駅のロッカーに無記名の同人誌封筒を入れるだけ! 進化する同人誌自家通販

 同人誌はコミックマーケットなどのイベントで頒布されるのがメジャーだが、通販を行うサークルも多い。「とらのあな」など各種通販販社もあるが、自宅から発送する「自家通販」派もいる。近年は住所や氏名などを先方に明かさずに通販する方法もあるのだ。さらに今は駅のロッカーから同人誌を送ることすらできる。進化を続ける最先端の配送方法を実践してみた。

 

個人情報を出さずに同人誌を送付できる「あんしんBOOTHパック」

 私はオフ同人活動を4年前から行っており、当初はイベントで頒布した残部を通販会社に委託して販売してもらっていたが、今は自家通販を行っている。

 イラストコミュニケーションサービスPixivでは、BOOTHと呼ばれる通販プラットフォームも提供している。その中には自分の住所や氏名などの個人情報を明かさずに同人誌のやりとりができる「あんしんBOOTHパック」なるものもある。

 あんしんBOOTHパックの概要や、梱包グッズのそろえ方など詳しくはこちらに書いている(参照記事:住所や本名を知らせずに同人誌を自家通販できる! あんしんBOOTHパックを試してみた)。

 私は二次創作の小説を書いており、今まで7冊の同人誌を出したが、それぞれ発行部数は30~100冊だ。100冊は調子こいて刷りすぎてしまったケースであり、在庫が押し入れで隠しきれない存在感を放っている。30~50冊が、しみじみと火傷しないちょうどいい部数だ。

 私はイベントには年1回か2回しか参加しないし、飽き性なので二次創作の対象ジャンルがころころ変わる。出した7冊の同人誌のジャンルは4つになり、ジャンルによっては1冊しか同人誌を出さなかったケースもある。

 ジャンルが変わると、旧ジャンルの同人誌はほぼイベントでは手に取られなくなってしまう。これは、イベントはジャンルごとに配置場所が異なるというのがとても大きい。よって旧ジャンルほど通販は生命線になる。晴れてこの間、旧ジャンルの同人誌のひとつが完売になったが、通販なしで完売はあり得なかっただろう。

 

従来のあんしんBOOTHパックの弱点「コンビニだと微妙に面倒」

 BOOTHが提供する匿名で自家通販できる「あんしんBOOTHパック」は、コンビニからでも同人誌が送れるのが魅力だが、コンビニで送ろうとすると微妙に手間だった。

【コンビニであんしんBOOTHパックを送る流れ】

(1)コンビニの端末(チケットを発券するあの機械)にBOOTHからのQRコードをかざす

(2)レシートが出てくるのでそれをもってレジへ行く

(3)レジで店員がレシートから「宛先(匿名配送なのでそれ見ても送付先の住所はわからない)」を発券するのを見守る

(4)発券された宛先と、「宛先を入れるシール状の袋」を店員から渡されるので、同人誌が入った封筒にシール状の袋を貼り、その中に宛先を入れる。店員はその工程を見守る

(5)店員に封筒を託す

 どんなに早くやろうと思ってもトータルで2分はかかる。(3)(4)で店員さんと私が互いに見守り合う工程があるのと「宛先」をわざわざシール状の袋に入れる形式にしたのかがしみじみと謎だ。

 最初から「宛先をシール1枚にする」にするか、いっそ端末が出したレシートを封筒に貼るだけにすれば一連の工程は大幅に短縮できただろう。ヤマト運輸の偉い人の都合でこう決まったのだろうが、いざコンビニでそれをやる側としては、往年のアニメの名台詞「偉い人にはそれがわからんのですよ」とぼやく絶好の機会の到来だ。

 このやり方は手間であることを公式も承知の上なのか、あんしんBOOTHパックの案内には“なるべく空いている時間にコンビニを利用してね”という旨が書いてあるが、コンビニは昼時などを外してもそれなりに人がいる。R-18のボーイズラブ同人誌が入った封筒にシール状の袋を貼っている間に、後ろに人があれよあれよと並んでしまうと焦ってしまうし、特に送るものが複数ある場合、焦りはミスにもつながりかねない。

 もう少し心穏やかに同人誌を送りたいと思っていたが、21世紀は便利すぎる。その手法もすでに開発されていた。

 それが当記事画像の宅配ロッカー「PUDOステーションだ」。駅や商業施設、駐車場などに設置されており、さまざまな宅配業者の荷物をそこで受け取ることができる。マツコ・デラックスもヤマト運輸のTVCMで不在届を手に宅配便のお兄さんに詫びていたが、不在届は心苦しいものだ。小さなものであれば通勤や通学で使う最寄り駅の宅配ロッカーで受け取れれば互いに楽だろう。

 さらにPUDOステーションはあんしんBOOTHパックと提携しており、「発送する」こともできるのだ(※PUDOステーションを利用した「発送」は提携事業者のみ対応。BOOTHのほか、メルカリなども対応している)。

 PUDOステーションを利用したあんしんBOOTHパックの利用方法は以下の通りになる。

(1)PUDOステーションの端末にBOOTHで発行されたQRコードをかざす

(2)荷物の大きさなどを端末で操作

(3)ロッカーが開くのでその中に同人誌の入った封筒を入れる。封筒には何も貼る必要なし。

 同人誌の入った封筒をロッカーに入れるだけであり、コンビニで発送するときの半分以下の時間で済む。何より目の前に店員さんもいなければ後ろに人が並ばれることもまずないため、プレッシャーなくのびのびと作業ができるのがいい。

 特にいいのが「送る同人誌が複数あるとき」だ。あの人には同人誌AとBを、この人には同人誌Cを送る、というときは決して間違えられない。BOOTHでは同人誌の注文ごとにQRコードと、数字のコードが発行される。そのため私は同人誌を入れた封筒に数字のコードを書いた付箋を張り付けておいて、発送の際、QRコードをかざすたびにコードを読み上げて、付箋とあっているか指さし確認をしている。無人のため、心配性の人も気の済むまで確認し放題なのもいい。

 

