利用客の大半は異性愛者女性。彼女らはなぜレズ風俗を利用するのか/『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』の人気キャストに会ってきた【01】

 姿見をのぞき込み、簡単にメイクを直す。ショートヘアに、シンプルなパンツスタイル。もともとメイクは薄く、それゆえかえって大きな瞳が際立っている。雑居ビルの一室は殺風景といえば、殺風景。小ぎれいに片づけられていて余分なものは何もなく、特徴的なものを強いて挙げるとすれば、カラーボックスに収められた、米国の人気ドラマ『Lの世界』のDVDセット。そして、ピンクの背表紙の本が1冊。手に取ると『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(永田カビ著、イースト・プレス)……今年の「Amazonのランキング大賞 Kindle本 コミック部門」で5位にランクインした、話題のコミックエッセイだった。

「準備、できました!」と明るくハリのある声とともにふり返る彼女こそ、同コミックに登場する“ゆう”さん(作中では“ゆか”さん)。大阪を拠点に女性同士の性サービスを提供する「レズっ娘クラブ」「ティアラ」の人気キャストで、この日もこれから予約が1件入っていた。同店のオーナーである御坊(おぼう)さんに「いってきます!」と明るく声をかけ、ゆうさんは事務所を後にした。

ゆうさん(以下、ゆう)「きょうは、初めて当店を利用するお客さま。女性同士のプレイも初めてだそうです。どんな方なんでしょうね、楽しみです」

 これからゆうさんは、事前に決めておいた待ち合わせ場所に向かう。途中まで同行させてもらった。

 事務所から数分も歩けば、そこは大阪一の繁華街。定番の待ち合わせは、百貨店の入口や、コンビニの前。女性同士がそこで落ち合っていても、友だち同士の約束にしか見えない。初めての利用の場合、前日までにその日の服装を店側に伝えることになっている。それをキャストが見つけて声をかけるので、ぎくしゃくすることなく自然に出会える。

女の子となら、怖くないかも

 同店にはいくつかのコースが用意されているが、最もライトなものは「デートコース」。文字どおり食事をしたりどこかに遊びにいったりデートを楽しむコースで、性サービスは含まれていない。一方で「ビアンコース」は基本的にホテルでふたりきりの時間を過ごす。この日の予約は、後者だった。

ゆう「実はお客さまのなかでレズビアンの方は少数派なんです。7〜8割はノンケ、つまり異性愛者です。既婚者の女性もめずらしくないですよ」

 狭い道を並んで歩いていると、前方から車が近づいてきた。さりげなく筆者を歩道側に誘導し、自分は車道側を歩くゆうさん。男性がことさらに同じことをすると鼻につきがちだが、ゆうさんのそれはとてもとても自然で、筆者は思わずドキッとしてしまう。同性にこうした気遣いを受けた経験は、これまで一度もない。

 異性愛者の女性がレズ風俗店を訪れる理由とは、いったい何なのだろう?

ゆう「初めてのお客さまにはなぜこのお店にいらしたのかを訊くのですが、ノンケ女性は『男性との行為で満足を得られないから』と答えられる方が多いですね。既婚者でもセックスレスだったり、パートナーの技術に問題があるのか相性が悪いのかはわかりませんがセックス自体を愉しめない。かといって浮気や不倫はできず、出張ホストや性感マッサージを利用するのも、なんだかコワイ。お話を聞いていると、みなさん、知らない男性と関係をもつことに強い抵抗があるのだと感じます。でも、知らない女の子とだったらできるかも……と思われるみたいですね。なかには夫公認で、お店を利用される既婚女性もいらっしゃいます」

 もともとのセクシャリティが何であれ、何かしら求めるものがあるから女性たちはレズ風俗を利用する。

ゆう「ちょっとした好奇心で利用される方もいれば、日ごろから生きづらさを感じていて、救いや居場所を求めて利用される方もいます。デートコースでもビアンコースでも、ふたりきりでいるとお客さまのほうからいろいろお話してくれるんですよ、家庭のことやお仕事のことを。それはしんどい状況やな〜と思うこともありますが、ここに来ることで気持ちが紛れたり何かを見つけられたりするのであれば、どんどん利用してほしいですね」

『さびしすぎて〜レポ』の著者・永田カビさんも生きづらさを感じていたが、同店を利用したのを機に自分のことを漫画にし、親から自立しようと思えるようになり、実際に行動した。

ゆう「このお仕事は一期一会のことも多いですが、お会いしたときに聞いたお話やそのときの様子から、その後どうしているんやろ、と気になるお客さまもいます。永田カビさんのこともずっと頭の片隅に残っていましたから、漫画を読んで、ああ、あの後そんな変化があったんや、とうれしくなりました」

 待ち合わせの場所に近づいてきた。外国人旅行客も多く、平日だというのにたいへんな人出だ。落ち合った後は、そのままラブホテルに向かうという。界隈にはラブホテルが点在しているが、東京から来た筆者には大阪のラブホテルは外装が派手なものが多いように見えた。入り口が、人通りの多い通りに面しているのにも驚く。女性ふたりで入っていくと目立つのではないか。

ゆう「あんまり気にしませんね。私が気にしないから、お客さまも気にしないよう努力してくれるみたいです」

がんばって稼いで、風俗へ

 この日は、ビアンコース250分の予約。料金は56,000円だ。そこにホテル代が別途かかり、途中で食事などをすればそのぶんも利用客の負担となる。決して安くはないことは、ゆうさんも重々承知している。

ゆう「アルバイトやお仕事をしてお金を貯めて、それでお店を利用してくれる女性も少なくないんです。お客さまの地元まで出張する場合は、往復の交通費も加算されますし、ほんとうに強い想いを感じますね。ふたりきりで過ごしているときにお仕事の愚痴や悩みを聞くこともありますが、私、思わず『無理したらあかんよ』っていっちゃうんです。風俗店のキャストとして上は『もっとがんばって稼いでくれたら、もっと会えるよ!』というべきなんでしょうけど、私はそういうことがどうしてもいえない。性分ですね(笑)」

 一方で、豪快にお金を使う女性もいるという。

ゆう「常連になってくれたお客さまは距離が近くなり、いい意味で気を遣わなくなって、近場をデートするとかホテルでずっと過ごすとか以外の過ごし方を希望されるようになりますね。旅行に連れてもらったり、普段行けない素敵な場所に連れていってもらったり。どうやったらお礼できるかな、裸になったら喜んでくれるかな……って、いままでさんざん裸で一緒に過ごしてきたのに(笑)」

 ゆうさんの話には常に笑いがある。待ち合わせ場所が近づき、「じゃあ!」と片手をあげ、歩く速度を速めて人混みに消えていったゆうさん。彼女はこれから4時間超、どんな女性とどんな時間を過ごすのだろう。

▼中篇に続く

(三浦ゆえ)

少女凌辱エロ漫画がなぜ女子に支持されるのか。「知るかバカうどんファン」インタビュー

殴られ、蹴られ、犯される。可愛い女の子が血まみれになり、目も当てられないほど凌辱される漫画を描く女性漫画家の知るかバカうどん。初の単行本『ボコボコりんっ!』(一水社)は、品薄となり重版が決まったほどの人気だ。彼女が登壇するイベントの最前列には女性ファンが並び、Twitterでも登場人物のコスプレをする熱狂的な女性ファンの姿が見られるように、愛読者は男性に限らない。女の子が酷い目に遭う漫画とその作者は、なぜ女子に支持されているのか。2名のファンに、その理由をうかがった。

香菜さん(仮名)「怖いけど見たくなる。女性が安心できる凌辱エロ漫画」

──知るかバカうどん先生(以下、うどん先生)の漫画は、ジャンルとしては男性向けアダルト漫画です。女性である香菜さん(仮名)が、うどん先生を知ったきっかけは何でしたか?

香菜 インターネットで、少女の誘拐をテーマにしたクジラックス先生の漫画「ろりともだち」(単行本『ろりとぼくらの。』に収録)を知りました。当時、実際に誘拐事件があったので、なんだか気になって。その後、似たテーマの漫画を探していたらうどん先生の作品にたどり着きました。

──うどん先生の作品はエロだけでなく過激な暴力表現が特徴ですが、抵抗はありませんでしたか?

香菜 抵抗がないとは言えません。でも、暴力を振るわれる女の子側に、その子の背景があるところが好きでした。殴られてエッチなことをされるためだけに存在するのではなく、普段は部活を頑張っていたり、好きな男の子がいたり。ただの暴力コンテンツや凌辱エロ漫画とはちょっと違う印象です。それと、もともと後味の悪い「鬱展開」があるストーリーが好きなんです。怖い話やモヤッと終わるお話って、好奇心で気になっちゃうじゃないですか。うどん先生の漫画も好奇心の強い人がつい見ちゃうんじゃないでしょうか。エッチな気分になりたいというより、怖いものやヤバいもの見たさのほうが強い。

── 一番好きなお話はどれですか?

香菜 全部好きで、選べないんですけど……同人誌『JS★ボコボコりんっ!』のオヤジギャグとかが好きです。おじさんが女の子に「ぴーちくぱーちく五月蠅いねん いうても今、七月やけど」って言う(笑)。うどん先生の漫画って暴力やエロなのに笑っちゃうときがあります。

──2016年11月11日の高円寺でのトークイベントやTwitterなどで、うどん先生も「暴力表現のあるアダルトビデオを見て笑ってしまう」とおっしゃっていますね。

香菜 女の子の顔面を酒の瓶で殴るとか流産目的で妊婦のお腹を蹴るとかは、現実の世界ではやってはいけないことです。だけど、うどん先生は「漫画の中でとことん酷いことをする」を突き詰めています。「悲惨すぎて抜けない(笑)」って言う男性もいるくらい。突き詰めすぎてギャグみたいになっている面と、安心できる面があると思います。

──うどん先生の漫画を読んで、安心するんですか?

香菜 はい。まず読み終わったあとに「これはフィクションだ」と思える安心です。読んでいる最中は、怖い、酷いという思いが強いし読後感も悪い。でも、「ここまで酷いことは、自分の身に起こったことがない。自分の人生はまだマシだ」と思って安心します。だから、つらい気持ちのときに安心したくてうどん先生の漫画を読むこともあります。

もう1つは「幼女・少女が『神聖なもの』として描かれていない」という安心感もあります。例えば、『おさんぽJKいちごちゃん』のJKリフレで働くいちごちゃん。いちごちゃんには好きな男の子がいて、リフレで働くのはその男の子のため。だからお客さんを大切に思えずバカにしている、という女の子側の感情的な背景が描かれます。現実にJKリフレで働いている子や援助交際をしている子なども、そういうことをしている時間だけがその子の全てじゃない。エロとは別の時間や人間関係を持つ女の子たちの「人間らしさ」がわかるのは、うどん先生ならではだと思います。

──アダルト漫画が好きだと言うと「エッチな子だ」と決めつける人もいると思います。そういう経験はありますか?

香菜 ありますね(笑)。うどん先生のファンだとTwitterに書いたら、男性から「君は、こういうことをされたいんだね^^」というリプライが来たこともあります。うどん先生の漫画の魅力は、暴力を振るわれたりレイプされたりする女の子が、最後までエッチで気持ちよくならないところ。「少女が『神聖なもの』として描かれない安心感」に近いですが、女の子は基本的には暴力・レイプなんてされたくないし、気持ちよくないと思います。うどん先生はそこを誤魔化しません。この人はちゃんと読んでないなーって笑っちゃいました。

──アダルト作品の中で女性の「人間らしさ」が描かれていることは、女性にとって魅力的ですか?

香菜 はい。表現方法は全く違いますが、女性向けAVを見るときの安心感にも似ています。男性向けAVのレイプシーンで女性が気持ちよくなる演出を見ると、男性のために作られた人形みたいで気持ち悪い。でも、女性向けAVでは、女性の感情の変化や性的な気持ちよさに配慮されています。うどん先生の作品の女の子にも感情があって、性暴力を嫌がり、痛がっている。どちらも「女性が感情ある人間として描かれている」のが共通点です。それは魅力だと思うし、私にとっては見やすいアダルトコンテンツ。世の中のアダルト作品が、どんどんそうなっていくといいのになって思っています。

みっつうさん「うどん先生は根が真面目な人。凌辱エロは本質じゃない」

──みっつうさんは、うどん先生が商業誌で話題になる前からのファンなのですね。きっかけは何でしたか?

