間違って上がっているため、知名度アップにはつながらなかった、とボヤいていましたよ」(観客の一人)

 落選した豊田氏だが、「ハゲの代表」との歴史的和解を果たせただけでも、立候補した意味はあった……かも!?

元SMAP・香取慎吾のアート展に、安倍首相が「新しい“お友達”をつくりに来た」と現場で話題!?

 元SMAP・香取慎吾が作家として紹介され、大きく取り上げられているアート展「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」。10月13日のオープニングレセプションに香取が来場してPRした効果もあってか、累計で3万人以上が足を運ぶなど連日盛況ぶりを見せている。

 そんな香取が同30日、再び来場。しかもその場には、安倍晋三総理が来ることもあって、さまざまな臆測の声が聞こえる現場になったようだ。

「さすがに安倍総理が来場するとあり、警備はかなり厳重で、SPがウロウロするという物々しい雰囲気でしたね。また、この日は先日のレセプションとは違い、イベントPR会社はノータッチだったらしく、日本財団が取り仕切り。現場の記者数はレセプション時の3分の2ほどと少な目で、ちょっと寂しいなという印象もありました。これは、事前の案内での“各社カメラ1台まで”という通達が影響したのかもしれませんが……」(ワイドショー関係者)

 朝早くに開催されたという同イベント。待ち時間の間には、記者同士でさまざまな会話が繰り広げられていたとも。

「『あの社が来てないんじゃ?』と、親ジャニーズ系メディアの記者が来ているのか来ていないのかというのを見回している者もいたり、『安倍総理が新しい“お友達”をつくりに来た』『総理を味方につけたということは、ジャニーズより優位に立てたんじゃ』などの話で盛り上がっていましたね」(同)

 当の安倍首相はといえば、香取に“お墨付き”を与えていたとも。

「香取の作品だけではなく、熱心にいろんな作品を鑑賞し、特に香取の絵には1作品ごと時間を割いて香取自身の解説を聞いたり、逆に質問したりと、2~3分はやりとりしていました。カメラマンから香取と握手するよう求められると、すんなりと応じたりとサービスもよく、香取へも『アーティストとして期待しています』と、わざわざ声をかけるなど、特別なつながりをアピールしている感じでしたね」(同)

 会場には香取らが所属する新事務所の社長でジャニーズ時代のチーフマネジャー・飯島三智氏の姿もあったという。次々に活動の新機軸を打ち出す飯島氏だが、首相を味方に付けたとなれば、さぞかし心強いことだろう。

選挙特番偏重に一石! 「ボクシング中継で高視聴率獲得」のフジテレビ、次回選挙はどうなる?

「第48回衆議院総選挙」(10月22日投開票)にあたって、NHK、民放キー局で、開票特番が放送されたが、その“あり方”に関して一石を投じたのが、ボクシング中継を強行したフジテレビの姿勢だ。

 同選挙特番で貫禄を見せたのは、やはりNHKで、その『2017衆院選開票速報』は17.1%(第1部=ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高い視聴率をマークした。民放でトップだったのは、池上彰をメーンキャスターに据えたテレビ東京『池上彰の総選挙ライブ』で9.8%をマーク。これでテレ東は、13年の参院選、14年の衆院選、16年の参院選に続き、国政選挙での特番において、4回連続で民放首位となった。ただ、NHKとは7.3ポイントもの大差がついており、民放の選挙特番の難しさを改めて露呈した。

 民放2位は日本テレビ『ZERO×選挙2017』で9.3%、同3位はテレビ朝日『選挙ステーション』で8.8%、同4位はフジテレビ『FNN選挙特番 ニッポンの決断!2017』で7.2%、同最下位はTBS『激突!与野党大決戦 選挙スタジアム2017』で5.5%の順。

 日テレは日曜ゴールデンの人気バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる法律相談所』、TBSは15日の初回で14.7%の高視聴率を挙げた日曜劇場『陸王』(役所広司主演)を休止してまで選挙特番をオンエアしたが、いずれも1ケタ台に沈んだ。

 そんな中、異例な体制で臨んだのがフジだ。22日、同局は午後7時から9時30分まで、『村田諒太VSエンダム2』を放送した。選挙特番は、午後9時30分からのオンエアとなったが、ボクシング中継は20.5%を記録し、同局の今年すべての番組の中で最高視聴率をマーク。ほかの民放局の選挙特番に大きく水をあけたのだ。試合は7回終了後、エンダムの棄権によるTKO勝ちで、村田が悲願の世界王座奪取を果たす理想的な展開により、視聴率向上につながった。

