『インハンド』最終話 山下智久の新たな代表作に? ツッコミどころ満載も続編を期待

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)も今回でラスト。21日に放送された最終話は平均視聴率10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、初回以来の2ケタ達成で有終の美を飾りました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、新型のエボラウイルスが蔓延し、封鎖されてしまった栃木県・相羽村に残ることになった紐倉哲(山下)。そのウイルスを研究していた元上司の福山和成(時任三郎)は肺ガンで倒れ、ウイルスを撒き散らしたとされる福山の息子・新太(磯村勇斗)は姿を消してしまいます。

 そうこうしている間にも村人たちは次々と倒れ、遂には高家春馬(濱田岳)の幼馴染み・棚橋弘樹(平岡祐太)までもが、婚約者の杉山美園(石橋杏奈)とお腹の中の子どもを残し、死んでしまいます。

 この悲惨な状況を見た紐倉は、患者から弱毒化したウイルスを採取して生ワクチンを開発することを決意。しかし、それはあまりにも困難を極め、天才を豪語する紐倉も珍しく弱気になってしまいます。

 そんな中、山奥で密かにワクチンの開発をしていた新太を発見。自身がアメリカから連れてきた研究仲間が、相羽村を実験場にしてウイルスを撒き散らしたと知った高家は激怒し、“人類の未来のため”と強調して理解を求める新太に対し、紐倉も怒りをあらわにするのでした。

 その後、月日が経ち、美園が出産期を迎えるも、村の中に産婦人科の医師はいません。そこで急遽、内閣官房サイエンス・メディカル対策室の牧野巴(菜々緒)が呼んだ産婦人科の医師にテレビ電話でアドバイスを仰ぎながら、高家が執刀することになります。

 逆子で難産だったものの、何とかオペを切り抜けた高家ですが、その後、ウイルスに感染して倒れてしまいます。5日以内に100%死ぬという状況の中、ワクチンを開発して助けることもできず、紐倉は自分の無力さを嘆きます。

 ところが、高家は5日を過ぎても死なず。実は実家の畑から採れた野菜にはさまざまな寄生虫が含まれ、そのどれかがエボラウイルスに対して強い抗体となっていたのです。そして、高家のカラダから弱毒化したウイルスを取り出し、生ワクチンを開発したことで相羽村の人々は救われ、封鎖も解かれるのでした。

 その後、高家は紐倉の元を離れてアジアの国で医師活動を始めるも、そこへ紐倉が現れて助手としてこき使われることに。また、牧野は念願だった外務省へ返り咲き、海外での任務を開始、というところで終了となりました。

 前回に続いて封鎖された相羽村が舞台となったのですが、BSL4(バイオセーフティーレベル4)の危険な細菌が蔓延している割には、紐倉が防護服を着用せずに山奥へ足を運んだり、高家が呑気に花に水をあげたり、患者の収容所が簡易なテントだったりと、細部に意識が行きわたっていないために、極限状態の危機感が損なわれてしまう演出が残念でした。

 それに加えて、新太の研究仲間がウイルスを撒き散らした動機もいまいち理解できず。なぜ村を実験場にする必要があったのか? 最終回を盛り上げるべく、強引にパンデミックな展開にした感が否めませんでした。

 また、内閣官房サイエンス・メディカル対策室の中に厚生労働省へ情報を流している裏切り者がいる、と前々回から煽っていた割には、御子柴隼人(オリエンタルラジオ・藤森慎吾)が「僕です」とあっさり自首。厚生労働省のお偉いさんとの会話を録音していたことを明かし、マスコミに流すという展開は安易かつ肩透かしをくらった印象です。

 最終話はツッコミどころ満載といった感じでしたが、全話を通じて評価するならば、メインキャスト3人のキャラクター、相互の関係性、ストーリーのテンポなど、どれをとっても満足のいくレベルだったと思います。

 特に紐倉に関しては、変わり者の天才、という手垢が付きまくった設定かつ山下のボソボソとした喋り方を見て、第1話の段階ではあまり期待感は抱けなかったのですが、高家との出会いや元助手・入谷廻(松下優也)を巡る過去のトラウマを断ち切ったことで成長。相変わらず喋る時のトーンは低いものの、徐々に人間味が増してきた印象です。

 その例として今回、人類の未来を守るためにある程度の犠牲は仕方がない、と主張する新太に同意を求められた際、否定した点が挙げられます。ドラマの序盤で同じことを訊かれていたら恐らく、紐倉は迷うことなく同調していたことでしょう。

 また、高家の実家の畑にエボラウイルスに抵抗する寄生虫が存在することに気づいたのも、それ以前に高家に連れられて畑仕事に繰り出していたからこそ。研究室から出て、人間的な交流を得たことで紐倉は真の天才へと変化したのではないでしょうか。

 視聴率的には物足りなかったですが、山下の新たな代表作になるポテンシャルは十分に秘めているドラマだと感じましたし、その成長をもっと見たい。シリーズ化をぜひ期待したいところです。

(文=大羽鴨乃)

『インハンド』最終話 山下智久の新たな代表作に? ツッコミどころ満載も続編を期待

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)も今回でラスト。21日に放送された最終話は平均視聴率10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、初回以来の2ケタ達成で有終の美を飾りました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、新型のエボラウイルスが蔓延し、封鎖されてしまった栃木県・相羽村に残ることになった紐倉哲(山下)。そのウイルスを研究していた元上司の福山和成(時任三郎)は肺ガンで倒れ、ウイルスを撒き散らしたとされる福山の息子・新太(磯村勇斗)は姿を消してしまいます。

 そうこうしている間にも村人たちは次々と倒れ、遂には高家春馬(濱田岳)の幼馴染み・棚橋弘樹(平岡祐太)までもが、婚約者の杉山美園(石橋杏奈)とお腹の中の子どもを残し、死んでしまいます。

 この悲惨な状況を見た紐倉は、患者から弱毒化したウイルスを採取して生ワクチンを開発することを決意。しかし、それはあまりにも困難を極め、天才を豪語する紐倉も珍しく弱気になってしまいます。

