『インハンド』山下智久、1番かっこいいパターンのギャップでキャラ確立に一歩前進 濱田岳の卓越したコミカル演技が冴える

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第2話が19日に放送され、平均視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.8ポイントダウンとなってしまいました。

 寄生虫学者・紐倉哲(山下)の助手として働くことになった高家春馬(濱田岳)は、その人使いの荒さに辟易。マダニの研究をするも実用的なものとは思えず、モチベーションも上がりません。

 そんな折、ハートランドウィルスに感染したとみられる女性が入院したとの情報が紐倉のもとへ。このウィルスは本来、日本にはいないシカダニを媒介に感染するため、紐倉はその感染ルートに興味を示します。

 感染した女性のマンションを訪ねると、出てきたのは9歳の息子・渉(込江大牙)。母親と2人暮らしのため、今は上階に住む柔道のコーチに面倒を見てもらっているとのこと。部屋の中を物色した紐倉は、渉が犬と一緒に映る写真を発見します。

 その犬は、別居する渉の父・相原光一の飼い犬で、相原は仕事でアメリカと日本を何度も行き来しているため、感染元はここにあるのではないかと紐倉は睨みます。

 そんな中、渉の母親が死亡し、さらに7人のハートランドウィルス感染者が発生。サイエンス・メディカル対策室の牧野巴(菜々緒)の協力を得て共通点を探ったところ、全員が御殿場で開催されたアジリティ(犬の障害物競走)に参加し、その中には相原も含まれることがわかります。

 また、感染者のカラダにシカダニに噛まれた痕がないため、自身は発症せずに周囲の人間に接触感染させてしまう、スーパースプレッダーと呼ばれる特異体質の持ち主がいるのではないかと、紐倉は推測します。

 その最も疑わしい人物である相原のマンションを訪ねたところ、リビングの床に倒れて死体となった状態で発見。手にはアジリティの参加券が握られ、御殿場に行く前に死んだことや、渉が以前から母親には内緒でこっそり会いに来ていたことが発覚します。

 さらに、渉の面倒を見ている柔道のコーチも感染したことで、渉がスーパースプレッダーであることが確定。すぐさま隔離されるのですが、その理由を伝えるべきかどうか、牧野は判断に迷います。

 その姿を見かねた紐倉は、絶対に伝えるべきだと主張。しかしそれは、両親の死を招いた細菌の感染主であることを伝えることにもなるため、あまりにも無慈悲だと高家は激昂し、2人は仲違いしてしまうのでした。

 しかし結局、渉はテレビのニュースを通じて事実を知ってしまい、罪の意識に苛まれて病院から逃走。捜索にあたった牧野と高家は、渉が紐倉の研究所にいることを突き止めます。

 2人が研究所に到着すると、マスコミから“生物兵器”呼ばわりされたことを嘆き悲しむ渉は、再び逃げ出そうとしてしまいます。そんな渉に対し、紐倉が訥々と語り始めたのは、右手を失った経緯。飼い犬が傷口を舐めたことで細菌が感染し、切断するハメになってしまったものの、悪いのは病原体であると話し、ハートランドウィルスの抗体をつくる手掛かりが秘められた渉は今後、人類の救世主になりうるのだから、「生きてくれ」と説得するのでした。

 実は右手を失った経緯は渉のためについたウソだったのですが、紐倉にも優しい心があることを知った高家は、再び助手として働くことを決意。研究所を訪れたところ、義手を外して汗まみれになりながら苦しむ紐倉の姿を発見し呆然……というところで今回は終了となりました。

 前回同様、山下のセリフは聴き取りづらい部分があったのですが、冷淡かと思いきや実は誰よりも相手のことを深く考えている、“悪者、実は良い人”という1番かっこいいパターンのギャップを見せ、キャラ確立に一歩前進した印象でした。美しい顔立ち、渉を説得した時の優しい眼差しで、多くの女性視聴者のハートを撃ち抜いたことでしょう。渉がはしゃいでいたように、ロボット風の義手がヒーロー的な見方をされれば、子どもからの人気もゲットとなるかもしれません。

 その山下に代名詞のドSキャラを奪われ、前回はなんとも中途半端な立ち位置に感じられた菜々緒ですが、今回は保守的な上司のケツを叩き、正義のために奔走して存在感を発揮。見た目はクールながら中身は熱血、という新たなキャラを徐々に作り上げている感じがしました。

 ただ、この2人が活きるのは、卓越した演技力をもつ濱田の存在があってこそ。コミカルな演技はもちろんのこと、渉に対して隔離の説明をするかしないかで紐倉と揉めた時の感情的な演技は秀逸でした。この場面では、紐倉の冷たい発言の裏に何か意図するところがあるのだろうと予想しつつも、視聴者の感情は高家の方へと揺れたことでしょう。渉に真実を教えないことが優しさなのだと。そんな高家の存在によって、紐倉のギャップの振れ幅が何倍にも大きくなる効果が生まれたのだと思います。

 3人が絡むシーンが多くなったことで、前回よりも確実に見応えがアップしました。今後、隠蔽体質の厚労省にどす黒いキャラが登場することで、牧野との敵対関係が生まれ、さらに紐倉と高家が巻き込まれてと、面白い展開になっていくのではないかという予感も。人気シリーズになることを期待しつつ、次回を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『インハンド』山下智久、阿部寛を意識するも失敗? ボソボソしゃべりでセリフが8割聴き取れず……

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第1話が12日に放送され、平均視聴率11.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。好調な滑り出しとなりました。

 医師の高家春馬(濱田岳)が勤務する病院では、心臓発作で突然死する患者が続出。日本では例の少ない感染症・シャーガス病だと疑った高家は、科学機関や医療機関で起きる問題に対処するサイエンス・メディカル対策室に匿名で告発書を送ります。

 その調査にあたることになった牧野巴(菜々緒)は、専門家の意見を求めるため寄生虫学者・紐倉哲(山下)のもとを訪ねることに。しかし、巨大な植物園を改造した自宅兼研究室に引きこもり、自由気ままに研究をする紐倉は、調査に非協力的で興味を示しません。

 困り果てた牧野ですが、紐倉が禁止されたサルを輸入しようとしてパスポートを没収されていることに目をつけ、再発行を交換条件に調査に協力させることに成功。高家が勤務する病院へと足を運びます。

 白衣を持参した紐倉は、牧野が制止するのもお構いなしに医局へ潜入し、高家と接触。心筋梗塞で亡くなった患者たち全員、瞼が腫れあがるロマーナ・サインの症状がでていたことを知り、シャーガス病だと断定します。

