マスコミに睨みを利かせる!? 沢尻エリカの弁護団に「無罪請負人」が起用された背景

 合成麻薬MDMAを所持した疑いで逮捕された女優・沢尻エリカ容疑者の事件で、警視庁は採取した彼女の尿から違法薬物の反応が全く検出されなかったと発表した。

 当局は毛髪についても検査を行うとしているが、沢尻は使用容疑では立件されない可能性が高まってきた。

 沢尻は16日、渋谷区のクラブから帰宅したところを捜査員に声掛けされ、その後の家宅捜索でアクセサリーボックスの中からMDMAおよそ0.09グラムが発見された。調べに対し沢尻は「薬物は10年以上前から使っていて、いままでに大麻、MDMA、LSD、コカインを使用していました」と供述する一方で、押収されたMDMAについては「交際相手から預かったもの」と説明しているという。

「沢尻を挙げた警視庁組織犯罪対策5課は、担当記者向けにレク(レクチャー)を行い、同容疑者が”完落ち”している印象を持たせようとしている。これに待ったをかけようとしているのが、所属事務所エイベックスが付けた沢尻容疑者の弁護団です」(スポーツ紙記者)

 事実、前出の押収されたMDMAは「交際相手から預かったもの」という話は当局からではなく、沢尻サイドから出た話だった。

 沢尻の主任弁護人は、「無罪請負人」と呼ばれる弘中惇一郎弁護士とタッグを組んできた、若手人権派の河津博史弁護士が務めることがわかった。同氏は郵便不正事件で、厚生労働省の村木厚子元事務次官の無罪を勝ち取ったほか、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の主任弁護士も務めている。

 前出記者は「これだけ大々的に報じられては、今さら否認に転じたところで、沢尻容疑者の立場が回復することはない。河津弁護士起用の理由はもっと別にある」と指摘する。それはマスコミが一線を超えないか、ニラミを利かせるためだという。

「本当は弘中弁護士に頼みたかったんでしょうが、ゴーン被告の件で多忙だった。河津弁護士に託されたのは、マスコミ報道の延焼抑止の狙いがある。沢尻個人の話なら書かれても仕方ない部分はあるが、飛躍してエイベックスなど関係各所に矛先が向かうようなら、躊躇なく抗議してくるでしょう」

 巷では沢尻を起点に、他の”ヤク中芸能人”への芋づる逮捕を期待する声も上がっているが、一方で「当局の本丸は別にある」(関係者)という話も。ひと筋縄ではいかない展開になってきた。

“炎上弁護士”唐澤貴洋に盛大なブーメラン!? 「炎上弁護士が教える危機管理」ってナンだ!

 数年間に及ぶ殺害予告を始めとした“ネット炎上”に巻き込まれるも、自ら公に立って情報発信を行うなど、懸命に戦い続ける弁護士・唐澤貴洋。いつしか彼は“炎上弁護士”と呼ばれ、また自称するようになった。日刊サイゾーでは昨年末、初の著書『炎上弁護士 なぜ僕が100万回の殺害予告を受けることになったのか』(日本実業出版社)刊行に際し唐澤弁護士にインタビューを行ったところ、ネットを中心に大反響を呼んだ。

 今回は二冊目となる『そのツイート炎上します! 100万回の殺害予告を受けた弁護士が教える危機管理』(カンゼン)の発売を祝して、再び“炎上弁護士”を直撃した。

 

――早くも二冊目ということで、炎上弁護士もすっかりメジャーな存在になりましたね。

唐澤貴洋(以下、唐澤) いや、全然そんなことはないですよ。でも、サイゾーさんのインタビューはとても好評を頂いておりまして、その節は大変お世話になりました。おかげさまで体感的にですが、殺害予告も減りました。

――そうなんですか(笑)。自らMMDに言及、学生時代は「陰キャの中二病」など、他メディアではあり得ない内容でしたからね。前回はサイゾー編集部にお越しいただき、社内は騒然としていたのですが、今回は「恒心綜合法律事務所」にお邪魔させていただいております。

唐澤 「法律事務所Steadiness」です。

――はい。先ほど東京都港区三田の「日向坂」を通ってきましたが、やはり先生はアイドルとご縁があるようで。

唐澤 いきなりアイドルいじりですか。相変わらず“アイドルオタク”として見られているようですが、私は「48」と「46」の区別もキチンとついていないですよ。それこそテレビでもネタにされてしまったので、むしろ詳しくならないといけないのではないかと思っています。教えてくれる人がいましたらサイゾーまでご連絡ください。

――さっそく本について聞いてまいりましょう。「炎上弁護士が教える危機管理」ということなのですが、先生は「ブーメラン」という言葉をご存知ですか? 狩猟道具ではなく。

唐澤 西城秀樹の「ブーメラン・ストリート」は知っていますが(真顔)。で、この本はネット炎上に際してのHow toを、実在のケースや被害者の方との対談なども交えながら、分かりやすく解説する内容になっています。色々なところでお話させていただいていますが、一番大切なのは「そもそも炎上に巻き込まれない・起こさない」ことなのですが。

――……。おっしゃるとおりですね。

唐澤 本の中でも触れていますが、SNS、特にTwitterは『動物的』な危険性が含まれているサービスです。どういうことかというと、スマホの普及もあって、日常での怒りやふと思ったことについて、一瞬の疑問も抱かぬまま直感的に投稿をするという行為が、ごくありふれたものとなりつつある。これは非常に危険なことで、ほんの1分、数十秒でもいいから、投稿内容が全世界に配信されることについて、考えてほしいんです。それだけでも世の中の炎上は相当減ると思います。いきなり結論ありきで、プロセスもなく直接的な言葉を無意識的に吐くという行為は、あらゆる意味で炎上の危険性をはらんでいます。

――なるほど。被害者側には、対談で登場しているスマイリーキクチさんのように「防ぎようがない」ケースもあるかと思いますが、炎上を根本から止めるには、むしろ加害者側の意識改善が最短ルートに思えますね。ところで動物は好きなんですか?