 そもそも、エンダム対村田の世界戦は、5月20日にWBA世界王座決定戦として行われ、エンダムが判定勝ちを収めたが、不可解な判定が問題となり、再戦に至った経緯がある。その際もフジが中継し、17.8%と高い視聴率を記録した背景があった。いうまでもなく、村田は2012年ロンドン五輪のボクシング・ミドル級金メダリストで、13年のプロ転向後も注目を集め、初の世界戦となったこの一戦は、視聴者の大きな関心を集めていた。

 22日の再戦が、5月の世界戦以上の高視聴率を弾き出せたのは、もともと世の関心が高く、なおかつ、ほかの民放局の番組が弱かったためといえそう。衆院選と重なっていなければ、日テレの強力な番組を裏に回して、苦戦を強いられた可能性が高い。その意味では、同局にとって、衆院選と村田の世界戦の日程がバッティングしたのは“ラッキー”以外の何物でもないだろう。また、村田の試合を録画ではなく、生中継で強行した同局編成部の判断も、結果的にはファインプレーだった。
 村田の試合が高視聴率を獲得したことについて、同局・宮内正喜社長は27日の定例会見で、「『国民の関心が何であるか?』を基本に編成した。結果として難しい調整をいい編成バランスでできた。視聴率、結果も、そのへんが功を奏したと思っております」と評価。

 とはいえ、ボクシング中継後の衆院選特番は7.2%と急降下して、多くの人が他局にチャンネルを替えてしまったのも事実。

 現状、国政選挙の際は、NHKのみならず、民放キー局すべてが、横並びで選挙特番を放送するのが慣例となっている。しかし、今回ボクシングが高視聴率を得たように、多くの視聴者が「選挙特番」を望んでいないのも、これまた現実だ。今回のフジの決断は、国政選挙の際の番組編成のあり方に一石を投じたのは確か。

「フジの措置は、いわば反則技みたいなもので、同局内外で賛否両論出ているようです。やはり国政選挙の際、キー局は“報道機関”としての伝える責務があるからです。ただ、民放が選挙特番をやっても、NHKにかなうわけがなく、低視聴率になるのは明白。今回の視聴率を判断材料として、今後国政選挙のときに選挙特番を放送せず、視聴率至上主義に走る局が、フジ以外にも出てくるかもしれません」(スポーツ紙記者)

 いってみれば、禁じ手ともいえる手法で、高視聴率を獲得したフジ。低視聴率に沈んでいる同局だけに、これに味を占めて、次の国政選挙の際に、同じ手を使う可能性もありそうだ。

(文=田中七男)

ウーマン・村本大輔が“政治路線”シフトで、ひな壇拒否?「仕事があるのは無知な今だけ」の声も

 お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの村本大輔が、10月22日深夜放送のテレビ朝日系『選挙ステーション2017』第2部に出演。衆院選の結果を受けて、政治家や政治評論家と激しい論戦を交わした。とあるテレビ局関係者は言う。

「番組では投票率が低いことについて言及し、『政治に国民の目を向けさせない国が悪いのではないか』と指摘していました。その後、Twitterで『選挙に行っていない』と発言したことでネットでは炎上していましたが、一般市民の貴重な意見を政治番組に取り入れるという意味で、村本さんの出演はとても価値があったと思います」

 近頃、村本はバラエティー番組の仕事から、政治や社会問題に関する報道関係の番組へと軸足を移行させようとしているという。お笑い関係者が証言する。

「ちょっと前から、バラエティーやトーク番組のひな壇の仕事は断っていると聞きました。どうやら『ひな壇なら俺以外でもできる。俺は自分にしかできない仕事をしたい』ということらしく、その『自分にしかできない仕事』が報道番組やワイドショー、ネット番組や独演会ということのようです」