令和のこれから、オフ同人は最高にやりやすい

「昨今、オフ同人をやりにくくなった」という意見をTwitterなどで見るが、この手の人たちはSNSでの他人の動向や自身の反響をかなり気にしているケースが多い。そういう人にとってこの高度情報化時代におけるオフ同人は、売れっ子もしくは交流厨でなければ相当シビアなものに見えるだろう。

 しかしそれ以外の要素に目を向ければ、印刷料金はかつてよりは安くなったし小口でも印刷できるし、配送の封筒なども100円ショップですべて揃うし、フリーの画像ソフトも充実しているし、こうして自宅から完全匿名で発送もできるようになっている。私は10年前ならオフの同人活動は面倒すぎてやろうと思わなかっただろう。気にしなければ今は、有史以来最高にオフ同人をやりやすい時代ともいえる。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/]

 

駅のロッカーに無記名の同人誌封筒を入れるだけ! 進化する同人誌自家通販

 同人誌はコミックマーケットなどのイベントで頒布されるのがメジャーだが、通販を行うサークルも多い。「とらのあな」など各種通販販社もあるが、自宅から発送する「自家通販」派もいる。近年は住所や氏名などを先方に明かさずに通販する方法もあるのだ。さらに今は駅のロッカーから同人誌を送ることすらできる。進化を続ける最先端の配送方法を実践してみた。

 

個人情報を出さずに同人誌を送付できる「あんしんBOOTHパック」

 私はオフ同人活動を4年前から行っており、当初はイベントで頒布した残部を通販会社に委託して販売してもらっていたが、今は自家通販を行っている。

 イラストコミュニケーションサービスPixivでは、BOOTHと呼ばれる通販プラットフォームも提供している。その中には自分の住所や氏名などの個人情報を明かさずに同人誌のやりとりができる「あんしんBOOTHパック」なるものもある。

 あんしんBOOTHパックの概要や、梱包グッズのそろえ方など詳しくはこちらに書いている(参照記事:住所や本名を知らせずに同人誌を自家通販できる! あんしんBOOTHパックを試してみた)。

 私は二次創作の小説を書いており、今まで7冊の同人誌を出したが、それぞれ発行部数は30~100冊だ。100冊は調子こいて刷りすぎてしまったケースであり、在庫が押し入れで隠しきれない存在感を放っている。30~50冊が、しみじみと火傷しないちょうどいい部数だ。

 私はイベントには年1回か2回しか参加しないし、飽き性なので二次創作の対象ジャンルがころころ変わる。出した7冊の同人誌のジャンルは4つになり、ジャンルによっては1冊しか同人誌を出さなかったケースもある。

 ジャンルが変わると、旧ジャンルの同人誌はほぼイベントでは手に取られなくなってしまう。これは、イベントはジャンルごとに配置場所が異なるというのがとても大きい。よって旧ジャンルほど通販は生命線になる。晴れてこの間、旧ジャンルの同人誌のひとつが完売になったが、通販なしで完売はあり得なかっただろう。

 

従来のあんしんBOOTHパックの弱点「コンビニだと微妙に面倒」

 BOOTHが提供する匿名で自家通販できる「あんしんBOOTHパック」は、コンビニからでも同人誌が送れるのが魅力だが、コンビニで送ろうとすると微妙に手間だった。

【コンビニであんしんBOOTHパックを送る流れ】

(1)コンビニの端末(チケットを発券するあの機械)にBOOTHからのQRコードをかざす

(2)レシートが出てくるのでそれをもってレジへ行く

(3)レジで店員がレシートから「宛先(匿名配送なのでそれ見ても送付先の住所はわからない)」を発券するのを見守る

(4)発券された宛先と、「宛先を入れるシール状の袋」を店員から渡されるので、同人誌が入った封筒にシール状の袋を貼り、その中に宛先を入れる。店員はその工程を見守る

(5)店員に封筒を託す

 どんなに早くやろうと思ってもトータルで2分はかかる。(3)(4)で店員さんと私が互いに見守り合う工程があるのと「宛先」をわざわざシール状の袋に入れる形式にしたのかがしみじみと謎だ。

 最初から「宛先をシール1枚にする」にするか、いっそ端末が出したレシートを封筒に貼るだけにすれば一連の工程は大幅に短縮できただろう。ヤマト運輸の偉い人の都合でこう決まったのだろうが、いざコンビニでそれをやる側としては、往年のアニメの名台詞「偉い人にはそれがわからんのですよ」とぼやく絶好の機会の到来だ。

 このやり方は手間であることを公式も承知の上なのか、あんしんBOOTHパックの案内には“なるべく空いている時間にコンビニを利用してね”という旨が書いてあるが、コンビニは昼時などを外してもそれなりに人がいる。R-18のボーイズラブ同人誌が入った封筒にシール状の袋を貼っている間に、後ろに人があれよあれよと並んでしまうと焦ってしまうし、特に送るものが複数ある場合、焦りはミスにもつながりかねない。

 もう少し心穏やかに同人誌を送りたいと思っていたが、21世紀は便利すぎる。その手法もすでに開発されていた。

 それが当記事画像の宅配ロッカー「PUDOステーションだ」。駅や商業施設、駐車場などに設置されており、さまざまな宅配業者の荷物をそこで受け取ることができる。マツコ・デラックスもヤマト運輸のTVCMで不在届を手に宅配便のお兄さんに詫びていたが、不在届は心苦しいものだ。小さなものであれば通勤や通学で使う最寄り駅の宅配ロッカーで受け取れれば互いに楽だろう。

 さらにPUDOステーションはあんしんBOOTHパックと提携しており、「発送する」こともできるのだ(※PUDOステーションを利用した「発送」は提携事業者のみ対応。BOOTHのほか、メルカリなども対応している)。

 PUDOステーションを利用したあんしんBOOTHパックの利用方法は以下の通りになる。

(1)PUDOステーションの端末にBOOTHで発行されたQRコードをかざす

(2)荷物の大きさなどを端末で操作

(3)ロッカーが開くのでその中に同人誌の入った封筒を入れる。封筒には何も貼る必要なし。

 同人誌の入った封筒をロッカーに入れるだけであり、コンビニで発送するときの半分以下の時間で済む。何より目の前に店員さんもいなければ後ろに人が並ばれることもまずないため、プレッシャーなくのびのびと作業ができるのがいい。