 このシャーガス病は、サシガメという虫を媒介にクルーズトリパノソーマという寄生虫が感染することで発症し、その症状が出るのは数時間から10数年まで個人差があります。日本で自然発生することは考え難いのですが、今回の患者の1人・桶矢登が社長を務めるオケヤ食品が10年前に発売した、『チチクチオイル』という美容液がもとで7名が感染死した事件が起こっていたことが発覚。その遺族による復讐なのでは? と推理した紐倉は、高家とともに調査を開始します。

 そして2人は、『チチクチオイル』を使ったことで肌が荒れてイジメを受け、それを苦に自殺した娘をもつ江里口新(風間杜夫)のもとへ。娘の死を今も嘆く江里口に高家は同情する一方、紐倉はというと、庭先でサトウキビを温室栽培していることに気づき疑問を抱きます。

 そんな中、高家が突如として懲戒解雇される事件が発生。『チチクチオイル』は特定保健用食品で、その認可にあたった厚生労働省の倉井雄一(相島一之)と、高家が勤務する病院の院長・黒野秀之(正名僕蔵)がズブズブの関係だったため、口封じのためにクビにされてしまったのです。

 しかし、その倉井は江里口に拉致され、クルーズトリパノソーマが入った液体を突きつけられて、『チチクチオイル』に関する落ち度をカメラの前で認めるよう脅されてしまいます。

 そこへ、江里口がサシガメを育てていると睨んだ紐倉が姿を現し、復讐のためとはいえ見事に整った設備を褒めた上で、倉井たちではなく「シャーガス病を憎むべき」と説得。江里口がこれを受け入れたことで一件落着となり、高家が紐倉の助手として働くことが決定したところで今回は終了となりました。

 山下がドSの変人役を演じるということで注目を集めた今作ですが、恐らく誰もが思ったことでしょう。「山P、もうちょっとハキハキ喋ってよ」と。セリフをボソボソと喋るのは今に始まったことではないですが、今回は変態感を出そうとしているのか、いつにも増して何を言ってるのか不明。イヤフォンを装着しても半分ぐらいしか理解できず、専門用語に至っては聴取不可能。菜々緒と濱田が騒々しいため音量を下げると、山下のセリフは2割ぐらいしか聴こえなくなり、話を追うのに非常に骨を折りました。

 キャラクターに関しても、『ガリレオ』(フジテレビ系)の湯川学(福山雅治)や、『TRICK』(テレビ朝日系)の上田次郎(阿部寛)といった人気ドラマシリーズの変人キャラを継ぎ接ぎにしただけといった印象しか受けませんでした。特に、低く抑えた声や“天才”と自称するあたりは上田のキャラを手本にしているように感じましたが、山下の場合はどこかに照れやカッコつけがあって、阿部のようなユーモアが滲み出てはこないんですよね。やたらアップの画面が多く、美しい顔をただ眺めるだけで良いというファンにとっては最高のドラマなんでしょうけど。

 また、「天才、天才」と自画自賛する割に、それを際立たせるシーンは特になく、ストーリーに関しても一般的ではない感染病を題材にして奇を衒っただけ。娘の復讐をするためにわざわざ引っ越しをして寄生虫を育てるための設備を整えてと、やたらに悠長な江里口の行動も疑問でした。その挙句、どこぞの馬の骨ともわからない、自分の息子でもおかしくないほど年齢差のある紐倉に説得されて号泣という流れは、いくらなんでも無理があったように思えます。

 逆に良かった点は、視聴者の気分を害さないよう、寄生虫についての説明をアニメーションにする配慮や、紐倉に振り回される高家役の濱田のコミカルな演技、ぐらいですかね。菜々緒に関しては、お得意の悪女役ではないものの気は強い、という何だか中途半端な立ち位置。とりあえずまだ初回なので、次回に期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』最終話 どんでん返しを狙い過ぎて雑な展開に 沢村一樹の記憶が戻らないのはシリーズ化へのフラグ?

 沢村一樹が刑事生活20年分の記憶を失ってしまった役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)も今回で最終回。14日に放送され、平均視聴率10.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録しました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、タロットカードの図柄に見立てた2件の殺人容疑で逮捕される直前、ネットニュース記者の外山直澄(粟島瑞丸)が拳銃自殺してしまう事件が発生。その自宅を時矢暦彦(沢村一樹)らが捜索したところ、外山が模倣したとされる、能見冬馬(高橋光臣)が3年前に起こした殺人事件も自身が犯行に及んだという遺書が見つかります。

 また、犯人しか持っていないであろう犯行現場で撮影した遺体写真も見つかったため、能見は釈放されることに。しかしその後、能見を勾留していた留置場の看守・草場友喜(今野浩喜)が、部屋の壁にローマ数字が彫り込まれていることを発見。その連絡を受けた時矢は、6件目の殺人事件を示唆しているのだと直感し、すぐさま能見の元へと向かいます。

 しかし、能見はすでに何者かに殺された後でした。捜査に行き詰まってしまった時矢は、元妻で能見の弁護人でもある奥畑記子(財前直見)に頭を下げ、犯罪心理学の権威・藤林経子教授(南果歩)による能見の精神鑑定書を見せてもらうことに。すると意外なことが発覚します。

 前回、時矢が面会した時には、藤林は能見の心神喪失の可能性は低いと語っていたものの、鑑定書には「高い」と記されていたのです。さらに、これまでの殺人事件のターゲットになった人物らが全員、藤林から精神鑑定を受けたことや、彼女自身と能見、外山がいずれも過去に事件や事故で家族を失い、その加害者が後に死亡したという共通点も判明するのでした。

 それらの事実から時矢は、“復讐を果たせなかった加害者の人数分、殺人事件で不起訴になったターゲットを身代わりに裁きを下す”ことができるという論理のもと、藤林らが犯行を重ねていたのではないかと推測します。

 さらに、能見から突き落とされ、記憶を失った事件の現場であるビルの屋上へ足を運んだ時矢は、落下する直前に能見から、殺人事件の容疑者らに罪を下せなかったのは「刑事の罪」だと言われたことを思い出し、罪悪感にとらわれるのでした。

 そんな時矢の様子が気がかりな相棒刑事・佐相智佳(瀧本美織)は、ふとした瞬間に時矢を見失ってしまい、連絡が繋がらず途方に暮れてしまいます。するとその夜中、藤林が教授として在籍する大学へ来るよう時矢から連絡があり、嫌な予感を抱きつつ構内へ向かったところ、腹部を刺された藤林の遺体と、血が付着したナイフを握りしめる時矢の姿を発見。犯行時のことが記憶にないという時矢ですが、状況的に犯人とみなされて留置場へ送られてしまいます。