唐澤 断然犬派ですね。これまでペットを飼ったことはないんですが、疲れて仕事から帰ってきた時にお迎えされたらと思うと、想像するだけで癒やされます。私が犬を好きになったきっかけは、中学生の頃、「少年ジャンプ」を読みながら下校していたのですが、ふと気付くと後ろから野良犬が、静かについてきていたんです。その時は驚きましたが、吠えもせず従順にただ後ろからついてくる犬を見て、なんて可愛いんだと……。

――(動物ネタ、めっちゃ食いつくな……)そういえば前回、YouTube鑑賞が趣味とおっしゃっていましたが、相変わらずですか?

唐澤 就寝前の唯一の癒やしですね。最近はケイタササグリさん、星野るりさんら競馬ユーチューバーにハマっています。

――また意外な趣味が。馬券も買われるんですか?

唐澤 いえ、いまユーチューブで勉強しています。馬券師の方々が様々な予想を展開して、いざレースを見ると「全然間違ってる!」という流れがものすごく面白くて。こんなに競馬アツくなったのは、学生時代にダビスタ(ダービースタリオン、競馬シミュレーションゲーム)をプレイして以来ですね。

――深夜ベッドでYouTubeを観ている先生の姿は、想像するだけで面白いです。

唐澤 あまりにも真剣に観ていると、あっという間に朝になってしまうので、なんとか“ながら観”を意識しています。

――夜中、無音が寂しいので、テレビをつけっぱなしにするみたいな。

唐澤 いや、ラジオ感覚ですね。ここで初めて申し上げますが、実は私、大のラジオファンで。憧れの人は伊集院光さんです。

――またぶっこんできましたね。『馬鹿力』(伊集院光 深夜の馬鹿力、TBSラジオ)ですか?

唐澤 その前にニッポン放送でやっていた『オーデカ』(伊集院光のOh!デカナイト)からのリスナーです。伊集院さんを尊敬するあまり、学生時代ニッポン放送に行って、ノベルティグッズをもらったこともありました。ご本人とはすれ違ったくらいですが、本当に体が震えましたね。「荒川ラップブラザーズ」(伊集院と久保こーじのユニット)のCDも買いました。

――近頃はピエール瀧が騒動になっていますが、電気グルーヴも聞いていた?

「電気グルーヴは、伊集院さんのラジオのつながりで聞いていました。ピエール瀧さんは俳優としても素晴らしいし、復帰してほしいですね。伊集院さんの“トーク一本勝負!”というスタンスが、一番琴線に触れていたんです」

――ラジオ詳しいんですね……。

唐澤 ラジオネタならいくらでも話せますよ! 伊集院さんがテレビのゴールデンに出演し始めた時には、なんか自分の親戚がテレビに出ているくらいの気持ちで、いつも応援していました。この間、大竹まことさんの『ゴールデンラジオ!』(文化放送)に出させていただいたのですが、この番組も受験時代に聞いていて、出るときとても緊張しました。大竹まことさんは、ラジオの印象と同じでとても知的で素敵な方でした。

――今日イチ笑顔が輝いています。ところで先生、ちょっと痩せました?

唐澤 ………(数秒の沈黙後)あれ、気付きました?

――いや、そういうのマジで要らないです。

唐澤 サイゾーの影響か炎上も大分落ち着きがあるものになりまして、そのことからくる精神面の安定からか、過食がなくなりました。以前は深夜にラーメンを食べてしまうこともありましたが。

――事務所の近くには「ラーメン二郎」もありますが、ジロリアンだったり?

唐澤 二郎は神保町の二郎とインスパイア系しか食べていないので、語っちゃいけない気がします。自分は家系派ですね。六角橋にあった「六角家」とか。あ、最近は蒲田にある「ニュータンタンメン」にも通っています。

――カロリー自体はあまり意識していないようですね。では最後に、読者の方に伝えたいことはありますか? マウスの持ち方(※「唐澤 マウス」でご検索ください)についてとか。

唐澤 マウスネタを引っ張りますね……。実はサイゾーは、愛読書の一つなんです。そこで、恐れ多いですが、次はサイゾーさんから本を出したいです! そのためには、是非、連載をいただけましたら幸いです。

――むむ、そうきましたか。サイゾーで連載をするということは、どういう覚悟が必要だか分かっていますか。本を出すとなれば、握手会やトークイベント、サイン会をしたりとか、なんでもやってもらいますよ?

唐澤 ということは、OKということですか。

――(会場に殺害予告がきたらどうしよう……)えー、こちらが「ブーメラン」になりそうなので、要検討とさせていただきます。そして今回もありがとうございました! またのご登場に期待しております!!
(取材=編集部)

 

●唐澤貴洋(からさわ・たかひろ)
1978年1月4日生まれ。法律事務所Steadiness運営。
法律に関するご相談、お問い合わせはオフィシャルサイトへ。
https://steadiness-law.jp/

チケット転売の舞台となる売買サイトやTwitterはどうなる? チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 6月に施行される「チケット転売規制法」を、弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士から、2回にわたり解説してもらっている。

【前編】チケット転売規制法は「高額チケットに苦しむ国民救済」が目的じゃない! 弁護士がスッキリ解説
【中編】「当選権利は対象?」「サイン会は?」「ディズニーランドは?」チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 最終回となる今回は、高額転売の舞台にチケット転売サイトやtwitterやメルカリといったサイトは罪になるのか? という点や、一部チケットではすでにおなじみの「チケットの記名者以外は入場無効」という文言の法的な根拠について伺う。

 

チケット転売の「プラットフォーム」は罪に問われる?

――高額転売が問題となったチケット転売サイト「チケットキャンプ」は2018年に閉鎖されましたが、類似サイトは今だ存在します。こういったサービスは、法律施行後は存在しえないのでしょうか?

