視聴率ゆるやかに上昇中の岩田剛典『崖っぷちホテル!』に見る“2種類のアイドルドラマ”

 毎回、日曜の夜にほっこりとした“いい話”をお届けしてくれるドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も第4話。視聴率は7.0%(ビデオリサーチ調べ、ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、第2話でがっつり落として以降、ゆるやかに上げ続けているようです。

 というわけで、今回もいい話だった同作を振り返ります。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■相変わらずニコニコで押し切る岩ちゃんの不気味さ

 

 経営的に“崖っぷち”な老舗ホテル『グランデ・インヴルサ』を復活させるために奮闘する若き総支配人・桜井佐那(戸田恵梨香)と、なんだかんだでいきなり副支配人になっちゃった宇海くん(岩田剛典)。この宇海くんの加入でホテルは「いい方向に向かい始めた」(佐那ちゃん談)ようですが、今回は事務・経理をひとりで切り盛りしていた丹沢さん(鈴木浩介)が、いきなり「辞める」と言い出しました。

 もともと景気が悪いことはわかっていたはずの丹沢さん、なんでこのタイミングで? と思ったら、近くにビジネスホテルが建つ計画があって、そちらにヘッドハンティングされたのだとか。いわく、インヴルサは「もう、つぶれますから」とのことです。

 さらに、芋づる式に清掃員の尚美さん(西尾まり)と、フロントマン・大田原(野性爆弾・くっきー)まで、丹沢さんと一緒にビジネスホテルに移ると言います。

 困り果てた佐那支配人が宇海くんに相談すると、いつもの爽やかな笑顔で、「よし! 面接をしましょう!」と超ドライ対応。辞意表明の3人に対しては、盛大に送別パーティを開いて、気持よく送り出すつもりのようです。なんか不可解を通り越して、もはやこの明るさは不気味です。引き留めたい佐那さんはどうにも納得できませんが、まあ例によって宇海くんのニコニコに押し切られてしまいました。

 とはいえ倒産寸前のホテルですので、採用面接にも使えそうな人材は集まりません。最後に登場した、宇海くんの知り合いだというロマンスグレーな紳士・小山内さん(長谷川初範)だけが採用となりました。

 

■設定と印象づけが人物に説得力を生んでいる

 

 この小山内さんだけ取ってみても、このドラマのシナリオは「やることをちゃんとやってる」感があります。いかにも軽いコメディに見せて、人物の見せ方を丁寧に作っている。

 例えば「小山内」という姓から、見ている人のほとんどはピンときたはずです。前回、ホテルの企画でベッドメーク体験に来た女の子・裕子ちゃん(川栄李奈)も「小山内」さんでした。ドラマの中で無意味に同じ姓の人物を登場させるわけがありませんので、少なくとも、この小山内紳士は「普通に面接に来た人じゃない」というか「先週出てきた女の子のお父さんだな」とわかるわけです。

 ここで小山内さんにある程度の情報を与えて視聴者の興味を引いた上で「なんでお父さんが?」という疑問を残している。

 設定としてはここまでで理解できても、じゃあ小山内さんがどんな人なのかはわかりません。簡単にいえば、怪しい人かどうか、悪い人かどうかという印象の話です。

 ホテル中の誰彼が「辞める辞める」と言い出している状況で、宇海くんが勝手に連れてきた人物。ただでさえ疑心暗鬼になっている従業員たちが、小山内さんに「怪しい」という印象を持つ条件はそろっています。でも、ここで誰かが「小山内というジジイは怪しい」と言い出すと、話が散らかってしまう。小山内さんが仕事のできる人間であることから、さらに怪しさに拍車がかかっても不思議じゃない。

 そこで『崖っぷちホテル!』は、小山内さんについての印象操作を行います。説得力を持って、「小山内さんは怪しくない」「従業員の誰もが、小山内さんを無条件に受け入れる」という土壌が必要になるわけです。

 そこで、小山内さんについて、誰もが敬愛してやまない故・佐那ちゃんパパ(元総支配人)に「雰囲気が似ている」と従業員全員に口々に語らせました。この効果は抜群で、特に、ひねくれ者のバーマスター・梢さん(りょう)が小山内さんを認めることで、彼の言動に強い説得力が生まれています。

 この場合、小山内さん自身が何を言っても、何をしても、視聴者の信頼を得ることはできません。誰が何を言えば視聴者が小山内さんを受け入れるのか、それがちゃんと考えられている。細かいことですが、キャラクターに命を吹き込むのはこうした細部だと思うのです。

■宇海を動かさず、宇海を描く

 

 そうして画面の中で存在感と信頼感を確立した小山内さんの正体は、実はビジネスホテル側からのスパイでした。宇海くんは、従業員に隠して、スパイを呼んでいたのです。

 ただしこのスパイは、もとより「インヴルサをつぶしてやろう」とは考えていませんでした。さまざまな職歴を経て、「本当に人のためになる仕事をしたい」と考えていて、さらに「ウワサの敏腕ホテルマン・宇海と仕事をしてみたい」とも感じていた。

 宇海くんは、密かに賭けをしていたのです。小山内さんを呼んで、もしこのホテルを小山内さんが「つぶすべき」と判断していたら、ビジネスホテル建設は予定通り進み、インヴルサは消滅することになる。

 そんなスパイに宇海くんは、“スパイ向け”でない通常営業の姿だけでなく、経理状況から何から、内部資料を全部見せちゃっていました。なぜなら「このホテルのことを小山内に知ってもらえれば、気が変わってビジネスホテルの建設を中止するはずだ」と確信していたからです。

 ここには「小山内さんがフェアな判断をするはず」と「インヴルサの通常営業は小山内さんを魅了するはず」という、宇海くんの2つの信頼が働いています。

 その思惑の通り、小山内さんはフェアな男だったので「ここ(インヴルサ)は化けますよ」「大逆転した姿を見てみたい」と言って、ビジネスホテル建設を中止しました。おのずと、丹沢さんほか3名もインヴルサに残ることになって、ハッピーエンド。小山内さんが前回のベッドメーク女子の父親だった伏線も、ここで機能しました。

