上原多香子、遺族への“慰謝料”は来月時効……逆に“名誉毀損”で200万円請求可能!?

 8月10日発売の「女性セブン」(小学館)で、ヒップホップグループ・ET-KINGのTENNさんが2014年に自死した当時、妻の上原多香子(SPEED)が俳優・阿部力と不倫関係にあったと報じられた。

 「セブン」には、TENNさんの実弟が公表したTENNさんの遺書と、上原が不倫相手の阿部とかわした恋愛感情満載のLINEの内容、上原と阿部の親密さをうかがわせる写真が掲載された。上原の不倫は、家族からしてみれば許されない行為だが、TENNさんが亡くなって3年たってから、遺書やLINE等を公開する行為は、上原に対する名誉毀損にならないのだろうか? また、遺族側がTENNさんの代わりに上原の不貞行為について、慰謝料を請求することは可能なのだろうか? 弁護士に話を聞いた。

 まず、アディーレ法律事務所の吉岡一誠弁護士は、次のように説明する。

「『セブン』の記事の内容は、全体として上原多香子さんが不倫をしたかのように受け取られる記載になっており、これにより上原さんの社会的評価が低下しうると考えられるので、名誉棄損に該当する可能性があります。また、公表された写真やLINEの内容は、上原さんにとって、公にされたくない私生活の事柄であると考えられるので、プライバシー侵害にも該当する可能性があります」

 名誉棄損やプライバシー侵害と認められた場合、上原の精神的苦痛に対する慰謝料額は、数十万~数百万円程度であるという。

「基本的には、名誉棄損またはプライバシー侵害行為の主体は、記事を作成した出版社であり、賠償責任を負うのは出版社になりますが、TENNさんの実弟が提供した遺書や写真、LINEの内容がそのまま掲載されていますし、記事の内容についても了承しているものと考えられるので、TENNさんの実弟も同様に賠償責任を負うことになるでしょう。

 なお、出版社やTENNさんの実弟としては、名誉棄損について、(1)公共の利害に関する事実であること、(2)公益目的であること、(3)真実であること、または真実であると信じたことについて確実な資料・根拠に基づいていると立証することで、責任を免れることが可能であり、プライバシー侵害についても、公表に正当な理由があることなどを立証することで、責任を免れる余地があります」

 また、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の中里妃沙子弁護士は、あくまで参考意見とした上で、「遺言の中に、上原さんの評判を落としかねないような事実が記載されていて、義弟がその内容を、遺言を示してマスコミを通して公表したような場合には、義弟に名誉毀損罪が成立します。その場合の慰謝料は、せいぜい200万円が限度です」と述べる。

 では、逆に上原の不貞行為に関して、遺族が慰謝料を請求することはできるのだろうか? 吉岡弁護士によると可能だという。

「TENNさんの遺族は、相続によりTENNさんの慰謝料請求権を承継するため、相続放棄をしていなければ、上原さんやその不貞相手の男性に慰謝料請求をすることが可能です。不貞による慰謝料額の相場は、数十万~300万円程度で、婚姻期間や不貞期間等さまざまな事情から金額が決められます。ただし、裁判上請求が認められるためには、請求をする側が不貞の事実を立証しなければなりません。今回の記事の中で取り上げられていた内容だけでは、肉体関係があったことを立証できない可能性も高く、実際には難しいのではないでしょうか」(吉岡弁護士)

 中里弁護士も、「遺族から上原さんへの慰謝料請求は可能です。とはいえ、時効の壁(3年)がありますので、元夫が上原さんの不貞、および不貞の相手方を知ったときから3年を経過していたら、請求できません」と話す。TENNさんが自殺したのは2014年の9月25日で、遺族がその時に上原の不貞を知ったとすれば、来月、時効の3年を迎えることになる。

 上原は、上演中の舞台が千秋楽を迎える8月18日以降は無期限活動休止に入ると報じられているが、今後、自らの口で事情を説明することがあるのだろうか。

祖母の失念で男児死亡……認知症の高齢者が起こした事件は、罪になる? ならない?

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回の番組>
各局ニュース番組等

<今回の疑問>
認知症の人や高齢者が事故や事件を起こした場合、「法的責任」の境界線とは?