みっつう はい。うどん先生が二次創作で同人誌を出していた頃からのファンです。うどん先生の『ニコ生はたたん』という二次創作の同人誌を知ったことがきっかけでした。

──うどん先生の作品の、どんなところに惹かれたのでしょうか。

みっつう 漫画を読んで「この人は、自分の体験や気持ちを描いているのかな」と感じました。何かつらい経験があって、それを昇華するために作品を作っている気がして。同人誌のあとがきにも、それをにおわせるコメントがあったんです。私は当時から、引きこもりながらインターネットで音楽活動をしていたので、体験を作品で昇華する姿勢に共感しました。

──うどん先生はインタビューで「JKリフレで働いていた」や「(幼少期は)殺されるかもしれないと思っていました」「だいたい、ホンマの話しか書いていないんですけど……」と話されていたのが印象的でした。今も商業誌の作品に実体験が生かされているのだと思います。同じインタビューで「ヌキどころが自分でもわからなくてダメやろうな」と先生自身がおっしゃっています。みっつうさんは、うどん先生の作品をエロ目的で読むことはありますか?

みっつう もちろん、エッチな部分が読みたい場合もあります。個人的には、ドラッグやハーブを使ったセックスの描写が好きです。ただ、うどん先生の作品の多くで女の子がレイプされますが、女性にとって、犯されるということはセックスではありません。犯されることは、傷付けられることとイコールです。うどん先生の作品は「エロ漫画」というジャンルにまとめられがちですが、実はエロ部分は、先生の暴力表現の一部だと思います。

──確かに、女の子がお話の最後まで泣いて痛みを訴えるのは、それがセックスではなく暴力だからかもしれません。他には何を求めてうどん先生の漫画を読むのでしょうか。

みっつう うどん先生の漫画には名言が多く、私はそういう言葉も好きです。同人誌『ニコ生はたたん』の「幸せは他人に願うものではなく 自分で掴み取るもの」とか。社会や自分の経験に関するメッセージが含まれた作品だと感じます。

──例えば、どんなメッセージが感じられましたか?

みっつう 作品の中で、ホームレスや障害者など社会的弱者が、さらに弱い者である女児を痛めつけるカットがあります。それは、どうしようもない不条理さや、多くの人が目を背けている社会の暗い部分です。それを「かわいそう、不幸だ」と言うのは簡単だけど、うどん先生は「じゃあ何ができるの?」と訴えていると思います。暴力表現やエロ表現は目を引きます。でもそれは、先生がメッセージを見てもらうための工夫や装飾として利用しているだけだと、私は想像しています。

──古参ファンであるみっつうさんから見て、うどん先生はどんな方ですか?

みっつう 実際にお会いしてもインタビューなどを読んでも、とっても真面目な方だと感じます。忙しい中、Twitterでファンからのリプライには「いいね」を返してくれるし、ファンが送った画像やプレゼントはほとんど保存しているみたいです。ファン想いな人。

──2016年開催の児童買春をテーマにした企画展「私たちは『買われた』」に対する、先生の「よくある話」「こういう出し物してお金稼いでる人たち見て心底吐き気がした」などの感想が話題になりました。「酷い」「被害児童をあざ笑っている」と感じた人もいたようです。

みっつう 世の中のアンダーグラウンドな部分を身をもって知っている先生。だから、本人にとってはただの素直な気持ちでも「酷い」「過激」と思われる場合があるのかもしれません。その内容が世間的に正しくても間違っていても、ご本人の経験に基づいて発言しているところを信頼しています。頭でっかちでなく、芯があるからアンチも増える。だけど、だからこそファンを超えて信者になる女性も多いのではないでしょうか。

──どんな女性がうどん先生のファン、信者になっているのだと思いますか?

みっつう うどん先生の描く「報われない話」は、先生の経験や感情が投影されているから、うどん先生自身を知ることができたように感じ、距離が近く思えて応援したくなります。「描きたいものしか描かない」と公言する先生が、万人には受け入れられない表現を使って大きく成長していく。それは、例えば虐待被害者やナイトワーカーなど、私を含め、世の中に受け入れてもらえないと感じている女性の救いになっていると思います。

──今後のうどん先生に、期待していることはありますか?

みっつう 自由でいてほしい。商業誌に進出し、制約も増えたと思いますが、描きたいことを描いて、もし描きたくなくなったら漫画を辞めてしまってもいいと思っています。先生が自由に生きてくれること自体が、私を勇気づけてくれます。

***

知るかバカうどん先生の作品を初めて読んだとき、アダルト漫画という先入観があり「ここまでの悲惨さを男性はエロに求めているのか?」と怖くなった。うどん先生を批判する人もそんな恐怖感を持ったのかもしれない。

そのため、女性ファンお二人が「安心」「救われた」と感じていることに驚いた。男性に都合よく作られがちなアダルト作品の世界で「描きたいものを描く」と自分を貫くうどん先生の姿は、女性をエンパワメントしている。また、実体験をベースにすることで、理解されない生きづらさを抱える女性の支えになる。それを知って改めて作品を読むと、暴力やレイプを推奨しているのではなく、むしろその惨さを描き続けていることに気づかされる。トークイベントで作品を褒められて「そんなのどうでもいい!」と照れたうどん先生。その表情の可愛さや、任された仕事を全うしたいという真面目な姿が印象的で、今も頭に残っている。
(聞き手・文 むらたえりか)

少女凌辱エロ漫画がなぜ女子に支持されるのか。「知るかバカうどんファン」インタビュー

殴られ、蹴られ、犯される。可愛い女の子が血まみれになり、目も当てられないほど凌辱される漫画を描く女性漫画家の知るかバカうどん。初の単行本『ボコボコりんっ!』(一水社)は、品薄となり重版が決まったほどの人気だ。彼女が登壇するイベントの最前列には女性ファンが並び、Twitterでも登場人物のコスプレをする熱狂的な女性ファンの姿が見られるように、愛読者は男性に限らない。女の子が酷い目に遭う漫画とその作者は、なぜ女子に支持されているのか。2名のファンに、その理由をうかがった。

香菜さん(仮名)「怖いけど見たくなる。女性が安心できる凌辱エロ漫画」

──知るかバカうどん先生(以下、うどん先生)の漫画は、ジャンルとしては男性向けアダルト漫画です。女性である香菜さん(仮名)が、うどん先生を知ったきっかけは何でしたか?

香菜 インターネットで、少女の誘拐をテーマにしたクジラックス先生の漫画「ろりともだち」(単行本『ろりとぼくらの。』に収録)を知りました。当時、実際に誘拐事件があったので、なんだか気になって。その後、似たテーマの漫画を探していたらうどん先生の作品にたどり着きました。

──うどん先生の作品はエロだけでなく過激な暴力表現が特徴ですが、抵抗はありませんでしたか?

香菜 抵抗がないとは言えません。でも、暴力を振るわれる女の子側に、その子の背景があるところが好きでした。殴られてエッチなことをされるためだけに存在するのではなく、普段は部活を頑張っていたり、好きな男の子がいたり。ただの暴力コンテンツや凌辱エロ漫画とはちょっと違う印象です。それと、もともと後味の悪い「鬱展開」があるストーリーが好きなんです。怖い話やモヤッと終わるお話って、好奇心で気になっちゃうじゃないですか。うどん先生の漫画も好奇心の強い人がつい見ちゃうんじゃないでしょうか。エッチな気分になりたいというより、怖いものやヤバいもの見たさのほうが強い。

── 一番好きなお話はどれですか?

香菜 全部好きで、選べないんですけど……同人誌『JS★ボコボコりんっ!』のオヤジギャグとかが好きです。おじさんが女の子に「ぴーちくぱーちく五月蠅いねん いうても今、七月やけど」って言う(笑)。うどん先生の漫画って暴力やエロなのに笑っちゃうときがあります。

──2016年11月11日の高円寺でのトークイベントやTwitterなどで、うどん先生も「暴力表現のあるアダルトビデオを見て笑ってしまう」とおっしゃっていますね。

香菜 女の子の顔面を酒の瓶で殴るとか流産目的で妊婦のお腹を蹴るとかは、現実の世界ではやってはいけないことです。だけど、うどん先生は「漫画の中でとことん酷いことをする」を突き詰めています。「悲惨すぎて抜けない(笑)」って言う男性もいるくらい。突き詰めすぎてギャグみたいになっている面と、安心できる面があると思います。

──うどん先生の漫画を読んで、安心するんですか?

香菜 はい。まず読み終わったあとに「これはフィクションだ」と思える安心です。読んでいる最中は、怖い、酷いという思いが強いし読後感も悪い。でも、「ここまで酷いことは、自分の身に起こったことがない。自分の人生はまだマシだ」と思って安心します。だから、つらい気持ちのときに安心したくてうどん先生の漫画を読むこともあります。

もう1つは「幼女・少女が『神聖なもの』として描かれていない」という安心感もあります。例えば、『おさんぽJKいちごちゃん』のJKリフレで働くいちごちゃん。いちごちゃんには好きな男の子がいて、リフレで働くのはその男の子のため。だからお客さんを大切に思えずバカにしている、という女の子側の感情的な背景が描かれます。現実にJKリフレで働いている子や援助交際をしている子なども、そういうことをしている時間だけがその子の全てじゃない。エロとは別の時間や人間関係を持つ女の子たちの「人間らしさ」がわかるのは、うどん先生ならではだと思います。

──アダルト漫画が好きだと言うと「エッチな子だ」と決めつける人もいると思います。そういう経験はありますか?

香菜 ありますね(笑)。うどん先生のファンだとTwitterに書いたら、男性から「君は、こういうことをされたいんだね^^」というリプライが来たこともあります。うどん先生の漫画の魅力は、暴力を振るわれたりレイプされたりする女の子が、最後までエッチで気持ちよくならないところ。「少女が『神聖なもの』として描かれない安心感」に近いですが、女の子は基本的には暴力・レイプなんてされたくないし、気持ちよくないと思います。うどん先生はそこを誤魔化しません。この人はちゃんと読んでないなーって笑っちゃいました。

──アダルト作品の中で女性の「人間らしさ」が描かれていることは、女性にとって魅力的ですか?

香菜 はい。表現方法は全く違いますが、女性向けAVを見るときの安心感にも似ています。男性向けAVのレイプシーンで女性が気持ちよくなる演出を見ると、男性のために作られた人形みたいで気持ち悪い。でも、女性向けAVでは、女性の感情の変化や性的な気持ちよさに配慮されています。うどん先生の作品の女の子にも感情があって、性暴力を嫌がり、痛がっている。どちらも「女性が感情ある人間として描かれている」のが共通点です。それは魅力だと思うし、私にとっては見やすいアダルトコンテンツ。世の中のアダルト作品が、どんどんそうなっていくといいのになって思っています。

みっつうさん「うどん先生は根が真面目な人。凌辱エロは本質じゃない」

──みっつうさんは、うどん先生が商業誌で話題になる前からのファンなのですね。きっかけは何でしたか?

みっつう はい。うどん先生が二次創作で同人誌を出していた頃からのファンです。うどん先生の『ニコ生はたたん』という二次創作の同人誌を知ったことがきっかけでした。

──うどん先生の作品の、どんなところに惹かれたのでしょうか。

みっつう 漫画を読んで「この人は、自分の体験や気持ちを描いているのかな」と感じました。何かつらい経験があって、それを昇華するために作品を作っている気がして。同人誌のあとがきにも、それをにおわせるコメントがあったんです。私は当時から、引きこもりながらインターネットで音楽活動をしていたので、体験を作品で昇華する姿勢に共感しました。

──うどん先生はインタビューで「JKリフレで働いていた」や「(幼少期は)殺されるかもしれないと思っていました」「だいたい、ホンマの話しか書いていないんですけど……」と話されていたのが印象的でした。今も商業誌の作品に実体験が生かされているのだと思います。同じインタビューで「ヌキどころが自分でもわからなくてダメやろうな」と先生自身がおっしゃっています。みっつうさんは、うどん先生の作品をエロ目的で読むことはありますか?

みっつう もちろん、エッチな部分が読みたい場合もあります。個人的には、ドラッグやハーブを使ったセックスの描写が好きです。ただ、うどん先生の作品の多くで女の子がレイプされますが、女性にとって、犯されるということはセックスではありません。犯されることは、傷付けられることとイコールです。うどん先生の作品は「エロ漫画」というジャンルにまとめられがちですが、実はエロ部分は、先生の暴力表現の一部だと思います。

──確かに、女の子がお話の最後まで泣いて痛みを訴えるのは、それがセックスではなく暴力だからかもしれません。他には何を求めてうどん先生の漫画を読むのでしょうか。

みっつう うどん先生の漫画には名言が多く、私はそういう言葉も好きです。同人誌『ニコ生はたたん』の「幸せは他人に願うものではなく 自分で掴み取るもの」とか。社会や自分の経験に関するメッセージが含まれた作品だと感じます。

──例えば、どんなメッセージが感じられましたか?

みっつう 作品の中で、ホームレスや障害者など社会的弱者が、さらに弱い者である女児を痛めつけるカットがあります。それは、どうしようもない不条理さや、多くの人が目を背けている社会の暗い部分です。それを「かわいそう、不幸だ」と言うのは簡単だけど、うどん先生は「じゃあ何ができるの?」と訴えていると思います。暴力表現やエロ表現は目を引きます。でもそれは、先生がメッセージを見てもらうための工夫や装飾として利用しているだけだと、私は想像しています。

──古参ファンであるみっつうさんから見て、うどん先生はどんな方ですか?

みっつう 実際にお会いしてもインタビューなどを読んでも、とっても真面目な方だと感じます。忙しい中、Twitterでファンからのリプライには「いいね」を返してくれるし、ファンが送った画像やプレゼントはほとんど保存しているみたいです。ファン想いな人。

──2016年開催の児童買春をテーマにした企画展「私たちは『買われた』」に対する、先生の「よくある話」「こういう出し物してお金稼いでる人たち見て心底吐き気がした」などの感想が話題になりました。「酷い」「被害児童をあざ笑っている」と感じた人もいたようです。

みっつう 世の中のアンダーグラウンドな部分を身をもって知っている先生。だから、本人にとってはただの素直な気持ちでも「酷い」「過激」と思われる場合があるのかもしれません。その内容が世間的に正しくても間違っていても、ご本人の経験に基づいて発言しているところを信頼しています。頭でっかちでなく、芯があるからアンチも増える。だけど、だからこそファンを超えて信者になる女性も多いのではないでしょうか。

──どんな女性がうどん先生のファン、信者になっているのだと思いますか?

みっつう うどん先生の描く「報われない話」は、先生の経験や感情が投影されているから、うどん先生自身を知ることができたように感じ、距離が近く思えて応援したくなります。「描きたいものしか描かない」と公言する先生が、万人には受け入れられない表現を使って大きく成長していく。それは、例えば虐待被害者やナイトワーカーなど、私を含め、世の中に受け入れてもらえないと感じている女性の救いになっていると思います。

──今後のうどん先生に、期待していることはありますか?

みっつう 自由でいてほしい。商業誌に進出し、制約も増えたと思いますが、描きたいことを描いて、もし描きたくなくなったら漫画を辞めてしまってもいいと思っています。先生が自由に生きてくれること自体が、私を勇気づけてくれます。

***

知るかバカうどん先生の作品を初めて読んだとき、アダルト漫画という先入観があり「ここまでの悲惨さを男性はエロに求めているのか?」と怖くなった。うどん先生を批判する人もそんな恐怖感を持ったのかもしれない。

そのため、女性ファンお二人が「安心」「救われた」と感じていることに驚いた。男性に都合よく作られがちなアダルト作品の世界で「描きたいものを描く」と自分を貫くうどん先生の姿は、女性をエンパワメントしている。また、実体験をベースにすることで、理解されない生きづらさを抱える女性の支えになる。それを知って改めて作品を読むと、暴力やレイプを推奨しているのではなく、むしろその惨さを描き続けていることに気づかされる。トークイベントで作品を褒められて「そんなのどうでもいい!」と照れたうどん先生。その表情の可愛さや、任された仕事を全うしたいという真面目な姿が印象的で、今も頭に残っている。
(聞き手・文 むらたえりか)

熟年合コンバスツアーのハレンチな全容、日本人女性&韓国男性がお盛ん!

 ソウルにいると、アラフォー、アラフィフのバツイチ日本人女性が意外とたくさん暮らしていることを知って驚く。

 日本で日本人と結婚・離婚し、新たな出会いを求めてソウルに来たパターン、ソウルで韓国人と結婚し、離婚後もそのままソウルに住みつづけているパターンなど、ソウルで暮らす理由はさまざま。ただ共通しているのは、みなさんなんだかムンムンしている。美魔女と呼べるほどではないが、そこそこおキレイなみなさん。それよりも何よりも、なんだかムンムン、ムンムンしている。

 そのなかのひとり、昼間はソウル郊外の工場勤め&夜は在韓日本人相手の飲み屋で働くノリコさん(46歳)に誘われて、バツイチ日本人女子会の日帰りプチ旅行に参加することになった。あ、ちなみに筆者はバツイチじゃありませんがね(笑)。

 朝7時に集合場所に行くと、そこには韓国人のおっちゃんたちがワイワイガヤガヤ。場所を間違えた?と思いきや、よくよく見ればバツイチ日本人女性ズも一緒にワイワイガヤガヤしてるじゃないの。

「ん? 誰かの知り合いの、韓国人のおっちゃんたち? で、きょうは、そのおっちゃんの会社の慰安旅行にジョイン?」

◎ぶちゅーに膝枕に…乱れまくり!

 そんなことを思いながら、ノリコさんに手を引っ張られるまま貸し切りバスに乗り込むことに。乗り込んで、指定された席に座らされてようやくわかった。これは、韓国のおっちゃんたちとの合コンバス旅行だったのだ。アラフォー、アラフィフ日本人女性6人と、アラフィフ、アラ還の韓国人おっちゃん7人の、ね。

 いや~、それにしても韓国のこれぐらいの年齢のおっちゃんらって、たぶん日本の同じ年ぐらいのおっちゃんよりも、おっちゃん度がハンパない。この国には、ダンディとまではいかなくても、そこそこイケてるおじさまなんていないんじゃないのか!と思うほど、かなりのおっちゃん度なのだ。

 そんなおっちゃんらと片道2時間バスの旅。ってかノリコさん、こういうことなら先にいってよーーー。ほかの女性たちは驚いた様子でもなかったので、このての旅はどうやら初めてではないらしい……。

 出発と同時にマッコリやら焼酎やらが配られ、すぐさま宴会がスタート。えーっと、まだ朝の8時なんすけど(笑)。

 で、大音量でカラオケ大会へ。アラフォー、アラフィフ日本人女性たちは「日本の歌が入ってなーい」と残念そうだったが、その代わりに韓国人のおっちゃんらが歌う歌にノリノリで合いの手。ってか、これ完全に飲み屋のノリじゃん。誰かの歌に合わせて、おっちゃんと抱き合ってチークダンスを踊る人まで出てきたし。

 目的地のど田舎に到着。かるーく景色を見て歩いて写真を撮ったあとは、名物料理が食べられるお店へ移動。ここでは男、女、男、女、男……と交互に座らされて、すぐさま焼酎で乾杯。バスのなかからすでに酔っぱらってる男女多数。ってことで、ずいぶん乱れた雰囲気に。

 ノリコさん、おっちゃんが「ぶちゅー」って突き出した唇に、笑顔でキスしてた……。ノリコさんの隣の日本人女性、ゆでダコみたいになったおっちゃんを膝枕してあげてた……。なんだかすげーや。

◎Facebookでは旅行アピ

 午後2時に再びバスに乗り込んだときには、ほとんどのおっちゃんは酔っぱらってすっごく眠そう。日本人女性たちも疲れたのか、帰りのバスは全員がぐっすり寝ながらソウルに戻ってきた。で、6時前には解散となった。

 いや~疲れた。チークダンスも、キスも、膝枕もしてないが、なんだかどっと疲れる旅だった。ってか、なんだったんだこれ?

 後日ノリコさんに聞くと、リーダー格のおっちゃんと、リーダー格の日本人女性が知り合いで、おっちゃんに頼まれて、半年に1度ぐらいのペースで合コンバス旅行が開催されているらしい。おっちゃんたちにとってはリフレッシュに、日本人女性たちにとっては、ただで地方に遊びに行けるメリットがあるんだとか。

 そういえば、参加者のひとりの日本人女性がFacebookで、あのときちらっとだけ見た風景を、「バスに乗って地方へ~。紅葉旅行です♪」とアップしていたっけ。なるほどね~。

 それにしてもアラフォー、アラフィフのバツイチ日本人女性たちも、若い子世代に負けず、ソウルライフなかなかを満喫してまんなー! あっぱれ!

■ 韓 美姫/先日スーパーで買い物中のペ・ヨンジュンに遭遇。顔がまん丸、体も少しぽっちゃりしてたから二度見しちゃいましたけどww

熟年合コンバスツアーのハレンチな全容、日本人女性&韓国男性がお盛ん!

 ソウルにいると、アラフォー、アラフィフのバツイチ日本人女性が意外とたくさん暮らしていることを知って驚く。

 日本で日本人と結婚・離婚し、新たな出会いを求めてソウルに来たパターン、ソウルで韓国人と結婚し、離婚後もそのままソウルに住みつづけているパターンなど、ソウルで暮らす理由はさまざま。ただ共通しているのは、みなさんなんだかムンムンしている。美魔女と呼べるほどではないが、そこそこおキレイなみなさん。それよりも何よりも、なんだかムンムン、ムンムンしている。

 そのなかのひとり、昼間はソウル郊外の工場勤め&夜は在韓日本人相手の飲み屋で働くノリコさん(46歳)に誘われて、バツイチ日本人女子会の日帰りプチ旅行に参加することになった。あ、ちなみに筆者はバツイチじゃありませんがね(笑)。

 朝7時に集合場所に行くと、そこには韓国人のおっちゃんたちがワイワイガヤガヤ。場所を間違えた?と思いきや、よくよく見ればバツイチ日本人女性ズも一緒にワイワイガヤガヤしてるじゃないの。

「ん? 誰かの知り合いの、韓国人のおっちゃんたち? で、きょうは、そのおっちゃんの会社の慰安旅行にジョイン?」

◎ぶちゅーに膝枕に…乱れまくり!

 そんなことを思いながら、ノリコさんに手を引っ張られるまま貸し切りバスに乗り込むことに。乗り込んで、指定された席に座らされてようやくわかった。これは、韓国のおっちゃんたちとの合コンバス旅行だったのだ。アラフォー、アラフィフ日本人女性6人と、アラフィフ、アラ還の韓国人おっちゃん7人の、ね。

 いや~、それにしても韓国のこれぐらいの年齢のおっちゃんらって、たぶん日本の同じ年ぐらいのおっちゃんよりも、おっちゃん度がハンパない。この国には、ダンディとまではいかなくても、そこそこイケてるおじさまなんていないんじゃないのか!と思うほど、かなりのおっちゃん度なのだ。

 そんなおっちゃんらと片道2時間バスの旅。ってかノリコさん、こういうことなら先にいってよーーー。ほかの女性たちは驚いた様子でもなかったので、このての旅はどうやら初めてではないらしい……。

 出発と同時にマッコリやら焼酎やらが配られ、すぐさま宴会がスタート。えーっと、まだ朝の8時なんすけど(笑)。

 で、大音量でカラオケ大会へ。アラフォー、アラフィフ日本人女性たちは「日本の歌が入ってなーい」と残念そうだったが、その代わりに韓国人のおっちゃんらが歌う歌にノリノリで合いの手。ってか、これ完全に飲み屋のノリじゃん。誰かの歌に合わせて、おっちゃんと抱き合ってチークダンスを踊る人まで出てきたし。

 目的地のど田舎に到着。かるーく景色を見て歩いて写真を撮ったあとは、名物料理が食べられるお店へ移動。ここでは男、女、男、女、男……と交互に座らされて、すぐさま焼酎で乾杯。バスのなかからすでに酔っぱらってる男女多数。ってことで、ずいぶん乱れた雰囲気に。

 ノリコさん、おっちゃんが「ぶちゅー」って突き出した唇に、笑顔でキスしてた……。ノリコさんの隣の日本人女性、ゆでダコみたいになったおっちゃんを膝枕してあげてた……。なんだかすげーや。

◎Facebookでは旅行アピ

 午後2時に再びバスに乗り込んだときには、ほとんどのおっちゃんは酔っぱらってすっごく眠そう。日本人女性たちも疲れたのか、帰りのバスは全員がぐっすり寝ながらソウルに戻ってきた。で、6時前には解散となった。

 いや~疲れた。チークダンスも、キスも、膝枕もしてないが、なんだかどっと疲れる旅だった。ってか、なんだったんだこれ?

 後日ノリコさんに聞くと、リーダー格のおっちゃんと、リーダー格の日本人女性が知り合いで、おっちゃんに頼まれて、半年に1度ぐらいのペースで合コンバス旅行が開催されているらしい。おっちゃんたちにとってはリフレッシュに、日本人女性たちにとっては、ただで地方に遊びに行けるメリットがあるんだとか。

 そういえば、参加者のひとりの日本人女性がFacebookで、あのときちらっとだけ見た風景を、「バスに乗って地方へ~。紅葉旅行です♪」とアップしていたっけ。なるほどね~。

 それにしてもアラフォー、アラフィフのバツイチ日本人女性たちも、若い子世代に負けず、ソウルライフなかなかを満喫してまんなー! あっぱれ!

■ 韓 美姫/先日スーパーで買い物中のペ・ヨンジュンに遭遇。顔がまん丸、体も少しぽっちゃりしてたから二度見しちゃいましたけどww

「押し付けがましい母親だったと思う」アダルト業界で働き私生活でも性を探求した女性の子育て/神田つばきさん

 今年、自らの人生を綴った書籍『ゲスママ』(コアマガジン)を出版した神田つばきさん、57歳。24歳で結婚し専業主婦として二人の娘を育てるも、38歳で子宮頸癌が発覚し子宮を摘出、夫に離婚を切り出した。当時12歳と8歳だった娘二人を連れて家を出ると、会社勤めをしながら性愛の探求に乗り出し、テレクラや出会い系にとどまらず、自ら企画してのAV出演も実行。驚くべき行動力で冒険を続けてきた彼女の、“ゲス”な“ママ”である部分が同書では記されるはずだったが、結果的に育児に関する記述はほとんど出来なかった。なぜなら、まず彼女のバックグラウンドにある“女の性の探求”について書ききる必要があったからだ。

 前編では子供たちの反抗、キレる母親だった自分、元夫との関係、実母と自分の愛憎などについて伺ってきた。後編は、「今も互いに向き合えているとは言い難い」という長女の話から始めたい。

▼前編
恋愛もAV出演もしながら2人の娘を育てた母親として。「子供に迷惑かけたけど、女としてやり直さないわけにはいかなかった」

身勝手で一人よがりな子育てだった

――上のお嬢さんは中学入学後からあまり自宅に寄り付かなくなったとおっしゃっていました。現在も、つばきさんと下のお嬢さんは同居しているけれど、上のお嬢さんはそこにはいないと。どのような関係性なんですか。

神田 もちろん学生時代は、出て行きっぱなしってことはないんだけれど、顔を合わせて大事な話し合いをしていても途中でもう出て行っちゃうので、最後まできちんとやり合えたことがないんですね。当時の葛藤や問題が棚上げになっちゃってるんですよね、お互いに。次女は私とそれをイヤになるほどやったので、今は平和に同居できているんですけど。長女とは、まだこれからやらないとダメですねぇ。これからの課題ですね。そのへんが複雑だったので、本から省いちゃいました、すみません。子育て本の予定だったのにね。

――まだ離婚される前、つばきさんは専業主婦のお母さんだったわけじゃないですか。たとえば学校の宿題とか見てあげるみたいな、そういう親子間のコミュニケーションって。

神田 してましたけど……そももが、私、すっごい押し付けがましい母親だったと思うんです。特に一人目の子供に対しては、そうでした。算数の繰り上がりを教えるためにわざわざキャラクターの絵を描いて説明したり。○○ちゃん(長女)が海賊に弟子入りして、宝石を集めるんだってストーリーまで作って、小さい石を10個集めると大きい石1個に変えてくれるんだよとか。最終的に繰り上がりを説明する絵本まで作ってて、今思えばあんなの迷惑だったと思うんですけどね。自分と夫だけが満足して、「素晴らしい子育て!ルルルル~♪」みたいになってて、子供は鼻くそほじくってるみたな、そういう感じでしたね。

ところが次女に対しては、彼女が8歳のときに離婚しちゃったので、もう自分がまず仕事しなきゃで手いっぱい。勉強を何も教えないどころか、たまに「宿題教えてあげる」って身を乗り出してきてはすぐキレてしまってた、私が。だからいずれにしても、自分は母親としてあんまり子供のことを見てなかったんですよね……。子供の身になって考えるとか出来ない、自分の身にばっかりになっちゃう、欠陥人間っていうところは否めません。

もともと「子供って苦手」と思ってましたしね。今でこそ成人した子供たちと会話は多いんですけど、彼女たちが小さかったときは「早く大きくならないかなぁ~」って毎日思ってて。

――子供が苦手って気付いたのは産んでからですか?

神田 もっと前から気が付いてました。自分が小学校くらいの時からかな。友達の様子を見ていて、「自分も大人になったらこんなの育てるのかぁ~、イヤだなぁ~暴れるしなぁ~」とか思ってたくらい(苦笑)。嫌な奴だったんですよ。あんまりおままごとのお母さんごっことかもしたがらなかったですね。

――でも24歳で恋愛結婚をして。子供を産むっていうことは、ご夫婦で話し合った?

神田 正直に言いますね、子供には悪いけど。結婚したときは、全く産みたくなかったです。そのうえ新婚当初からセックスレスでもありました。だけど、義母はやっぱり「息子が結婚する=赤ちゃん(孫)をもたらしてくれる」と信じていたから、「一体いつになったらできるの?」としょっちゅう言われました。私も私で、「出来るわけないですよ、うちセックスレスなんですよ、へへへ」とか言ってたんですけど(笑)。

――言ったんですか?

神田 言いました。お義母さんびっくりしてましたけど、切り返しがすごくて、「うちのお父さんはね今でも迫ってくるのよ、あの人と結婚すればよかったわね!」とか言われた(笑)。で、もうあんまりにも孫が欲しくて義母が「キィー!」とかなっちゃって、夫が「これは作る以外にないな」って言うんですね。私もそれで子作りをして。数年後、次女のときも同じ。「一人っ子じゃダメよ、変な子になっちゃう、キィー!」。で、セックスレスなのに、すると1回で出来ちゃいましたね。

――いつからセックスレスだったんですか?

神田 結婚して3カ月くらいから少なくなって……もう2年目からはあんまりしてなかったですね。私の迫り方も悪くて……「どうしてしてくれないの?」とか直球で聞くものだから。ムードとかないんですよ、私。ムードの出し方もわからなかった。でも縛ったりされたかったから、いきなりバンダナ渡して、「これで縛ってみて~」とか言って……夫には「本当に勘弁して」って言われてました。

――結婚するまではしていたのでしょうか?

神田 してました。結婚して家族にならなければ、セックスレスにはならなかったかもしれないけれど、毎日家に一緒にいると、やっぱりあんまり盛り上がらなくなってくるんですよね。よく聞く話ですし、そういうご家庭多いと思う。うちは特に、義母の仕切る大きな家で私は女兵士だったでしょう、だから元夫は、自分の中の男性性みたいなものを、ある程度隠して家に入らないと耐えられないんじゃないかなっていう感じがすごいあった。可哀想だったのは夫だったかも。

――お子さんが誕生してからは、専業主婦で家事育児をつばきさんが。

神田 そうですねえ。ああ、子育ての何が嫌だったかって、小さい子の相手をするのが苦手というのもあるんだけれど、実際に子育てして「あ、私はこれが嫌なんだ!」って思ったのは、<いい母親になるには親コミュニティの中で情報強者にならないといけない>っていうことでしたね。今で言うマウンティングのようなこと、昔からありましたから。私、人と仲良く出来ないの、大体。だけどものすごく気を遣って周囲と仲良くしてたんですね。

――本にも書いてありましたね、子宮摘出手術の前まではすごく気を遣ってたと。

神田 仲良く出来ないから気を遣っちゃうのね。ママ同士の付き合いだったり、PTAだったり、自分なりにちゃんとやった気ではいたんですけど、役員としての仕事だけやればいいってものでもなかったみたいで。もっとお母さん同士の情報を収集して、それこそ会話の中で取材しなきゃいけないみたいなルールがあるんですよね、そうしないと親子ともども浮いちゃう。親同士仲良くなりましょうねとか言って、家を行き来とかするんですけど、もう肩凝っちゃって。夫もそういうの苦手でしたから。

――自宅にも義母がガチャガチャ入ってきますしね、休まらないですね。

神田 唯一楽しかったのは、住んでたマンション内でのお母さん同士でのコミュニティ。みんなで旅行に行ったりもしたし、今でもたまに飲み会に呼んでくださったりとかして。

――それが楽しいのは子供が同じ学年とか同じ部活とかいう縛りがないからなんでしょうか?

神田 そう、仕事も子供の年齢もバラバラだし、国籍も色んな人がいたのね。みんなすごいの、ハッキリ悪口を言うの! 隣の奥さんが中国人の奥さんに「北京の空港、くっさいわね! 中国で売ってる洗剤が粗悪だからくっさいのよねぇー」って言うと、中国人の奥さんも怒るんだけど言い返して笑ってたりとか。私は専業主婦で、義母から働くことを禁止されていたんですけど、バレないようにこっそりテスト採点とか内職を請け負ってたんですね。次第にマンションの人たちも一緒にやるようになって、山ほど回ってくる用紙の束を皆さんに回す元締めみたいになってました(笑)。この間、20年ぶりくらいにそのときのマンションの友人に会ったら、「今でもあれ続いてるのよ。元締めは今誰ちゃんのお母さんがやってるわよー」と言われました。

子供の性への興味関心を肯定する

――お子さんの性教育についても、聞いてもいいですか。しました?

神田 しました、しました。子供が性的なものに興味を持ったときに言うのがいいな、って思ってたんですよ。性教育の適齢期ってひとりひとり違うはずだし、あんまり早いと傷つく可能性もあるので、子供が関心を持った時に言おうと。でも、上のお姉ちゃんはね、おませでしたね。幼稚園児の時に、「エロティックとは何か」って話を突然、してきたんですね。その意味を理解しているわけじゃなくて、この言葉を言ったら大人はギョッとした顔をするから面白いぞって思って、そのフレーズを使いたかったみたいなんですけど。「なあに、ママわからないから教えて?」と訊ねたら、「エロチックっていうのはね、私のハンコ注射の痕だとかケガした痕だとか、そういうことをエロチックって言うんだよ」。

――おお……。

神田 ビックリしましたね。で、「どういうことなの? それは嫌なことなの?」って聞いたら娘はニコニコして、「ううん、そうじゃないの」って。「なんか色んなことがあったその人、っていうことを、エロチックって言うの」と。えー、なんでそんなことを!? って思うじゃないですか。もしも性被害に遭ったりしてそういう言葉を教えられたんだとしたら大問題だとは思ったんですけど、でもニコニコして言ってるから、あんまり私が変な顔して探らない方がいいのかなと思って、「すごいのね~そうなのね~、じゃ、ママもエロティック大事にするね」って言いました。

次女は小さい時にそういうのがありませんでしたけど、あれは離婚してからですね、上が中1で下が小3の時に、ママだけになったからお金がないっていうのは可哀想だなと思って、張り切って沖縄旅行に連れて行ったんですよ。そうすると3人で同じ部屋に寝るじゃないですか。そしたらね、次女が変なことを言い出して。「ママ、おろちって知ってる?」って。「おろち? 何?」って言ったら、「えー知らないの? 自分で自分のことを触るやつ」とニヤニヤ。どうも、オナニーのことだったんですね(笑)。「カタカナのオで始まる」って覚えてて、オナニーのことを「オロチー」と間違えていたんです。

で、お姉ちゃんは中1なのでもうその知識があって「やだー気持ち悪い」と言ったんだけど、ここで罪悪感を抱かせると、ずっと親に隠す子になるなと思って、「お姉ちゃん、それは大事な話だからそんなこと言わないで。オロチーってどういうことをするの?」と下の子に話の続きを促したんですね。「自分で自分のパンツの中に手入れていじるんだよー」って言うから、「へぇーそうなんだー知ってるんだぁー」「うん、知ってるよやり方」「すごいねー○○ちゃん!」「すごいでしょー!」「でも手を洗って綺麗にしてからやった方がいいんだよ」ってやりとりをしましたね。それが彼女の性教育の最初の日だったんですねぇ。

――そのあと、彼氏とかが出来て、コンドームをつけましょうっていう話は?

