30代前半の妻は、なぜ「ママ活」を始めたのか? 男の子とのデートは「心の拠り所」

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 約3年にわたって続いていた「コロナ禍」がようやく明けようとしている。

 今年2月10日、政府は「3月13日から 原則マスク着用は個人の判断に委ねる」と発表。ゴールデンウィーク明けの5月8日には、新型コロナの感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザなどと同じ 「5類」へと移行する方針を決定した。

 これまでの日常がひっくり返ったこの3年間――生活様式を大幅に変更せざるを得なかった中、 平穏な夫婦関係に異変が生じたという人 も多かっただろう。

 筆者自身、思い返せないほど、久しぶりに対面での取材が叶った。

「やっと、やっとですよ……!」

 そう言いながら、春らしいパステルカラーのニットで待ち合わせ場所のカフェに現れた優里さん(仮名)。マスクで覆われていながらも、その口元はあふれんばかりの笑みであることが想像できた。

「最近リモートワークばかりだから、たまの外出の時は、つい張り切ってメイクしちゃいますよね」と目を細める彼女の目元には、淡いカラーのアイシャドウが輝いている。

 対面して間もなく、優里さんはせきを切ったように早口で話し始めた。

「この3年、うちみたいなエンタメ系の会社はシャレにならないほどヤバかったです。開催されるかどうかわからないのに、どうやってイベントの営業 かければいいのか……にもかかわらず、成績悪い人材はじわじわと自主退職させるように仕向けてきて。うちの会社、完全にブラックですよ」

 優里さんは、そんな会社に夫婦そろって在籍しているという。そのストレスは計り知れないものであり、夫婦関係にも暗い影を落としてしまいそうなものだが、 「でも私の場合は、完全にホワイトな“婚外恋愛”でストレスを解消してきたので、全然オッケーです!」と優里さんは明るい。

夫の風俗通いに気づいた妻は、マッチングアプリを始めて……

 30代前半の優里さんが夫と知り合ったのは、7年前に現在の会社に就職してからだ。

「中小規模の企業で、夫も私も営業職です。トップがとにかく『足で契約取れ』ってタイプだったので、2人でがむちゃらに あちこち走り回っていました。だから夫とも距離を縮めやすかったんですよ。同じ地方に出張に行くって申請して、出張先でデートして……って感じで」

 入社してから数年で、2人の関係が社内でうわさになり、程なく結婚。その後も仕事を続けたが、そんな2人を襲ったのがコロナ禍だった。

「競合の会社が次々と経営難になっていきました。もちろんうちの会社も例外ではなく、緊急事態宣言が発令されたタイミングなど、事あるごとに1人、2人と退職していくように。それまで毎日のようにやっていた、全国津々浦々を駆け回る営業方法は通用しなくなり、リモートで営業しようと試みたけれど、まったく成果が得られない。完全週5でフルリモートだったときは本当に地獄でしたよ」

 先が見えないコロナ禍、どうやって契約を取ればいいのか、開催の確約できないイベント案件に頷いてくれるクライアントなんているわけがない―― 優里さんと夫は、暗中模索のリモート営業を、それぞれ寝室とリビング でやっていたという。当時を振り返り、 優里さんは「そりゃあストレス発散したくもなりますよ」と声を大にする。

 そんな折、優里さんは夫のひそかなストレス発散に気づいた。

「たまたまリビングで、夫の仕事用パソコンの履歴を見て、風俗に通っていることを知ったんです。会社貸出のパソコンから風俗を予約するってバカじゃないの? って思いましたけど、まあ風俗くらいならいいか、って。ていうか自分も『本気じゃないなら、やってもいっか』 って」

 現在、優里さんはマッチングアプリを使い「ママ活」をしているという。

「最初は顔だけで選んでいたからか、若いだけで価値があると勘違いしている横柄な態度の男ばっかりに当たっちゃったんですよ。まあそういう奴には『誰が金払うか』って言ってやりましたけど ……今、関係が継続している男の子は、アプリを始めて4人目に会った子です 」

 優里さんは、その彼と「ただ公園を散歩したり、美術館に行ったり、2~3時間くらいの他愛もないデートをする仲」になったそう。

「彼といると、殺伐とした仕事のことも家庭のことも忘れられます。体の関係はなく、ピュアな恋愛ですが、心の拠り所というか。コロナ禍が明けても、この業界がいつ平穏に戻るかわからないですし、今は転職する勇気も体力もない。それでもこの底辺の企業で頑張れてるのは、“彼とデートしたいから”なんですよね 」

 つらい日常の中、つかの間の癒やしを求める優里さん。夫は「戦友」だと断言し、風俗通いについては「私との関係をなおざりにするようになったら、すべての証拠を突きつけて土下座させる」と笑った。

 コロナで一変した世の中。優里さんの話を聞いていると、 激動の中で芽生えた新しい夫婦の形も存在しているのかもしれない、と思った。

サブカル好き夫婦の人生を変えたキャンプの夜――お互いの友達との「浮気」がもたらした離婚の顛末

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 健康で活力にあふれ、どんな無茶も利き、睡眠時間が短くてもへっちゃらで、仕事や恋愛に打ち込んできた――そんな20代を過ごした人が「当時は、自分が年を取るなんて夢にも思わなかった」としみじみ語る姿をよく見かける。

「私も20代の頃は『自分最強』って思って、この状態が永遠に続くような気がしていましたよ。まさかそんな自分がアラフィフになるなんて……でも今でも実は違った意味で『最強』って思っています」

 恋愛の延長のような結婚生活に奔走した20代、一人で生きていく覚悟を決めた30代を駆け抜け、現在、40代後半の亜耶さん(仮)。清々しい笑みを浮かべながら、一夜のちょっとした婚外恋愛が、自身の人生を一変させたという稀有な経験を明かしてくれた。

 北関東出身の亜耶さんは、地元の友達も含めて結婚が早かった。

「短大を卒業してからすぐに結婚しました。大学当時から交際していた彼は同い年。とてもウマが合い、離れたくなくって、在学中はずっと『通い同棲』みたいな感じだったんですよ。今月はこっちのアパート、来月はあっち……みたいに。お互いに就職が決まって卒業が近づいてくるにつれて『家賃もったいないね』ってことになって、卒業と同時に、お互いの両親に結婚を報告しに行きました」