 そんな村本に対して、周囲の芸人たちはどう感じているのだろうか? 前出のお笑い関係者が明かす。

「バラエティー番組のひな壇はチームプレーであって、若手時代から一匹狼的なスタンスを貫いてきた村本さんは決して得意ではない。なので、一部の芸人たちからは『村本は、ひな壇から逃げている』という声も聞こえてきますね。でも、自分のパーソナリティーをしっかり生かすという意味では、政治・社会問題方面に向かうのは、正しい選択なのではないかという意見も多い。ひな壇芸人はライバルも多くて大変ですから、敵があまりいない場所で戦うというのは、確かに賢い。村本さんのように、今後ひな壇を回避して、独自路線を開拓する芸人は増えていくでしょうね」

 しかし、マスコミ内では厳しい声も聞こえてくる。週刊誌政治記者は、こう話す。

「村本さんが持っている知識や抱いている意見は、まさに政治に興味を持ち始めた小中学生と同じようなものだと思います。決してレベルが高いわけではないのですが、視聴者の中には村本さんと同じ視点の人も少なくないので、一定の共感は得られるでしょう。しかし、今後村本さんが報道番組に出演することでどんどん知識をつけていくと、庶民のような疑問も出てこなくなり、物わかりのよいほかの政治コメンテーターと、なんら変わりない存在になってしまう。つまり、今の村本さんに対する需要は、“無知であるがゆえの需要”なんです。正直なところ、出番があるのは、“レベルの低い質問”ができる今だけなのではないでしょうか」

 芸人の生き残り方としては決して悪くない政治路線だが、政治に詳しくなることでその道が閉ざされるかもしれないというのは、なんとも皮肉なところ。村本には、いつまでも政治のビギナーであり続けてほしいものだが……。

ウーマン・村本大輔が“政治路線”シフトで、ひな壇拒否?「仕事があるのは無知な今だけ」の声も

 お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの村本大輔が、10月22日深夜放送のテレビ朝日系『選挙ステーション2017』第2部に出演。衆院選の結果を受けて、政治家や政治評論家と激しい論戦を交わした。とあるテレビ局関係者は言う。

「番組では投票率が低いことについて言及し、『政治に国民の目を向けさせない国が悪いのではないか』と指摘していました。その後、Twitterで『選挙に行っていない』と発言したことでネットでは炎上していましたが、一般市民の貴重な意見を政治番組に取り入れるという意味で、村本さんの出演はとても価値があったと思います」

 近頃、村本はバラエティー番組の仕事から、政治や社会問題に関する報道関係の番組へと軸足を移行させようとしているという。お笑い関係者が証言する。

「ちょっと前から、バラエティーやトーク番組のひな壇の仕事は断っていると聞きました。どうやら『ひな壇なら俺以外でもできる。俺は自分にしかできない仕事をしたい』ということらしく、その『自分にしかできない仕事』が報道番組やワイドショー、ネット番組や独演会ということのようです」

 そんな村本に対して、周囲の芸人たちはどう感じているのだろうか? 前出のお笑い関係者が明かす。

「バラエティー番組のひな壇はチームプレーであって、若手時代から一匹狼的なスタンスを貫いてきた村本さんは決して得意ではない。なので、一部の芸人たちからは『村本は、ひな壇から逃げている』という声も聞こえてきますね。でも、自分のパーソナリティーをしっかり生かすという意味では、政治・社会問題方面に向かうのは、正しい選択なのではないかという意見も多い。ひな壇芸人はライバルも多くて大変ですから、敵があまりいない場所で戦うというのは、確かに賢い。村本さんのように、今後ひな壇を回避して、独自路線を開拓する芸人は増えていくでしょうね」

 しかし、マスコミ内では厳しい声も聞こえてくる。週刊誌政治記者は、こう話す。

「村本さんが持っている知識や抱いている意見は、まさに政治に興味を持ち始めた小中学生と同じようなものだと思います。決してレベルが高いわけではないのですが、視聴者の中には村本さんと同じ視点の人も少なくないので、一定の共感は得られるでしょう。しかし、今後村本さんが報道番組に出演することでどんどん知識をつけていくと、庶民のような疑問も出てこなくなり、物わかりのよいほかの政治コメンテーターと、なんら変わりない存在になってしまう。つまり、今の村本さんに対する需要は、“無知であるがゆえの需要”なんです。正直なところ、出番があるのは、“レベルの低い質問”ができる今だけなのではないでしょうか」

 芸人の生き残り方としては決して悪くない政治路線だが、政治に詳しくなることでその道が閉ざされるかもしれないというのは、なんとも皮肉なところ。村本には、いつまでも政治のビギナーであり続けてほしいものだが……。

