『二重生活』(角川書店)
■今回の官能小説
『二重生活』(小池真理子、角川書店)
女は「他人のうわさ好き」といわれる生き物だ。それは、自己評価を重んじる男性とは違い、女は他人と自分を比較することで、自分の立ち位置を把握しようとするからだ、という一説がある。そして女は、他人のうわさ話を耳にしたり、行動を盗み見たりすることで、自分の中に潜む秘めた感情をも呼び覚ましてしまう。
今回ご紹介する『二重生活』(角川書店)は、王道の“官能小説”とは違うが、女の秘めた部分を引っ掻くような描写が多い物語だ。この物語の舞台は、関東郊外にあるニュータウン。家族連れで賑わう大型のショッピングモールがある街に、主人公の白石珠は恋人である卓也と共に住んでいる。