 特にいいのが「送る同人誌が複数あるとき」だ。あの人には同人誌AとBを、この人には同人誌Cを送る、というときは決して間違えられない。BOOTHでは同人誌の注文ごとにQRコードと、数字のコードが発行される。そのため私は同人誌を入れた封筒に数字のコードを書いた付箋を張り付けておいて、発送の際、QRコードをかざすたびにコードを読み上げて、付箋とあっているか指さし確認をしている。無人のため、心配性の人も気の済むまで確認し放題なのもいい。

 

令和のこれから、オフ同人は最高にやりやすい

「昨今、オフ同人をやりにくくなった」という意見をTwitterなどで見るが、この手の人たちはSNSでの他人の動向や自身の反響をかなり気にしているケースが多い。そういう人にとってこの高度情報化時代におけるオフ同人は、売れっ子もしくは交流厨でなければ相当シビアなものに見えるだろう。

 しかしそれ以外の要素に目を向ければ、印刷料金はかつてよりは安くなったし小口でも印刷できるし、配送の封筒なども100円ショップですべて揃うし、フリーの画像ソフトも充実しているし、こうして自宅から完全匿名で発送もできるようになっている。私は10年前ならオフの同人活動は面倒すぎてやろうと思わなかっただろう。気にしなければ今は、有史以来最高にオフ同人をやりやすい時代ともいえる。

(文/石徹白未亜 [https://itoshiromia.com/]

 

東方の時と同じ手法も、今度は完全にアウト! 同人ショップ「ホワイトキャンバス」の終焉

 最近、過去に取材した騒動の主が再び炎上することが多いな。1月末、秋葉原の同人誌ショップ「ホワイトキャンバス」が『ラブライブ!サンシャイン!!』の偽グッズを販売していたとして、“ご当地”である沼津署と静岡県警に商標法違反で摘発され、関係者が逮捕される見込みであることがわかった。

 筆者自身も忘れていたが、ホワイトキャンバスの社長に取材をしたのは2011年の冬コミ直前のこと。当時『東方Project』で知られる同人サークル・上海アリス幻樂団の代表・ZUN氏が「委託販売している作品の売り上げが不払いなこと」「権利者であるZUNの監修を受けていない『東方Project』関連グッズを作成・販売したこと」を理由に、ホワイトキャンバスとの取引を停止することを告知し、注目を集めていたのである。

 ホワイトキャンバスが行っていたのは「同人であれば自由に使って構わない」というZUN氏の懐の深さを悪用する行為。要は自社が資金やアイデアを出して、既存の同人サークル、あるいは自社の関係者が立ち上げたダミーサークルに商品を作らせる手法だと、当時からウワサされていた。あくまで表向きは「同人サークルが、同人誌ショップに販売を委託している」という形を取って、版権使用料も払わずに儲けていたというわけである。

 この時、ZUN氏に反論したホワイトキャンバス側は、自社のサイトに掲載した文書でファンの間では「公然の秘密」であったZUN氏の本名まで晒し、一気に東方民を敵に回すということまでやってのけていた。

 そんな渦中に、話を聞こうとホワイトキャンバスに電話したところ、電話口に出た「社長」は「訴訟の件は、取引の中の見解の違いによって、私たちが支払いを差し止めているもの」「ZUN氏が、臆測でものを書いている」と非難を口にし続けた。

 いくつかの情報によれば『ラブライブ!サンシャイン!!』の偽グッズも、これと同じ手法で制作し販売していたということらしい。さすがに、今や嵐に次ぐ巨大コンテンツとなっている『ラブライブ』で、やらかせばどうなるのか、そんなことも予測できなかったのだろうか。

 ここまで誰も同情しない企業も珍しいが、同時に、そんな会社が何年も続いていたことが興味深い。
(文=昼間たかし)

東方の時と同じ手法も、今度は完全にアウト! 同人ショップ「ホワイトキャンバス」の終焉

 最近、過去に取材した騒動の主が再び炎上することが多いな。1月末、秋葉原の同人誌ショップ「ホワイトキャンバス」が『ラブライブ!サンシャイン!!』の偽グッズを販売していたとして、“ご当地”である沼津署と静岡県警に商標法違反で摘発され、関係者が逮捕される見込みであることがわかった。

 筆者自身も忘れていたが、ホワイトキャンバスの社長に取材をしたのは2011年の冬コミ直前のこと。当時『東方Project』で知られる同人サークル・上海アリス幻樂団の代表・ZUN氏が「委託販売している作品の売り上げが不払いなこと」「権利者であるZUNの監修を受けていない『東方Project』関連グッズを作成・販売したこと」を理由に、ホワイトキャンバスとの取引を停止することを告知し、注目を集めていたのである。

 ホワイトキャンバスが行っていたのは「同人であれば自由に使って構わない」というZUN氏の懐の深さを悪用する行為。要は自社が資金やアイデアを出して、既存の同人サークル、あるいは自社の関係者が立ち上げたダミーサークルに商品を作らせる手法だと、当時からウワサされていた。あくまで表向きは「同人サークルが、同人誌ショップに販売を委託している」という形を取って、版権使用料も払わずに儲けていたというわけである。

 この時、ZUN氏に反論したホワイトキャンバス側は、自社のサイトに掲載した文書でファンの間では「公然の秘密」であったZUN氏の本名まで晒し、一気に東方民を敵に回すということまでやってのけていた。

 そんな渦中に、話を聞こうとホワイトキャンバスに電話したところ、電話口に出た「社長」は「訴訟の件は、取引の中の見解の違いによって、私たちが支払いを差し止めているもの」「ZUN氏が、臆測でものを書いている」と非難を口にし続けた。

 いくつかの情報によれば『ラブライブ!サンシャイン!!』の偽グッズも、これと同じ手法で制作し販売していたということらしい。さすがに、今や嵐に次ぐ巨大コンテンツとなっている『ラブライブ』で、やらかせばどうなるのか、そんなことも予測できなかったのだろうか。

 ここまで誰も同情しない企業も珍しいが、同時に、そんな会社が何年も続いていたことが興味深い。
(文=昼間たかし)

