原田龍二、ファンとの不倫スキャンダルに見る「有名人の妻」という窮屈すぎる立場

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「『原田、アウト』と言ってくださいました」原田龍二
(記者会見、5月31日)

 食傷気味な感があるが、不倫ネタというのは、なくなりそうでなくならない。

 6月2日放送『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、ダウンタウン・松本人志が「不倫ネタを扱うのはやめよう」とスタッフに提案したことを明かし、それでも放送する理由について「ないと番組が締まらない」と発言していた。確かに不倫ネタが、取り上げやすいことは確かだろう。人命が失われたわけでもなく、今の日本には姦通罪がないので警察のお世話になるという話でもないわけだから、面白おかしく話せる格好のネタとなる。

 最近で言えば、俳優・原田龍二の不倫を「週刊文春」(文藝春秋)がスクープした。原田はSNSで知り合ったファンの女性を車でピックアップして郊外の公園に移動し、車中で行為に及んだという。その時間わずか10分。性欲の処理係的な扱いに女性が憤慨、女性が「文春」にリークする形で取材が始まったそうだ。

 原田は釈明記者会見を開き全面的に謝罪したが、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)で「変態仮面」として出演した“実績”があるからだろうか、記者たちからは「性欲が強いのか?」とか「車内での性行為は好きか?」とおちょくっているとしか思えない質問もあった。謝罪という許しを請う立場だからか、言われたい放題になった気もするが、こうした「失礼な質問」が「あるコト」と組み合わさると、男性芸能人の贖罪を早めるのではないか。

 「あるコト」とは、妻のユーモアある返し、である。

 原田夫妻の場合、不倫がバレた際、妻は『ガキ使』にちなんで、「原田、アウト」と言ったそうだ。「アウト」という言葉は否定的なニュアンスを含んでいるが、絶対に許さないという激しい怒りは感じない。「何やっているんだか」という達観も含まれているように、私には感じられる。

 不倫は夫婦の問題であるので、配偶者が許せばそれで終わる。妻がユーモアのある返しで不倫という失敗を“容認”すれば、外野は何も言う権利はない。しかし、こうした妻が「できた奥さん」と褒められると、夫の不倫を許せない妻が「できてない妻」のように扱われてしまう。

 しかし同じ不倫された配偶者でも、男性の場合は違う。女優・藤吉久美子の不倫疑惑が持ち上がったとき、夫である俳優・太川陽介は不倫を否定する藤吉の言い分を聞き、「僕は信じる」と発言した。つまり、太川は「不倫はない」とする立場を取ったわけだから、許すも許さないもないのだ。

 また、元モーニング娘。・後藤真希の不倫が発覚した場合、一般人である夫は、不倫相手に慰謝料請求の裁判を起こしている。これは夫としての権利を行使しているだけだが、太川・ゴマキ夫の判断に、「ユーモア」や「許し」のニュアンスはまったく含まれていない。

 訴訟と言えば、今回リークした女性は原田のファンであることを考えると、原田が既婚者だと知っていた可能性は高い。となると、原田の妻は相手の女性を訴えることも、法律的には可能だろう。しかし、それをすると「原田を許していない」ととられかねず、「よくできた妻」の範疇から外れてしまうので、心理的には不可能ではないだろうか。

 夫の芸能人人生と生活を考えたら、妻は、本心は別として、許したようなことを言わなければ、自分と子どものクビが締まる。それに加えて、夫の芸能人としてのイメージを考えれば、ゴマキの夫のように慰謝料請求という権利を行使することもできず、一人で耐えるしかない。

 「有名人の妻」というポジションは、昔ならあこがれる女性も多かったかもしれない。しかし、スマートフォンとSNSを使って一般人が情報を拡散できるようになり、かつ情報をもみ消すのが難しい時代になると、実は発言や行動に制限がある立場と言ってもいいのではないだろうか。

 窮屈な立場であるのは、有名人の妻だけではない。ベッキーや矢口真里の例を見てもわかる通り、不倫をした女性は男性と比べてバッシングが激しく、長い低迷を余儀なくされる。

 『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)という番組をご存じだろうか。「イヤなオンナ」のネタを出演者が挙げていくバラエティーだが、男性を叩く番組がないことから推察するに、テレビにとって女性は叩いていいネタなのではないだろうか。

 だとすると、女性がしてもされても地獄の不倫報道がなくならないのは、当たり前だという気がしないでもない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

元KAT-TUN・田口淳之介、大麻に手を染めたのは「小嶺麗奈が悪い」という論調に思うこと

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「この女の人が悪い」上沼恵美子
『上沼・高田のクギヅケ』(関西テレビ、5月26日)

 元KAT-TUNの田口淳之介が5月22日、所属事務所のスタッフであり、内縁関係にあった元女優・小嶺麗奈と共に大麻所持で現行犯逮捕された。

 押収された大麻について、田口は「二人のもの」、小嶺は「私だけのもの」と供述しており、小嶺が田口をかばうような発言をしていると伝えられている。小嶺の「男気」を称える声もあるが、5月26日放送『上沼・上田のクギヅケ』(関西テレビ系)で、司会の上沼恵美子は「この女の人が悪い」とバッサリ。その理由について、「マネージャーとしても、恋人してもアウト」「どんな力があっても、ジャニーズ事務所辞めたらあかんわ」「小嶺は持ってない星、引きずり下ろす星」と、田口のキャリアは小嶺に足を引っ張られたと取れるような発言をした。推測だが、上沼は“いい彼女”なら、事務所から独立させるようなことをさせず、間違っても薬物などしない、させないはずだと考えているのかもしれない。

 人気芸能人、カップル、薬物と聞いて思い出されるのが、2009年の酒井法子の覚せい剤取締法違反による逮捕である。人気アイドルと覚せい剤という想像もつかない組み合わせもさることながら、酒井の逃走劇も話題を集めた。

 事件を簡単に振り返る。酒井の夫(当時)が職務質問を受け、下着の内側に覚せい剤を隠していたことで現行犯逮捕。職務質問中に夫が酒井を呼び出したため、酒井もその場に居合わせたが、逮捕の際は泣き崩れていたという。警察から任意同行と尿検査を求められた酒井は、「絶対に嫌です」と拒否。「子どもがいるから」と酒井はその場を去ったが、それ以降、消息を絶ってしまう。 

 夫の不祥事を気に病んで、自殺もしくは親子心中でも図るのではないか心配になったのだろう、所属事務所(当時)が酒井親子の捜索願を出すが、子どもは知人宅で保護されていることが判明。ということは、酒井は一人で行動していることになる。このあたりから、ネットでは自称・薬物経験者による「クスリを体内から抜くために、逃げているのでは?」という説を見かけるようになった。

 警察が自宅で、酒井の唾液が付着した覚せい剤吸引機を発見し、逮捕状が請求された。その翌日に酒井が知人を伴って、自首してきた。こうして逮捕された酒井だが、「昨年夏、夫に勧められて数回吸った」と供述。一方の夫は「(酒井は)4~5年前から吸っていた、数回どころじゃない」「やりすぎるなよと注意していた」と酒井の依存が深刻であることをほのめかす供述をしていた。

 『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)で、この供述の食い違いについて取り上げた際、出演者であるビートたけしが「俺が古いのかもしれないけど、俺なら自分が泥をかぶる。元はと言えば、自分のせいなんだから」という趣旨のコメントしていたことが印象的だった。それ以上掘り下げて語らなかったが、恐らくたけしは、芸能人であり、また妻でもある酒井を「守る」ために、自分なら酒井が覚せい剤を使用したことは胸のうちに留めておくという意味だろう。

 若い世代にはぴんと来ないだろうが、昭和世代には「男性が女性を守る」という考え方が根付いていた。雅子さまが婚約記者会見で、天皇陛下から「雅子さんのことは、僕が一生、全力でお守りします」というお言葉があり、それがとてもうれしかったとお話になったのも、そういう価値観がベースにあったからである。