 周囲のリアクションによって小山内さんのキャラを確立させ、小山内さんを含む人物を宇海くんの思い通り動かすことで、宇海くんのホテルマンとしての能力を際だたせる。キャラクターというのは、「どう動くか」で生きるのではなく「周囲をどう動かすか」で浮き立たせるもののようです。

 

■アイドルドラマというパッケージには2種類ある

 

 今回、仕掛けとして丹沢さんたちの「辞意」と「復職」に必然性があるし、その中で語られた彼らの心の動きにも、丁寧にエピソードがあてがわれて説得力がある。ほっこり感動できる。このドラマには衝撃的な展開はありませんが、足りないものもないように感じます。

 前回、単なる賑やかしに見えた川栄を本編に引き込む段取りも鮮やかでした。恐らくは多忙を極める川栄を初回から登場させることができなかったというスケジュールの都合でしょうが、上手くやったと思います。

 そして、今回もっとも感じたのが、アイドルドラマというものの在り方でした。

 あくまで「ファン向け」というパッケージの中でも、アイドルドラマには2種類あると思ったんです。

 ひとつは、最近でいえば山田涼介『カインとアベル』(フジテレビ系)や、木村拓哉『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)のような、従来のファンに目いっぱいのサービスをして、喜んでもらうためのもの。

 もうひとつは、主人公を張るアイドルの魅力を引き出して、ファン層の拡大を図ろうとするもの。『崖っぷちホテル!』は、間違いなく後者だと思うし、すでに私はちょっと岩ちゃんのファンになりかけていることを白状しておきます。

 そんなわけで、では、また次回~。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

岩田剛典『崖っぷちホテル!』人の性根に根差した“いい話”連発も、低空飛行は続く……

 日曜夜のほっこり低視聴率ドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も第3話。視聴率は6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや戻しましたが低空飛行が続きます。とはいえ、今回もフツーに面白いです。

 というか、過去2回は「ユルいし雑だけど、優しい出来で、まあいいじゃない」という印象でしたが、今回はちょっとピリッとした緊張感もありましたし、主人公の宇海くん(岩田剛典)の可愛げの中に不気味さが見え始めたりしてて、回を重ねるごとに、ちょい深みが増してよい感じになってきてると思いました。

 そんなわけで振り返りです。

(前回までのレビューはこちらから)

■基本、みんな性根がいい。

 老舗ホテルの再建を目指す総支配人・桜井佐那(戸田恵梨香)と、いろいろあって副支配人になった宇海くん。前回までに、元副支配人の時貞(渡辺いっけい)と元総料理長・江口(中村倫也)を、それぞれ降格させたことから、ホテル内には不穏な空気が満ち始めています。

 ガマンならない時貞&江口の降格コンビに対し、宇海くんは「新規顧客獲得のための企画勝負」を提案。勝った方を、改めて役職に戻す約束をします。勝ち負けの基準は「お客様に喜んでいただけたかどうか」、そして、最終審判は支配人である佐那に委ねられました。

 このように、何もかもを勝手に進めつつ、最後には佐那に「あなたが総支配人じゃないですか!」と厳しい判断をほっぽり投げてくる宇海くんですが、その自信満々でマイペースなニッコリ笑顔にはなぜか説得力があるようで、従業員たちも、ついつい言うことを聞いてしまいます。

 今回も、

「そんなことやってられるか!」

「誰がおまえの指図に乗って企画なんて考えると思ってるんだ!」

 などと、駄々をこねるかと思いきや、意外にもすんなり新企画を考えてきた時貞&江口。

 元副支配人の時貞は、これぞ老舗ホテルのサービス! という究極のセレブ体験をしていただくという、なかなかの名案。1泊20万円だか30万円だかの最高級スイートにお泊まりいただき、超一流のおもてなしでお客様を迎えるというものでした。

 一方の元料理長・江口は、一流フレンチの調理体験という提案。ホテルと提携している地元の「高橋ファーム」なる畑(たぶん一流なのでしょう)での収穫から、お客様と一緒に行い、採れた野菜で「俺と一緒にフレンチを」と、これまた、至極まともな企画です。

 さらに、客室係の長吉(宮川大輔)が、「そういうことなら、やってみたい企画が!」と、プロのベッドメイクを体験してもらう企画を提案しました。特にきっかけとかなくて、やる気のない人として登場した長吉でしたが、なんだか、急にモチベーションがグングン上昇したみたい。

 このあたり、みんなゴネつつ実に性根がいいというか、都合よく宇海くんの話にノリすぎというか、要するにご都合主義満載なんですが、脚本家自身の「だって、いい人なんだからしょうがないじゃん」といった心持ちが伝わってくるので、これはこれで気持ちのいいご都合主義だなあなどと感じ入ります。なんだかあんまり、文句を言う気にならないんです。

■渡辺いっけいのサンドバッグぶり

 対決企画とはいえ同じホテルの中ですから、お互い邪魔をしないという約束事はあります。ところが、どうしても副支配人に返り咲きたい時貞は、江口のお客さんである小汚い親子によからぬ態度を取ります。

 この、いかにも良心的なドラマの“よごれ”を一手に背負うのが、時貞を演じる渡辺いっけい。同じ降格組でも、江口は「新人のハル(浜辺美波)にはまだ知識が不足している」「食材の見極めもできない」という、まっとうな理由で人事を戻すよう要求しますが、時貞のほうは、メインバンクから不正に金を引っ張っているのがバレたらヤバいという、身勝手を通り越して犯罪の隠ぺいのためという極悪人です。

