腐りゆくケーキが表す死――性描写のない『寡黙な死骸 みだらな弔い』が官能をくすぐるワケ

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『寡黙な死骸 みだらな弔い』(中央公論新社)

 小説に“官能”を求めると、どうしてもセックス描写が最初に思い浮かぶけれど、実はセックスや裸以外にもそれを感じることが多々ある。

 例えば、カラスが熟しきって今にも枝から落ちそうになった柿をつつく様子。まるで女性器を指で突かれて、エクスタシーに達したときのような感覚を得てしまう。そんな些細な日常の中に、官能を感じる読者も少なくないのではないだろうか。