 智佳たちはショックで落ち込むのですが、そこへ時矢から封筒が送られてきます。その中には、タクシーに乗って大学まで向かう様子を撮影したペン型のカメラが入っていて、時矢が構内に到着した時にはすでに藤林が殺されていたことや、何者かに後頭部を殴打されたために昏倒し、目が覚めた時には血の付着したナイフを握りしめさせられていたことが映されているのでした。

 アリバイが証明されたことで釈放された時矢は、マスコミに囲まれ揉みくちゃに。その混乱の中、何者かにナイフで腹部を刺されるものの、犯人の手を掴んで放しません。そこへ駆けつけた智佳たちが取り押さえた犯人は、留置場の看守・草場。時矢は以前、能見から、「郵便配達に気をつけろ」という謎の忠告をされたことがあるのですが、それが“犯人には思えない普通の人物にこそ注意しろ”という意味だと気づき、署から出る前に防刃ベストを着用していたため致命傷を免れたのです。

 その後、取調室にて、容疑者たちがまったく反省の色を見せない姿を目の当たりにして我慢できず犯行に及んだ、という草場の供述を引き出した時には、記憶を失う前の状態に戻ったかと思われた時矢ですが、結局記憶は戻らないまま。シリーズ化をニオわせたところで終了となりました。

 さて感想ですが、前回のラストから怪しげな存在として登場し、今回の序盤も黒幕だと思わせる演出がてんこ盛りだった藤林があっさり殺害され、草場が真犯人というのは、視聴者の裏をつくことだけが目的の薄っぺらく雑な脚本だと感じました。

 反省の色が見えない容疑者たちに腹が立つ気持ちはわかりますが、それが連続殺人を起こすほどの動機になりますかね。また、“復讐を果たせなかった人数分、殺しをする”という論理も理解に苦しみます。タロットカードの意味を持ちだしてもっともらしくこじつけていましたけど、無理やり感が半端なかったです。

 それと、「郵便配達に気をつけろ」というメッセージは、ミステリーの古典小説からの引用とのことですが、能見がなぜ時矢にそんなことを言ったのかもよくわかりません。時矢に回りくどいヒントを与えておちょくっていたということなんですかね?

 また、“目立たない人間”に気をつけろというのであれば、もう少しキャスティングに気を遣った方が良かったのではないかとも思いました。草場役の今野は個性的な顔ですし、他の作品で犯人やミスリード役として登場することが多いですから、何の意味も持たずに出演することはないとすぐに予想がつきます。

 藤林に会いに行く時、時矢がなぜ隠しカメラで撮影していたのかもよくわからなかったのですが、このドラマは今回に限らず全体的にご都合主義な演出が目立ちました。記憶を失う前は誰からも一目置かれる存在だった時矢が、新人の智佳に尻に敷かれる、という関係性はシリーズ化向きの面白さがあるだけに、次作があるならばもう少し謎解き部分にも注力してもらえたらと思います。
(文=大場鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』最終話 北川景子、社長就任&ママになり、次シーズンが楽しみな結末に

 北川景子が不動産業界を舞台にスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)も今回が最終回。13日に放送され、平均視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と有終の美を飾りました。

(前回までのレビューはこちらから)

 フリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が三軒家万智(北川)にフラれ、姿を消してから1年。テーコー不動産新宿営業所は平穏な日々が続いていたのですが、外資系の競合会社・リッチブラスト不動産の急成長によって市場を奪われ、このままでは渋谷営業所に吸収されてしまうというピンチを迎えます。

 ライバル社に対抗すべく営業を強化するものの、AI(人工知能)を駆使したリッチブラストに歯が立たず。しかも、そのAIの戦略が万智にソックリだと気づき、庭野聖司(工藤阿須加)と足立聡(千葉雄大)が潜入捜査をすることになります。

 すると、同社の最高執行責任者に上りつめた留守堂が姿を現し、AIに万智の営業ノウハウを組み込んだと告白。さらに、住人の高齢化が進む集合住宅群・新宿ガーデンハイツから住人を追い払い、都市型リゾートタウンに再開発するつもりだと語るのでした。

 その新宿ガーデンハイツに足を運んだ万智は、リッチブラストからの立ち退き要求に抵抗する最後の住人となった藤見明(笹野高史)と譲(本田博太郎)の老兄弟に相対したところ、なぜか緊張でしゃっくりが止まらなくなります。

 実は藤見兄弟は30年前、7人組のマジシャングループ・マジック7の一員として一世を風靡し、当時ファンだったため、万智は緊張したのでした。

 そして、憧れだった彼らの生活を守るため、新宿ガーデンハイツの敷地内にある廃園になった保育園を復活させ、保育時間外はリタイア後のシニア世代の住人が子育てに協力する全世代参加型の施設にリニューアルするプランを打ち立てるのです。

 しかし、そのプラン実行に要する資金はザっと見積もって100億円あまり。しかも利益が出るかは不明ということで、暗礁に乗りかかってしまいます。そんな中、リッチブラストから高額の立ち退き金を提示された譲が折れ、住人は明のみとなってしまうのでした。

 一刻を争う事態となったことで、万智はテーコー不動産の社長(舘ひろし)に直談判し、ある交換条件で100億円の予算を確保。さらに全国へ散らばったマジック7の元メンバーに会いに行き、新宿ガーデンハイツで開催するイベントへの出演を依頼するのでした。

 そんな万智の行動を察知した上層部から、ネット上でテーコー不動産の風説流布をするよう命じられた留守堂は、その命令に従いはするものの汚いやり口に嫌気がさしてしまいます。

 一方、万智たちは風評被害を逆手にとり、マジック7のイベントをPR。マジシャン7人も無事に集まり、あとはショー本番を迎えるばかり、となったところで譲がケガをしてしまうアクシデントに見舞われてしまいます。

 急遽、明が中に入る箱にサーベルを刺す、という役を譲の代わりに務めることになった万智ですが、緊張でしゃっくりが止まらなくなってしまいます。しかし、そこへ留守堂が登場し、代役を華麗に務めてイベントは大成功に終わるのでした。

 無事に存続が決定した新宿営業所ですが、万智はというと、100億円の予算を出してもらうのと引き換えに社長職を受け継ぎ、今までのチーフ業と兼務することに。おまけに妊娠も発覚し、おめでた続きで終了となりました。

