羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「過去のお付き合いしてきた男性からのトラウマなんですけども」キンタロー。
(キンタロー。オフィシャルブログ、5月27日)
バラエティ番組に出るのに必須ともいえる“キャラクター”は、もう出尽くした感があったが、お笑いタレント・キンタロー。が、うまいキャラをひねり出してきた。監視妻キャラである。『もしかしてズレてる?』(フジテレビ系)によると、キンタロー。は夫が浮気をしているのではないかと常に疑い、電話がつながらないとGPSで居場所を特定するそうだ。夫が自宅に女性を連れこんだりしていないかチェックするために、自宅にもペットカメラを取りつけているという。一般人の女性でも、パートナーと連絡が取れなくなると、途端に不安定に陥り、常に浮気を疑っている女性は一定数いるので、共感を集めるキャラといえるのではないだろうか。
オフィシャルブログによると、キンタロー。は、自身がこのように嫉妬深くなった理由を「過去にお付き合いしてきた男性からのトラウマなんですけども」と説明している。元カレに浮気された経験から、「オトコはみんな浮気をする」と思うようになり、夫と少しでも連絡が取れない不安に耐え切れず、安心するために監視している……ということだろう。一見、理屈が通っているようだが、実はこの論理、整合性がまるでないことにお気づきだろうか。
私のかつての同僚の話だが、彼女には、結婚を約束した彼氏がいたものの、ある時、その彼氏から百万単位の借金の存在を知らされたそうだ。「元カノが消費者金融で借金をした際、連帯保証人の欄にサインをした」「元カノが行方をくらまして返済できなくなり、自分に返済義務が生じてしまった」と。当時の消費者金融は20%超えの利息を取っていたため、彼氏が自分の給料をほとんどつぎ込んでも、利息分しか返せない状態だったという。同僚は、彼と一緒に返済する道を選んだ。自分の給料とボーナスをつぎ込み、会社が終わった後にはバイトもしたが、それでも借金はなかなか減らず、目に見えて疲弊していった。
私には、この同僚とキンタロー。の夫が同じように感じられる。
同僚は、彼氏がよそのオンナと作った借金、しかも自分がまったく使っていないカネを必死に返してヘロヘロになった。同様に、キンタロー。の夫は、彼自身の浮気が証明されたわけではないのに、キンタロー。の元カレの浮気という罪を、償わされている。文句や不安は、その原因を作った張本人、つまり元カレに言うべきなのに、キンタロー。はなぜか無関係な夫にそれをぶつけているのだ。恐らく、キンタロー。のようなタイプは「私のことが好きなら、心配させないで」と言うだろうが、これはつまり「私のことが好きなら、元カレの作った借金返して」と言うくらい、理不尽であることに気づいていない。
とは言いつつ、ブログによると、キンタロー。はこれまでも、夫に対して監視行為をした際には、そのお詫びとして一緒に食事に行くこともあるらしく、現状、夫婦関係にヒビは入っていないことがわかる。そこで、キンタロー。がこの夫婦関係を続けるためにはどうすればいいかを考えてみた。
キンタロー。は、「ノート買ってきて、その男性の誕生日までに1日1日 その人に向けて日記風ラブレターを書いて誕生日に渡す」ことをしようとした過去があるとも、ブログで明かしている。彼氏の浮気が誕生日前にバレて、ノートを渡すことはなかったそうだが、よく言えば集中力がある、悪く言えば1つのことしか考えられない傾向があるのではないだろうか。
もしキンタロー。の夫君が監視に息苦しさを感じたら、どうにかして、キンタロー。のスケジュールをぱんぱんに詰めることを勧める。仕事以外のことを考える時間を物理的に減らすのだ。これは、結婚生活を送る上での工夫だけではなく、キンタロー。の仕事にも関わってくる。嫉妬深いキャラは、夫と離婚してしまっては成立しない。嫉妬キャラでキンタロー。がブレークするのに必要なのは、夫が自身のメンタルをうまく管理することなのではないだろうか。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの」