羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「絶対別れないです」いしだ壱成
『バイキング』(フジテレビ系、11月20日)
モラハラ男は、腕力や経済力の優位性で相手を支配する、いわば女性を下に見る人だと漠然と思っていた。もちろん、モラハラ男にもいろいろな“種類”が存在するので、一言で言い表せないが、高橋ジョージを押しのけて、“ミスターモラハラ”の座についた、いしだ壱成を見ていて思ったのは、いしだはモラハラというより、精神的に不安定という意味でのメンヘラで、不安感が強いのではないかということだ。
8月中旬に二度目の離婚をした、いしだ。ルーティーンを課したことで、愛想を尽かした妻が家を出て行ったと明かし、確実に女性からの好感度は下がったと思われる。が、そのいしだに新恋人の出現である。
相手は舞台で共演した24歳年下、19歳の女優・飯村貴子である。11月20日放送の『バイキング』(フジテレビ系)に出演したいしだの説明によると、5月に知り合い、ひとめぼれ。前妻との離婚が成立した8月に交際をスタートさせたという。MCの坂上忍をはじめとした出演者は、前妻と結婚している時から交際していた、つまり不倫ではないかと指摘するが、いしだは否定する。
まぁ、結婚時から付き合っていましたと正直に話すバカはいないので、こう答えるしかないものの、いしだタイプは、婚姻期間と交際がかぶることに抵抗がないだろう。かつて『良かれと思って』(同)に出演したいしだは、前妻が家を出て行った時に、「謝罪したけれど、手遅れでした」と発言していた。つまり、いしだは自分が謝れば済むと思っていたようで、相手が自分から逃げていくとはまったく思っていなかったことがわかる。世間一般の基準でいえば、前妻がモラハラの被害者であるが、いしだの視点で考えると、「急に奥さんに逃げられた」わけだ。自分はハラスメントをしている意識がないだけに、妻が急に去っていった意味がわからず、被害者意識すら持っているのではないか。だとすると、たとえ婚姻が継続中でも、次の女性を探すのは、いしだの中では“当然の権利”と認識されているのかもしれない。
『バイキング』で、いしだは新恋人と「絶対別れない」と発言し、その根拠を「(彼女と)魂がつながっている」からと説明した。昭和の少女漫画のような発言で、このテの言葉に若い女性は弱いだろう。しかし、視点を変えると「魂がつながっていると思えるほど、特別な女性に出会えたから、別れない」という発言は、前妻を含めた過去の女性は「特別でないから、別れた」ことになり、つまり「別れた原因は、女性側にある」とうっすら思っているということではないだろうか。己を顧みる心はゼロなのである。
今のいしだは、彼女に前妻のようなルーティーンを課していないという。彼女がお風呂に入っていると、バスタオルを広げて待っているほど尽くしているそうだ。前妻とのあまりの違いを疑問に思う人もいるだろうが、これこそがモラハラの始まりといえるのではないだろうか。自分が愛情を前払いし、払った分と同等、もしくはそれ以上を、彼女からルーティーンとして回収するのである。いしだは彼女に頼んで、スマホに「いっくん、愛してる」と書いてもらったそうだが、これは一種の借用書になりうる。いしだの思い通りにならないことが起きた時、借用書を突きつけて、「愛していたら、オレの言うことを聞けるはず」と話のすり替えができるからである。
愛情を取り立てるための囲い込みは、すでに始まっている。いしだと新恋人は郊外のワンルームのアパートで同棲しているそうだが、交通の便が悪く、狭い場所に、わざわざ一緒に住む意味はあるのだろうか。一緒に住めば2人分の家事が発生するものの、彼女は“自らの意志” で料理などを始めたという。『良かれと思って』で、いしだは前妻に「(言葉ではなく)目で教えた」、つまり、やるように追い込んでいったと語っており、また同じパターンが繰り返されているのである。
11月17日の『エゴサーチTV』(Abema TV)に出演したいしだは再婚願望があることと、「ルーティーンはやってほしい」と発言していた。ルーティーンがもとで離婚したのに、いまだに凝りていないことに驚くが、おそらくそれは、いしだにとって特別な意味を持っているのではないか。傍からみれば、いしだのルーティーンは面倒くさい“家事”である。しかし、いしだにとって、「こんな面倒くさいことをやってくれるのは、愛されているから」という確認のために必要なのではないか(ゆえに家政婦にやってもらっても、意味がない)。人を毎日試さずにいられないのは、いしだが絶えることなく「自分は捨てられるかもしれない」と不安を抱えているからのように思えて仕方がないのである。
ブラックマヨネーズの吉田敬は、いしだに「40代に希望と与えた」としながらも「2年後にボロボロになってる予感しかしない」と述べたが、私もそう思う。願うのは、ただ1つ。いしだの新恋人である飯村が、メンタルを壊すことなく、このチャンスを生かし、芸能人として前に進むことである。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
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