急増する「美少女になりたいおじさん」たち……受肉の背景にある男の娘や女体化エロの存在意義

 2018年末に公開されたFANZA(旧DMMR18)による同人誌配信プラットフォーム「FANZA同人」の利用者データ「FANZA REPORT 2018 同人編」。「寝取り・寝取られ(NTR)」が、男女を問わずジャンル1位になったことが注目を集めた。でも、筆者はそれ以上に興味深い事実を読み解いた。

 それは、総合では第4位になった「女装・男の娘」と第9位になった「性転換・女体化」の存在である。

 男女別で見ると、男性では「女装・男の娘」は第4位。「性転換・女体化」は第8位。女性ではそれぞれ第3位と第17位になっている。

 これをさらに年齢別で見ると興味深い。35~44歳で「性転換・女体化」が第12位になっているのを除けば「女装・男の娘」と「性転換・女体化」は、どの年代も第10位以内に入っているのである。

 今さら説明するまでもなく、この2つのジャンルはマニアック。ともすれば「変態」ともいわれるものである。どちらも、作品単体の売り上げでは上位ランキングに登場することはほとんどないが、それなのに常に需要の高いジャンルになっているのである。

 とりわけ「女装・男の娘」以上にコアなジャンルであったはずの「性転換・女体化」は、ここ10年余りの間に、著しく進化している。

 物語の定番は、なんらかの理由で女になってしまった男性主人公が、女の身体の快楽に溺れていくというもの。ところが、この10年の間に、そこに女性になったがゆえの心の戸惑い……男性の視線が気になるとか、今まで仲良くしていた男友達に恋心を覚えるとか。あるいは、必死に化粧を覚えて可愛くなろうとするシーンを挿入したりだとか。心情描写は、日進月歩で進化している。

 変化は「女装・男の娘」ジャンルでも見られる。「結局はホモなんじゃないのか」と敬遠する人は減り「これはこれで」とか「むしろ生えているほうが」と拒否しない人のほうが多数派になっている。こちらのジャンルで目を見張るのは、現実にも同様のことが起きていること。

 Twitterやらなにやらで、セクシーな画像をアップしている男の娘は増えている。彼女らのファンの多くは「可愛いいから、別に男性でも構わない」という。

 こうした「可愛ければ性別は問わない」という新たな常識の中から、自分も可愛くなりたいという願望を抱く人が出てくるのは当然であろう。

 昨年「バーチャルキャスト」や「Vカツ」などのアプリも登場したことで、バーチャルな自分を創造する人は圧倒的に増えた。それらが楽しいものとして受け入れられる背景に、男の娘だとか女体化作品の普及があることは、無視はできない。
(文=昼間たかし)

同人誌の「続編」は売れるのか? 実際に頒布してみた!

 いっとき、昭和の漫画史に残るであろう名作漫画の続編がやたら発表される悪夢のような時期があった。惜しまれつつ幕が下りるから美しいのであり、続編など蛇足でしかない。私はどんなに好きな漫画であっても続編は読みたくないし、最終巻に掲載されていて読んでしまったものもあるが、やはり「読むんじゃなかった」と本編まで汚されたようで悔しかった。続編なんて地雷だ―――しかしこの鋼の意志は、自分が「書く側」になるとどうなるのか。当記事では「同人誌と続編」についてレポートしたい。

■続編が望まれるのは「ラブストーリー(セックスなし)」

 二次創作の同人誌(女性向け)のジャンルは、概ね以下の3つに大別される。

(1)ラブストーリー(セックスなし)

(2)ラブストーリー(セックスあり)

(3)それ以外(ギャグ、ほのぼのなど)

(2)ラブストーリー(セックスあり)において、ラブとセックスの比率は実にさまざまだ。セックス部分は朝チュン程度で、R-18指定すらしなくていいライトなものから、男性向けエロ同人誌のごとく汁気たっぷり、もはやこれは「スポーツもの」ではという同人誌もある。なお、そういったR-18熱血スポーツモノの同人誌の作者が感想ください、とフォームを用意していると、セクハラにならない感想を送るにはどうしたらいいのか悩ましい。

 さて、上の(1)~(3)のうち、個人的な見解だが続編が全裸待機されがちなのは「(1)ラブストーリー(セックスなし)」な気がする。続編を願う気持ちは「頼むからおまえらパツイチ決めてくれよ!」なのだ。

 

■禁断の続編を書かせる原動力は自萌えと感想

 さて、私は読む側においては「続編=蛇足」の続編地雷派だが、私は二次創作の同人誌において、一つの作品の続編を3回書いたことがある。ポリシーがここまでぶれると鮮やかですらあるが、なぜこんなことになったのかというと、これも同人誌を書いている人なら絶対ご存じだろう「自萌え(自分の書いた作品が大好き)」と「感想」による。

 3回も続編を書いた流れはこのようになる。

<1>1本目を書く。ジャンルとしては「(1)ラブストーリー(セックスなし)」。キャラAのBへの片思いで終わる。

<2>当初は続編を書くつもりはなかったものの、書いてみたら「自萌え(自分的に大ヒット)」してしまい、かつ、「続きをぜひ」と読んだ方から感想をいただく。

<3>よーし、パパ頑張っちゃうぞ~と2本目を書く。ジャンルは「(2)ラブストーリー(セックスあり)」。

<4>2本目を書いても自萌えが衰える気配がなく、さらに「続きは……?」と声をまたいただき、よーし、パパまたまた頑張っちゃうぞ~、と3本目を書く。

 

■続編をやりたいなら必要な、“売れっ子キャバ嬢”の心意気

 以前、pixivの小説人気ランカーの特徴を調べたことがある(参照記事:『ランカーはマメに大作を投稿していた!ウサ耳がギンギンに立つpixiv必勝法』)。

 そこでは、連載は単発の話より人気が出にくい傾向がはっきり出ていた。アマチュアが無料で掲載している話が本当に終わる保証などないため、一話できっちり終わりまで楽しめる話が支持されるのは合点がいく。

