崩壊する家庭で、兄との近親相姦――『悲恋』が描くタブーに踏み込む女の心理

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『悲恋』/幻冬舎アウトロー文庫

■今回の官能小説
『悲恋』(松崎詩織、幻冬舎アウトロー文庫)

 順風満帆な恋よりも、痛みを伴う恋の方がより燃え上がる。だからこそ今も昔も不倫にハマる男女がいるのだと思う。不倫以外にも、自分をどん底まで貶めるような歪んだ恋愛に身を投じている人も決して少なくはないだろう。

 決して報われることのない恋は、何よりも女を酔わせる美酒――そんなことを感じさせるのが、今回ご紹介する『悲恋』(幻冬舎アウトロー文庫)。6話の短編集である本作は、三十年以上も中学時代に憧れていた女教師への想いを抱えている男の話「さくらの夜」や、売れないバンドマンに尽くす女の日々を描いた「レイチェル」、過去に強姦から助けてくれたヒーローとのつらい再会をつづった「素直になれたら」など、あらゆる歪んだ恋を題材とした物語が収録されている。