 最初は彼のアパートで暮らし、貯金して少し広めのマンションに引っ越したという亜耶さん。地に足をつけて家庭を築くというよりも、「人生ゲームをやっているような……どんどんステップアップしていく感覚が楽しかったんですよ」と語る。

 お互いフルタイムの正社員で働いていたが、 当時はそれほど収入がなかったためか、子どもがほしいとも感じなかったそうだ。

「とにかく、夫と一緒にいることが楽しかったんですよね。当時はまだ『残業推奨主義』みたいな時代でしたから、毎日帰りが夜10時とかザラだったんですけど、クタクタになって帰ってから元夫と一緒にお風呂に入って、くだらない話をする時間が癒やしだったんです。私も元夫もサブカル好きなので、『みうらじゅんの新刊、面白かったよね』とか。金曜日の深夜、ビールを飲みながら『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)を2人で見る時間が今でも忘れられません。本当に楽しかった」

 20代当時の結婚生活を振り返りながら、「私は元夫のファンでしたね」と亜耶さんは目を細めた。

 だからこそ、たった一度の過ちが許せなかったのだろう。

「仲間同士で1泊2日のキャンプに行った時、元夫が私の友達とキスしてるところを見ちゃったんですよ。それもかなり濃ゆい感じのやつで……『は?』と思い、嫉妬と怒りでおかしくなっちゃったんです。お酒が弱いのに昼から飲んでいたのも手伝って、その夜、そこそこ仲が良い元夫の友達と“浮気”しました」

 亜耶さんの言葉からもわかるように、婚外恋愛というより、それはむしろカッとなった浮気でしかないが、この一夜の出来事が、夫婦関係に亀裂を生じさせた。

「そういうことをすると、お互い普段と変わりなく過ごしているつもりでも、後ろめたい気持ちがついて回るんですよね。半年間くらいお互いを探り合って、でも後ろめたさは消えず、どちらともなく離婚を切り出しました。元夫の友達とはそれから一切連絡を取っていませんし、夫がキスしていた相手と会っていた様子もなかったんですが。あの夜のことは、その場限りのノリだったんでしょう。私もそうですし」

 しかし、亜耶さんいわく「たとえノリでも私は許せなかった」。

「元夫も、おそらく私があの夜、彼の友達と何かしていたことは気づいていたんだと思います。でも最後まで問い詰められなかったし、私も責め立てるようなことはしませんでした」

 亜耶さんの結婚生活は、30歳を前にして終わった。

 「ファン」とまで語っていた夫を失った亜耶さんは、その後どうやって生きてきたのだろうか。

「一人になって振り返ったら、私、完全に『元夫依存症』 だったなって気づいたんです(笑)。 私自身に何の魅力もなくて、ただ彼の魅力にぶら下がっていたことに気づいて……だから、一人になってからは本当にいろんなことに手をつけました」

 離婚後の亜耶さんは、一人でさまざまな海外を訪れるなど、あらゆる趣味に手を出すようになったという。

「趣味が高じて、今では本業に合わせて、ワインテイスティングのセミナーを持つようになりました。あまりお酒が強くないからこそ、それぞれの味がわかるのかなと思います。趣味を通じて大勢の友達ができましたし、仕事も順調、趣味の延長で副業もできる。多分いまの私、最強ですよ」

 元夫とは、現在でも連絡は取っているという。決して元夫のことが嫌いで別れたわけではなさそうだけに、復縁も期待してしまうが……。

「向こうは再婚して子どももいますから、私からは連絡しません。会うつもりもないですよ。別の人との結婚も、もういいかなって思います。多少、金銭面や老後の不安はありますけど、 何より自分のいまの生活ペースが好き。このペースを乱されるくらいだったら、少しでも稼いで自分一人分の老後資金を貯めるかな」

 亜耶さんの横顔は強く、自信に満ちあふれていた。
(文・イラスト/いしいのりえ)

バブル全盛期に玉の輿婚! 60代間近の女性が語る「セックスレス」で始めた婚外恋愛の今

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 一般的に、パートナーとの関係性は、人生のさまざまなイベントを機に変化していくものだ。例えば、恋人同士の2人が結婚すると夫婦になり、子を授かった場合は、そこに子の父と母という関係性も加わるだろう。婚外恋愛の場合は、ずっと「恋人」のままだが、年齢を重ね、お互いを取り巻く環境に変化が訪れると、その毛色が異なってくることもある。

「昔は、婚外恋愛している相手から『妻と24時間ずっと一緒だから、すぐにメールに返事できない』なんて言われたら、嫉妬と虚しさでどうにかなっちゃいそうでしたよ。まさに恋人感覚でしたね。でも今じゃ、逆に彼の奥さんのことを心配しちゃってますから」

 高らかに笑いながらそう話すのは、そろそろ60代が見えてきた秋枝さん(仮名)。彼女の婚外恋愛歴は、なんと20年近くにも及ぶという。

 秋枝さんの結婚は20代の頃。大学を卒業し、新卒で入社した会社で知り合った男性とゴールインした。

「当時はバブル全盛期でした。同期入社の彼の実家は有名な老舗食品店を営んでいて、羽振りはよかったです。夫は、『20代のうちは社会経験を積んで、30代になってから家業を継ぐ準備を始める』と言っていましたから、正直私としては『玉の輿』狙いでしたよ。彼もそういった女性が寄ってくることに慣れていて、完全に妻を『選ぶ側』だったから、プロポーズされたときには『ほかの女に勝った!』っていう気持ちでした」

 今は、恋愛や結婚に興味がない若者も多いというが、「当時は男も女もガツガツしていて、やたらと元気だったんですよ」と、当時を懐かしそうに振り返りながら、秋枝さんは語る。