神田 コンドームは、さりげなく生理がきたときに渡しましたね。もうセックスがどういう行為を意味するかも、コンドームをつけるものなんだということも、娘たちは友人との会話で知っているようだったので。コンドームを渡して「知ってる? こういうの」って聞いたら「知ってる」というから、「じゃ生理のセットも持つようになったからこういうのも、どっかなくならないところに持っておこうか、お守り代わりがわりだからね」って。

――お嬢さんたちのオナニーやセックスへの関心を否定しないように、というところが一貫してますね。

神田 否定しない、それだけでしたね。だからなのか、反抗期でも、彼氏ができたとか、何やったっていうような話は、中学あたりからオープンによくしてくれましたね。今は次女は「堅実な人と結婚したいんだけど、私はクズ男が好き。どうしよう」って言ってます。

――その状態だと、堅実な男性と結婚したとしても、堅実な夫を愛せなくて“クズ”と恋愛しちゃうんじゃないでしょうか。

神田 わーヤバイですね、それは。先日、次女はお友達の結婚式に招かれて行ったんですけど、「新郎が堅実なクズだった」って言ってました(苦笑)。おぼっちゃんなのに、それをいいことにクズになっちゃったっていう。

――つばきさんは離婚から数年経ってアダルトライターのお仕事も開始されているじゃないですか。雑誌って、寄稿すると見本誌が献本されてきますが……。

神田 「フリーライター」ってことは伝えてたんだけど、娘たちにはどんな雑誌に書いてるかは言っていなかったのね。でもまぁ、隠してても見るじゃないですか。家にSM雑誌とかエロ本がどんどん送られてきたら……。今思うとちゃんと子供には隠して、上手に嘘をついておいた方がよかったのよね。子供たちは母がそういう仕事をしていると知っても、それをお友達や先生には言えなくて、相当気を遣って隠してたみたいなので。

――内容がノーマルセックスより過激ですし体験記とかですもんね。

神田 だから子供はいっぱい、私のことで周囲に嘘ついてきたと思う、きっと。まだ判断力の育っていない子供の時期に、なんか親が隠してるから、自分も隠した方がいいのかなぁ……って色んなことを悩んだと思う。それはすっごい申し訳なかったです。全部隠しておいて、子供たちが大きくなったある日「バン!!」って一気にバレて、「実はお母さんはこれでお金稼いでるんだよね」って告白するのが一番よかったかなって思います、今となっては。

――あとがきで、お嬢さんたちには心に屈折のないフラットな状態で恋愛・結婚をしてほしかったんだけども、心の深いところにつばきさん自身とは違う別の屈折を残してしまった……って振り返ってらっしゃるじゃないですか。どんなところに屈折が?

神田 やっぱり、2人それぞれ違うんですけど、下の子は私と長女が争ってるのとかをずーっと見て育ってるから、なんていうかアメリ大陸に流れ着いたピューリタンみたいなところがあって、とても逞しい前向きなエネルギッシュな良い子なんですけど、どこかに正義があるって思ってるんですよね。それを相手にも押し付けると思うんです。それが心配です、親としては。そのために恋愛を楽しめない局面が出てきちゃったりするんじゃないかなぁとか、相手の男の人はどう思うんだろう、それが息苦しくならないだろうかとか、そんなことはちょっと思うのね。

――クズ好きで正義感が強くなると、確かに息苦しくしちゃうかもしれない。

神田 結局ね、彼女にとってクズが好きっていうのは、いわゆる麻薬をやる人が言ってるトリップなんだと思うんですよ。クズに振り回されてる瞬間だけは、ピューリタニズムを忘れられるんだと、きっとそういう感じなんだと思うんですね。自分のピューリタニズムがなし崩しにされちゃうことに、ものすごくエクスタシーがあるんだろうなぁって。

――え、この記事お嬢さん読んだら……読むかな。

神田 怒るかもしれないけど、本当に思ってることなんで。私からはそう見えているのね。

――あくまで、どう見えてるのかということですね、実態ではなく。

神田 書いちゃって全然いいです。私がここできれいごとを言って、「今は長女も結婚に向かって幸せに、キラキラ」とか書かれたら娘はイラっとするかもしれない。長女に関してはやっぱり、さっき言ったように反抗期が終わってない……私と長女との間の決着がついてないんですよね。彼女は家庭を作りたくて、子供も育てたい。でも、私がこんなだったから、子供との接し方っていうのがわからないんじゃないかと思って。そこが一番心配なところなんですよね。

――一度、お嬢さん自身が自分の子供時代を終わらせるための母親とのやりとりが必要なんですね。

神田 やらないといけない。彼女が私と会話していて一番多いのが「こうこうこうなんだから、私は間違ってないでしょ? お母さんが間違ってる」っていう話。だけどそれって、もう大人同士だし正しい正しくないなんて論じてないから、うまく折り合えればいいんじゃないの? って私は思うんです。

50代のセックス

――現在のパートナーの方とは長いですか?

神田 長いですね。東日本震災の1年前くらいからの付き合いで。私、震災の経験でようやく「男の人も人間なんだ」ってわかりました。彼らも感情とか、守らなきゃいけないものがあるんだなぁって。かつては父親不在の性の匂いのしない家庭で培った、男性への過剰な期待と憧れがあったんですね。誰かに自分だけを守ってくれる男になってほしかったんですけど、そんなことはあり得ないんだって。自分は自分で守ればいいのであって、自分のご主人様は自分だなって。

――もう緊縛活動もあまりしていないんですか?

神田 していないの。……やりたい気持ちはあるんですけど、自分のエロスの蓋をもう一回開けるのは怖いです、正直。今度は本当に死なないと気が済まなくなるかも。本当はエロスを追及したい気持ちはありますよ、欲望は。でも、もう自分に許可しないことにしました。

――セックス自体はなさる?

神田 もう平凡なやつを、今のパートナーと。平凡な、平凡にマニアックな(笑)。最近ちょっと忙しくて私が疲れちゃってて会ってないんですけど、平凡にバイアグラ飲ませたり(笑)。平凡で寝取られ願望の強い男で、平凡にAVが好きな男性です。

――寝取られですか。

神田 複数の男からヤラれちゃう私を想像して興奮するらしく、セックスの最中に、ヤッている最中ですよ? 誰もいないのに後ろ向いて、「おい、みんな! やっちまおうぜ!」とか言うんですよ。ビックリするんだけど、それを言うと硬くなるんですって。お互い50代なんですけど、セックスすると、疲れててもちょっと仕事のモチベーション上がるねって話をこのあいだしましたね。気持ちが前向きになるねって。色んなホルモンが出るみたいですね、やっぱりね。

――いいセックスしてるんでしょうね。

神田 う~ん、平凡な意味でのいいセックスを。オキシトシンがいっぱい出るような……。今日はいっぱい語っちゃって、スッキリしました。

多発するキャンパス・レイプ 「レイプの首都」と呼ばれたアメリカの大学街で起きた普遍的な性暴力を巡る問題

 モンタナ州第二の都市、人口7万人の街ミズーラ。ここにあるモンタナ大学のアメリカン・フットボール(アメフト)チームの選手らが引き起こした複数のレイプ事件が地元紙に報道され、大学はレイプ・スキャンダルで大騒ぎとなった。2012年には、数十件のレイプ事件対応に不手際があったという疑いで米司法局による、モンタナ大学、ミズーラ市警やミズーラ郡検事局への捜査が入ったことで、より大きな注目を集め、ミズーラは「レイプの首都」などと呼ばれるようにもなった。

 9月に翻訳出版された『ミズーラ』(亜紀書房)は、ミズーラで起きたレイプ事件の被害者、関係者、裁判の展開から見えてくる、アメリカにおけるレイプ神話や対応する大学、警察、司法の問題を、ベストセラー作家のジョン・クラカワーが詳細かつ丹念な取材に基づいて描くノンフィクションである。アメリカではここ5年ほど、ミズーラなどでのレイプ事件がきっかけとなり、キャンパス・レイプが深刻な問題として認識されるようになっていた。本書も2015年に出版されると大きな話題を呼び、ベストセラーとなった。

 私は同じ州内の、ミズーラから車で3時間ほど離れたボーズマンにあるモンタナ州立大学の教員である。ミズーラのモンタナ大学と、ボーズマンのモンタナ州立大学は同じモンタナ州立の大学システムに属しており、いずれも州内で随一の規模を誇る総合大学だ。アカデミックな意味でも、アメフトなどのスポーツにおいても、ミズーラのモンタナ大学の最大のライバルがボーズマンのモンタナ州立大学という関係性にある。あらゆる意味で似た大学であり、本書に描かれたキャンパス・レイプをめぐる問題は、私自身の大学でも起きうることだ。だがモンタナ州で特有な出来事でもない。アメリカのどの大学や街でも、あるいは日本でも起きている、普遍的な性暴力をめぐる問題をえぐり出している。

ミズーラでのレイプ事件の普遍性

 本書の英語版のタイトルは『Missoula: Rape and Justice System in a College Town』、直訳すれば、「ミズーラ:ある大学街で起きたレイプ事件と司法制度」となるが、日本語版の副題は「名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度」となっている。ここで付け加えられた「名門大学」という言葉は全く不必要だろう。「ミズーラ」がアメリカのどこにでもある大学街で、モンタナ大学もごく普通の州立大学で、なんら特殊なことはないというのが重要な意味を持つからだ。

 「レイプの首都」とまで呼ばれたミズーラだが、実際には「ミズーラはこの国のレイプの首都ではなく、むしろ実際には、性的暴行の発生率が全国平均よりわずかに低い」(475-6)という。本書を読むと、これでもかこれでもかというほどに、次々に悪質な性的暴行事件が起きているという印象を受けるが、実際これでも平均より少ないくらいなのだ。

 もちろん、ミズーラという土地柄も関連はする。例えば、人口7万人の小さな大学街であることから、レイプをでっち上げたなどの被害者非難の噂話が広がりやすい。「他の誰もが事情を知っている小さな街と感じられる」(240) と被害者の一人がいうように、被害者がなおさらに辛い状況に置かれるという面はあるだろう。

 また大学のアメフトのチーム(グリズ)の持つ意味合いが非常に大きいという面も無視できない。選手は街のヒーローであり、大学にとっても、市にとっても、人気のアメフトチームがもたらす経済効果は絶大だ。結果、選手らは大学や市民から守られ、特権意識を持つようにもなる。さらにクラカワーは触れていないが、モンタナ州内で法科大学院を持つのがミズーラのモンタナ大学だけであり、結果として法曹関係者がモンタナ大学出身者で占められてしまう傾向も影響しているのではないかとも思う。多くの市民が大学やアメフトチームを守りたいのだ。このような大学街は全米のどこにでもあり、大学やそのスポーツチームがその街や市の主要な収入源として経済効果をもたらすというのもよくあることだ。

 そしてモンタナ大学は、突出してレイプ事件の対応に問題があった大学でさえもない。性的暴行やセクシュアルハラスメントなどに関して、教育改正法第9編(Title IX)の規定に基づき、連邦政府が大学の取り扱いに不手際があったとして捜査を行なったケースは349にものぼっており、そのうち解決したのは57件にすぎない。この調査対象になっている大学は、アイビーリーグなどの私立大学や規模の小さいリベラルアーツ大学、州立大学からコミュニティカレッジに至るまであらゆる大学が含まれている。本書に書かれていることはミズーラのモンタナ大学だから起きたことではないのだ。

守られる加害者と責められる被害者

 2010年から2012年にミズーラで起きた複数のレイプ事件が詳細に説明される中で、本書は「レイプ神話」の存在と現実との乖離を鮮やかに浮き彫りにする。見知らぬ人が暗闇から襲ってくるというよくあるイメージとは対照的に、レイプは顔見知りによるものが80%以上を占める。そして顔見知りによるレイプが特に訴追される可能性が低く、さらに連続犯も多い。だが、そうしたレイプ犯は問題ある人たちとは思われず、本人すらもレイプをしたという自覚がなく、相手女性のことを気にかける必要をそもそも感じていないため、自分勝手に合意したと思い込んでいたり、同意を撤回されても平気で無視したりしている。また、被疑者の周りの人たちも、「レイピストになるには彼は思いやりがありすぎ」「将来のある青年」などとしてレイプの事実を否定しようともする。

 本書で詳述される、モンタナ大学のアメフトチームの選手をめぐる複数の事例では、加害者は友人たちからも、大学からも、さらには市民らからも守られる。例えば2012年、モンタナ大学のアメフトチームのクオーターバック(アメフトのスターポジション)の選手がレイプの疑いで逮捕され、のちに法廷で無罪判決になり、大学からの除籍もされなかった事件では、モンタナ大学のアメフトチーム、体育局、モンタナ州ともに被疑者を必死で守ろうとした。アメフトチームに至っては、性的暴行の問題がアメフトプログラムと自分たちのキャリアに悪影響を及ぼしているという被害者意識が前面に打ち出され、被害者を心配する言葉が完全に欠落した声明までも発表した。

 加害者が必死で守られる反面、被害者は、告発した途端に、友人、大学、警察、検察、法廷や、地域での噂話、ネット上など、あらゆるところで疑われ、攻撃にさらされる。なぜ逃げなかったのか、声をあげなかったのか、喘ぎ声をあげていたから楽しんでいたんだろう、なぜ被害を受けてすぐ警察に言わないのか、証言に矛盾があるではないか、遊んでいるから仕方ないのではないか、彼氏を裏切ったからレイプだと嘘をついているのではないか……様々な疑いを向けられるのだ

 クラカワーは当事者や周りの人々の証言、書類、裁判の展開や、アカデミックな文献などあらゆるソースを使って、真相を解きほぐしていく。

 被害者の記憶が直線的でなく漠然としていたり、矛盾があることも普通で、性暴力の被害にあっている最中に叫べなかったり、逃げられないのもよくあることだ。また、ショックやトラウマがあまりに大きいため、証拠となるシーツを破棄するといった不可解な行動を取ってしまったり、レイプ直後はうまくコントロールできていると思い込もうとして、空白時期が生じたりもする。

