『インハンド』まるで『あしたのジョー』最終回? 山下智久&清原翔、変人対決からまさかの感動物語へ

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第6話が17日に放送され、平均視聴率9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.8ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、内閣官房サイエンス・メディカル対策室のアドバイザーとなった紐倉哲(山下)は、国民栄誉賞の授与が検討される日本陸上界のエース・野桐俊(清原翔)のドーピング疑惑について調査するよう依頼されます。

 紐倉は助手の高家春馬(濱田岳)を引き連れ、野桐の練習場を訪れる訪問。レース前後に雄叫びを上げたり、謎のダンスをすることから“陸上界の異端児”と呼ばれる野桐ですが、紐倉はその行動のひとつひとつがリラックスしたりクールダウンするための理に適ったルーティンであることや、極端に習慣にこだわる強迫性障害の持ち主であることを見抜きます。

 血液採取などをした結果、野桐にドーピングの疑いはありませんでした。しかし紐倉は、野桐のルーティンが2年前に微妙に変化したことに気づき、その頃に何らかの異変があったのではないかと疑い、調査を開始します。

 その結果、貧血の治療のために通うクリニックで、遺伝子を操作することによって肉体改造するドーピングを行っていることを突き止めます。さらにこのドーピングの副作用によって、悪性リンパ腫を患っていることも発覚。試合前後のルーティンはすべて、リンパ節をかばっていたものだったのです。

 野桐のカラダはすでにボロボロ状態。しかも、次のレースが「最後」になると宣言したため、死を予感しているのだと気づいた紐倉は、そのレース直前に会いに行きます。しかし、最高のタイムを出すために悲壮な覚悟で競技に臨む野桐を止めることはできず、そのまま送り出すことに。

 その後、野桐はレース中に倒れ、意識不明の重篤状態で病院へと搬送。紐倉は野桐の健闘を称え、ドーピングはあくまで走りを探求するための手段にすぎなかったのだと語ったところで今回は終了となりました。

 さて感想。前回はフィリピン沖の島を舞台に、元助手・入谷廻(松下優也)との過去の友情物語と右手を失った秘話が描かれましたが、今回は一転してドーピングがテーマでした。箸休め的な回で、トーンダウンしてしまうのではないかと予想しましたが、まったくそんなことはありませんでした。

 紐倉と野桐は自他ともに認める天才で我が強く、他人から口を揃えて変人と呼ばれる性格。そんなわけで初対面の時はピリついた雰囲気になりましたが、探究心の強さや粘り強い性格が共通することがわかると、次第に心を通わせるようになりました。これは、紐倉とは真逆で陽気な性格だった入谷とは異なるカタチの友情、携わる分野こそ違えど戦友と呼べるような関係性でした。

 そんな紐倉も、最後のレース直前に一応は引き留めるんですね。このシーンが、名作ボクシング漫画『あしたのジョー』のクライマックスを思い起こさせました。決戦を前に死を覚悟して控え室で待つ矢吹丈を翻意させようと、ヒロインの白木葉子が訪れるシーン。2011年に公開された映画版で山下が主演を務めていましたから、オマージュの意味が込められていたんですかね。

 それはさておき、紐倉は葉子とは違い、野桐がレースに命を懸けていることを悟ると、あっさり意見を引っこめただけでなく、背中を押すようにして送り出したのでした。これは恐らく、自分が同じ立場になったらそう望むだろうと感じたからなのでしょう。もしかしたら、入谷がエボラウィルスから島民を守るため、自分の命を捨てでも研究に邁進した時の姿が脳裏にチラついたのかもしれません。

 結果、野桐は倒れて危篤状態になってしまったのですが、そのニュースを見て紐倉が湿った様子を見せなかったのも良かったですね。それは冷たいからではなく、探究心を満たすまでとことん闘い、真っ白な灰になった野桐を心の底から健闘してのものだったのでしょう。

 箸休めどころかまさかの感動を呼ぶ回になりました。綾野剛にどこか似た雰囲気の清原の演技も良かったです。スタイル抜群のためトップアスリートという役柄にも説得力があり、他人を寄せ付けない影のあるキャラが天才性と変態性をうまく引き出していました。

 今回のテーマであるドーピングについては、紐倉と野桐の会話の中で、物理的(高所でのトレーニングなど)と科学的(薬物や遺伝子ドーピング)は時に同じ効果をもたらし、その善悪はどうやって決めるのかと疑問を提示する場面がありました。しかし、その答えを強引に導き出すのではなく、己の理想を追求する行為自体を称えることに帰結した点が紐倉らしいといいますか、このドラマらしくて良かったと思います。

 次回は、難病に苦しむ牧野巴(菜々緒)の娘・美香(吉澤梨里花)を救うべく紐倉が奔走するとのことで、またもや感動必至の回となりそうです。
(文=大場鴨乃)

『インハンド』まるで『あしたのジョー』最終回? 山下智久&清原翔、変人対決からまさかの感動物語へ

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第6話が17日に放送され、平均視聴率9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.8ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、内閣官房サイエンス・メディカル対策室のアドバイザーとなった紐倉哲(山下)は、国民栄誉賞の授与が検討される日本陸上界のエース・野桐俊(清原翔)のドーピング疑惑について調査するよう依頼されます。

 紐倉は助手の高家春馬(濱田岳)を引き連れ、野桐の練習場を訪れる訪問。レース前後に雄叫びを上げたり、謎のダンスをすることから“陸上界の異端児”と呼ばれる野桐ですが、紐倉はその行動のひとつひとつがリラックスしたりクールダウンするための理に適ったルーティンであることや、極端に習慣にこだわる強迫性障害の持ち主であることを見抜きます。

 血液採取などをした結果、野桐にドーピングの疑いはありませんでした。しかし紐倉は、野桐のルーティンが2年前に微妙に変化したことに気づき、その頃に何らかの異変があったのではないかと疑い、調査を開始します。

