閉じられた家の中で苦しんでいる母親に手を差し伸べたい――浮気と暴力を振るう夫に悩む家族【前編】

「できない」が言えなかった

 産前産後の家族を救う場でありたい――

 「産後TOMOサポ」を主宰する多田祐実さんは、孤独な育児に奮闘している母親たちをサポートし、支援する人や場所につなげている。多田さん自身、産後ウツとワンオペ育児に悩んだ経験があるからだ。

「産前に抱いていた育児のイメージと実際に子どもを産んだ後とではまったく違っていました。確かに赤ちゃんはかわいいけれど、泣きやまないし眠れない。誰かに助けを求めたいけれど、誰につながればいいのかも、そのつながり方もわからない。探す時間さえないんです」

 完璧主義だったという多田さんは「できない」が言えなかった。こんなに頑張っているのに、認めてもらえない。社会からも孤立していると感じた。完全に産後ウツだったと振り返る。

 多田さんは、理系研究者として仕事をしていた。育休から復帰した後は、子どもと仕事を天秤にかけながら仕事に向かう自分に罪悪感を抱くようになった。子どもも仕事も大切にしたいのに、どちらも中途半端なことに苦しんだ。ところが、多田さんが一日中走り回っているのに、夫は子どもが生まれてもそれまでと変わらない生活をしている。イライラが募り、夫とは気持ちがすれ違うようになっていた。

 そんな経験から多田さんは、友達同士で産後を助け合う「産褥ヘルプ」の仕組みをつくった。

「産後のお母さんのいる家でごはんをつくったり、上の子の送迎をしたりする中で見えてきたものがあります。それは支援者が家庭に入って家事を助けても、子育てはお母さん一人が背負い込んでいることに変わりはないということ。お父さんに自分ごととしての意識がないんです」

 根底にあるのは、家事育児をするのは女の役目という意識だ。その大変さがわかっていない夫に、多田さんは夫婦講座を開くようになった。そこで夫婦が互いの思いを伝えあったり、家事育児のタスク表を作成して、やるべき仕事を見える化したりすることで、夫婦でともに育児に取り組む意識が育っていく。「産後TOMOサポ」という第三者が入ることで、夫は自分も子育ての当事者であることに気づくのだと多田さんはいう。

 こうして産前産後の母親が困難に直面する前につながる場所をつくり、地域の子育て支援窓口や専門家につなぐなど、現在の産後TOMOサポへと発展させていった。

度重なる夫の浮気とDV

 多田さんとともに活動している古川美紀さん(仮名)も子育て中に夫との関係に苦しんだ経験がある。古川さんの夫は、こともあろうに妊娠中に浮気をしていたという。

「仕事が忙しいと言いながら、香水のにおいをぷんぷんさせながら遊び歩いていました。そのうえ、上の子に暴力を振るったり暴言を吐いたりしていたんです」

 夫は反省するどころか、自分は被害者だと言い放ったという。幸い、古川さんが産後TOMOサポの「産褥ヘルプ」に支援を依頼したことで、家族の危機はいったん収束した。

「第三者が家庭に入ると、夫の暴力には歯止めがかかりました。産褥ヘルプの支援者が私に『よく頑張っているね』と声をかけてくれると、夫も『妻も頑張っているんだ』と気づくことができたのでしょう」

 こうして、おさまったかのように見えた夫の浮気とDVだったが、数年たつと再び浮気の兆候が見られるようになった。

「あるとき、私の留守中に夫が子どもに暴力を振るっていたようで、戻ったら子どもたちが布団に隠れて震えていました。当然子どもたちから『パパは叩くから嫌だ』と言われるようになり、ますます浮気相手のもとに入り浸るようになりました。さらには『お前の食事がまずい。こんなもの食えるか』などと難癖もつけるようになったんです」

 離婚を考えるうえで決定的だったのが、夫が古川さんに無断で家を購入しようとしていたのが判明したことだった。浮気相手のところに入り浸り、妻子にはDVをする夫が、なぜ家を買おうと思うのか、まったく不可解だ。

