
AKB48グループで、トップをひた走るHKT48・指原莉乃。今年6月に開催された「第8回AKB48選抜総選挙」では、前人未到の24万票を獲得して、その地位を不動のものとした。しかしその一方で、「なんで指原って、あんなに人気があるの?」「そんなに可愛くないのに!」「大金をつぎ込んでまで指原を1位にしたい理由がわからない」「秋元康のお気に入りだから、裏で得票数をイジってるんじゃ」など、その人気を疑問視する声がネット上を飛び交っているのも事実。
今回は、かつて大阪ミナミのホスト業界で頂点を極め、その姿を追った『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)が大好評を博したことでも知られる、ブランディングコミュニケーションデザイナー・井上敬一氏に取材を行った。現在は、ホスト時代に培った独自の恋愛理論を基に、恋に悩める子羊たちを救済しているという井上氏が分析する「指原がトップを獲り続ける理由」とは?
■脱税事件があったから共感できる、指原の覚悟
――指原莉乃の第一印象ってどんな感じでしたか?
井上敬一氏(以下、井上) ルックスだけでいうと、フツーの人ですよね(笑)。良くも悪くも印象に残らないというか、合コンだと一番損するタイプ。みんなが群がるような人には見えなかったです。しかも、デビュー当時の指原さんは、何かに怯えているような目をしていて、闇を抱えていそうなイメージがあったんですよ。だから人を信用してないようにも見えたし、「アイドルだからこうしなきゃ」みたいなものに捕らわれて、取り繕っているようにすら感じました。本当の自分で勝負してないんだろうなぁって。
――昨今のガツガツしている指原のイメージと、ずいぶん違いますね。
井上 2012年にファンの男性とのスキャンダルがあったでしょ。やっぱり、あれが転機になったと思います。あの報道で全てが世間に晒されて、関係ないことまで丸裸にされて、「もうええわ」って開き直ったんじゃないかなって。あの頃を境に、「どうせ叩かれるなら、こっちから晒してやる」みたいな言動が増えたんですよ。そうすることで、肝が据わったというか。目からも不安の色が消えましたしね。僕も、数年前に顧問税理士による脱税事件で同じような経験をしているので、その心理には共感できます(笑)。
世間を騒がせたときって、どっちに転ぶかなんですよね。今話題になっている成宮寛貴さんみたいに鳴りを潜めるのか、指原さんのようにさらけ出すのか。彼女の場合は、取り繕うのを止めたことで、一歩前に出られたんだと思います。
■人気の理由は「ナンバーワンホストの条件」と同じ
――全てをさらけ出して知名度が上がったにしても、「なぜトップなのかわからない」「そんなに可愛くない」という声もあるんですよ。
井上 そういう声に、めっちゃ共感します! だって、ほかにいくらでも可愛い子がいるもん(笑)。ただね、僕もホストだった頃、この中途半端な顔で5年連続ナンバーワンだったんですよ。だから、いかにもモテそうなタイプじゃない指原さんがナンバーワンになるっていう意味も、すごく理解できます。
――何か秘訣があるんですか?
井上 売れる人って、「ストーリーを持っている」「隙がある」「可哀想である」っていう3つのポイントがあるんですよ。それによって人から共感されやすく、親近感を抱かれやすくなる。指原さんにとって、「スキャンダルで博多に飛ばされた」というのは、ストーリーであり、可哀想な要素でもある。それに彼女は、アイドルだったら言わなくていいような自虐ネタを連発するキャラで、隙もあるんです。そういう人だから、ファンが“上から目線”になれて、感情移入するんですよね。人の気持ちが入るのと、容姿端麗であることは関係ない。現に、指原さんはスキャンダルの翌年トップになってるでしょ。僕もこの教えでナンバーワンホストをたくさん育ててきたので、間違いありません。みんな可哀想な人が好きなんです(笑)。
今日本で一番売れてる漫画って『ワンピース』(集英社)なんですが、主人公のルフィという船長は、可哀想な過去というストーリーを持っていて、隙だらけで、アホ(笑)。だけど、そこにみんな感情移入して、漫画が売れているんですよね。
――指原は、アイドルなのにアイドルらしくない扱いを受けていますね。
井上 “上から目線で見られる”って、人気を得る上で、すごく大事な要素なんです。人は自分より下の存在がいないと安心できないので、無意識にそういう人を必要としますから。特に今の時代はバーチャルじゃない“人とのつながり”が求められているので、「手の届かないアイドル」より「自分より格下のアイドル」の方が好まれるんですよね。指原さんがトップになったとき、今の時代が求めるリーダー像そのままだなって感じましたもん。
■指原のモテテクは「ホスト時代よくやってた手口」
――でも、人気が定着したら「格上のアイドル」になってしまうんじゃないですか?