山岸純弁護士(以下、山岸) こういったサイトは高額転売の場所を提供しているだけなんですよね。 チケット転売規制法を見ると、不正転売をしてはいけない、そして不正転売を目的に買ってはいけないとありますが「場所の提供者」は規制の対象になっていません。

 これはソープランドの構造に似ているんです。ソープランドの経営者は売春に違反していません。なぜなら、あそこでお客さんと女性が「たまたま」恋愛関係になり、たまたまそこに金銭が発生しているという構図なんです。

 こういったチケット転売サイトが「どうしてもコンサートに行きたい人とコンサートに行けなくなってしまった人をマッチングするサービスです」ときれいにうたっていれば、ぐうの音も出ないわけです。ただ、もし「儲けたい人集まれ! 高額転売可!」と記載していればアウトでしょう。これでは犯罪を教唆しており、教唆犯になります。

 ただそこは当然、うまくやるんでしょうね。どこの会社も「当社は転売目的の利用を禁止しています」とか「転売をして利益を得ようと思っている利用者は当社の規則により排除します」と規約に書くのでしょう。 そこで何かあったとしても「売り手がたまたま行けなくなったからと言っている以上、うちとしてはこれ以上突っ込めない」と言えばもう、どうしようもない。これはメルカリなどのフリマサイトでも同じことが言えます。

――歯がゆいですね。

山岸 でも、このあたりはAIの活躍に期待できます。AIが「この人は1ヶ月に5回も「どうしても行けなくなってしまった」と出品している。不自然だ」と自動的に出品停止にする。実際こういう風に動いていくはずなので、改善されていくとは思いますよ。

――Twitterでもチケットを買いたい、売りたいというやりとりをよく見ますが、Twitter社は問題にならないのでしょうか。

山岸 おそらく、利用約款などでこういう投稿を禁止したりしているのだと思いますよ。「当社はしっかりと取り締まっています」とアピールするためにね。

――ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)の入場チケットは営利目的の有無にかかわらず、すべての転売を禁止しておりキャンセルも認めていません。それに対し、NPO法人消費者支援機構関西が規約改善を申し入れています。

 USJの場合、中編(記事はこちらから)で説明頂いた通り、遊戯施設であり今回のチケット転売規制法には該当しませんよね。そうなると、USJが掲げる転売禁止などの規制は、どこまで効力のあるものなのでしょうか。

山岸 そのチケットに名前が書いてある場合、法律上それは「記名式債券」と呼ばれます。

 チケットとは、あることができる権利を紙の上にのせたものです。「切符」がそうですよね。130円区間を乗車することができる権利が紙きれに乗っかっているんです。 切符には名前が書いていませんよね。切符を持ってる人は誰でも130円分の区間に乗れます。

 一方で、記名式債権は「この書かれた名前の人のみに、うちはサービスを提供します」という債権です。「定期券」がそうですよね。

――確かに、ほかの人の定期券は使えないですよね。

山岸 鉄道会社の定期券は記名者以外は使えないという条件のもと発行しています。同様に、USJがチケットに「入場券・山岸純」と記載している場合、私しか使ってはいけないでしょうね。ただ、私以外の人がそのチケットを使って入ろうとする場合、最終的に入場を拒否するかどうかは施設側の判断になります。

――なるほど。6月に施行されるチケット転売規制法以外に、既存の「記名式債券のルール」もあるんですね。

 遊戯施設のようなチケット転売規制法の対象ではないチケットでも、記名されたチケットならば「記名式債券のルール」に基づいて、チケットの名義と入場者が異なると施設側から入場を拒まれる可能性があると。

山岸 はい。あとは施設側の判断によることになります。

 最後に、繰り返しになりますが、今回の「チケット転売規制法」は直接的には興行主のために作られた法律になります。高額でしかチケットを入手できず、競合興行先へファンが流れることを防止することが主目的です。

 ただ誤解しないでいただきたいのは、広い目で見れば、すべての法律は国民のために作られている、という点です。チケットが高額で出回らないようにすれば、今チケットを高額でしか購入できず困っている人だけでなく、将来あるアイドルのファンになりチケットを購入しようとしたものの、定価で買えず、転売価格が高すぎて購入できない、という人にとっても助けになりますよね。今この時だけではなく、法律の対象は「広くあまねく国民のため」なのです。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

「当選権利は対象?」「サイン会は?」「ディズニーランドは?」チケット転売規制法を弁護士がスッキリ解説!

 6月に施行され、東京オリンピックのチケットも関係する「チケット転売規制法」。弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士から前回(記事はこちらから)「そもそもこの法律は消費者保護が目的ではない」という意外な事実を伺った。引き続き今回は、チケット転売規制法の詳細について見ていきたい。

 

ポイント①双方向でなく「一方通行」の興行が対象

――チケット転売規制法の対象となるのは、どのような興行なのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸) 「この法律において「興行」とは、映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツを不特定又は多数の者に見せ、又は聴かせること」とあります。

 よって、飛行機、新幹線といった交通チケットは対象外です。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンといったレジャー施設の入場券も「見せる、聴かせる」でなく体験させるタイプのものなので対象外です。

――握手会やサイン会のチケットは含まれないとみていいのでしょうか。

山岸 アイドルと握手をしたり、サインをするのは芸能を「見せる、聴かせる」ではないので、対象外でしょうね。見せるだけ、聴かせるだけといった「一方通行感」がポイントです。

 

ポイント②反復する意思があるとアウト!

――法律を見ると、業(ぎょう)として興行主やその委託を受けた販売業者の事前の同意を得ないで、販売価格を超える金額で(チケットを)有償譲渡すれば、売り手、書い手ともに罰せられる。とありますね。「業」って、なんなんでしょう?

山岸 法律上の業とは「ある動作を反復継続する意思があるか、実際にそれをやっているか」ということです。車で人を轢いてしまう罪を、今は自動車運転致死傷罪と言いますが、以前は業務上過失致傷罪と言っていました。この業務上という言葉も「業」と同じです。車の運転は「繰り返し」するものですよね。別に営利目的でなくても、何回も繰り返そうとしている行動であれば「業」にあたります。

――なぜ無職の人が車で人を轢いたときに「業務上過失致傷罪」になるのか不思議だったのですが、「仕事中」でなく「繰り返す行為」という意味なんですね。

山岸 はい。法律上の業は「何度も繰り返す」という意味です。ただ、営利目的であればそのこと自体で既に「業」にはなりますね。営利目的ならば「何回も繰り返す」ことが想定されますから。

――つまり、何回も転売を繰り返す職業としてのダフ屋は、当然チケット転売規制法において「業」となり、アウトなんですね。ダフ屋は定額より高い金額でチケットを売ったらアウトだし、ダフ屋から定額より高い金額で購入した人もアウトだと。

山岸 はい。しかし「今回一回だけ、どうしても金欠なので、チケットを1万円で売りました」という場合は「業」にはあたりません。

 ポイントは「繰り返し」です。定価からどれだけの金額を上乗せしたかは全く関係ありません。500円のチケットを510円で売ったとして、それを繰り返し行えば「業」ですし、個人が一回きりで5,000円のチケットを10万円で売っても、それは業には当たりません。