 ともかくそれを知った古川さんは、すぐに弁護士に相談した。そのころには古川さんも夫との離婚を考えるようになっていたのだ。夫が家を購入すると財産分与に支障をきたすとアドバイスされたため、古川さんは意を決した。子どもを連れて家を出たのだ。行く先のあてはなかった。

(取材協力:産後TOMOサポ

ーー後編は10月9日

『あなたには帰る家がある』より怖い不満! 言ってはいけない夫婦間の「ファイナルワード」

 中谷美紀主演のドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)では、妻たちの本音が炸裂するセリフが満載で話題となっています。共働きなのに家事や育児をしない夫、そんな夫に不満を爆発させる妻の姿が世の奥様たちの共感を集めているとか。しかし、いくら夫に不満があっても、絶対に口にしてはいけない一言というものが存在します。それを言ったが最後、夫婦関係の修復は不可能……。そんな夫婦間の「ファイナルワード」、あなたは口にしていませんか?

■30年以上連れ添った妻を死に至らしめた一言

 何気なく放った一言が、夫婦関係を永遠に分かつこともあります。たとえば2015年に起きた事件では、友人家族と新年会を楽しんだ夫婦が2次会の会場へ移動する途中、「2次会に行けて、お前ええ身分やのう」という妻の一言に夫が激高。長女が運転する車内で、妻を何度も殴り、死に至らしめています。

 また、一橋大学を卒業したエリート夫が妻を頭部破壊に至るまで執拗に殴って殺害したという事件が17年に起きています。殺害の動機は就寝中の夫が妻から「あなたのせいでパソコンが壊れた」と起こされ、口論になったことだったとか。第三者からみれば、どちらもほんの些細な一言。凶行の引き金がどこにあったのか……夫婦間のファイナルワードはどこに潜んでいるかわからないものです。

■実際にあった妻たちのファイナルワード

 これらは極端な例ですが、実際に夫婦を危機的局面に追い込んだ妻たちのファイナルワードには、どんなものが存在するのでしょうか? 離婚を考えるほどのキツい一言を言われたことがあるという男性たちに聞いてみました。

「久しぶりに家でゆっくりできる休日だったので、のんびり寝ていたら、子どもから『パパ元気ないね』と言われたんです。それに対し、妻が『パパは休日死んでるんだよ~、でも明日からまた生き返るから大丈夫』と笑顔でつぶやき、働いていない自分には価値がないんだなあと寝たふりをしながら、泣きそうになりました」(27歳/工場勤務)

 週6勤務で、基本的に休みが1日しかないという彼は、「日曜日の昼くらい、ゴロゴロ寝ていて何がいけないんでしょうか……」と、うつろに語ります。

 一方、「自分のことなら我慢できるが、親のことを言われると腹は立つ」と話すのは会社経営者の男性(45歳)。独身時代からマイルールを決めて家事を行ってきたという彼は、おおざっぱな奥様と、家事のやり方で衝突することが多いそう。

「洗濯物をまったく色分けしないので注意したところ『そういうとこ、お義母さんとソックリだね〜』と嫌味たっぷりに言われた時は、初めてモノを投げそうになりました」

 気の強い奥様の暴言には慣れっこという出版社勤務の男性(40歳)も、やはり度が過ぎると“離婚”の文字が頭に浮かぶとか。

「妻はじゃれてるつもりなのかもしれないけど、『キモい』『うざい』と頻繁に言われて、さすがにへこみます。付き合い始めた頃は『かっこいい』って言ってくれてたんだけど……。かといって、ほかの女の子に癒やしを求めたら、浮気だ不倫だと言われるのは確実なので、離婚したほうがマシなのかもって思います」

 また、男性のプライドにかかわる仕事や金銭面への口出しも「ファイナルワード」になってしまう可能性が高いようです。

「仕事やお金のことをあれこれ言われるのは、腹が立つし、耐えられない。いまだに妻に言われた『そういうのは、もっと稼いでから言ってくれない?』の一言は、頭から離れません。子どもがいなければ離婚してましたね」(28歳/営業)

 男性は、妻からの辛辣なファイナルワードに、かなり心を痛めているようです。一方で、日頃から溜め込んでいた怒りが爆発したことで、夫婦関係が悪くなってしまったと自覚している妻も。