 その結果、貧血の治療のために通うクリニックで、遺伝子を操作することによって肉体改造するドーピングを行っていることを突き止めます。さらにこのドーピングの副作用によって、悪性リンパ腫を患っていることも発覚。試合前後のルーティンはすべて、リンパ節をかばっていたものだったのです。

 野桐のカラダはすでにボロボロ状態。しかも、次のレースが「最後」になると宣言したため、死を予感しているのだと気づいた紐倉は、そのレース直前に会いに行きます。しかし、最高のタイムを出すために悲壮な覚悟で競技に臨む野桐を止めることはできず、そのまま送り出すことに。

 その後、野桐はレース中に倒れ、意識不明の重篤状態で病院へと搬送。紐倉は野桐の健闘を称え、ドーピングはあくまで走りを探求するための手段にすぎなかったのだと語ったところで今回は終了となりました。

 さて感想。前回はフィリピン沖の島を舞台に、元助手・入谷廻(松下優也)との過去の友情物語と右手を失った秘話が描かれましたが、今回は一転してドーピングがテーマでした。箸休め的な回で、トーンダウンしてしまうのではないかと予想しましたが、まったくそんなことはありませんでした。

 紐倉と野桐は自他ともに認める天才で我が強く、他人から口を揃えて変人と呼ばれる性格。そんなわけで初対面の時はピリついた雰囲気になりましたが、探究心の強さや粘り強い性格が共通することがわかると、次第に心を通わせるようになりました。これは、紐倉とは真逆で陽気な性格だった入谷とは異なるカタチの友情、携わる分野こそ違えど戦友と呼べるような関係性でした。

 そんな紐倉も、最後のレース直前に一応は引き留めるんですね。このシーンが、名作ボクシング漫画『あしたのジョー』のクライマックスを思い起こさせました。決戦を前に死を覚悟して控え室で待つ矢吹丈を翻意させようと、ヒロインの白木葉子が訪れるシーン。2011年に公開された映画版で山下が主演を務めていましたから、オマージュの意味が込められていたんですかね。

 それはさておき、紐倉は葉子とは違い、野桐がレースに命を懸けていることを悟ると、あっさり意見を引っこめただけでなく、背中を押すようにして送り出したのでした。これは恐らく、自分が同じ立場になったらそう望むだろうと感じたからなのでしょう。もしかしたら、入谷がエボラウィルスから島民を守るため、自分の命を捨てでも研究に邁進した時の姿が脳裏にチラついたのかもしれません。

 結果、野桐は倒れて危篤状態になってしまったのですが、そのニュースを見て紐倉が湿った様子を見せなかったのも良かったですね。それは冷たいからではなく、探究心を満たすまでとことん闘い、真っ白な灰になった野桐を心の底から健闘してのものだったのでしょう。

 箸休めどころかまさかの感動を呼ぶ回になりました。綾野剛にどこか似た雰囲気の清原の演技も良かったです。スタイル抜群のためトップアスリートという役柄にも説得力があり、他人を寄せ付けない影のあるキャラが天才性と変態性をうまく引き出していました。

 今回のテーマであるドーピングについては、紐倉と野桐の会話の中で、物理的(高所でのトレーニングなど)と科学的(薬物や遺伝子ドーピング)は時に同じ効果をもたらし、その善悪はどうやって決めるのかと疑問を提示する場面がありました。しかし、その答えを強引に導き出すのではなく、己の理想を追求する行為自体を称えることに帰結した点が紐倉らしいといいますか、このドラマらしくて良かったと思います。

 次回は、難病に苦しむ牧野巴(菜々緒)の娘・美香(吉澤梨里花)を救うべく紐倉が奔走するとのことで、またもや感動必至の回となりそうです。
(文=大場鴨乃)

『執事 西園寺の名推理2』西園寺あらため「ちゃいおんじ」にギャップ萌えも、今シーズンでシリーズ終了の可能性?

 上川隆也がハイスペックな執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の第4話が17日に放送され、平均視聴率5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回と変わらずでした。

(前回までのレビューはこちらから)

 ある日、資産家の奥様・伊集院百合子(吉行和子)の家にテディベアを抱えた少女・森村夢(前野里奈)が訪問。「パパ」と呼ばれ懐かれた西園寺一(上川)は、すぐさま夢の素性を調べ、母親の絵美(黒川智花)が玩具メーカー・ホリートイの社員・広田典彦(少路勇介)を絞殺した容疑をかけられて逃走中であることを突き止めます。

 事件の調査を開始した西園寺は、絵美が『テディガール』なるものを盗み、それを取り返すべく広田が追い回していたことを知ります。そして、広田の素性を探るためホリートイを訪問し、社長夫人の堀井沙月(小沢真珠)と社員の川越仁志(黒田大輔)に面会したところ、『テディガール』がAI搭載の玩具だという情報を入手するのでした。

 さらに絵美は、数年前に300万円の借金を抱えていたものの、ある時期に一括返済したことが判明したため、『テディガール』によってその資金を作り出したのではないかと西園寺は臆測します。

 そんな中、伊集院家に不審者が侵入し、男たちを捕縛した西園寺は、彼らの服に付着したワラを手掛かりに岩木剛夫が所有する牧場を訪問。そこで獣医の菊間梢(宍戸美和公)に助けを求められ、牛の出産を手伝うことになります。

 無事に出産を終え、梢が住むログハウスを訪れた西園寺は、そこで広田の遺体の髪の毛に付着したのと同じ植物があることに気がつきます。さらにロボット掃除機の昨日の走行軌道を調べたところ、床に倒れた人型に沿うようにして走行することから、このログハウス内で広田が殺害されたのだと結論づけるのでした。

 調査を進めたところ、そのログハウスのオーナーは川越であることが発覚。また、岩木がかつて、生殖医療に携わる仕事をしていたことや、沙月の実兄であることが判明したため、西園寺は事件の真相をすべて見抜くのでした。

 沙月は、夫の愛人が妊娠したことで強烈に嫉妬心を抱き、夫の愛情を取り戻すべく、凍結していた精子と卵子を用いて人工授精するよう岩木に依頼。しかし、沙月の年齢では出産にリスクを伴うため、借金を抱えていた絵美に300万円の報酬で代理出産を依頼したのでした。