 そんな中、山奥で密かにワクチンの開発をしていた新太を発見。自身がアメリカから連れてきた研究仲間が、相羽村を実験場にしてウイルスを撒き散らしたと知った高家は激怒し、“人類の未来のため”と強調して理解を求める新太に対し、紐倉も怒りをあらわにするのでした。

 その後、月日が経ち、美園が出産期を迎えるも、村の中に産婦人科の医師はいません。そこで急遽、内閣官房サイエンス・メディカル対策室の牧野巴(菜々緒)が呼んだ産婦人科の医師にテレビ電話でアドバイスを仰ぎながら、高家が執刀することになります。

 逆子で難産だったものの、何とかオペを切り抜けた高家ですが、その後、ウイルスに感染して倒れてしまいます。5日以内に100%死ぬという状況の中、ワクチンを開発して助けることもできず、紐倉は自分の無力さを嘆きます。

 ところが、高家は5日を過ぎても死なず。実は実家の畑から採れた野菜にはさまざまな寄生虫が含まれ、そのどれかがエボラウイルスに対して強い抗体となっていたのです。そして、高家のカラダから弱毒化したウイルスを取り出し、生ワクチンを開発したことで相羽村の人々は救われ、封鎖も解かれるのでした。

 その後、高家は紐倉の元を離れてアジアの国で医師活動を始めるも、そこへ紐倉が現れて助手としてこき使われることに。また、牧野は念願だった外務省へ返り咲き、海外での任務を開始、というところで終了となりました。

 前回に続いて封鎖された相羽村が舞台となったのですが、BSL4(バイオセーフティーレベル4)の危険な細菌が蔓延している割には、紐倉が防護服を着用せずに山奥へ足を運んだり、高家が呑気に花に水をあげたり、患者の収容所が簡易なテントだったりと、細部に意識が行きわたっていないために、極限状態の危機感が損なわれてしまう演出が残念でした。

 それに加えて、新太の研究仲間がウイルスを撒き散らした動機もいまいち理解できず。なぜ村を実験場にする必要があったのか? 最終回を盛り上げるべく、強引にパンデミックな展開にした感が否めませんでした。

 また、内閣官房サイエンス・メディカル対策室の中に厚生労働省へ情報を流している裏切り者がいる、と前々回から煽っていた割には、御子柴隼人(オリエンタルラジオ・藤森慎吾)が「僕です」とあっさり自首。厚生労働省のお偉いさんとの会話を録音していたことを明かし、マスコミに流すという展開は安易かつ肩透かしをくらった印象です。

 最終話はツッコミどころ満載といった感じでしたが、全話を通じて評価するならば、メインキャスト3人のキャラクター、相互の関係性、ストーリーのテンポなど、どれをとっても満足のいくレベルだったと思います。

 特に紐倉に関しては、変わり者の天才、という手垢が付きまくった設定かつ山下のボソボソとした喋り方を見て、第1話の段階ではあまり期待感は抱けなかったのですが、高家との出会いや元助手・入谷廻(松下優也)を巡る過去のトラウマを断ち切ったことで成長。相変わらず喋る時のトーンは低いものの、徐々に人間味が増してきた印象です。

 その例として今回、人類の未来を守るためにある程度の犠牲は仕方がない、と主張する新太に同意を求められた際、否定した点が挙げられます。ドラマの序盤で同じことを訊かれていたら恐らく、紐倉は迷うことなく同調していたことでしょう。

 また、高家の実家の畑にエボラウイルスに抵抗する寄生虫が存在することに気づいたのも、それ以前に高家に連れられて畑仕事に繰り出していたからこそ。研究室から出て、人間的な交流を得たことで紐倉は真の天才へと変化したのではないでしょうか。

 視聴率的には物足りなかったですが、山下の新たな代表作になるポテンシャルは十分に秘めているドラマだと感じましたし、その成長をもっと見たい。シリーズ化をぜひ期待したいところです。

(文=大羽鴨乃)

『インハンド』は、映画『アウトブレイク』の丸パクリ? 荒唐無稽なパンデミックものと思いきやリアルな風刺劇に

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第10話が14日に放送され、平均視聴率8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から横ばいとなりました。

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 栃木県・相羽村にBSL4(バイオセーフティーレベル4)の危険な細菌を取り扱う研究所を建設予定だという元上司・福山和成(時任三郎)から、副センター長にならないかと打診を受けた紐倉哲(山下)。同村出身の高家春馬(濱田岳)の帰郷に便乗し、現地の偵察に訪れます。

 その相羽村では、厚生労働省の口車に乗って研究所の建設を決めてしまった役所と、断固反対を唱える市民との間で争いが勃発。そんな混乱の中、高家は幼馴染で役所勤めの杉山美園(石橋杏奈)と反対派のリーダー・棚橋弘樹(平岡祐太)が、婚約していたものの騒動のせいで仲たがいしてしまっていることを知り、複雑な想いを抱きます。

 一方、紐倉は美しい自然が広がる相羽村のことを気に入るも、元助手・入谷廻(松下優也)と交わした約束と、現助手・高家の面倒を見るためにも、自身の研究所を建設したいと考え、福山からのオファーを断ります。

 そんな中、サルに引っかかれてケガを負った美園の父親・実喜男(中本賢)が吐血し、搬送先の病院で死んでしまいます。その症状を目撃した紐倉は、かつて入谷がワクチン精製に命を注いだ、アメリカ陸軍が秘密裏に開発した新型エボラウイルスに感染したのではないかと考え、実喜男と接触した者をすぐさま隔離するよう要請。しかし、通常のエボラウイルスより強力かつ空気や飛沫感染するよう改良された新型のウイルスはあっという間に村内に拡散し、政府によって村ごと封鎖されることが決定します。

 ウイルス拡散の原因は福山にあるのでは? 紐倉が問い詰めたところ、研究所で働かせるためアメリカから呼び寄せた息子・新太(磯村勇斗)が、意見の食い違いによって口論となり、どこかへ姿を消してしまったことを知るのでした。

 さらに、その新太に棚橋が山小屋を貸していたことが判明したため、慌てて現地へ向かうと、そこにはエボラ出血熱によってすでに死んでいる新太の研究仲間の姿が。そうこうしている間にもウイルスは爆発的に感染し……というところで今回は終了となりました。

