“鯨食文化”を守るため国際機関を脱退…商業捕鯨の再開に踏み出した日本政府の意義

 日本で31年ぶりに商業捕鯨が再開された。捕鯨はかつての活気を取り戻し、また、日本人の食卓に鯨食文化は戻ってくるのだろう。

 政府は2019年6月、商業捕鯨に反対する国との溝が埋まらなかったため、クジラの資源管理について話し合うIWC(国際捕鯨委員会)を脱退した。7月からは商業捕鯨が再開され、12月にはそれまで調査捕鯨を規定していた「鯨類科学調査実施法」が、商業捕鯨に開始に合わせて改正され、「鯨類の持続的な利用の確保に関する法律」として超党派の議員による議員立法として提出され、成立した。加えて、水産庁は商業捕鯨を支援するため、2020年度予算で51億円の予算を計上した。2020年から本格的な商業捕鯨が開始されることになる。

 ここで簡単に日本の商業捕鯨の歴史を振り返っておこう。

 日本人とクジラの関係は古い。江戸時代には、すでに庶民の間には鯨食文化が広まっていた。明治、大正時代を通じて、クジラは様々なものに利用された。鯨肉を食料としただけではなく、鯨油は燃料や潤滑油、石鹸などに利用された。

 第二次世界大戦が始まると捕鯨は中断されたが、敗戦後、日本を襲った深刻な食糧難の中でクジラは貴重なタンパク源として捕鯨が再開された。しかし、1946年12月にはICRW(国際捕鯨取締条約)が締結され、日本の商業捕鯨に“暗雲”が漂い始めた。1948年にはIWCが設立され、日本も1951年に加盟した。1960年代に入ると、IWCは捕鯨に対する規制強化に乗り出す。国別捕獲枠の設定や減少鯨種の捕獲禁止措置などが実施された。

 そして、1972年に国連人間環境会議で「商業捕鯨の10年間のモラトリアム(猶予期間)」の勧告が米国から提案され、採択される。同会議こそが現在の捕鯨問題に係わる国際紛争の原点となっている。

 余談だが、米国によるこの勧告の提案は、米国がベトナム戦争(1955年11月~1975年4月)で行った環境破壊が問題化し始めていたことで、この問題から議論をそらすために、突如提案したものだった。

 そして、1982年のIWC総会で1986年以降の商業目的の捕鯨頭数をゼロとする「商業捕鯨モラトリアム」が可決される。これを受け、日本は1988年に商業捕鯨を中止し、調査捕鯨へと転換した。

 国際世論を背景に、調査捕鯨に舵を切らざるを得なかった日本だが、調査捕鯨に対しても反捕鯨団体の「グリーンピース」や「シー・シェパード(SS)」など様々な抵抗に遭う。特に、SSによる妨害行為は熾烈なものだった。

 ニュース映像で見たこともある人もいるだろうが、SSは調査捕鯨船への体当たりを行うなど危険な妨害活動を展開し、調査捕鯨が中止に追い込まれる事態も発生した。日本は、2011年11月にSSに対する訴訟を提起、2017年8月にSSは妨害を行わないとの声明を出した。

 調査捕鯨の結果、水産白書などによるとクロミンククジラ、ミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラなどでの資源状況が健全と確認され、日本は商業捕鯨の再開に向けで動き始める。しかし、その後も反捕鯨国との歩み寄りは見られず、2018年12月26日、政府はICRWからの脱退と日本の領海および排他的経済水域での商業捕鯨の再開を決定する官房長談話を発表した。

 さて、こうして商業捕鯨の再開に踏み出した日本だが、“茨の道”が待っている。商業捕鯨の中核を担う共同船舶は、大手水産会社の捕鯨部門を統合した日本共同捕鯨を母体に設立されている。つまり、日本の大手水産会社は捕鯨から撤退しており、鯨食の復活に向け、大手の水産会社が再び参入する可能性は低い。

 また、政府は商業捕鯨を支援するため予算措置を行っているが、この支援がいつまで行われるかは不透明だ。共同船舶では、捕鯨母船日新丸は老朽化が進んでおり、新母船の建造が進んでいるが、政府の補助金に頼らずに商業としての捕鯨を成り立たせることは果たしてできるのであろうか。

 だが、最大の課題は日本人が再び鯨肉を好んで食べるようになるか、だろう。筆者が小学生の時、学校給食には「クジラの竜田揚げ」や「クジラベーコン」など鯨肉が頻繁に出された。農林水産省の「食料需給表」によると鯨肉の国民1人あたりの1日の供給数量は、ピークの1962年度は6.7gだったが、2018年度には0.1gまで減少している。大手水産会社が捕鯨に前向きではないのと同様に、大手スーパーは鯨肉の販売に対して“後ろ向き”だと言われている。今や鯨肉を食べている日本人はほとんどいない。

 米国の属国と揶揄される日本が、鯨食文化という自らの文化を守るため、国際機関を脱退してまで自らの意思を貫いた意義は大きい。2020年はみんなでクジラを食べよう!

“鯨食文化”を守るため国際機関を脱退…商業捕鯨の再開に踏み出した日本政府の意義

 日本で31年ぶりに商業捕鯨が再開された。捕鯨はかつての活気を取り戻し、また、日本人の食卓に鯨食文化は戻ってくるのだろう。

 政府は2019年6月、商業捕鯨に反対する国との溝が埋まらなかったため、クジラの資源管理について話し合うIWC(国際捕鯨委員会)を脱退した。7月からは商業捕鯨が再開され、12月にはそれまで調査捕鯨を規定していた「鯨類科学調査実施法」が、商業捕鯨に開始に合わせて改正され、「鯨類の持続的な利用の確保に関する法律」として超党派の議員による議員立法として提出され、成立した。加えて、水産庁は商業捕鯨を支援するため、2020年度予算で51億円の予算を計上した。2020年から本格的な商業捕鯨が開始されることになる。

 ここで簡単に日本の商業捕鯨の歴史を振り返っておこう。

 日本人とクジラの関係は古い。江戸時代には、すでに庶民の間には鯨食文化が広まっていた。明治、大正時代を通じて、クジラは様々なものに利用された。鯨肉を食料としただけではなく、鯨油は燃料や潤滑油、石鹸などに利用された。