――そうなると、チケット転売規制法ができても「一回きり」で高額転売をする人は規制の対象にならないということですね。歯がゆい気もしますが……。

山岸 前回(記事はこちらから)でお話した通り、チケット転売規制法が保護する対象は「高額チケットで苦しむ個人」でなく「興行主」です。個人の一度きりの転売を規制するのではなく、それよりも数が多いであろう「業」として転売を続ける業者を規制の対象としているのです。

――チケット転売規制法における対象のチケットは、
「興行主やその委託を受けた販売業者が、販売時に
A:同意のない有償譲渡を禁止し、
B:入場資格者又は購入者の氏名・連絡先を確認した上で、
ABが券面などに表示されている興業であり、かつ興行の日時・場所のほか、入場資格者又は座席が指定されているもの」とあります。

 近年は転売防止のため、指定席でも座席が当日にならないと判明しないチケットもありますが、こういったチケットも規制の対象でしょうか?

山岸 はい。上記ABの条件に該当していれば、座席が当日にならないとわからないチケットも規制の対象です。

 

 

ポイント④「チケット」ではなく「当選権利」は規制の対象?

――チケットそのものではなく「あなたはこのコンサートに当選しました。 いつまでに●●円を振り込み、その際に今回の整理番号を入力してください」というような「当選権利」が当たるケースもあります。振込票番号を入力し、代金を支払った後チケットが発券される形になります。こういったチケットになる前の当選権利は、チケット転売規制法の対象になるのでしょうか。

山岸 当選権利は対象外ですね。この法律が規制する対象は「チケット(電子チケットの場合も含む)」です。 「当選権利」は「チケット」ではないからです。

――似たようなものにも思えるのですが、なぜでしょう?

山岸 処罰がある法律は「類推解釈」してはいけない法律の原則があります。チケット転売規制法では、9条で「(違反した場合)一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。 よってこの法律では「チケットでは」と特定されているため、当選権利までの類推はできないのです。

――ほかに、チケット予約を本人に代わって代行するサービスもありますが、ではこちらもチケット転売規制法の対象ではないですよね。

山岸 はい。チケットを取ることを本人に代わってやっているだけであり、今回の法律の対象外です。

 

ポイント⑤チケットに抱き合わせて販売はセーフ?

――チケットに支払手数料や送料等を抱き合わせるのは問題ないでしょうか。

山岸 この法律における不正転売の定義はもともとのチケットの販売価格を超えて売ることになります。ただ、支払手数料や送料は付随する話なので、問題ないでしょう。

――では、チケットにグッズ等を抱き合わせるのはどうでしょうか。

山岸 100円のブロマイドをつけて、チケットが5,000円の場合、5,100円で売るのは問題ありません。ただ、5万円で販売したら、アウトでしょうね。

* * *

 チケット転売規制法が施行されても「業として」ではない、一回きりの個人の転売は今まで通り問題ないのだ。では、チケット転売専用サイトやメルカリ、twitterといった、個人間の売買時によく使われる「ウェブサービス」は罪に問われないのだろうか? 引き続き山岸弁護士に伺う。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

チケット転売規制法は「高額チケットに苦しむ国民救済」が目的じゃない! 弁護士がスッキリ解説

 東京オリンピックを視野に6月に施行される「チケット転売規制法」。チケットの高額転売はあとを絶たず、中学生がジャニーズのチケットを売るフリをして金をだまし取り、書類送検される事件も起きている。高額チケット転売はもはや見過ごせない社会問題であり、困っている国民のためこの法律が施行されると思っている人も多いかもしれない。

 しかし、弁護士法人ALG&Associates山岸純弁護士によると「報道のされ方でそう思っている人がほとんどですが、そういう趣旨の法律ではないんです」とのこと。読めばスッキリ、チケット転売規制法がこれでわかる!

 

高額チケットに苦しむファンのための法律ではない

――「チケット転売規制法」は転売された高額チケットに苦しむ国民のための法律ではないのでしょうか。

山岸純弁護士(以下、山岸)はい。この法律は「消費者のためのもの」ではないんです。

 なお、政府の電子図書館において「チケット転売規制法」はまだ正式なものにはなっておらず、現時点では衆議院のホームページに出ている「案」に基づいて説明します。

※ 衆議院ホームページ:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

 この法律は「興行主」、例えばジャニーズアイドルのコンサートなら「ジャニーズ事務所」を守るためのものなんです。

 

ほとんどの人が誤解している「プロバイダー責任制限法」

山岸 報道のされ方で誤解されている法律は他にもあります。例えば、「プロバイダー責任制限法」もそうですね。「2ちゃんねるなどで名誉毀損の書き込みをされた人が、プロバイダーに対し、書き込んだ人のIPアドレスに紐づいた個人情報の開示請求をすることができる法律」と理解している方も多いかと思います。

――そう思っていました。「名誉毀損された人を守るための法律」という印象を受けます。

山岸 報道を見ると確かにそう思ってしまいますよね。でも、実際は違います。そもそも名称が「プロバイダー責任制限法」であり、プロバイダーの責任を制限する、つまり“プロバイダーを守るため”の法律なんです。

 流れで見ていきましょう。まず、ネット上で名誉毀損された人はプロバイダーに書き込んだ人の個人情報を教えてほしいと言います。ただ、プロバイダーは素直に教えていいか迷いますよね。守秘義務だってありますし。書き込んだ人から「なんで勝手に教えるんだ」と報復される可能性もある。

 そのためプロバイダーは、書き込んだ人に「名誉毀損された人にあなたの個人情報を教えていいですか?」と聞くんです。そこで書き込んだ人が「教えてはダメ」と言えば、プロバイダーは個人情報を名誉毀損された人に教えなくていい。

 この一連の手順を踏みさえすれば、プロバイダーは名誉毀損された側に「なんで書き込んだ人間の個人情報を教えてくれないんだ! このプロバイダーを訴えてやる!」と言われても、損害賠償などの責任を負わなくていい、というのがこの法律の趣旨なんです。

――でも、書き込みをした人にしてみれば、自分の個人情報なんて当然教えたくないですよね?