 たけしの「自分のせい」という言葉は、酒井に覚せい剤を勧めたことだけでなく、夫が普段から「酒井を守っていなかったこと」も含まれるのではないか。酒井の夫は仕事もせず、家のこともやらず、愛人まで作っていたと言われている。

 今でこそ、こういうダメ夫はよく話題に上り、バラエティー番組でも取り上げられるが、私の体感としていうならば、10年前の当時「ダメな夫」はまったく笑えない話だった。「ダメな夫と結婚してしまったことは、恥ずべきこと」であり、「夫がダメなのは、妻の操縦が悪いから」という考えが強かったからである。しかし、精神的に追い詰められた時に、人がマイナスのカードをあえて引くことは珍しくない。たけしはそういった世間の風潮を踏まえた上で、覚せい剤を吸引したのは酒井だが、「そうしてもおかしくない環境を作ってしまったのは、オトコのせい」「オンナが悪いわけではない」と考え、さらに夫に酒井を思う気持ちがあれば、ぺらぺらと彼女の立場を悪くするような発言はできないと思ったのではないだろうか。

 「この女が悪い」と、女が男を引きずり落としたと考える上沼。ずいぶん前の出来事なので、今はまったく違う意見の可能性も大だが、「自分(オトコ)のせいなんだから、自分(オトコ)が泥をかぶる」と発言したたけし。二人とも、「相手を愛しているのなら、相手のためになることをする」という信条を持っているといえるだろう。

 しかし、現実はそう甘くないようだ。

 知り合いの弁護士によると、カップルの片方が違法薬物に手を染めた場合、もう片方が「私の力で辞めさせる」と張り切ることはよくあるそうだ。しかし、薬物事件の再犯率の高さからわかるように、薬物をやめるということは簡単なことではない。やめさせるつもりで接していた方も、いつのまにか薬物に取り込まれてしまうことも珍しくないという。

 上沼やたけしクラスの社会的地位と収入があれば別だが、「朱に交われば赤くなる」という諺の通り、人は悪い方に流れやすい。もしかしたら、相手のために何かできると思うこと自体、傲慢なのかもしれない。それはさておき、相手がオトコだろうがオンナだろうがヤバいことをしていたら、関わり合いにならずに全力で逃げること。これからは、自分を「守る」ことがパートナーシップの基本になるのではないだろうか。そんなことを思わせた田口と小嶺の事件だった。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

小泉今日子、「かっこいい」から「かわいそう」な女に……豊原功補との不協和音報道に思うこと

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「いい加減にしてくれ!」豊原功補
「女性自身」(光文社、5月21日発売号)

 小泉今日子は「かっこいい」芸能人の代名詞的存在のように思う。アイドルとして芸能界入りしてから、ずっと小泉今日子は過剰なまでに崇められ、批判されることのないポジションにいたのではないだろうか。

 アイドルでありながらヘアスタイルを刈り上げにしたときも、俳優・永瀬正敏との結婚の際、当時の芸能人にありがちな披露宴をテレビ局に中継させることをせず“地味婚”にしたときも、小泉のやることなすこと全ては、スタイリッシュで「かっこいい」とみなされてきた。

 「かっこいい」の最高潮は、当時40歳の小泉が、20歳年下のKAT-TUN・亀梨和也と交際していたことではなかったか。年下の男性と堂々と交際できるオトナの女性はかっこいいと、一般人女性は嘆息した。

 そんな風向きを変えてしまったのが、小泉本人による俳優・豊原功補との不倫宣言だろう。芸能人の不倫が週刊誌によって暴かれることはあっても、自ら「私、不倫しています」と宣言する人はいない。「常識にとらわれない小泉らしい」という好意的な意見もネットで見たが、「不倫のような褒められないことを、自分で明らかにするのは、どういう神経をしているのだ」といった意見の方が、はるかに多かったように感じた。

 なぜ小泉が「言わなくてもいいこと」を明かしたかというと、小泉がデビューしてからずっと所属していた事務所から独立したことと関係しているようだ。小泉が不倫宣言をする前から、「女性セブン」(小学館)は二人の交際をキャッチし、記事にもしていたが、「バツイチ同士のオトナの恋愛」といった具合に好意的に書いていた。

 しかし、実は豊原はバツイチではなく、妻子がいた。小泉が業界に影響力のある大手事務所に所属していることから、マスコミが忖度をし、豊原を勝手に独身にしてしまったということらしい。小泉が大手の事務所から独立すれば、マスコミがこれまでのように手心を加えてくれる保証はない。なので、マスコミにすっぱ抜かれて、あることないこと書かれるよりは、自分の状況をはっきり言ってしまった方がいいと判断したのではないだろうか。

 小泉の不倫宣言を受けて、豊原も記者会見し、「どんな石でも投げつけたい方は、僕に向けて投げてください」とかっこよく見栄を切ったものの、実は豊原は妻と離婚に向けての具体的な話をしていないことも判明。一世を風靡した国民的アイドル・小泉を恋人にしたいが、妻子も捨てたくないという、ありがちな“男のズルさ”が滲んでいるようで、本当に離婚する気はないと私は感じた。

 独立後、自分の事務所を立ち上げた小泉は、2019年まで女優業は休業し、舞台のプロデュースなど裏方に回ることを宣言した。小泉プロデュースの舞台に、豊原は演出家として携わるなど、公私ともに深い関係で、交際は順調なようだ。

 しかし、5月21日発売号の「女性自身」(光文社)によると、状況は少し変わってきたようだ。小泉のマンションで同棲していた二人だが、豊原は、小泉が仕事や私生活に口を出すことに嫌気が差し、「いい加減にしてくれ!」とキレ、徒歩10分の距離に“仕事部屋”を借りたそうだ。

 これは、二人の仲に微妙な距離感が生まれてきたとも読めるわけで、小泉のイメージを“下げた記事”だと思う人もいるだろうが、私にはむしろ小泉を“応援する記事”に思えた。

 日本には姦通罪はないので、不倫や略奪婚をしたからといって、罪人扱いされる謂れはない。が、道義的には胸を張れるものではないだろう。しかし、芸能界には「売れたら、無名時代を支えてくれた妻を捨て、芸能人と結婚する」といった具合に、不倫略奪婚も掃いて捨てるほどある。彼らがみんな非難されるかといえば、そうとも限らない。

 バッシングされない略奪婚に条件があるとしたら、

1.略奪の過程(つまり不倫)がバレていない
2.(不倫がバレても)「そこまでするか!」というほどの犠牲(金銭や仕事)を払う

の2つではないだろうか。

 ぼっこぼこに叩かれたベッキーとゲスの極み乙女。川谷絵音の不倫を思い出してほしい。既婚者である川谷は妻と離婚しようとしており、ベッキーと川谷が「離婚話をいかにして進めているのか」についてLINEでやりとりする様子が「週刊文春」(文藝春秋)に掲載され、二人の計画が明るみとなったのだ。略奪婚は胸を張れる行為ではないのだから、証拠は完ぺきに隠滅する必要がある。「あれ? いつのまにか離婚と再婚していた?」となるのがベストだろう。

 不倫が世間バレしても略奪婚をしたい。そう思うなら、大きな犠牲を払うことも有効だろう。沢田研二はザ・ピーナッツの伊藤エミさんと結婚している最中に、女優・田中裕子と不倫関係に陥る。結局、沢田は18億1800万円という高額の慰謝料を払うことで、離婚にこぎつけた。ウッチャンナンチャン・内村光良は既婚者だったテレビ朝日・徳永有美アナウンサー(当時)との不倫がバレたことで、テレ朝での仕事を失い、以降出禁になっていると「女性セブン」は報じている。沢田や内村のように、不倫のためにここまでの犠牲を払うなら、世間サマも「そこまでして結婚したいなら、しょうがない」という気持ちになるのではないか。