 しかし私の場合、上記で書いた3本の続編は紙の同人誌2冊にまとめているのだが、それぞれ30部発行し、現時点でどちらも25部頒布している。母数が超少ないから参考にならないのではとは言いっこなしだ。

 なお私の場合、上述の通りハナから続編を前提にしたものでなく、もともと単発で終わらせるつもりだったものが続いた形になる。そのくらいの「ゆる続編」の方が、どこでやめるのも読み手の自由になり、読み手には優しいといえるだろう。

 まとめると、続編を書く場合には「続編とはいえ、それぞれの話が単発っぽくそれなりに終わる」、「売れっ子キャバ嬢のようにセックスをちらつかせ、かといって簡単にヤラせずひっぱる」テクがあるとより「読み手へのおもてなし度が高い」といえるだろう。

 さて、続編を3度も書いたため、続編を書かざるを得ない心の動きも理解できた。だからこれからは人様の続編を楽しめるようになる、といえばまったくそんなことはなく、揺るがずに続編は地雷だ。

 実に勝手だが、このいくらでも勝手にできることが同人活動の醍醐味だと思っている。私は「同人のペンネームでの発信用アカウント」は所持しているものの、発信はほぼしていない。「酔っぱらった状態でSNSを更新すること」がアイスケースレベルでヤバいことかは衆知の通りだが、私にとって、同人アカウントで心のままにつぶやくのは「酔っぱらってる状態でつぶやく」並みにヤバいと自分の理性が告げている。これは断じてオタトークをするのが恥ずかしいからではない。今回の続編のように、自分のぶれまくるポリシーを見るのが恥ずかしいのだ。

 言動と行動が伴っていないのはダサい。しかし完全にこれが伴っている人間などもはや聖人だ。よって正解は「余計なことを言わずに、だが心のままに行動する」だろう。今後もこれを肝に同人活動を続けていきたい。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

 

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

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『SSSS.GRIDMAN』同人誌の書店販売にストップ! だから、二次創作はグレーじゃなくてブラックなんだってば

 コミックマーケットを前に、二次創作の抱える根本的な問題が明らかになり、ひと騒動起きた。2018年の人気アニメ『SSSS.GRIDMAN』の同人誌に対して、公式サイドが書店委託を認めないことが明確になったのだ。

 このことが判明したのは12月25日の同人誌書店・メロンブックスの告知だ。

 メロンブックスは「版権元様より弊社での取り扱いを停止するよう、ご要望を頂きました」として『SSSS.GRIDMAN』の同人誌は取り扱わないことを告知した。同業のとらのあなのサイトも検索してみたが、27日時点で検索にヒットするのは説明文に「グリッドマン絵もあります」と書かれている同人誌が一点だけ。

 メロンブックスに限らず、同人誌書店は、取り扱わないよう足並みを揃えているようだ。

『SSSS.GRIDMAN』をめぐっては、すでに10月に抱き枕の販売を告知していた同人誌サークルが、権利者からの申し立てを受けて販売を中止。「ファンティア」「pixivFANBOX」にも同様の申し立てがあり、イラストが消滅し、騒動となっていた。

 こうした中、同作の製作委員会では二次創作のガイドラインを告知。ここでは「営利目的・商業目的での商品製作、頒布など、同人活動の範疇を超えていると判断したものは、販売差し止めなどの対応を行う場合があります」としている。

 いまや多くが「お目こぼし」を受けている中で安心感にあふれているが、二次創作はグレーではなくブラック。権利者から訴えられたら、まず勝ち目はない。

 とはいえ、なんとなく二次創作を通じてファンも増えるという印象があるために、多くの作品では「お目こぼし」をされてきた。とはいえ、同人誌即売会の会場だけでなく同人誌書店で頒布するとなれば、完全な商業活動。むしろ、そこまで大々的に人のふんどしで商売をして、怒られなかったほうが奇妙だったといえるだろう。

 現状『SSSS.GRIDMAN』に関しては、会場で頒布する同人誌にはストップがかかっていない。その点、製作委員会はむしろ譲歩しているといえる。

 この騒動は、同人誌における二次創作の立場を改めて知らしめることになりそうだ。
(文=是枝了以)

『SSSS.GRIDMAN』同人誌の書店販売にストップ! だから、二次創作はグレーじゃなくてブラックなんだってば

 コミックマーケットを前に、二次創作の抱える根本的な問題が明らかになり、ひと騒動起きた。2018年の人気アニメ『SSSS.GRIDMAN』の同人誌に対して、公式サイドが書店委託を認めないことが明確になったのだ。

 このことが判明したのは12月25日の同人誌書店・メロンブックスの告知だ。

 メロンブックスは「版権元様より弊社での取り扱いを停止するよう、ご要望を頂きました」として『SSSS.GRIDMAN』の同人誌は取り扱わないことを告知した。同業のとらのあなのサイトも検索してみたが、27日時点で検索にヒットするのは説明文に「グリッドマン絵もあります」と書かれている同人誌が一点だけ。

 メロンブックスに限らず、同人誌書店は、取り扱わないよう足並みを揃えているようだ。

『SSSS.GRIDMAN』をめぐっては、すでに10月に抱き枕の販売を告知していた同人誌サークルが、権利者からの申し立てを受けて販売を中止。「ファンティア」「pixivFANBOX」にも同様の申し立てがあり、イラストが消滅し、騒動となっていた。

 こうした中、同作の製作委員会では二次創作のガイドラインを告知。ここでは「営利目的・商業目的での商品製作、頒布など、同人活動の範疇を超えていると判断したものは、販売差し止めなどの対応を行う場合があります」としている。

 いまや多くが「お目こぼし」を受けている中で安心感にあふれているが、二次創作はグレーではなくブラック。権利者から訴えられたら、まず勝ち目はない。

 とはいえ、なんとなく二次創作を通じてファンも増えるという印象があるために、多くの作品では「お目こぼし」をされてきた。とはいえ、同人誌即売会の会場だけでなく同人誌書店で頒布するとなれば、完全な商業活動。むしろ、そこまで大々的に人のふんどしで商売をして、怒られなかったほうが奇妙だったといえるだろう。