 実喜男がサルに引っかかれたことによって発症、という流れにどこか見覚えがあるなと感じたのですが、1995年に公開されたハリウッド映画『アウトブレイク』にソックリな展開だとすぐに思い当たりました。

 細部は異なりますが、この映画でもサルが感染源となってエボラ以上の致死率と感染力を併せ持つウイルスがアウトブレイク(爆発的感染)し、街が封鎖され、という展開でした。今回、紐倉が牧野巴(菜々緒)に「君にしかできないことが絶対ある」と説得して、封鎖される直前に村の外へ出るよう促した場面がありましたけど、これが伏線になっているのであれば解決方法も映画と同じ可能性があります。

 とはいえ、伝染病が爆発的に広まる、いわゆるパンデミックものは「自分の身に起こったら?」と想像するとゾッとしますし、それだけ引き込まれるものがありますよね。荒唐無稽な話かと思いきや、ネットで調べたところ、東京都武蔵村山市にあるBSL4施設に今夏、エボラ出血熱などを引き起こすウイルスを初輸入する予定であることがわかり、よりリアリティーが増しました。東京五輪・パラリンピックに向けて検査体制を強化するのが狙いのようですが、大規模な国際大会が開催されることによってさまざまな感染症が広まるリスクがあるのだな、と改めて気づかされました。

 今回は、武蔵村山市の市民の不安を考慮せずに計画を遂行しようとする厚労省を風刺しつつ、ウイルス感染の恐怖を描いた回となりましたが、パニック状況の中で美園が棚橋の子どもを妊娠していることが発覚したり、福山の吐血(エボラではない病気?)や、新太との確執などの要素が散りばめられ、最終回へ向けて一気に盛り上がってきた印象です。

 また、内閣官房サイエンス・メディカル対策室の情報を厚労省に流している裏切り者がいるようなのですが、これが誰なのか。カメラワークなどから、御子柴隼人(オリエンタルラジオ・藤森慎吾)が怪しいのですが、ここも気になるところです。

 さらに次回、高家まで感染してしまうとのことですが、紐倉は福山から「お前、変わったな」と指摘されるほど、高家に影響を受けて人間味が出てきただけに、熱い人間ドラマが展開されることは必至。同じウイルスに感染し、結果的に死なせてしまったかつての助手・入谷と同じ目に遭わせてしまうのか。あるいは「天才」と豪語する真価を発揮して、ワクチンを精製することに成功するのか。次週を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『執事 西園寺の名推理2』銃弾を楽々とかわすスーパー執事、「あなたは一体、何者なの?」予告詐欺で謎は明かされず続編決定か

 上川隆也が完全無欠なスーパー執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の最終話が14日に放送され、平均視聴率6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.3ポイントダウンとなってしまいました。

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 今は亡き婚約者・山崎美鈴(声:林原めぐみ)の妹の和歌子(観月ありさ)が、刑事の守屋彰俊(大高洋夫)の殺害事件で重要参考人として警察から追われていることを知った西園寺一(上川)は、資産家の奥様・伊集院百合子(吉行和子)に促されて調査を開始。1年前にチェリストの高本が殺害された事件と関連があると踏み、刑事の丸山昭雄(佐藤二朗)に協力を仰いで当時の捜査資料に目を通します。

 自宅のチェロ保管室で、守屋と同じくベルトらしきもので絞殺されたという高本。その手には丸い模様がつき、これが犯人を特定する手がかりになるのではと睨んだ西園寺は、遺体の第一発見者である高本の娘・ひなの(西田圭李)と、そのひなのにチェロを教える音大講師で高本の兄弟子でもある柿崎友介(飯田基祐)を訪問。事件後、チェロ保管室のドアプレートが紛失するも、警察が取り合ってくれなかった、という証言をひなのから得ます。

 ドアプレートの件は警察によって揉み消され、守屋はそのことを捜査していたために殺されたのではないか。そう推測した西園寺は守屋の手帳を調べ、メモを頼りに彼が足繁く通った場所に向かいます。

 するとそこには、和歌子の姿が。守屋は美鈴が殺害された事件の担当刑事だったため、その場所に隠された捜査資料に真犯人の手がかりがあるのではと足を運んだのです。ところがそこへ、高本の殺害事件で揉み消しに関わった捜査一課の刑事・久保勇作(榊英雄)が現れ、銃口を向けられてしまうのです。

 しかし、そこへタイミングよく駆け付けた西園寺は、銃撃をすべてかわし、久保を追い詰めます。久保は弱みを握ることで自分の都合のいい駒にできるよう、高本殺しの犯人に協力してドアプレートを隠したことを語るも、その犯人の名前を明かす前にビル屋上の分電盤に触れて感電死してしまうのでした。

 事件の真相を探る重要な手がかりを失ってしまった、と思いきや、西園寺はすでに犯人を特定。高本が師匠から譲り受けたチェロの弓を奪うために殺害したことや、凶器がチェロを床に固定するベルト状の器具・エントピンストッパーであることなどから、柿崎が犯人だと指摘します。

 柿崎は、自分よりも才能があり、師匠に期待されながらもプロの道を諦めてしまった高本を殺したことを白状。これによって和歌子の容疑は晴れ、一件落着となりました。

 さて感想ですが、今回は事件自体は大したことがなく、怪しい人物もほぼ柿崎しかいなかったため、謎解きの楽しさはありませんでした。弟弟子がプロの道を諦めたから殺す、という動機はかなり弱いと思いますし、チェロ愛が強いのかと思いきやエントピンストッパーで殺してしまうという点には矛盾が感じられました。

 しかし、今回は何といっても、第1話から“謎の女”としてちょこちょこ登場していた和歌子と、それ以上に謎の深い西園寺の秘密が明かされる、というのがメインだったハズです。少なくとも予告動画では、和歌子が西園寺に銃を突き付けて「あなたは一体、何者なの?」と迫ったり、「今よりずっと寡黙だった」というナレーション付きで、どしゃぶりの雨に打たれる過去の西園寺の姿が映されるなどして、視聴者の期待を煽っていました。

 ところが、西園寺は銃口を向けられても過去の話はせず、雨に打たれるシーンなど出てこず、ほとんど予告詐欺に近い状態でした。また、美鈴に関しては、誰だかわからない女優の後ろ姿に林原めぐみの声がアテレコされた状態で登場し、その死の真相も明かされなかったため、終盤で西園寺が、愛する者を失った悲しみを和歌子や百合子と語り合う場面では、ちっとも感情移入できませんでした。