 しかし、渡辺いっけいが演じると、極悪人に見えない。自分の客が蔑ろにされた江口と取っ組み合いのケンカになっても、なんか弱いし、「年の差考えろ」とか子どもじみたことしか言わない。対決はなんだかんだとてもいい話があって時貞が負けるわけですが、まあ見事に短絡的で惨めな負けっぷりを見せてくれます。引き立て役、脇役という仕事の重要性というものを感じさせるお芝居でした。今回、みんながみんな時貞の振る舞いにカウンターを当てることで株を上げてる。サンドバッグとして、打たれ強くて丈夫なキャラクターを成立させているのは渡辺いっけいの嫌みのない悪役ぶりのおかげです。

 今夜放送の第4話では、事務責任者の丹沢(鈴木浩介)が辞めると言い出すようです。こちらも、時貞と同様“反・宇海くん”側の人間ですので、どう丸め込まれるのか、楽しみに待ちたいと思います。このまま、フツーにいい話ばかりで終わってほしいと思うし、そういうドラマがあってもいいと思うんですが、まあ数字が、ねえ。どうなるんでしょう。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

岩田剛典『崖っぷちホテル!』視聴率ほぼ半減ショック! 「フツーに面白いドラマ」は、もういらない!?

「岩ちゃん」こと岩田剛典がブリブリな笑顔を振りまきつつ、老舗ホテルの再建を目指すドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)。第2話の視聴率は、なんと初回からほぼ半減となる6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)まで下げました。近年、稀にみる垂直落下ぶりですが、そんなに悪かったかなぁ。悪くないと思うんだけどなぁ。というわけで、今回も振り返ってみます。

(前回までのレビューはこちらから)

 

 新米支配人の佐那(戸田恵梨香)にお願いされ、ホテル・グランデ・インヴルサを再建するために名門バリストンホテルから衝撃の転職を果たした宇海くん(岩田)。前回までに、このホテルの問題点はだいたい洗い出せていたようで、さっそく大ナタを振るいます。

 まずは、やる気がないくせにプライドだけは高い副支配人・時貞(渡辺いっけい)と料理長・江口(中村倫也)を降格処分に。時貞は「宿泊部の主任」という新たな肩書を気に入るわけもなく、ブーブー言ってます。新人パティシエ・ハルちゃん(浜辺美波)に料理長の座を奪われた江口もイジケまくっていますが、宇海くんは相変わらずニコニコで気にも留めません。

 自ら副支配人となった宇海くんは、従業員一同に「ホテルの宝物である顧客名簿を読め」と命令。10年ほど前に、たくさんの客が「ケーキ美味い」と感想を寄せていたことが明らかになると、「このケーキを再現してケーキフェアをやろう」という企画を打ち出しました。

 で、ケーキフェアは概ね大成功。両親を事故で亡くした女子高生を盛大なおもてなしで感動させました。宇海くんの鮮やかな仕事ぶりに、最初は苦々しく思っていたバーマスター・梢さん(りょう)や元料理長・江口も、少しずつ心を許してきたようです。

 

■今回は「チャド・マレーン回」でした

 

 今回、大きくフィーチャーされたのは、見た目が完全に外国人なのに英語がしゃべれないベルボーイのピエール田中(チャド・マレーン)。

 ホテル上層部の人事をバッサバサに斬りまくる宇海の姿を見て、仕事に自信のないピエールは「ぼくはクビになる」とガクブル状態。そんなこんなで大事なケーキを踏んづけてしまうなどミスを重ね、宇海くんに呼び出しを食らいます。

 クビになる覚悟を決めたピエールでしたが、宇海くんは「一緒に、いい方法を考えましょう」と、優しく語りかけます。そしてもう一度、顧客名簿を総ざらい。さらに、バーマスター梢さんの助言で、佐那の父が大事にしていた顧客からのお礼状もすべてひっくり返して読み返すことに。

 そんなこんなで、踏んづけたケーキをご所望だった女子高生が何者だったかを探し当て、無事にご満足をいただくことができました。

 やる気のない従業員に、さらなるミスを重ねさせてドン底にまで追い込み、宇海くんの器量の良さと本人の努力によって回復する。ピエールは宇海くんを信頼することになり、やる気を取り戻す。このドラマのフォーマットになるのは、こうして1人ひとりを回復させる流れなのでしょう。全員が宇海くんを中心にひとつになったとき、ホテルも復活を果たす、というクライマックスが見えてきます。

 

■浜辺美波のコメディエンヌぶりがまぶしいよ

 

 今回は、若き天才パティシエ・ハルちゃんを演じる浜辺美波が気を吐きました。イジけ腐った(元)上司の江口を「ツンデレなのね」と気にも介せず、自分のやるべきことを天真爛漫な笑顔でこなす姿は、実に健気で愛さずにはいられません。それにしても、17歳。永野芽郁もそうですが、新しい世代の女優さんがどんどん育ってる感じがして素敵です。

 また、ここまでスーパーポジティブなハルちゃんにも今後、波乱が訪れるとすれば、それは物語の大きな振り幅になると思います。中盤の盛り上がりを支えるのは、もしかしたらハルちゃんかもしれません。

■エピソードは弱い、弱いけど優しい

 

 見ていて気になるのは、各エピソードの弱さです。ピエールが「クビになる~」と恐れ慄く原因になったのも、「外国人客から逃げたのを宇海に見られた」「ケーキ踏んじゃった」だけなので、少し不自然に感じます。その宇海くんには「ネクタイ締められない」「20分締めたら3日も寝込んだ」という設定が与えられていますが、これもバリストンホテルとやらの副支配人にまでのし上がった人物としては、いかにも不自然。後半でバリッとスーツで決めるシーンがあって、それに対するギャップなのでしょうけど、ちょっと納得しかねる部分でもあります。

 また、ハルちゃんが食べたこともない「幻のケーキ」を完全に再現できちゃったのも安易だと思いますし、そのケーキを求めてやってきた女子高生の動機が、第1話と同じ「死んだ家族との思い出を求めて」というパターンだったことも、物足りないっちゃ物足りない部分です。

 ただ、こうした弱さもひっくるめて、優しい出来になっていると思うんですよねえ。第1話のレビューにも書きましたが、基本的には岩ちゃんファン向けのアイドルドラマなので、そもそもの岩ちゃんのパブリックイメージに、よく似合う作風だと思う。で、弱いといっても、退屈なわけではない。フツーに面白い、といえるくらいにはまとまってる。

 そういう、それなりによくできたドラマがここまで数字を下げるというのは、第2話を見終えた後でも、ちょっと不思議だなぁという印象が残ります。岩ちゃんの求心力が、まあこんなもんなのもあるけど、なんかフツーに面白いドラマって、もうあんまり視聴者に求められてないのかもしれませんね。ホント、悪くないし、マジメに作ってると思うんだけど。うーむむ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

岩田剛典『崖っぷちホテル!』視聴率ほぼ半減ショック! 「フツーに面白いドラマ」は、もういらない!?