 現状『SSSS.GRIDMAN』に関しては、会場で頒布する同人誌にはストップがかかっていない。その点、製作委員会はむしろ譲歩しているといえる。

 この騒動は、同人誌における二次創作の立場を改めて知らしめることになりそうだ。
(文=是枝了以)

あの「マシュマロ」は同人活動の救世主か? 非交流同人作家が試してみた!【同人活動レポート】

「攻め」の反対語は? と聞かれ「守り」と言えず「受け」と口を滑らせてしまうのが腐女子であるように、「マシュマロ」と聞いて、お菓子でないほうを思い浮かべる人は十中八九オタクであり、さらにTwitterに依存気味だ。菓子でない「マシュマロ」とは、Twitterと提携した感想フォームのサービスであり、多くの同人作家がTwitterのトップに「マシュマロください(感想ください)」とPRしている。果たしてマシュマロを利用すれば、感想ゲットだぜ! となれるのか。ある同人作家(著者)が試してみた。

 

■私の同人作家としてのスペック:非交流派

 まず、私の同人作家としてのスペックをお伝えしたい。

・書いているのは二次創作の小説
・【オン】pixivに年に1~2回ほど投稿
・【オフ】年におよそ2回イベントに出てそのたびに新刊を出す
・オフ活動は2015年から
・一回のイベントの頒布数は、初回は5部。最近で30部弱
・同ジャンルの人とは、同人イベントで両隣の人に挨拶する以外の交流は特にない
・非交流のくせに、死ぬほど感想は欲しい

 同人活動をしていない人には、これがどの程度のスペックか伝わりにくいと思うが、ドラクエで言うなら「ひのきのぼう」「ぬののふく」くらいにとらえてもらえれば大体あっている(おたぽるで私の名前で探してもらうと、過去の同人活動レポートをすべて掲載している)。

 

■感想ゲットに必須の「政治力」がない場合、どう補うか

 金のために同人活動をしていると言えるほど稼いでいる人など、金のためにアフィリエイトブログやYouTuberをしている人くらい一握りだ。よって、書いたものに対する感想や反響は多くの同人作家の力水になる。

 感想をもらうためには当然「見た人が思わず感想を送りたくなるようないいものを作る」必要があるが、世の中のすべての同人作家が、傍目から見たら「お、おう」クオリティであっても、当の本人は「超絶いいもの」と信じて疑わず作品を世に出しているのだ。

 そのため「いいものを作る」以外で感想をもらう方法を考えてみると、以下の2つがあげられるだろう。

1.同人活動をしている友人知人やファン、フォロワーを増やす
2.感想をもらいやすくする各種サービスを利用する

 まず「1.同人活動をしている友人知人やファン、フォロワーを増やす」だが、これはつまり「お前に政治力はあるか」ということだ。

「政治力」が必要とされるのは霞が関に限らない。教室でも会社でもママ友づきあいでも老人ホームでも、人が集まるところでは必要とされるスキルだ。しかし「政治力」はあるけれど、大したことないクソ野郎は軽蔑されがちだ。会社やクラスで実力者や人気者に取り入ることだけがうまく、どうってことないやつなのにおいしいとこだけかっさらっていくクソ野郎や、同人活動においてうまくもないくせにジャンルでなぜかでかい顔してるおしゃべりクソ野郎など、読者の皆さんも幾人かのクソ野郎のご尊顔が思い浮かぶのではないだろうか。

 しかし、人類が集団の中で生活する生物である以上、「政治力がある(集団でいいポジションを取れる)」というのはFFで言うなら「エクスカリバー」クラスの武器だ。半端な作品力など蹴散らす力がフォロワー5桁にはある。政治力がある人を軽蔑する気持ちの大部分は嫉妬なのだろうと、私も歯ぎしりしながら思う。なお、私の本名のTwitterアカウントのフォロワーは12名(神トゥエルブ)だ。

 政治力がないなら育成に励むという手もあるが、リアルライフのそういったクソしがらみから解放されるのが私にとっての同人活動であり、心の聖域で苦手なことなどやりたくない。よって、政治力に頼れないなら「2.感想をもらいやすくする各種サービスを利用」するしかない。

 私は感想が欲しいので、以前からこういった各種サービスは積極的に利用しており記事にも書いている(参照記事:【同人活動レポート】コミュ障だって大丈夫! Twitter抜きで同人誌の感想をもらう方法)。

 ただ、この記事を書いたときから1年以上たっているが、「Twitter抜きで感想をもらう」は日に日に厳しくなってきた。今回の記事のテーマである「マシュマロ」など、Twitterの利用を前提としたサービスがどんどん一般化してきたからだ。今、Twitterもpixivもやらず、20世紀の作法にのっとり個人サイトだけ運営すること自体は個人の勝手だが、それで感想が欲しくて拗ねていたら、面倒くさい人だと私は思う。欲しいなら、きちんと欲しがらねばならない。

 私はもともとTwitterのロム(つぶやかず読むだけ)アカウントは持っていた。しかしこのアカウントにマシュマロの機能をつけると、このアカウントと同人活動をする私とが紐づいてしまうために、フォローした人の発言がウザくて後悔したら繰り出す必殺技「フォローを外す」「ミュート」を炸裂させにくくなってしまう。よって、新規にマシュマロ用のアカウントを取得した。

■マシュマロの誤解二つ
「罵詈雑言はすべてカット」「感想の返信を流さなくてはいけない」

 マシュマロ以外にもTwitterに連携して感想をもらうサービスはあるが、マシュマロの特徴は「AIが罵詈雑言はカットして届けない」という、半分が優しさでできたバファリンのような仕様だ。しかし登録してみて知ったが、マシュマロは「AIをさほど働かせない」モードもユーザーの都合で選ぶことができる。

 また、Twitterを利用するオタクのうち少なく見積もって6割くらいが「自分のタイムラインがフォローした神のマシュマロの返信でぎっつら埋まってしまい、神だと思っていたがあの御方が八階級降格で承認欲求ビッチへと格下げ。フォローを外す」という経験に心当たりがあると思う。

 私もこのせいでマシュマロの第一印象は最悪だったのだが、これは何もマシュマロの機能ではない。もらったマシュマロについて返信を出すのは必須ではなく、心の宝石箱にしまっておくことだってできる。