 恐らく続編ありきで制作されたのでしょうけど、肩透かし感があったことは否めません。謎解きモノとしては単純なストーリーばかりで、このドラマの最大のミステリーは西園寺の過去にあると思うのですが、それが最後まで明かされないというのは、ちょっとフェアじゃないと思います。

 また、回を追うごとに西園寺の“なんでもできる”感が際立っていましたけど、今回に至ってはマンションの上層階から平気で飛び降りたり、銃の弾道を完全に見切ってかわしたりと、もはや人間ではなくサイボーグと化していました。続編ではアイアンマンみたいに空を飛んだりするのではないかとちょっと心配です。シリーズ化するのであれば、常識の範囲内でのスーパー執事を見たいと思いますし、次は謎解き面でのレベルアップにも期待したいところです。

(文=大羽鴨乃)

『インハンド』クライマックスへ向けて盛り上がるも、視聴率は上がらずシリーズ化は微妙?

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第9話が7日に放送され、平均視聴率8.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.9ポイントアップとなりました。

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 ある日、紐倉哲(山下)の研究所に高家春馬(濱田岳)の母・良子(宮崎美子)が訪問。高家の恩師で医師の小泉陽子(市毛良枝)が倒れて入院しているため、様子を見に行くように促します。

 しかし、陽子が入院しているのは、高家のかつての勤務先で、院長の黒野秀之(正名僕蔵)と揉めて懲戒解雇になった台田病院。1人で行くのは心細いと、高家は何とか紐倉を説き伏せ、一緒に病院へと向かいます。

 そうして陽子の病室へやって来た2人は、下痢や嘔吐の症状で寝たきりになっている陽子に対して、水分輸液の処置しかとられていないことや、担当医師が黒野であることに違和感を抱きます。

 陽子の病気は一体なんなのか。研究所に戻り考査した紐倉は、陽子が国境なき医師団の一員として海外での勤務経験が豊富なことや、洋食を好んでいたこと、倒れる前に喘息を患ったことなどから、小麦などに含まれるグルテンに異常な免疫反応を示すセリアック病なのではないかと推測します。

 しかし、セリアック病を患っている場合、体内からグルテンが除去されれば症状は軽くなるハズ。それでも治らないとなれば、難治性のセリアック病に罹っている可能性が高いため、黒野の目を盗んで別の病院へと陽子を移動させます。

 ところが、難治性セリアック病の治療法については紐倉もお手上げ状態。かつての上司で、現在は最先端の科学技術を駆使したビジネスを展開するフューチャージーンという会社のCEOを務める福山和成(時任三郎)に助言を求めるも、協力は得られません。

 しかし、それを見かねた福山の息子・新太(磯村勇斗)が協力を名乗り出て、難治性セリアック病の研究者とパイプを繋いでくれたことで、紐倉はアメリカ鉤虫の細菌を使った治療法を思いつきます。

 ただ、水分輸液にグルテンが混入されていることが発覚したため、陽子は難治性ではなく通常のセリアック病を患っていることが判明。つまり、黒野は故意に陽子の病状を重くしていたのです。

 実は陽子は、故郷の栃木県・相羽村に土地を所有しているのですが、そこにBSL4(バイオセーフティーレベル4)の危険な細菌を取り扱う研究所を建設しようと暗躍する厚生労働省と揉めていたため、病で倒れたことをチャンスとばかり、同省と癒着関係にある黒野が始末役にあてがわれていたのです。

 そして、その研究所建設の主導役を担っているのがフューチャージーンであり、今回は福山と紐倉、厚労省の役人が揃い踏みして何やら秘密の会合を始めたところで終了となりました。

 さて感想。第6話から前回までは1話完結スタイルでしたが、今回から再びフューチャージーンの陰謀がストーリーに絡んできて、クライマックスへ向け盛り上がってきました。

 福山が何やら暗躍している様子の演出が目立ちますが、実はかつての部下で紐倉の助手だった入谷廻(松下優也)がエボラウイルスに感染した時に助けられなかったことを悔やみ、厚労省を利用して正義のために研究所を建設しようとしているのではないか、とも思え、この先の展開が気になるところです。

 また、今回の最後に紐倉は何の意図があって福山に会いに行ったのか。さらには、内閣官房サイエンス・メディカル対策室の内部に裏切り者がいるのではないかという疑惑も持ち上がり、次回へ向けて気になる点ばかり。脚本に無駄がなくテンポが良いので引き込まれてしまいます。

 ストーリーの流れだけでなく、キャラクターやそれぞれの関係性の変化の描き方も秀逸。高家が紐倉に頼みごとをする際、あまのじゃくな性格を利用して、わざとすぐに諦めるフリをして関心を引くテクニックを覚えたり、牧野巴(菜々緒)が紐倉と高家を意のままに操りたい時には、わざと「勝手なことをするな」と念を押すことで、その“勝手なこと”をするように仕向けたりと、お互いの性格を知ったからこその駆け引きが随所に挿入されているため、随所でクスリとさせられます。

 また、今回の序盤、高家が勝手に医師を辞めてしまったことを良子に謝る姿を目撃してしまった紐倉は、黒野に陽子の不適切な処置を咎める際、良子がそばにいることを意識して、患者に対して情熱を注ぐ高家の方がよっぽど医師らしいと褒め称えるなど、初回と比べると嘘のように他者を思いやる心が芽生えたように思います。

 その成長をもっと見たい。シリーズ化を期待したいところですが、視聴率が微妙なんですよね。最終回へ向けて何とか右肩上がりを願いつつ、次回放送を待ちたいと思います。

(文=大羽鴨乃)

『執事 西園寺の名推理2』スーパー執事が安楽椅子探偵となり活躍するも、ゲイの描き方が酷すぎる?