「岩ちゃん」こと岩田剛典がブリブリな笑顔を振りまきつつ、老舗ホテルの再建を目指すドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)。第2話の視聴率は、なんと初回からほぼ半減となる6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)まで下げました。近年、稀にみる垂直落下ぶりですが、そんなに悪かったかなぁ。悪くないと思うんだけどなぁ。というわけで、今回も振り返ってみます。

(前回までのレビューはこちらから)

 

 新米支配人の佐那(戸田恵梨香)にお願いされ、ホテル・グランデ・インヴルサを再建するために名門バリストンホテルから衝撃の転職を果たした宇海くん(岩田)。前回までに、このホテルの問題点はだいたい洗い出せていたようで、さっそく大ナタを振るいます。

 まずは、やる気がないくせにプライドだけは高い副支配人・時貞(渡辺いっけい)と料理長・江口(中村倫也)を降格処分に。時貞は「宿泊部の主任」という新たな肩書を気に入るわけもなく、ブーブー言ってます。新人パティシエ・ハルちゃん(浜辺美波)に料理長の座を奪われた江口もイジケまくっていますが、宇海くんは相変わらずニコニコで気にも留めません。

 自ら副支配人となった宇海くんは、従業員一同に「ホテルの宝物である顧客名簿を読め」と命令。10年ほど前に、たくさんの客が「ケーキ美味い」と感想を寄せていたことが明らかになると、「このケーキを再現してケーキフェアをやろう」という企画を打ち出しました。

 で、ケーキフェアは概ね大成功。両親を事故で亡くした女子高生を盛大なおもてなしで感動させました。宇海くんの鮮やかな仕事ぶりに、最初は苦々しく思っていたバーマスター・梢さん(りょう)や元料理長・江口も、少しずつ心を許してきたようです。

 

■今回は「チャド・マレーン回」でした

 

 今回、大きくフィーチャーされたのは、見た目が完全に外国人なのに英語がしゃべれないベルボーイのピエール田中(チャド・マレーン)。

 ホテル上層部の人事をバッサバサに斬りまくる宇海の姿を見て、仕事に自信のないピエールは「ぼくはクビになる」とガクブル状態。そんなこんなで大事なケーキを踏んづけてしまうなどミスを重ね、宇海くんに呼び出しを食らいます。

 クビになる覚悟を決めたピエールでしたが、宇海くんは「一緒に、いい方法を考えましょう」と、優しく語りかけます。そしてもう一度、顧客名簿を総ざらい。さらに、バーマスター梢さんの助言で、佐那の父が大事にしていた顧客からのお礼状もすべてひっくり返して読み返すことに。

 そんなこんなで、踏んづけたケーキをご所望だった女子高生が何者だったかを探し当て、無事にご満足をいただくことができました。

 やる気のない従業員に、さらなるミスを重ねさせてドン底にまで追い込み、宇海くんの器量の良さと本人の努力によって回復する。ピエールは宇海くんを信頼することになり、やる気を取り戻す。このドラマのフォーマットになるのは、こうして1人ひとりを回復させる流れなのでしょう。全員が宇海くんを中心にひとつになったとき、ホテルも復活を果たす、というクライマックスが見えてきます。

 

■浜辺美波のコメディエンヌぶりがまぶしいよ

 

 今回は、若き天才パティシエ・ハルちゃんを演じる浜辺美波が気を吐きました。イジけ腐った(元)上司の江口を「ツンデレなのね」と気にも介せず、自分のやるべきことを天真爛漫な笑顔でこなす姿は、実に健気で愛さずにはいられません。それにしても、17歳。永野芽郁もそうですが、新しい世代の女優さんがどんどん育ってる感じがして素敵です。

 また、ここまでスーパーポジティブなハルちゃんにも今後、波乱が訪れるとすれば、それは物語の大きな振り幅になると思います。中盤の盛り上がりを支えるのは、もしかしたらハルちゃんかもしれません。

■エピソードは弱い、弱いけど優しい

 

 見ていて気になるのは、各エピソードの弱さです。ピエールが「クビになる~」と恐れ慄く原因になったのも、「外国人客から逃げたのを宇海に見られた」「ケーキ踏んじゃった」だけなので、少し不自然に感じます。その宇海くんには「ネクタイ締められない」「20分締めたら3日も寝込んだ」という設定が与えられていますが、これもバリストンホテルとやらの副支配人にまでのし上がった人物としては、いかにも不自然。後半でバリッとスーツで決めるシーンがあって、それに対するギャップなのでしょうけど、ちょっと納得しかねる部分でもあります。

 また、ハルちゃんが食べたこともない「幻のケーキ」を完全に再現できちゃったのも安易だと思いますし、そのケーキを求めてやってきた女子高生の動機が、第1話と同じ「死んだ家族との思い出を求めて」というパターンだったことも、物足りないっちゃ物足りない部分です。

 ただ、こうした弱さもひっくるめて、優しい出来になっていると思うんですよねえ。第1話のレビューにも書きましたが、基本的には岩ちゃんファン向けのアイドルドラマなので、そもそもの岩ちゃんのパブリックイメージに、よく似合う作風だと思う。で、弱いといっても、退屈なわけではない。フツーに面白い、といえるくらいにはまとまってる。

 そういう、それなりによくできたドラマがここまで数字を下げるというのは、第2話を見終えた後でも、ちょっと不思議だなぁという印象が残ります。岩ちゃんの求心力が、まあこんなもんなのもあるけど、なんかフツーに面白いドラマって、もうあんまり視聴者に求められてないのかもしれませんね。ホント、悪くないし、マジメに作ってると思うんだけど。うーむむ。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

岩田剛典主演『崖っぷちホテル!』“前代未聞”の視聴率急降下も……“将来”見据えたキャスティングに希望の灯!