 なお、トスツイ(@tosを冒頭につけて返すツイート)にすることで、フォロワーのタイムラインに出ないように返信することもできるので、私のような嫉妬心の強いフォロワーにフォローを外されることを恐れる人はトスツイを薦めたい。

 マシュマロへの誤解も解けたところで、マシュマロ用に新規Twitterアカウントを取得。pixivで新作を公開する際に「感想乞食に励ましのお便りを!」と一言添えた。

 

■マシュマロで感想のゴールドラッシュ

 作品をアップ後、マシュマロ来い……! 来い! とリロードしまくって4時間後、最初のマシュマロが届き腰を抜かした。あれほど感想を欲しているのにいざ感想をもらうと腰を抜かしてしまうのだ。いただいた感想は実にあたたかなもので、マシュマロのこと承認欲求モンスター養成器だと思っていてほんとにごめんね、と十字を切った。

 結果から先に言うと、いただいた感想は2週間で9件。今までの私の感想人生にしてみるとゴールドラッシュと言っていい。やはり「馴染みのあるフォーマット」は送る側にとっては敷居を低く感じるのだろう。マシュマロちゃんがどぶ板まわりの営業で広げてきた地盤があったからこそ、こうしておいしい水が飲めているのだ。

 ちょうど仕事の区切りがついて、一人串揚げ屋で昼酒をしていたときにマシュマロが飛んできたこともあった。串揚げとビールと長文の神感想。天下統一を成し遂げた秀吉も大阪城の天守閣でこんな気分だったに違いない。感想を送ってくれた9名の方には年末ジャンボが当たるはずだ。

 こうして書くとマシュマロ万歳であり、事実マシュマロ万歳であることには変わらないのだが、感想が来た理由が今のままではマシュマロ100%になってしまうため誤解のないよう付け加えておくと、私は前述のスペック通りとにかく飽きっぽく、二次創作の対象となるジャンルを頻繁に変える。今回も変更したのだが、それが今ちょうど流行っているジャンルだった、というのがどう考えても感想が来た一番の理由だろう。これも原作となるジャンルがそれまで汗水たらして築いた礎があってのことだ。

 今回は自身の政治力がなくても、ジャンルの政治力とツール(マシュマロ)の政治力に助けてもらって感想ゲットだぜ! と言えるだろう。一番の理由はジャンルの力だろうが、それでもマシュマロ以外のフォーマットを利用していたらここまで感想をいただけなかっただろう。

 しかし私はここまでマシュマロの恩恵にここまであやかっているくせに、マシュマロの前提となるTwitterは本当に嫌いなのだ。あの人気者数値が可視化される状況を見ると、スクールカーストを思い出してどんよりと気がめいってしまう。バズっている憎たらしいほどキレのあるつぶやきを見ると、明日財布と携帯一緒になくせと思うくらい妬ましいし、自分が好きな人と自分の嫌いなやつが仲よさそうにしていると床に転がって子供のようにわめきちらしたくなる。

 Twitterを見れば見るほど病むタイプだと自分でも分かっているので、自分のこころを守るためにTwitterでは非交流、怒涛のミュートなのだ。知らなければ腹も立たない。仮にもし私に人気があったら余裕で、王者の貫禄でTwitterに入り浸っているだろう。

 時代に合ってないと自分でも思うが、そんな人でもTwitterをやりようによっては利用でき、いい思いもできるのだ。今回の原稿が政治力のない人の一助になれば幸いだ。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

【確認待ち】あの「マシュマロ」は同人活動の救世主か? 非交流同人作家が試してみた!【同人活動レポート】の画像2★好評発売中!!
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あの「マシュマロ」は同人活動の救世主か? 非交流同人作家が試してみた!【同人活動レポート】

「攻め」の反対語は? と聞かれ「守り」と言えず「受け」と口を滑らせてしまうのが腐女子であるように、「マシュマロ」と聞いて、お菓子でないほうを思い浮かべる人は十中八九オタクであり、さらにTwitterに依存気味だ。菓子でない「マシュマロ」とは、Twitterと提携した感想フォームのサービスであり、多くの同人作家がTwitterのトップに「マシュマロください(感想ください)」とPRしている。果たしてマシュマロを利用すれば、感想ゲットだぜ! となれるのか。ある同人作家(著者)が試してみた。

 

■私の同人作家としてのスペック:非交流派

 まず、私の同人作家としてのスペックをお伝えしたい。

・書いているのは二次創作の小説
・【オン】pixivに年に1~2回ほど投稿
・【オフ】年におよそ2回イベントに出てそのたびに新刊を出す
・オフ活動は2015年から
・一回のイベントの頒布数は、初回は5部。最近で30部弱
・同ジャンルの人とは、同人イベントで両隣の人に挨拶する以外の交流は特にない
・非交流のくせに、死ぬほど感想は欲しい

 同人活動をしていない人には、これがどの程度のスペックか伝わりにくいと思うが、ドラクエで言うなら「ひのきのぼう」「ぬののふく」くらいにとらえてもらえれば大体あっている(おたぽるで私の名前で探してもらうと、過去の同人活動レポートをすべて掲載している)。

 

■感想ゲットに必須の「政治力」がない場合、どう補うか

 金のために同人活動をしていると言えるほど稼いでいる人など、金のためにアフィリエイトブログやYouTuberをしている人くらい一握りだ。よって、書いたものに対する感想や反響は多くの同人作家の力水になる。

 感想をもらうためには当然「見た人が思わず感想を送りたくなるようないいものを作る」必要があるが、世の中のすべての同人作家が、傍目から見たら「お、おう」クオリティであっても、当の本人は「超絶いいもの」と信じて疑わず作品を世に出しているのだ。