 豊原も本当に小泉と結婚する気があるのなら、離婚するまで不倫関係を隠し通すべきだったし、不倫が明るみになったのなら、全財産を妻子に渡して、身一つで小泉のところに転がりこめばよかったのだ。それをしないのは、やはり小泉と結婚する気がないのではないからと思えて仕方がない。

 仏教が思想のベースに根付いた日本には、「因果応報」を信じている人がたくさんいる。説明するまでもなく、「因果応報」とは善行を積めば善いことが起こり、悪い行いをすれば悪いことが起きるという意味である。この考え方をベースにするならば、不倫という悪行を積んだ小泉は、何らかの報いを受けないとオチがつかない。これまで、マスコミが小泉の所属事務所に遠慮していたため、小泉のネガティブニュアンスの記事が出回ることはなかったようだが、独立した小泉はもはや“聖域”ではないから、いろいろな記事が世に出ることになるだろう。しかし、それが小泉にとっては大きなチャンスではないだろうか。

 「女性自身」の記事は、「不倫をしても幸せになれない」という結末を連想させるものであり、大衆心理に沿うものだと感じる。豊原との不協和音や、手痛い別れ、裏切りを予想させる記事が出れば、それが「因果応報」の「応報」部分となり、一種のみそぎの役目を果たすのではないか。そのうち「小泉、かわいそう」という声も出てくるはずだ。その結果、世代を問わず、恋愛で痛い目に遭った女性たちが、小泉の支持に回る可能性は大いにあるのではないだろうか。

 小泉に向かって「いい加減にしてくれ!」と言ったという豊原。しかし、全ての元凶は妻子を取るか、小泉を取るかはっきりしない自分のせいだと自覚しているのだろうか。その言葉、そっくりそのまま、あなたにお返ししますと言いたい気持ちになる。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

上原多香子、母の日ツイート大炎上で露呈した「忘却力の高さ」と「夫・コウカズヤ氏の弱さ」

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「どんどん叩いてくれて結構です」コウカズヤ
(コウカズヤTwitter、5月14日)

 人間はそう簡単に変われないし、悪癖ほど繰り返すのではないだろうか。

 例えば、2017年に一般人男性との不倫を「週刊文春」(文藝春秋)に撮られた女優・斉藤由貴。彼女は既婚者となって急によろめいたわけでなく、独身時代に尾崎豊さん、川崎麻世、渡辺謙とも不倫していた“実績”がある。

 タレント・山本モナは、独身時代、既婚男性である衆議院議員・細野豪志氏との旅行&路チューを「フライデー」(講談社)と「フラッシュ」(光文社)にスクープされ、『筑紫哲也のNEWS23』(TBS系)を降板するはめになる。『サキヨミLIVE』(フジテレビ系)で復帰を果たしたが、今度は既婚のプロ野球選手(当時)・二岡智宏とラブホテルに入る姿を「女性セブン」(小学館)に撮られ、再度降板に追い込まれた。

 悪癖を繰り返す人を、「自制心が効かない」と見る人は多いだろう。が、私に言わせると、こういう人は「辛抱できない」のではなく、尋常ではなく忘却力が高い(故にバッシングされた痛みも忘れてしまう)か、「自分はバレないと思っている」という変な自信のようなものがあるのではないか。

 モナは二度の不倫騒動の後に結婚し、一時は芸能界を引退したが、個人事務所を立ち上げ、芸能界に復帰している。現在は、第3子を妊娠中だが、子どもを持つ母親となり、家庭円満の大事さを知った今なら、自分がしてきた不倫という行為が、不倫相手の妻たちをどれほど傷つけたかわかるはず。にもかかわらず、モナは知人のブログで妊婦アピールをしており、この行為が、不倫相手の妻たちに「なぜ人の家庭をめちゃくちゃにするようなことをしておいて、幸せそうにしているんだ」と受け取られかねないことに気づいていない。モナの中で二度の不倫は、もう「なかったこと」になっているのではないだろうか。

 それでは、上原多香子はどうだろう。

 前夫・TENNさんが自殺し、“悲劇の妻”だった上原だが、三回忌が過ぎた頃、TENNさんのご遺族が「女性セブン」で遺書を公開。そこにはTENNさんが子どもを望めない体質であったこと、また上原がある俳優と不倫していたことが記されていた。また同誌では、上原が俳優と「2人の子供作ろうね」などとやりとりしており、TENNさんがそのことを知っていたとも伝えられたのだ。

 悲劇の妻から、「夫を死に追いやった妻」へ――。大バッシングを受けた上原は、芸能活動休止に追い込まれる。不倫相手とは切れたようで、演出家のコウカズヤ氏と結婚、念願の出産を果たした。

 このまま静かに暮らしていればいいものの、上原は母の日に、鍵のかかったTwitterアカウントで、「母の日。母と呼ばれた日。感謝」とツイートしている。どこからか、このツイートが漏れて、再び炎上した。

 このツイートを見て、やはり上原は「忘れちゃった」と言わざるを得ない。母となった喜びを素直にツイートしたのだろうし、それが悪いと言うつもりはないが、母親だからこそ、息子に先立たれたTENNさんの母に対して、何か思うところはないのか。上原はTENNさんと前回の結婚にまつわる一切を忘却の彼方におしやってしまったのではないだろうか。また、Twitterには、「いいね!」の数を稼ぐ性質があることから考えると、あえて人を不愉快にさせる内容を投稿する人は稀だろう。となると、上原は自分という存在や、自分のツイートに不快感を示す人がいる可能性にも気づいていないようだ。

 上原はTENNさんに自殺を強要したわけでも、ほう助したわけでもないので、法的な責任は問われないだろう。しかし、そこに至る要因の一つを作ったという意味で、道義的には、行動にある程度制限がかかるのは仕方がないことではないか。しかし、それは上原のような忘却力が高すぎる人には、最も理解しがたいことのように思うのだ。

 以前「誰がなんと言おうと、僕は妻と生まれてくる子どもを守りたい」とツイートしていた現在の夫・コウ氏は、今回の炎上から妻を守るために立ち上がり、「どんどん叩いてくれて結構です」とネット上のアンチに宣戦布告した。しかし、結果的にコウ氏の「弱さ」だけが露呈されたように、私は感じた。

「鍵アカウントにして、特定の人にしか見れないはずのうちの嫁のツイートが、週刊誌のネットニュースに晒されて、また蚊の大群がウジャウジャ湧いてきました。鬱陶しい。実に鬱陶しい」と憤ったコウ氏。「匿名の方のコメントには、屁でしか返しませんので」とした上で、上原を責めるリプライに対しては、文尾に全て「プー」をつけている。恐らく、これが「屁で返す」ということだろう。なんというか、いい年して何やってんだという感想に加えて、この人の小心さと、うかつさがよく表れているように感じる。

 「自殺するような子どもになったら、親の責任」とツイートした後に、「もしも僕自身の子どもが自殺をしたら、僕は親である自分自身の責任だと思うということ」と釈明し、最終的には「今後は何を言われても、貝にならせてもらいます」と締めくくって、上原に関するツイートを全て削除した。

 一人で騒いでおき、世のお子さんに自殺された親御さんを冒涜するとも取れる発言をする。上原もだが、自身のイメージも著しく下がったのではないだろうか。

 ネットでしつこくコウ氏に絡んでいた人たちは、単に誰かを攻撃したいだけで、本当に夫妻を恨んでいるとは思わないが、用心するに越したことはないだろう。「フラッシュ」によると、不倫騒動の余波を受けて、上原は月200万円あった収入はほぼゼロ、夫妻はオートロックがない2LDKのマンションに住んでいるという。本当に妻子を守りたいなら、Twitterなんてしていないで、セキュリティーのしっかりしたマンションに住むことを目標に、仕事に励んだらどうか。