 三代目J Soul Brothers、EXILEのメンバー・岩田剛典が初の連ドラ主演に臨んでいる、日本テレビ系連続ドラマ『崖っぷちホテル!』(日曜午後10時30分~)の第2話が22日に放送され、視聴率は6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。初回は10.6%で、実に4.5ポイントもの大幅ダウンとなった。

 すっかり、“爆死枠”とも呼ばれるようになってしまった、日テレの日曜ドラマでは、昨年4月期『フランケンシュタインの恋』以来、1年ぶりの2ケタスタートとなったが、第2話にして、あっさり急降下した。同ドラマも、初回11.2%→第2話7.3%と推移し、3.9ポイントも急落したが、『崖っぷちホテル』は、それを上回る前代未聞の“爆下げ”を記録してしまった。

 同ドラマは、かつて栄華を誇ったクラシカルな高級ホテル「グランデ・インヴルサ」が舞台。時をへて、今やヤル気、実力共にゼロのスタッフが集う、負債総額3億円の破産寸前のド底辺に落ちぶれた「崖っぷちホテル」となっていた。若くして総支配人を務める桜井佐那(戸田恵梨香)は、プライドは高いが、ヤル気はゼロのクセ者だらけの従業員に振り回され、その経営に頭を抱えていた。そんな中、フラッと宿泊したナゾの男・宇海直哉(岩田剛典)が、人気ホテルの副支配人とわかるや、佐那は宇海を勧誘。それを受諾した宇海は、破産寸前からの大逆転を仕掛けていくという物語。

「初回では、岩田への期待の高さからか、2ケタ台を達成しました。第2話では視聴率が急降下してしまいましたが、この枠では、よくあることです。今や、日テレの日曜ドラマは、いわば“若手育成枠”。岩田は、役者としては、まだまだ発展途上で、初の主演で一皮むけるチャンスでもあります。視聴者の間では、パティシエの鳳来ハル役の浜辺美波、競艇狂いの料理人役の江口竜二(中村倫也)の演技が高評価を得ています。今後も視聴率面では苦戦するかもしれませんが、“将来”を見据えたキャスティングに希望の灯が見えます。こういった有望な若手を育成し、いずれ同局のドラマで、メインキャストとして活躍してくれれば、それはそれでメリットもあるんじゃないでしょうか。この枠には、そういった狙いもあるでしょう」(テレビ誌関係者)

 まだ17歳の浜辺は、昨年7月公開の主演映画『君の膵臓をたべたい』での演技が高い評価を受け、1月期には、深夜ドラマながら、『賭けグルイ』(TBS系)で、連ドラ初主演を果たした。

 中村は、前クール、仲里依紗主演の不倫ドラマ『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)で、強烈な存在感を発揮した個性派俳優。放送中のNHK連続ドラマ小説『半分、青い。』にも、「東京編」での出演が決まっており、まさに“注目株”だ。

 まだ演技経験が浅い岩田ともども、これらの若手が『崖っぷちホテル』で、飛躍してくれれば、このドラマも有意義な作品になるだろう。むろん、視聴率も第3話以降、巻き返しを図ってもらいたいものだ。
(文=田中七男)

『崖っぷちホテル!』アイドル・岩田剛典の“愛らしさ”暴発中! 「三谷幸喜っぽさ」から脱却できるか

 岩田剛典の民放連ドラ初主演作『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も15日にスタート。第1話の視聴率は10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まずまずの好発進です。

 さてこのドラマ、がっつり岩田ファンに向けてターゲットを絞ってきたように見えます。とにかく、岩田くんの“愛らしさアピール”がすごい。終始アヒル口でニコニコニコニコしながら「ワクワク♪」とか言ってダブルピースをクニクニさせる様など、とても『HiGH&LOW』シリーズで生コン飲んでた人とは思えません。「琥珀さんヨォオ……!」なんて叫び出しそうな気配が、まるでありません(といっても、こっちが本来のパブリックイメージでしょうけど)。

 人物の配置も、基本的には「岩田くん vs その他大勢」という設計になっているので、『崖っぷちホテル!』のコンセプトは、岩田くんによる岩田くんのためのアイドルドラマと見て間違いなさそうです。何しろ、その狙いがミエミエにもかかわらず、岩田くんがずっと愛らしいんだもの。

 そういうわけですので、この岩田くんの愛らしさが受け入れられれば最後まで楽しく完走できそうですし、逆に「うざい」「あざとい」「そもそもイケメンではない」「幼稚」「バカ」などと感じてしまうと、早々に離脱せざるを得ない感じです。

 

■「何が始まるか」は、すごくよく理解できる

 

 物語は、岩田くん演じる青年・宇海直哉が、倒産寸前の老舗ホテルを訪れる場面から始まります。汚ったないコート姿でロビーのイスに座り込んで眠りこけていたかと思ったら、目覚めるやいなや1泊22万円もするスイートを所望するなど、なかなかに怪しい人物です。

 部屋に大量のハガキを持ちこんだり、20誌にも及ぶマイナーな雑誌を買って来いと客室係に言いつけたり、革靴(かかとが潰れている)を廊下に出して「磨いといて」と無言のメッセージを発したり、あげくの果てに「水遊びするからプールの水を入れ替えろ」と命じたり、愛らしい笑顔で無理難題を次々に突きつける宇海。シナリオは、その端々に「なんか宇海は、ホテルのことをわかってるっぽい」というニュアンスを挟みつつ、「基本的には怪しいヤツ」というラインを、絶妙のバランス感覚で綱渡りさせてみせます。