 8月2日、仙台市の民家の駐車場に停められた乗用車内で、3歳の男児がぐったりした状態で見つかり、病院で死亡が確認された事件。死因は熱中症の可能性が高いとされている。

 この事件では、祖母が車内に男児がいることを忘れて、その場を離れたとみられており、ネットでは「認知症では?」などの声も上がっているが、認知症の加害者が事件や事故を起こした場合、どのような刑罰になるのだろうか? 近年、高齢者による自動車事故などが増えていることもあり、認知症者の責任能力について、アディーレ法律事務所の吉岡達弥弁護士に聞いた。

「犯罪の成立には責任能力が必要です。犯罪行為時に善悪の判断ができず、自分の行動を制御する能力が欠如している状態を『心神喪失』といい、心神喪失状態の行為を処罰することはできません。また、善悪の判断や、行動を制御する能力が著しく低い場合のことを『心神耗弱』といい、心神耗弱者の行為については刑が減刑されます。例えば、認知症の状態で自動車を運転し、傷害事故を起こした場合には、過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)が成立します。しかし、心神喪失であれば処罰されませんし、心神耗弱であれば刑が減刑されます」

 では、過去の高齢者による事件、事故はどのように判断されているのだろうか? また、認知症で罪に問われなかった判例などはあるのだろうか?

「2016年に集団登校中の児童に軽トラックが突っ込み、7人が死傷した事故で、88歳の男性が自動車運転過失致死傷容疑で送検されましたが、不起訴処分になっています。男性はアルツハイマー型認知症で、刑事責任を問えないと判断したとみられます。また、減刑されたものとしては、(1)80代後半の男性がデパートで起こした窃盗事件。犯行当時、認知症の影響で行動制御能力が著しく減退しており、心神耗弱状態であったとして減刑。(2)30代女性の窃盗事件で、女性が認知症で心神耗弱状態にあったということで刑を軽くした。以上のような例があります」

 身内にも起こりうる高齢者や認知症の事件や事故を防ぐために、家族も然るべき対応が必要だろう。

アディーレ法律事務所

<疑問大募集>
ドラマ、バラエティーから、ニュース、CMまで、弁護士に聞いてみたい、テレビを見ていて感じた疑問を募集しています。下記フォームよりご応募ください。

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祖母の失念で男児死亡……認知症の高齢者が起こした事件は、罪になる? ならない?

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

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認知症の人や高齢者が事故や事件を起こした場合、「法的責任」の境界線とは?

 8月2日、仙台市の民家の駐車場に停められた乗用車内で、3歳の男児がぐったりした状態で見つかり、病院で死亡が確認された事件。死因は熱中症の可能性が高いとされている。

 この事件では、祖母が車内に男児がいることを忘れて、その場を離れたとみられており、ネットでは「認知症では?」などの声も上がっているが、認知症の加害者が事件や事故を起こした場合、どのような刑罰になるのだろうか? 近年、高齢者による自動車事故などが増えていることもあり、認知症者の責任能力について、アディーレ法律事務所の吉岡達弥弁護士に聞いた。

「犯罪の成立には責任能力が必要です。犯罪行為時に善悪の判断ができず、自分の行動を制御する能力が欠如している状態を『心神喪失』といい、心神喪失状態の行為を処罰することはできません。また、善悪の判断や、行動を制御する能力が著しく低い場合のことを『心神耗弱』といい、心神耗弱者の行為については刑が減刑されます。例えば、認知症の状態で自動車を運転し、傷害事故を起こした場合には、過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)が成立します。しかし、心神喪失であれば処罰されませんし、心神耗弱であれば刑が減刑されます」

 では、過去の高齢者による事件、事故はどのように判断されているのだろうか? また、認知症で罪に問われなかった判例などはあるのだろうか?

「2016年に集団登校中の児童に軽トラックが突っ込み、7人が死傷した事故で、88歳の男性が自動車運転過失致死傷容疑で送検されましたが、不起訴処分になっています。男性はアルツハイマー型認知症で、刑事責任を問えないと判断したとみられます。また、減刑されたものとしては、(1)80代後半の男性がデパートで起こした窃盗事件。犯行当時、認知症の影響で行動制御能力が著しく減退しており、心神耗弱状態であったとして減刑。(2)30代女性の窃盗事件で、女性が認知症で心神耗弱状態にあったということで刑を軽くした。以上のような例があります」

 身内にも起こりうる高齢者や認知症の事件や事故を防ぐために、家族も然るべき対応が必要だろう。

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今井絵理子の不倫、妻への慰謝料は最高300万円!  「離婚調停中」の見極めラインは?