 上原は独身時代から恋多きオンナとして知られ、DA PUMPのISSAや赤西仁など、イケメンと浮名を流している。また、所属事務所も大手で力があり、SPEED時代の貢献が認められたからか、多額の給料をもらっていた。そんな恵まれてきた上原が今の生活、そしてコウ氏で満足できるのか、はなはだ疑問である。

「母親になれたことをこんなに喜んでいるのだから、それはない」と思う人もいるかもしれない。しかし、上原の超忘却力を甘く見てはならない。自分の言ったことなど、とっくに忘れてしまって「私、そんなこと言った?」と言えるのが、このテのタイプだと思うからだ。

 ある日突然、コウ氏のもとから上原と子どもが消えて、違うオトコと暮らし始めた――。そんな出来事があったとしても、私はまったく驚かない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

男尊思考の強い『バイキング』が低迷――坂上忍に「物言える」女性コメンテーター候補を考える

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「言えよ」野々村友紀子
『今夜くらべてみました』(日本テレビ系、5月8日)

 「女性セブン」(小学館)が、『バイキング』(フジテレビ系)の視聴率が低下していると報じた。同誌によると、視聴率が好調だった『バイキング』だが、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)に3月の視聴率は全敗、4月もほとんど負けているという。麻薬取締法違反で、電気グルーヴのピエール瀧が逮捕された際、相方である石野卓球のツイートを否定的に報じたり、電気グルーヴの曲を配信したサイトを売名扱いしたことがきっかけとなったのではないかと、同誌は分析している。

 ちょっとしたことで流れが変わってしまうのは、芸能界やテレビ界の怖さかもしれないが、『バイキング』の低迷は、ある種の“積み重ね”の結果ではないかと私は思っている。昼の12時という時間帯から考えて、主婦が主たる視聴者と言えるだろうが、『バイキング』は、男性コメンテーターのキャラは濃いにもかかわらず、女性コメンテーターは目立たない。それは、女性コメンテーターのコメント力に問題があるというよりも、番組側が、はっきり物を言わない女性タレントを好んで起用しているのではないかと思えるほどだ。

 昨年、財務省の事務次官(当時)が「森友問題」に関して取材を行った女性記者にセクハラを働いたことがあった。要は、事件のことをしゃべってほしければ、セクハラを受け入れろと交換条件を出されたわけだが、『バイキング』火曜レギュラー・柳原可奈子は、「それがセクハラだと(私は)気づかなかった」「もっとうまく切り抜けられなかったのか」とコメントしただけで終わってしまう。また、映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインへのセクハラ告発に端を発した「Me Too運動」を取り上げた際、水曜レギュラー・松嶋尚美は、ゴールデングローブ賞授賞式の女優のファッションを取り上げ、「おっぱいが半分見えてるような服はやめた方がいいんじゃないの?」コメント。パーティーで肌を見せることはマナー違反ではないし、「露出しているのだから、セクハラをしていい」と思っているのだとしたら、見当違いも甚だしい。

 司会者というのは、基本的に意見を言わない、もしくは中立の言動を取る立場なはずだが、『バイキング』のMC・坂上忍は、そうとは言えないのではないだろうか。自分の意に染まない意見だと表情が渋くなって食ってかかったり、もしくは自分と同じ意見が出るまで誘導することもある。メインの司会者に「こうコメントほしい」というひな形がある限り、出演者はその意に添わなくてはならないのだろう。視聴者のためでなく、坂上のための番組になってしまうと、視聴率が落ちてもむべなるかなである。

 坂上は、女優・斉藤由貴の不倫騒動の際には、「不倫の師匠」と褒め殺しながら、一方で渡辺謙に関して「謙さんほどの人でも、不倫しちゃダメなの?」と発言したことがある。そんな男尊思考の強い『バイキング』をてっとり早く盛り上げるとしたら、新しいレギュラー女性コメンテーターを入れることではないだろうか。ゴリゴリのフェミニストを入れると、坂上やほかの男性陣と完全に対立して収拾がつかなくなり、バラエティーの枠に収まらない。番組を盛り上げつつ、男性とは違う立場から物を言える人。そう考えたときに、頭に浮かぶのが、元お笑い芸人で現在は放送作家をしている野々村友紀子である。

 野々村の夫はお笑い芸人・二丁拳銃の川谷修士。川谷の相方、小堀裕之は4児の父であるが、家にカネを入れず、本業のお笑いそっちのけで、音楽活動をしている。そんな小堀に対し、野々村が「弾き語るな」と説教をする姿は、『人生が変わる1分間のイイ話』(日本テレビ系)で繰り返し放送されている。説教は「偉そう」という印象を与え、自分のイメージを落とすことにもなりかねないが、元芸人だけあって、どこかおかしさを含んでいるので、角が立たない。2児の母というポジションもお昼の番組にぴったりだろう。

 そして彼女の最大の武器は、「ガツンと物が言える」ことではないだろうか。

 芸人の世界は、性別を問わず、先輩後輩という上下関係が厳しいという。二丁拳銃・小堀が野々村の説教を受け入れるのは、番組の企画だからということもあるが、野々村が芸人として先輩であるからだろう。

 5月8日に野々村が出演した『今夜くらべてみました』(同)の司会は、フットボールアワー・後藤輝基とチュートリアル・徳井義実で、彼らも野々村の後輩である。SHELLYや指原莉乃も司会者という立場ではあるが、芸歴や年齢から、男性司会者の発言力の方が強くなりやすい。しかし、野々村は男性陣の先輩であるために、強く物が言える。

 同番組では、ギャル曽根が、ディレクターである夫とのメールのやりとりを公開。夫が浮気をしていると思い込んでいるギャル曽根は、メールに返事をしない夫に対して、何度もメールを送る。すぐに返事が来なかったことに加え、物の言い方がぶっきらぼうであることから、ますます浮気を疑ってしまうそうだ。後藤は、夫の心情について「仕事中でイライラしている」と説明し、いつもなら、このあたりでオチがつくが、野々村は「心配してる奥さんの気持ちを汲み取ってあげないといけない」とギャル曽根の味方をし、後藤に対しても「(ごめんねと)言えよ」と促すのだ。

 徳井に対しても同様で、「洗濯洗剤を買ってきて詰める」といった名もなき家事を、「徳井くんも、やらなあかん」と言う。上下関係がはっきりしているだけに、後藤も徳井も素直に「はい」というしかない。アイドルや女優にはできない芸当だし、かつ視聴者にとって男性司会者が怒られている姿は、新鮮ではないだろうか。

一方で野々村は、女性に対しても、言う時は言う。メールがしつこく感じられたのだろう、ギャル曽根の夫が、会議中の写真とともに「いい加減にしてくれ」という言葉を添えてきた。それでも疑うことをやめず、写真からあれこれ推測を繰り返すギャル曽根に対し、野々村は「なんのトリック暴いてる?」と婉曲にばかばかしさを伝えている。ここで「あんたもしつこい」と直接的な言葉を使わないところに、技を感じる。

 90年代の終わりにテレビの世界に、熟女タレントブームが起きて、デヴィ夫人や亡くなった野村沙知代さんなどが重宝されたことがあった。離婚や夫の不倫、借金に悩む女性たちに対し、激しい人生を送ってきたこの時代の熟女たちはオンナを叱った。しかし、現代は野々村のように、男女両方に対して物が言える熟女が求められているのではないだろうか。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

オードリー・春日俊彰、「公開プロポース」のリスクと婚約者に与えるメリット

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「キャバクラとクラブのVIPルーム行って」オードリー・若林正恭
『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送、4月28日)