東京新聞・望月衣塑子記者が語る、安倍政権の裏側――記者がスパイのように……

 安倍晋三首相のスポークスパーソンである菅義偉官房長官の記者会見で、何度も食い下がって質問を続けるひとりの女性記者が注目を集めている。その取材の様子が話題となり、最近はテレビや雑誌にもたびたび登場している東京新聞社会部の記者、望月衣塑子さんだ。なぜ菅官房長官にしつこく質問するのか、政治取材の現場はどういうところなのか、そして安倍政権の裏側について、望月さんに聞いた。

■記者クラブの会見では、指名される人が決まっている

――菅官房長官への記者会見で毎回食いついていますが、望月さん以外の記者は、あまり切り込んだ質問をしていないように見受けられます。安倍政権に批判的な質問をしてはいけない“暗黙の了解”のような雰囲気が記者クラブにはあるのでしょうか? また、そもそも記者クラブとは、どういう集まりなのでしょうか?

望月衣塑子さん(以下、望月) 記者クラブとは、総理大臣をはじめ各官庁、政党を担当している(大手メディアのテレビや新聞などの)政治部記者が入っている記者会で、そのうちの大きなひとつが「内閣記者会」(官邸クラブ)です。最初は私も「批判的な質問をしないのが普通なのかな?」と思っていたのですが、菅官房長官の会見では、手を挙げている記者の質問には、批判的な内容でも全部きちんと答えています。一方、安倍首相の記者会見では、司会者は絶対に安倍首相のお気に入りの記者しか指名せず、NHKなどは手を挙げてもいないのに指されると聞きました。菅官房長官の会見に関しては、官邸クラブが中心ではありますが、フリーの記者でも金曜午後は入れるようになっており、ある程度開かれてはいます。

 かつては政権に批判的な記者の質問も多かったと聞きましたが、最近は、あまり官邸に抵抗できないという空気感がクラブにあると思いますね。加計学園疑惑の話は、マイルドな聞き方をされていますし。

――望月さんは政治部ではなく、社会部の記者ですよね。ほかの部の記者でも入れるんですか?

望月 明確に記者会所属の記者しか出てはいけないという規定はないので、内閣記者会に会社が登録し、国会記者証を持っているなどいくつか条件をクリアしていれば、フリーの記者も含めて会見には入れます。官邸は週刊誌などのマスコミも、どんどん来ていいというスタンスとも聞きますが、内閣記者会側が既得権にこだわっており、フリーの記者が金曜日の午後会見以外に出ることには否定的だと聞いています。

――官邸クラブの記者は、政府の「御用記者」のような感じなのでしょうか?

望月 政治部と社会部では、目指している方向が、そもそも違うのだと思うので、批判的な質問をしない政治部記者が問題だとは思いません。政治部記者の中では、社会部的な疑惑の追及より、北朝鮮や中国との関係をはじめとする国際情勢や、経済政策などの政治情勢がどんどん動いていくから、それを日々追って、菅長官のコメントを取ることの方が重要なのだとも思います。

 だから、稲田朋美防衛相など、選挙での政治情勢に影響する失言などには、とても敏感だし、ツッコミも入るのですが、加計疑惑や下村疑惑(下村博文議員が加計学園から闇献金を受けたといわれる疑惑)などの社会部的な疑惑をいちいち掘り下げていくという雰囲気ではないのだと思います。政治部記者としては、日々目まぐるしく回っていく政治をどうフォローしていくかが主眼で、疑惑の追及が重要ではないというスタンスなのかもしれません。そのため、疑惑を掘り下げている社会部の記者こそが、怒りをもって追及していけるのだと思います。

――望月さんは、会見時に菅官房長官に何度も質問をされていますが、それに対し、菅官房長官は質問の答えになっていないような回答ばかりされていますよね。

望月 今では、その様子を国民に見せることが必要だと思っています。国民は、何を質問しても、菅官房長官がうろたえて同じ答弁を繰り返すのを見て、「さすがに『加計ありきでない』という言い訳は苦しいよな」と思い始めているのではないでしょうか。

――NHKや民放をはじめとしたテレビには、すべてをきちんと放送できない事情があるのでしょうか?