「家では基本的に何もしない夫。『爪切りどこー?』『のど渇いたー』と日常的にこき使われて、ついに爆発。『私はお前の家政婦じゃねーんだよ!』とキレてしまった。夫の呆然とした顔は忘れられません。それからギクシャクした関係が続きましたけど、言えてスッキリしたので後悔はしてません」(27歳/専業主婦)

 本来、最もラブラブで熱い時間を過ごす新婚旅行の時ですら、些細な“ファイナルワード”が最悪の展開を招くこともあります。

「新婚旅行でスペインに行った時の話。現地はものすごく暑くて喉が渇いていたのに、旦那は自分だけ水をごくごく飲んでいました。イラッとして『私にも水ちょうだい!』って言ったら、逆ギレ。最悪の新婚旅行になりました……。いまだになんで水ごときで、あんなにけんかになったのかわからない」(29歳/事務職)

 キレやすい男性って、言葉尻や言い方に突っかかってくることもあるので、本当に難しいですよね。もちろん、ファイナルワードがきっかけで離婚を考えるのは、男性だけではありません。

「『家で何もしないね』と言った途端に、旦那は『オレだって大変なんだよ!』とキレだして大けんかになった。共働きなのに、意味がわからない……早く離婚したいです」(28歳/パート)

 司法統計によると1985年には8位だった夫の離婚動機「妻からの精神的虐待」は、2014年には2位に急浮上したというデータもあります。「妻が怖い」「妻の暴言がつらい」と感じている男性は少なくないよう。とはいえ、怒りを我慢するだけじゃやっていけないし、甘やかして調子に乗られるのも腹立たしい。結婚したとはいえ、もともとは赤の他人ですから、つかず離れず、「親しき中にも礼儀あり」の精神を忘れないようにすべきかもしれません……と言うは易しですね。
(ジョージ山田/清談社)

結婚前にいろいろあったけど……紆余曲折を経て今は幸せな「おしどり芸能人夫婦」たち

 結婚前にいろいろあったが、紆余曲折を経て現在は幸せな家庭を築いている芸能新夫婦を紹介していこう。

 まずは2016年8月に結婚した俳優の妻夫木聡と女優のマイコ。マイコが上流家庭の育ちだということで結婚にはマイコの両親の強い反対があったというが、やっと結婚の許しが出たという時に事件が勃発。15年10月7日発売の「週刊新潮」(新潮社)にて、妻夫木が自宅にエステティシャンを呼んだ際、通常のオイルマッサージでは満足できず、さらに過度なサービスを要求し、提供を受けたという記事が掲載されてしまったのだ。妻夫木の所属事務所は、妻夫木がその店を利用したことは認めたものの、過度なマッサージを受けた事実はないとしている。

 そんな妻夫木は3月22日に都内で行われた出演映画『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月公開予定)の完成披露試写会に出席。夫婦を描く内容ということで「家でも家事をしますか?」と質問され「掃除は任せちゃったりしますけど、皿洗ったりご飯作ったりはたまにします」と笑顔で語るなどし、良き夫の顔を見せている。

「妻夫木さんが報道でピンチだった時も見捨てずに、夫を信じたマイコさんの懐の深さに惚れ直したとのウワサです。独身時代はキャバクラなど夜遊びのウワサが絶えなかった妻夫木さんですが、すっかり愛妻家になったと言われています」(芸能事務所勤務)

 次に、芸能界No.1美男美女夫婦と名高いタレント・ミュージシャンのDAIGOと女優の北川景子。今年1月にはDAIGOがSNSにて北川との結婚2周年記念のツーショットを公開。「お似合いすぎる!!」とファンからの祝福が殺到していた。

 しかし、こちらの夫婦も初めから結婚に障害がなかったわけではないという。

「北川さんは山下智久さんや向井理さんなど、数々の人気芸能人と熱愛報道があった恋多き女性。DAIGOさんは見た目こそチャラいですが、総理大臣を輩出した家柄の息子ですからね。DAIGOさんの実家が結婚相手を良家の子女から選びたがっているというウワサは、交際当時からささやかれていました」(週刊誌記者)

 また、紆余曲折あったといえば俳優の岡田義徳と女優の田畑智子も外せない。彼らは今年元日に結婚したことを発表したが、田畑といえば15年11月に岡田の自宅から左手首を負傷し救急搬送されたことが話題になった。自殺未遂と報じるメディアもあったが、その後、田畑はかぼちゃを料理中に負傷したと弁明している。

「かぼちゃ騒動後、田畑さんのご両親は2人の結婚に難色を示していたそうですが、岡田さんが根気よく京都の実家に通い、了承を得たとの話です。田畑さんは“お付き合いを始めてから約6年半、紆余曲折ありました”とコメントしていますが、本当に結婚までの道のりが大変だったんでしょうね」(芸能記者)

 永遠の愛を誓った3組、どうぞお幸せに。

結婚前にいろいろあったけど……紆余曲折を経て今は幸せな「おしどり芸能人夫婦」たち

 結婚前にいろいろあったが、紆余曲折を経て現在は幸せな家庭を築いている芸能新夫婦を紹介していこう。

 まずは2016年8月に結婚した俳優の妻夫木聡と女優のマイコ。マイコが上流家庭の育ちだということで結婚にはマイコの両親の強い反対があったというが、やっと結婚の許しが出たという時に事件が勃発。15年10月7日発売の「週刊新潮」(新潮社)にて、妻夫木が自宅にエステティシャンを呼んだ際、通常のオイルマッサージでは満足できず、さらに過度なサービスを要求し、提供を受けたという記事が掲載されてしまったのだ。妻夫木の所属事務所は、妻夫木がその店を利用したことは認めたものの、過度なマッサージを受けた事実はないとしている。

 そんな妻夫木は3月22日に都内で行われた出演映画『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月公開予定)の完成披露試写会に出席。夫婦を描く内容ということで「家でも家事をしますか?」と質問され「掃除は任せちゃったりしますけど、皿洗ったりご飯作ったりはたまにします」と笑顔で語るなどし、良き夫の顔を見せている。

「妻夫木さんが報道でピンチだった時も見捨てずに、夫を信じたマイコさんの懐の深さに惚れ直したとのウワサです。独身時代はキャバクラなど夜遊びのウワサが絶えなかった妻夫木さんですが、すっかり愛妻家になったと言われています」(芸能事務所勤務)

 次に、芸能界No.1美男美女夫婦と名高いタレント・ミュージシャンのDAIGOと女優の北川景子。今年1月にはDAIGOがSNSにて北川との結婚2周年記念のツーショットを公開。「お似合いすぎる!!」とファンからの祝福が殺到していた。

 しかし、こちらの夫婦も初めから結婚に障害がなかったわけではないという。

「北川さんは山下智久さんや向井理さんなど、数々の人気芸能人と熱愛報道があった恋多き女性。DAIGOさんは見た目こそチャラいですが、総理大臣を輩出した家柄の息子ですからね。DAIGOさんの実家が結婚相手を良家の子女から選びたがっているというウワサは、交際当時からささやかれていました」(週刊誌記者)

 また、紆余曲折あったといえば俳優の岡田義徳と女優の田畑智子も外せない。彼らは今年元日に結婚したことを発表したが、田畑といえば15年11月に岡田の自宅から左手首を負傷し救急搬送されたことが話題になった。自殺未遂と報じるメディアもあったが、その後、田畑はかぼちゃを料理中に負傷したと弁明している。

「かぼちゃ騒動後、田畑さんのご両親は2人の結婚に難色を示していたそうですが、岡田さんが根気よく京都の実家に通い、了承を得たとの話です。田畑さんは“お付き合いを始めてから約6年半、紆余曲折ありました”とコメントしていますが、本当に結婚までの道のりが大変だったんでしょうね」(芸能記者)

 永遠の愛を誓った3組、どうぞお幸せに。

独身でも子持ちでも生きやすい社会とは? 佐々木俊尚×白河桃子が語る、「変わりゆく暮らし」の選択肢

(前編はこちら)

 論客としても著名なジャーナリストの佐々木俊尚氏と白河桃子氏。現代日本の家族観やライフスタイルをテーマにした書籍を多数手掛ける両氏に聞く、「これからの時代の女性の生き方」。後編では、変わりゆく家族の枠組み、そして生き方の選択肢について語っていただいた。

■シェアハウスは、これからの暮らしの有力な選択肢

――夫婦は唯一無二の味方として、お互い助け合いながら生きていますよね。結婚という枠組みを取っ払って、そうした持続的な関係性を求められる相手というのは見つけられるものでしょうか?