 芸能人の仕事を、1分1秒でも長くテレビに映って、顔と名前を売る職業だと仮定した場合、プライベートをネタにすることもアリだろう。そういったネタの一つとして、芸人が番組で交際中の女性にプロポーズをすることがある。長時間テレビに映る上に、感動的なプロポーズができる。好感度も上がることを見越しての決断だろうが、実はこの公開プロポーズ、芸人側にリスクのある行為ではないだろうか。

 オードリー・春日俊彰が4月18日放送の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング3時間スペシャル』(TBS系)で、交際歴10年以上の一般人女性にプロポーズをした。春日といえば、ブレークした後も、家賃3万9,000円のアパート住まいを続け、清涼飲料水は買わず、貯金に励んでいることを公言しているが、ケチなのは芸風ではなく真実らしい。春日の日ごろの金銭感覚は、女性いわく、「特急料金を払う意味がわからないから、鈍行で行く」「ホワイトデーのお返しをくれないので、バレンタインのチョコを送るのをやめた」といった具合で、徹底した“しぶちん”を貫いている。

 愛情表現をすることも少なく、番組いわく“奥手”な春日が、ひそかに猛特訓して、ゆずの「栄光の架け橋」をピアノ演奏し、手紙を読む形でサプライズのプロポーズを決行した。交際が5年を過ぎ、女性の方から「結婚はどう考えているの?」と聞かれることが増えても、春日は回答を避けていたようだ。その煮え切らない態度を振り返って、春日は「不安にさせて、悲しくさせて、つらい思いをさせてごめんなさい」「好きな人を一生幸せにする覚悟が生まれるまでに、10年もかかってしまいました」と、その理由を説明する。結婚から逃げていたのではなく、むしろ結婚を真剣に考えるからこそ、踏み切れなかったという理由は、特に若い女性に刺さるのではないかと思っていたが、果たしてそうだった。SNSでは「感動した」「プロポーズのために、指輪を買ってピアノも練習してくれるなんて」と、春日に好感を持ったという20代女性のコメントが見られた。

 私の感想はというと、「こういうのがプロポーズの標準だと若い女性が思い込んでしまったら、大変だろうな」である。春日のプロポーズは、テレビで放送する、つまりは仕事だから、裏方も出演者も本気で感動を作り上げる。視聴者が胸を熱くするのは、春日の人柄というより、プロの技によってではないだろうか。公開プロポーズをしたタレントは、裏方の尽力もあって、「いい人なんだ」と好感度を上げることができるが、プロポーズ成功後は、一人でその好感度をキープしなければいけない(スタッフは助けてくれない)という新たなタスクを背負わなくてはならない。

 春日は、早速しくじってしまう。「フライデー」(講談社)が、感動的なプロポーズを成功させた春日の“裏切り”を報じた。プロポーズする10日前、春日は飲み会の後、アパートに金髪の一般人女性を招き入れていたそうだ。同誌によると、この女性とは半年前から何度も密会していたという。

 春日は浮気を認めた。4月28日放送の『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)では、相方の若林正恭に「頭イカれてんの?」「(ここ数年の春日は)キャバクラとクラブのVIPルーム行って、オレの一番嫌いな芸能人の染まり方(をしていた)」、また電話出演した婚約者には「気持ち悪い」となじられていた。SNSでも「失望した」「だまされた」というような内容のコメントが多数見られたのだ。公開プロポーズは、視聴者を感動させて好感度を上げた分、信頼を裏切るような行動を取ると、好感度が下がるばかりか、「嘘つき」の称号まで授かってしまうというリスクがあるのではないだろうか。

 婚約者は、10年待ってやっとプロポーズされた後、すぐに浮気が発覚して、深く傷ついただろう。しかし、私に言わせるのなら、公開プロポーズでクビがしまったのは春日だから、婚約者は安心していいのではないか。

 公開プロポーズしていなかったら、そもそも写真週刊誌の記事が出ることもなかったのかもしれないが、非公開のプロポーズの後に、浮気問題が発覚した場合、二人がケンカ別れしてしまう可能性もないとは言えないだろう。しかし、テレビでプロポーズした以上、ハッピーエンドにしないと番組に迷惑をかけるから、破談を避けたいのは春日の方であるはず。最近の風潮から考えて、結婚後に不倫をしたら芸人生命が終わりかねない面もあるのだ。

 付け加えると、いくら人気芸能人とは言っても、春日と不倫したい女性もごくごく少数はではないだろうか。2016年放送の『ナカイの窓』(日本テレビ系)で、どきどきキャンプ・佐藤満春が、春日の相席居酒屋やキャバクラ通いを暴露していた。春日行きつけのキャバクラのキャストも、その番組に出演していたが、「割引チケットを必ず使う」「女の子にお酒を飲ませない」そうで、相変わらずケチらしい。その頃と今の遊び方が同じとは限らないものの、キャバ嬢たちは客にカネを使ってもらうのが仕事だから、お金を持っているのに使おうとしない春日は「がっがりな客」だろう。『モニタリング』で、婚約者は「(人気芸人なので)女優さんとも付き合えたかもしれないのに、(家賃の安いアパートに住むなど)変わらないところがいい」とも言っていたが、ここまでケチだと、女優の方から願い下げされるだろうし、一般人女性でも、春日のケチぶりについていける人は少数のように思う。

 10年も結婚の話から逃げていたり、キャバクラに通うカネはあっても、交際相手にはカネを使わないというのは、正直、婚約者のことをナメていた部分があると私は思うが、公開プロポーズをした結果、春日は婚約者を裏切れないところまで、追いやられたのである。結婚願望のある30代の女性を10年も待たせるのは本当に酷なことだが、女性側もやはり春日と離れがたかったのだろう。10年も待たされた分、どうか楽しい結婚生活を送っていただきたいものだ。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

オードリー・春日俊彰、「公開プロポース」のリスクと婚約者に与えるメリット

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「キャバクラとクラブのVIPルーム行って」オードリー・若林正恭
『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送、4月28日)

 芸能人の仕事を、1分1秒でも長くテレビに映って、顔と名前を売る職業だと仮定した場合、プライベートをネタにすることもアリだろう。そういったネタの一つとして、芸人が番組で交際中の女性にプロポーズをすることがある。長時間テレビに映る上に、感動的なプロポーズができる。好感度も上がることを見越しての決断だろうが、実はこの公開プロポーズ、芸人側にリスクのある行為ではないだろうか。

 オードリー・春日俊彰が4月18日放送の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング3時間スペシャル』(TBS系)で、交際歴10年以上の一般人女性にプロポーズをした。春日といえば、ブレークした後も、家賃3万9,000円のアパート住まいを続け、清涼飲料水は買わず、貯金に励んでいることを公言しているが、ケチなのは芸風ではなく真実らしい。春日の日ごろの金銭感覚は、女性いわく、「特急料金を払う意味がわからないから、鈍行で行く」「ホワイトデーのお返しをくれないので、バレンタインのチョコを送るのをやめた」といった具合で、徹底した“しぶちん”を貫いている。

 愛情表現をすることも少なく、番組いわく“奥手”な春日が、ひそかに猛特訓して、ゆずの「栄光の架け橋」をピアノ演奏し、手紙を読む形でサプライズのプロポーズを決行した。交際が5年を過ぎ、女性の方から「結婚はどう考えているの?」と聞かれることが増えても、春日は回答を避けていたようだ。その煮え切らない態度を振り返って、春日は「不安にさせて、悲しくさせて、つらい思いをさせてごめんなさい」「好きな人を一生幸せにする覚悟が生まれるまでに、10年もかかってしまいました」と、その理由を説明する。結婚から逃げていたのではなく、むしろ結婚を真剣に考えるからこそ、踏み切れなかったという理由は、特に若い女性に刺さるのではないかと思っていたが、果たしてそうだった。SNSでは「感動した」「プロポーズのために、指輪を買ってピアノも練習してくれるなんて」と、春日に好感を持ったという20代女性のコメントが見られた。