 結婚し、寿退社をしてから子どもを2人授かった秋枝さん。2人目の子どもが高校へ上がる頃、ご主人の浮気を知ったという。

「その当時、私は夫の家業を手伝っていました。夫は幼い頃からその土地に住んでいたので、『○○のところの跡取り』って感じで、彼の存在は近隣住民に知れ渡っていたんですよ。すると、聞いてもいないのに、近所の人が『どこどこで旦那さんがほかの女と食事していた』とか『車でどこどこのホテルに入っていくところを見た』とか、いろいろ教えてくれて……」

 当時の秋枝さんは、子育てが楽しく、「正直夫のことは男とは意識していなかったから、ほかに女がいようがどっちでもよかった」と話す。しかし、以前は定期的にしていた営みが徐々に減り、1カ月に一度、半年に一度となったとき、秋枝さんは夫に対して怒りを覚えたそうだ。

「女扱いしてくれないことに腹が立ったんです。自分のことを棚に上げて、何を言っているんだと思われるかもしれないけれど、よその女にはちゃんと欲情するんだと思うと、自分の『女』の部分を否定されている気がして……それで、交際を始めたのが今の彼です」

 大学時代からの知り合いだった彼とは、「セックスレス」という共通点があった。

「久しぶりに飲みに行った席で『夜の夫婦生活』の話になった時、私がセックスレスであることを打ち明けたんです。すると彼も『うちもしばらくないよ』って話してくれて。彼のところにはお子さんがいないから、そういうことも含めて仲良くしているんだろうなと思っていたので、意外でした」

 こうして交際がスタートし、2人は現在にわたるまで20年近く逢瀬を重ねてきたが、秋枝さんはすでに夫と離婚している。

「子育てが終わって、夫といる必要がなくなったんです。たび重なる夫の浮気の証拠を突き付けて、ローンを全額繰り上げ返済した自宅の権利をいただきました。社会復帰には少々戸惑いましたが、今は資格を生かして、フルタイムの安定した仕事に就いています。子どもたちは2人とも結婚しているし、気楽なものですよ。そんな中、月に数回、彼と飲みに行ってちょっとした恋愛気分に浸る……50代ってこんなに楽しいものなのねって思いますよ。20代の頃は『50代なんてババア』『年を取ると楽しくない』なんて考えてたけど、全然違いました」

 もうすぐ60代が見えてきた秋枝さん。かつては「会えばホテル」だった彼との交際にも変化が訪れているという。いつしか自然と性的な行為はしなくなり、今ではゆったりくつろげるおいしい料理屋で、2人が大好きなお酒を嗜むのが定番のデートだそうだ。

「長く一緒にいる分、好きなところはもちろんですが、面倒な部分とか苦手な部分も見えるようになりました。彼、すごくきれい好きで、ラブホテルのお風呂のタイルを素足で歩くのも嫌がるんですよ。そんな彼が、先日病気をしてしまって、今入院中なんです。毎日お風呂に入れないから、きっと不機嫌なんだろうな、看病している奥さんかわいそう……って。そんなことまで心配するようになりました。会えば恋愛気分にはなるけど、私たちはもう恋人って感じではないです」

 秋枝さんはこれまで、彼との結婚は考えなかったのだろうか。そう尋ねると、「ないです」と笑った。

「そうしたら、私の財産を子どもたちにあげられなくなる可能性もできてしまうから。当たり前ですけど、彼よりも比較にならないくらい子どもたちが大事なんです」

 子どもたちを育て上げ、夫から解放され、自分の仕事に邁進し、自由に生きる秋枝さん。にっこりと微笑むその表情は、自信にあふれていた。
(文・イラスト/いしいのりえ)

歌舞伎町のホストと婚外恋愛……経営者の妻が「湯水のごとく金を使った」日々に思うこと

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 ホストにハマる若い女性たちが登場するネット漫画『明日、私は誰かのカノジョ』(小学館)が今年4月にドラマ化され、注目を集めたが、昨今、若くしてホストに入れ込み、ホストクラブに通うお金を稼ぐため、結果、夜の世界で働く女性は珍しくないという。

 今回お話を聞かせていただいた亜美さん(仮名)は、10年以上前に、新宿・歌舞伎町で、ホストと婚外恋愛を繰り広げたという。

「当時はまったくそんなつもりはなかったんですが、私がしていたことを振り返ると『婚外恋愛』といえば、そうですね。夫がいながらほかの男性と『交際』していましたから……とはいえ、相手はホストですけど」

 30代を迎えたばかりの亜美さん。現在のご主人と結婚したのは「20歳の頃」だという。

「結婚相手は、当時働いていたキャバクラの客です。一回り以上歳が離れていましたが、会社経営者で、どのくらいお金を持っているかは、お店での使い方である程度把握していました。私を大事にしてくれて、当時『家がないから、同じキャバクラの友達の家に住まわせてもらっている』と漏らしたら、すぐにお店近くのアパートを借りてくれたんです。そろそろ自分の部屋を借りないと考えていた最中だったので、とてもありがたかったですね。旦那がプロポーズしてくれたのは、もちろん私のことを好きだったからだと思いますけど、不安定な私のことを心配していたところもあったのかな?」

 両親と不仲だったという亜美さんは、高校を卒業すると同時に家を出た。学生時代に貯めたアルバイト代でアパートを借りたが、貯金はすぐに底をついて家賃を払えなくなり、昼の仕事とキャバクラでの仕事を両立するようになったそうだ。

「同じ生活サイクルを続ける毎日は、つまらなくも楽しくもなくて、『私は何のために生きてるんだろう』って考え始めるようになりました。当時の私は多分、病んでいたと思いますよ。夜中、家に帰ってお風呂に浸かりながら、耳の裏側の毛を抜くのが癖になっていました。キャバクラの客も『あ、この人、太そう(お金を持っていそう)』って思ったら、すぐ寝ちゃってましたし。今振り返ると自傷行為の一つだったのかな、って」

 ホストクラブ通いを覚えたのは、キャバクラの同僚に誘われたことがきっかけだったという。

「仕事とはいえ、男をチヤホヤしていると、ストレス発散のために、こっちが男からチヤホヤされたくなるんですよね……おそらく私、ファザコンなんだと思います。私が指名していた担当は、年は少し上なだけなんですが、すごく落ち着いていて、包容力のある優しい人だったんですよ。キラキラ系のホストが多い中、おっとりしたタイプの彼が魅力的に見えました。 昼職と夜職掛け持ちして働いている私を、『えらいね』っていつも褒めてくれて、すごく救われていました。まあ今考えると、それも“手口”だったんでしょうけど」