佐々木俊尚氏(以下、佐々木) よく「夫婦は鉄の扉の中で2人きり過ごしていて、外に出ると7人の敵がいる」といわれますが、家の外に出ると全部が敵っていう考えはおかしい。仲間だっているんですよ。さらに言えば、家の中に自分の言うことをなんでも聞いてくれる夫がいるという幻想を持っている人がやたら多いですけど、それは違うと思うんですよね。夫婦ともに相手をコントロールできる人間と考えるのは間違っています。家でも外でも対等な関係性を築くことが、望ましいのではないでしょうか。

白河桃子氏(以下、白河) 面白いのが、アメリカなどの激しい競争社会だと、やはり家族が一番になるんですよね。かつて日本は、企業コミュニティがしっかりあって、そこに所属していれば良かったんです。お給料がもらえて、一生安泰だった。ところが、そこが段々崩壊し、さらには核家族とあって不安定です。いまの若手で、会社に一生所属して生きられると考えている人はいないですよね。だからこそ、いま日本人は迷っているんです。

佐々木 日本は、企業コミュニティが強くなりすぎた。農村共同体が終戦後に崩壊していく中で、その代替として昭和20年代から30年代にかけて、企業共同体に変わっていったんですね。日本の福祉制度が貧困なのは、全部会社に任せたからですよ。でも、結局、会社が崩壊して、コミュニティの機能がなくなりつつある状況の中、今度は家族に会社の代替を求めている。

――それでいうと、新しい共同体のかたちとして、シェアハウスを選ぶ人が増えていますよね。

佐々木 僕の知り合いに30代の独身女性がいて、新宿で11人のシェアハウスに住んでいるんですが、「結婚する必要があるのか、悩む」って言ってます。結婚する理由は3つあって、「寂しい」「老後不安」「子ども」だとすると、シェアハウスに住んでいると寂しくはないし、老後不安もない、なんとなくこのまま一緒に暮らしていれば、皆と一緒に年を取っていく。それで、彼女は一緒にシェアハウスに住んでくれることを前提に彼氏を募集して、いま付き合っています。でも、シェアハウスで子どもを育てるのは難しい。プライバシーの確保は難しいですよ。

白河 確かにシェアハウスは、これからの暮らしの有力な選択肢ですよね。私は、中高年をターゲットにした大人向けのシェアハウスができると予測していました。身軽な独身だと、今まで一人暮らしが主流でしたが、「寂しいけど、まだ介護は必要じゃないよね」っていう人も多いと思うんです。

――続いて、子どもを持つかどうかですが、本能的に欲しい場合と、やや打算的に将来の孤独感解消や介護を期待している場合があると思うのですが、それについてはいかがでしょうか?

白河 介護要員とは思いませんが、私は子どもがいないので、母の病院へ付き添っていく際に、「将来、自分の時はどうしよう」と心配にはなります。でも、そのために子どもを作るのは違うと思います。介護してほしいとかリスク軽減だけじゃなくて、女性はただ子どもが欲しいんですよね。そう思う人が産みやすい環境を整えることが大事になるんじゃないでしょうか。

佐々木 将来、介護要員にされる子どもも、たまったもんじゃないですよね。子どもに過剰な期待を抱くのは、もう無理ですよ。今の20代ぐらいの若者の親って、50代だと思うんですが、そうすると、豊かな人はもうほとんどいないというのが現実です。親も子どもも貧しいのが当たり前、どちらも期待できないという状況になってきている。その状況の中で、介護要員として子どもを持つという発想自体が生まれにくいと思うんです。福祉制度を家族に負わせるのは間違いで、介護は公共の福祉の問題です。