 そんな宇海の理不尽な要求を、一手に引き受けるのが新米支配人の桜井佐那(戸田恵梨香)です。なぜ佐那が一手に引き受けるかといえば、従業員は誰も言うことを聞いてくれないし、そもそもやる気が全然ないからです。

 つまり、このホテルが倒産寸前である所以は、支配人に威厳がなくて、従業員にやる気がないからなのです。一連の怪しい行動で、宇海はそのすべてを見抜いていました。

 ドラマ後半、ニコニコ宇海が、実は有名ホテルチェーン「バリストンホテル」の副支配人だったことが明らかになります。「少し思い入れがあるから」このホテルを訪れたという宇海は、「嫌がらせをされたような気分」「がっかりした」と言って、ホテルを去ろうとします。

 しかし、そんな宇海を呼び止めたのが佐那でした。本気でこのホテルを立て直すことを決意した佐那は、的確な指摘をしてくれた宇海に「ここで私たちと、一緒に働いてください」などと無茶なことを言い出し、宇海がそれに「いいですよ、今すぐ電話してバリストンを辞めます」などと無茶な返答をしたところで、第1話はここまで。

 このホテルの名前は「ホテル・グランデ・インヴルサ」。ポルトガル語で「大逆転」という意味だそうです。果たして宇海と佐那は「大逆転」できるのか……というお話が展開されますよ、という作品の目的地が、すごくよく理解できるスタートだったと思います。

 

■「三谷幸喜っぽさ」の中に立ち上がった個性

 

 脚本は土田英生さん。今作は、演劇畑出身らしい「ホテル固定」の舞台設定で、原作なしの書き下ろしオリジナルになります。

 とはいえ、一見した印象は「書き下ろしのオリジナル」っぽくないなーという感じ。どこかで見た設定、どこかで見たお話、どこかで……というか、言ってしまえば、風景は映画『THE 有頂天ホテル』(2006)を、筋立てはドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)を想起させます。また三谷幸喜です。この国でシチュエーションコメディを作ろうと思ったら、もう三谷幸喜の呪縛からは逃れられないのかもしれません。

 土田さんだって、この『崖っぷちホテル!』を指して「三谷幸喜っぽい」という感想が出ることは想定内でしょう。むしろ、それをまったく恐れてないと感じました。「三谷幸喜っぽい」だけでは終わらない個性とクオリティを出せるという確信のもとに書いているはずですし、とりあえず第1話が終わったところでも、岩田くん演じる宇海の愛らしさと弾ける笑顔は、このドラマの個性・魅力として立ち上がっていたように感じます。

■手堅い伏線と「再建すべき」という思いに共感させる仕掛け

 

 今後、宇海がさまざまな手を使って、やる気のない従業員たちの意識改革をしていくのだろうな、という予想が立ちます。

 この従業員たちは、その多くが「今は腐ってるけど、やればできる子」として紹介されました。

 シェフの江口(中村倫也)は確かな経験と技術を持っているものの、客の質が落ちてやる気がなくなり、競艇に没頭するばかり。

 副支配人の時貞(渡辺いっけい)とバーマスターの梢(りょう)は、かつてのホテルの価値を理解しているけれど、先々代支配人(佐那の父)に心酔していたこともあって、佐那を認めることができない。

 パティシエのハル(浜辺美波)は、やる気もあるしデザート作りの天才だけど、空気が読めない。

 特にエピソードは紹介されませんでしたが、掃除をさぼってトイレットペーパーを持ち帰ってばかりの清掃員・尚美(西尾まり)も、公式サイトでは「元腕利き清掃員」と紹介されています。

 つまり、宇海と佐那が彼らの意識を改革して、彼らが本来の働きを取り戻しさえすれば、ホテルは必ず再建できると、第1話にして約束されているわけです。1人ひとり、彼らにきっかけを与えて意識改革のエピソードを構築しつつ、宮川大輔、くっきー、チャド・マレーンの吉本芸人3人衆が面白おかしく立ち回る……なんだかこの『崖っぷちホテル!』には、失敗しなそうな雰囲気が漂っています。

 こうして、「どうすればホテルが再建できるか」については手堅く伏線が張られました。もうひとつ「そもそも、なぜこのホテルを再建すべきか」にも、ドラマは説得力を与えています。

 もとより主人公が「思い入れ」があって、ヒロインが「やりたい」と言っているだけでも物語は成立するわけですが、ドラマはこの「ホテル・グランデ・インヴルサ」が再建されるべきホテルであることについても、語ることを怠りません。「別に潰せばいいじゃん」と、視聴者に思わせません。

 宇海が佐那にプールの水の入れ替えを命じたのは、水遊びをするためではありませんでした。この季節、この時間になると、ちょうど夕陽が水面に反射して、ホテル全体の天井を、ゆらめく黄金に染めるのでした。それはまるで、オーロラのような、5年に一度訪れる常連客に言わせれば「夢の国」のような光景。この映像で「これはすごいホテルだな」と視聴者が感じれば、おのずと宇海と佐那の行動に共感できるという仕掛けです。最初に意識改革された「やればできる子」は、従業員ではなくホテルそのものだったというわけです。

 というわけで、実に用意周到にスタートしたように思われる『崖っぷちホテル!』。映画『約三十の嘘』(04)でも見られましたが、限られたスペースと人数の中でキャラクターの心を開かせ、その性根の良さを丁寧に引き出していくのは、土田さんのもっとも得意とする作劇だと思われます。このドラマは面白くなりそうというか、たぶんなると思う、なればいいかな、まあコケる覚悟はしておきますけど。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

『崖っぷちホテル!』アイドル・岩田剛典の“愛らしさ”暴発中! 「三谷幸喜っぽさ」から脱却できるか

 岩田剛典の民放連ドラ初主演作『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)も15日にスタート。第1話の視聴率は10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まずまずの好発進です。

 さてこのドラマ、がっつり岩田ファンに向けてターゲットを絞ってきたように見えます。とにかく、岩田くんの“愛らしさアピール”がすごい。終始アヒル口でニコニコニコニコしながら「ワクワク♪」とか言ってダブルピースをクニクニさせる様など、とても『HiGH&LOW』シリーズで生コン飲んでた人とは思えません。「琥珀さんヨォオ……!」なんて叫び出しそうな気配が、まるでありません(といっても、こっちが本来のパブリックイメージでしょうけど)。

 人物の配置も、基本的には「岩田くん vs その他大勢」という設計になっているので、『崖っぷちホテル!』のコンセプトは、岩田くんによる岩田くんのためのアイドルドラマと見て間違いなさそうです。何しろ、その狙いがミエミエにもかかわらず、岩田くんがずっと愛らしいんだもの。

 そういうわけですので、この岩田くんの愛らしさが受け入れられれば最後まで楽しく完走できそうですし、逆に「うざい」「あざとい」「そもそもイケメンではない」「幼稚」「バカ」などと感じてしまうと、早々に離脱せざるを得ない感じです。

 

■「何が始まるか」は、すごくよく理解できる

 

 物語は、岩田くん演じる青年・宇海直哉が、倒産寸前の老舗ホテルを訪れる場面から始まります。汚ったないコート姿でロビーのイスに座り込んで眠りこけていたかと思ったら、目覚めるやいなや1泊22万円もするスイートを所望するなど、なかなかに怪しい人物です。

 部屋に大量のハガキを持ちこんだり、20誌にも及ぶマイナーな雑誌を買って来いと客室係に言いつけたり、革靴(かかとが潰れている)を廊下に出して「磨いといて」と無言のメッセージを発したり、あげくの果てに「水遊びするからプールの水を入れ替えろ」と命じたり、愛らしい笑顔で無理難題を次々に突きつける宇海。シナリオは、その端々に「なんか宇海は、ホテルのことをわかってるっぽい」というニュアンスを挟みつつ、「基本的には怪しいヤツ」というラインを、絶妙のバランス感覚で綱渡りさせてみせます。

 そんな宇海の理不尽な要求を、一手に引き受けるのが新米支配人の桜井佐那(戸田恵梨香)です。なぜ佐那が一手に引き受けるかといえば、従業員は誰も言うことを聞いてくれないし、そもそもやる気が全然ないからです。

 つまり、このホテルが倒産寸前である所以は、支配人に威厳がなくて、従業員にやる気がないからなのです。一連の怪しい行動で、宇海はそのすべてを見抜いていました。

 ドラマ後半、ニコニコ宇海が、実は有名ホテルチェーン「バリストンホテル」の副支配人だったことが明らかになります。「少し思い入れがあるから」このホテルを訪れたという宇海は、「嫌がらせをされたような気分」「がっかりした」と言って、ホテルを去ろうとします。

 しかし、そんな宇海を呼び止めたのが佐那でした。本気でこのホテルを立て直すことを決意した佐那は、的確な指摘をしてくれた宇海に「ここで私たちと、一緒に働いてください」などと無茶なことを言い出し、宇海がそれに「いいですよ、今すぐ電話してバリストンを辞めます」などと無茶な返答をしたところで、第1話はここまで。

 このホテルの名前は「ホテル・グランデ・インヴルサ」。ポルトガル語で「大逆転」という意味だそうです。果たして宇海と佐那は「大逆転」できるのか……というお話が展開されますよ、という作品の目的地が、すごくよく理解できるスタートだったと思います。

 

■「三谷幸喜っぽさ」の中に立ち上がった個性

 

 脚本は土田英生さん。今作は、演劇畑出身らしい「ホテル固定」の舞台設定で、原作なしの書き下ろしオリジナルになります。

 とはいえ、一見した印象は「書き下ろしのオリジナル」っぽくないなーという感じ。どこかで見た設定、どこかで見たお話、どこかで……というか、言ってしまえば、風景は映画『THE 有頂天ホテル』(2006)を、筋立てはドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)を想起させます。また三谷幸喜です。この国でシチュエーションコメディを作ろうと思ったら、もう三谷幸喜の呪縛からは逃れられないのかもしれません。

 土田さんだって、この『崖っぷちホテル!』を指して「三谷幸喜っぽい」という感想が出ることは想定内でしょう。むしろ、それをまったく恐れてないと感じました。「三谷幸喜っぽい」だけでは終わらない個性とクオリティを出せるという確信のもとに書いているはずですし、とりあえず第1話が終わったところでも、岩田くん演じる宇海の愛らしさと弾ける笑顔は、このドラマの個性・魅力として立ち上がっていたように感じます。

■手堅い伏線と「再建すべき」という思いに共感させる仕掛け

 

 今後、宇海がさまざまな手を使って、やる気のない従業員たちの意識改革をしていくのだろうな、という予想が立ちます。

 この従業員たちは、その多くが「今は腐ってるけど、やればできる子」として紹介されました。

 シェフの江口(中村倫也)は確かな経験と技術を持っているものの、客の質が落ちてやる気がなくなり、競艇に没頭するばかり。

 副支配人の時貞(渡辺いっけい)とバーマスターの梢(りょう)は、かつてのホテルの価値を理解しているけれど、先々代支配人(佐那の父)に心酔していたこともあって、佐那を認めることができない。

 パティシエのハル(浜辺美波)は、やる気もあるしデザート作りの天才だけど、空気が読めない。

 特にエピソードは紹介されませんでしたが、掃除をさぼってトイレットペーパーを持ち帰ってばかりの清掃員・尚美(西尾まり)も、公式サイトでは「元腕利き清掃員」と紹介されています。