 一方で「合意の有無」が問題とされる場合、加害者サイドのストーリーが採用されがちという問題がある。例えば共に酩酊状態にある場合は訴追が困難とされたり、途中で女性が拒絶した場合も「合意がない性交だと十分に示すことができなかった」として訴追されなかったりする。酩酊状態にあった女性が途中で多少の意識を取り戻していた場合も、合意がないとは言い切れないとされる。被害者の女性は徹底的に疑いに晒されるのに、加害者男性は疑わしきは罰せず、となるのだ。

 本書はこういう辛い事態に陥ることを覚悟して、それでも告発した人たちの思いを丁寧に描き出す。複数の被害者たちが述べているのが、「自分が告発していたら、これ以上のレイプを防げる・防げたかもしれない」という思いだ。性的暴行の被害を受けたことにとてつもない自責の感情を持ってしまったり、きっと自分は乗り越えて忘れられるとも思いこんだり、でもやはり許せない、といった被害者の揺れる想いも描かれる。そして、そこまでの勇気を持って告発した被害者がのぞんだ裁判の展開をクラカワーは詳細に記述するのだが、被害について具体的、詳細な質問の連続で、かつ被告側弁護士からは被害者の人格をも批判され、読むのも辛い場面が続く。だがこれにより、本書でクラカワーが目指す「これほど多くのレイプ被害者が警察に行くのをためらう原因は何なのかを理解すること、そして被害を受けた人々の観点から性的暴行の影響を認識すること」(10)がひしひしと伝わってくる。被害者は警察、法廷、大学やコミュニティにとあらゆる場でPTSDにも悩まされながら、厳しい戦いを強いられる状況になるのだ。

機能しない制度

 クラカワーは、ミズーラのレイプ・スキャンダルの根底にある原因について「モンタナ大学、ミズーラ市警、ミズーラ郡検事局がそれぞれに責任の一旦を担っていた」とする(471)。

 モンタナ大学はレイプ事件がメディアから注目を浴びるまで、性的暴行に関して問題がある方針しか定めてなかったし、大学当局は事件をミズーラ市警に届け出ないこともあった。こうした制度上の問題は認識されるとすぐに改善したとクラカワーは述べる。だが、より大きな問題は、前述したように、同大学のアメフト人気と、それが地域にもたらす多大な経済効果だともいう。肥大した特権意識のため、犯罪は隠蔽され、加害者は守られる。

 ミズーラ市警はレイピストが責任を逃れられる状況を作っており、刑事や警官に最新の教育を施さず固定観念や誤解を放置したことで、捜査の効果を弱めた。だが同時に、問題を認識したあとは、警官は被害者の主張をまずは信じて性的暴行の調査を開始するという、新たな方針を制定したし、司法省にも協力した。

 クラカワーがもっとも責任があるとして批判したのは、ミズーラ郡検事局である。特に、検察局のトップの位置にいた、フレッド・ヴァルケンバーグと、ナンバー2として性的暴行事件の訴追を任されていたキルステン・パブストという二人の検事を手厳しく本書は批判している。検事局は、レイプ事件の訴追に際して十分な検察官の教育が必要にもかかわらずそれを怠った。ミズーラでは2008年から2012年の間に性的暴行に関して、検事局に申し立てがあったのが114件、その中で検事局が起訴をしたのは14件だけだったという(318)。

 本書で扱われる性的暴行事件の中でも、起訴し有罪を認めさせることができたのは、刑事が被疑者の自白を引き出させたケースに止まっている。検察は確実に勝てると信じる事件以外は、「証拠不十分」などとして文書による十分な説明もないままに、訴追しなかった。刑事たちが揺るぎないと思うケースでも検事局は訴追しないことが積み重なったため、警察の仕事にも影響したという。米国においては「逮捕されるかどうか決めるのは警察、有罪判決が求められるべきか決めるのは検察」(119)という状況であり、そこに被害者の声が入る余地がない問題をクラカワーは指摘する。

 非常に複雑な思いにかられるのは、検事にも関わらず、捜査の段階で加害者の側に立つだけでなく、加害者に対する大学での裁判では擁護する立場の証人になり、その後弁護士として法廷で加害者を弁護するなどもしながら、次席ミズーラ郡検事に上り詰めたパブストはシングルマザーとして苦労をしてきた女性だったことだ。女性が必ずしも性的暴行の被害者側に立つとは限らず、むしろこの場合、全力で加害者側を擁護する立場に回った。

 法廷では加害者側の弁護士らが非常に攻撃的な戦術をとった。結果として、本書に描かれた事例の中で加害者が有罪となり被害者が望む量刑を得たのは一件だけであった。クラカワーは「アメリカの司法制度は、全ての真実を語らないという基盤の上に成り立っている」とし、弁護人の仕事は「あらゆる合法的な手段を用いて、「全ての真実」が明らかにならないようにすること」(477) なのだと鋭く指摘する。すなわち、司法制度そのものが、特に密室で起きがちな性暴力事件を扱う際に根本的な限界を抱えているということである。

ジャーナリズムの役割とこの本の意義

 もう一点、本書で特筆されるべきことは、ジャーナリストの役割だろう。特に地元紙の『ミズーリアン』のグウェン・フロリオ記者が、ミズーラのレイプ・スキャンダルについて100本以上の記事を被害者の立場に立ちつつ書き続けたことは、被害者たちの戦いや、米司法局の介入、ミズーラで制度がその後改革されたことなどにも大きな影響を与えたことが記されている。性暴力に関する記事を出すことで、フロリオ記者や、取材を受けた被害者らも、グリズファンのミズーラ市民や、パブストら検事局からの猛烈なバッシングの対象にもなった。だが、どれだけ叩かれても、フロリオ記者は記事を出し続けた。

 そして、本書の著者、クラカワーのジャーナリストとしての仕事ぶりも特筆されるべきことだろう。最終章で、クラカワーが性的暴行をテーマに本を書こうと思い立ったのは、知人の女性が暴行を受けていたことがわかり、その話を聞いて「自分があまりにも何も知らなかったことに腹が立った」(486)からだと明らかにしている。本書で、クラカワーの被害者や家族、知人、可能な場合は被疑者まで含めたインタビュー取材を行うのみならず、ただでさえ突っ込まれ批判されがちなテーマであるため、ありとあらゆる関連文書や学術文献をも活用し、ジャーナリストとして見事なまでの手腕を発揮している。そして、彼がレイプ・スキャンダルを記述する中で、被害者側の視点をずっと忘れていないことは重要だ。

 ミズーラではこの本の出版に関する批判も巻き起こったという。それでもクラカワーが本書を出したことは非常に重要な意義を持つ。書籍として出版されたために、ローカルな新聞報道や、連邦政府の報告書の枠を超えて、本書の問題提起やサバイバーの声がさらに広い範囲の人たちに読まれ、ベストセラーとなり、さらには海外で翻訳される。より多くの人たちにインパクトを与えることになる。

 クラカワーは結論で、大学に関して「組織としての責任を放棄せず、性的暴行事件をあっさりと法執行機関に委ねたりしないこと」を強調する。刑事捜査は動きが遅く、様々な限界もあるため、確実にレイピストの学生を罰し、大学コミュニティから追放できないこともある。とにかく被害者が加害者の近くで生活、勉強しなければならないという状況を避けなくてはならず、大学は「性的暴行の訴えを審理する、一様で合理化された、全当事者に公平なプロセスを考案しなければならない」(484)という。モンタナ大学のプロセスは、被害者にとって不利なものでありすぎたのだ。

 本書は性暴力事件をめぐって、大学、警察、検察、司法、国、さらにはこの社会を形作っている私たち自身にも、さまざま問題を投げかける。そして日本でも、最近、東大、慶応大や千葉大などでのレイプ事件が報道され、キャンパス・レイプの問題が非常に深刻なものとなっており、警察や司法のみならず、大学の対応も問われている。さらには、ミズーラなどアメリカのキャンパス・レイプへの対応でリーダーシップをここ5年間とってきたのは、オバマ政権下の連邦政府だった。性暴力の問題について、日本の政府の対応も問われているのだが、与党は野党が今年提出した「性暴力被害者支援法案」にさえのってこなかった。そして、これだけ悪質なレイプ事件が複数件報道されるという危機的状況にあっても、何も対応が見えてこない現在の日本政府では、期待できそうにない。

山口智美
モンタナ州立大学社会学・人類学部教員。ミシガン大学大学院人類学部博士課程修了、Ph.D. 日本の社会運動を研究テーマとし、70年代から現在に至る日本のフェミニズム運動、2000年代の右派運動などを追いかけている。共著に、『社会運動の戸惑いーフェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』(斉藤正美・荻上チキとの共著、勁草書房2012)、『海を渡る「慰安婦」問題ー右派の歴史戦を問う』(能川元一・テッサ・モーリスースズキ・小山エミとの共著、岩波書店2016)、共編に『行動する女たちの会資料集成 全8巻』(行動する会復刻版資料編集委員会編、六花出版2015, 2016)など。現在、『田嶋陽子論』(斉藤正美との共著)と、日本の草の根保守運動についての単著を執筆中。「24条変えさせないキャンペーン」呼びかけ人。

相席ラウンジでセクハラ被害! 女の脚を撫でまわしていい場所じゃないんですけど?

みなさんこんにちは、みほたんです。街はクリスマスムード全開ですが、一緒に歩く相手のいない女たちは身を寄せ合って女子会に精を出しています。そんな女子会終わりに吸い寄せられてしまうのは、相席系のお店……。今回は女3人で京都の相席ラウンジに行ってきました。

メンバーは、大阪のナンパバーに一緒に行ってくれた同い年のIちゃんと、まだ学生のAちゃん。彼氏いない歴を順調に更新し続けるアラサー2人と、最近彼氏と別れたばかりのAちゃんで2016年の恋愛総括なんかをしていました。「孤独死しないように同じ町に住もう」という最悪な結論が出たところで二次会場所探し。繁華街で一際光る「相席」の文字。「オリエンタルラウンジ」の京都店を発見しました。過去に新宿店にひとりで突撃したことがあるのですが、いつの間にやら東北、関西、名古屋や沖縄まで店舗拡大していました! 一度行ったことがある私は鼻息荒く「ここは相席屋より、ご飯もお酒もクオリティ高いし、内装すごいから絶対テンションあがる! 入ろう!」と2人を引っ張って中へ。

外の看板には現在の来店人数が表示されていて、男女それぞれが何名いるか一目でわかります(後で知ったのですが、公式サイトでもチェックできました)。この時は金曜の21時ごろ、男性は26名、女性は36名。女性のほうがかなり多めというところに少し不安を感じながらも受付に進み、店員さんからシステムを説明されて、席へ案内してもらいました。キラキラの内装を見て「ほんまにラウンジや!」と声をあげる2人に対して「せやろせやろ!」と自分の手柄のように喜んでしまいました。

料金は女性のチャージ500円となっていますが、LINEの友達登録をすると完全無料に。相席屋はフードも食べ放題ですが、こちらは早い時間に来ると女性はひとりにつき2品無料でオーダーできて、それ以降は男性の会計に上乗せされていくシステムです。来店した時はフードのラストオーダーが終わっていたのですが、店員さんが特別に1品ずつサービスしてくれました。お酒の種類も豊富で、自分で取りに行かなくていいし、ご飯のクオリティも満足。客層は、女性陣は大学生くらいの子が多く、男性陣は20代~40代といったところですかね。

店員さんとお話ししたり、店内の様子を観察するなど、女子会の延長を楽しんでいると「相席よろしいでしょうか?」と店員さんがやってきました。相席の前にきちんと相手の人数や雰囲気などを伝えてくれ、「席を変えて欲しい時には、卓上の機械か直接声をかけてくださいね」と丁寧に教えてくれました。とにかく店員さんの対応が丁寧! そしてイケメン!