 「週刊新潮」(新潮社)で不倫疑惑を報じられた今井絵理子参議院議員。同誌によると不倫相手の橋本健・神戸市議は、妻と離婚調停中で4~5年前から別居中だったという。これについて『とくダネ』(フジテレビ系)コメンテーターの古市憲寿氏は、7月27日の放送で「(離婚調停と別居が)もしも本当なら、不倫とはいえ5年間も関係がないなら、一線を越えていてもいんじゃないかなと思うんですけれどね」とコメント。また、同日に会見した橋本市議自身も、不貞行為を否定した上で、今井との関係を「不法行為には該当しないという認識」だったと話している。

 一般的には、5年も別居していれば、結婚生活が破綻していると考えられるが、橋本市議の妻は今井を訴えることが可能なのだろうか? アディーレ法律事務所の鮫島玲央弁護士に聞いた。

「前提として、すでに婚姻関係が破綻している既婚者と肉体関係を持ったとしても、不法行為とはなりません。なぜならば、婚姻関係が破綻している場合、夫婦において保護されるべき『婚姻共同生活の維持』という利益が存在しないからです」と鮫島弁護士は述べる。そして、婚姻関係が破綻しているかの判断は、婚姻関係が完全に破壊され、修復の可能性があるか否かによって判断されるという。

「この判断にあたっては、婚姻期間や夫婦の不和の期間、夫婦の離婚意思等のさまざまな事情が総合的に考慮されます。一般的には、別居をしているということは、婚姻生活を継続する意思がないとして、婚姻関係の破綻が認定される方向に働く事情にはなりますが、別居しているという事実だけで、必ずしも婚姻関係が破綻していると認定されるとは限りません」

 例えば、離婚を前提としないで、夫婦が互いに距離を置いて冷静になるために別居をしていた場合では、婚姻関係の破綻が認定されなかったという裁判例もあるそうだ。

「今回のケースですと、夫婦の離婚意思が明確ではあるが、夫婦間で離婚協議や離婚調停で話がまとまらず別居していたという事情であれば、婚姻関係が破綻していると認定される可能性も十分あると考えられます。かといって、橋本市議の妻が、今井氏を訴えることは自由ですし、すでに述べたとおり、婚姻関係の破綻はさまざまな事情を考慮して判断されますので、必ずしも、橋本市議の妻の請求が認められないとも限りません」

 橋本市議の妻は「新潮」の取材に対し、「百歩譲って私たちが離婚に近づいているにしても、今の段階ではダメですよね」と話している。仮に、妻が今井に慰謝料請求した場合、金額はどのくらいになるのだろうか?

「一般的には、不貞慰謝料は、婚姻期間、不貞期間、不貞回数、婚姻関係が円満であったか、幼い子がいるか等の事情を、総合的に考慮して判断しますが、不貞が原因で離婚に至った等で婚姻関係が破綻したと認定されれば、100万円から300万円という額が相場といわれています。

 今回のケースでは、橋本市議と妻の双方に離婚意思があり、別居しているといった事情なのであれば、婚姻関係がすでに破綻しているとして、慰謝料請求が認められない可能性もあります。仮に、請求が認められたとしても、相場よりも低い額しか認められない可能性もあります」

 ところで、「新潮」に掲載されていた、2人が新幹線車内で手をつないでいる写真や、同宿したという記事は不倫の証拠になるのだろうか?

「どちらも、証拠にはなります。手をつないでいる事実や、同宿した事実は、肉体関係を直接証明する証拠ではないですが、肉体関係があったと推認させる証拠にはなります。ただ、証拠としての価値が高いかどうかというと、文章だけではなく、写真の方が証拠価値は高いでしょう。また、一般的には、手をつないでいることを示す証拠よりも、同宿したことを示す証拠の方が、より強く肉体関係の存在を推認できるため、証拠としての価値は高いと思われます」

 次から次と報道される各界の“不倫”だが、「不法行為」がないからといって問題にならないとは限らない。その影響力を考えれば、政治家や芸能人は、もう少し慎重な行動をとったほうがいいのではないだろうか。

加藤綾子「セクシーポーズ」日テレ「清廉性」弁護士が斬る、女子アナ入社試験のおかしな項目!

 元フジテレビのフリーアナウンサー、加藤綾子が7月10日深夜放送の『クジパン』(フジテレビ系)に出演。同局の入社試験で“セクシーポーズ”を求められた際に、スカートをまくり上げたことを明かした。これに対し、ネットでは、「セクハラ」「これを面白いと思って放送したフジテレビは倫理観が狂ってる」「気持ち悪い」等、非難ごうごう。テレビ局の入社試験で、セクシーポーズをさせることは法的に問題ないのだろうか。アディーレ法律事務所の吉岡達弥弁護士に聞いた。

■人格権侵害で損害賠償も!