『テディガール』という暗号で呼ばれたお腹の子、つまり夢を出産した絵美は情が移ってしまったために逃走。しかし、広田の件で警察に追われたため、西園寺を「パパ」だと言い聞かせて、伊集院家に匿ってもらうよう夢を誘導したというわけだったのです。

 一方、絵美に違法な代理出産をさせたことで罪の意識に苛まれた広田が、警察に訴えると言い出したため、川越は彼を殺害。その罪を着せるため、広田の死体を絵美の家に運んだというわけだったのです。

 その後、事件に関わった沙月らは全員逮捕され、絵美と夢は無事に再会。一緒に暮らしていくことが決まり、一件落着となったのでした。

 今回は、舌足らずな夢から「ちゃいおんじ」と呼ばれ、かくれんぼに付き合わされるなど、子どもに翻弄される西園寺の珍しい姿が見られました。実は意外にも子どもが好きそうな一面が垣間見え、ギャップ萌えした視聴者は少なくなかったのではないでしょうか。その一方、夢のことをまるで玩具のように扱おうとした沙月に対して、最後に叱責したシーンは胸がすく思いがしました。

 牛の出産を苦もなく手伝えたりと、今シーズンの西園寺は何でもこなせるパーフェクトぶりがネタ化されてきているように感じます。前シーズンにおいてコミカルな部分を担っていた、執事助手の澤田慎次(浅利陽介)の役柄までも背負わされているようです。

 今回からは一応、新米執事として松本松五郎(森永悠希)が相棒役を務めてますが、澤田と比べると役不足な感じが否めません。メイドの前田美佳(岡本玲)もいないですし、奥様役が八千草薫から吉行に代わった違和感も完全には拭えず、西園寺が孤軍奮闘といった印象。視聴率はこのままいけば前シーズンの全話平均6.9%に届かず、今回でシリーズ終了してしまう可能性もありそうです。

 今回の内容については、冒頭のシーンで奥様が掃除ロボットを見て驚く姿に、「何を今さら?」と思ったのですが、過去の走行ルートを確認できる機能によって本当の殺害場所を探り当てたのは意外性がありました。

 ただ、沙月が企てた代理出産の計画に、なぜ社員たちが巻き込まれたのか腑に落ちませんでした。川越が犯人という結末にも説得力がなく、視聴者の裏をかこうという強引さだけが感じられました。

 次回は、資産家の別荘で起こる密室殺人ということで、ベタな本格推理モノになってしまうような気がしないでもないですが、西園寺の名推理を期待したいと思います。
(文=大場鴨乃)

『執事 西園寺の名推理2』西園寺あらため「ちゃいおんじ」にギャップ萌えも、今シーズンでシリーズ終了の可能性?

 上川隆也がハイスペックな執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の第4話が17日に放送され、平均視聴率5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回と変わらずでした。

(前回までのレビューはこちらから)

 ある日、資産家の奥様・伊集院百合子(吉行和子)の家にテディベアを抱えた少女・森村夢(前野里奈)が訪問。「パパ」と呼ばれ懐かれた西園寺一(上川)は、すぐさま夢の素性を調べ、母親の絵美(黒川智花)が玩具メーカー・ホリートイの社員・広田典彦(少路勇介)を絞殺した容疑をかけられて逃走中であることを突き止めます。

 事件の調査を開始した西園寺は、絵美が『テディガール』なるものを盗み、それを取り返すべく広田が追い回していたことを知ります。そして、広田の素性を探るためホリートイを訪問し、社長夫人の堀井沙月(小沢真珠)と社員の川越仁志(黒田大輔)に面会したところ、『テディガール』がAI搭載の玩具だという情報を入手するのでした。

 さらに絵美は、数年前に300万円の借金を抱えていたものの、ある時期に一括返済したことが判明したため、『テディガール』によってその資金を作り出したのではないかと西園寺は臆測します。

 そんな中、伊集院家に不審者が侵入し、男たちを捕縛した西園寺は、彼らの服に付着したワラを手掛かりに岩木剛夫が所有する牧場を訪問。そこで獣医の菊間梢(宍戸美和公)に助けを求められ、牛の出産を手伝うことになります。

 無事に出産を終え、梢が住むログハウスを訪れた西園寺は、そこで広田の遺体の髪の毛に付着したのと同じ植物があることに気がつきます。さらにロボット掃除機の昨日の走行軌道を調べたところ、床に倒れた人型に沿うようにして走行することから、このログハウス内で広田が殺害されたのだと結論づけるのでした。

 調査を進めたところ、そのログハウスのオーナーは川越であることが発覚。また、岩木がかつて、生殖医療に携わる仕事をしていたことや、沙月の実兄であることが判明したため、西園寺は事件の真相をすべて見抜くのでした。

 沙月は、夫の愛人が妊娠したことで強烈に嫉妬心を抱き、夫の愛情を取り戻すべく、凍結していた精子と卵子を用いて人工授精するよう岩木に依頼。しかし、沙月の年齢では出産にリスクを伴うため、借金を抱えていた絵美に300万円の報酬で代理出産を依頼したのでした。

『テディガール』という暗号で呼ばれたお腹の子、つまり夢を出産した絵美は情が移ってしまったために逃走。しかし、広田の件で警察に追われたため、西園寺を「パパ」だと言い聞かせて、伊集院家に匿ってもらうよう夢を誘導したというわけだったのです。

 一方、絵美に違法な代理出産をさせたことで罪の意識に苛まれた広田が、警察に訴えると言い出したため、川越は彼を殺害。その罪を着せるため、広田の死体を絵美の家に運んだというわけだったのです。

 その後、事件に関わった沙月らは全員逮捕され、絵美と夢は無事に再会。一緒に暮らしていくことが決まり、一件落着となったのでした。

 今回は、舌足らずな夢から「ちゃいおんじ」と呼ばれ、かくれんぼに付き合わされるなど、子どもに翻弄される西園寺の珍しい姿が見られました。実は意外にも子どもが好きそうな一面が垣間見え、ギャップ萌えした視聴者は少なくなかったのではないでしょうか。その一方、夢のことをまるで玩具のように扱おうとした沙月に対して、最後に叱責したシーンは胸がすく思いがしました。