 上川隆也が完全無欠なスーパー執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の第7話が7日に放送され、平均視聴率7.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.3ポイントダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 資産家の奥様・伊集院百合子(吉行和子)は、旧知の仲の衆議院議員・大川龍之介(古谷一行)の国家公安委員長就任を祝うため、自宅で晩さん会を開くことに。しかし、出張料理に来る予定のシェフ・友坂純一郎(内海光司)が殺人事件に巻き込まれ、身動きが取れなくなってしまいます。

 そこで執事の西園寺一(上川)が、現地にいる刑事の丸山昭雄(佐藤二朗)と電話連絡を取り、殺人事件の究明をしつつコース料理を作ることになります。

 その丸山の話によると、殺害されたのは料理評論家の桶川貞則(柏原収史)。事件当日、友人らを自宅に招いた樋川は、1人きりで散歩をしている途中に崖から転落。しかし、その真下の岩場に血だまりがあるものの、すぐ近くの川辺まで遺体が移動しているため、殺人事件として捜査を開始したとのことです。

 容疑者は樋川に招かれた客たちということになり、丸山が目をつけたのは、離婚寸前状態だった樋川の妻・恵(西尾まり)や、樋川と肉体関係はないものの不倫に近い関係になっていたグルメライターの西口真衣(岩井堂聖子)の女性陣だったのですが、彼女たちが犯人だという決定打は見つかりません。

 また、樋川の高校時代からの友人でカフェプロデューサーの天城圭介(斉藤陽一郎)に話を聞いたところ、樋川が新規事業を起こそうと画策していたことが判明します。

 西園寺に命じられ、樋川の部屋の中を捜索した丸山は、ある本の中からラベルにロシア語が書かれた薬を発見します。また、西園寺の指示によって殺害現場の川の下流を調べたところ、指輪を発見するのでした。

 その薬が骨肉腫患者用のものであることや、指輪の宝石が12月の誕生石であることを知った西園寺は、余命3カ月だった樋川が愛する人によって崖から落とされ、その恋人が犯人だとバレないように指輪を川に捨てたことを見抜きます。

 丸山は容疑者たちを集め、電話で西園寺にアシストされながら推理を展開。誕生石から犯人が天城であることを指摘します。天城は、樋川からプロポーズされたものの、仕事が忙しくそれどころではなかったために拒否をし、言い争いをした弾みで樋川を崖の上から落としてしまったことを白状し、一件落着となったのでした。

 今回は西園寺が殺人現場とは別の場所で推理する、いわゆる安楽椅子探偵として活躍する回となりました。そのため、丸山が犯人を言い当てる場面では、西園寺がキッチンでメイドに向かって「醤油をください」と言ったのを、丸山が推理の一部だと勘違いしてそのまま喋ってしまい、容疑者や後輩刑事たちがポカンとするといったコミカルなシチュエーションが生まれ、これまでにない面白みがありました。

 ただ、肝心の事件の背景、といいますか樋川の描き方が杜撰だったように思います。なぜ恵と結婚したのかわかりませんし、真衣に対して思わせぶりな態度を取っていた意味も不明です。世間体を気にしてのカムフラージュ的な説明がありましたが、余命3カ月の男がそんなことする必要があったのでしょうか。

 樋川が死の間際になっても、たとえ崖から突き落とされても天城のことを守るため、腕時計を壊してアリバイを確保してあげたり、川に指輪を流したりと、無償の愛を描こうとする演出に関しては、感動の押し売りといった感が否めませんでした。

 森の中で2人がイチャつくシーンについては、どこかゲイカップルを馬鹿にさえしているように感じたのですが、ここ最近のドラマは何がなんでもLGBT問題を組み入れなきゃいけないという決まり事でもあるんですかね。テーマとして扱っているドラマが乱立しているように思えてなりません。

 今回はストーリー以上に、元・光GENJIの内海が出演したことがネット上では話題になったみたいですね。第3話には佐藤アツヒロが出演していましたし、制作陣に当時のファンがいるのでしょうか。筆者はその世代ではないのでありがたみがわからなかったのですが、それよりも樋川役を演じた柏原を久しぶりに見て、「老けたなぁ~」というのが1番印象的でした。

 次回はいよいよ最終話となるのですが、18年前に亡くなった西園寺の婚約者・山崎美鈴(声:林原めぐみ)の妹・和歌子(観月ありさ)が西園寺と相対するとのことで、スーパー執事の謎のベールに包まれた過去が明らかになる回となるのではないでしょうか。楽しみに待ちたいと思います。

(文=大羽鴨乃)

『インハンド』人をつくるのは遺伝か環境か? 山下智久が悲劇の赤鬼伝説に挑む

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第8話が先月31日に放送され、平均視聴率7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.4ポイントのダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 紐倉哲(山下)はある日、大企業・キガシマホールディングスのポスターに写る女性の髪が赤く染まり、“呪いの血のポスター”と話題になっていることを知ります。おまけに、会長・園川務(柄本明)の息子で後継者候補の直継(夙川アトム)が飛び降り自殺したことと因果関係があるのではないか、とのウワサが流れているため興味津々。居ても立ってもいられず、助手の高家春馬(濱田岳)を引き連れ、そのポスターが展示されている本社へと足を運びます。

 警備員の目を盗んで“血”の成分を調べた紐倉は、それが腸内細菌の一種・セラチア菌であることを確認します。なぜそんなものがポスターに塗りたくられたのかと疑問を抱き、調査を開始しようとしたところ、経産省のアドバイザーを務める、学生時代の同級生・遠藤匡晃(要潤)が登場。ヒトゲノム解析プロジェクトの顧問を務める遠藤は、その出資者だった直継がもつ重要な情報を外部に漏らしたくないという事情と、学生時代からのライバル心から紐倉の妨害をするのでした。

 それでも遠藤の目を盗み調査を続けた紐倉は、直継の地毛が真っ赤であったことや、それが祖父にあたるキガシマホールディングスの創始者・大次郎から遺伝的に受け継いだものであることを突き止めます。

 粗暴だった大次郎に婚約者を奪われた代わりに、彼の娘をもらうことで婿養子になった務は、同じく“赤鬼の遺伝子”を継いだ直継に対して、大次郎のようにならぬよう気をつけろと幼少期の頃から諭し続けてきたのです。

 あらゆる依存症になりやすく、精神的な弱さをもつ“鬼の血”。実の母親は自殺し、自分もいずれは同じ道を辿ることになるのではないかと懸念を抱いた直継は、自身と大次郎の遺伝子が合致するか調べるよう遠藤に依頼。その結果、祖父とまったく同じタイプの遺伝子だと判明し、それを憂いて自殺したという事情があったのです。