 とはいえ、亜美さんと彼の関係は、たまに店外デートをするくらいで、特に進展はしなかったそうだ。

「だから今の旦那と結婚したんです。私が稼ぐ金額では、とてもじゃないけど『被り』(同じホストを指名している客)には勝てませんでした。かといって、ほかの客みたいに風俗は絶対にやりたくなくて……キャバクラの客と寝るときは自分で客を選べますけど、風俗だとどんな客が来るかわからないじゃないですか」

 店で知り合ったご主人と、その後数カ月で結婚し、昼の仕事も夜の仕事も辞めて、家庭に入ったという亜美さん。名目上だけ、ご主人の会社の従業員になり、仕事はしなくても一定の給料を受け取るようになった。

「今まで働いていた金額の倍以上はもらえるようになりました。結婚して、時間の自由が利かなくなった分、ホスト通いは制限されましたが、それでも10日に一度ペースで、旦那の出張時にはガッツリお金を使っていましたね。高いシャンパンを数回入れると、アフターでホテルに誘われて……初めて彼に抱かれた時は、もう夢のようでした」

 しかし、「今振り返ると、彼とはセックスしてもしなくても、どっちでもよかったのかもしれない」と亜美さん。

「結婚してほぼ専業主婦になってからホストクラブに行っても、全然楽しめなくなったんですよね……。で、気づいたんです。私、人の金でホストに行きたかったんじゃなくて、自分でこれだけ稼いだんだよ、被りに比べると全然安いやつだけど、自分で稼いだお金でシャンパン開けてるんだよって思いたかったというか。そのことを彼に褒めてほしかったんですよ」

 そう気づいた頃から、亜美さんの足は自然とホストクラブから遠のいたという。そんな彼女は現在、ヨガインストラクターとして働いている。

「『インストラクターの資格を取れたよ』って旦那に伝えたとき、すごく喜んでくれて、褒めてもらえたんですよ。私、幼い頃の家庭環境があまりよくなくて……子どもっぽいこと言っちゃって恥ずかしいんですけど、やっぱり私は、働いて自立している自分を褒めてくれる相手を探していたんだなあって。旦那には、数カ月間とはいえ、いただいたお金を湯水のごとくホストに注ぎ込んでしまったことを心の中で謝罪しつつ、こんな私を拾ってくれてありがとうと、感謝しています」

 煌びやかなネオンの中で生きた10年前のことを、「青春でした」と言い切った亜美さんの表情は、穏やかに輝いていた。
(文・イラスト/いしいのりえ)

「ママ友」へのマウンティングが“婚外恋愛”に!? 女同士の友情が拗れて迎えた意外な展開

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 女同士の友情は、一度結ばれると強いけれど、半面、ふとした瞬間に儚く途切れてしまう。どういったきっかけで縁が切れてしまうのか、また、切れた縁がどのように拗れてしまうのかがわからないところが女同士の友情の奇妙なところである。

「『なんで私ばかり譲らないといけないの?』っていう部分がパンクしてしまったんですよね。だから、彼女に対してもっとも『勝ってやる』ことが、彼女の旦那を寝とることでした」

 そう語る亜希さん(仮)は30代半ば。約1年に渡る育児休暇を経て、夏が来る前には職場復帰をする。

「何より仕事に復帰できたことが一番うれしいです。時短勤務になってしまいましたけど、仕事は楽しいですし、やりがいがあります。何もできないで旦那にぶら下がってる専業主婦の『あいつ』と比べないでくださいねって感じですよ……私は、稼げるんで」

 高学歴の大学を卒業した亜希さんは、大学を卒業してから新卒で一流メーカーに就職。そこで出会った上司と結婚し、一児をもうけた。

 順風満帆な人生である。しかし、妊娠中に知り合った年上の「ママ友」が、亜希さんの人生を激変させた。

「優子(仮)さんとは近所のマタニティヨガで知り合いました。40代の専業主婦で、ご家庭も裕福みたいです。とても仲良くしていただいて、頻繁に手料理をご馳走様になりに、ご自宅に遊びに行きました」

 優子さんは面倒見がよく、臨月が近いママ友も大勢いた。肩書はなかったが、彼女が作っているママ友コミュニティに入れてもらえた亜希さんは、正直ホッとしていたそうだ。

「これまで近所付き合いなんてほとんどしたことがありませんでしたし、もう少し社交的になったほうが、これから生まれてくる子どものためにもいいかも、なんて夫と話していたんです。そんな矢先に彼女と知り合えたことは、とてもうれしかったです」

 一人っ子の亜希さんは、年の離れた優子さんを姉のように慕い、彼女が定期的に自宅で開催するランチ会や両家族でのディナーなども頻繁に行っていたそうだ。けれど、2人の友情はひょんなことから拗れてしまう。

「きっかけは些細なSNSのやりとりでした。ちょうど私が職場復帰したころに送ったメッセージを、優子さんが違った解釈で受け取ってしまって……時短とはいえ、私と優子さんでは時間軸が異なりますよね。それなのに容赦なくメッセージを送ってくるんです。しかも、マウント取る感じの。ミーティング中に電話があった時にはさすがに参って。『ちょっとすいません』的なメッセージ送ったら、途端に彼女のコミュニティに無視されるようになりました」

 悲しい、怒り、などの感想よりも、亜希さんが一番に抱いた感想が「めんどくさい」だった。

「でも、ただ『めんどくさい』だけで片付けたくはなかったんです。せっかく楽しく一緒に子育てしようとしていたコミュニティの仲間たちにそっぽ向かれて、私の仕事時間も削がれて。それに、何より、一度仲良くなった優子さんと拗れて。悲しいじゃないですか。ムカつくじゃないですか。仕返ししたいじゃないですか」