 第二次世界大戦が始まると捕鯨は中断されたが、敗戦後、日本を襲った深刻な食糧難の中でクジラは貴重なタンパク源として捕鯨が再開された。しかし、1946年12月にはICRW(国際捕鯨取締条約)が締結され、日本の商業捕鯨に“暗雲”が漂い始めた。1948年にはIWCが設立され、日本も1951年に加盟した。1960年代に入ると、IWCは捕鯨に対する規制強化に乗り出す。国別捕獲枠の設定や減少鯨種の捕獲禁止措置などが実施された。

 そして、1972年に国連人間環境会議で「商業捕鯨の10年間のモラトリアム(猶予期間)」の勧告が米国から提案され、採択される。同会議こそが現在の捕鯨問題に係わる国際紛争の原点となっている。

 余談だが、米国によるこの勧告の提案は、米国がベトナム戦争(1955年11月~1975年4月)で行った環境破壊が問題化し始めていたことで、この問題から議論をそらすために、突如提案したものだった。

 そして、1982年のIWC総会で1986年以降の商業目的の捕鯨頭数をゼロとする「商業捕鯨モラトリアム」が可決される。これを受け、日本は1988年に商業捕鯨を中止し、調査捕鯨へと転換した。

 国際世論を背景に、調査捕鯨に舵を切らざるを得なかった日本だが、調査捕鯨に対しても反捕鯨団体の「グリーンピース」や「シー・シェパード(SS)」など様々な抵抗に遭う。特に、SSによる妨害行為は熾烈なものだった。

 ニュース映像で見たこともある人もいるだろうが、SSは調査捕鯨船への体当たりを行うなど危険な妨害活動を展開し、調査捕鯨が中止に追い込まれる事態も発生した。日本は、2011年11月にSSに対する訴訟を提起、2017年8月にSSは妨害を行わないとの声明を出した。

 調査捕鯨の結果、水産白書などによるとクロミンククジラ、ミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラなどでの資源状況が健全と確認され、日本は商業捕鯨の再開に向けで動き始める。しかし、その後も反捕鯨国との歩み寄りは見られず、2018年12月26日、政府はICRWからの脱退と日本の領海および排他的経済水域での商業捕鯨の再開を決定する官房長談話を発表した。

 さて、こうして商業捕鯨の再開に踏み出した日本だが、“茨の道”が待っている。商業捕鯨の中核を担う共同船舶は、大手水産会社の捕鯨部門を統合した日本共同捕鯨を母体に設立されている。つまり、日本の大手水産会社は捕鯨から撤退しており、鯨食の復活に向け、大手の水産会社が再び参入する可能性は低い。

 また、政府は商業捕鯨を支援するため予算措置を行っているが、この支援がいつまで行われるかは不透明だ。共同船舶では、捕鯨母船日新丸は老朽化が進んでおり、新母船の建造が進んでいるが、政府の補助金に頼らずに商業としての捕鯨を成り立たせることは果たしてできるのであろうか。

 だが、最大の課題は日本人が再び鯨肉を好んで食べるようになるか、だろう。筆者が小学生の時、学校給食には「クジラの竜田揚げ」や「クジラベーコン」など鯨肉が頻繁に出された。農林水産省の「食料需給表」によると鯨肉の国民1人あたりの1日の供給数量は、ピークの1962年度は6.7gだったが、2018年度には0.1gまで減少している。大手水産会社が捕鯨に前向きではないのと同様に、大手スーパーは鯨肉の販売に対して“後ろ向き”だと言われている。今や鯨肉を食べている日本人はほとんどいない。

 米国の属国と揶揄される日本が、鯨食文化という自らの文化を守るため、国際機関を脱退してまで自らの意思を貫いた意義は大きい。2020年はみんなでクジラを食べよう!

米軍では入隊制限への反発も! 我が国ニッポン「自衛隊とLGBT」の知られざる現状

――米軍では今年4月からトランスジェンダーの入隊制限を開始。このトランプ政権の政策には大きな反発が起きている。一方で隣国の韓国では兵士の同性愛が禁止され、こちらも人権団体の非難の対象だ。一方で日本の自衛隊では、LGBTへの対応に関する目立った報道はなし。その存在は緩やかに容認されているように見えるが、本稿における取材でさまざまな問題が見えてきた。

 今年4月から始まった、米軍のトランスジェンダー入隊制限。米軍では、第二次大戦の頃から続いていた同性愛者の従軍禁止がクリントン政権下で条件付きで解除。オバマ政権下ではトランスジェンダーの受け入れ方針も決定していた。そうした流れにも逆行するトランプの政策は強い反発を呼んでいる。

 一方、自衛隊のLGBTへの対応では、ニュースになるようなトピックは少ない。2017年の一部規則の変更で、性的指向・性自認に関する偏見的な言動がセクハラに認定されるようになった程度だ。そのセクハラの注意喚起は、自衛隊のコンプライアンス・ガイダンスにも明記されており、LGBTの存在は自衛隊内で事実上、容認されているようにも見える。 この日米の状況の違いはどう考えるべきなのか。名古屋市立大学人文社会学部准教授で、ジェンダー論、セクシュアリティ論が専門の菊地夏野氏はこう解説する。

「米軍と比較して自衛隊がLGBTに寛容かというと、決してそうは言えません。そもそも米国においてジェンダーやセクシュアリティの問題は、宗教的な信念・価値観に深くかかわるもの。そのため深い議論が長年続いてきました。一方の日本では、LGBT関連の報道は近年増えたものの、メディアも国民もどこかひとごとの雰囲気があります。性別変更にかかわる性同一性障害特例法も、その厳しい要件(婚姻をしている人や未成年の子どもがいる人は申請が認められない)の違憲性を問う裁判が行われているのに、ほとんど報道がありません」

 つまり米国は「ジェンダーやセクシュアリティに関する論争・対立が日本より見えやすいだけ」であり、差別的な実態は日本にも温存されているのだ。

 では自衛隊内ではLGBTの隊員にどのような対応がなされているのか。陸上自衛隊在籍中に自身のセクシュアリティを自覚し、退職後に性別適合手術を行った松﨑志麻氏に話を聞いた。
「96人の同期の女性隊員には、私と同じFTMの人が7人ほどいて、バイセクシュアルや同性愛の隊員も数名いました。私は広くカミングアウトをしている珍しいタイプでしたが、周囲から特別扱いされることもなく、ごく自然に接してくれる人も多かったです」