 吉岡弁護士によると、セクハラとは、相手の意に反する性的言動、性的嫌がらせ全般を指すという。

「入社を希望する学生等からすれば、入社試験で、『セクシーポーズをしてください』と言われたら、意に反していても断ることはできず、要求に応えざるを得ません。一般の場で同じことを言われたら、断る女性の方が多いと思いますし、入社試験だから、やむを得ず要求に応じ、『セクシーポーズ』をすると考えられますので、セクハラに該当します。セクハラに該当すれば、人格権侵害として損害賠償請求の対象となります」

 そもそも、採用選考にあたって、男女で異なる扱いをすることは法律で禁止されているそうだ。

「例えば、結婚の予定の有無、子どもが生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について、女性に対してのみ質問することは禁止されています(雇用機会均等法10条、労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針)。

 当然、入社試験で、女性にだけ『セクシーポーズをしてください』と言ったら、この雇用機会均等法、指針に反します。そして、厚生労働大臣は、必要があるときは、事業主から報告を求め、助言・指導・勧告をすることができ(29条)、報告をしなかったり、虚偽の報告をした者に対しては、20万円以下の過料が科せられます(33条)。勧告に従わない場合には、企業名を公表することもできます(30条)」

 現在、この試験項目はなくなったそうだが、加藤はフジテレビに対して損害賠償を請求する裁判を起こすことも可能だったということだ。

 また、裁判といえば、以前、学生時代のホステスのバイト歴が発覚し、内定を取り消された女子学生がいた。その後、裁判を起こして和解し、日本テレビに入社した笹崎里菜アナウンサーだ。彼女が受け取った通知書には「アナウンサーには高度の清廉性が求められる」などと書かれていたという。

 これら2つのケースのように、入社希望者に「高度の清廉性」や「セクシーポーズ」を求めるのは、“女子アナ”という特殊な職業だから、ということで認められるものなのだろうか。

「職業ごとに要求される要素というものは異なりますが、憲法、雇用機会均等法によって、性別による差別は禁止されていますので、『セクシーポーズ』を求めるのは認められません。

 また、『高度の清廉性』に関しては、具体的中身が問題となります。ホステスのバイトをすることが、なぜ『高度の清廉性』を害するのかが不明です。ホステスも立派な職業ですから、ホステスをしていたことが『高度の清廉性』を害すると判断するのは、ホステスを職業差別していることになる可能性もありますし、ホステスは『高度の清廉性』を害すると判断している人にこそ、『高度の清廉性』がないのではと判断される可能性もあります。そういったことから、内定取り消し事件は和解に至ったのではないでしょうか」

■女子アナに就職協定は関係ない

 ところで、加藤は、ほかの受験者よりも相当優位な状況下で試験を受け、フジテレビ入社は「青田買い」状態だったと報じられている。また、元乃木坂46の市來玲奈は、今年2月に、日本テレビのアナウンサーに内定したと報じられた。日本経済団体連合会(経団連)の「採用選考に関する指針」(いわゆる就職協定)では「正式な内定日は17年10月1日以降とする」と定められているが、それよりも半年以上早く内定が出ていることになる。就職協定には法的な拘束力はないのだろうか?

「経団連の就職協定(採用選考指針)に法的拘束力はありません。あくまで自主的ルールです。ルールを定めた理由は、企業の採用活動を学業の妨げにならない時期に定め、学生が学業に専念できるようにすることにあります。法的拘束力を持たせると、企業の採用の自由、学生の就職活動の自由が制約され問題が出てきます。そのため、あくまで自主的ルールにとどめています。当然、採用活動に苦戦する企業等は守りません。また、経団連に加盟していない企業からすれば自主的ルールにさえ拘束されません」

 つまり女子アナの「青田買い」は法的に問題ないということのようだ。しかし、これらは、女子アナの入社試験がいかに特殊かを表しているのではないだろうか。

アディーレ法律事務所

加藤綾子「セクシーポーズ」日テレ「清廉性」弁護士が斬る、女子アナ入社試験のおかしな項目!