 そこで亜希さんは、優子さんのご主人とこっそりSNSでやりとりし、緊急事態宣言が明けてからは不定期で2人で飲みに行っているそうだ。

「まあ、よくここまで愚痴が出てくるな、とは思いますよ。自然派を謳っている優子さんの料理に対して『味が薄い』とか『肉食わせろ』とか。しょっちゅう誘っては来ますけど、絶対にホテルには行きません。夫が大好きですし、裏切りたくないので気を持たせながら断っています。優子さんのご主人とのやりとりは全部録音していますよ。私が耐えられなくなったら優子さんに聞かせるつもりです」

 女同士のマウントの取り合いは、何よりも恐ろしい。
(文・イラスト/いしいのりえ)

早すぎた結婚、リモートワーク中のオフィスでの情事……転職先での婚外恋愛を欠かさなかった彼女が「潮時」と語るワケ

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 約2年にわたる新型コロナウイルスの影響を受け、リモートワークが広く普及したことから、オフィスでの婚外恋愛を楽しんでいたカップルは場所を失った。一方で、リモートワークを逆手に取り、愛を深めていたカップルも少なくない。

「先月まん延防止が解除されてから、うちの会社も少しずつオフィスに人が戻ってきています。これまでの天国が一転して地獄ですよ……」

 亜希さんはそう言って肩を落とした。まだ30代前半の亜希さんだが、結婚も婚外恋愛歴も長い。

「夫と結婚したのが早すぎたんです。新卒で就職してまもなく、おばあちゃんが病気になってしまって、入院して。お見舞いに行った時に『亜希の花嫁姿を見るまでは死なないから大丈夫だよ』なんて言ってくれて……早く見せないと! って、めちゃくちゃ慌てたんですよね。両親が共働きだったので、おばあちゃんに育てられたようなものでした。ものすごくおばあちゃん子だったんです」

 就職してから半年ほどたった頃、新卒指導に当たった先輩と交際を始め、結婚した。

「6歳年上の彼は優しかったし、趣味も合うんですよ。最初は社内のテニスサークルで仲良くなりましたが、ロードバイクが趣味というところもぴったりウマがあって、今でもよく2人で箱根まで行ったりしますよ。夫はほかにも釣りが大好きです。私だけに依存しないで仲間と勝手に楽しんでくれるところも好感が持てました。手がかからないし、明るくて友達も多い。収入も大体想像つくし、こんな良い人なかなか見つからないなと思って」

 ご主人と結婚したタイミングで亜希さんは退職し、数カ月の専業主婦生活をするも、すぐに別の会社で働くことになった。

「専業主婦生活の間しばらくは、ひとりでロードで遠征したりしてたんですけど、すぐ飽きちゃったんですよ。働くことが好きだし、せっかく大学まで行かせてもらって、社会人になるスキルを得たんだから、20代のうちからもっと吸収しておかないと将来困ると思って。夫も当時から将来は独立して起業するつもりでいましたから、私がスキルアップすることには大賛成してくれました」

 それから数年スパンで転職を繰り返し、亜希さんはめきめきと成長をしていった。また、それぞれの転職先での婚外恋愛も欠かしたことがないそうだ。

「恋愛ではないですよ、ただちょっと『ああ、今回はちょっと遊びすぎちゃったな』ってくらいで。ほとんどワンナイトか、持って数カ月。私がいる業界は士気が高くて、話していても面白い人が多いから、飲みにいくと大抵ちょっかい出し合っちゃいます。でも私が一番好きなのは夫なので大切にしていますよ。エッチもいまだに定期的にしてます」

 現在の職場では基本的に全員リモートワークのため、オフィスは開いているものの、ほとんど人がいないそうだ。

「クライアントと打ち合わせと称して、会議室でいちゃいちゃするのが大好きだったんですよ……まあでも、潮時ですかね。夫も起業に向けて始動するみたいなので、そろそろ夫一筋になります。おばあちゃんも、今では普通に生活できるようになったので、ひ孫を見せてあげたいですしね」

 いくつかの寄り道を経て成長した亜希さん。「遊びすぎ」を謳歌し、卒業できるところまで堪能できたのはコロナの唯一の恩恵だろうか。
(文・イラスト/いしいのりえ)

“主人公タイプ”の夫との完璧な結婚生活のはずが……婚外恋愛から離婚に至った彼女が「守ってよかったもの」

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 別れてから数年たって、以前の恋人のことを振り返ると「惜しいことをした」と感じる人は少なくない。過去の恋愛を思い出すのは、大抵「今」がうまくいっていないからだ。

 そして、気持ちが満たされないまま過去の恋愛を振り返ると、取り返しがつかない状況に陥ることが多い。

「後悔しています。ものすごく。それに、あんなバカなことをするくらい、当時の私は彼に狂っていたんだなと思います」

 光希さんは俯きながらそう呟いた。

 光希さんは30代後半。20代前半の頃、高校時代の同級生と結婚した。

「同じ高校の部活カップルの結婚式で再会しました。彼も私も同じ運動部で、部活仲間同士がとても仲が良くて、在学中も卒業後も、部活内でくっついたり離れたりしてました。彼とは在学中も数カ月付き合ってましたが、本格的に交際を始めたのはその結婚式がきっかけ。地元を離れた者同士ということもあって、妙に盛り上がってしまって……交際から一年もたたないうちに結婚しました」

 大勢の輪の中で聞き役になる光希さんとは違い、最初のご主人は華があり、人を巻き込むのが上手なタイプだったそうだ。

「今の言葉で言うと、私は『モブキャラ』でしたから……物語の主人公になるタイプの彼が私を選んでくれたのは今でも考えられません。同じ部活の仲間を呼んだ結婚式は私史上最高のクライマックスでしたね」

 光希さんにとって「手が届かない存在」であった元ご主人。しかし彼は光希さんのことを「ずっと見てくれていた」そうだ。

「彼は母子家庭でした。だから、私が持ってくるゴハンに憧れていたそうなんです。部活の練習がハードだったので、男女ともに練習が終わるとコンビニの惣菜パンなんかを食べながら、おしゃべりするのが練習後の日課だったんです。でも、そんな中で私は朝、自分で握ったおにぎりを食べてました。昔から料理が好きで……具に卵焼きと唐揚げを入れた大きいおにぎり。それを頬張ってる姿を見ていたって。めちゃくちゃ恥ずかしかったけど、うれしかった」