 牛の出産を苦もなく手伝えたりと、今シーズンの西園寺は何でもこなせるパーフェクトぶりがネタ化されてきているように感じます。前シーズンにおいてコミカルな部分を担っていた、執事助手の澤田慎次(浅利陽介)の役柄までも背負わされているようです。

 今回からは一応、新米執事として松本松五郎(森永悠希)が相棒役を務めてますが、澤田と比べると役不足な感じが否めません。メイドの前田美佳(岡本玲)もいないですし、奥様役が八千草薫から吉行に代わった違和感も完全には拭えず、西園寺が孤軍奮闘といった印象。視聴率はこのままいけば前シーズンの全話平均6.9%に届かず、今回でシリーズ終了してしまう可能性もありそうです。

 今回の内容については、冒頭のシーンで奥様が掃除ロボットを見て驚く姿に、「何を今さら?」と思ったのですが、過去の走行ルートを確認できる機能によって本当の殺害場所を探り当てたのは意外性がありました。

 ただ、沙月が企てた代理出産の計画に、なぜ社員たちが巻き込まれたのか腑に落ちませんでした。川越が犯人という結末にも説得力がなく、視聴者の裏をかこうという強引さだけが感じられました。

 次回は、資産家の別荘で起こる密室殺人ということで、ベタな本格推理モノになってしまうような気がしないでもないですが、西園寺の名推理を期待したいと思います。
(文=大場鴨乃)

『インハンド』山下智久、矛盾だらけのストーリーを演技力でカバーするも視聴率は苦戦

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第5話が10日に放送され、平均視聴率9.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.3ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 失った右手の幻肢痛や、自殺に追い込んだ元助手・入谷廻(松下優也)の記憶に苦しむ寄生虫学者の紐倉哲(山下)。事態を重くみた助手の高家春馬(濱田岳)は、紐倉がCDC(アメリカ疫病予防管理センター)に所属していた当時の上司・福山和成(時任三郎)のもとを訪問します。

 すると福山は、紐倉と入谷を引き連れ、フィリピン沖にある島で感染症の調査をした5年前の出来事を回顧。島民の少女・マリアが新型のウィルスに感染したことで、アメリカ陸軍があっという間に押し寄せ、厳戒態勢が敷かれた話をします。

 実はこのウィルスは陸軍が開発した生物兵器であり、空輸している最中に飛行機が墜落したためにマリアは感染。しかし陸軍はこの事実を隠蔽するためろくな治療もせず、最終的には島民の病死体をすべて焼却してしまうのでした。

 正義感の強い入谷はこれが許せず、エボラウィルスを密かに持ち帰って独自に研究を進めることに。ところが実験中に感染してしまい、さらには陸軍に勘づかれて命の危険にさらされてしまいます。

 CDCの研究棟の屋上に逃げた入谷は、追いかけてきた紐倉に投降するよう説得されます。周囲の建物からは陸軍の兵士たちが銃口を向け、絶体絶命の状況。そこで入谷が取った行動は、紐倉に向かって英語で罵詈雑言を浴びせ、仲間ではないことをアピールすることだったのです。

 しかし、その入谷の真意が理解できない紐倉は、本当に憎まれてしまったのだと解釈し、後々まで苦しむことに。さらに、屋上から飛び降りた入谷の腕を掴んだものの、右腕を銃で撃たれたために助けることができず、これがトラウマとなって幻肢痛を患うようになってしまったのでした。

 福山から話を聞いた高家は入谷の遺留品を受け取り、紐倉のもとへ届けます。その中には日記があり、最後のページには「紐倉哲の助手で良かった。哲、ありがとう」のメッセージが。入谷の本当の想いを知った紐倉は涙し、高家を助手としてこれからも研究を続けて行こうと決心したところで今回は終了となりました。

 今回は紐倉の過去の話がメインとなったのですが、陸軍による新型ウィルスの隠蔽工作を察知した時、憤る入谷に向かって紐倉が「感情の奴隷になるな」と、それに対して入谷が「感情がなきゃ人間じゃない」と返す場面がありました。この会話は、ドライな紐倉、ウェットな入谷という2人の性格を端的に示していたと思います。

 たとえば今回のエピソードを、紐倉と入谷のそれぞれの感性で見た場合、感想はまったく異なることでしょう。まず、理論を重んじる紐倉的な視点で見れば、入谷の遺留品がなぜ陸軍に没収されなかったのか、陸軍の機密情報を知った紐倉がなぜ放置状態なのかなど、矛盾点がかなり目につきます。入谷の件でトラウマがあるハズなのに、紐倉が自ら高家を助手に誘った第1話での行動も解せません。

 また、入谷から浴びせられた罵詈雑言が本音だと思い込み、紐倉が悩み続けた点についても、わざわざ英語で罵られたことに疑問を抱かなかったのかと不思議に思ってしまいました。他人の心に無頓着な変人であるがゆえの勘違いだったということなんですかね。いずれにしろ、感情の奴隷にならずに見た場合、感動の押し売り感がやや強い印象の回でした。

 一方、理屈抜きで感情の奴隷になって見た場合、失った友の幻影に苦しみ続け、そして真意を知ったことで感動して静かに男泣きする山下の演技はグッとくるものがありました。以前から孤島に新たな研究棟を建てる計画を立てていたのは、入谷の遺志を継ぐためであり、実は情に厚いという紐倉のキャラを深掘りできた回になったのではないでしょうか。また、内面的に入谷と似たところがある高家との絆がより深まった回でもありました。

 そんな山下の熱演も空しく、視聴率的には苦戦を強いられてしまっています。山下の人気から考えれば15%前後はいけそうな気がしますけど、寄生虫というマニアックなテーマが災いしているのかもしれません。

 何はともあれ、紐倉の右腕の秘密が明かされたことで、次回からどう展開していくのか気になるところ。今回のラスト、福山が新型のエボラウィルスをラボ内で取り扱うシーンが映し出されました。福山は現在、最先端の科学技術を駆使したビジネスで大成功しているのですが、その行動は何やら怪しげで、入谷の遺留品を保管していた点も気になります。ドラマは折り返し地点に差しかかり、ここからストーリー的にも視聴率的にも盛り返せば、シリーズ化も見えてくるかもしれません。次回を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『執事 西園寺の名推理2』スーパー執事、爆弾処理からフィギュアスケートまでこなす万能アピールで逆に魅力を損なう?