一組目に相席したのは、30歳~40歳くらいの同じ会社で働く4人組。どうやら他の席から自ら席替えを申し出て移動してきた様子。なかなか慣れていそうな方々です! すでに酔っぱらって寝ている人がひとりいたので実質3対3。始めは何の仕事しているのか、どこに住んでいるのかなどの当たり障りない話をしていたのですが、30分もしないうちに「俺ら帰りますね」と席を立ってしまいました。えっ、もう!? またチェンジか!? と思いましたが、本当にお会計をしてお店を出ていきました。

しばらく女子会タイムが続き、また4人組との相席に。先ほどよりも賑やかで若い感じ。つまりちょっとスマートではない雰囲気の面々。「この中で誰がタイプ?」と席につくなり合コントーク全開でちょっと我々引き気味。Aちゃんの顔を見ると明らかに生気を失っていたので、お手洗いに立った時に店員さんに席替え申請しました。

その中で仲間内から「こいつゴリラみたいやろ?」と紹介された男が私とIちゃんの間にいたのですが、そこまで酔った様子もないのに席について数分もしないうちに、私たちの脚やら腰やらべたべた触ってくる! 着席時に男女交互に座ることを促されて、席もソファなので確かに手を出しやすい距離感ではあるのですが、もちろんそんなことはNGなので「ちょっとこのゴリラ触ってくるんですけど!」と2人で怒りのアピール! しかし、どれだけ言ってもその手を止めないゴリラ。その様子を見て完全に無表情になっているAちゃん。そんな時に、他のメンバーがこう言い放ちました。

「君らってマニア受けやんな」

は!? ふざけんな!! っていうか、今なんてマニアどころかゴリラにしか受けてませんけど!? ブチ切れ寸前にやっと店員さんが「女性の皆様、お席の移動お願いします」と助けに来てくれました。席を立つ最後の最後まで触ってくるゴリラと止めない周りのやつら。

席を変わっても同じフロアだと気まずいのでは……とも思いましたが、実は別の階にも席があり、エレベーターで移動しました。最後にもう一組相席しましたが、ゴリラとの闘いで疲れていたのですぐにお店を出てしまいました。

お店を出て気づいたことは、この日誰も連絡先を交換していないということ……。実は同じメンバーで京都の相席屋にも行ったことあるのですが、確かあの時も連絡先を聞かれず帰ったんですよね……。もしかして、私たちって、本当にマニア受け!? やっぱり3人で傷を舐めあうしか生きる道は残されていないの!?

その後、ストレスを発散すべく3人でライブを見にクラブイベントに行きました。「マニア受けならマニア受けらしく、クラブとかライブハウスのほうが出会いあったりして!」と、これまた気合い入れて口紅塗り直したり香水ふり直したりしましたが、何もなかったですよね。はい。

でも、いくらタダで飲み食いできても知らないゴリラに足触られるくらいなら、お金出してかっこいいバンドマン見て潤いたいです……! いや、そんなこと続けてても幸せはやってこないんですけどね! どこにいるんだよ、私に食いつくマニアって!

■ みほたん
自分の恋にはとびっきり不器用な自称恋愛マスター。 これまで恋愛についてあれこれネット上に書き散らかし気付けばアラサーになっていた。趣味はネットサーフィン、特技はネットストーキング。 メンバーそれぞれが難点を持つアイドルOTAFUKUガールズの貧乏担当としても活動中なので、そろそろ玉の輿永久就職をきめるべく日々出会いを探している。

相席ラウンジでセクハラ被害! 女の脚を撫でまわしていい場所じゃないんですけど?

みなさんこんにちは、みほたんです。街はクリスマスムード全開ですが、一緒に歩く相手のいない女たちは身を寄せ合って女子会に精を出しています。そんな女子会終わりに吸い寄せられてしまうのは、相席系のお店……。今回は女3人で京都の相席ラウンジに行ってきました。

メンバーは、大阪のナンパバーに一緒に行ってくれた同い年のIちゃんと、まだ学生のAちゃん。彼氏いない歴を順調に更新し続けるアラサー2人と、最近彼氏と別れたばかりのAちゃんで2016年の恋愛総括なんかをしていました。「孤独死しないように同じ町に住もう」という最悪な結論が出たところで二次会場所探し。繁華街で一際光る「相席」の文字。「オリエンタルラウンジ」の京都店を発見しました。過去に新宿店にひとりで突撃したことがあるのですが、いつの間にやら東北、関西、名古屋や沖縄まで店舗拡大していました! 一度行ったことがある私は鼻息荒く「ここは相席屋より、ご飯もお酒もクオリティ高いし、内装すごいから絶対テンションあがる! 入ろう!」と2人を引っ張って中へ。

外の看板には現在の来店人数が表示されていて、男女それぞれが何名いるか一目でわかります(後で知ったのですが、公式サイトでもチェックできました)。この時は金曜の21時ごろ、男性は26名、女性は36名。女性のほうがかなり多めというところに少し不安を感じながらも受付に進み、店員さんからシステムを説明されて、席へ案内してもらいました。キラキラの内装を見て「ほんまにラウンジや!」と声をあげる2人に対して「せやろせやろ!」と自分の手柄のように喜んでしまいました。

料金は女性のチャージ500円となっていますが、LINEの友達登録をすると完全無料に。相席屋はフードも食べ放題ですが、こちらは早い時間に来ると女性はひとりにつき2品無料でオーダーできて、それ以降は男性の会計に上乗せされていくシステムです。来店した時はフードのラストオーダーが終わっていたのですが、店員さんが特別に1品ずつサービスしてくれました。お酒の種類も豊富で、自分で取りに行かなくていいし、ご飯のクオリティも満足。客層は、女性陣は大学生くらいの子が多く、男性陣は20代~40代といったところですかね。

店員さんとお話ししたり、店内の様子を観察するなど、女子会の延長を楽しんでいると「相席よろしいでしょうか?」と店員さんがやってきました。相席の前にきちんと相手の人数や雰囲気などを伝えてくれ、「席を変えて欲しい時には、卓上の機械か直接声をかけてくださいね」と丁寧に教えてくれました。とにかく店員さんの対応が丁寧! そしてイケメン!

一組目に相席したのは、30歳~40歳くらいの同じ会社で働く4人組。どうやら他の席から自ら席替えを申し出て移動してきた様子。なかなか慣れていそうな方々です! すでに酔っぱらって寝ている人がひとりいたので実質3対3。始めは何の仕事しているのか、どこに住んでいるのかなどの当たり障りない話をしていたのですが、30分もしないうちに「俺ら帰りますね」と席を立ってしまいました。えっ、もう!? またチェンジか!? と思いましたが、本当にお会計をしてお店を出ていきました。

しばらく女子会タイムが続き、また4人組との相席に。先ほどよりも賑やかで若い感じ。つまりちょっとスマートではない雰囲気の面々。「この中で誰がタイプ?」と席につくなり合コントーク全開でちょっと我々引き気味。Aちゃんの顔を見ると明らかに生気を失っていたので、お手洗いに立った時に店員さんに席替え申請しました。

その中で仲間内から「こいつゴリラみたいやろ?」と紹介された男が私とIちゃんの間にいたのですが、そこまで酔った様子もないのに席について数分もしないうちに、私たちの脚やら腰やらべたべた触ってくる! 着席時に男女交互に座ることを促されて、席もソファなので確かに手を出しやすい距離感ではあるのですが、もちろんそんなことはNGなので「ちょっとこのゴリラ触ってくるんですけど!」と2人で怒りのアピール! しかし、どれだけ言ってもその手を止めないゴリラ。その様子を見て完全に無表情になっているAちゃん。そんな時に、他のメンバーがこう言い放ちました。

「君らってマニア受けやんな」

は!? ふざけんな!! っていうか、今なんてマニアどころかゴリラにしか受けてませんけど!? ブチ切れ寸前にやっと店員さんが「女性の皆様、お席の移動お願いします」と助けに来てくれました。席を立つ最後の最後まで触ってくるゴリラと止めない周りのやつら。

席を変わっても同じフロアだと気まずいのでは……とも思いましたが、実は別の階にも席があり、エレベーターで移動しました。最後にもう一組相席しましたが、ゴリラとの闘いで疲れていたのですぐにお店を出てしまいました。

お店を出て気づいたことは、この日誰も連絡先を交換していないということ……。実は同じメンバーで京都の相席屋にも行ったことあるのですが、確かあの時も連絡先を聞かれず帰ったんですよね……。もしかして、私たちって、本当にマニア受け!? やっぱり3人で傷を舐めあうしか生きる道は残されていないの!?

その後、ストレスを発散すべく3人でライブを見にクラブイベントに行きました。「マニア受けならマニア受けらしく、クラブとかライブハウスのほうが出会いあったりして!」と、これまた気合い入れて口紅塗り直したり香水ふり直したりしましたが、何もなかったですよね。はい。

でも、いくらタダで飲み食いできても知らないゴリラに足触られるくらいなら、お金出してかっこいいバンドマン見て潤いたいです……! いや、そんなこと続けてても幸せはやってこないんですけどね! どこにいるんだよ、私に食いつくマニアって!

■ みほたん
自分の恋にはとびっきり不器用な自称恋愛マスター。 これまで恋愛についてあれこれネット上に書き散らかし気付けばアラサーになっていた。趣味はネットサーフィン、特技はネットストーキング。 メンバーそれぞれが難点を持つアイドルOTAFUKUガールズの貧乏担当としても活動中なので、そろそろ玉の輿永久就職をきめるべく日々出会いを探している。

「女は身体を売ることで傷つき苦しみ罪を背負う」と思い込みたい世間/中村うさぎ×二村ヒトシ×枡野浩一

自分が他人からどう思われているか、でも自分自身はどう思っているか、について語る3人。“人は誰しも、自分の思うようにしか他者を解釈しない”という流れになりつつも、そこでうさぎさんが自身の「デリヘル体験」を話し出し、二村さんはAV業界が直面する問題を提唱し……。偽悪とセックス・妄想とノンフィクション・人権と価値観――が錯綜する第3回です。

◎「実際の自分より素敵に思われるのが嫌」(枡野)

中村 私ね、フィクションかフィクションじゃないかについては物凄くこだわりがあって。たとえば私のエッセイを「これって私小説ですよね?」とか言われて、激怒したことがあるの。私は私小説がまず嫌い。つまり、私小説はズルいと思うの。だって事実と嘘を織りまぜて書いてさ、そんなの自分に都合よく書けんじゃん。

枡野 そうなんですよ!

中村 それで「これ嘘じゃん」って言われたら、「でもこれ小説ですから」って言えるじゃない。そういうエクスキューズをいつも残してるから、私は私小説が嫌い、大嫌い。読まないし。なんかその上で、自分の書いたことが私的には全部本当のことなのに「これは私小説ですね」って……。しかもさ、エッセイより小説のほうが格が上だと思ってる人が世の中にはいっぱいいて、褒め言葉のつもりで「私小説ですよね、こうなったら」なんて。もう「違うよッ!」ってひとりで頑固オヤジみたいにぷんぷん怒っちゃってさ(笑)。わかってもらえないんだけど。ただ私は本当のことを書いてるから、これ(『あとは死ぬだけ』)は小説じゃないと思っています。

枡野 そっちのほうが価値があると思ってらっしゃるわけですね?

中村 価値があるというか……

枡野 自分にとっては真実?

中村 いや、これを「私小説」と言ったら、半分嘘かもしれないと思われるのが嫌なの。

二村 この原稿においては本当のことしか私は書いてないっていう……

中村 そう。書いてないから。私小説として出したらさ、「自分に都合よく嘘も書いてんだろうな」とか思われるのがもう癪にさわって癪にさわってしょうがないのさ。

二村 そこだよね。「自分に都合のいいこと」ってのがつまり“フィクション”と言っても“嘘”と言ってもいいけど……

枡野 そこは僕も、実際の自分より素敵に思われるのが嫌なんですよ。穂村さんは実際より素敵に思われてもいい人なんですよ。

二村 や、僕もそうなんですよ。

枡野 僕は「そんな素敵じゃないですよ」って言いたくなっちゃうの。「あなたは枡野を素敵に思いすぎてるから、違うよ」っていうのが僕の気持ちよさだから。そこはね、だからうさぎさんの側にどちらかというと近い。

中村 でも私ね、自分がこうである以上に自分を良く思われるのも気持ち悪いんだけど、なんていうのかな、たとえばさ、私が「悪ぶってる」と思ってる人もいるわけじゃん。それも凄い腹が立つのね! 「偽悪ですよね」とか言われたら! だって本当にこんなにドロドロしてるのに、それをなんで嘘だと思うのかって思うわけ。なぜみんな私に対して「嘘ついてますよね?」みたいに痛くもない腹を探ってくるのかがわからない。

枡野 ほんとにねえ……。でもたぶん、(嘘ついてますよねと言ってくる人は僕やうさぎさんが)自分とあまりに違うから、理解しようと思ってそう言ってくるのかもしれませんね。こんなこと人は言うはずがないから偽悪なんだろう……とか解釈しちゃうんじゃないですか、無理やりにでも。

中村 私は「買い物依存症」だった頃でも、どれだけ買い物したか、金額も含めてぜーんぶ本当のこと書いてるのに、「いやいや、あれは、そこまでやるはずはないから、大袈裟に書いてるんだろう」とかさ。