 ただ、ホルモン治療や性別適合手術の相談をすると、「上司によって対応が分かれる」とのこと。

「理解のある上司のもとでは、ホルモン治療や胸の手術が認められた隊員もおり、航空自衛隊の幹部には性別適合手術まで終えた方もいるそうです。私の場合も、最初の上司は理解のある方でしたが、その次の上司は治療の相談に対して『それだけお金があるなら俺に原付を買ってくれ』と言うような人でした。その上司は私が女性の隊舎に住むことも問題視し、『監視が必要だから一人部屋も認めない』とも言われました」(松﨑氏)

 松﨑氏によると、別の部隊に在籍したFTMの隊員には、事実無根の噂や悪口を周囲やネットに広められた人や、「男なら胸や尻を触っても大丈夫だろ」とセクハラをされた人もいたという。ハラスメントは実態として存在していたのだ。また入隊時は全員が基地内で生活する自衛隊では、共同浴場での入浴もハードルになる。

「FTMの人にとっては共同浴場での入浴は苦痛なのですが、下の階級の隊員は個別のシャワーを利用できない駐屯地(陸上自衛隊の基地)もあります。そのため水しか出ない消灯後のシャワーで、こっそり体を洗っている隊員もいました」(松﨑氏)

 GID(性同一性障害)の診断やホルモン治療、性別適合手術を行う自由が丘MCクリニックの大谷伸久氏も次のように話す。

「一般企業ではGIDの診断書を提出すれば、トイレや更衣室の問題も対応してくれるところが増えていますが、共同浴場もある自衛隊では柔軟な対応はまだ難しい。また規則に基づいて行動するのが原則の組織ですから、GIDの隊員への対応も部隊内で目立たない範囲で行わなければいけないでしょう。対応が上司次第になるのはそのためでしょうし、当院を利用した自衛隊の方によると、『手術したらクビにするぞ』と言った上官もいたそうです」(大谷氏)

 自衛隊はもともと男女の扱いの違いがハッキリした組織であり、「男らしさを中心原理に動く組織」(菊地氏)でもある。「そのため男性から女性へと性別変更するMTFの人は、FTMの人以上に苦労することが多いのではないでしょうか」と菊地氏。実際に松﨑氏の周囲のトランスジェンダーの隊員はほぼ全員がFTM。MTFの知り合いの隊員は、「『なよなよしている』『女とばかり仲良くしすぎ』などといじめの対象になりやすかった」とのこと。ゲイやレズビアンの隊員については「カミングアウトをせずに働き続けている人が多いのではないか」と松﨑氏は話す。

「FTMの隊員が性別変更まで進むのは今も難しいでしょうし、自分らしく生きることをあきらめて自衛隊に残るか、自衛隊を出て性別を変えるかの選択を迫られることになるはずです。私は手術と性別変更のために退職しましたが、自衛隊の仕事は好きで、男性として戻ることも考えました。ただ、問い合わせをすると、『入隊はできても訓練やお風呂等の対応はどうなるかわからない』との回答でした」(松﨑氏)

 現状で自衛隊に求められるのは、トランスジェンダーの隊員の入隊や、在籍時の手術・性別変更等への対応について、一定のルールを設けることだろう。

「自衛隊は何から何まで規則で動き、例外を作りたがらない組織です。上に明確なルールができれば、上官によって対応が異なる問題も解決するのではないでしょうか。また『性別を変えてから入隊する』という選択をする人が出てくれば、女子大がトランスジェンダーの入学について検討を始めているように、自衛隊も何らかの対応を始めると思います」(大谷氏)

 将来的に幹部になる自衛官の教育などでは、「LGBTについての授業も行われるようになったと聞いています」と松﨑氏。なお日本政府と自衛隊のかかわりにも注視する必要がある。
「政府は女性活躍推進政策のアピール材料として、自衛官の女性比率増加を掲げています。それと同様に社会的なイメージアップ戦略として、自衛隊にLGBTに関する制度を設けたり、採用した隊員を広報宣伝に活用していくことも考えられます」(菊地氏)

 ただ、それがイメージアップにとどまるもので、実態が変わらなければやはり問題だ。

「ゲイフレンドリーを積極的に打ち出し、パレスチナ人への人権侵害の事実を覆い隠すイスラエルの政策が『ピンクウォッシュ』と非難されたのと同様のことが、自衛隊で起こる可能性があります。また自衛隊とLGBTの関係は、『男性がマジョリティを占める組織にLGBTが参入することで本当に差別はなくなるのか』『そもそも戦闘も行う組織に加わるべきなのか』といった観点や、自衛隊の存在をどう捉えるかも含めて議論すべきです」(菊地氏)

 男性原理が強く支配する自衛隊と、LGBTの関係を考えること。それは日本社会の問題点や課題と向き合うことにもなるのではないか。(月刊サイゾー9月号『新・戦争論』より)

文科省の癒着疑惑も!? 萩生田文科相「身の丈」発言で炎上の入試改革「国語・数学は導入の方向」

 “大学入学共通テスト”は一体、誰のためのものなのか――?

 12月6日、大学教員や予備校講師らで構成された「入試改革を考える会」は文部科学省で記者会見を開き、大学入学共通テストで導入が検討されている記述式問題の再検討を訴えた。

 この記述式問題導入をめぐっては、これまで何度もその問題点を指摘するデモや会見が行われており今回、改めて問題が浮き彫りになった格好だ。

 まずはことの経緯を見ていこう。

 2014年12月に中央教育審議会が「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について―すべての若者が夢や目標を芽吹かせ、未来に花開かせるために―」という答申をまとめた。

 この答申に盛り込まれたのが、現在のセンター試験を廃止して「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト」の導入だった。そして、試験方法として新たに「記述式」の導入が提言された。

 この答申を受け、現行の大学入試センター試験は19年度(20年1月実施)が最後となり、20年度から新たに大学入学共通テストが開始されことになった。そして、入試改革の柱として国語・ 数学での記述式の導入と英語民間試験の活用が打ち出された。

 しかし、2回のプレテストが行われた結果、この国語・ 数学での記述式の導入と英語民間試験の活用には批判が相次いだ。試験そのものを特定の民間業者へ委託することで、「採点の公平性に対する疑問」が大きな問題となったのだ。それに加えて、「生徒による自己採点と実際の採点に差が生じる」点も問題視された。

