『家売るオンナの逆襲』ネカフェ難民はクズばかり? 北川景子、孤独死や住居の多様性に鋭いメスを切り込む

 北川景子・主演ドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第2話が放送され、平均視聴率12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。前回から0.2ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 テーコー不動産の営業社員・庭野聖司(工藤阿須加)はこのところ、神子巴(泉ピン子)という独身の高齢客に振り回されっぱなし。契約が決まりかけてもドタキャンの繰り返しなのです。

 そんなある日、残業で終電を逃してしまい、インターネットカフェ「シーラカンス」に泊まることにした庭野は、狭苦しい個室に驚き、そこで暮らす“ネカフェ難民”のことを「哀れ」と感じます。

 ところが後日、再び終電を逃してしまい、「シーラカンス」に泊まることに。そこへ、神子がネカフェ難民であることを事前に察知していた三軒家万智(北川)が現れ、強引にカップルシートを選択させられてしまいます。そんな状況の中で廊下へ出た庭野は、シャワー室から出てきた神子とばったり遭遇。慌てて自分の個室へ逃げ込む神子に対して庭野はドア越しに、こんなところで寝泊まりするのは「哀れ」だと話し、預金があるのになぜ? と質問します。

 この話に聞き耳を立てていたフリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が顔を覗かせ、庭野を自室へ招いて「持ち家がなければ哀れ」という考えを否定。多様性が求められる現代にあっては、ネカフェは“簡易な我が家”だと説くのです。

 この話に感動し、姿を現した神子は、以前住んでいたアパートが取り壊され、孤独死を嫌がられて次の住処が見つからなかったことや、家を購入しても結局は孤独死の可能性があることに気づき、さまざまな人が住む「シーラカンス」に定着するようになったことを告白します。

 神子の話に胸を打たれた庭野は、介護付きの老人ホームを紹介することに。しかし、まるで赤ん坊のような扱いをする介護士や、年寄りばかりが暮らすことに神子は不満を漏らし、「シーラカンス」へと戻ってしまうのです。

 ところが、「シーラカンス」はあと3日で閉店することになり、神子はショックを受けます。他のネカフェではなく、“ここ”がいいのだと店員に向かって駄々をこねるのですが、そこへ登場したのが、店を買い取ったという新オーナー・万智だったのです。

 万智は、ネカフェは社会の吹き溜まりで、そこで暮らす人々はクズばかり、今日を踏ん張ることができない甘ったればかりだと暴言を吐きまくり、さらに独身だろうが家族に囲まれていようが、人はみな1人で死んでいくものだと、孤独死を恐れる神子をなじります。

 しかし、神子はこれに対して、容姿や仕事に恵まれている勝ち組の万智にはわからない悩みがあるのだと怒り、世の中には吹き溜まりが必要なのだと反論します。

 それならば「シーラカンス」のオーナーになれと、まんまと万智の術中にはまった神子はその店を買い取ることに。実は以前から、家を持たない人々が集まる“宝の山”としてネカフェ巡りをしていたという万智は、家を購入しそうな客を神子から紹介してもらうというパイプまでゲットして一件落着となったのでした。

 このところよく耳にするようになった“ダイバーシティー”という言葉。ダイバーが集まるリゾート地ではなく「多様性」という意味なのですが、今回は不動産業界におけるニーズの変化がテーマとなりました。

 終身雇用が当たり前だった前世代の日本においては、「哀れ」とまではいかなくとも、庭野が言うように一戸を構えるのが一般的だったことでしょう。しかし、非正規社員の急増やインターネットの普及による働き方の変化などを踏まえれば、たしかに留守堂が説いたように、住居に関してもさまざまな価値観が求められる時代になってきたのかもしれません。

 とはいえ留守堂もまた、ネカフェを“宝の山”とみなして営業するために利用していただけなんですけどね。万智と留守堂を見ていますと、不動産業界に導入されたAIロボットなのではないかと疑ってしまいます。

 とりあえずゴリ押しで家を売ることをプログラミングされたプロトタイプが万智だとするならば、留守堂は顧客の気持ちに寄り添う能力を付与された改良版。万智が留守堂に対抗心を燃やす様子は、旧式が新式の登場に焦りを抱いているかのようでもあります。

 その万智は今回、ネカフェ難民をクズ呼ばわりしましたが、実は高校生の時に父親の借金のせいでホームレスをしていた過去があるんですね。そんな背景があるからこそ、そこで暮らす人々の心を鋭いメスで切り刻むような暴言を吐いてしまったのでしょう。

 ネカフェ難民に対しては辛辣な態度をとった万智ですが、性の多様性については進歩的な様子。留守堂への淡い想いに戸惑う足立聡(千葉雄大)に対して、異性だろうが同性だろうが愛し合うメカニズムは同じ、というニュアンスの言葉をかけていました。次回はLGBTがテーマとのことで、繊細さが求められるこの題材をどのような切り口で描くのか、万智の歯に衣着せぬ発言も含めて楽しみです。
(文=大羽鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』松田翔太と千葉雄大が“おっさんずラブ”状態? 時代錯誤のパワハラ演出も

 北川景子が不動産屋の天才的な営業ウーマン役で主演するドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第1話が放送され、平均視聴率12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。好スタートを切りました。

 2016年に放送された前シーズンで結婚し、田舎で「サンチー不動産」を営んでいた三軒家万智(北川)とその夫・屋代大(仲村トオル)は、古巣・テーコー不動産からの要請を受け、新宿営業所へ戻ってくることに。東京での久しぶりの仕事に意気込む万智は、熟年離婚の危機にある夫婦に対し、寝室に間仕切りのある家を紹介。経済的なことを考慮すれば結婚していた方が得策だと妻・えり子(岡江久美子)を諭し、売却に成功します。

 万智が復帰早々に成果を出す一方、同じチーフとして働く足立聡(千葉雄大)は、炎上系YouTuber・にくまる(加藤諒)から“プライバシーを守れる家”探しの依頼をされたものの失敗。最新セキュリティーを備えた高級マンションに案内した際、住人にSNS上で目撃情報を拡散されてしまったのです。

 にくまるの担当は万智が引き継ぐことに。落ち込む足立は、趣味のフェンシングクラブで知り合った謎の男・留守堂謙治(松田翔太)に相談するのですが、実は留守堂はフリーランスの不動産屋だったのです。

 後日、万智がにくまるを案内したのは、国道に面したボロ屋。見るからに価値のない物件に、にくまるは激昂してしまうのですが、そこへ現れた留守堂が田舎の一軒家を紹介します。動画のアップや炎上に疲れ、静かに暮らすことを望んでいたにくまるは、幼少期を過ごした祖母の家に似たその家を気に入り、購入を即決するのでした。

 顧客を横取りされてしまった万智は、テーコー不動産の元アルバイト事務員の白洲美加(イモトアヤコ)を半ば脅すようにして緊急招集し、ボロ屋の塀を全壊。家の窓を開け放した状態で美加にゲテモノ料理を食べさせるという、公開収録式のYouTubeチャンネルを開設し、ネット上で話題をかっさらいます。

 実はこれは、にくまるを誘いだすための行動で、その狙い通り、静かな田舎生活に耐えきれなくなったにくまるはボロ屋へ駆けつけ、万智のセールストークとやじ馬たちに乗せられるカタチで購入を即決。万智が1億円の高値をふっかけることに成功したところで今回は終了となりました。

 前シーズンの全話平均視聴率11.6%、その翌年放送のSP版は13.0%と、安定した数字を稼いできた『家売るオンナ』シリーズ。その人気の秘訣は、不動産を売るためなら手段を選ばず、部下を顎でこき使う万智の強烈なキャラにあるのですが、今シーズンもそれは健在でした。

 テーコー不動産の社員たちは、営業成績が悪いくせに屁理屈だけはいっちょ前にこねる新人社員2人をもてあまし気味だったのですが、万智は復帰して早々、前作でも話題になった「GO!」の決め台詞を発して下働きを命令。その迫力にビビった後輩たちがあっさり命令を聞き入れ従う構図は、時代錯誤なパワハラそのものなのですが、万智の無表情なロボット・キャラのためにどこかコミカルに思えてしまうのです。日頃、部下の扱いに頭を悩ませている視聴者にとっては痛快なシーンだったかもしれませんね。

 そんな万智のライバルとして今期から登場した留守堂もまたキャラが立っていました。仕事はできるものの日常生活は隙だらけという、一歩間違えれば変人になりかねない天才タイプ。時に計算、時に天然な言動で人を魅了し、奥の見えないミステリアスなキャラクターを松田が好演しています。

 本人は恐らくそのつもりはないのでしょうが、まるで口説き文句のような言葉を発してしまうため、足立がポッとなってしまうシーンも。不動産屋という設定が共通することから、田中圭・主演ドラマ『おっさんずラブ』のエッセンスを取り入れたのかもしれませんね。同ドラマは、少女漫画のようなピュアな世界観とコミカルな演出で同性愛を描き女性からの支持を集めましたが、留守堂&足立のロマンスが前シーズンとは違った層の視聴者を獲得することになるかもしれません。

 前期との違いといえば、万智と屋代が夫婦になった点も挙げられますが、その関係性は仕事もプライベートもほとんど変わらず。東京へ戻ってからは万智が水を得た魚のように働き、家に帰ってこないことに対して屋代が、馴染みのバーで寂しい気持ちを吐露するシーンがありました。

 夫婦の営みの際にも「ベッドへGO!」と発してしまう艶っ気のない万智は果たして、仕事と家庭を両立させることができるのでしょうか。“家売るオトコ”留守堂との対決も含めて、この先の展開が楽しみです。
(文=大羽鴨乃)