 しかし、紐倉は悲劇に至ったのは遺伝子だけではなく、直継に対して幼少期から「鬼の血が流れている」と言い続けた務、つまり育った環境にもよると指摘し、“赤鬼”の遺伝子を持つ者は感受性が強く、アーティスティックな才能にあふれていることを話します。そしてその証拠として、直継の恋人が密かに出産し大事に育ててきた都築歩夢という、務にとって孫にあたる子が絵画コンクールで優勝するほど絵の才能に恵まれていて、穏やかな性格であることを伝えます。

 一方、“呪いの血のポスター”の真相はというと、務に対して同じ悲劇を繰り返さないようにと、遠藤による回りくどい警告だったことが判明したところで終了となりました。

 今回は「人をつくるのは遺伝か環境か?」がテーマだったのですが、紐倉いわくその問いはナンセンスで、その両方が人間を形成するとのこと。務としては直継に対して愛情があるからこそ、鬼の血の危険性について言い聞かせていたわけですが、その“良かれと思って”が結果的に自殺へと追い込んでしまったわけです。

 この「遺伝子or環境」論はさまざまな映画やドラマで扱われていますよね。たとえば2013年に公開された、是枝裕和監督&福山雅治主演映画『そして父になる』では、エリート家庭と中流家庭との間で起こった子どもの取り違えがテーマでしたが、こちらは環境が人格形成を左右するものだという態で描かれていました。

 どの説が正しいかはわかりませんが、紐倉の説には希望があるように思えます。今回のように親が子を洗脳するパターンでなくとも、多少の差はあれ誰しもが親からの影響を受けているもの。それがいわゆる毒親である場合、自分もいずれ同じような人間になってしまうのではないか、と不安を抱いている人は少なからずいることでしょう。

 けれど、その後の環境次第では人格だって変わる。人格が変われば人生も変わる。そんなメッセージも含まれていたのではないかと感じました。紐倉にしても、高家や牧野巴(菜々緒)との出会いによって偏屈さが徐々に解消されて人間味が増してきましたからね。高家と牧野もまた紐倉の強引な性格に感化され、お互いに「(紐倉に)似てきた」とツッコみ合うシーンは微笑ましい限りです。

 ところで、“呪いの血のポスター”については、務に対する遠藤の回りくどい抗議ということであっさり片付けられましたが、セラチア菌はプロジギオシンという赤い色素がコロニーを形成し、健康な人には害がない一方、免疫機能の低下した人は肺炎や敗血症を疾患してしまう可能性があるというのが特徴。そのため、精神的に健康体であれば赤鬼の遺伝子には害がない、というメッセージが込められていたのかもしれません。

 各回しっかりテーマが練り込まれ、ストーリー展開やキャラ設定も申し分ないのですが、視聴率的にはいまいちパッとせず、シリーズ化するには微妙なラインというのが何とも惜しい限り。クライマックスへ向けてこれまで以上に盛り上がることを期待したいと思います。

(文=大羽鴨乃)

『執事 西園寺の名推理2』燕尾服姿で華麗に舞う執事侍がカッコ良すぎる! 浅利陽介の復帰でドラマに広がりが生まれる

 上川隆也がハイスペックな執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の第6話が先月31日に放送され、平均視聴率7.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から2.2ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回の舞台は時代劇映画の撮影所。西園寺一(上川)は、亡くなった名優・城ノ内昌胤(西郷輝彦)から主役の座を受け継いだ、若手俳優の奈良橋蓮(佐藤寛太)が主演を務める映画『あだ花侍』の撮影を見学に訪れます。

 しかし、奈良橋を売り出すべく、出資者の天谷光俊(岡部たかし)が独裁者のように振る舞うため、城ノ内のことを慕っていた古参スタッフたちと険悪なムード。その一方で奈良橋は、何かと城ノ内と比較されることに対して不満を抱き、撮影所の所長・笹塚はるみ(有森也実)が両者の間に入ることで何とかバランスを取っている状態なのです。

 そんな中で始まった殺陣の撮影では、忍者役のベテラン俳優・赤城力(菅原大吉)が立ち位置を間違えて奈良橋とぶつかる凡ミス。これをわざとだと感じた奈良橋が激怒し、現場から立ち去ってしまいます。

 一方、浮かれ気分で自撮りしながら撮影所を歩き回っていた新人女優の滝口まりな(小倉優香)が、室内のセットで倒れている天谷を発見。背中に十文字槍が突き刺さり、絶命しているのでした。

 刑事の丸山昭雄(佐藤二朗)が現場に到着し、まりなが撮影した映像を調べたところ、忍者の格好をした人物が駆け足で移動している姿を発見。忍者のコスチュームは特注品で、現存するのは5人の俳優の分のみということで、赤城らに疑いの目が注がれます。

 そこで西園寺が殺陣シーンの再現を申し出た結果、赤城には本番中に82秒の空白の時間があり、その時に天谷から『あだ花侍』で使うお面を盗んだことが判明。記者発表の際、先代が大事にしていたそのお面を奈良橋がハンマーで叩き割り、新たな『あだ花侍』誕生のインパクトを狙った演出が予定されていたのですが、それを阻止しようとしての犯行だったのです。

 しかし赤城は、天谷の殺害に関しては否定。その一方で西園寺は、天谷の爪にチョークが付着していることや、槍が真上から突き刺さったことに着目します。そこから推理を発展させ、上下動する背景幕を利用して頭上から槍を落下させたトリックや、その落下地点に天谷を誘導するため、チョークでバミリ(役者の立ち位置を指示するT字のマーク)を描き、その上に翡翠のペンダントを置いたことを見抜くのでした。

 そして、その翡翠のペンダントの持ち主である笹塚が犯人であることが判明します。笹塚は、廃れ行く時代劇の文化を守るため、強引に改革を推し進める天谷を殺すに至ったというわけだったのです。

