北川景子が営業マシーンのごとく不動産を売りまくるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第3話が放送され、平均視聴率11.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。前回から1.5ポイントダウンとなってしまいました。
(前回までのレビューはこちらから)
今回、テーコー不動産は売却が困難とされる3つの物件を集中して現地販売するキャンペーンを実施。狭い道の奥に家が建つ、竿についた旗のような形をした“旗竿地”と、スキャンダルで相撲界を追放された“元力士の家”、天井に照明用のバトンがついた“元画家のアトリエ”を、三軒家万智(北川)の統括のもと、3チームに分かれて売り出すことになります。
その中で最初に売却に成功したのは、庭野聖司(工藤阿須加)が担当した元画家のアトリエだったのですが、その顧客がゲイだったため、テーコー不動産ではLGBT問題について議論を交わすこととなります。
そんな中、真島みどり(沢井美優)と車田智代(芳野友美)の女性客2人に内見案内をしていた足立聡(千葉雄大)は、彼女たちがレズビアン・カップルであり、それを知った家主が激怒してしまう、という騒動に直面してしまいます。
一方、庭野は、夫・剛史(池田鉄洋)と娘の三人で住む家を探しているというキャリアウーマンの木村真奈美(佐藤仁美)を担当することに。真奈美は仕事で忙しい剛史から物件選びを託されているとのことですが、それを傍で聞いていた万智は違和感を覚え、終業後に庭野を引き連れ剛史が勤務する会社を訪れます。
退社後の剛史を尾行したところ、自宅とは別にマンションを借り、そこでスーツから着物に着替えて、“きょうこ”という女性として過ごす時間を設けていることが発覚します。剛史はトランスジェンダーだったのです。
剛史が女性として生きていきたいと願う気持ちや苦悩を真奈美は理解するものの、思春期の娘への影響を気遣い、家では“男”であることを強要していたのです。そのことを知った万智は、ある秘策を考えつきます。
その妙案とは、庭野ら男性社員たちに女装させ、木村夫妻を“元力士の家”へ案内すること。この奇妙な内見案内に木村夫妻は眉をひそめ、自分たちの苦しみは他人にはわからないと憤るのですが、そこへ万智があらかじめ呼んでいた娘が姿を現し、父親のありのままの姿をすんなり受け入れたことで問題は解決。家を売却することに成功するのでした。
一方、足立が担当するレズビアン・カップルは、同性愛を隠さずに堂々と振る舞いたいという智代に対して、なるべくひっそり暮らしたいというみどりの意見が噛み合わず、なかなか物件が見つかりません。
困った足立は、趣味のフェンシング・クラブで知り合ったフリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)に相談します。すると留守堂は、智代とみどりに“旗竿地”を紹介し、その特異な立地柄から2人の関係性をオープンにするも閉鎖的に暮らすも自由だと半ば強引に説得し、売却に成功。この様子を盗み聞きしていた万智が、留守堂に対して猛烈な対抗意識を抱いたところで今回は終了となりました。
初回はYouTuber、前回はネットカフェ難民と、社会問題に真っ向から挑む同ドラマですが、今回はLGBT問題を取り上げ、課長の屋代大(仲村トオル)がホワイトボードを使って新人社員の鍵村洋一(超特急・草川拓弥)にレクチャーする場面なんかもありました。
その際、同性愛者や異性愛者も含まれるトランスジェンダーの複雑性に頭を抱えた鍵村に対して万智が、「この世に生まれ出た者の命はみな同じ重さです。天才的不動産屋の私の命も足りない頭でやる気もない売買仲介営業課のお荷物・鍵村の命も同じ重さであるように」と、軽く毒を吐く場面があったのですが、万智と鍵村のキャラを踏まえたセリフで笑いを誘いつつ、メッセージ性の強い言葉を際立たせるという、脚本の妙が光った場面でした。
さらに、「人の気持ちなぞ理解できなくて当然だ。理解し合えると思うことこそ傲慢である」と万智が言う場面もあったのですが、LGBT問題が過剰に取り沙汰されることによって逆に息苦しい世の中になってしまう、という警鐘を鳴らしたセリフだったように思います。
一見すると“家売るマシーン”のような万智ですが、営業成績が優れているのは人心を読む力が抜群に高いためであり、だからこそどんな近しい関係であっても完全に理解し合うのは無理だと達観している。けれど、努力して寄り添うことはできるハズだ、との信念や願いを抱いているように感じました。
ただ、1話だけでゲイ、レズビアン・カップル、トランスジェンダーの問題を抱えた家族を描くのは、さすがに盛り込みすぎだったのではないでしょうか。木村夫妻の娘に勝手に父親の秘密をバラし、娘がそれをあっさり受け入れるという展開は、あまりに強引かつ雑すぎだったように思います。
また、それらに加えて足立と留守堂のボーイズラブ風の演出もあり、同性愛についてかなり濃い内容の回となりました。足立の方が回を追うごとに熱を上げている様子ですが、この先、腐女子を狙った演出をプッシュしていくつもりなんですかね。
その一方で留守堂は、万智のことを嗅ぎ回るため足立に近づいているとニオわせるシーンがあり、真の狙いが気になるところ。次週は『団塊VSゆとり』のジェネレーションギャップがテーマとのことで楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)