井上 指原さんのファンは「俺たちがナンバーワンにしてやったんだぞ」って気持ちだと思いますよ(笑)。普通は売れてくると、本人にその気はなくても、周囲から「最近調子に乗ってる」とかって叩かれるじゃないですか。あれは、嫉妬だったり、自分より上になったのが気に障ったりするからなんです。でも、指原さんの場合は、自虐ネタを出し続けたり、変なことをやらされたり、常に何かしら可哀想と感じさせる出来事があるので、ファンはずっと上から目線で見ていられる。見せ方のバランスが取れているんですよね。
――確かに指原は、「アンダーヘアを脱毛した」とか、アイドルらしくない下品な話をすることもあります。常に下に見られている印象です。
井上 僕もホストをやってたときに、よく使っていた手口です(笑)。あとね、普通ならなかなか言えないようなことをぶっちゃける人って、相手に安心感を与えるんです。だから、最初に自己開示できる人はモテるんですよ。指原さんもそうでしょ。あれを綺麗な人がやったら計算高いと受け取られることもありますが、指原さんだから「正直」って印象を与えて、余計に好かれるんだと思います。
――抜群の美女ではない顔立ちで、自虐キャラやぶちゃけキャラなこともモテにつながっていると?
井上 そういうことです。相手を持ち上げるのは大変だし、わざとらしく見えたりもするけど、自ら格下になれば、相手はありのままで自然と上になりますから。指原さんは“相手を勝たせる”ことが上手なんでしょうね。僕、ホストをやっていたときに全裸で接客したこともあるんです(笑)。そうすると、「こいつの前なら、少しくらいアホなことしても大丈夫」って気を許してもらえるんですよ。だけど、お客様の帰り際、ビシッとスーツを着てお見送りすると、「ちゃんとした人なんだ!」って、服着ただけで株が上がるという特典もありました(笑)。
■指原は“教祖”としてパーフェクト
――指原さんの魅力がわかった気もしますが、それだけで大金をつぎ込んでトップに押し上げるほど熱狂的ファンになれますかね?
井上 彼女を見ていると、ファンというより“信者”を集めているようにも見えるんですよね。というのも、人はギャップの幅が広い相手ほど魅力を感じるので、ハマると熱狂して信者化しやすいんです。女性がモテるために必要なギャップは、「母性と無邪気さ」だと思うんですが、指原さんは人を包み込むような母性的な優しさがある一方で、子どもみたいに無邪気なところもある。『ワイドナショー』(フジテレビ系)などに出演した際、ニュースに取り上げられたタレントに対して、共感を示すときもあれば、クサすときもあるでしょ。それがギャップです。
ちなみに、ファンって自分のイメージと違う一面を見つけると離れていくけど、信者はどうであっても好きでいてくれる。だから、ホストクラブでも「信者を作れ」って教えていました。ほら、信者って字をくっつけると、「儲(かる)」って字になるでしょ(笑)。
――指原さんの持つ、ファンに「お金を使ってでもトップにさせたい」と思わせる魅力は、神格化ということですか?
井上 それもあると思います。でも、ホストをやっていて僕が気づいたのは、「お金を払いたい」と思わせるには、「応援している人を応援したい」心理を刺激するのが一番ってこと。例えば、「俺の誕生日だから来て」って言うと来てくれないお客様でも、「大事な後輩に華を持たせたいから、こいつの誕生日は来てやって」って言うと、来てくれたりするんです。誰かのために頑張っている姿に共感して、財布の紐が緩むんですね。指原さんも、HKT48に移って劇場支配人になり、10代のメンバーが売れるように指導したり、イベントのプロデュースをしたりしてますよね。「自分を魅せる」側から「仲間を魅せる」側にシフトしたことで、支持者が増えたんだと思います。
――売れるポイントとモテ要素にプラスして、教祖の素質と支持される力もあるということですね。
井上 結構パーフェクトですよ(笑)。あらゆる面が今の時代にぴったりハマっているので、成るべくして成ったトップという感じです。まぁそれが、偶然なのか、秋元さんが仕掛けた計算なのかはわかりませんけどね(笑)。どっちにしても、自分の見せ方がよくわかっていることが彼女の強みだと思います。恋愛でもそうですが、人から愛されるのに顔は関係ないんです。
――では、井上さんから見ても指原さんは魅力的ですか?
井上 いえ、顔がタイプじゃないんですみません。僕は顔で女性を選ぶ方なので(笑)。
(取材・文=千葉こころ)
井上敬一(いのうえ・けいいち)
1975年、兵庫県尼崎市生まれ。1995年、立命館大学文学部哲学科中退後、ホストクラブに入店し、1カ月目で店舗のナンバーワンに。2002年からはホストクラブオーナーとして活動する。ホスト業界引退後、15年4月から「恋愛力アカデミー」をスタート。著書に『わかってくれない上司をうならせる神フレーズ50』(パブラボ)、『ゴールデンハート』(扶桑社)、『ホストである前に人間やろ』(竹書房)などがある。
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