望月 これは、私がテレビ関係者から聞いた話ですが、例えば、国会が開いている間は加計学園疑惑がこぞって放送されていました。しかし、国会が閉じてしまうと加計疑惑について報道するかどうかは各局の判断になるそうで、そこから、各局の政権に対する忖度のスタンスがよくわかるというのです。ある番組ではトップで扱っているものが、別の番組では三番手扱いのニュースになっているとか。また、ある民放局では、コメンテーターに官邸の見解を話す人を入れるよう、上から指示が来たという話があるとも聞きました。

 テレビと比較すると新聞は、そのようにあからさまな圧力は受けていません。数年前、衆議院議員選挙を前に、萩生田光一官房副長官が民放各局の番組担当者や編集局長などに宛てて、「公平中立、公正な選挙報道を」という内容の文書を送りつけています。このように政権が選挙報道側に規制を前提とするような圧力をかけることはありませんでしたから、極めて衝撃的な文書であり、安倍一強の下での政権のテレビメディアへの関与、圧力があからさまになった出来事でした。しかし、そのときも、すぐに騒ぎにはなりませんでした。やはり、テレビは電波を総務省に握られている(電波法に基づいて放送免許を与えられている)ことも関係あるのかもしれません。

 本来は、このような圧力があったら、テレビメディアは断固として闘うべきでしょうが、それはなかった。逆に、あの萩生田文書を契機に、テレビメディアの忖度が急速に進展していったのではないかという気がしています。これは民主主義や言論の自由にとって大きな危機だったと感じています。

――なんだか独裁国家のような感じですね。

望月 恐怖政治のようにも見えるかもしれませんが、問題とされるべきは、政権だけでなく、メディア側の姿勢にもあると思います。関係者を取材すると、官邸側は反政権的な官僚や政治家、マスコミ関係者などについて、出身官庁からの情報など、あらゆるチャンネルを使って調べているとも聞きます。韓国・釜山の総領事の森本康敬氏が異例の交代となった背景には、マスコミ関係者と森本氏が会食した際、政権に批判的な発言をしたことが、官邸に伝わったためとも聞きます。ある元自民党議員は、取材に対し「政治部記者に官邸批判をしていたら、その話がすべて官邸に筒抜けになっていて恐ろしかった」とも言っていました。前川喜平・前文科省事務次官は、一部メディアで報道が出る前に、新宿のバー通いについて官邸の杉田和博副長官から指摘を受けていました。

 どこのメディアでもそうですが、その部署に50人の記者がいれば50人分、取材対象から聞き取った内容のメモができます。マスコミのある社では、かつてはそのメモを記者全員で共有していたそうですが、今は「反政権的なことを言っている官僚や政治家がいます」と、官邸サイドにその話が筒抜けになるのを防ぐため、キャップやサブキャップ以外にメモをシェアしない形を取るようになったとも聞きました。これは、政権が怖いということ以上に、権力側に気に入られ、権力に食い込もうとするがために、記者が自ら進んでメモを権力に差し出していると推測させることを示しています。こういう状況は、かなり危機的ではないかとも感じます。どんな立場にいようと、最後はメディア、そして記者は権力の監視・チェックをし、権力の暴走を防ぐために存在するということを肝に銘じる必要があると思っています。

――権力を監視するはずの記者が、その役割を果たしていないということでしょうか?

望月 記者としては政権の内部に食い込みたいから、そのメモを官邸サイドに渡すのでしょうが、結局それは、官邸が記者をスパイのように使う材料にもなっているわけです。前川前次官に聞きましたが、文科省の文化功労者選考分科会の委員の人選で、閣議決定が必要なものがあったため、事前に官邸にお伺いを立て、人事のリストを見せた時、杉田副長官から「この学者は安保法制反対の学者の会にいるよね」とか「この人は政権にあまり賛成していないね」と指摘を受けたと話していました(杉田副長官は否定)。前川氏は、「要は、委員のメンバーからは外せと言いたかったのでは」と話していました。この話を菅官房長官にぶつけると、「それはない」と激しく否定し、指摘されたことをとても嫌がっていました。内閣人事局を掌握し、2014年以降、霞が関の部長級以上の官僚5,600人の人事権を握るようになったことは、今の政権の力の源泉です。その内幕のような話は、最も触れてほしくない部分なのでしょう。