 光希さんに対して「理想の家庭像」を見ていた元ご主人だが、結婚して数年後、夫婦の間に綻びが生じはじめる。

「結婚してからも共働きでした。彼は『フルタイムの正社員じゃなくて、週に数日勤務の派遣社員でもいい』って言ってくれていたんですけど、覚えたての仕事は楽しかったし、私自身が『仕事も家庭も完璧でありたい』っていう、理想像を思い描いていたんですよね……家事は全て私が担当していました。彼には一切家事をさせたくなかったので、何度も家事の分担を提案されても拒絶していました。貯蓄を増やすために完璧に働いて、掃除洗濯も完璧にこなして、彼が自分を見つけるきっかけになった、おいしいご飯を毎日作る……思い返すと、彼にとっての『我が家』は、ものすごく窮屈だったと思います」

 次第に、元ご主人の帰宅時間が遅くなり、夕食を外で済ませてくることが増えてくる。

 光希さんは、元ご主人の浮気を疑うようになった。

「当時はガラケーでしたから、浮気相手とメールのやりとりがあるんじゃないかと思って、彼がお風呂に入っている間に携帯電話を開くんですよ。そうすると、暗証番号のロックがかかっていて。それだけで『浮気している』って勘繰ってしまう。些細な彼の行動一つ一つを分析して、想像して、勝手に『彼が浮気をしている』と思い込むようになりました」

 そこから、光希さんの婚外恋愛生活が始まる。

 きっかけは、元ご主人が浮気をしているという「妄想」の延長であった。

「出会い系サイトに登録して、条件に見合う人と浮気を繰り返すようになりました。彼が浮気をするのは私がこんなことをしているからだ、やっぱり彼と私は釣り合わない、と、自分を納得させたかったんだと思います」

 しばらくして、光希さんの浮気生活は元ご主人にバレてしまう。スマホのメッセージのやりとりが発覚したのだ。

「当時のスマホは相手からメッセージが届くとメッセージの内容が数行画面に表示される仕組みでしたので、たまたま彼がそれを見て問い詰められました」

 一晩中話し合いをした結果、光希さんが疑っていた元ご主人の浮気は全くなかったという。

 その後、2人は別居。

 元ご主人から離婚をしようと言われたが、光希さんは頑なに拒否。当人同士のみの話し合いでは埒があかず、家庭裁判所を介して話し合いを進め、離婚まで2年ほどかかったそうだ。

「2年間『私に外で浮気をさせたのは夫のせいです。離婚はしません』と、言い続けてました。モブなのに主人公に好かれて舞い上がっちゃって、おかしくなっちゃったんですよね。もう離婚して5年以上たつので、ようやく冷静に振り返られるようになりました」

 落ち着いた表情で光希さんは言った。

 憧れていた男性にみそめられて結婚し、少々人生をこじらせてしまった光希さん。しかし、大好きだった「彼」との結婚生活で、守ってきてよかったと思えるものがある。

「仕事です。彼が私のことを気遣って何度も『辞めていいんだよ』と言っていたけれど、頑なにフルタイムの仕事は辞めませんでした。私の仕事は日々進化していますので、少しでもブランクがあると置いてきぼりにされてしまいます。つらくても、大事な人を失っても、手に職があれば自分で自分を守れますからね」

 次の結婚相手は、選ばれるよりも私が選ぶ側になりたい、と、光希さんは笑顔で語った。
(文・イラスト/いしいのりえ)

「孫が生まれるんですよ」20年間の“婚外恋愛”と“年に一度のセックス”に終止符……彼女が「これ以上幸せな人生ってない」と語るワケ

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 長引くコロナ禍の中、婚外恋愛関係に終止符を打ったカップルの話を多く聞くようになった。中には、ゴールがない婚外恋愛関係の「終わらせ方」がわからなくなり、「思わぬきっかけをコロナにもらった」と安堵する女性もいる。

 今回お話を聞かせていただいた真由美さん(仮名)も、その一人だ。

「いつこの関係をやめるんだろう、いつ別れるんだろう、って自問自答の20年間でした。本当にズルズルと……長いですよね、20年も。気がついたら子どもが結婚した上に、孫ができました!」

 真由美さんは、彼女自身のこれまでの人生と、「彼」との長い婚外恋愛について語ってくれた。

 真由美さんが婚外恋愛を始めたのは、今から約20年前のことである。

「40代に差し掛かる頃でした。子どもたちに手がかからなくなって、仕事に復帰した時です。子育てで一時的に家庭に入ることにまったく不満はなく、子どもたちはもちろんかけがえのない宝物ですが、それでも新しい仕事と職場は、全てがキラキラしていましたね。ああ、やっぱり私がいたい場所はここなんだって、実感しました。職場に身を置いて、日々学ばせていただくのが大好きなんです」

 大学を卒業し、苦労して資格を得てから、ずっと専門職についていた真由美さん。大学時代の同級生と再会、結婚し、妊娠を期に一度は専業主婦になったものの、元来の仕事好きが高じて、長年のブランクを経て職場復帰する。

 仕事柄多くの人々と出会う中で知り合ったのが、20年以上関係をつづけた「彼」であった。ご主人とは正反対の明るい体育会系で、真由美さんと同じく家庭を持つ「彼」からのアピールに根負けして、数回食事に行く関係から、ついに一線を超えたという。

「私は、物心ついた頃から、勉強ばかりしていました。小学校の頃の中学受験から始まって、それからずっと勉強、勉強……お恥ずかしい話ですけど、経験人数は2人です。旦那と、彼の2人だけ。正直セックスという行為自体は好きではありません。彼と一緒にいて、話を聞いて、お酒を飲んで、キスをして裸で抱き合う。そのドキドキ感と切ない時間が大好きでした」