 上川隆也がハイスペックな執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の第3話が10日に放送され、平均視聴率5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.5ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 資産家の奥様・伊集院百合子(吉行和子)が後援するフィギュアスケートのチャリティー・イベントに足を運んだ西園寺一(上川)は、フィギュア選手の井上美波(庄司理紗)が、週刊誌のフリー記者・松田裕紀(山口馬木也)の殺害未遂&失踪事件を起こしたことを知り、調査に乗り出します。

 松田が腹部を刺されたのは昨夜の23時30分頃。携帯電話の通話記録から23時55分にその場にいたことが判明し、さらに現場近くの防犯カメラに走る姿が映っていたため、美波は犯行を疑われてしまったのです。

 美波と松田の接点を探った西園寺は、1年前に原田玲奈というフィギュア選手のシューズに細工をしてケガをさせ、引退に追いやった犯人として、松田が美波を非難する記事を書いたことを突き止めます。実際、玲奈が引退したことによって美波は、その後の大会で上位入選するようになったのですが、美波のライバル・渡辺楓(田辺桃子)もまた成績が良くなったため、西園寺は楓の策略なのではないかと疑います。

 そして西園寺は早速、楓と面会をするのですが、美波との不仲説はガセネタだということが判明。それどころか2人は一緒に練習をする仲で、昨夜も22時までリンクに居残っていたことが発覚します。

 その後、松田の身辺調査に切り替えた西園寺は、週刊誌の編集長・春日晃之(羽場裕一)からスクープを取るようプレッシャーを受けていたことや、美波の『知られざる裏の顔』と題した特大のスキャンダル記事を書いていたことを知るのでした。

 松田の部屋からはタブレットが紛失しているため、スキャンダルを揉み消すために美波が犯行に及んだのではないか……。そんな疑いを抱く西園寺ですが、防犯カメラに映る美波が手にするチケットのようなものが気になり、松田の領収書を調べることに。その結果、宮城への夜行バスの乗車券を購入していたことが発覚するのですが、同地には美波が亡き母親と滑った思い出のスケートリンクがあることを知り、急いで現地へと向かいます。

 するとそこには、美波の命を狙う春日の姿が。1年前、スクープを出すことに焦っていた春日は、玲奈の事件の犯人が美波だとでっち上げて松田名義で記事を執筆。しかしその後、松田が不正を弾劾する記事を書いたために刺し、そのデータが入ったタブレットを美波が持ちだしたために奪いに来たというわけだったのです。

 そこへタイミングよく駆けつけた西園寺が春日を撃退。意識を取り戻した松田と美波は和解し、一件落着となったのでした。

 今回はフィギュアスケートがテーマということで、浅田真央と亡き母親との関係性や、羽生結弦が東日本大震災の被害で練習場を失ったエピソードなど、現実のフィギュア選手を意識したようなエピソードが散りばめられていました。

 それはまあいいのですが、美波と松田の関係性が最後までハッキリせず、不完全燃焼といった感が否めませんでした。松田は美波のことを愛していたのか、あるいはただスケーターとして尊敬していただけなのか。宮城への夜行バスのチケットをなぜ用意したのかも、説明がなかったためさっぱりわかりませんでした。

 そのため、松田がスキャンダルではなく実は褒め記事を書いていたことを知り、意識を取り戻した彼に対して美波が涙を流しながら「ありがとう」と呟いたラストシーンに関しても、制作陣の意図とは裏腹にまったく感動が起きませんでした。

 また、今回は西園寺がフィギュアスケートの演技を披露するシーンがありましたが、いくらなんでもキャラ設定に無理があるように感じてしまいました。前回は爆弾処理をしましたし、あまりに常人離れしすぎているため、もはや視聴者を笑わせにかかっているようにしか思えません。

 前シーズンは常識の範囲内で“なんでもできる”感があったのですが、今シーズンは悪ふざけなのか、あるいはバージョンアップさせすぎてしまったのか、万能すぎるため逆に西園寺の魅力が損なわれてしまっているように思えます。欠点があるからこそ長所が輝くわけですし、オールマイティーなキャラを演じる姿が魅力的に映るのは、その役者のファンだけなのではないでしょうか。そのあたりが視聴率の低下に表れているような気がしてなりません。

 次回は西園寺の隠し子騒動が巻き起こるようですが、今までにない魅力を引き出す展開になるのか注目したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

まさかの爆弾処理も!? 『執事 西園寺の名推理2』スーパー執事・西園寺が有能すぎるも、脚本は粗だらけ

 上川隆也がハイスペックな執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の第2話が3日に放送され、平均視聴率5.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。前回から3.4ポイントの大幅下落となってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 資産家の奥様・伊集院百合子(吉行和子)に仕える西園寺一(上川)は、百合子が支援する養護施設の兄妹を招待し、まもなくネジ工場への建て替えが決定している遊園地へ足を運びます。

 事件が発生したのは、百合子と兄妹が観覧車に乗った直後のことでした。突如として爆発音が園内に響き渡り、観覧車はストップ。コントロール室へ向かった西園寺は、ネジ工場を経営する相良重工の社長・相楽洋介を発見し、犯人からネジ工場建設プロジェクトの中止を命じられたことや、観覧車に相良重工の社員・野本保(松尾諭)が乗っていることを知らされるのでした。