 実際にプレテストの結果、自己採点と採点結果の一致率は、国語で7割、数学で8~9割となり、採点の公平性という点では、試験の受託業者が研修を受けた採点者となる大学院生ら約2,000人に対して、記述式問題を複数人で1つの答案を採点させ、大学入試センターが無作為抽出で行った点検では、国語では約0.3%の採点結果に補正が必要であった。

 1~2点の得点差で希望大学への入学の道が絶たれることになりかねないのだから、受験生にとっては例え0.3%の補正であっても、「採点の公平性が保たれていないこと」は重大な問題だ。

 その採点という重要な業務が“民間業者への丸投げ”となれば、批判を招くのも当然の事態だろう。最初に“火を噴いた”のは、英語民間試験の活用だった。10月24日、国会で英語民間試験の活用について問われた萩生田光一文科相は、「“身の丈に合わせて”受験してほしい」と答弁し、批判が殺到した。結局、10月28日に萩生田文科相は、「受験生に不安を与えかねない説明不足な発言であった」と謝罪するに至った。

 しかし、英語民間試験の活用に対する批判は収まらず、11月1日に文科省は英語民間試験の活用の20年度の導入を見送ることを発表した。11月8日、萩生田文科相は、「文科省が民間試験団体の取り組みを十分に指導・監督できる制度設計になっておらず、連携と調整が十分ではなかった。各大学の活用内容、情報提供不足などの準備の遅れにつながった。公平でアクセスしやすい仕組みはどのようなものなのか、検討会議を設けて、今後1年をめどに検討して結論を出したい」と答弁している。

 英語民間試験の活用は延期されたが、国語・ 数学での記述式の導入については、20年度の大学入学共通テストから導入する方向で進んでいる。同テストでは、国語と数学でそれぞれ小問3問の記述式問題が出題され、採点はベネッセなど教育産業の大手民間事業者に委託する仕組みに変更はなく、プレテストで問題が指摘された採点の公平性などについての対策は明らかにされていない。

 なぜ、英語民間試験の活用だけが延期され、国語・ 数学での記述式の導入は実施にこだわるのか。教育利権を持った国会議員や文科省と民間業者との“癒着”まで取り沙汰されている始末だ。

 今や、4年制大学への進学は高校生の半数以上に上る。進学率は90年頃は25%前後だったが、現在では50%を超えている。少子化の影響を受け、生徒数の減少による経営難に陥る大学もあり、ほとんど無試験で入学を許可する大学もある。

 教育は国の礎だ。こうした時代背景も考慮し、大学入試のあり方を考えるべきであり、大学そのもののあり方も変革していくべきだろう。大学入試は受験生の人生を決める一つの大きな要素でもある。大学入試は誰のためのものなのか、大学はどうあるべきなのかという点を踏まえた入試制度改革を行うべきだ。

文科省の癒着疑惑も!? 萩生田文科相「身の丈」発言で炎上の入試改革「国語・数学は導入の方向」

 “大学入学共通テスト”は一体、誰のためのものなのか――?

 12月6日、大学教員や予備校講師らで構成された「入試改革を考える会」は文部科学省で記者会見を開き、大学入学共通テストで導入が検討されている記述式問題の再検討を訴えた。

 この記述式問題導入をめぐっては、これまで何度もその問題点を指摘するデモや会見が行われており今回、改めて問題が浮き彫りになった格好だ。

 まずはことの経緯を見ていこう。

 2014年12月に中央教育審議会が「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について―すべての若者が夢や目標を芽吹かせ、未来に花開かせるために―」という答申をまとめた。

 この答申に盛り込まれたのが、現在のセンター試験を廃止して「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト」の導入だった。そして、試験方法として新たに「記述式」の導入が提言された。

 この答申を受け、現行の大学入試センター試験は19年度(20年1月実施)が最後となり、20年度から新たに大学入学共通テストが開始されことになった。そして、入試改革の柱として国語・ 数学での記述式の導入と英語民間試験の活用が打ち出された。

 しかし、2回のプレテストが行われた結果、この国語・ 数学での記述式の導入と英語民間試験の活用には批判が相次いだ。試験そのものを特定の民間業者へ委託することで、「採点の公平性に対する疑問」が大きな問題となったのだ。それに加えて、「生徒による自己採点と実際の採点に差が生じる」点も問題視された。

 実際にプレテストの結果、自己採点と採点結果の一致率は、国語で7割、数学で8~9割となり、採点の公平性という点では、試験の受託業者が研修を受けた採点者となる大学院生ら約2,000人に対して、記述式問題を複数人で1つの答案を採点させ、大学入試センターが無作為抽出で行った点検では、国語では約0.3%の採点結果に補正が必要であった。

 1~2点の得点差で希望大学への入学の道が絶たれることになりかねないのだから、受験生にとっては例え0.3%の補正であっても、「採点の公平性が保たれていないこと」は重大な問題だ。

 その採点という重要な業務が“民間業者への丸投げ”となれば、批判を招くのも当然の事態だろう。最初に“火を噴いた”のは、英語民間試験の活用だった。10月24日、国会で英語民間試験の活用について問われた萩生田光一文科相は、「“身の丈に合わせて”受験してほしい」と答弁し、批判が殺到した。結局、10月28日に萩生田文科相は、「受験生に不安を与えかねない説明不足な発言であった」と謝罪するに至った。

 しかし、英語民間試験の活用に対する批判は収まらず、11月1日に文科省は英語民間試験の活用の20年度の導入を見送ることを発表した。11月8日、萩生田文科相は、「文科省が民間試験団体の取り組みを十分に指導・監督できる制度設計になっておらず、連携と調整が十分ではなかった。各大学の活用内容、情報提供不足などの準備の遅れにつながった。公平でアクセスしやすい仕組みはどのようなものなのか、検討会議を設けて、今後1年をめどに検討して結論を出したい」と答弁している。

 英語民間試験の活用は延期されたが、国語・ 数学での記述式の導入については、20年度の大学入学共通テストから導入する方向で進んでいる。同テストでは、国語と数学でそれぞれ小問3問の記述式問題が出題され、採点はベネッセなど教育産業の大手民間事業者に委託する仕組みに変更はなく、プレテストで問題が指摘された採点の公平性などについての対策は明らかにされていない。

 なぜ、英語民間試験の活用だけが延期され、国語・ 数学での記述式の導入は実施にこだわるのか。教育利権を持った国会議員や文科省と民間業者との“癒着”まで取り沙汰されている始末だ。

 今や、4年制大学への進学は高校生の半数以上に上る。進学率は90年頃は25%前後だったが、現在では50%を超えている。少子化の影響を受け、生徒数の減少による経営難に陥る大学もあり、ほとんど無試験で入学を許可する大学もある。

 教育は国の礎だ。こうした時代背景も考慮し、大学入試のあり方を考えるべきであり、大学そのもののあり方も変革していくべきだろう。大学入試は受験生の人生を決める一つの大きな要素でもある。大学入試は誰のためのものなのか、大学はどうあるべきなのかという点を踏まえた入試制度改革を行うべきだ。

安倍首相が乗り切った「桜を見る会」疑惑で2つの重要資料が出てこない理由

 街がクリスマスムードに包まれているというのに、永田町だけは桜、桜とかまびすしかったわけだが、臨時国会が閉幕に近づき、安倍官邸はこの疑惑を乗り越えたように見える。

 安倍首相主催の「桜を見る会」の問題である。

 それにしても、森友・加計問題を彷彿とさせる後味の悪さだった。「桜」取材に忙殺された政治部記者が嘆息する。

「いずれも決して『巨悪』でなく、安倍総理や夫妻がちょっと権力を私物化してしまっただけ。安倍首相がきちんと事実を認めて謝りさえすれば良かったが、まずいのは役所側で、それらを”合法化”させたいあまり、行き当たりばったりの理論武装を始めてドツボにハマってしまった。森友問題で自殺者を出したトラウマがあったからか、桜を見る会は、即座に来年の中止が決まりましたが、役所の”忖度”は相変わらず。野党の資料要求当日に、招待者名簿がシュレッダーにかけられたり、さらにその言い訳をするため、安倍首相に『障害者職員の勤務時間を調整して、たまたまその時期になった』と答弁させました」

 子どもでもウソとわかる答弁のオンパレードだったのに、事態が収束に向かっているのはなぜなのか。

 2つの重要資料、すなわち、シュレッダーにかけられた内閣府作成の「安倍首相枠」の招待者名簿、安倍後援会による前夜祭のホテルニューオータニの明細書、がなかなか出てこないためだ。

「招待者には、安倍首相の後援者だけでなく、単に名刺交換をしただけの反社会勢力も含まれると見られています。安倍首相は『サーバーでデータ保存し、その廃棄後は復元できない』と答弁しましたが、その生データがあれば、ツッコミどころ満載となります。前夜祭は1人会費5,000円という高級ホテルのパーティにしては格安の設定で、安倍首相サイドが不足分を持ったのではと疑われています。これは有権者への寄付にあたり、公選法違反。安倍首相は明細書はないと言い放ちましたが、そんなはずはないですし、当然ホテル側が保管しています」(前出の記者)

 森友問題は財務省が公文書を改ざんしていたことを朝日新聞がキャッチしたことで、加計問題は前川喜平・前文科次官の告発があって、「疑獄化」した。

「そうならないのは、内閣府が『ホッチキス官庁』だからですよ」

 前出の記者が解説する。

「財務省にせよ文科省にせよ、官僚人生すべてを捧げる人ばかりで、省への愛があり、だからこそ真実をメディアに告発したくなるのでしょう。一方内閣府は、『ホッチキス』と揶揄される省庁の寄せ集め集団。今の山崎重孝次官は自治省(現総務省)出身ですしね。職員の告発を期待するのは難しそうです」

 ニューオータニの明細書となると、よりハードルが上がる。

「ホテルマンが客の個人情報を出すなどご法度。一発でクビです。そもそも、安倍事務所のようなお得意様にサービスするのは当然で、値段設定はかなり安くしているはず。ただそれが明るみになると、正規料金で利用する他の顧客を怒らせることになる。つまり、安倍事務所、ホテルの双方が、明細は出さないという方針で一致しているのです」(同前)

 野党は来年の通常国会でも追及を続ける方針だが、そこまで世の関心が続くかどうかは、この資料がカギを握っているといえる。

「桜を見る会」問題、野党批判のデマ記事を量産する正体不明のニュースサイトが乱立中!

 総理大臣主催の「桜を見る会」問題の余波が収まらない。

 安倍晋三首相の講演会関係者が多数招待されていたことが明らかになったほか、昭恵夫人の「枠」があることまでもが発覚。野党は公的行事の「私物化」疑惑を徹底追及している。さらには、悪質なマルチ商法を行っていた疑いがあるとして警視庁が強制捜査を行っていたジャパンライフの元会長や、「反社会的勢力」としてマークする人物も招待されていたことも、問題をさらに炎上させている。

「『桜を見る会』問題がメディアで盛んに報じられるようになったのは11月初旬。しんぶん赤旗の報道をもとに、共産党議員が参院予算委員会で取り上げたことで一気に火がついた。途中で女優・沢尻エリカの薬物逮捕という大ニュースもあったものの、スキャンダルにかき消されることもなく、いまだに官邸は野党やメディアの厳しい追及で劣勢に立たされたままです」(週刊誌記者)

 そんな中、これまで安倍首相に好意的な報道を続けてきた、産経新聞などのいわゆる「アベ友」メディアは、「鳩山由紀夫政権時代にも会への後援会関係者の招待があった」として、「ブーメラン」などと旧民主党を揶揄する際に使われるお決まりのフレーズを連発しながら「批判返し」の論陣を張っている。

 しかし、こうした援護射撃は、既存メディアを使ったものばかりではなさそうだ。「桜を見る会」問題が報じられて以降、FacebookなどのSNS上では奇妙な現象が起きているのだ。

「Facebookのタイムラインには、自身やオンラインでつながった知人・友人の書き込み以外にも、広告と連動した動画やニュースサイト、ゲームアプリの宣伝など、さまざまなコンテンツが表示されます。そうしたコンテンツの一種で、『桜を見る会』の報道が盛り上がって以降、ある傾向に沿った記事ばかりを大量に垂れ流すニュースサイトが目立つようになってきたんです」(前出記者)