枡野 言うよねえ~。

中村 本当にさ、大袈裟でもなんでもなくてさ、預金通帳見せてやりたいよみたいな話よ。毎月どんだけ引き落とされるか。私にしてみたらさ。

枡野 僕も、もっとエッセイっぽい本で『淋しいのはお前だけじゃな』[注]というのがあるんですが、それもエピソードは全部実話なのに、読む人にとっては「現実はこんなにドラマチックじゃないから嘘でしょ?」って言うんですよ。もう逆に「あなたの人生つまらないですね」って言いたくなっちゃう。僕、記憶力がないんで時間軸は間違えてるかもしれないんですけど、全部ほんとのことだし、意図的な嘘は一切ないんですよ。そこはもうみんな、自分の好きなようにしか解釈しない。たとえば僕がスキンヘッドだったときがあって、それをみんなが「なんで(スキンヘッド)なんですか?」って聞くの。ひとつは手術をして(髪の毛を切ったから)で、ひとつは似合うからだったの。でもそう言っても信じてくれなくてみんな。「浮気したんでしょ~?」「仕事で失敗したんでしょ~?」って。

二村 なにかの謝罪のために頭を丸めたと。

枡野 それは僕から言わせると、「浮気したんでしょ」という人は浮気性の人、「仕事で失敗したんでしょ」という人は仕事の人。っていうふうに、みんな自分の中で理解できるようにしか納得しないんです。どんなに僕が「似合うからしてる」って言ってもわかってくんないの。「そんなの嘘でしょ」って。そういうことをテーマにした小説が今度の芥川賞を獲った『コンビニ人間』(村田沙耶香・著)という小説で、主人公はコンビニで働いてコンビニと同化することで初めて人間として普通にふるまえることがわかってつつましく生きてるんだけど、周りの人たちが「なぜ三十過ぎなのにコンビニで働いてるんだろう」って勝手に推測していく様がすっごく面白く描かれてるんだけど。みんなが勝手に「事情があるんだろう」って言って来たりとか、「男ができたのか」とか詮索してきたりとか……。それ読むと、主人公の方がまっとうで、勝手に解釈してくる人の方がなんておかしんだろうと思うんだけど……。

二村 僕ね、『コンビニ人間』買って、まだ読んでないんだけど、作者の村田沙耶香さんとは一度だけ会ったことがあって、本当にコンビニの店員さんなんだよね。「ドーナツが売れないんですよ~」って(笑)。芥川賞を獲る人の言うことじゃない……って思っちゃうのがこっちなんだよね。こっちが勝手にそう思ってるだけで、村田さん、本当に面白い小説を書くんだけど本物のコンビニの店員さんなんだよねえ。

枡野 その小説の中盤なんだけど、主人公がある男性と交流があると臭わせただけで、その日はコンビニで大事なフェアがあったのに、店員も店長もみんなが男性に興味持っちゃって、「本来ならコンビニのフェアを気に掛けないといけないのに、なんで私の事になんか興味持つんだろう」って不思議がるの。その様がすっごい面白いんです。ほんとに人間って自分の中の量り・物差しでしか解釈しないんだなって。人にすべてを理解してもらおうと期待してるわけではないんですけどね。

中村 他人の勝手な解釈によってどんどん虚像が作られていくみたいなところってあるじゃん。まぁ、私たちの仕事だとどうしてもさ。

◎「『叶恭子でーす❤』とか言ってるのはちょっと楽しかった」 (中村)

二村 人の解釈を押し付けられることがすごく嫌ですか、うさぎさんは?

中村 うん。イラッとくる。

枡野 ほんとはね、そういう誤解をはらむことをまるごと引き受けたりすると、人間は穂村さんみたいになれるんだよね。

二村 誰かが誰かを解釈してるのもイラッとします?

中村 それが知ってる人じゃなかったら、私は「へえ~」って思うだけ。でもたとえば二村さんとか枡野さんのことを誰かが知ったかぶってさ、「こういう奴だ」って書いてたら、「違うだろ!」って言いたくなるよね。そんなもんじゃないの、みんな。あんまり自分のことをどういうふうに解釈されてるとかは気にしない。

二村 いいほうに解釈されてれば……、いやどうなのかな、確かにいいほうに解釈されてると居心地が悪くなる感じはありますよ。ただそれもなんか、うさぎさんなんかが潔癖に「そうでもないんだよ!」と真っすぐやってるのと比べて、僕が謙遜してるときって露悪というよりは、ただセックスしたいだけなんです。ほんとの自分がよくわかんなくなってるのかもしれないね。

中村 ああ……。セックスしたいだけなのか……

枡野 それは欲望が強いとそうなるんですかね? セックスしたくてしょうがないから、すべてそっちに転がっていく?

二村 ただ枡野さんは違うけど、うさぎさんは欲望の強い方ですよね?

中村 強い強い。私は性欲以外の欲望が強い(笑)。

枡野 でもたとえばなにか自分の興味のある物を手に入れるために、偽るのは嫌なわけですよね?

中村 偽るとはどういう意味?

二村 たとえば買い物だったら、ブランド物だったらそのためにお金を稼ぐかもしれないけど、うさぎさんは恋愛もされるじゃないですか? 年下のホストの方に好かれたいとか。

中村 ああ、好かれたいとは思うよ。でも年齢ごかましたりとかさ、そういうのはバレたとき、あまりにもカッコ悪いから。

二村 整形はそれではないんですか? 整形は嘘ではない?

中村 整形は、黙ってたら嘘だけど、整形ですって申告してたら嘘ではないよ。だって誰もこの顔が素の顔だと思ってないわけじゃん。

枡野 この本(『あとは死ぬだけ』)読んで興味深かったのは、(うさぎさんが)デリヘルやってるときに「偽るのがツラくて……」っていうのが、僕はわかった。

中村 あっ、そう?(笑)

枡野 僕もねえ、一時期、男性とつきあっていたとき、「出会い系」とかで嘘のプロフィールを書くのが嫌で……

中村 嫌なんだよね!

枡野 そう!

中村 すんごい気持ち悪い。

枡野 「枡野」って検索するとすぐ出てくるから、違う名前で出会ったほうが良かったんだけど、やっぱり気持ち悪かったんです……。

中村 だけど「源氏名」みたいなのをつけるとさ、なんかコスプレ感みたいなのがあって最初は楽しかったの。「叶恭子さ~ん、ご指名で―す!」とか言われるとさ。

二村 グフフフフ(笑)。

中村 「は~い!」「叶恭子でーす❤」とか言ってるのはちょっと楽しかったんだけどさ。そりゃ、客のほうもどうせ源氏名だと思ってるし、本物の叶恭子なわけじゃないって見りゃわかるわけでさ。だから、ごっこ遊びみたいで楽しかったんだけど。ただ、自分を偽ってるのが苦しくなったのは、同僚たちに対してでね。おんなじデリヘル嬢の中で、みんないろいろ事情があってやってる中で、「エッセイ書きたいから」なんてのは私ひとりなワケじゃん。それを隠してさ、まぁべつに作り話もしなかったけど、うん……。でも「私、離婚して、子ども抱えてて、大変なんです」みたいな女の子もいるし、いろいろいる中で、自分の身の上話が一切できない状態? しなきゃいけない状況になったら、私はなんて言えばいいんだろうこの場合、とかさ。嘘……作り話はできないし、だからって「取材で来てます」って言ったら超嫌がられる、「なんだよコイツ!」って思われるだろうなって思ったら、もうなんかさ。だからカミングアウトしなきゃならなくなりそうになった時点で、辞めちゃったんだよね。ツラいから。嘘はつけない。

枡野 身体を売ることなんかよりも、嘘をつくことのほうがよっぽど……

中村 そっちのほうがヤだったよ!

枡野 はい。僕はそこがすごく腑に落ちましたけど、そう言われてもやっぱりそうは思わない人のほうが多いんだろうなっていうのも(うさぎさんの本を)読んでいて思いましたね。

中村 そうは思わないっていうのは?

枡野 だから、身体を売ることのほうが断固悪くて、嘘をつくことのほうが罪が軽いと思ってる。

中村 それはみんなそう思ってるんだろうけど。だけどなんでみんなそんな、身体売ることが悪いと思ってるのか。「なんでですか?」って結構聞いて歩いたんだけどさ。誰も明確に返事はできない。「それは自分を傷つける行為だから」。「いや、全然傷ついてませんけど」みたいなさ。本人が傷ついてないって言ってるのに、「でもそれは傷ついてるんだよ」みたいに言い張るんだよね。

◎「可哀想な女、いつか俺が抱いてやる―と男は思いたい」 (二村)

二村 そこはもうね、今まさにそれでAV業界が大変だったりするんです、大問題が起きてる。「AV女優さんの人権」を唱えている弁護士の方たちとの間でね。まず、我々AV監督とかプロダクション側とAV女優さんの間の出演契約に明らかに「嘘」があったら、それはもう犯罪なわけです。

中村 そりゃそうだ。

二村 だから僕らは、契約とかはきちんと明確にしたいと思っているんです。だけど、「こういうふうにしたらAVを許してやるよ」って弁護士の方々や人権派の方々が言ってきてる中に“本番セックスは無しにすること”とあって……。いやぁ、それ言われたらなぁって……。けれども警察や法律作る側に「AVにおける本番セックス禁止」と言われちゃったら、今までそこは曖昧にされてきた部分なので、そうなってしまう可能性もある。

枡野 う~ん……。

二村 ただそうなったらそうなったでね、法律でそう決められちゃったら、今度は僕らは本番セックス無しで撮れるエグい映像を考えるんです。モザイクがあることと同じだから。モザイクがあるからこそ発明したことが僕たちにはたくさんあるので。ただね、本番セックスをするから女優さんたちは苦しんでるわけではないんですよ。そこはうさぎさんが言われるのと同じで。

中村 うん。

二村 だから、もう価値観が違うというか……。(弁護士の方や人権派の方の主張は)「そもそも女性は仕事でセックスすることを望んでいない」っていう固定観念なんです。だから(AV女優は)それゆえに泣いていて、心が歪んでいっていると思い込んでいて、揺るがないんですね。

中村 それは男の人のファンタジーじゃないかなぁって思うんだよね。女だって本当はさ……。

二村 苦しんでいてほしいんでしょ。身体を売ることで傷つくように。

中村 不特定多数の男に抱かれることなんかを女が――

二村 望んでいるわけがない、本当は俺とだけしたいはずなのに…って。

中村 そうそうそう!

二村 なのにおまえは苦界に堕ちて、いろんな男に抱かれて、可哀想な女だ、いつか俺が抱いてやる――と思いたいんだよね、男は。

中村 そう。

二村 馬鹿だねえ、男はねえ。

枡野 はぁ……。とても賢者な気持ちになりました、僕は。

【第3回注釈】

■『淋しいのはお前だけじゃな』(集英社文庫)
枡野浩一・著、オオキトモユキ・絵による短歌&エッセイ。オオキトモユキとはかつてのロックバンド『カステラ』のトモ、現・ソロミュージシャンTOMOVSKYの本名である。また本のタイトルの元ネタは市川森一:脚本、西田敏行:主演による名作ドラマ『淋しいのはお前だけじゃない』である。

_________

■中村うさぎさん
作家・エッセイスト。1958年生まれ。雑誌ライーター・ゲームライターを経て、『ゴクドーくん漫遊記』シリーズで人気ライトノベル作家となる。その後、自らの「買い物依存症」を描きつくしたエッセイ『ショッピングの女王』でエッセイストとしても大人気となる。その後もさらに「美容整形」「ホストとの恋愛」「借金と税金」「デリヘル風俗」など自らの実経験・実体験を通じての赤裸々なエッセイを発表し続けている。2013年に100万人に1人ともいわれる難病「スティッフパーソン症候群」を発症、現在も治療を続けている。最新著作は「形見分けの書」とも表明しているエッセイ『あとは死ぬだけ』。メールマガジン『中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話』も発行している。

■二村ヒトシ監督
AV監督。1964年生まれ。慶應義塾大学在学中より劇団『パノラマ歓喜団』を主宰する一方、AV男優としてもデビュー、多数のAVに出演する。劇団解散後はAV監督となり、女が男を攻める「痴女モノ」や美少年が女装する「女装子モノ」の第一人者といわれるなど、現在に至るまでAV業界の第一線で活躍している。男女の恋愛と自意識をテーマにした著書『すべてはモテるためである』『あなたはなぜ「愛してくれない人」を好きになるのか』がベストセラーとなり、セックスと恋愛をめぐる論客として注目を集める。さらには、男性のアナルを開発する器具『プロステート・ギア』のプロデュースも手掛けている。AVの代表作に『美しい痴女の接吻とセックス』など。最近の著作は対談や鼎談が多く、『オトコのカラダはキモチいい』(金田淳子・岡田育との共著/KADOKAWA)、『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(湯山玲子との共著/幻冬舎)、『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(川崎貴子との共著/講談社)、最新刊に『秘技伝授 男ノ作法』(田淵正浩との共著/徳間書店)などがある。

(構成:藤井良樹)