白河 それこそ、シェアハウスで子どもが育てられないのって、安心感がないと子どもって産めないからだと思うんですよね。なんとかなるっていう感覚がないと、女性は思い切って子どもを産まない。いろいろなことがうまくいっていると感じた瞬間、女性は出産という一番大事なことをするんだと思うんです。

 前に面白いシェアハウスで暮らしている人に「そのうちハウスの中で、子どもが産まれたりして」と言ったら、「可能性はある。全員で育てるかもしれない」と言っていました。シェアハウスが安心できる場所になり得ると思います。みんなで子育てして、そこで初めて、子どもを媒介にして、もっと強固なつながりができるのかもしれない。やっぱり自立した大人だけのつながりは、もろいところがあるけれど、どうしても面倒見なきゃいけない人がいると、結びつきがより強くなる。皆がしっかり立っているだけというのは、ちょっと違うと思っています。

佐々木 新しい子どもの育て方、新しい結婚の仕方っていうのは、転職が自由じゃない、家制度が残っている中では、いくら「自由な生き方をしましょう」と言っても、「それは無理だよね」となります。同時多発的にいろいろなものが少しずつ壊れていって、変わっていくしかないんですよ。そういう中から、次の時代のロールモデルが出てくる。それが、仕事だけじゃなくて、家庭のあり方も変えていくと思います。

白河 これから、ますます未婚女性が多くなると思いますし、子どもを産まない女性が3人のうち1人くらいになる将来予測もあります。だからこそ、共同体的なものがあった方が絶対いいと思っています。特に、病気になった時とか、面倒を全部見てくれなくてもいいから、「ちょっとごめん、いま入院しているから、これ買ってきて」と言えるかどうか。すごく重要じゃないですか? そういう共同体的なものが必要だと思います。3人くらいで、ゆるくつながっていこうよ――って思うと、気が楽になるのではないでしょうか。

 ただ、見返りを期待しちゃいけないとは思います。「私はすごく面倒見てあげたのに、相手はあまり……」といった話はよく聞くので、そんなに期待はしないけど、いざとなったら頼りになる関係はどうやったら作れるか。それはある程度、一緒に切磋琢磨する場面がないと駄目で、楽しいだけではなかなかできないと思います。

佐々木 最近、結婚しないことに対する不安が高まりすぎですよね。テレビやネットの記事でも「無縁社会」や「孤独死」だとか、それを目にすると、ますます「結婚しなきゃ」と焦って、一生懸命に婚活する。でも、すればするほど泥沼にはまっていって結婚できない。それはあまりにも不健康じゃないかな。「結婚なんかしなくても別にいいじゃないか」「子どもがいなくてもいいじゃないか」って、思考転換すればいい。自分の好きにすればいいわけだし、独身でも楽しい老後が待っているイメージが見えてくるといいんじゃないかと思います。
(末吉陽子)

独身でも子持ちでも生きやすい社会とは? 佐々木俊尚×白河桃子が語る、「変わりゆく暮らし」の選択肢

(前編はこちら)

 論客としても著名なジャーナリストの佐々木俊尚氏と白河桃子氏。現代日本の家族観やライフスタイルをテーマにした書籍を多数手掛ける両氏に聞く、「これからの時代の女性の生き方」。後編では、変わりゆく家族の枠組み、そして生き方の選択肢について語っていただいた。

■シェアハウスは、これからの暮らしの有力な選択肢

――夫婦は唯一無二の味方として、お互い助け合いながら生きていますよね。結婚という枠組みを取っ払って、そうした持続的な関係性を求められる相手というのは見つけられるものでしょうか?

佐々木俊尚氏(以下、佐々木) よく「夫婦は鉄の扉の中で2人きり過ごしていて、外に出ると7人の敵がいる」といわれますが、家の外に出ると全部が敵っていう考えはおかしい。仲間だっているんですよ。さらに言えば、家の中に自分の言うことをなんでも聞いてくれる夫がいるという幻想を持っている人がやたら多いですけど、それは違うと思うんですよね。夫婦ともに相手をコントロールできる人間と考えるのは間違っています。家でも外でも対等な関係性を築くことが、望ましいのではないでしょうか。