 西園寺は百合子を救うため、執事見習いの松本松五郎(森永悠希)を引き連れて独自の捜査を開始。相楽の専属運転手・涌井敏弘(佐戸井けん太)や元社員に聞き込みを行い、野本がプロジェクトの担当者だということや、相良重工に勤めていた風間るみ子という女性が最近、事故で死亡したことなどを突き止めます。

 また、ネジ工場建設にあたって相良重工が買収した仁科精機が、これまで作っていたネジとは材質がまったく異なるスーパースクリューというネジを作製し始めたことを知った西園寺は、野本がどこか別のところから技術を盗んできたのではないかと疑います。

 そして、野本が経理に提出した領収書を頼りに捜査を続けた結果、藤波義男(斉藤暁)が経営する町工場に頻繁に出入りしていたことが判明。藤波はスーパースクリューを設計したものの、放火にあって工場を失ってしまったのです。

 遊園地内をくまなく捜査したところ、着ぐるみを着て隠れている藤波を発見。すぐさま爆弾の解除、と思いきや、リモコン操作が効きません。実は藤波に犯行を促した真犯人が、爆弾解除のパスワードを密かに変えてしまっていました。

 真犯人は一体誰なのか、と考える間もなく、西園寺は涌井のもとへと駆け付けます。実は、涌井が使っているスマホケースと、写真で見た風間のそれとがまったく同じものであることや、ごく一部の人間しか知らないハズの、犯人がスマホで爆弾の操作をしていることを知っていたため、西園寺は涌井が真犯人ではないかと疑っていたのです。

 追い詰められた涌井は、風間が実の娘であることや、野本の子どもを妊娠していたこと、取引先の令嬢との縁談が決まった野本が娘のことを邪魔に思って殺したのではないかと疑い、犯行に至ったことなどを白状します。

 真犯人を逮捕したことで、あとは爆弾を解除するパスワードを入力するだけ。かと思われたのですが、野本は爆弾を時限装置式のものにすり替えていたのです。そのことを知った西園寺は、爆弾が設置された観覧車のハシゴをよじ登り、自力で解除。百合子を無事に助け出し、一件落着となったのでした。

 頭脳明晰で身体能力も高い完璧執事の西園寺ですが、まさか爆弾処理までこなすとは恐れ入りました。「いくらなんでも有能すぎるだろ」とツッコミたくなるところですが、上川が演じることで妙に説得力があるんですよね。なぜか今回、犯人“様”や、黒幕“様”と敬称で呼んでいましたが、生真面目な西園寺だからこそのユニークさを際立たせていたように思います。

 そんな完璧すぎる西園寺に嫉妬し、露骨にライバル心を燃やす新米執事・澤田慎次(浅利陽介)の存在も、第1シーズンからドラマにコミカルな色を添えていたのですが、前回でケガをしたためなのか、あるいは浅利の他ドラマ出演の影響なのか、今回は出演していませんでした。それに代わって、前回出演した松本が新たに西園寺の相棒として登場したのですが、こちらは西園寺をヨイショするばかりの添え物状態。澤田のように面白い関係性を築けそうな期待はもてませんでした。

 その澤田が恋するメイドの前田美佳(岡本玲)が、今回はイギリス留学中という設定で不在。さらに、百合子役は八千草薫が療養中のため吉行と交代と、第1シーズンから視聴するファンにとっては、キャスティングが少し残念な方向へ向かっている感が否めないのではないでしょうか。

 脚本に関しては、前シーズン同様に粗が目立ちます。今回でいえば、藤波工場に放火するぐらいならば特許料を払うなり買収するなりすれば良かったのでは? という点や、一介の運転手にすぎないハズの涌井がなぜ爆弾を製造できたのか、など疑問に感じる点がいくつかありました。

 ただ、このドラマはあくまでも、西園寺の美しい所作が最大のウリであり、その魅力を伝えることに力点が置かれているのでしょう。次回はフィギュアスケートがテーマということで、華麗なジャンプを披露してくれるのでしょうかね。放送を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『インハンド』山下智久、ボソボソしゃべりのアンドロイドから徐々に人間味あふれるキャラに変化

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第4話が3日に放送され、平均視聴率7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。ゴールデンウィークの影響か、前回から1.4ポイントの下落となってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回、サイエンス・メディカル対策室の牧野巴(菜々緒)が、寄生虫学者・紐倉哲(山下)のもとへ持ち込んだ案件は、“人を自殺させる病原体”の有無について。外務事務次官・源田創子(紫吹淳)宛てに、その病原体を娘の恵奈(吉川愛)に感染させるという脅迫状が届いたというのです。

 実際、その脅迫状に記されている水原舞という女性が自殺し、菊池香織が自殺未遂、緒田貴成という男性が行方不明という状況に置かれているため、興味を抱いた紐倉は調査に協力することに。助手の高家春馬(濱田岳)を引き連れて香織の入院先を訪れたところ、屋上から飛び降りようとする香織を恵奈が必死に食い止める場面に出くわします。

 その恵奈によれば、4人は幼少期に田舎で遊んだ接点があり、大学になって再会。恵奈が見つけてきた、セクメント・ジャパンという製薬会社が実施するSQ-61という非ステロイド性消炎鎮痛薬の治験のバイトに参加した後、自殺騒動が起こったというのです。さらに、母親への脅迫状は、事件を解決するために恵奈自身が書いたものであることも判明。

 恵奈の話を聞いた紐倉は、高家を治験へと送り込んでデータを盗ませ、恵奈の友人たちが全員、ボルナ病ウイルスに感染していたことを突き止めます。このウイルスとSQ-61が結びつくことによって脳症が発症し、自殺未遂を起こしていたのです。また、ウイルスの感染源は、幼少期に度胸試しで侵入した馬小屋だったのですが、恵奈だけは馬を怖がって入らなかったために感染しませんでした。

 紐倉と恵奈がその馬小屋へ向かったところ、昏睡状態の緒田を発見。医学部に在籍する緒田は、ボルナ病ウイルスとSQ-61の成分によって脳症が起きるのではないかと疑い、その調査の途中で倒れてしまったのでした。