 元フジテレビのフリーアナウンサー、加藤綾子が7月10日深夜放送の『クジパン』(フジテレビ系)に出演。同局の入社試験で“セクシーポーズ”を求められた際に、スカートをまくり上げたことを明かした。これに対し、ネットでは、「セクハラ」「これを面白いと思って放送したフジテレビは倫理観が狂ってる」「気持ち悪い」等、非難ごうごう。テレビ局の入社試験で、セクシーポーズをさせることは法的に問題ないのだろうか。アディーレ法律事務所の吉岡達弥弁護士に聞いた。

■人格権侵害で損害賠償も!

 吉岡弁護士によると、セクハラとは、相手の意に反する性的言動、性的嫌がらせ全般を指すという。

「入社を希望する学生等からすれば、入社試験で、『セクシーポーズをしてください』と言われたら、意に反していても断ることはできず、要求に応えざるを得ません。一般の場で同じことを言われたら、断る女性の方が多いと思いますし、入社試験だから、やむを得ず要求に応じ、『セクシーポーズ』をすると考えられますので、セクハラに該当します。セクハラに該当すれば、人格権侵害として損害賠償請求の対象となります」

 そもそも、採用選考にあたって、男女で異なる扱いをすることは法律で禁止されているそうだ。

「例えば、結婚の予定の有無、子どもが生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について、女性に対してのみ質問することは禁止されています(雇用機会均等法10条、労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針)。

 当然、入社試験で、女性にだけ『セクシーポーズをしてください』と言ったら、この雇用機会均等法、指針に反します。そして、厚生労働大臣は、必要があるときは、事業主から報告を求め、助言・指導・勧告をすることができ(29条)、報告をしなかったり、虚偽の報告をした者に対しては、20万円以下の過料が科せられます(33条)。勧告に従わない場合には、企業名を公表することもできます(30条)」

 現在、この試験項目はなくなったそうだが、加藤はフジテレビに対して損害賠償を請求する裁判を起こすことも可能だったということだ。

 また、裁判といえば、以前、学生時代のホステスのバイト歴が発覚し、内定を取り消された女子学生がいた。その後、裁判を起こして和解し、日本テレビに入社した笹崎里菜アナウンサーだ。彼女が受け取った通知書には「アナウンサーには高度の清廉性が求められる」などと書かれていたという。

 これら2つのケースのように、入社希望者に「高度の清廉性」や「セクシーポーズ」を求めるのは、“女子アナ”という特殊な職業だから、ということで認められるものなのだろうか。

「職業ごとに要求される要素というものは異なりますが、憲法、雇用機会均等法によって、性別による差別は禁止されていますので、『セクシーポーズ』を求めるのは認められません。

 また、『高度の清廉性』に関しては、具体的中身が問題となります。ホステスのバイトをすることが、なぜ『高度の清廉性』を害するのかが不明です。ホステスも立派な職業ですから、ホステスをしていたことが『高度の清廉性』を害すると判断するのは、ホステスを職業差別していることになる可能性もありますし、ホステスは『高度の清廉性』を害すると判断している人にこそ、『高度の清廉性』がないのではと判断される可能性もあります。そういったことから、内定取り消し事件は和解に至ったのではないでしょうか」

■女子アナに就職協定は関係ない

 ところで、加藤は、ほかの受験者よりも相当優位な状況下で試験を受け、フジテレビ入社は「青田買い」状態だったと報じられている。また、元乃木坂46の市來玲奈は、今年2月に、日本テレビのアナウンサーに内定したと報じられた。日本経済団体連合会(経団連)の「採用選考に関する指針」(いわゆる就職協定)では「正式な内定日は17年10月1日以降とする」と定められているが、それよりも半年以上早く内定が出ていることになる。就職協定には法的な拘束力はないのだろうか?

「経団連の就職協定(採用選考指針)に法的拘束力はありません。あくまで自主的ルールです。ルールを定めた理由は、企業の採用活動を学業の妨げにならない時期に定め、学生が学業に専念できるようにすることにあります。法的拘束力を持たせると、企業の採用の自由、学生の就職活動の自由が制約され問題が出てきます。そのため、あくまで自主的ルールにとどめています。当然、採用活動に苦戦する企業等は守りません。また、経団連に加盟していない企業からすれば自主的ルールにさえ拘束されません」

 つまり女子アナの「青田買い」は法的に問題ないということのようだ。しかし、これらは、女子アナの入社試験がいかに特殊かを表しているのではないだろうか。

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松居一代、名誉棄損の可能性も! 「週刊新潮」に家の中の写真を撮られたと主張