 前シーズンは全話平均視聴率11.6%を記録したものの、放送からすでに2年以上の歳月が経過。おまけに、前クールに放送された『獣になれない私たち』が、新垣結衣を主演に迎えての全話平均視聴率8.8%と振るわなかったため、今回は苦戦するのではないか、との前予想がありましたが、今回も全話で11.5%と人気ぶりを証明しました。

 続編で懸念されたマンネリ化を防いだのは、留守堂役の松田の存在でしょう。小学生の時に恋した万智を追って不動産業界へ飛び込み、フラれた腹いせにライバル社の上層部にまで上りつめて邪魔をする、というメチャクチャな奴ですが、足立の乙女心を掻き乱す天然な言動や、仕事は抜群にできるものの日常生活ではおとぼけ感が満載というギャップは、ドラマの良きアクセントになっていました。

 松田に対しては今までイケメン俳優という認識しかなかったので、パッと見はスマートながらも世間ズレしたユニークな役を演じられるというのは新鮮な驚きでした。細かい指摘をするならば、ピアスの穴がキャラの邪魔をしてたかなぁと。また、今シーズンのテーマである、“仕事と家庭の両立に奮闘する万智”の邪魔をする役回りを印象深く演じただけに、そのイメージが足かせとなり、続編があるならばレギュラー出演はちょっと難しいのではないかとも感じました。

 一方、社長に就任したことで万智の行動範囲や裁量は格段に広がりますから、続編ではさらにスケールの大きな家売る姿が見られることでしょう。年齢的に北川が実生活においても妊娠・出産する可能性はありますから、数年のブランクが空いてしまうかもしれませんが、それはそれで“ママ・万智”とリンクしてリアリティーが生まれることでしょう。テーコー不動産の他の面々の成長も楽しみですし、次作を期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』南果歩が怪しげな役で登場も声に違和感 沢村一樹、最終回で松田優作のパロディ!?

 沢村一樹が刑事生活20年分の記憶を失ってしまった役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第9話が7日に放送され、平均視聴率11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.3ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、元妻で弁護士の奥畑記子(財前直見)に記憶喪失になったことがバレてしまい、1週間以内に辞職するよう勧告されてしまった時矢暦彦(沢村)。なんとか記憶を取り戻そうとするも、連続殺人犯・能見冬馬(高橋光臣)にビルから突き落とされる直前の記憶を思い出したところで、何らかの強いストレスがかかってしまい、記憶を取り戻せません。

 そんな中、その能見が過去に起こした3つの事件同様、タロットカードの図柄に見立てて死体を遺棄する殺人事件が発生。しかし能見は現在、勾留中の身です。以前の3件と今回の事件の被害者は、いずれも殺人事件で逮捕された後に起訴猶予や不起訴などで釈放された、という共通点があることを見出した時矢は、能見がライターとして勤めていたインターネットニュース配信社の司法担当記者・外山直澄(粟島瑞丸)などにあたり、模倣犯になりうる怪しい人物がいないか調査を開始します。

 その結果、“罪を逃れた”人々の名前が載ったリストを発見。そこには、それぞれが釈放された理由も明記されているのです。

 さらに時矢は、記憶を失ってから初めて能見と接見することになるのですが、その席で能見から、事件がこの先も続くことを示唆されます。また、殺人事件は「秩序の回復」のためであり、その理由を時矢も知っているハズだと言われたため、ビルから突き落とされる直前に能見から何か耳打ちされたことを薄っすら思い出すのですが、やはり強烈なストレスがかかってしまい、それ以上は思い出せません。

 その後、能見の弁護を担当するのが奥畑だと知った時矢は、そのツテで、能見の精神鑑定をしている犯罪心理学の権威・藤林経子教授(南果歩)に会いに行くことに。そこで藤林から、能見は快楽のためではなく、義務感や秩序を重んじることを動機として殺人を犯したことを知らされるのでした。

 そんな中、奥畑と接見した能見が、「もうすぐ人が降る」と、次の事件が起こることを予言。時矢は、連続殺人事件の被害者たちがいずれも違う理由で釈放されたこと、それが犯人のターゲット選びのこだわりなのだということに気が付き、リストの中から該当者を見つけ出します。

 ところがひと足遅く、フードをかぶった何者かが、その該当者をビルの屋上から落下させて殺害。時矢は謎の真犯人を追い詰め、その正体が外山であることを突き止めるのですが、そのまま逮捕か、と思われたところで外山が拳銃を取り出し自殺してしまうのです。

 そしてその映像にかぶせ、研究室で藤林が、「能見は心神喪失。刑事責任能力を問うことは不可能」と意味深に呟き笑う姿が映し出されたところで今回は終了となりました。

 次回で最終話ということで、今回から一気にクライマックスへ突入。時矢の記憶喪失のカギを握る能見がようやく絡んできて、ラストを盛り上げるための人物や要素が次々と投入される回となりました。

 その中でも特に怪しげな存在として登場したのが、南果歩が演じる藤林。『ハンニバル』(2001)のレクター博士のように精神科医が犯罪者になってしまったパターンなのでは? 能見らを裏で操っている首謀者? と思わせる役どころです。

 実際に犯罪に関わったのかはともかくとして、キーマンとして登場した南ですが、ヘリウムでも吸ったかのような高い声が気になってしまい、ラストで意味深に呟くセリフなども集中して聞けませんでした。こんな声の人だった!? と気になり過去作を調べましたが、どうやら役作りのために意図して変えているようですね。う~ん、余計な小芝居といった感が否めませんでした。

 一方、時矢がビルから落下する直前に能見から耳打ちされた話は何だったのか、記憶を取り戻す障害になっているストレスとは何なのか、という点は気になるところです。“秩序”に関することらしいので、時矢本人か同僚の誰かの汚職絡みですかね。

 または、時矢の妻・奥畑に関連したことかもしれません。元夫が逮捕した容疑者の弁護を担当するって何か違和感があったんですよね。無理やりストーリーに捻じ込んできたような感じがしました。連続殺人の被害者たちが逮捕された時に釈放されるよう尽力したのが奥畑だったのではないか。その時に法の秩序を乱すような、何らかの裏取り引きをしたのではないか、という気がしないでもありません。

 何はともあれ、次回ですべてが明らかになることでしょう。予告動画では、時矢が腹部をナイフで刺され両膝立ちする場面も。まるで、名作ドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)で松田優作が演じたジーパン刑事が、「なんじゃこりゃあ!」と殉職したシーンのパロディのような演出ですが、その運命はいかに。次週を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』北川景子の美貌を引き立たせるための演出が残酷? 松田翔太の謎の“逆恨み”でクライマックスへ突入