 私の感想はというと、「こういうのがプロポーズの標準だと若い女性が思い込んでしまったら、大変だろうな」である。春日のプロポーズは、テレビで放送する、つまりは仕事だから、裏方も出演者も本気で感動を作り上げる。視聴者が胸を熱くするのは、春日の人柄というより、プロの技によってではないだろうか。公開プロポーズをしたタレントは、裏方の尽力もあって、「いい人なんだ」と好感度を上げることができるが、プロポーズ成功後は、一人でその好感度をキープしなければいけない(スタッフは助けてくれない)という新たなタスクを背負わなくてはならない。

 春日は、早速しくじってしまう。「フライデー」(講談社)が、感動的なプロポーズを成功させた春日の“裏切り”を報じた。プロポーズする10日前、春日は飲み会の後、アパートに金髪の一般人女性を招き入れていたそうだ。同誌によると、この女性とは半年前から何度も密会していたという。

 春日は浮気を認めた。4月28日放送の『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)では、相方の若林正恭に「頭イカれてんの?」「(ここ数年の春日は)キャバクラとクラブのVIPルーム行って、オレの一番嫌いな芸能人の染まり方(をしていた)」、また電話出演した婚約者には「気持ち悪い」となじられていた。SNSでも「失望した」「だまされた」というような内容のコメントが多数見られたのだ。公開プロポーズは、視聴者を感動させて好感度を上げた分、信頼を裏切るような行動を取ると、好感度が下がるばかりか、「嘘つき」の称号まで授かってしまうというリスクがあるのではないだろうか。

 婚約者は、10年待ってやっとプロポーズされた後、すぐに浮気が発覚して、深く傷ついただろう。しかし、私に言わせるのなら、公開プロポーズでクビがしまったのは春日だから、婚約者は安心していいのではないか。

 公開プロポーズしていなかったら、そもそも写真週刊誌の記事が出ることもなかったのかもしれないが、非公開のプロポーズの後に、浮気問題が発覚した場合、二人がケンカ別れしてしまう可能性もないとは言えないだろう。しかし、テレビでプロポーズした以上、ハッピーエンドにしないと番組に迷惑をかけるから、破談を避けたいのは春日の方であるはず。最近の風潮から考えて、結婚後に不倫をしたら芸人生命が終わりかねない面もあるのだ。

 付け加えると、いくら人気芸能人とは言っても、春日と不倫したい女性もごくごく少数はではないだろうか。2016年放送の『ナカイの窓』(日本テレビ系)で、どきどきキャンプ・佐藤満春が、春日の相席居酒屋やキャバクラ通いを暴露していた。春日行きつけのキャバクラのキャストも、その番組に出演していたが、「割引チケットを必ず使う」「女の子にお酒を飲ませない」そうで、相変わらずケチらしい。その頃と今の遊び方が同じとは限らないものの、キャバ嬢たちは客にカネを使ってもらうのが仕事だから、お金を持っているのに使おうとしない春日は「がっがりな客」だろう。『モニタリング』で、婚約者は「(人気芸人なので)女優さんとも付き合えたかもしれないのに、(家賃の安いアパートに住むなど)変わらないところがいい」とも言っていたが、ここまでケチだと、女優の方から願い下げされるだろうし、一般人女性でも、春日のケチぶりについていける人は少数のように思う。

 10年も結婚の話から逃げていたり、キャバクラに通うカネはあっても、交際相手にはカネを使わないというのは、正直、婚約者のことをナメていた部分があると私は思うが、公開プロポーズをした結果、春日は婚約者を裏切れないところまで、追いやられたのである。結婚願望のある30代の女性を10年も待たせるのは本当に酷なことだが、女性側もやはり春日と離れがたかったのだろう。10年も待たされた分、どうか楽しい結婚生活を送っていただきたいものだ。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

赤江珠緒アナ、博多大吉との不倫否定も……「相談女疑惑」「キャラ崩壊」がもたらすダメージ

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「でも、それをスタッフとかに言うのは……」赤江珠緒
『たまむすび』(TBSラジオ、4月24日)

 姦通罪のない日本で、どうして芸能人の不倫がバッシングされるかというと、「嘘をついている」ことに嫌悪感を抱く人が多いから、加えてネットが普及して、意見もしくは悪意の拡散が容易になったからではないだろうか。

 表向きは“いい人”に見せて、陰であんなことをやっている。そういう幻滅が不倫へのバッシングにつながっていくと仮定するのなら、芸能人が不倫と同じくらい恐れなくてはいけないのが、“キャラ崩壊”だろう。不倫をしていなくても、キャラが崩壊すると、不倫同様に「嘘をついていた」「だまされた」と憤る視聴者もいないとは言えないからだ。

 そもそも、キャラとは何だろう。

 例えば、休日に家でくつろいでいる時と、会社にいる時の自分がイコールな人はほとんどいないのではないだろうか。家ではだらしないけれど、会社では身なりも仕事もきちんとするということはよくあることだし、自分をより良く見せて、社会で評価してもらうため、誰もがキャラをかぶって演技していると言っていいだろう。それは偽装というより社会性だとも捉えられるかもしれない。

 しかし、芸能人のように、自分を商品にする職業の場合は、会社員よりも高度に差別化・細分化された偽装、つまりキャラが必要になる。オアシズ・大久保佳代子が『TVじゃ教えてくれない!業界裏教科書』(Abema TV)で、キャラの作り方についてレクチャーしていたことがある。「0からキャラを作ると、ウソだとバレる」「自分の中にあるものを、膨らませていく」ことがポイントだそうだ。ということは、芸能人のキャラというのは、「まるっきりウソではないけれど、100%本当でもなく、ある程度演じている」ということだろう。しかし、ウソだとバレると視聴者は興ざめするので、「生まれつき、こういう人だ」「本当にこういう性格なんだ」と視聴者に思わせるのが、芸能人としての腕の見せどころではないだろうか。

 先週発売された「フライデー」(講談社)で、お笑い芸人・博多大吉と芝生に寝っ転がって花見をしている姿を激写されたフリーアナウンサー・赤江珠緒。赤江アナはTBSラジオ『たまむすび』のメインパーソナリティーを務めており、大吉は水曜レギュラーとして出演している。親密そうな二人の雰囲気から不倫が疑われたが、手をつないでいたとか、ホテルに入ったというような証拠は何もない。しかし、キャラに疑義が生じたという意味で、赤江アナは結構な痛手を被ったのではないだろうか。

 同誌によると、二人は月曜日の夜にも食事をし、水曜日に番組で共演し、赤江アナが休みの金曜日の昼間、『あさイチ』(NHK)終わりの大吉と合流して、青山のレストラン(個室)でランチ。そこから公園で花見をし、二人して芝生に寝っ転がっていたそうだ。

 4月18日放送の『たまむすび』で、赤江アナは「大吉先生が相談に乗ってくれた」と不倫を否定。しかし、週に二度と“相談”の頻度が高いことと、赤江アナの夫が育児休暇中であることから、ネットでは「休みの日に夫に子どもを任せてまで、何の相談があるんだ」「なぜ相談で寝っ転がる必要があるんだ」と嫌悪を抱く意見もみられる。

 なぜ不倫の証拠があるわけでもないのに、赤江アナが叩かれるのかと、『たまむすび』リスナーの赤江ファンは疑問に思っているかもしれない。たいていこういう場合、「赤江アナに嫉妬しているから」で片づけられてしまうが、赤江アナが叩かれる理由の一つは、赤江アナがサバサバしたキャラを掲げていたにもかかわらず、大吉と会う理由に“相談”を挙げたことで、そのキャラが崩壊したからだろう。