山岸 はい。ですので、プロバイダーから名誉毀損された人に対して「書き込んだ人は自分の個人情報を教えたくないと言っている」という情報が通知されたあと、名誉毀損された人は個人情報開示のための裁判を起こすことができます。

 そうすれば裁判官によって、それぞれの事例が名誉毀損にあたるかどうかの判断が行われ、個人情報の開示が必要な場合は、裁判所からプロバイダーに開示するよう指示がいきます。「裁判所に言われたから個人情報を開示しました」となれば、書き込んだ人もプロバイダーに対して何も言えないですよね。

 チケット転売規制法の話に戻りますが、この法律でも同じような認識の間違いがあるんです。「高額でチケットを買わざるを得ない国民を救済する」ためではなく「興業主が、コンサートのチケット定価が5,000円であったら、その金額で行き渡らせるようにする」ための法律なんです。

――興行主は、なぜ定価でチケットを行き渡らせたいのでしょうか? 転売され高額になろうとも、その分は興行主の儲けには関係ないですよね。

山岸 それを理解するために、また別の法律、さまざまな経済活動を規制する「独占禁止法」についてお話します。独占禁止法には「廉価販売」の禁止があります。簡単に言えば、仕入れ価格より安く売ってはいけないよ、ということです。なぜだかわかりますか?

――消費者にしてみれば「安ければいい」とも言えますよね。

山岸 そうですね。でも法律というものは、とても広く、長期的な視野で考えているんです。

 例えばA、B、C社が原価が80円の中華まんを100円で売っていたとしましょう。 しかし、A社が70円で売り出す廉価販売をしたとします。こうなると国民が皆、A社の安い中華まんを購入しますよね。結果、 B、C 社は潰れてしまい、中華まん業界はA社の独占になってしまいます。ライバルがいなくなったのを見計らって、A 社が中華まんを120円に値上げするかもしれないですよね。それを防ぐために廉価販売をあらかじめ禁止しているんです。

 チケット転売規制法も考え方は似ています。ある興行主が「うちのアイドルの定価5,000円のチケットが5万円でじゃんじゃん転売されているが、うちとしては全く構わない」と言い切れるのであれば、構わないんです。でも、そのような状況が続いたらどうなるでしょうか。

――ファンは金にものを言わせるつらい消耗戦になるでしょうね。さらに「このアイドルのチケットはまず定価で入手できず、転売で相当高額になる」という情報は今はTwitterなどのSNSですぐ知ることができますから、新しくそのアイドルのファンになりかけた人がその過酷な争奪戦を知り、やっぱり本格的にハマるのはやめとこう、となるかもしれないですね。

山岸 そうなんです。転売されず高く買わずに済む他の興行主のアイドルの方がいいや、と競合に流れていってしまう可能性だってあります。それでは興行主側も困るわけです。

 チケット転売規制法は、直接的にはチケットを定価で売ろうとする興行主を守ることが趣旨です。ただ、法律は一番大きく考えれば広くあまねく国民のためです。そういった意味では国民のため、という論調のマスコミも間違ってはいないんですけどね。「直接的には業者のため、でも広く考えると国民のためである」という階層の構造をしているんです。

 このチケット転売規制法も含め、近年の法律は「目的」欄がありますから、そちらを見ると、誰のための法律なのかすぐわかりますよ。

――プロバイダー責任制限法はプロバイダーのため、チケット転売規制法は興行主のため。となると「特定の被害を受けて困っている個人たち」のために作られる法律というのは、ほとんどないのでしょうか。

山岸 ほぼないです。法律は特定の個人を守るものではなく「一般抽象的な国民のためのものである」と法学部の学生は憲法の授業で学びます。

* *

「誰に向けた法律なのかを理解すること」「法律は「特定の個人」ではなく、広くあまねく国民のため」――法律のこの二つの原則を理解すれば、チケット転売規制法にかかわらず、今後さまざまな法律が出ても理解の指針になるはずだ。次回も山岸弁護士に、より詳細に「チケット転売規制法」について伺っていく。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

“炎上弁護士”唐澤貴洋弁護士が語る「日本人最多殺害予告」の真実とは?

 日本人最多とされる殺害予告を受け、6年以上に渡って誹謗中傷を受け続ける「炎上弁護士」唐澤貴洋が、初の著書『炎上弁護士 なぜ僕が100万回の殺害予告を受けることになったのか』(日本実業出版社)を12月13日に上梓する。自身の生い立ちから弁護士を目指すまで、そして“炎上”との戦いの日々が赤裸々に明かされた1冊となっているが、同時に唐澤弁護士は『AbemaPrime』(AbemaTV)、『バラいろダンディ』(TOKYO MX)に出演、メディア露出にも積極な姿勢を見せるようになっている。

 同書では「ネット炎上に巻き込まれない方法」として、「情報発信には細心の注意を払う」こと、究極には「ネット上に書き込み自体しない」とまでつづられているが、一体なぜ“炎上弁護士”は、自ら公の場に登場するようになったのか。本人を直撃した。

唐澤 一番の目的としては、本を出したことと同じ理由になりますが、法改正に向けて新たな手法を取ることにしたからです。さまざまな場所で主張していることですが、現在のプロバイダ責任制限法には複数の問題点があります。犯罪が行われている場所を提供する、プロバイダーや掲示板管理者にかかる「責任」を「制限」するということを主とした法律になっているのです。

――殺害予告やプライバシーの侵害といった、ネット上の犯罪をもっと厳しく取り締まるべく、法整備を進めたいということですね。

唐澤 はい。罰則の強化に加えて、義務教育でネットリテラシーを扱うなど、改善すべき点はいくらでもあります。以前は自分が矢面に立つことに抵抗があり、メディア露出は最低限に控えていたのですが、誰かが問題を問題と言わないと現状は改善しないと思うようになりました。そこで、親しくさせていただいているメディア関係者の方々の助言もあって、「今後は自ら出ていくことにしよう」と考えたんです。

――でも、それでは余計に炎上を招きかねないのでは?