 前川氏によると、安倍政権前のかつての自民党でも似たようなことはあったが、審議会の人事に少しくらい反政府側の知識人がいても、官邸がそこまで口出しをすることはなかったそうです。民主主義的な議論をするには、ある程度、さまざまな立場の意見がある方が、議論に多様性があっていいじゃないですか。でも今、安倍首相の作り出す会議は、みんな安倍首相の色に染まった人ばかり。加計学園の民間の諮問会議のメンバーしかり、「NO」と言う人は周りに絶対寄せ付けたくないという感じがあります。メディアの使い方にしてもそうです。本来は国会の場など誰に対しても開かれている公平な場でこそ、自らの狙いや心情を打ち出してしかるべきなのに、読売新聞の一面で憲法改正議論を5月3日に出して、国会で「読売新聞を読んでください」と言い放ったり、改憲案を秋の臨時国会で提出することを「正論」懇話会が主催したイベントで言ったりとか、そういうのは非常におかしな話だなと思います。

――おかしなところが多い今の政権に対して、国民はただ見守ることしかできないのでしょうか?

望月 まずは知ることです。今、政治がどうなっているのか知ることで、選挙の際の一票につなげてください。支持率の低下は、政権にとって大打撃なんです。加計疑惑の中身をきっちりと知れば、今の政権がなんでもありのおかしな政権になりつつあるのではないか、という疑念が解消されるか、逆に疑念が深まるかということが、少しずつ見えてくると思うんです。人事権を握られた現在、霞が関の官僚はひたすら忖度に動いてしまい、「総理が言っているんだから」で済まされ、本来は司司であるべき官僚の姿勢さえもゆがみかねないという、政治の現状を理解することができてくると思います。官僚側に立てば、反対意見を述べて自分たちが左遷されるのが一番怖いということなのでしょう。

 かつて、小泉政権下で打ち出した教育政策が、当時文科省の一課長だった前川氏の考える教育理念・政策の在り方に合わないと、ご本人がブログを書いて反論していたことがあったようですが、小泉改革の中でも、彼が左遷されることはありませんでした。今は、そういうことがあるとすぐに、課長は飛ばされてしまいます。ものを言えない空気が霞が関官僚の中に漂っていて、官僚の間に不満もたまっていると思います。
(姫野ケイ)

(後編へつづく)

東京新聞・望月衣塑子記者が語る、安倍政権の裏側――記者がスパイのように……

 安倍晋三首相のスポークスパーソンである菅義偉官房長官の記者会見で、何度も食い下がって質問を続けるひとりの女性記者が注目を集めている。その取材の様子が話題となり、最近はテレビや雑誌にもたびたび登場している東京新聞社会部の記者、望月衣塑子さんだ。なぜ菅官房長官にしつこく質問するのか、政治取材の現場はどういうところなのか、そして安倍政権の裏側について、望月さんに聞いた。

■記者クラブの会見では、指名される人が決まっている

――菅官房長官への記者会見で毎回食いついていますが、望月さん以外の記者は、あまり切り込んだ質問をしていないように見受けられます。安倍政権に批判的な質問をしてはいけない“暗黙の了解”のような雰囲気が記者クラブにはあるのでしょうか? また、そもそも記者クラブとは、どういう集まりなのでしょうか?

望月衣塑子さん(以下、望月) 記者クラブとは、総理大臣をはじめ各官庁、政党を担当している(大手メディアのテレビや新聞などの)政治部記者が入っている記者会で、そのうちの大きなひとつが「内閣記者会」(官邸クラブ)です。最初は私も「批判的な質問をしないのが普通なのかな?」と思っていたのですが、菅官房長官の会見では、手を挙げている記者の質問には、批判的な内容でも全部きちんと答えています。一方、安倍首相の記者会見では、司会者は絶対に安倍首相のお気に入りの記者しか指名せず、NHKなどは手を挙げてもいないのに指されると聞きました。菅官房長官の会見に関しては、官邸クラブが中心ではありますが、フリーの記者でも金曜午後は入れるようになっており、ある程度開かれてはいます。

 かつては政権に批判的な記者の質問も多かったと聞きましたが、最近は、あまり官邸に抵抗できないという空気感がクラブにあると思いますね。加計学園疑惑の話は、マイルドな聞き方をされていますし。

――望月さんは政治部ではなく、社会部の記者ですよね。ほかの部の記者でも入れるんですか?