 真面目な真由美さんが彼と肉体関係を持ったきっかけは、「小さな我慢の積み重ね」であった。

「旦那は典型的な昭和の人間だったので、育児は全て私任せ。働きだした当時の私は、仕事と家事の両立で、少し心が疲れてしまっていたんですね。ヘトヘトになって風呂を済ませて、旦那が書斎代わりに使っていた部屋から人けがしたんです。いつもは私が寝る前には寝ているのに……と、こっそりドアの隙間から中を覗いたら、旦那がアダルトビデオを見ていたんですよ。ヘッドフォンをして、背中を丸めて……その姿を見たら、なんかもう、ドッと疲れちゃって」

 当時、真由美さんは、「仕事から帰ってきて、洗濯を取り込んで畳んで、夕食を作って、仕事の予習をして、朝食と子どもたちの弁当の下ごしらえをして、明日はまた6時に起きて……」という多忙なスケジュールをこなしていた。

「全て自分で決めたことだから文句は言いたくありませんでしたし、言うつもりもありませんでした。けれど、出された夕食を無言で食べて、我先に風呂に入ってアダルトビデオに熱中している旦那の背中を見ていたら、今まで無意識のうちに蓄積されていた我慢が爆発しちゃったんですね。それで、彼と関係を持ったんです」

 それから約20年の間、真由美さんは彼との交際を続け、お子様たちの成人を見届けてから離婚、現在は独身である。

「離婚のきっかけは旦那の浮気です。きっかけが欲しかったので、浮気に気づいた時には『やった! 離婚できる』って思いました。子どもたちも、薄々私たちが不仲なのは勘づいていたようですし、『ママの好きにすればいい』って。子どもたちが帰ってくる場所は絶対に守りたかったので、家だけもらいました。慰謝料はいただいていません……まあ、私もずっと後ろめたいことをしてきましたからね」
 
 その後も真由美さんは彼との関係を継続し、「年に一度の『確かめ算』」のように、初めて結ばれた日を祝い、セックスをしていた」そうだ。

「それが、コロナ禍の影響で、去年も今年もお流れになってしまったんですよ。私は普通に仕事をしていますが、彼は去年からずっとリモートで仕事をしていて、外出するにも理由を作らなければならなくて。きっと疲れちゃったんでしょうね、去年の夏過ぎから連絡が途絶えてきて、もう半年以上連絡がきません。私からもするつもりはないんです。子どもに、孫が生まれるんですよ……孫の前では後ろめたいことがない自分でいたいなって。おかしな話ですけど」

 今は、もうすぐ会える孫のために、いつでも育児のフォローができるよう自宅を大改造中だそうだ。

「私の仕事は、一生学ばなければならない仕事です。日々勉強し、働いて、時々娘の代わりに孫の世話ができる。これ以上幸せな人生ってないですよ。旦那とはご縁がありませんでしたけれど、私に娘と孫を授けてくださって感謝しています。そして、束の間の楽しみをいただいた彼にも感謝しています」

 新しい命の誕生をキラキラした笑顔で心待ちにする真由美さんは、喜びに満ちあふれていた。
(文・イラスト/いしいのりえ)

まるで『恋つづ』の佐藤健……美しい夫は、浮気を繰り返した。舐められまくった田舎妻が思い描く復讐計画

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 今回は特別編として、夫に「婚外恋愛された」妻の声を紹介する。

 長期にわたるコロナ禍の影響で、婚外恋愛事情も大きく変化した。

 筆者が本連載で取材対象とする女性は、半数以上が「共働き夫婦」。急速に拡大したテレワーク導入により出社することを制限された人が多く、なかなか恋人に会える時間が作れず、自然消滅した婚外恋愛カップルも多いと聞いている。逆にいうと、パートナーと向かい合う時間が増え、関係が深まったというケースもあるのかもしれない。

 しかしそんな中、今回話を聞かせてくれた萌美さん(仮名)は、この度、結婚生活を打ち切り、新しい人生を送るための準備をしている。原因は、長年にわたる夫の婚外恋愛だという。

「周りには、『コロナ禍のステイホーム期間で、夫婦の価値観の違いが浮き彫りになったのが原因』なんて言いましたけど、実際のところは浮気です。というか、最初から冷めた関係だったんだと思います。新しい人生を切り開くきっかけを与えてくれた、このご時世に感謝しますよ」

 リモート取材のパソコン画面の向こうで、萌美さんは苦笑しながら、そうつぶやいた。

 色白で柔らかな雰囲気の萌美さんは30代半ばで「もう旦那がハナクソほじってても何とも思わなくなりました」と言うほど、ご主人との結婚生活は日常となっている。

「20代半ば過ぎの頃、遊び仲間つながりで旦那と知り合った時には、驚きました。キレイな顔で、中性的なルックスも浮世離れしていて……私より肌が綺麗で。まあ、飲みの席でしたし、実は夫は、ファンデを濃く塗ってただけなんですけど。大学進学と同時に上京して、その後、数年たっても田舎育ちが抜けていなかった当時の私は、ちょっと綺麗な人を見ると、すぐポッとなっていたんですよ」

 きらびやかな東京で、右往左往しながら暮らしてきたという萌美さん。

 学生時代は、東京での暮らしについて行くためにバイトを詰め込み、大学卒業後も、新卒で入社した会社に馴染むために必死で、恋愛経験は大学時代に数カ月交際した男性だけだという。

「だから、旦那との出会いは、たとえるならば、TBSでやってる火曜夜10時のドラマみたいな展開でした。夫はまるで、『恋はつづくよどこまでも』で佐藤健が演じた天堂先生、私はさしづめ上白石萌音が演じた七瀬でしょうか。私のような冴えなくてモテない女の前に、あんなに綺麗な男性が現れたんです」

 出会った当初は舞い上がっていた萌美さんだが、結婚を経て数年たった今振り返ると、「旦那が私と付き合った理由は、『この女は、俺のアプローチを絶対断らない』と思ったからでは」という。

「だって『容姿ヒエラルキー』って、一度決まったら、もう二度と覆らないじゃないですか。一生、上に立てると思ったんでしょうね。交際当時から、旦那は何度も浮気を繰り返し、結婚後もデリヘルに通いつめたり、素人やらも食い散らかしてる。最近は婚外恋愛もしているようで、旦那の外での様子は、かなり把握してます」