 異性と会うためには、理由がいる。しかし、そうそう理由というものは見当たらない。そんなとき、「相談に乗ってほしい」というのは口実として使いやすい。そんな相談を手口として男性に近づく女性のことを、ネット上では“相談女”と呼ぶ。

 日本における“相談女”の歴史は古いだろう。1982年に発売した林真理子センセイの出世作『ルンルンを買っておうちに帰ろう』(角川文庫)にも“相談女”のエピソードが出てくる。真理子センセイと同じテニスサークルの女子が、複数の男性の先輩にだけ相談を持ち掛けていることに対し、「何をどうしたら、そんなに相談することがあるのか」と書いているのだ。90年代のドラマでも、主役カップルに横恋慕する脇役が「相談がある」と男性を呼びだして肉体関係に持ち込み、主役がそれを目撃してしまうというパターンがよくあった。

 一般的に言うと、異性に対して積極的に相談を持ち掛ける女性は、あまりイメージが良くない。そこに、“芝生ごろん”という、一般的に仕事仲間同士では取らない行動が加わると、90年代ドラマのように、「赤江アナは大吉と接近するために、計画的に相談を持ちかけた」と見てしまう人はいるだろう。無邪気なふりをしてオトコに近づいたのなら、サバサバと対極の存在、つまりキャラ偽装だとみなされ、バッシングされるのである。

 “相談女”と呼ばれることを危惧したのだろうか、赤江アナは同24日放送の『たまむすび』で、相談の内容について触れている。仕事と育児の両立に悩んでいることに加え、木曜パートナーであったピエール瀧が、先月、麻薬取締法違反で逮捕されたことから、「『たまむすび』をやっていけないかも」と思い、「でも、それをスタッフとかに言うのは……」と思ったので、大吉に相談していたそうだ。

 「オレたちのタマちゃんは、不倫なんてしていない、相談女でもない」。赤江ファンなら納得して胸をなで下ろすだろう。ケチつけて誠に申し訳ないが、私の印象は「やっぱり相談女だな」である。なぜなら、大吉に相談しても、解決しないことは目に見えているからだ。

 仕事と育児との両立に悩むなら、スケジュールを見直したり、シッターを雇うなど、夫や制作側に相談するのが一番だろう。また、瀧がいないことで「番組をやっていけない」というが、法に背いた人が番組に出られなくなるのは当然のことである。もし本当に「やっていけない」と思うのなら、キャスティング権を持った制作者に相談すべきであって、大吉は相談相手として適任とは言えないだろう。結論を必要としない相談は、相談ではなく“なぐさめ”である。こういうとき、人は無意識に自分「が」好意を持っている、もしくは自分「に」好意を持っている相手を選ぶ。だから、ご指名は大吉オンリーなのではないだろうか。

 赤江姫に相談してもらえなかったほかの男性出演陣(カンニング竹山、南海キャンディーズ・山里亮太)は鷹揚に構えているものの、ひそかにショックを受けたり、嫉妬しているかもしれない。リスナーも含めた男性陣の心をかき乱せる赤江アナは、サバサバというより、年季の入った小悪魔と呼んでいい気がする。もちろん、それは芸能人としてプラスの能力である。

 ただ、不必要にサバサバを掲げているのに行動が一致しないと、私を含めたある種の人には「相談女だな」「サバサバしてないんだな」とバレて好感度が落ちかねない。十分ご注意いただきたいものである。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

博多大吉、『あさイチ』ゲスト・森高千里に対する一言に露呈した「男尊女卑」な素顔

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「森高サンが歌うなら手拍子できるけど、『マジにオバさんになってんじゃん』って人が歌っても……」博多華丸・大吉 博多大吉
『あさイチ』(NHK、4月12日)

 オトナの優しさに、悪意は不可欠。かつてこの連載で、博多華丸・大吉の博多大吉について、そう書いたことがある。人に何かをしてあげるとき、「自分がしてあげたいことをすれば、相手も喜ぶ」と考えるのではなく、「自分の行為に、相手は嫌な思いをするかもしれない」と、相手側の悪意にまでを想像めぐらすことにより、双方の精神的負担が減らせるという意味で書いたつもりだったが、この考え方の盲点は「自分が経験したことがベースになる」がゆえに、未経験のことに対しては、他者の悪意に想像が回らないことだろう。

 熟練した漫才の腕を持ち、笑いを取る。九州出身で、関西芸人のようなどギツいつっこみをせず、東京進出をしてきたのも35歳を過ぎてから。そんな背景から、博多華丸・大吉に対して、オトナで温和なイメージを持つ人も多いだろう。そこが買われて、『あさイチ』(NHK)の司会に起用されたのかもしれない。視聴率も好調なようだが、明らかに不得手な部分もある。それは「たまたまその性に生まれついたことで、受ける差別」に関して、まるで共感性がないことだ。

 もともと、このコンビ、特に大吉は女性への感覚が偏っているタイプなのではないだろうか。

 東京進出を果たしてまもなく、華大が今ほどブレークしていない頃、大吉が『おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)に出演していたことがある。大吉は「スターバックスにカップルで行った際に、ソファー側に座るオンナが許せない(オトコの方がソファーに座るべき)」といった旨の話をしていた。このほかにも、番組名は失念したが、大吉が飲み会で「あのグラビアアイドルが、番組中オレに色目を使ってきた」と自慢していたことを、後輩にテレビで暴露されるなど、頭の中は「ザ・九州男児」と言うべきか、なかなかマッチョ思想の持ち主であることをうかがわせる。しかし、さすがベテランらしく、証拠を滅多に残さないというか、はっきりしたエピソードでそれを感じさせられることは、ほとんどないと言っていいだろう。

 しかし、『あさイチ』のキャスターに就任してから、「やっぱり、この人……」と徐々に露呈されることが多くなっているように感じる。

 例えば、性的同意について特集した時のこと。性被害を防ぐため、カップルでも夫婦でも、キスやハグ、性行為はお互いの同意を確かめた上で及ぶというのが海外のスタンダードになりつつあるが、日本ではそれほど浸透していない。そもそも、日本は性について話すのがはばかられる風土なため、相手に伝えたくても伝えられないという専門家の意見が出た。するとまず華丸は「そこが日本の奥ゆかしさというか、大和撫子というか」と答えるなど、「性についてあれこれ言うオンナは、はしたない」とでも言うような本人の女性観を披露してしまう。大吉は大吉で、性的同意チェックリストのフリップを見せられると、「いちいち言わないといけない?」とした上で、「僕らが年取っちゃってるし、ある程度落ち着いているんで。若い時とかまっしぐらになっちゃうこともあるから」と、性活動が活発な若い世代への啓発が必要と発言したが、50代でも60代でも、性的な接触を持つのであれば、相手の同意は必要なのである。そこが抜け落ちてしまうのは、大吉が「セックスはオトコが選んでするもの」といった考えの持ち主、すなわち「男尊女卑」の価値観を強く持っているからだろう。

 ここまで、大吉の価値観と時代の流れがかみ合わないのは稀だが、またやらかしたなぁと思うことがあった。

 4月12日放送の回で、歌手・森高千里が出演した。もしかすると、大吉は森高のファンで、舞い上がっていたのかもしれない。森高は、代表曲の一つ「私がオバさんになっても」について、「ハタチを過ぎた自分に対して、『女盛りは19歳だよ』と言ったスタッフにカチンと来て作った“怒りソング”だった」と誕生秘話を語っていたが、大吉は「森高サンが歌うなら手拍子できるけど、『マジにオバさんになってんじゃん』って人が歌っても……」とまぜっ返す。「一方的にオバさんと言われるのが心外だ」という話をしているのに、大吉は「あなたはオバさんじゃないけれど、違う人はオバさんだよ」と答えているわけで、これが女性に対する上から目線でなくて何だろうか。