白河桃子氏(以下、白河) 面白いのが、アメリカなどの激しい競争社会だと、やはり家族が一番になるんですよね。かつて日本は、企業コミュニティがしっかりあって、そこに所属していれば良かったんです。お給料がもらえて、一生安泰だった。ところが、そこが段々崩壊し、さらには核家族とあって不安定です。いまの若手で、会社に一生所属して生きられると考えている人はいないですよね。だからこそ、いま日本人は迷っているんです。

佐々木 日本は、企業コミュニティが強くなりすぎた。農村共同体が終戦後に崩壊していく中で、その代替として昭和20年代から30年代にかけて、企業共同体に変わっていったんですね。日本の福祉制度が貧困なのは、全部会社に任せたからですよ。でも、結局、会社が崩壊して、コミュニティの機能がなくなりつつある状況の中、今度は家族に会社の代替を求めている。

――それでいうと、新しい共同体のかたちとして、シェアハウスを選ぶ人が増えていますよね。

佐々木 僕の知り合いに30代の独身女性がいて、新宿で11人のシェアハウスに住んでいるんですが、「結婚する必要があるのか、悩む」って言ってます。結婚する理由は3つあって、「寂しい」「老後不安」「子ども」だとすると、シェアハウスに住んでいると寂しくはないし、老後不安もない、なんとなくこのまま一緒に暮らしていれば、皆と一緒に年を取っていく。それで、彼女は一緒にシェアハウスに住んでくれることを前提に彼氏を募集して、いま付き合っています。でも、シェアハウスで子どもを育てるのは難しい。プライバシーの確保は難しいですよ。

白河 確かにシェアハウスは、これからの暮らしの有力な選択肢ですよね。私は、中高年をターゲットにした大人向けのシェアハウスができると予測していました。身軽な独身だと、今まで一人暮らしが主流でしたが、「寂しいけど、まだ介護は必要じゃないよね」っていう人も多いと思うんです。

――続いて、子どもを持つかどうかですが、本能的に欲しい場合と、やや打算的に将来の孤独感解消や介護を期待している場合があると思うのですが、それについてはいかがでしょうか?

白河 介護要員とは思いませんが、私は子どもがいないので、母の病院へ付き添っていく際に、「将来、自分の時はどうしよう」と心配にはなります。でも、そのために子どもを作るのは違うと思います。介護してほしいとかリスク軽減だけじゃなくて、女性はただ子どもが欲しいんですよね。そう思う人が産みやすい環境を整えることが大事になるんじゃないでしょうか。

佐々木 将来、介護要員にされる子どもも、たまったもんじゃないですよね。子どもに過剰な期待を抱くのは、もう無理ですよ。今の20代ぐらいの若者の親って、50代だと思うんですが、そうすると、豊かな人はもうほとんどいないというのが現実です。親も子どもも貧しいのが当たり前、どちらも期待できないという状況になってきている。その状況の中で、介護要員として子どもを持つという発想自体が生まれにくいと思うんです。福祉制度を家族に負わせるのは間違いで、介護は公共の福祉の問題です。

白河 それこそ、シェアハウスで子どもが育てられないのって、安心感がないと子どもって産めないからだと思うんですよね。なんとかなるっていう感覚がないと、女性は思い切って子どもを産まない。いろいろなことがうまくいっていると感じた瞬間、女性は出産という一番大事なことをするんだと思うんです。

 前に面白いシェアハウスで暮らしている人に「そのうちハウスの中で、子どもが産まれたりして」と言ったら、「可能性はある。全員で育てるかもしれない」と言っていました。シェアハウスが安心できる場所になり得ると思います。みんなで子育てして、そこで初めて、子どもを媒介にして、もっと強固なつながりができるのかもしれない。やっぱり自立した大人だけのつながりは、もろいところがあるけれど、どうしても面倒見なきゃいけない人がいると、結びつきがより強くなる。皆がしっかり立っているだけというのは、ちょっと違うと思っています。

佐々木 新しい子どもの育て方、新しい結婚の仕方っていうのは、転職が自由じゃない、家制度が残っている中では、いくら「自由な生き方をしましょう」と言っても、「それは無理だよね」となります。同時多発的にいろいろなものが少しずつ壊れていって、変わっていくしかないんですよ。そういう中から、次の時代のロールモデルが出てくる。それが、仕事だけじゃなくて、家庭のあり方も変えていくと思います。