 例えば、「Share News Japan」なるニュースサイトもそのひとつだ。サイトでは「時事」「話題」「芸能」「スポーツ」の各ジャンルで記事を配信。「政治・経済情報を中心に、ニュースとネット上の反応を見やすくまとめてお届けするウェブメディア」を自称しているが、「その実態は、ネット上の情報を寄せ集めて記事の体裁を整えて配信する、いわゆる『まとめサイト』の一種」(同)だという。

 サイトに掲載されている情報によると代表者は「SAITO」となっているが、運営元の住所や連絡先の記載はなく、その正体は判然としない。なにより不気味なのが、「桜を見る会」についてやたら大量の記事を配信しているのと、その多くが「アベ友」メディアと同様に、疑惑を追及するというよりも、旧民主党など野党の過去の行状をあげつらう情報が目立つという点だ。

 たとえば11月28日に配信された記事のタイトルはこうだ。

【「桜を見る会」反社出席】ほんこんさん「民主党政権時、反社が官邸に出入りしてた事なかった?あと2人の女性野党議員が静かなのは何故?」

 内容は、吉本芸人のほんこんのTwitterの投稿とそれに対する世間の反応を紹介するというもので、「2人の女性野党議員」の名前こそ明かしていないが、その「2人」が、過去に二重国籍問題でバッシングを受けた蓮舫議員や警察当局の捜査対象となったセメント業者との関係が週刊誌に取り上げられた辻元清美議員であることをほのめかしている。

 ほかにも、ネット右翼的発言が目立つ美容整形外科医・高須克弥院長による野党批判のTwitter投稿を取り上げるなど、「野党叩き」の論調がとにかく目立つのだ。

「配信する記事には、不確かな情報や明らかなデマも含まれている。記事の中で批判のターゲットとしている議員の名前を明かさないのは、訴訟リスクを考えてのことでしょう。野党のネガティブな情報ばかりが流されているのには、なんらかの意図を感じます。自民党はSEO対策を請け負う業者と契約するなど、インターネット対策に以前から力を入れていると聞きます。出所不明の怪しいサイトの暗躍に、官邸や与党側にくみする勢力の関与があってもおかしくはありません」(前出記者)

 ネットの世界には、有象無象が跋扈しているということを肝に銘じておいたほうがよさそうだ。

(文=伊芸有象)

 

消費税10%でも税収不足! 米メディアでもネタにされる安倍政権と『桜を見る会国会』のバカバカしさ

 この国の政治家は、国民のことを考えているのだろうか。

 現在開催されている国会では、およそ経済政策についてまともな議論がなされていると言い難い状況だ。一つずつみていこう。

 まず10月1日から消費税率が2%引き上げられ10%となった。消費税の1%引き上げによる税収増加は約2兆円。今回の2%の引き上げで4兆円の税収増となる。

 2019年だけでも、4兆円(1年間の増収額)÷12カ月×3カ月(10、11、12月分)=約1兆円の税収増になる。それでも政府は2019年度の税収見込み額が不足すると予想しており、赤字国債の発行を検討している。

 増税をおこなっても税収不足となる点について、国会ではほとんど議論もされていない状況だ。

 さらにワシントンポストなど米国の複数のメディアでは、トランプ米政権が2021年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担(いわゆる“思いやり”予算)について、現状の約4.5倍に当たる年約80億ドル(約8640億円)への増額を求めていると報じている。現在でも、その“思いやり”予算は米軍基地に関連する人件費や水道光熱費などで年平均約1893億円を日本が負担している。

 消費増税を国民に迫り、国民の痛みを伴った血税を、米国側の要求額通りではないにしろ、その思惑に配慮して増額し、差し出すことになる可能性は高い。

 この“思いやり”予算は、日米交渉で決定されることになっているが、その日米交渉が年末に迫っているにも関わらず、こちらもほとんど議論がかわされている様子はない。

 日米交渉では、日米貿易協定の締結問題もある。9月25日、安倍晋三首相とトランプ米大統領は首脳会談で日米貿易協定締結を最終合意し、合意確認文書に署名した。

 日本側はコメの無関税輸入枠導入を見送った一方、米国産の牛・豚肉はTPP(環太平洋連携協定)と同水準の関税に引き下げる。日本は約72億ドル(約7760億円)相当の米農産物について関税を撤廃ないし削減。米国側は産業機械や化学品、鉄鋼製品など自動車を除く工業品について関税を撤廃、削減する。

 日米貿易協定は合意確認文書への署名は行われたが、正式な協定書への署名を残している。この日米貿易で最重要課題である日米貿易協定の締結についても、議論がされていない。

 11月11日、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は日本記者クラブ(東京・千代田)で記者会見し、再生医療用のiPS細胞作製を支援する政府の大型研究予算が2022年度で終わる予定であることを明らかにし、「いきなり(政府の支援を)ゼロにするのは相当理不尽だ」と支援継続を求めた。

 政府は山中氏がノーベル賞を受賞した2012年から10年間でiPS細胞研究などに総額1100億円を拠出することを決めた。今回の予算終了について山中氏は、「一部の官僚の考え」と断った上で、「(政府の専門家会議など)透明性の高い議論での決定なら納得だが、違うところで話が決まってしまうと理由もよくわからない」と不満をぶつけた。

「iPS細胞」は現在、米国なども研究開発に参入し、世界中で国際競争が行われている。世界をリードする研究開発に対して、国の隆盛を考えなければならない政治家が、まともな議論もせずに予算の打ち切りを決めようとしているありさまだ。

 10月4日に召集された第200回国会(臨時国会)は12月9日で会期が終了となる。少なくとも、筆者にはこの臨時国会で最重要テーマとして取り上げられているのは、安倍首相主催の「桜を見る会」の問題だ。確かに「桜を見る会」の問題も重要だろう。

 しかし、国会の開催運営には1日3億円の経費がかかる。5000万円と言われる「桜を見る会」の経費と政治資金問題を追及するために、1日3億円の経費をかけ、何日も国会を行っていることに愚には憤りを感じざるを得ない。

 金額の問題ではないにしろ、重要課題が山積しているにも関わらず、政治家、特に野党はその存在感を示すために「桜を見る会」問題の追及に固執している。

 政治は国民の生活の安定と向上のために行われるべきであり、国会はそのための問題を審議し、決める役割を担っている。ところが、政党の存在感を示すために、国民にとっては重要な問題をないがしろにし、国民の税金を無駄使いしている。