 つまり、宇海と佐那が彼らの意識を改革して、彼らが本来の働きを取り戻しさえすれば、ホテルは必ず再建できると、第1話にして約束されているわけです。1人ひとり、彼らにきっかけを与えて意識改革のエピソードを構築しつつ、宮川大輔、くっきー、チャド・マレーンの吉本芸人3人衆が面白おかしく立ち回る……なんだかこの『崖っぷちホテル!』には、失敗しなそうな雰囲気が漂っています。

 こうして、「どうすればホテルが再建できるか」については手堅く伏線が張られました。もうひとつ「そもそも、なぜこのホテルを再建すべきか」にも、ドラマは説得力を与えています。

 もとより主人公が「思い入れ」があって、ヒロインが「やりたい」と言っているだけでも物語は成立するわけですが、ドラマはこの「ホテル・グランデ・インヴルサ」が再建されるべきホテルであることについても、語ることを怠りません。「別に潰せばいいじゃん」と、視聴者に思わせません。

 宇海が佐那にプールの水の入れ替えを命じたのは、水遊びをするためではありませんでした。この季節、この時間になると、ちょうど夕陽が水面に反射して、ホテル全体の天井を、ゆらめく黄金に染めるのでした。それはまるで、オーロラのような、5年に一度訪れる常連客に言わせれば「夢の国」のような光景。この映像で「これはすごいホテルだな」と視聴者が感じれば、おのずと宇海と佐那の行動に共感できるという仕掛けです。最初に意識改革された「やればできる子」は、従業員ではなくホテルそのものだったというわけです。

 というわけで、実に用意周到にスタートしたように思われる『崖っぷちホテル!』。映画『約三十の嘘』(04)でも見られましたが、限られたスペースと人数の中でキャラクターの心を開かせ、その性根の良さを丁寧に引き出していくのは、土田さんのもっとも得意とする作劇だと思われます。このドラマは面白くなりそうというか、たぶんなると思う、なればいいかな、まあコケる覚悟はしておきますけど。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

日テレの“鬼門”新日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』に盗作疑惑が浮上!?「“あのドラマ”に似てる!」

 4月スタートのドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系/日曜22時30分~)に、三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEの岩田剛典が主演、女優の戸田恵梨香が出演することが発表された。

 同ドラマは、かつては高級ホテルであったが、現在は負債総額3億円を抱え、倒産寸前のド底辺ホテルが舞台。そのホテルを立て直そうとする戸田演じる総支配人の前に、岩田演じる謎の男が現れ、やる気のないホテルのスタッフたちに、次から次へと破天荒な注文をつけていく……といったストーリー。岩田と戸田の共演に、「今から放送が楽しみ」という声がある中、「“あのドラマ”とストーリー似てない!?」といった声も上がっている。

 “あのドラマ”とは、1995年に三谷幸喜が脚本を担当し、フジテレビ系で放送された『王様のレストラン』。かつて、高級フレンチレストランとして名を馳せた「ベル・エキップ」を立て直そうと、若いパトロンが伝説のギャルソンを迎え入れ、レストランの従業員たちとぶつかり合いながらも改革していく……というストーリーだった。両ドラマの概要だけを比べてみると、舞台をレストランからホテルに変更しただけで、確かにストーリーは酷似している。そのため、「パクリではないか?」とネット上で話題となったようだ。

 実は、日本テレビのドラマに“パクリ疑惑”が浮上したのは、今回が初めてではない。

「有名どころでは、1997年にKinKi Kids主演のドラマ『ぼくらの勇気 未満都市』が連ドラ化された際、ストーリーが、『週刊ヤングサンデー』(小学館)で連載された漫画『チャイルド★プラネット』の内容と酷似していると指摘されたことがありました。結局、連ドラ放送中盤から、原作・原案者の竹熊健太郎氏と、作画を担当した永福一成氏の名前を『協力』という形でクレジットし、事なきを得たようですが、昨年、放送20周年の記念特番として放送されましたが、その際竹熊氏は自身のTwitterで、連ドラ放送時の日本テレビ側の対応や特番放送の連絡が一切なかったと暴露し不満を漏らしていました」(芸能ライター)

 また、こんな声も。

「『崖っぷちホテル!』が放送されるドラマ枠は、2017年7月期の『愛してたって、秘密はある。』が全話平均視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、同年10月期の『今からあなたを脅迫します』も全話平均視聴率6.1%と、昨今、視聴率が絶望的に悪いのが実情。さらに、製作会社は日本テレビ系列で、失敗しても潰れないこともあり、“緊張感がない”と報道されている。日本テレビ側も、あの枠の“再建”は諦めているようです」(テレビ局関係者)

 今回の“パクリ疑惑”も、こうしたスタッフのやる気のなさの現れなのかもしれない。

 戸田は日本テレビの連ドラへ12年ぶりの出演。岩田においては、同ドラマが民放連続ドラマ初主演とあって、役者人生においても“重要なドラマ”となるであろう作品。日本テレビにも気合を入れてほしいところだが……。

「岩田剛典は重宝されてる」「客寄せパンダ」三代目JSB、テレビ業界人が明かす評判

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『AZZURRO』(幻冬舎)

 5大ドームツアー「METROPOLIZ」開催まであとわずかと迫った三代目J Soul Brothers。11月11日の名古屋ドームを皮切りに、12月25日札幌ドームでのファイナルまで約1カ月で13公演を駆け抜ける予定だ。

「メンバーのNAOTOは先日、自身のインスタグラムでリハーサルの様子について触れ、『過去最大にして最高のステージになりそうです!』とつづっています。昨年開催され、観客動員数 120万人という記録を打ち立てた初の単独ドームライブツアー『BLUE PLANET』を超える舞台になるのは間違いないでしょう」(芸能ライター)

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「メンバーのNAOTOは先日、自身のインスタグラムでリハーサルの様子について触れ、『過去最大にして最高のステージになりそうです!』とつづっています。昨年開催され、観客動員数 120万人という記録を打ち立てた初の単独ドームライブツアー『BLUE PLANET』を超える舞台になるのは間違いないでしょう」(芸能ライター)