
『女優激場』/ワニブックス
――タレント本。それは教祖というべきタレントと信者(=ファン)をつなぐ“経典”。その中にはどんな教えが書かれ、ファンは何に心酔していくのか。そこから、現代の縮図が見えてくる……。
「男前な女」「豪快な女」。近年、本来なら男性に対して使う言葉で女性を褒めることが定着しつつある。「山賊のように酒を飲み、イノシシのように恋に突き進み、時にクレイジーにハッチャケている」自らをこう表する女優・鈴木砂羽も「男前」ポジションの1人と言えよう。
日本初のヘアヌードで映画デビュー。以降、映画や舞台で演技派として活躍、近年はバラエティにも進出している。端正な顔から想像できない「豪快」「サバサバ」エピソードで人気を博している鈴木砂羽の初エッセイ『女優激場』(ワニブックス)は、「男前な女」の秘密が濃縮された1冊である。
「嘘がつけない」「媚びることができない」と鈴木は自己分析する。水商売をすれば、客に「アンタみたいなオヤジに媚びへつらうなんて大嫌い」と暴言を浴びせ、オーディションでは着飾らずに、着なれたTシャツとジーンズで臨む。審査員である巨匠・アラーキーこと荒木経惟に「君はさっきから人生に不満があるような顔をしているけれど、いつもそんなふてぶてしい顔をしているのか」と聞かれ、「不満なんてありませんよ。ふてぶてしい? そんなこと今まで誰にも一度も言われたことないですけどね」と答える。