 臨時国会は後半戦に突入しているが、このままでは国会召集日から会期終了までの47日(会期日数)×3億円(1日の国会運営費)=141億円が“どぶに捨てられる”ことにもなりかねない。

ヤフーとLINEのAI恋愛協奏曲~孫正義氏とNAVER李海珍会長の接点について考察

 ヤフーとLINEの経営統合のニュースが世間を賑わせている。メディアによる初報、そして両社による正式発表が行われて以降、報道はさらに過熱。日本経済新聞や多くの経済紙、テック系サイト、また一般メディアに及ぶまで、経営統合による株価や事業ポートフォリオ(ECや決済などなど)の将来性について躍起になって分析を加えている。とはいえ、将来的に両社の命運がどう転ぶかは誰も分からない。おそらく、当の本人たちも想像しきれてないはずである。

孫正義氏とNAVERのトップ・李海珍会長の接点をクローズアップ

 そこで本稿では、経営統合をひとつのドラマと見立て、その“伏線”について振り返ってみたい。それは、両社の行く末を占う上で非常に重要な伏線、つまり今回、直接的には決断には関わっていないとする孫正義氏と、LINEの親会社・NAVERのトップである李海珍会長の接点について改めて注目する。

 題して「ヤフー×LINE経営統合~AI恋愛編~」である。

「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーへ――。」

 経営統合に基本合意したヤフーの親会社・ZホールディングスとLINEは、11月18日に緊急記者会見を開催。その際、プレゼンテーション用のスライドには上記のような標語が掲げられていた。

 人工知能(AI)という言葉で思い出されるのは、Zホールディングスの親会社・ソフトバンクグループを束ねる孫正義氏の、ここ数ヶ月間にわたる発言の数々である。孫氏は今年7月上旬、韓国を訪問。日本でもお馴染みの顔となった文在寅大統領など、要人を歴訪している。その際、孫氏はこんな発言を残している。

「これから韓国が集中しなければならないのは、一にも人工知能、二にも人工知能、三にも人工知能だ」

「韓国はインターネット強国だったが、これからはAI強国を目指すために努力しなければならない」

「AIは人類歴史上、最大級の革命をもたらす」

「日本と韓国は米国・中国に比べてAIへの対応が遅かった」

 孫氏は1998年に韓国を訪問し、金大中前大統領と会った際に「一にもブロードバンド、二にもブロードバンド、三にもブロードバンド」と強調したという逸話が残っている。2012年には当時、大統領候補だった文氏に会い「スマートグリット」について力説したという。それから約7年後、今度は人工知能へのフルベットをこれでもかというほど推した形だ。

 余談だが、その流れのなかで文大統領も孫氏にひとつの“頼み事”をしている。それは、世界的なベンチャー投資家である孫氏に「国内AI企業へ積極的に投資をして欲しい」というものだった。韓国の人口は日本の半分以下。そのため国内市場の規模が限られている。そこで、ソフトバンクグループが持つ世界的なネットワークを使って、世界に飛び立つサポートをして欲しいというのが文大統領の言葉の趣旨だ。

 さて興味深いのは、同日7月4日に行われた非公開の夕食会である。参加したのは、サムスンの経営トップ・李在鎔氏、ヒュンダイ自動車の鄭義宣氏、LGグループ会長・具光謨氏など、韓国経済のキープレイヤーとなる財閥関係者たちだ。その際、ふたりの新興企業トップも参席した。ひとりはオンラインゲーム運営会社NCSOFTの金沢辰CEO、そしてもうひとりがLINEの親会社NAVERの李海珍会長だった。

 そこでどんな話が行われたかは明らかになっていない。ただ、あれだけAIトークで盛り上がった後のことだ。しかも、グローバル企業の経営トップたちの会合でもある。AIの話題が夕食会の“肴”になったとしても不思議ではない。

 さらに気になるのは、孫氏と李会長がどんな会話をしたのかだ。想像を超えて妄想レベルになるが、ふたりの間に仮にやりとりがあったとしたら、孫氏は李氏というひとりの人間に対してシンパシーを感じることが多かったことだろう。そして、それは後の「ヤフー×LINE経営統合」の“伏線”になったのではないか。そんな筋書きであれば、非常にワクワクさせてくれる話である。それは一体なぜか。

 李氏はあまり経営の表側やメディアに出ないことで有名な経営者で、韓国メディアからは「生きているか分からない」と揶揄されるほどの人物だ。端的に言えば、あまり“ガツガツ”したイメージがなく、スマートな人格者という評判である。だが、その本質は超攻撃的かつ、世界の最先端を読む能力に長けた新世代の韓国を象徴する経営者でもある。

 NAVERの歴史をみると、1999年のNAVERコム創業から15年間で20回以上のM&Aを繰り返して外形を拡大してきた。これは2000年前後の韓国社会では異例なことで、その舵取りをしてきたのが李会長だ。韓国IT記者のひとりは次のように話す。

「NAVERコム設立当初、資本金は5000万円ほど。そのため投資や合併を非常に攻撃的に行った。一方で、NAVER自身も投資を受け続けたため、財閥など他の企業とは異なり、李会長自身が保有する株式が非常に少ないのも特徴です」

 また、こんな話もある。NAVERの成長のきっかけのひとつに、2006年に行われた「1noon」という検索システム開発企業の買収がある。1noonは非常に評価が高い企業で、グーグルとNAVERの間で争奪戦が行われた。1noonの経営陣はエリック・シュミット元CEOにも面会。NAVERより高い買収額を提示されていたのにも関わらず、最終的にNAVERに買収されることになった。この時に決め手のひとつとなったのは、李氏の経営者としての熱意だったと言われている。そして、1noonなどを買収し国内ポータルのシェアを占有した李氏は、後にグーグルなどグローバル企業から国内市場を守れたことを「誇りに思う」という趣旨の発言を残している。

 総合すると、李会長は一見温和だが、欲しいものには熱意と野心を持ってアプローチする超攻撃的な性格で、かつ先端技術への投資を惜しまない。そして、グローバル市場における競合に対して強い競争意識を持っている経営者だ。どこかの誰かに似ていないだろうか。そう、孫正義氏だ。そして、その似ているふたりが、日本と韓国の“AI危機”について共通した見解を抱いていたとしたらどうか。