 北川景子が不動産業界を舞台にスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第9話が6日に放送され、平均視聴率10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回と同じ数字になりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回、三軒家万智(北川)が担当することになったのは、高齢の母・静江(松金よね子)のために家の購入を考える独身女性の馬場礼子(酒井若菜)。しかし、静江は長年住むアパートの近所づきあいを大切にし、引っ越しを望んでいないのです。

 一方、万智の部下の庭野聖司(工藤阿須加)は、設計デザイナーの真壁(入江甚儀)のデビュー作という築45年の古家をフルリノベーションした家を売るべく奔走。しかし、お風呂の壁がスケルトン仕様など、妙にこだわりの強い内装のためまったく売れる気配がありません。

 その2人とは対照的に、フリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)へのボーイズラブ的な想いを断ち切った足立聡(千葉雄大)は、営業成績をガンガン伸ばしていきます。出産間近の新垣夫妻を担当することになり、ちょうど留守堂が、夫と離婚予定の迫田のぞみ(小野真弓)から新築物件の売却を依頼されていることを知ったため、新垣夫妻にその家を紹介する手筈を整えます。

 しかし内見当日、のぞみの夫・祐樹(永野宗典)がタイミング悪く帰宅。ヨリを戻したいと懇願したため、のぞみが離婚予定だということを新垣夫妻が知ってしまい、「縁起が悪い」との理由で購入を見送ってしまうのでした。

 一方、古家を売れずに悩む庭野に対し、万智が代わりに売ると宣言。ところが、床を全面畳にするリノベーションをすると言い出したため、デビュー作を売りたいと意気込む真壁の気持ちを知る庭野は困惑してしまいます。

 そんな庭野に対し、「友情ごっこで家は売れない」と諭した万智は、再びリノベーションした家を馬場母娘に紹介。実はその古家は、静江が住むアパートのすぐ近くにあり、ご近所との関係性も継続できるとあって、売却に成功するのでした。

 その一方で足立は、近所に子持ち家庭が多いという環境が、共働きの迫田夫妻にとって精神的なストレスになっているのではないかと臆測。ヨリを戻した2人に対し、住み替えをするよう提案します。そして当初の予定通り、その家に新垣夫妻が住むことになり、一件落着となったのでした。

 足立が営業マンとして完全復活したのに対し、留守堂はというと、小学生の時から憧れを抱く万智への想いと、その夫・屋代大(仲村トオル)への嫉妬心に悩まされスランプ状態。母校の小学校へ万智を呼び寄せ、自分の気持ちを打ち明けようとします。

 ところが、“小学校の時にプールで溺れ、人工呼吸してもらったことで好きになった”という留守堂の話を、万智は勘違いだと指摘。実際に留守堂を助けたのはヤマダカズコという女性だというのです。

 そして、そのカズコがその場に現れたことで、長年の勘違いと彼女の容姿(?)にショックを受けて失神してしまう留守堂。目が覚めた時、万智への怒りの念が湧き起こったところで終了となりました。

 今回は、日本社会に蔓延する“こうあるべき”という見えない鎖に縛られ、身動きがとれなくなってしまった人々を描いた回となりました。馬場母娘には、『子どもは親孝行すべき』という義務、迫田夫妻には、『夫婦は子どもをつくるべき』という重圧です。

 正確にいえば馬場母娘に関しては、礼子は感謝の気持ちから母親との同居を望んでいるものの、静江の方が娘の押しつけがましさを感じてしまっている、といった感じでした。本人が引っ越しを望まないのであれば放っておけばいいのでは? とも思いましたが、そこはスーパー営業ウーマンの万智。アパートからすぐ近くの物件を紹介しただけでなく、“内装は顧客ありき”であることを庭野と真壁に伝えることにも成功し、見事な手腕を発揮しました。

 万智が“家売る至上主義者”なのに対し、足立は顧客の幸せを考えてベストな選択肢を提案するのがモットー。これまでは留守堂への恋に悩み、営業成績が落ちてしまっていましたが、今回は完全復活を果たし、今シーズン最も魅力的な回となったのではないでしょうか。

 その一方、万智への恋に悩み、存在感が薄くなってしまったのが留守堂。ヤマダカズコと自分とを勘違いしていた、というのはもしかしたら、万智が留守堂を傷つけないために用意した嘘だったのかもしれません。いずれにしても、カズコの姿を見た瞬間にショックで卒倒してしまうという演出は、失礼きわまりないと感じました。北川景子の美貌を引き立たせるためか、カズコ役の女性にわざわざブスメイクを施していたのも残酷な演出だったと思います。

 また、留守堂はなぜか万智に対し逆恨みをするのですが、その心のメカニズムが今ひとつよくわかりません。恐らく、次回が最終回ということで、何が何でも万智と対立させる展開にしたかったのでしょう。今までのおとぼけっぷりを見る限り、留守堂に敵役は難しいような気がしますが、とりあえず来週の放送を待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』瀧本美織のファザコン発覚? 沢村一樹との絆が深まる回に

 沢村一樹が刑事生活20年分の記憶を失ってしまった役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第8話が先月28日に放送され、平均視聴率9.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.7ポイントダウンで、初の1ケタ台となってしまいました。

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 今回、京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)が捜査するのは、精密ガラスメーカー『京極硝子産業』を定年退職したばかりの元研究室室長・三宅鎮男(篠塚勝)が自宅で殺害された事件。元部下の金戸直実(小倉久寛)が逮捕されるのですが、時矢の相棒で新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の実の父親であることが判明し、課内に動揺が広まります。

 金戸は17年前、社の機密情報の流出問題で告訴され、不起訴処分になったものの退社。京都地検の公判検事である妻・貴和子(かとうかず子)と離婚し、智佳の前から忽然と消えてしまったというのです。

 しかし、身内が容疑者ということで智佳は捜査から外され、時矢は同僚の福知市郎(寺島進)と久しぶりにバディを組み、事件の調査を開始します。

 まず殺害現場である三宅の自宅を訪れた時矢は、遺体が将棋の『歩』の駒を握りしめていたことから、『ときん(歩が成ること)』、つまり『金戸』が犯人だとするダイイング・メッセージなのではないかと推測します。