 “離婚騒動”で世間を騒がせている松居一代だが、7月11日夜にアップしたYouTube動画では、身を隠していた89歳の一般人女性の家を「週刊新潮」(新潮社)に探し当てられ、2人が家の中で食事をしている写真を勝手に撮られたと主張している。しかし、翌12日発売の同誌に掲載されていたのは、部屋の中の写真ではなく、松居がひとりで路上を歩いている写真だけだった。事の経緯はわからないが、もし本当に松居の言い分通りに、家の中を覗いたり撮影していた場合、罪になるのだろうか? アディーレ法律事務所の吉岡達弥弁護士に聞いた。

 吉岡弁護士によると、もし「週刊新潮」の記者が、松居が滞在していた家を、こっそりのぞき見ていたなら、軽犯罪法1条23号の「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」に該当する可能性があるという。

「同号に該当すれば、1日以上30日未満の拘留、または1,000円以上1万円未満の科料となります」

 では、もし松居の主張が被害妄想で虚偽の発言だったとしたら、松居側にどんな法的責任が生じるのだろうか?

「名誉棄損罪が成立する可能性があります。松居氏は、『週刊新潮』が、松居氏と89歳の女性が家の中で食事をしている写真を撮ったと主張していますが、これは、同誌が軽犯罪法違反に該当する行為、つまり違法行為をしたという主張ですので、『週刊新潮』の社会的評価を害するおそれのある行為を松居氏が行ったといえます。そのため、名誉棄損罪として、3年以下の懲役か禁固又は50万円以下の罰金となる可能性があります」

 松居はすでに、この女性の家を出て、カプセルホテルに滞在しているとブログに綴っている。週刊誌などでは、松居の発言と事実の異なる点がいくつも指摘されつつあるが、妄想なのか虚言なのか、自らの主張を一方的に撒き散らし続ける彼女の真の目的は何なのだろうか。

ブルゾンちえみの「パクリ疑惑」は著作権侵害に当たるのか? 弁護士に聞いてみた

 4月13日からスタートした新ドラマ『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)で女優デビューを果たした、お笑い芸人のブルゾンちえみ。桐谷美玲、水川あさみ、とともに女子力を求め奮闘する「理系女子」を演じているが、ドラマにも自身の「探さない、待つの」というネタが使われていた。

 そのブルゾンちえみに「パクリ疑惑」騒動が起きている。ネタが、占星術師Keiko氏の著書の一部に酷似しているというものだ。4月6日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、ブルゾンちえみ自身との一問一答が掲載され、本人は、「Keikoさんとは直接会ったことはないが、今回の騒動で怒るような人ではない」、「盗作ではなくインスピレーション」と述べているが、著作権侵害に当たらないのだろうか? アディーレ法律事務所の島田さくら弁護士に聞いた。

 類似しているとされているのは次の2点。ブルゾンちえみの「花は自分からミツバチを探しに行きますか? 探さない。待つの」「もし、その彼が本物の運命の相手なんだったら、あなたの細胞ひとつひとつが喜びのサインを出しているはずよ。細胞レベルで恋してる?」というネタが、Keiko氏の著書にある「探すんじゃない、準備するの。花は自分からミツバチを探しに行ったりはしないでしょ?」「その人がホンモノであれば、あなたの六〇兆個の細胞がこぞってこう叫ぶはず。『YES、he is!!』」という部分に似ていると指摘されている。

 まず、この種の話題で使われる言葉としてオマージュと盗作があるが、この境界線を島田弁護士は次のように説明する。

「『オマージュ』というのは、単に人の作品をまねて表現するのではなく、作者や作品に対する尊敬の意を込めて似た表現をする場合に用いられる言葉です。『オマージュであればなんとなく許されるのでは?』と思う方もいるかもしれませんが、日本の著作権法上、オマージュという表現や考え方は出てこないため、オマージュであれば特別扱いされて著作権侵害に当たらないということはありません。オマージュと主張しても、盗作の場合と同じく、既存の著作物をまねて、その特徴を維持しつつ新たな創作物を作ったかどうかという観点から、著作権を侵害しているかどうかが判断されます」

 では、もしKeiko氏が訴えた場合、ブルゾンちえみが実刑に問われることもありうるのだろうか?