唐澤 悪目立ちはしたくありませんが、これまで縁のなかった方々と知り合う機会も増えていて、これが法改正や状況改善に発展すればと思います。その過程で叩かれることも覚悟しています。

――しかし、ネットで出回っている似顔絵よりも、ややふくよかになられた印象です。

唐澤 あのイラストは一応オフィシャルなんですよ。ネット上の事件を担当するようになった当時は、やはり自分の顔を出すことに恐怖感があったため、知人のクリエイターに依頼して描いてもらいました。その後、あれよあれよと“炎上弁護士”になってしまい、その知人からは「絶対に自分の名前を出すな!」と言われているのですが(笑)。

――あのイラストも恒心教(※唐澤ウォッチャーの総称)の作品なのかと思っていました。

唐澤 実は違います。それを勝手にシールにされたり、MMD(※MikuMikuDance=3DCGソフトウェア)のモデルまで登場したり。中にはとても面白いものもあって、ついつい見てしまいます。

――弁護士が自分のMAD動画を面白がったらダメじゃないですか。著作権違反ですよ。

唐澤 著作権は侵害されているし、何より私の名誉が著しく毀損されています。でも、笑っちゃうんですよね。

――ネットを見て笑っている唐澤弁護士は、ちょっと想像がつきません。

唐澤 ネット炎上と戦ってはいるものの、ネット自体が嫌いというわけではありません。今の唯一の癒やしは深夜に見るYouTube。好きなYouTuberはかずさん、ヒカルさん、ラファエルさん、MEGWINさんとか。「オレがオレにオンデマンド!」。

――そんな意外な趣味が(笑)。ネット界隈というか文化みたいなものは、もともと好きだったんですか?

唐澤 学生の頃から好きでした。なんというか、メインストリートにあるもの、例えばゲームでいうと周りの友達は『スト2(※ストリートファイターII)』で盛り上がってるんですけど、僕はそちらにはいかなくて、光栄(現在はコーエーテクモゲームス)の『水滸伝・天命の誓い』とか、『シムシティ』みたいなゲームにハマりました。CD-ROMではなく、フロッピーディスクの時代だったと思うんですけど。サウンドボードをPCに差し込んで、それまで鳴らなかった音が鳴ったときの感動は忘れられません。

――明らかに“お前ら”寄りの青春時代。

唐澤 おっしゃる通りです。でもアニメとかアイドルとか、いわゆるオタク方面には食指が動かず、どちらかといえばアングラ界隈の住民だったと思います。「探偵ファイル」とか「あやしいわーるど」も見ていましたし、三才ブックス、鉄人社の本とかも読んでいました。サイゾーももちろん愛読していますよ!

――それはどうも(笑)。その頃はBBSに悪口を書き込んだりなんてことも……?

唐澤 いえ、書き込みをしたことはありませんでした。あめざー(※リンク集とBBS群からなる有名サイト「あめぞう」ユーザーのこと)だったとは思いますが。

――ROM専(Read Only Member)だったと。聞けば聞くほど、ネット炎上の“加害者側”の素養をお持ちのような。

唐澤 自分に対する殺害予告犯が逮捕されて、接見した時には、少なからずそう感じている自分がいました。まったく擦れてない、自分がやったことが罪になるとは夢にも思っていないような少年の顔を見て、「ああ、彼は俺なのかも知れない」と。

――唐澤さんはぶっちゃけ、いじめられっ子でしたか?

唐澤 それはないと思いますが……でも小学生の時、自分をからかってきた同級生を思い切り突き飛ばして、教室が騒然となったことはありました。そのときから、周囲からの見られ方が変わったというか。

――それは、見直されたというよりも……?

唐澤 完全に引かれましたね(笑)。その頃からずっと浮いてる子どもだったと思います。陰キャの中二病で、パリピという言葉は当時ありませんでしたが、そういった人と真逆の人間でした。

――そんな唐澤少年が弁護士になられた経緯は、ぜひ『炎上弁護士』を手に取って確認していただくとして。「ネット炎上」以外の弁護士活動以外に、何か印象的なエピソードはありますか?

唐澤 まだ弁護士として活動を始めたばかりの頃に請け負った仕事なのですが、とても印象深いことがあります。当時は営業活動に必死で、タクシーの中でまで名刺を配っていたのですが、あるとき運転手さんから「自分の知人を助けてやってくれないか」と、依頼人を紹介されました。詳しくはお話できませんが、その方はとてもお金に困っていて、弁護士費用は勝訴して取り返したお金の一部だけで構わない、という条件で引き受けることにしたんです。

――それは業界的には珍しいことですよね?

唐澤 あんまりないでしょうね。依頼主の方もそこは理解していたのか、裁判所で「せめてこれくらいは受け取ってください」と、裁判所の地下でコーヒーをご馳走してくれました。最終的に勝訴して報酬もいただきましたが、あのときのコーヒーには、それ以上の価値があったと今でも思っています。

――最後に余談ですが、これだけネット炎上で有名な唐澤さんにも、有名人や芸能事務所から依頼がくることはあるのでしょうか?

唐澤 お名前は言えませんが、いくつも頂いていますよ。掲示板の根も葉もないウワサの書き込みを消してほしいとか、昔のグラビア写真を削除したいとか。アップする方は軽い気持ちでも、当事者たちからすれば、死活問題でしょうからね。

――やはりネット上に、安易な気持ちで悪口や個人情報を書き込む風潮自体、今後見直されていくべきですね。

唐澤 それ、サイゾーが言っちゃダメなんじゃないですか?(笑)。

(取材=編集部)

 

●唐澤貴洋(からさわ・たかひろ)
1978年1月4日生まれ。法律事務所Steadiness運営。
法律に関するご相談、お問い合わせはオフィシャルサイトへ。
https://steadiness-law.jp/

どんな顔して法廷に出てくるか見たい! 弁護士への「不当懲戒」騒動で準備を始める人々

 いったいどんな人たちが参加していたのだろうか。ネットユーザーの大半の興味は、そこに集中している。匿名ブログに扇動されて弁護士に「不当な懲戒請求」を行った人々が「何者なのか」注目されているのである。

 すでに新聞各紙が真面目に報じているこの事件。発端は、ある一定の層に人気のある匿名ブログ「余命三年時事日記」の管理人が、2016年4月に東京弁護士会が出した「朝鮮学校への適正な補助金交付を求める会長声明」を問題だとし、生命を出した弁護士会の所属弁護士に「懲戒請求」をするよう呼びかけたもの。