 萌美さんは容姿に加え、「田舎出身」「恋愛経験が浅い」という点も、夫に舐められたポイントだろうと語る。しかし、夫がどうあがいても萌美さんに「勝てない」部分があった。それは「金」である。

「詳しくはお話できないんですけど、私、地元ではちょっと有名な外食チェーン経営者の娘なんです。ごく親しい友人には打ち明けていましたから、旦那もそれを耳にして、私を『釣ろう』と思ったんでしょうね。まあ、まんまと釣られたわけなんですけど……」

 容姿で萌美さんにマウントを取った夫は、萌美さんの「金」も手中に収め、「勝てたつもり」でいたのだろうか。しかし萌美さんは、こんな復讐を思い描いているそうだ。

「今は離婚のため、浮気の証拠集めをしているところです。愛なんてとっくに冷めてますよ……旦那にとって、私の最大の存在価値が『金』だとしたら、逆に1円でも多く慰謝料をふんだくって、絶望させたい。それで、まったく興味のないホストに貢いで一晩で使い果たしたいですね。そんなふうに、悠々自適に男遊びしようかなって思ってます。あまり選り好みできる年齢ではなくなってしまいましたが、それはもうしょうがないことなので」

 夫への復讐心に燃える萌美さん。結婚生活を送る中で、恋人を作りたいという気持ちは芽生えなかったのだろうか。

「旦那以外に拠りどころを見つけたいのはやまやまでしたけど、踏みとどまっています。裁判で不利になることは絶対に避けたいですし。旦那には、この数年間、私を女として見下してきたことへの制裁を与えたいです。ザマアミロ、って」

 そう言って萌美さんは笑った。

 容姿に絶対の自信を持ちすぎた男の哀れな結末を見たような気がした。舐められる妻から卒業した萌美さんの、これからの人生を応援したい。
(文・イラスト/いしいのりえ)

「浮気相手は100%同性」夫との子作りを始める30代既婚女性が、浮気相手に女性を選ぶワケ

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃないか? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

 近年LGBTQへの理解が進む中、芸能人が性的マイノリティであることをカミングアウトしたり、街中で同性カップルを見かけることが珍しくなくなった。

「本当にありがたい世の中になったなあと感じます。昔は新宿以外のラブホテルに女の子同士で入ると、ジロジロ見られたりしてましたから。受付のおばちゃんが小窓から顔出して覗いてきたこともありますよ」

 そう語るミカさん(仮名)、現在の婚外恋愛相手は「女性」である。

 ミカさんは30代前半。大学時代からの友人であった男性と数年後に再会、交際を経て結婚した。

「ここ最近、私も旦那も『夫婦』としてのペースをつかめてきたので、今年は真剣に子作りしようと思っています。年上の友達も『早く産んでおいたほうがいいよ』ってアドバイスをくれますし、そもそも大変なことは先に済ましておきたいタイプなんです。本当は去年あたりから頑張るつもりだったんですけど、コロナ禍になっちゃったので」

 日本人の母と東南アジア系の父を持つミカさんは、高校進学のタイミングで来日。華奢な手脚と小さい顔、大きな瞳に異国の血を感じさせる。

「それからずっと日本ですけど、どこか『自分の国じゃない』っていう違和感を覚えながら住んでいます。一番強く感じるのは人との距離感ですかねえ……私、人が好きなんですよ。気に入った人にはすぐハグしちゃうし、ほっぺにキスしちゃう。男も女も、おじいちゃんもおばあちゃんも。みんな大好き! 日本だと、特にこのご時世ですから、まあイヤがられますよねえ」

 ミカさんは手を叩いて明るく笑う。大学時代からそんなノリであったミカさんを温かく見守っていたのが、今の旦那さんである。大学在学中は「くっついたり離れたりしていた」という2人は、共通の友人の結婚式で再会。自然と交際が始まり、結婚へと発展した。

「私、男癖が悪いんですけど、旦那はそのことをイヤっていうほど知ってますから。まあこの人だったら、多少の浮気も目をつぶってくれるんじゃないかなという甘えがあったんですよ。彼も彼で、本気の不倫はしないけど、私と同じで、よその子にちょいちょい『ちょっかい』出すのは好きな人なので、まあお互い様ってことで。私も旦那も、出会った時から寄り道してくっついて、を繰り返していたから、多分夫婦して一生このスタンスなんだろうなって思いますよ……」

 しかし、ミカさんは「男癖が悪い」に留まらなかった。

「私はバイセクシュアル。今の恋愛対象は100%女性で、肉体関係もあります。なぜ男性とは寝ないかというと、万が一、旦那の両親や親戚に浮気がバレて、私だけ慰謝料請求されたり攻撃されたりするのは絶対イヤだから。その点、浮気相手が女性なら、『友達』にしか見えないですもんね。私、表面上は良い妻でいたいんです。自分の両親も悲しませたくありませんし」

 お互いの浮気は見てみぬフリという夫婦間の暗黙の了解は、誰しもが理解できることではない。一方で、ミカさんは結婚してからも「タイミングが合えば」女性を対象に浮気をし、旦那さんもまた、同じように浮気を楽しんできた。

 ある意味、進歩的な夫婦にも見えるが、旦那さんは浮気の痕跡は残さなくとも、時々その匂いを漂わせているといい、ミカさんが苦言を呈することもあるそうだ。

「旦那の浮気はセックスでわかります。『あ、これ今のオンナが喜ぶやつ?』ってう技を仕掛けてくるんですよ。まあ数回は許すけど、さすがに1カ月以上続いてそうだったら、『いい加減にしろよ』っていう意味を込めて、遠回しに忠告しますけどね。『最近そのテクニックお気に入りだね』みたいな言い回しで」

 対するミカさんの浮気は、相手が女性なので「多分バレてない」という。

「ベッドの上では確実に気づいていないと思いますよ……私『タチ』なんで。女が男とセックスする時って、まぁ、ほとんどの場合が『ネコ』じゃないですか」

 そう言ってミカさんは朗らかに笑った。
 
 性の多様性が浸透する一方、「ハマりすぎない婚外恋愛はOK」など、「夫婦」の在り方もそれぞれになっているようだ。
(文・イラスト/いしいのりえ)