「今回問題となるのは、著作権のうちの翻案権というもので、漫画を映画化する場合のように、著作物の大筋を残したまま改変をする権利です。判例によると、翻案にあたるかどうかは、『既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得』できるかどうかにより判断されます。

 ブルゾンさんの2つのネタのうち、『花は自分からミツバチを探しに行きますか? 探さない。待つの』の方は、Keikoさんの著作の本質的な特徴を直接感得できるものといえそうですが、『もし、その彼が本物の運命の相手なんだったら、あなたの細胞ひとつひとつが喜びのサインを出しているはずよ。細胞レベルで恋してる?』の方から、Keikoさんの文面、また著書を想起するのは少し難しいように思います。後者のネタについては、ブルゾンさんが利用したのがKeikoさんの『表現』ではなく『アイデア』だとして、著作権侵害とならない可能性が十分にあります。

 著作権法は、あくまでも創作的な表現そのものを保護しているのであり、その背後にあるアイデアを保護するものではないのです。仮に、ブルゾンさんがKeikoさんの翻案権および、著作物を改変する権利を侵害しているとして、ブルゾンさんが訴えられたとしても、ネタの披露の差止めや金銭で話がつくでしょうし、刑事事件化されて実刑というのは考えにくいと思います」

 この騒動に関し、Keiko氏は特に気にしていないような反応を示しているというが、ブルゾンちえみが同じネタを使い続けるのか、今後、注目を集めそうである。

アディーレ法律事務所

ブルゾンちえみの「パクリ疑惑」は著作権侵害に当たるのか? 弁護士に聞いてみた

 4月13日からスタートした新ドラマ『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系)で女優デビューを果たした、お笑い芸人のブルゾンちえみ。桐谷美玲、水川あさみ、とともに女子力を求め奮闘する「理系女子」を演じているが、ドラマにも自身の「探さない、待つの」というネタが使われていた。

 そのブルゾンちえみに「パクリ疑惑」騒動が起きている。ネタが、占星術師Keiko氏の著書の一部に酷似しているというものだ。4月6日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、ブルゾンちえみ自身との一問一答が掲載され、本人は、「Keikoさんとは直接会ったことはないが、今回の騒動で怒るような人ではない」、「盗作ではなくインスピレーション」と述べているが、著作権侵害に当たらないのだろうか? アディーレ法律事務所の島田さくら弁護士に聞いた。

 類似しているとされているのは次の2点。ブルゾンちえみの「花は自分からミツバチを探しに行きますか? 探さない。待つの」「もし、その彼が本物の運命の相手なんだったら、あなたの細胞ひとつひとつが喜びのサインを出しているはずよ。細胞レベルで恋してる?」というネタが、Keiko氏の著書にある「探すんじゃない、準備するの。花は自分からミツバチを探しに行ったりはしないでしょ?」「その人がホンモノであれば、あなたの六〇兆個の細胞がこぞってこう叫ぶはず。『YES、he is!!』」という部分に似ていると指摘されている。

 まず、この種の話題で使われる言葉としてオマージュと盗作があるが、この境界線を島田弁護士は次のように説明する。

「『オマージュ』というのは、単に人の作品をまねて表現するのではなく、作者や作品に対する尊敬の意を込めて似た表現をする場合に用いられる言葉です。『オマージュであればなんとなく許されるのでは?』と思う方もいるかもしれませんが、日本の著作権法上、オマージュという表現や考え方は出てこないため、オマージュであれば特別扱いされて著作権侵害に当たらないということはありません。オマージュと主張しても、盗作の場合と同じく、既存の著作物をまねて、その特徴を維持しつつ新たな創作物を作ったかどうかという観点から、著作権を侵害しているかどうかが判断されます」

 では、もしKeiko氏が訴えた場合、ブルゾンちえみが実刑に問われることもありうるのだろうか?

「今回問題となるのは、著作権のうちの翻案権というもので、漫画を映画化する場合のように、著作物の大筋を残したまま改変をする権利です。判例によると、翻案にあたるかどうかは、『既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得』できるかどうかにより判断されます。

 ブルゾンさんの2つのネタのうち、『花は自分からミツバチを探しに行きますか? 探さない。待つの』の方は、Keikoさんの著作の本質的な特徴を直接感得できるものといえそうですが、『もし、その彼が本物の運命の相手なんだったら、あなたの細胞ひとつひとつが喜びのサインを出しているはずよ。細胞レベルで恋してる?』の方から、Keikoさんの文面、また著書を想起するのは少し難しいように思います。後者のネタについては、ブルゾンさんが利用したのがKeikoさんの『表現』ではなく『アイデア』だとして、著作権侵害とならない可能性が十分にあります。