 笹塚や古参スタッフたちが時代劇に懸ける想いを知った奈良橋は、新たな『あだ花侍』像を築き上げることを決意。その姿を、幽霊として現れた城ノ内が優しく見守る姿が映ったところで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、槍があんなに上手く突き刺さる? とか、天谷を誘導した翡翠の下にチョークでバミリを描いた意味は? とか、忍者のコスチュームなんて簡単に用意できるのでは? とか。謎解きに関してはいつものように疑問に思う点がいくつかありました。

 しかしそんなことよりも、今回の一番の見どころは、西園寺が燕尾服姿で殺陣を行うシーンだったのでしょう。実際、Twitter上でドラマのハッシュタグ検索をすると、そのシーンの感想で埋め尽くされています。忍者たちをバッタバッタと斬りまくる華麗な執事侍はインパクト大でカッコ良すぎました。

 そんな西園寺に憧れを抱く、“慎次くん”こと助手執事の澤田慎次(浅利陽介)が今回から復帰。浅利のスケジュールの都合で、第1話でケガを負って治療に専念していたという設定だったのですが、やはり慎次くんがいると西園寺のカッコ良さが引き立つだけでなく、ドラマに広がりが生まれますね。

 先代の城ノ内と比較されてもがき苦しむ奈良橋にそっと寄り添い、偉大な先輩をもったがゆえのつらい気持ちを共有しつつも、「でも、目指す先を迷わなくてもいいから楽でいい、ともいいますよね」と語った場面は、慎次くんだからこそ説得力がありました。へらへらした顔で西園寺に金魚の糞のようにくっついて回るだけの新米執事・松本松五郎(森永悠希)では味わいの出ないシーンだったと思います。

 次回は西園寺が料理に挑戦するということで、今回の殺陣とは違った魅力を発揮することでしょう。また、初回からちょくちょく現れる謎の女・山崎和歌子(観月ありさ)の存在も気になるところ。今回のラスト、衆議院議員の大川龍之介(古谷一行)と電話で“18年前の西園寺”について会話をするシーンがありましたが、今後のストーリーにどう関わってくるのでしょうか。次週を楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『インハンド』山下智久、「とてもセクシーな治療法」で天才を証明 菜々緒と友達以上の関係へ?

 山下智久が寄生虫専門のドSな医学者を演じるドラマ『インハンド』(TBS系)の第7話が24日に放送され、平均視聴率9.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.8ポイントダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、牧野巴(菜々緒)に娘がいることを知った紐倉哲(山下)と高家春馬(濱田岳)は、入院中の牧野の娘・美香(吉澤梨里花)のお見舞いへ行くことに。そこで美香が、生まれつき免疫に欠陥があるPID(原発性免疫不全症候群)を患い、骨髄移植のドナー提供者が見つかっていないことを知った紐倉は、牧野からの懇願を受けてPID治療の研究を開始します。

 交通事故で他界した美香の父・賢一(永岡卓也)もまた、PID遺伝子をもっていたものの発症しなかったため、治療法のヒントが隠されているのではないかと、賢一のカラダのあらゆるデータや血液、糞尿、冷凍保存した精子などのサンプルを保管していることを知った紐倉は、賢一の父・将之が運営するPID研究所へと足を運びます。

 そこで紐倉は、牧野が賢一の精子を用いて、美香にドナー提供するための子ども、いわゆる“救世主兄妹”を人工授精しようとしていることを知ります。しかし、たとえ妊娠・出産できたとしても、ドナーとして適合する確率は10分の1程度。倫理的に好ましくないため紐倉は賛成しないのですが、牧野の娘を想う気持ちを知るだけに強く反対はできず、その代わり早急に治療法を見つけることを決意します。

 しかし、天才を自称する紐倉でもPIDの治療法を見つけ出すのは困難。かつての上司で現在は最先端の科学技術を駆使したビジネスで大成功する『フューチャージーン』という会社でCEOを務める福山和成(時任三郎)に意見を求めたり、賢一が採った大量のデータや論文にすべて目を通すものの解決策は得られず、「僕は天才じゃなかったみたいだ」と珍しく弱音を吐きます。

 それでも研究を続けた結果、賢一が残した糞尿から腸内細菌を採取して美香に移植し腸内環境を正常化させる、紐倉いわく「とてもセクシーな治療法」を発見。手術は無事に成功し、一件落着となりました。

 親子の絆が描かれた今回、娘のことを想って牧野が号泣するシーンなどがありましたが、決して感動の押し売り感はなく、1時間があっという間に過ぎました。毎回思いますけど、このドラマはキャストの演技&脚本の緩急のバランスが絶妙だと思います。

 その中でも特に、高家役の濱田岳の演技は抜群。シリアスもコメディもすべてのシーンが、濱田の演技によって自在に切り替わる印象です。山下も菜々緒も格別に演技が上手いわけではないだけに、濱田がこのドラマの支柱といえるでしょう。

 その高家の存在によって、紐倉の偏屈さや、牧野の他人に頼らない強情さはカドが取れてきているようです。今回、紐倉が牧野のことをビジネス仲間ではなく、友達と認める発言をした時の牧野の驚いた表情や、高家が嬉しそうに微笑んだシーンが印象的でした。賢一も紐倉と同じく研究が大好きな変態だったようなので、今後は紐倉と牧野が友達以上の関係へと発展していく可能性もありそうです。

 ただ、その一方で今回のラスト、福山が優秀な科学者を次々と引き抜いていることが判明したことが気がかりでもあります。この福山に関しては第5話の最後、アメリカ陸軍が極秘裏に研究開発した新種のエボラウィルスを密かに保管する怪しげなシーンが流れました。

 そして、その福山の不穏な動きを察知した上司の網野肇(光石研)から、牧野は福山と紐倉の動向を探るよう命じられたわけです。せっかく友情を深め、それ以上の関係に進展するのではないかという兆しが見えたところで、紐倉に対してスパイ的な行為をしなければいけなくなるんですね。仕事と友情、その間で揺れる牧野の心の葛藤が次回から見られるような予感がします。

 また、紐倉にしても何やら福山に想うところがある様子。エボラウィルスの研究を勝手に行ったためアメリカ陸軍に殺された、元助手・入谷廻(松下優也)の研究ノートを福山がずっと保管していたことに対しても、恐らく不審感を抱いていることでしょう。