 さらに、『京極硝子産業』へ足を運び、17年前に金戸の部下で、現在は研究室室長を務める吉原に事情聴取。機密情報の流出問題が浮上した際、リサーチ会社に金戸の身辺調査を依頼した結果、社外の人間と交流する姿が目撃されたものの、相手の人物が特定できなかったために不起訴処分になったことや、その後、金戸と三宅が話し合う姿を見かけた、という証言を得ます。

 17年前の逆恨みによる殺害だったのではないか。そう考えた時矢は、勾留中の金戸に会いに行くのですが、金戸は事件当夜、三宅の自宅へ行く約束をしていたものの、直前になってスポーツバーで待っているよう三宅からメールが来たため予定を変更。そして、そのバーでサッカー・京都パープルサンガのユニフォームを着た美女に話しかけられたため、彼女を見つけることができればアリバイが証明できると語るのです。

 その謎の美女の行方を探るべくスポーツ・バーへ足を運んだ時矢は、店員がスマホで撮影した写真にユニフォーム姿の美女の横顔と背中が写っていることを発見します。しかし、それ以上の手掛かりは掴めず、捜査は行き詰まってしまうのでした。

 ところが、福知の計らいで捜査に加わることになった智佳が、ユニフォームの背中に貼られた『YOSHIMI』という文字を見て、サンガにそのような選手がいないことに気づき、捜査は新展開を迎えます。

 ユニフォーム制作会社を経由し、行き着いた先はリサーチ会社。そこに勤める女性・吉見(片山萌美)が何者かに依頼され、金戸をホテルへ誘うよう指示されたものの、金戸が応じなかったために失敗したことや、そのリサーチ会社は17年前の事件の調査を請け負っていたことが発覚します。

 その結果、三宅殺しの犯人は、『京極硝子産業』の研究室室長の吉原であることが判明。実は17年前の機密情報の流出は、三宅がタクシーに資料を置き忘れたことが原因だったものの、新製品開発を優先させるために金戸が代わりに責任を負い、志願退社したのです。このことを心苦しく思っていた三宅が回顧録に真実を書き記し、それが世に知られることを恐れた吉原が殺害に至ったというわけだったのです。

 また、家族に迷惑がかかることを恐れた金戸が、自ら離婚を切り出したこともわかり、真実を知った智佳は号泣。そこへ貴和子が姿を現し、久しぶりの家族水入らずとなったところで終了となりました。

 このドラマ、これまでの回でも解決へ至る過程において、「ん? え? なんで?」と首を傾げてしまうことが多々あったのですが、今回は今まで以上にツッコミたくなる点が多かったように感じます。

 まず、三宅が将棋の駒を手にしたことによるダイイング・メッセージ。これは結局、金戸が犯人ではないことを示していたらしいのですが、死の間際にこんな手の込んだ(しかも、結果的に金戸に容疑がかかってしまう傍迷惑な)ことをしますかね。推理小説などでは、読者を欺く巧妙なミスリードが仕掛けられたりしますが、これはいくらなんでも強引だと思いました。

 また、吉原は金戸のアリバイをなくすため、ホテルへ誘うよう吉見に依頼したとのことですが、防犯カメラなどに映るためにむしろ逆効果。古典的ミステリーの名著『幻の女』のオマージュなのでしょうけど、謎の美女の登場ありきでプロットを組み立てたために完全に不自然な展開となってしまった印象です。

 その結果、時矢たちの捜査をリサーチ会社へ向かわせるため、背中に『YOSHIMI』と貼り付けた特製ユニフォームを吉見がわざわざ用意して着たという、アホな演出を講じなければいけなかったわけなんですよね。

 謎解き部分は粗だらけでしたけど、父親への誤解が解けて号泣した時の瀧本の演技は、感情がしっかり入っていて素晴らしかったと思います。また、記憶喪失になってからの時矢と父親が似ているとポロっと口に出す場面がありましたけど、これまで時矢にチクチクと小言を漏らしていたのは、父親への愛憎半ばの気持ちを代わりにぶつけていたのかもしれませんね。

 どうやらファザコンらしき智佳と、マイペースな時矢のコンビは回を追うごとに自然なものになってきました。次回から最終章へ突入。クライマックスへ向けて盛り上がることを期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』イモトアヤコが日本テレビに忖度されすぎてストーリーの邪魔に?

 北川景子が不動産業界を舞台にスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第8話が27日に放送され、平均視聴率10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.8ポイントダウンとなりました。

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 三軒家万智(北川)が復帰したことで営業成績を伸ばすテーコー不動産・新宿営業所ですが、その部下の庭野聖司(工藤阿須加)は、いつまでもパシリのような役回りに悩みを抱きます。

 そんな中、来店した棟方幸子(南野陽子)とその娘のすみれ(大後寿々花)を担当することになった庭野。家は共同名義で、幸子はケーキ教室兼ケーキ屋を開くために家の売却を考えているものの、堅実な生き方を好むすみれは反対し、話がこじれてしまっている様子なのです。

 実は庭野も、亡くなった母親が遺した家を父・茂雄(泉谷しげる)と共同名義で所有し、毎月仕送りをさせられるなど苦労しているため、自然とすみれの方へ肩入れしてしまいます。

 ところが、その茂雄が突如として静岡から上京。たこ焼き屋を始めるために家を売りたいと言い出し、それを万智が手助けすると乗り出したものだから、庭野は戸惑ってしまいます。

 一方、万智の夫・屋代大(仲村トオル)は、行きつけのスーパーマーケットの店長・三郷楓(真飛聖)と街中でバッタリでくわし、危うくラブホテルに連れ込まれることに。しかし、直前で満室になったことを口実になんとか逃げ、不倫を回避するのでした。

 しかし、この様子を元部下の白洲美加(イモトアヤコ)が激写し、不動産営業時代にこき使われたことで恨みを抱く万智に復讐すべく、カフェへ呼び出して写真を見せつけます。

 何も動じていないと思われた万智ですが、棟方母娘に対し、今の家を売って別々に暮らすよう提案しようとした際、不倫のショックによって一時的に失声症に陥ってしまいます。

 しかし、これを庭野がすかさずフォロー。親離れ子離れするよう棟方母娘に諭すことで窮地を脱し、“万智の代わりに家を売った”という成功体験によって自信を得ます。また、棟方母娘と接したことで、自身も父親とこれまでとは違う距離感で接するべきだと思い改めるのでした。

 そして、心配された万智の声も戻り、屋代の不倫も誤解であることが判明。夫婦関係が修復したところで終了となりました。

 今回は棟方母娘と庭野親子の関係性を軸に、親離れ子離れがひとつのテーマとして描かれましたが、正直ちょっと薄っぺらいエピソードに思えました。解決方法にしても、別々に住めばいいという安直な策でしたし、あまり掘り下げられていなかったように思います。