 この事態に責任を感じた恵奈は、衝動的に飛び降り自殺を図ろうとしてしまいます。そんな彼女に対して紐倉は、「感情の奴隷にはなるな」と諭しつつ、「感情があるから人間なんだ」との持論を展開し、「人間は笑顔になれる唯一の生物だ。だからもっと笑えばいい」と励まします。その後、香織と緒田は快方に向かい、一件落着。

 今回に関しては、1時間があっという間、というのが率直な感想。ドラマの序盤、恵奈が牧場で過ごした幼少期の回想シーンが出た時点で、“人を自殺させる病原体”の正体についてはある程度の察しがついたのですが、紐倉がかつて助手を自殺に追い込んだのではないかという疑惑や、それに関連して失った右手の幻肢痛に苦しむシーンなどが随所に挿入されたため、まったく飽きることがありませんでした。

 難しい専門用語をアニメーションを用いて伝える演出の工夫や、脚本のテンポの良さに加え、山下の演技が回を増すごとに良くなっている印象ですね。抑揚なくボソボソとしゃべるため、初回はまるでアンドロイドのようでしたけど、今回は恵奈を相手にまごついたことで、女の子が苦手だと発覚したり、その恵奈が自殺しそうになった時には熱い言葉で語りかけたりと、徐々に人間味あふれるキャラに変化しています。

 その姿を見て、高家と牧野が驚く表情を浮かべたのも印象的でした。紐倉が変わってきたのは間違いなくこの2人の影響。特に高家はドSな命令に振り回されながらも、良き理解者になりつつあります。だからこそ、紐倉が過去に入谷という助手を自殺に追いやったかもしれないという疑惑が、2人の今後の関係性に強く影響してくることになりそうです。

 その紐倉の過去について今のところ明らかになったのは、セクメント・ジャパンで働いていた入谷を引き抜き、CDC(アメリカ疫病予防管理センター)に入所させ、東南アジアの村で“危険な実験”を実施。その結果、アメリカ陸軍を敵に回すことになり、入谷を自殺に追い込み、その際に右手も失った? というものです。

 紐倉はどうやら、東南アジアの村でエボラウイルスについて研究していたようですが、当時の事件を伝える新聞記事では“村が消えた”と表現されているのが気になるところ。次回、その過去と義手の謎が明らかになるということで、ますます見逃せない展開となっていきそうです。
(文=大羽鴨乃)

『インハンド』山下智久、ドSキャラのハズが菜々緒の尻に敷かれる? 観月ありさが“不老不死の秘密”に説得力をもたらす

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第3話が先月26日に放送。今回は観月ありさがゲスト出演し、“不老不死”がテーマに描かれました。

 寄生虫学者の紐倉哲(山下)はある日、助手の高家春馬(濱田岳)を引き連れ、大学時代の恩師で、現在はパナシアンビューティーという美容会社のCEOを務める瀬見まき子(観月)の講演を聞きに行くことに。まき子には早老症を患う妹のみき子(松本若菜)がいたことをふと思い出し、すでに死んでいるに違いないと、紐倉は少しセンチメンタルな気分になったりします。

 その一方、この会社では、“不老不死の生物”といわれるベニクラゲからテロメテーゼという酵素を抽出し、アンチエイジング治療に活用しているものの、その会員らが次々とアルツハイマー症にかかっていることに疑問を抱くのでした。

 この件に関しては、サイエンス・メディカル対策室の牧野巴(菜々緒)も調査に乗り出していて、紐倉は協力を求められるものの拒否。しかし、老いていくみき子の姿を思い出したことで、現在のまき子の研究が気になり、結局は協力することになります。

 そこで、パナシアンビューティーが論文を募集していることに目をつけ、高家とともに一夜漬けで論文を作成。それが評価されたことで会社から呼び出され、まき子との面会の約束をとりつけます。

 そして、“博士”を装った高家とまき子が面会する間、紐倉はまき子の部屋へ潜入し、データを盗み出すことに成功。その結果、“若返り”の秘密は、違法に入手した若者の血を輸血することにあるのだと判明します。

 一方、高家は正体がバレてしまい、拉致されてしまいます。紐倉は牧野から助けに向かうよう依頼されて一度は断るものの、助手として愛着が湧き始めているため、まき子の家へ単身で突入。みき子の死によって老いていくことが怖くなったというまき子に対し、人類は死があるからこそ進化し続けてきたことや、不老不死になったら成長が止まり、逆に滅亡するのだと説き伏せ、一件落着となります。

 さて感想。今回は、人類が永遠に追い求めるであろう“不老不死”がテーマでした。若者の血を輸血することで血漿の若返りを図る、という医学的に正しいのかどうかはわかりませんが、ここはキャスティングの妙。観月ありさがまき子役を演じたことによって、絶妙な説得力とリアリティーが生まれました。これは山下にもいえますが、実際に法に触れるようなアンチエイジングでもしてるんじゃないかと疑うほど、2人とも若々しさを保っていますからね。

 その山下は、変人・紐倉役がすっかり板についてきました。相変わらずボソボソとした喋り方ですが、キャラが馴染んだのか、あるいはこちらが見慣れたのか、違和感が無くなりました。クールを装いつつも実は情に厚い。毎回のように牧野からの依頼を断りつつも、結局、最後には従うあたり、尻に敷かれているようにも思えます。山下が菜々緒のお株を奪うドSキャラという設定ですが、実際には牧野が紐倉と高家にリードをつなぎ、徐々に上手く操り始めているような気がしないでもありません。

 その牧野からぞんざいな扱いを受ける高家に関しては、前回同様に文句なし。天才的な探偵が主人公の作品ではステレオタイプに陥りがちな、いわゆるワトソン的な役回りを、濱田がコミカルに演じることで個性を発揮。回を追うごとに紐倉とのコンビネーションが冴え渡ってきている印象ですね。

 その紐倉の過去が毎回、少しずつ紐解かれているのですが、今回は大学時代の回想シーンが流れたことで、当時はまだ右手が義手ではなかったことが明らかになりました。さらに、以前はアメリカ疫病予防管理センター(CDC)で働いていたものの、アメリカ陸軍と揉めたことによって解雇されたことも判明。時折、戦場らしきシーンがフラッシュバックされ、その度に右手が痛む様子も気になるところではあります。

 恐らくそこには悲しい秘密が隠されているのでしょう。郊外の巨大な動植物園でひとり寂しく研究を続けてきた謎が明らかになることで、紐倉のキャラクターはさらに深掘りされて魅力が増すハズ。視聴率的には、常時15%前後を推移した『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ(フジテレビ系)にはまだまだ及びませんが、山下の新たな代表作になる可能性を秘めているのではないでしょうか。次回は“人を自殺させる病原体”がテーマとのことで、放送を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『執事 西園寺の名推理2』予想通りの八千草薫ロス発生! トリックよりもプリンセス天功の方がミステリアス?