 もともと弁護士会の「懲戒請求」とは「問題のある弁護士」に対して弁護士会に処分を要求する制度だ。ところが、ここに大きな問題があった。3,000件近い懲戒請求で名指しされた佐々木亮弁護士は「会長声明が出たことすら、知らなかった」という、所属弁護士である以外はくだんの匿名ブログから指摘されている声明に関与していない無関係の人。もう一人の北周士弁護士に至ってはTwitterで佐々木弁護士への懲戒請求は「根拠がない」とツイートしただけなのに、懲戒請求を受けたのである。

 この時点で無茶苦茶なのだが、この件の重大なポイントは、懲戒請求をすると請求者の名前と住所も通知されるので、相手方の弁護士が不当なものと判断したら「反撃」されるというもの。

 5月16日に両弁護士が出席した記者会見では、まず960人に対し、弁護士1人あたり30万円の損害賠償を求めて提訴することが発表された。ただし6月20日頃までに謝罪すれば、弁護士2人で合計10万円の和解金で和解に応じるとしている。

 この記者会見以前からの両弁護士のツイートで、初めて「懲戒請求の請求者の情報は相手にも通知される」ことを知った者も多かった。つまり「匿名で自分の憤りを晴らすことができる」と思いきや、まったくそんなことはなかったのだ。

 かくてネットのあちこちには「金なんかない」などなどの悲痛な叫びが噴き出している。

 だが、その一方で多くの“外野”が心待ちにしているのは、裁判が始まること。

「多くの対象者は10万円を持って謝罪するでしょうが、示談金も用意できなかったり、本気で逆ギレする人もいるでしょう。そうした人たちが、法廷でどんなことを訴えるのか……こんな激レアな裁判はありませんよ」

 そう話すのは、日々、裁判所に通う傍聴マニア。確かに匿名と勘違いした人たちが、男なのか女なのか。あるいは年齢等々も含めて興味深いのは確かだ。

 いくらネット発とはいえども、自分の行動には責任は伴う。SNSなどでの暴言にも気をつけたほうがいいと、改めて思った。
(文=是枝了以)

「今後は肩書きを隠して……」業務停止でテレビ出演も絶望的!? “元アディーレ弁護士”に吹き荒ぶ逆風

 アディーレ法律事務所が広告の景品表示法違反で東京弁護士会から業務停止とされた問題の影響か、過去にアディーレで仕事をしていたある弁護士が名刺を刷新し、「アディーレ」の文字を取り除いていたことがわかった。

 現在はアディーレ所属ではなく、今回の処分対象にもなっていないが、問題の広告が掲示されていた期間にアディーレの弁護士として仕事をしていたことがあり、その過去を隠す意図があるようにも思える。この弁護士は9月まで使っていた名刺と最近使っている名刺の基本デザインこそ同じだが、裏面に書かれた経歴にあった「アディーレ法律事務所」だけが、新しいものから消されているのだ。

 過払い金の返還訴訟を主体としていたアディーレは2010年以降、期間限定として着手金無料などのキャンペーンを宣伝していたが、実際には期間限定ではなく、5年近くにわたり広告を掲載していたとされる。これに懲戒請求が出され、東京弁護士会から「手段の悪質性が際立つ」などとして10月11日付で法人としてのアディーレ法律事務所が2カ月、元代表の石丸幸人弁護士が3カ月の業務停止処分を受けた。ただ、アディーレ側は「処分は重すぎる」「せいぜい戒告にとどめるべき」として、日本弁護士連合会に処分取り消しを求める審査請求を申し立てている。

 問題の期間で、アディーレの得た報酬が約268億円にも上ったとされることに、アディーレ側は「報酬額の増加は広告と無関係」と反論。ただ、これには著名な弁護士の紀藤正樹氏がTwitterで「違法収益を掃き出させる課徴金処分ができない弁護士会の処分である以上逆に軽すぎるくらい」とも書いている。

 かぐや姫が借金しているという設定や、お笑いコンビ・ブラックマヨネーズの小杉竜一と吉田敬を使ったテレビCMなど、大々的な宣伝には同業者からも批判があったアディーレ。異議に対する判断は別にして、世間的には「法の専門家なのに、ルール違反を犯してまで金儲けに傾倒していた連中」という印象が根付き始めている。当然、アディーレ所属の弁護士たちのイメージダウンは避けられず、前出の“元所属”弁護士にとっても、在籍の過去が黒歴史のようになってしまったようだ。

 過去の広告では、石丸弁護士のほか、篠田恵里香、園田由佳、鈴木淳也といった弁護士が登場していたが、今年9月まで187人もの弁護士が所属していたため、「元」を含めれば、かなりの数の“アディーレ弁護士”がいることになる。彼ら一人ひとりに問題があったとされてはいないが、そのキャリアに対する見方は厳しくなるかもしれない。

 別の法律事務所のある弁護士は「広告でウソをついていたとされたわけだけど、今度は肩書きを隠して経歴のウソをつかなければならなくなるかもね」と冗談交じりに話していた。

 公にはされていないが、こうした問題が表沙汰になった弁護士事務所については最近、一部テレビ局がコメンテーターなどで出演させることに慎重になっている。

「アディーレの弁護士はテレビ朝日の番組出演が主だったように思うけど、テレ朝はもちろん他でもブラックリスト入りするんじゃないか。CMを流していた“共犯意識”から距離を置きたいと思ってもおかしくない」とは業界歴の長いテレビマンの話。

 美人弁護士とも呼ばれた“広告塔”篠田弁護士は、レギュラー出演しているラジオ番組『ロンドンブーツ1号2号田村淳のNewsCLUB』(文化放送)については、法人業務停止期間中の出演が休みとなることが伝えられているが、今後、局や番組側がなんらかの判断を下すこともなくはないだろう。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

山尾議員、“W不倫”のきっかけ? 離婚に強い弁護士に聞いた、依頼者との「恋愛」

 山尾志桜里議員のW不倫疑惑に関連して、山尾氏が自身の離婚問題をお相手とされる倉持麟太郎弁護士に相談していたことから、不倫関係に発展したと報道されている。

 離婚問題の相談となると、依頼者はプライベートを明かさなければならず、依頼心が強まると恋愛感情に発展することは想像できる。しかし、実際に弁護士が依頼者と恋愛関係になるケースはよくあるのだろうか? 『マンガでわかる「愛と慰謝料の掟(ルール)~請求されたら・・・編~」』(amazon Kindleストア)の編著者であり、離婚問題を多数扱うアディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士に聞いた。

「恋愛関係自体、トラブルになりやすいものですし、弁護士としては、相手が依頼者というだけで、通常は慎重に距離感を保つようにいたしますので、そういった関係になるケースは少ないと思います。しかし、弁護士と依頼者が恋愛関係に至ることが全くないわけではなく、多くの場合、公になっていないのではないでしょうか。逆に、公になる場合は、不倫をしたとか、結婚や婚約を隠して相手と関係を持ったとか、無理矢理淫らな行為に及んだなど、良くないニュースであることが多いです。率直に、弁護士がクライアントとW不倫の関係にあったとなれば、あまりにも不用意と言わざるを得ないでしょう」

 そもそも山尾氏自身も元検察官で法律の専門家であるのに、弁護士に自身の離婚問題を依頼することはあり得るのだろうか?