望月 明確に記者会所属の記者しか出てはいけないという規定はないので、内閣記者会に会社が登録し、国会記者証を持っているなどいくつか条件をクリアしていれば、フリーの記者も含めて会見には入れます。官邸は週刊誌などのマスコミも、どんどん来ていいというスタンスとも聞きますが、内閣記者会側が既得権にこだわっており、フリーの記者が金曜日の午後会見以外に出ることには否定的だと聞いています。

――官邸クラブの記者は、政府の「御用記者」のような感じなのでしょうか?

望月 政治部と社会部では、目指している方向が、そもそも違うのだと思うので、批判的な質問をしない政治部記者が問題だとは思いません。政治部記者の中では、社会部的な疑惑の追及より、北朝鮮や中国との関係をはじめとする国際情勢や、経済政策などの政治情勢がどんどん動いていくから、それを日々追って、菅長官のコメントを取ることの方が重要なのだとも思います。

 だから、稲田朋美防衛相など、選挙での政治情勢に影響する失言などには、とても敏感だし、ツッコミも入るのですが、加計疑惑や下村疑惑(下村博文議員が加計学園から闇献金を受けたといわれる疑惑)などの社会部的な疑惑をいちいち掘り下げていくという雰囲気ではないのだと思います。政治部記者としては、日々目まぐるしく回っていく政治をどうフォローしていくかが主眼で、疑惑の追及が重要ではないというスタンスなのかもしれません。そのため、疑惑を掘り下げている社会部の記者こそが、怒りをもって追及していけるのだと思います。

――望月さんは、会見時に菅官房長官に何度も質問をされていますが、それに対し、菅官房長官は質問の答えになっていないような回答ばかりされていますよね。

望月 今では、その様子を国民に見せることが必要だと思っています。国民は、何を質問しても、菅官房長官がうろたえて同じ答弁を繰り返すのを見て、「さすがに『加計ありきでない』という言い訳は苦しいよな」と思い始めているのではないでしょうか。

――NHKや民放をはじめとしたテレビには、すべてをきちんと放送できない事情があるのでしょうか?

望月 これは、私がテレビ関係者から聞いた話ですが、例えば、国会が開いている間は加計学園疑惑がこぞって放送されていました。しかし、国会が閉じてしまうと加計疑惑について報道するかどうかは各局の判断になるそうで、そこから、各局の政権に対する忖度のスタンスがよくわかるというのです。ある番組ではトップで扱っているものが、別の番組では三番手扱いのニュースになっているとか。また、ある民放局では、コメンテーターに官邸の見解を話す人を入れるよう、上から指示が来たという話があるとも聞きました。

 テレビと比較すると新聞は、そのようにあからさまな圧力は受けていません。数年前、衆議院議員選挙を前に、萩生田光一官房副長官が民放各局の番組担当者や編集局長などに宛てて、「公平中立、公正な選挙報道を」という内容の文書を送りつけています。このように政権が選挙報道側に規制を前提とするような圧力をかけることはありませんでしたから、極めて衝撃的な文書であり、安倍一強の下での政権のテレビメディアへの関与、圧力があからさまになった出来事でした。しかし、そのときも、すぐに騒ぎにはなりませんでした。やはり、テレビは電波を総務省に握られている(電波法に基づいて放送免許を与えられている)ことも関係あるのかもしれません。

 本来は、このような圧力があったら、テレビメディアは断固として闘うべきでしょうが、それはなかった。逆に、あの萩生田文書を契機に、テレビメディアの忖度が急速に進展していったのではないかという気がしています。これは民主主義や言論の自由にとって大きな危機だったと感じています。

――なんだか独裁国家のような感じですね。

望月 恐怖政治のようにも見えるかもしれませんが、問題とされるべきは、政権だけでなく、メディア側の姿勢にもあると思います。関係者を取材すると、官邸側は反政権的な官僚や政治家、マスコミ関係者などについて、出身官庁からの情報など、あらゆるチャンネルを使って調べているとも聞きます。韓国・釜山の総領事の森本康敬氏が異例の交代となった背景には、マスコミ関係者と森本氏が会食した際、政権に批判的な発言をしたことが、官邸に伝わったためとも聞きます。ある元自民党議員は、取材に対し「政治部記者に官邸批判をしていたら、その話がすべて官邸に筒抜けになっていて恐ろしかった」とも言っていました。前川喜平・前文科省事務次官は、一部メディアで報道が出る前に、新宿のバー通いについて官邸の杉田和博副長官から指摘を受けていました。