 “女性目線”を掲げてきた『あさイチ』だが、いきなりの昭和返り。がっかりする視聴者の中には、元NHKアナウンサー・有働由美子とV6・井ノ原快彦コンビの復活を願う人もいるだろう。まぁ、そうはいっても現実問題、二人が復帰するとは思えないが、このコンビが女性ウケ抜群だった理由の一つは、「女性が部長」「女性が年上」だったからではないだろうか。

 情報番組で多いのは、「おじさんと若い女性アナウンサー」という組み合わせである。現在の『あさイチ』で華大のアシスタント的な立場にある近江友里恵アナも30歳であり、華大と比べると大分若い。メインを張るおじさんは実績のある人だから、当然、女性アナウンサーは立てるし、合わせなくてはならないと考えるはずだ。嫌われたら、自分のクビが飛ぶことだってないとは言えないだろう。となると、意見があっても黙っているしかないと思ってしまうのではないか。しかし、有働&井ノ原コンビの場合、井ノ原の性質的なものに加えて、有働アナの方が年上で責任あるポジションについているから、周りは男性を含めてそれなりに気を使うだろう。その結果、番組のバランスが良くなっていたのではないだろうか。男尊女卑と保守は紙一重なので、そういうものを好む視聴者もいるだろうが、そこを「違うんじゃない?」と突っ込める人がいると、議論になって番組が盛り上がるし、見ていて感じがいい。

 しかし、『あさイチ』をはじめ、朝の情報番組のメインに女性はいない。女性を意識して番組を作っているはずのに、なぜ女性はメインに「なれない」のか。ここをスルーしてしまうと、「中身は男尊女卑」な男性芸能人が、入れ替わり立ち代わり現れては消えるということが続いていくように思えてしまう。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

博多大吉、『あさイチ』ゲスト・森高千里に対する一言に露呈した「男尊女卑」な素顔

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「森高サンが歌うなら手拍子できるけど、『マジにオバさんになってんじゃん』って人が歌っても……」博多華丸・大吉 博多大吉
『あさイチ』(NHK、4月12日)

 オトナの優しさに、悪意は不可欠。かつてこの連載で、博多華丸・大吉の博多大吉について、そう書いたことがある。人に何かをしてあげるとき、「自分がしてあげたいことをすれば、相手も喜ぶ」と考えるのではなく、「自分の行為に、相手は嫌な思いをするかもしれない」と、相手側の悪意にまでを想像めぐらすことにより、双方の精神的負担が減らせるという意味で書いたつもりだったが、この考え方の盲点は「自分が経験したことがベースになる」がゆえに、未経験のことに対しては、他者の悪意に想像が回らないことだろう。

 熟練した漫才の腕を持ち、笑いを取る。九州出身で、関西芸人のようなどギツいつっこみをせず、東京進出をしてきたのも35歳を過ぎてから。そんな背景から、博多華丸・大吉に対して、オトナで温和なイメージを持つ人も多いだろう。そこが買われて、『あさイチ』(NHK)の司会に起用されたのかもしれない。視聴率も好調なようだが、明らかに不得手な部分もある。それは「たまたまその性に生まれついたことで、受ける差別」に関して、まるで共感性がないことだ。

 もともと、このコンビ、特に大吉は女性への感覚が偏っているタイプなのではないだろうか。

 東京進出を果たしてまもなく、華大が今ほどブレークしていない頃、大吉が『おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)に出演していたことがある。大吉は「スターバックスにカップルで行った際に、ソファー側に座るオンナが許せない(オトコの方がソファーに座るべき)」といった旨の話をしていた。このほかにも、番組名は失念したが、大吉が飲み会で「あのグラビアアイドルが、番組中オレに色目を使ってきた」と自慢していたことを、後輩にテレビで暴露されるなど、頭の中は「ザ・九州男児」と言うべきか、なかなかマッチョ思想の持ち主であることをうかがわせる。しかし、さすがベテランらしく、証拠を滅多に残さないというか、はっきりしたエピソードでそれを感じさせられることは、ほとんどないと言っていいだろう。

 しかし、『あさイチ』のキャスターに就任してから、「やっぱり、この人……」と徐々に露呈されることが多くなっているように感じる。

 例えば、性的同意について特集した時のこと。性被害を防ぐため、カップルでも夫婦でも、キスやハグ、性行為はお互いの同意を確かめた上で及ぶというのが海外のスタンダードになりつつあるが、日本ではそれほど浸透していない。そもそも、日本は性について話すのがはばかられる風土なため、相手に伝えたくても伝えられないという専門家の意見が出た。するとまず華丸は「そこが日本の奥ゆかしさというか、大和撫子というか」と答えるなど、「性についてあれこれ言うオンナは、はしたない」とでも言うような本人の女性観を披露してしまう。大吉は大吉で、性的同意チェックリストのフリップを見せられると、「いちいち言わないといけない?」とした上で、「僕らが年取っちゃってるし、ある程度落ち着いているんで。若い時とかまっしぐらになっちゃうこともあるから」と、性活動が活発な若い世代への啓発が必要と発言したが、50代でも60代でも、性的な接触を持つのであれば、相手の同意は必要なのである。そこが抜け落ちてしまうのは、大吉が「セックスはオトコが選んでするもの」といった考えの持ち主、すなわち「男尊女卑」の価値観を強く持っているからだろう。

 ここまで、大吉の価値観と時代の流れがかみ合わないのは稀だが、またやらかしたなぁと思うことがあった。

 4月12日放送の回で、歌手・森高千里が出演した。もしかすると、大吉は森高のファンで、舞い上がっていたのかもしれない。森高は、代表曲の一つ「私がオバさんになっても」について、「ハタチを過ぎた自分に対して、『女盛りは19歳だよ』と言ったスタッフにカチンと来て作った“怒りソング”だった」と誕生秘話を語っていたが、大吉は「森高サンが歌うなら手拍子できるけど、『マジにオバさんになってんじゃん』って人が歌っても……」とまぜっ返す。「一方的にオバさんと言われるのが心外だ」という話をしているのに、大吉は「あなたはオバさんじゃないけれど、違う人はオバさんだよ」と答えているわけで、これが女性に対する上から目線でなくて何だろうか。

 “女性目線”を掲げてきた『あさイチ』だが、いきなりの昭和返り。がっかりする視聴者の中には、元NHKアナウンサー・有働由美子とV6・井ノ原快彦コンビの復活を願う人もいるだろう。まぁ、そうはいっても現実問題、二人が復帰するとは思えないが、このコンビが女性ウケ抜群だった理由の一つは、「女性が部長」「女性が年上」だったからではないだろうか。

 情報番組で多いのは、「おじさんと若い女性アナウンサー」という組み合わせである。現在の『あさイチ』で華大のアシスタント的な立場にある近江友里恵アナも30歳であり、華大と比べると大分若い。メインを張るおじさんは実績のある人だから、当然、女性アナウンサーは立てるし、合わせなくてはならないと考えるはずだ。嫌われたら、自分のクビが飛ぶことだってないとは言えないだろう。となると、意見があっても黙っているしかないと思ってしまうのではないか。しかし、有働&井ノ原コンビの場合、井ノ原の性質的なものに加えて、有働アナの方が年上で責任あるポジションについているから、周りは男性を含めてそれなりに気を使うだろう。その結果、番組のバランスが良くなっていたのではないだろうか。男尊女卑と保守は紙一重なので、そういうものを好む視聴者もいるだろうが、そこを「違うんじゃない?」と突っ込める人がいると、議論になって番組が盛り上がるし、見ていて感じがいい。

 しかし、『あさイチ』をはじめ、朝の情報番組のメインに女性はいない。女性を意識して番組を作っているはずのに、なぜ女性はメインに「なれない」のか。ここをスルーしてしまうと、「中身は男尊女卑」な男性芸能人が、入れ替わり立ち代わり現れては消えるということが続いていくように思えてしまう。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。