「これは十分にあり得ます。実際に自分が弁護士でも、自身の離婚問題に関しては別弁護士に依頼するケースは多いですし、私の知り合いにも多数います。離婚問題は、当事者が感情的になりやすく、間に弁護士が入ることによって、その感情的な対立を緩和させ、冷静にさせるという意味も大きいので、むしろ弁護士であっても自身で対応しないほうがいいと思っています。私も、自分が離婚する場合は、別の弁護士に依頼すると思いますよ」

 では、依頼者に恋愛感情を抱くことは、弁護士の業務上問題にならないのだろうか?

「少なくとも依頼された事件が解決終了するまでは、純粋に一弁護士として事件に臨むべきであって、恋愛感情や私的な感情が入り込むことは、個人的に好ましくないと思っています。不倫関係である、既婚や婚約関係にあることを隠している、相手が嫌がっているのにそういった関係に至る、自分が弁護士である立場を利用して恋愛関係を強いる、未成年者に手を出すなどの不適切な恋愛関係に至った場合は、弁護士と言う職務上、非常に問題です。犯罪に至る可能性があることはもちろん、弁護士職務上問題があるとして、品位を失う行為をしたとして、業務停止などの懲戒処分が下されることもあり得ます」

 山尾氏自身は不倫を否定しているが、もし事実だとすれば、個人的な家庭の問題にとどまらず、法律家としても問題になる可能性がある。それは倉持弁護士にとっても同様のこと。いずれにしても、2人が失った信用は大きく、回復は困難を極めるだろう。

アディーレ法律事務所

上原多香子、遺族への“慰謝料”は来月時効……逆に“名誉毀損”で200万円請求可能!?

 8月10日発売の「女性セブン」(小学館)で、ヒップホップグループ・ET-KINGのTENNさんが2014年に自死した当時、妻の上原多香子(SPEED)が俳優・阿部力と不倫関係にあったと報じられた。

 「セブン」には、TENNさんの実弟が公表したTENNさんの遺書と、上原が不倫相手の阿部とかわした恋愛感情満載のLINEの内容、上原と阿部の親密さをうかがわせる写真が掲載された。上原の不倫は、家族からしてみれば許されない行為だが、TENNさんが亡くなって3年たってから、遺書やLINE等を公開する行為は、上原に対する名誉毀損にならないのだろうか? また、遺族側がTENNさんの代わりに上原の不貞行為について、慰謝料を請求することは可能なのだろうか? 弁護士に話を聞いた。

 まず、アディーレ法律事務所の吉岡一誠弁護士は、次のように説明する。

「『セブン』の記事の内容は、全体として上原多香子さんが不倫をしたかのように受け取られる記載になっており、これにより上原さんの社会的評価が低下しうると考えられるので、名誉棄損に該当する可能性があります。また、公表された写真やLINEの内容は、上原さんにとって、公にされたくない私生活の事柄であると考えられるので、プライバシー侵害にも該当する可能性があります」

 名誉棄損やプライバシー侵害と認められた場合、上原の精神的苦痛に対する慰謝料額は、数十万~数百万円程度であるという。

「基本的には、名誉棄損またはプライバシー侵害行為の主体は、記事を作成した出版社であり、賠償責任を負うのは出版社になりますが、TENNさんの実弟が提供した遺書や写真、LINEの内容がそのまま掲載されていますし、記事の内容についても了承しているものと考えられるので、TENNさんの実弟も同様に賠償責任を負うことになるでしょう。

 なお、出版社やTENNさんの実弟としては、名誉棄損について、(1)公共の利害に関する事実であること、(2)公益目的であること、(3)真実であること、または真実であると信じたことについて確実な資料・根拠に基づいていると立証することで、責任を免れることが可能であり、プライバシー侵害についても、公表に正当な理由があることなどを立証することで、責任を免れる余地があります」

 また、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の中里妃沙子弁護士は、あくまで参考意見とした上で、「遺言の中に、上原さんの評判を落としかねないような事実が記載されていて、義弟がその内容を、遺言を示してマスコミを通して公表したような場合には、義弟に名誉毀損罪が成立します。その場合の慰謝料は、せいぜい200万円が限度です」と述べる。

 では、逆に上原の不貞行為に関して、遺族が慰謝料を請求することはできるのだろうか? 吉岡弁護士によると可能だという。

「TENNさんの遺族は、相続によりTENNさんの慰謝料請求権を承継するため、相続放棄をしていなければ、上原さんやその不貞相手の男性に慰謝料請求をすることが可能です。不貞による慰謝料額の相場は、数十万~300万円程度で、婚姻期間や不貞期間等さまざまな事情から金額が決められます。ただし、裁判上請求が認められるためには、請求をする側が不貞の事実を立証しなければなりません。今回の記事の中で取り上げられていた内容だけでは、肉体関係があったことを立証できない可能性も高く、実際には難しいのではないでしょうか」(吉岡弁護士)

 中里弁護士も、「遺族から上原さんへの慰謝料請求は可能です。とはいえ、時効の壁(3年)がありますので、元夫が上原さんの不貞、および不貞の相手方を知ったときから3年を経過していたら、請求できません」と話す。TENNさんが自殺したのは2014年の9月25日で、遺族がその時に上原の不貞を知ったとすれば、来月、時効の3年を迎えることになる。

 上原は、上演中の舞台が千秋楽を迎える8月18日以降は無期限活動休止に入ると報じられているが、今後、自らの口で事情を説明することがあるのだろうか。