 孫氏が「SoftBank World 2019」に登壇し、「日本はAI後進国」だと強く警鐘を鳴らしたエピソードは記憶に新しいが、韓国訪問からわずか10日後という事実も何か因縁めいたものを感じる。その発言の真意は落胆やあきらめ、焦燥ではなく、自分自身や社員に対する一種のカンフル剤であり発破だったのではないだろうか。そして次の一手が「ヤフー×LINE経営統合」だったと考えると、すっと腑に落ちるものがある。

 ここで詳しく書くことは叶わないが、NAVERは国内ではもちろん、欧州や東南アジアにおいてテクノロジー関連の研究・投資・買収を加速させている。GAFAもしくはBATに勝たなければ次がないと、本気で考えているふしがある。そのビジョンと孫氏が持つビジョンの一部が共鳴したと捉えるのは、今後の両社の動きを見守る上でとても重要になる気がする。というのも、もちろんポータルやメッセンジャーアプリ、決済やECなどなど、両社のサービスの外形が大きくなるというのは簡単に想像つく話だ。しかし、それだけでは単なる足し算に過ぎない。GAFAなど巨大な相手と競い合うには足りないのだ。必要なのは、GAFAを飲み込んでしまえるだけのより大きなビジョンであり、危機意識であり、物語だ。

 なお日本では今回の決定に孫氏は直接関与していなとしているが、韓国では「孫正義氏とネイバートップの李海珍氏の決断とみるべき」という主張がそこかしこにある。事実はおそらく前者なのだろうが……。伏線が出来過ぎているだけに、何かドラマのような物語性を感じる。そしてその物語の中心にあるキーワードはAIである。

 最後にAIについてだが、この世には無数のAIがあるし、これから仕事の数だけAIが増えていくはずである。反対になんでも解決してくれる魔法のようなAIはこの世に存在しない。確かに現段階ではGAFAはITプラットフォームから大量のデータを確保できるため、オンライン上のビジネスで優位にある。が、戦い方次第では勝機はあるはずである。それにデータを多く保有しているからといって、必ずしもGAFAが優位に立ち続けることができるとは限らない。AI術そのものも発展を遂げるし、いつかはディープラーニングなどに次ぐ新しい技術も登場するはずである。

 ヤフーとLINEの経営統合は、親会社であるNAVER、ひいては日韓のAI産業にどのようなシナジーを生むのか。同記事のPVが良ければ、別の機会にその具体的な可能性とシナリオを書いてみたい。

欠席したのは毎日新聞だけ! 安倍総理が「キャップ懇」で官邸記者の取り込み成功

「そりゃあボクらも懇意にしている閣僚はいます。でも、編集部がその閣僚をターゲットにしている場合、食事会をセットするなんてありえない。現場の記者が戦っている時に、ノコノコ行けるわけありませんよ。だから首相動静でこれを見た時は、政治記者もここまで落ちぶれたかと思いましたね」

 そう週刊誌デスクが呆れるのは、11月20日夜に中華料理屋で開かれた安倍総理と官邸キャップの食事会のことである。

 言うまでもなくこの時期、安倍総理は「桜を見る会」で集中砲火を浴びており、午前の参院本会議では、招待者の選定過程に自身が関与したことを認めていた。

 いわゆる「キャップ懇」は、全国紙、通信社、NHK、民放の20社弱の内閣記者会加盟社、つまり官邸詰めのキャップによる懇親会で、総理以外に複数の秘書官も参加。その場の発言を報道してはいけない「オフレコ」が決まりとなっている。半年に1度程度の割合で開かれ、前回は5月下旬だった。

「毎回、赤坂の『赤坂飯店』なのですが、今回は空いていなかったらしく、平河町の『上海大飯店』が会場でした。会費制で今回は1人6,000円。『桜の会』騒動に引っかけて、今井尚哉秘書官兼補佐官が『領収書と明細は必要か?』と冗談を飛ばしていました」(出席者)

 官邸側からの声かけで、数日前に急遽、日程が決まるというが、もちろんその日にちに意味がないわけがない。

「前回は衆参同日選挙の観測が流れていたと同時に、アメリカ・トランプ大統領来日の前日でもあり、記者が情報に飢えていました。森友学園問題の真っ只中に開いたこともあります。要はニュースという”餌”を与えて、世論だけでなく、記者のガス抜きをはかる意味合いがあるのです」(官邸関係者)

「取材活動の一環」とはいえ、このタイミングでのキャップ懇開催は、安倍総理に絡めとられることに他ならず、メディアの矜持が問われる格好になった。

 ところが参加を拒否したのは、毎日新聞ただ一社。同じく政権に批判的な朝日新聞、東京新聞キャップは平然と参加し、当の東京新聞・望月衣塑子記者に「現場が取材で奮闘している最中に一体何をしているのか」とツイートされる始末だ。出席者が明かす。

「さすがに『桜』関連の質問は多く出ましたが、『(夫人の)昭恵が招待したからって何が悪いの?』『野党は選挙弱いんだから、何を言っても説得力がないよ』と安倍総理は悪びれることはなく言いたい放題。酒の席ということもあり、厳しく詰め寄る記者はいませんでした」

 もっとも、その毎日も褒められたものではないと、政治部記者は語る。

「毎日キャップは長年政権中枢を担当し、”武闘派”タイプではない。最近、毎日のYouTuber記者が総理に厳しい質問を投げかけてネットで人気になっていることもあり、欠席は、社内の圧力に屈しただけでしょう。朝日のキャップは翌日朝刊で、アリバイ的に署名原稿で安倍総理への批判を展開しましたが、じゃあ『直接総理に言えよ』っていう話。つまり社内の他部署へのポーズでしかないんです」

 何しろ、官邸キャップといえば、記者の中ではエース中のエース。将来的には政治部長どころか社長も狙えるポジションである。

「最高権力者と懇談できている自分に酔いしれているのでしょう。安倍一強はあと2年近く続き、その間は官邸とうまくやりたいでしょうから、ここで喧嘩して経歴に傷をつけたくないわけです」(同前)

 大甥である安倍総理に抜かされるまで戦後最長の在職期間を誇った佐藤栄作は、退陣表明の際、「新聞は嫌い」と言い放ち、反発した新聞記者は全員退出した。そんな骨のある記者は、もういないということだろう。