 前回は、入谷や福山との過去の話にはまったく触れませんでしたが、今回からまたエピソードが繋がったことで楽しみが増えました。福山にはどす黒い裏の顔がありそうなので、紐倉との今後の関係性がどうなっていくのか気になるところです。

 気になる次回は“鬼の血”伝説の謎を追うとのことで、今回とはまるで違った展開になる予感。紐倉の大学の同期で、強烈なライバル心を抱く遠藤匡晃(要潤)という、これまた濃そうなキャラが登場するのも見逃せません。
(文=大羽鴨乃)

『執事 西園寺の名推理2』の『三重密室』はタイトル詐欺? 『金田一少年の事件簿』を希釈したようなベッタベタなミステリーに

 上川隆也がハイスペックな執事役で主演を務めるドラマ『執事 西園寺の名推理2』(テレビ東京系)の第5話が24日に放送され、平均視聴率5.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。前回から0.3ポイントダウンとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 西園寺一(上川)は、山奥の別荘で行われる資産家・雫石幸造(山本龍二)と三日月弥生(黒川芽以)の婚約披露パーティーに参加。嵐に見舞われた夜、停電が起こり、幸造の叫び声が別荘中に響き渡ります。

 西園寺はすぐさま幸造の部屋へ駆けつけるも、ドアは施錠された状態。幸造の秘書・沢渡昇一(堀部圭亮)いわく、スペアキーはないとのことで、仕方なくドアをぶち破り室内へ侵入すると、クロスボウ(西洋式の弓)の矢が胸に刺さった幸造の遺体を発見します。

 部屋の中にカギが置いてあり、窓は施錠された状態。さらに、部屋まで行くには招待客たちが集まるロビーを通らなければならなかったため、西園寺はこれを三重の密室トリックだと解釈します。

 また、停電直後に部屋から杖をついた幸造が少しだけ姿を現したことや、普段は電子ロックがかかった保管庫に入っているクロスボウが、停電によって誰でも取り出せる状態になったことなどから、幸造が殺されたのは停電後だと推測して調査を開始します。

 そんな中、嵐のせいで道が塞がってしまい下山できなくなり、配電盤や電話線が何者かによって破壊され、携帯の電波が繋がらないという孤立状態に置かれてしまいます。

 奥様の伊集院百合子(吉行和子)が、幸造の叫び声を聞く前、窓の外から何者かが「ホワイトアウト(白夜)」と言う声が聞こえたという証言を得た西園寺は、招待客たちに何か心当たりがないか聴取します。

 すると、幸造が以前、ノルウェーのサーモン販売の利権を巡り、弥生の父・正隆(長谷川公彦)と争っていたことが発覚。その一方、幸造の弁護士・藤倉健介(村杉蝉之介)によれば、ホワイトアウトには金融用語で「白馬の騎士」という意味があり、敵対的買収を仕掛けられた会社の経営者が自身に友好的な第三者に買収してもらうことを指す言葉であるとのこと。さらに正隆が経済的に困窮した際、ホワイトアウトを名乗る人物に騙され、自殺に至った経緯を知るのでした。

 正隆についての情報を得るため、西園寺はモールス信号で刑事の丸山昭雄(佐藤二朗)とコンタクトをとり、正隆の自殺がろくに調査されなかったことを知ります。

 また、沢渡が以前、正隆の秘書をしていたことが発覚。事業に失敗して自殺しようとしたところを助けられた経緯があるのでした。

 その沢渡のズボンに百合の花粉が付着していることに気づいた西園寺は、別荘内で唯一、室内に百合の花が飾られている弥生の部屋に着目。その花瓶が通常は窓の前に置かれているハズが、少しずれた場所に置かれていること、その部屋がちょうど幸造の部屋の真下にあることに気づきます。

 沢渡は窓から身を乗り出し、上階に向かってクロスボウを構えて、「ホワイトアウト」と呼びかけ、顔を出した幸造を撃った、というのが事件の真相だったのです。

 また、沢渡は保管庫の電子ロックの解除番号を知っているため、停電が起こる前にクロスボウを取り出して幸造を殺害。その後、停電時に幸造になりすまして杖を突きながら少しだけ部屋の外へ姿を見せることで殺害時刻の予想をずらし、幸造の死体発見時に密かに窓のカギを締めることで密室状態を作り出していたことも判明します。

 沢渡は、幸造が正隆を自殺に見せかけて殺害し、弥生との結婚によって三日月家の資産を奪い取ろうとしたことが許せず犯行に至ったことや、正隆から弥生を守るように命じられていたことを告白。事件は解決するのでした。

 今回は、登場人物たちが特定の場所に閉じ込められてしまう、いわゆるクローズド・サークルものでした。本格ミステリーのド定番な設定なのですが、特に凝ったトリックもなかったため、ベッタベタな展開で終始してしまった印象です。

 そもそも今回の事件、クローズド・サークルにする意味ってあったんですかね。停電にするために配電盤を破壊したのは理解できるのですが、電話線を切った意味は? たとえば、時間が経つと完全に消化されてしまう毒薬を用いて、すぐに死亡解剖されたくない場合でしたらわかるんですけど、今回の事件ではまったく意味のない行動に思えました。

 また、今回のサブタイトル『呪いの三重密室トリック』は詐欺だと思います。三重というのは、それぞれが独立したトリックのことを指します。つまり、窓が施錠されるだけで1つの密室状態がつくられなければいけませんけど、そうはなりませんよね。

 狙いとしては、正隆に対する忠誠心と、弥生を陰で守る「白馬の騎士」的なキャラクターとして描くことで、視聴者が沢渡に同情するよう仕向けたかったのでしょう。ただ、幸造の殺害時のアリバイ確保のためロビーにいるよう命じた時は別として、弥生に対して常に冷たい態度をとっていた点が解せませんでした。“実は味方だった”というギャップで感動的にしたかったのでしょうけど、あまりその効果は得られなかったようですね。

 このあたりの犯人の心理描写を巧みに描き、ヒットとなったのがコミック『金田一少年の事件簿』(講談社)だと思うのですが、今回はトリックを含めて同作品を希釈したような印象を受けました。

 次回は時代劇映画の撮影現場が舞台。予告動画では西園寺が見事な殺陣を披露していますが、度肝を抜くようなトリックにも期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)