 幸子と茂雄をもっと毒のある親に描いていれば違う展開になったのかもしれませんが、「面倒くさそうな親だなぁ」ぐらいにしか感じなかったんですね。だから、庭野にもすみれにも特に感情移入することなく、それがテーマの弱さに繋がったのだと思います。

 その一方で、1stシーズンから“サンチー(万智の愛称)の犬”状態だった庭野の成長、というもうひとつのテーマは見応えがありました。特に最後、声が出なくなってしまった万智の代わりに棟方母娘に熱弁してブレークスルーするくだりは、仕事上で同じような悩みを抱える視聴者のカタルシスになったのではないでしょうか。

 ところで、その万智が一時的にせよ声を失うきっかけをつくった楓のキャラの描き方が本当に雑だと感じました。今まではお淑やかな性格だったものの、今回はラブホの前に来た途端に鼻息を荒くさせて屋代を連れ込もうとする肉食ぶり。前回のレビューにも書きましたが、万智と屋代の仲を引き裂くためだけに用意されたコマにしか思えませんでした。

 そして、その不倫未遂の写真をわざわざ万智に見せつけた美加ですが、正直、このキャラってドラマに必要なのかな? と初回から疑問でした。1stシーズンではテーコー不動産の無能社員という役割があったものの、すでに退職しているために今シーズンはまったく関係なし。それなのに毎回、出演シーンががっつり用意されていて、これが邪魔くさくてしょうがない。ドラマのテンポを思い切り崩してしまっています。

 イモトは人気バラエティー番組『世界の果てまでイッテQ!』(同)で人気を得、いわば日テレのお抱えタレントともいえますから、局側が気を遣っているのでしょう。しかし、何をやっても“イモトアヤコ”なんですね。今回、喫茶店内でウェイトレスから咎められても無視して大声で電話で話すシーンがありましたけど、タレントとしてせっかく好感度が高いのに台無しです。女優業は諦めてハンター業を続けた方が本人にとっても有意義なのではないかな、と思いました。

 そんな美加の妨害にも負けず、夫婦仲を取り戻した万智と屋代。残すところ2話となりましたが、このまま仕事も家庭も円満に、となるのか次回を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』沢村一樹と瀧本美織の名コンビぶり&阿部進之介の存在感が際立つ

 沢村一樹が刑事生活20年分の記憶を失ってしまった役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第7話が21日に放送され、平均視聴率10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.7ポイントダウンとなりました。

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 記憶喪失に加え、几帳面からズボラへと性格まで変わってしまった京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)。以前の彼に憧れを抱いていた新人刑事の佐相智佳(瀧本美織)は幻滅し、ついつい小言を漏らしてしまったことで仲違い。今回は先輩の内海念也(横山だいすけ)とコンビを組むことになります。

 そんな中、バレンタインデーの午前0時に全国各地で7人の女性が同時に自殺を図り、立花みずきという女性以外全員が死亡する事件が発生。その現場にはいずれも、イギリスの詩人・ウィリアム・ブレイクの詩集『無垢の予兆』が置いてあったのですが、3年前に時矢が担当した事件と酷似しているのです。

 そして、3年前に時矢とともに捜査に当たった、警視庁捜査一課の山之辺裕作・刑事(阿部進之介)が姿を現し、再び共同戦線を組むことに。以前の事件では、自殺者たちが全員、失恋者専用のサイトにアクセスし、“セブン”と名乗るサイト管理人・川上昇(亀山貴也)が言葉巧みに自殺へと誘導したのですが、その川上は逮捕直前に服毒自殺し、パソコンのデータも消去されてしまったとのことです。

 今度の事件の犯人は誰なのか? 時矢と山之辺が刑事部屋で推理を巡らす傍ら、月影カレンというアニメ・キャラクターの声を担当するVTuber・田所健三(須藤公一)の失踪事件を追う智佳と内海は、突如としてカレンの生配信が始まったことに驚きます。

 さらに、その画面の背景に『無垢の予兆』からのフレーズや、「今は亡き7人に捧ぐ」というテロップが流れたことで時矢が反応。田所が真犯人なのでは? と疑うのですが、その配信は途中でホテルの室内の画像へと切り替わり、田所らしき男が何者かに襲われ血だらけになる姿が映し出されたところで途絶えてしまいます。

 画面に一瞬だけ見えた窓の外の景色によってホテルを特定した時矢は、現場へと急行し、サカキバラという男を逮捕。カレンの声を担当するのが中年男性ということが許せなかった、というのがサカキバラの犯行理由なのですが、田所がカレンの声優だとなぜわかったのか問い詰めたところ、認知心理学者・兵藤幸雄(石橋蓮司)が代表を務めるオンラインサロンでの繋がりがあったことが判明するのです。

 そこからさらに、同サロンに川上も在籍していたことが発覚。時矢と山之辺、智佳の3人が兵藤の元へ向かい問い詰めたところ、3年前の事件は7人の教え子たちがコーチング技術を試すべく“セブン”と名乗り、それぞれが共通する趣味をもつ女性をターゲットに自殺へと追い込んだことを白状します。

 しかし、それでは今回の事件の犯人は誰? となったところで突然、山之辺が兵藤に銃を突きつけます。実は3年前の事件で意識不明になった立花みずきは生き別れた妹で、今回の事件はセブンを炙り出すために彼が仕組んだものだったのです。

 そのことに薄々勘づいていた時矢は、冷静になるよう説得を試みるのですが、山之辺の決意は固く、邪魔をするなら撃つと銃口を向けられてしまいます。

 しかし、お互いに庇い合う時矢と智佳の姿に、昔の自身と妹の姿を重ねた山之辺は殺意を喪失。残り5人の犯人たちを逮捕するよう時矢に託したところで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、妹を自殺未遂へと追い込んだ犯人たちを捜すため、刑事が同じ罪を犯すという展開は、リアリティーの観点(倫理的にも)においてどうなの? と違和感を覚えてしまいました。

 ただ、それを演じた阿部自体はリアルそのもの。血なまぐさい事件を見つめ続けてきたことで厭世観を抱き、くたびれた雰囲気はあるものの、妹の復讐という一点だけには静かに怒りの炎を燃やす中堅刑事役を圧倒的な存在感で演じていました。

