どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。
4月末でAKBグループを卒業した指原莉乃が、ますます勢いを増している。その証拠のひとつが、大物芸人たちと均等に、そして対等に向き合っていることだ。『ワイドナショー』(フジテレビ系)ではダウンタウン松本人志、東野幸治と、新元号へまたぐ日に放送された『ゆく時代くる時代〜平成最後の日スペシャル〜』(NHK総合)では爆笑問題と、『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)ではフットボールアワー後藤輝基、チュートリアル徳井義実と、『有吉反省会』(同)では有吉弘行と絡んでいる。
5日放送の『ワイドナショー』で東野は、指原が自身の卒業公演への出演を松本にしたことに「指原さんのオヤジ転がし力というか、恐ろしいなあと思って」と仰天していた。だが、これはあながち間違っていない。最強のジジイ転がし・指原についてひも解こう。
各芸人との絶妙な距離感
今まで、どの芸人にも絡めて使い勝手がいいとされたタレントは、関根勤、勝俣州和、オアシズ大久保佳代子と、純粋にお笑い芸人が多かったが、アイドル出身組としてここまでタレント・ユーティリティー(利便性)が優れている女性はいない。
彼女が賢いのは、それぞれの芸人と絶妙な距離感を保っていることだ。大久保はコメンテーターを務める『ゴゴスマ 〜GO GO!Smile!〜』(TBS系)以外はほぼ下ネタキャラだが、指原はその下ネタにも対応できる度量を持ちつつ、松本と絡むときは「リスペクトを持ちつつ、圧をかけるときは半端ない」、後藤のときは「小ばかにする」ことを貫き、有吉のときは、番組の“反省見届け人”として「冷静にコメンテーターに徹する」。爆問のときは「太田のしょうもないボケにも、とにかく笑う」と、使い分けている。
指原がここまで台頭した理由は、3年前の2016年にさかのぼる。『今くら』でスタート以来MCを務めていたSHELLYが同年2月、産休のために一時休演したのだ、その穴埋めとして起用されたのが指原だった。すでにその頃、後藤とは深夜番組『HKT48のおでかけ!』(TBS系)で絡んでいた実績はあったが、当初はどこまでSHELLYの穴を埋められるか不安がささやかれた。事実、加入当初の指原は、あとから来た後ろめたさか、過去のスキャンダルをネタに自虐を連発。だが、その後、そんな自虐は影を潜め、トークスキルは格段に成長した。そして、SHELLY復帰後も、指原はその座に居残っている。
指原は人気が出始めた12年、かつて肉体関係にあったとされるファンの男性からのリークで「週刊文春」(文藝春秋)にその交際過去が暴かれ、HKT48へ更迭となった。だが当時は、世間の“正義感”がそこまで強くなかったので、致命傷にならずに済んだ。いまや禁断の恋や不倫、二股といった恋愛沙汰は等しく「犯罪」と罰せられ、その話を蒸し返すのはご法度であり、また「笑えない」空気ができつつある。ほかの女性タレント――例えば矢口真里やベッキーも――かつてのスキャンダルをネタにできない中、指原はそうした過去を持ちつつ、仕事ができているのだ。
そんな指原が捨てられないもうひとつの過去が、AKBグループの一員だったことだ。先日、NGT48山口真帆の卒業公演を見に、わざわざ新潟を訪れていたことがわかった指原だが、一部報道の「運営幹部就任説」はTwitterで完全否定している。
とはいえ、折に触れ、運営側を批判したり、 NGT問題について、古巣の将来を憂いているのも事実。AKB卒業メンバーの多くのは、ほぼ必ず「元AKB」と頭につけられる。その呪縛から逃れようとしても逃れられないでいる。
一方、指原はそれがなくても、すでに完全なる一個人として認められている。にもかかわらず、自らAKBグループの正常化を希求している。そうした姿が、かえって好感度を高めている。だが、実はそうした反応も計算済みだろう。そう、彼女は自分がどう立ち回ればいいのか、その加減がわかっている。アクセルを踏みすぎず、かといってブレーキもかけすぎない彼女のタレント人生ドライブテクニック。もちろん、バックミラーで世間からどう見られているかも逐一チェック。その華麗なハンドルさばきは、今、まさに始まったばかりだ。
(文=都築雄一郎)
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