 どこのメディアでもそうですが、その部署に50人の記者がいれば50人分、取材対象から聞き取った内容のメモができます。マスコミのある社では、かつてはそのメモを記者全員で共有していたそうですが、今は「反政権的なことを言っている官僚や政治家がいます」と、官邸サイドにその話が筒抜けになるのを防ぐため、キャップやサブキャップ以外にメモをシェアしない形を取るようになったとも聞きました。これは、政権が怖いということ以上に、権力側に気に入られ、権力に食い込もうとするがために、記者が自ら進んでメモを権力に差し出していると推測させることを示しています。こういう状況は、かなり危機的ではないかとも感じます。どんな立場にいようと、最後はメディア、そして記者は権力の監視・チェックをし、権力の暴走を防ぐために存在するということを肝に銘じる必要があると思っています。

――権力を監視するはずの記者が、その役割を果たしていないということでしょうか?

望月 記者としては政権の内部に食い込みたいから、そのメモを官邸サイドに渡すのでしょうが、結局それは、官邸が記者をスパイのように使う材料にもなっているわけです。前川前次官に聞きましたが、文科省の文化功労者選考分科会の委員の人選で、閣議決定が必要なものがあったため、事前に官邸にお伺いを立て、人事のリストを見せた時、杉田副長官から「この学者は安保法制反対の学者の会にいるよね」とか「この人は政権にあまり賛成していないね」と指摘を受けたと話していました(杉田副長官は否定)。前川氏は、「要は、委員のメンバーからは外せと言いたかったのでは」と話していました。この話を菅官房長官にぶつけると、「それはない」と激しく否定し、指摘されたことをとても嫌がっていました。内閣人事局を掌握し、2014年以降、霞が関の部長級以上の官僚5,600人の人事権を握るようになったことは、今の政権の力の源泉です。その内幕のような話は、最も触れてほしくない部分なのでしょう。

 前川氏によると、安倍政権前のかつての自民党でも似たようなことはあったが、審議会の人事に少しくらい反政府側の知識人がいても、官邸がそこまで口出しをすることはなかったそうです。民主主義的な議論をするには、ある程度、さまざまな立場の意見がある方が、議論に多様性があっていいじゃないですか。でも今、安倍首相の作り出す会議は、みんな安倍首相の色に染まった人ばかり。加計学園の民間の諮問会議のメンバーしかり、「NO」と言う人は周りに絶対寄せ付けたくないという感じがあります。メディアの使い方にしてもそうです。本来は国会の場など誰に対しても開かれている公平な場でこそ、自らの狙いや心情を打ち出してしかるべきなのに、読売新聞の一面で憲法改正議論を5月3日に出して、国会で「読売新聞を読んでください」と言い放ったり、改憲案を秋の臨時国会で提出することを「正論」懇話会が主催したイベントで言ったりとか、そういうのは非常におかしな話だなと思います。

――おかしなところが多い今の政権に対して、国民はただ見守ることしかできないのでしょうか?

望月 まずは知ることです。今、政治がどうなっているのか知ることで、選挙の際の一票につなげてください。支持率の低下は、政権にとって大打撃なんです。加計疑惑の中身をきっちりと知れば、今の政権がなんでもありのおかしな政権になりつつあるのではないか、という疑念が解消されるか、逆に疑念が深まるかということが、少しずつ見えてくると思うんです。人事権を握られた現在、霞が関の官僚はひたすら忖度に動いてしまい、「総理が言っているんだから」で済まされ、本来は司司であるべき官僚の姿勢さえもゆがみかねないという、政治の現状を理解することができてくると思います。官僚側に立てば、反対意見を述べて自分たちが左遷されるのが一番怖いということなのでしょう。

 かつて、小泉政権下で打ち出した教育政策が、当時文科省の一課長だった前川氏の考える教育理念・政策の在り方に合わないと、ご本人がブログを書いて反論していたことがあったようですが、小泉改革の中でも、彼が左遷されることはありませんでした。今は、そういうことがあるとすぐに、課長は飛ばされてしまいます。ものを言えない空気が霞が関官僚の中に漂っていて、官僚の間に不満もたまっていると思います。
(姫野ケイ)

(後編へつづく)