 上川隆也が完全無欠な執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の第1話が19日に放送され、平均視聴率8.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。前作の最高記録7.9%をいきなり更新する結果となりました。

 伊集院百合子(吉行和子)の執事・西園寺一(上川)は、ある日、百合子が25年来の付き合いだという天才イリュージョニスト・薫子(プリンセス天功)のショーを観覧することに。すると、天女をモチーフにした瞬間移動の演目中、薫子が脇腹を刺され死んでしまう事件が発生します。

 この演目は、小部屋の中に閉じ込められた薫子が、離れた場所にある台の上に登場するというもので、客席から見えない通路を小部屋と台の間につくり移動する、という瞬間移動のトリックを西園寺はすぐに見抜きます。そして、その通路内に薫子の血痕があることから、何者かに刺されたことが判明するのでした。

 ところが、舞台袖で見守っていた絹代(秋元才加)や夏美(日南響子)、オペレーション・ルームにいた演出家の吉崎ら劇団員たちは、怪しい人物を目撃していないと証言。西園寺は、ショーの途中で客席から立ち去って行った久美子(浅野ゆう子)が事件に関わっているのではないかと睨みます。

 すると、久美子が薫子の先輩だったことや、25年前のショーの直前、演目で使う羽衣が消失したショックで久美子がショーに出られなくなり、その代役として薫子が舞台デビューを果たしたことが判明。その後、薫子が羽衣を盗んだ疑惑が生じ、2人の仲がこじれたというのです。

 また、久美子と絹代が母娘だということもわかり、丸山昭雄・刑事(佐藤二朗)ら警察は、復讐のための殺人だと決めつけます。

 しかし、他に真犯人がいるのではないかと疑う西園寺は、独自に調査を開始。その結果、事件発生時、オペレーション・ルームにいたハズの吉崎が、実際には防音用のガラスに自身の顔の映像を反射させてアリバイを確保していたことを突き止めるのです。

 殺人の動機は、吉崎が考えたトリックを薫子が演目に採用してくれないためであり、25年前の羽衣消失事件も吉崎が関わっていたことが発覚。吉崎は逆上し、絹代を人質にして逃亡を図りますが、西園寺が機敏な身のこなしで制したところで一件落着となりました。

 昨年4月に第1シリーズが放送され、すぐさま続編制作ということで人気の高さが窺える同ドラマですが、凝ったトリックよりも、西園寺のスタイリッシュな佇まいや、百合子への美しき忠誠心が見どころなのだと思います。

 そのため、前作からの視聴者にとって1番の注目ポイントは、がん治療で休業中の八千草薫に代わり、今作から百合子役に抜擢された吉行のキャラづくりだったと思います。

 吉行も八千草と同様、輝かしいキャリアを築く大女優であり、演技力は申し分ありません。上川とのやりとりも自然でした。ただ、達者すぎるんですよね。パーフェクトな執事の西園寺がいなくても、十分に生活していけそうな感じなんです。

 その一方で八千草には、今にも消え入りそうな儚げな雰囲気が漂っていました。それを見守る西園寺は、主というより老齢の祖母に接するようであり、残されたわずかな時間を1秒でも惜しむまい、百合子を守るために完璧であらねばならないんだ、という愛情からくる強さみたいなものが感じられました。

 案の定、ネット上でも八千草ロスを訴える声が少なくないようですが、現在闘病中の身ですから、これはもう仕方ありませんよね。受け入れるしかありません。メイドの前田美佳(岡本玲)がイギリス留学中で不在、というのも前作ファンからすれば寂しいところだと思います。ただ、岡本は19日の放送後、「いつ戻ってくるのかしら?」と含みをもたせたツイートをしているので、この先の大事な局面で登場するのかもしれません。

 トリックに関しては、前述したように特に目新しいものはありませんでした。防音ガラスにパソコン画面の顔を反射させてアリバイ確保というのは、かなり無理があるのでは? とも思いましたが、その辺りの微妙な設定は前作同様です。現場にしゃしゃり出てくる名探偵に対して、無能な刑事がイライラする手垢がつきまくった関係性も相変わらず。謎解きの面白さをメインで楽しむドラマではないのだと思いますし、今回に限っていえば、プリンセス天功の存在そのものの方がよっぽどミステリアスだったと思います。

 気になったのは、その天功が演じた薫子が殺された場面。瞬間移動中に吉崎に刺されたものの助けを求めず、最後までショーを続けたのはなぜか、という小さな謎が提示された点です。

 これを西園寺は、薫子が新人時代に久美子から受けた、「一度お客様の前に出たら、何があっても魔法(ショー)を止めちゃいけない」という教えを守ったためだと解き、そのことを知った久美子が涙を流すという感動仕立ての展開になりました。けれど、久美子は羽衣が無くなって動揺した結果、舞台を降板した過去があるんですね。それが頭にあったため、このシーンはどうにも心を動かされませんでしたし、感動の押し売り感がありました。

 次回は爆破事件が描かれるとのことですが、『令和』が発表直後にはしっくりこなかったように、吉行の百合子役も次第に違和感がなくなっていくことでしょう。上川との新たな名コンビぶりが発揮されることを期待したいと思います。

(文=大羽鴨乃)