白河 これから、ますます未婚女性が多くなると思いますし、子どもを産まない女性が3人のうち1人くらいになる将来予測もあります。だからこそ、共同体的なものがあった方が絶対いいと思っています。特に、病気になった時とか、面倒を全部見てくれなくてもいいから、「ちょっとごめん、いま入院しているから、これ買ってきて」と言えるかどうか。すごく重要じゃないですか? そういう共同体的なものが必要だと思います。3人くらいで、ゆるくつながっていこうよ――って思うと、気が楽になるのではないでしょうか。

 ただ、見返りを期待しちゃいけないとは思います。「私はすごく面倒見てあげたのに、相手はあまり……」といった話はよく聞くので、そんなに期待はしないけど、いざとなったら頼りになる関係はどうやったら作れるか。それはある程度、一緒に切磋琢磨する場面がないと駄目で、楽しいだけではなかなかできないと思います。

佐々木 最近、結婚しないことに対する不安が高まりすぎですよね。テレビやネットの記事でも「無縁社会」や「孤独死」だとか、それを目にすると、ますます「結婚しなきゃ」と焦って、一生懸命に婚活する。でも、すればするほど泥沼にはまっていって結婚できない。それはあまりにも不健康じゃないかな。「結婚なんかしなくても別にいいじゃないか」「子どもがいなくてもいいじゃないか」って、思考転換すればいい。自分の好きにすればいいわけだし、独身でも楽しい老後が待っているイメージが見えてくるといいんじゃないかと思います。
(末吉陽子)

内田裕也「俺にも取材しろ」!? 樹木希林の「全身がん」告白に便乗か

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「Switch」Vol.22No.10/スイッチ
・パブリッシング

 「第36回日本アカデミー賞」授賞式の最中、突然、がんであることを告白した樹木希林。最優秀主演女優賞受賞者は、翌年の授賞式で司会を務めるのが慣例となっているが、「全身がんのため、来年の仕事は約束できない」と語ったのだ。各マスコミも事の真相を突き止めるべく取材を進めているが、この件について樹木は、取材を受け付けないスタンスを取ったようだ。自宅で直撃取材を行った記者が語る。

「自宅のインターフォンを押せば、本人が対応してくれるのですが、『この件に関しては、お話ししません』と断られてしまいました。しかしこちらがあきらめずに、次々と話題を振れば、なんとなくですがコメントはしてくれます」

妻の背後にも尾行の影――互いに浮気調査を繰り返していた夫婦

Photo by Sivaz from Flickr

 嫉妬、恨み、欲望、恐怖。探偵事務所を訪れる人間の多くがその感情に突き動かされているという。多くの女性の依頼を受けてきたべテラン探偵の鈴野氏が、現代の「女の暗部」を語る。

 探偵にとって必要な技術といえば尾行。尾行ができるかできないかで、探偵稼業が成り立つかが決まるといっても過言ではない。尾行のポイント、それは距離感の問題だ。住宅街ならば、対象者との間隔は30m程度離したい。もしも対象者が女性で、夜の尾行ならば、もう少し離さないと別の意味で怪しまれる。渋谷の交差点や新宿のアルタ前だったら、人が多すぎるので対象者の真後ろにぴったりつけている。混雑したところだとすぐに失尾してしまうからだ。素人が尾行する時にやりやすい失敗は、見つからないように気をつけすぎること。身を隠すんじゃなくて、周りに溶け込むのだ。その場その場の雰囲気に溶け込む。例えば、渋谷のセンター街でスーツを来ていたらすぐにばれる。丸の内でカジュアルだと逆に目立ってしまう。その点、車での尾行は意外にも目立たない。しかし道が狭かったり、混んでいたりすると、見失ってしまうこともある。

 今回の調査依頼は、浮気調査。夫が半年前から外で女と会っているのではないかという妻・明美さん(34歳)からの依頼だ。クルマのシートの隅からカチューシャが出てきたり、財布にレストランのレシートが入っていたという。物的証拠があれば浮気しているのは確実だ。