 阿部が重厚な演技を見せたからこそ、時矢と智佳の子どもじみた意地の張り合いの面白さが引き立ち、緩急のバランスがこれまでで一番優れた回に思えました。

 時矢のことを「おっさん子ども」のようだとなじり、机の上を整理整頓しろと命じるなど、まるで母親面の智佳ですが、時矢と言い争いをしている時は自身も子どもそのもの。回を追うごとに名コンビになってきてますね。だからこそ、山之辺に殺意を失わせた、お互いにムキになり庇い合うシーンが印象的かつ説得力のあるものになっていました。

 ところで今回、サカキバラが田所を殺した理由として、カレンが中年のおっさんによる“バ美肉(バーチャル美少女受肉)”だったからと告白していましたが、VTube市場は昨年頃から急速に勢いを増しているだけに、いずれ同じような事件が現実に起こるのではないかとちょっとゾッとしました。

 それと兵藤が、「現代は悪意が可視化されやすくなった」と口癖のように語っていましたけど、それは反対なんじゃないかな、と感じました。ネットを隠れ蓑にした闇取引が横行しているため、事件が起きることで初めてさまざまな悪意が表出する複雑な時代になったのではないかなぁ、と思います。

 何はともあれ、次週8話目ということでクライマックスに近づきつつあります。時矢の記憶は蘇るのか否か、放送を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『家売るオンナの逆襲』ぶりっこワーキングマザーにゲス不倫を企むスーパーの店長……鬱陶しいキャラ祭りに?

 北川景子が不動産業界を舞台にスーパー営業ウーマンを演じるドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の第7話が20日に放送され、平均視聴率11.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.2ポイントダウンとなりました。

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 今回、輝く女性社員の活躍をPRするために会社が立ち上げた『ウーマンプロジェクト』のメンバーに選ばれた三軒家万智(北川)は、企画開発課でキャリアを築く朝倉雅美(佐藤江梨子)、子ども2人を育てながら働く宇佐美サキ(佐津川愛美)と打ち合わせを行うことになります。

 ところが、時短勤務のサキは会議の途中で帰宅。結婚しているものの子どもをつくらずキャリアアップを優先する雅美には、仕事をないがしろにするような態度が許せません。2度目の会議でもサキは途中で席を外したため、雅美との溝は深まるばかりとなってしまいます。

 そんな中、万智が雅美に新居として紹介した物件が、フリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)からサキが仲介された物件とダブっていることが発覚。2人ともその物件が気に入り、仕事上でのイザコザもあいまって、お互いに譲ろうとしません。

 というわけでいろいろと話し合った結果、万智と留守堂のボーリング対決によって、購入権を争うことになるのですが、万智はボーリングがド下手。かつての部下・白洲美加(イモトアヤコ)にコーチを頼み、「ウンチ(運動音痴)野郎」などと罵られながらも猛特訓を重ねます。

 そして迎えた決戦。万智は僅差で勝利し、雅美が新居を手に入れます。敗れてしまったサキは、仕事と子育てが両立できる物件をまたイチから探さなければならなくなってしまうのです。

 しかし万智は、サキへのフォローも忘れません。サキの旦那の会社に新しく託児所ができることを調べ、その会社に近い物件をサキに紹介。子育ては女性だけでなく男性も負担すべきだと提案することで、家を売ることに成功するのでした。

 一方、仕事に邁進する万智に構ってもらえず寂しさを抱えていた夫・屋代大(仲村トオル)は、美加がパート勤めするスーパーマーケットの店長・三郷楓(真飛聖)への浮気心を抱き始めます。その異変を万智が察知し、夫婦間に不穏な空気が流れたところで今回は終了となりました。

 今回、雅美とサキの衝突を他人事ではないと感じた視聴者は少なくなかったかもしれません。ワーキングマザーが途中で仕事を切り上げて帰ってしまい、その分のフォローをしなければならなくなった場合、他の社員の不満は募り、ギスギスした空気が流れたりもするでしょう。

 ただ、サキの方を一方的に悪く描いていた気がしてならないんですよね。長引きそうだと予想できる会議を業務が終了する30分前にスケジューリング。雅美の提案にケチをつけ、反対するなら自分の案を出すよう言われたところで逃げるように帰ってしまう。おまけにオーバーなほどのぶりっこキャラでした。

 その一方、雅美に関しては特に悪い部分は描かれず。『キャリアウーマンVSワーキングマザー』がテーマのハズなのに、視聴者が雅美の肩をもつよう自然に促すかのようなアンフェア感が漂っていました。

 また、万智が最後にサキに物件を紹介した際、「女性だけが家庭と仕事の両立をしなければいけないのはおかしい」と語ったセリフについては、なるほど、その通りだと思ったのですが、そもそもサキが家庭の仕事を背負いすぎなのではないでしょうか。

 序盤、子ども2人を引き連れてマンションの内覧をしていたため、てっきりシングルマザーなのかと思いました。最後にとってつけたように旦那が登場しましたけど、家庭のことに無頓着なのか発言権がないのかイマイチ立ち位置がわかりません。オープニングシーンのナレーションにおいて、男性の遺伝子に含まれるY染色体が衰えつつあるとの情報が流れましたが、あるいは家父長制の逆転現象が裏テーマだったのですかね。

 万智と屋代の関係においては、主導権を握っているのは完全に妻の方ですが、そこへ割って入ろうとする楓の中途半端に嫌なオンナ感はなんなのでしょうか。前回、スーパーの店内で美加が積み上げたサバ缶の山が崩れ、屋代に助けてもらったことが縁となり急接近。今回、美加に連れられ、屋代の馴染みのバーへやって来た時には、美加から不倫を唆されて否定したのですが、「じゃあ、なんでノコノコついて来たんだ?」と、観ていてイラっとしてしまいました。

 しかもその後、屋代を自分から食事へ誘い、ゲス不倫を画策する腹黒さを露呈するのですが、キャラクターの背景がちっとも見えてきません。40歳(ぐらい?)でスーパーの店長。独身? バツイチ? 万智と屋代の仲を掻き乱すためだけに用意されたコマといった感じで血が通っていないため、魔性のオンナにもなりきれずといった感じなのです。

 美加に関しては、役というよりもイモトアヤコそのまま。ひとりだけコントを披露といった感じで姿を見せるたびにウンザリするのですが、これにプラスして今回のサキのようなぶりっこが登場すると、鬱陶しいキャラのお祭り状態となり、観ていてかなりストレスが溜まります。

 しかも、次週のゲストは泉谷しげる……。視聴者が辟易するような役柄&ストーリー展開にならないことを祈りたいと思います。
(文=大羽鴨乃)