 著作権法は、あくまでも創作的な表現そのものを保護しているのであり、その背後にあるアイデアを保護するものではないのです。仮に、ブルゾンさんがKeikoさんの翻案権および、著作物を改変する権利を侵害しているとして、ブルゾンさんが訴えられたとしても、ネタの披露の差止めや金銭で話がつくでしょうし、刑事事件化されて実刑というのは考えにくいと思います」

 この騒動に関し、Keiko氏は特に気にしていないような反応を示しているというが、ブルゾンちえみが同じネタを使い続けるのか、今後、注目を集めそうである。

アディーレ法律事務所

防犯カメラの「万引き犯」画像公開、店側が脅迫罪に問われる可能性も

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回のテーマ>
眼鏡店、万引き疑い男性の画像公開(各局ニュース番組等

■名誉毀損罪に当たる可能性がある

 東京都内の眼鏡店が、万引きをしたとして、防犯カメラに映った男性客とみられる人物の画像をホームページ上に公開し、問題になっている。画像は顔の一部にモザイク処理が施されているが、店は3月1日までに返却か弁償をしない場合、モザイクを外して画像を公開するとしている。こうした画像をネットで公開することは、違法性に、違法性はないのだろうか? アディーレ法律事務所の日田諭弁護士に聞いた。

 まず、「犯罪歴を公開する行為は、名誉毀損罪に当たる可能性がある」と日田弁護士は話す。

「そもそも名誉毀損罪の『名誉』とは、人に対する積極的な社会的評価のことを言います。当然このような犯罪歴が知られてしまうと、本人の社会的評価は下がります。やはり、犯罪歴や前科というものは、他人に一番知られたくない情報の一つでしょうし、これを公開されると日常生活が崩れてしまいますから。

 ただ、今回の事案は、まだ前科にもなっていないし、そもそも犯罪と言い切れるかも明確には決まっていない段階です。そのような不確定な状況で、店側が万引きだと思う画像を公開することも、前科の公開と同様に、名誉毀損罪に当たる可能性があります」

 公開された画像は顔の一部にモザイクをかけられていた。個人を特定されない形で公開するのであれば、問題はないのだろうか?

「個人を特定されないくらいにモザイクをかけて公開するのならば、それは、『このような形の万引きが、うちの店でありました』ということを示しているだけなので、問題ないと思います。実際、テレビ番組でも、『こんな犯罪がありました』というような映像を流したりしています。ただ、モザイクを外すソフトウェアが使われるなどの可能性が残る以上、全く問題がないとまでは言い切れません」

■盗品を自力で回収する行為は法的には許されていない

 しかし、刑法の規定からすると、本件については、人の犯罪行為に関する事実と言える可能性が高いので、公益目的であったと言える場合は、処罰されない可能性があるという。この眼鏡店の社長はテレビ朝日の取材に対し、画像を公開した理由を、「ちゃんと解決しないと、今後にも尾を引くかなと思ったから」と述べている。したがって、このケースも最終的には処罰されない可能性はある。

 また、店は、画像と共に「商品を返却または弁償しないと、モザイクを外す」という内容の文章を掲載しているが、「この行為は、『害悪の告知』に当たるので、脅迫罪ともなりえますし、また、返却行為を強要している部分も含めると、強要罪となりえます」と日田弁護士は話す。

「そもそも、もともとの所有者であろうと、すでにその所有者の元から離れてしまった盗品を、法的手続きを経ないで自力で回収する行為は、法的には許されていませんので、警察を通して事件を処理するしかありません」

 では、もし、この店にこの男性客が商品を返却に来たら、窃盗罪に問われないのだろうか?

「刑法上の窃盗罪(刑法235条)は、物を取って、事実上の自分の支配の下に入れてしまえば、例えば、ポケットやカバンに入れて、店から出るような行為があった場合、その時点で犯罪が成立しますので、後で返却しても、刑法上は一度、成立した罪が消えることはありません。ただ、返却したことによって、被害届が取り下げられて、店側も処罰を望まないという気持ちを警察や検察に伝えることで、不起訴となり、最終的に処罰されない可能性はあります」

 万引きの被害を受けて困っている、犯罪を見過ごせない、という店側の心理は理解できないものではないが、今回の行動は、法の下では逆に店側が罪に問われる可能性もある。とにかく、この画像の人物が速やかに商品を返却さえすれば、おそらく事は丸く収まるのではないだろうか。

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