 そのため「いいものを作る」以外で感想をもらう方法を考えてみると、以下の2つがあげられるだろう。

1.同人活動をしている友人知人やファン、フォロワーを増やす
2.感想をもらいやすくする各種サービスを利用する

 まず「1.同人活動をしている友人知人やファン、フォロワーを増やす」だが、これはつまり「お前に政治力はあるか」ということだ。

「政治力」が必要とされるのは霞が関に限らない。教室でも会社でもママ友づきあいでも老人ホームでも、人が集まるところでは必要とされるスキルだ。しかし「政治力」はあるけれど、大したことないクソ野郎は軽蔑されがちだ。会社やクラスで実力者や人気者に取り入ることだけがうまく、どうってことないやつなのにおいしいとこだけかっさらっていくクソ野郎や、同人活動においてうまくもないくせにジャンルでなぜかでかい顔してるおしゃべりクソ野郎など、読者の皆さんも幾人かのクソ野郎のご尊顔が思い浮かぶのではないだろうか。

 しかし、人類が集団の中で生活する生物である以上、「政治力がある(集団でいいポジションを取れる)」というのはFFで言うなら「エクスカリバー」クラスの武器だ。半端な作品力など蹴散らす力がフォロワー5桁にはある。政治力がある人を軽蔑する気持ちの大部分は嫉妬なのだろうと、私も歯ぎしりしながら思う。なお、私の本名のTwitterアカウントのフォロワーは12名(神トゥエルブ)だ。

 政治力がないなら育成に励むという手もあるが、リアルライフのそういったクソしがらみから解放されるのが私にとっての同人活動であり、心の聖域で苦手なことなどやりたくない。よって、政治力に頼れないなら「2.感想をもらいやすくする各種サービスを利用」するしかない。

 私は感想が欲しいので、以前からこういった各種サービスは積極的に利用しており記事にも書いている(参照記事:【同人活動レポート】コミュ障だって大丈夫! Twitter抜きで同人誌の感想をもらう方法)。

 ただ、この記事を書いたときから1年以上たっているが、「Twitter抜きで感想をもらう」は日に日に厳しくなってきた。今回の記事のテーマである「マシュマロ」など、Twitterの利用を前提としたサービスがどんどん一般化してきたからだ。今、Twitterもpixivもやらず、20世紀の作法にのっとり個人サイトだけ運営すること自体は個人の勝手だが、それで感想が欲しくて拗ねていたら、面倒くさい人だと私は思う。欲しいなら、きちんと欲しがらねばならない。

 私はもともとTwitterのロム(つぶやかず読むだけ)アカウントは持っていた。しかしこのアカウントにマシュマロの機能をつけると、このアカウントと同人活動をする私とが紐づいてしまうために、フォローした人の発言がウザくて後悔したら繰り出す必殺技「フォローを外す」「ミュート」を炸裂させにくくなってしまう。よって、新規にマシュマロ用のアカウントを取得した。

■マシュマロの誤解二つ
「罵詈雑言はすべてカット」「感想の返信を流さなくてはいけない」

 マシュマロ以外にもTwitterに連携して感想をもらうサービスはあるが、マシュマロの特徴は「AIが罵詈雑言はカットして届けない」という、半分が優しさでできたバファリンのような仕様だ。しかし登録してみて知ったが、マシュマロは「AIをさほど働かせない」モードもユーザーの都合で選ぶことができる。

 また、Twitterを利用するオタクのうち少なく見積もって6割くらいが「自分のタイムラインがフォローした神のマシュマロの返信でぎっつら埋まってしまい、神だと思っていたがあの御方が八階級降格で承認欲求ビッチへと格下げ。フォローを外す」という経験に心当たりがあると思う。

 私もこのせいでマシュマロの第一印象は最悪だったのだが、これは何もマシュマロの機能ではない。もらったマシュマロについて返信を出すのは必須ではなく、心の宝石箱にしまっておくことだってできる。

 なお、トスツイ(@tosを冒頭につけて返すツイート)にすることで、フォロワーのタイムラインに出ないように返信することもできるので、私のような嫉妬心の強いフォロワーにフォローを外されることを恐れる人はトスツイを薦めたい。

 マシュマロへの誤解も解けたところで、マシュマロ用に新規Twitterアカウントを取得。pixivで新作を公開する際に「感想乞食に励ましのお便りを!」と一言添えた。

 

■マシュマロで感想のゴールドラッシュ

 作品をアップ後、マシュマロ来い……! 来い! とリロードしまくって4時間後、最初のマシュマロが届き腰を抜かした。あれほど感想を欲しているのにいざ感想をもらうと腰を抜かしてしまうのだ。いただいた感想は実にあたたかなもので、マシュマロのこと承認欲求モンスター養成器だと思っていてほんとにごめんね、と十字を切った。

 結果から先に言うと、いただいた感想は2週間で9件。今までの私の感想人生にしてみるとゴールドラッシュと言っていい。やはり「馴染みのあるフォーマット」は送る側にとっては敷居を低く感じるのだろう。マシュマロちゃんがどぶ板まわりの営業で広げてきた地盤があったからこそ、こうしておいしい水が飲めているのだ。

 ちょうど仕事の区切りがついて、一人串揚げ屋で昼酒をしていたときにマシュマロが飛んできたこともあった。串揚げとビールと長文の神感想。天下統一を成し遂げた秀吉も大阪城の天守閣でこんな気分だったに違いない。感想を送ってくれた9名の方には年末ジャンボが当たるはずだ。

 こうして書くとマシュマロ万歳であり、事実マシュマロ万歳であることには変わらないのだが、感想が来た理由が今のままではマシュマロ100%になってしまうため誤解のないよう付け加えておくと、私は前述のスペック通りとにかく飽きっぽく、二次創作の対象となるジャンルを頻繁に変える。今回も変更したのだが、それが今ちょうど流行っているジャンルだった、というのがどう考えても感想が来た一番の理由だろう。これも原作となるジャンルがそれまで汗水たらして築いた礎があってのことだ。

 今回は自身の政治力がなくても、ジャンルの政治力とツール(マシュマロ)の政治力に助けてもらって感想ゲットだぜ! と言えるだろう。一番の理由はジャンルの力だろうが、それでもマシュマロ以外のフォーマットを利用していたらここまで感想をいただけなかっただろう。

 しかし私はここまでマシュマロの恩恵にここまであやかっているくせに、マシュマロの前提となるTwitterは本当に嫌いなのだ。あの人気者数値が可視化される状況を見ると、スクールカーストを思い出してどんよりと気がめいってしまう。バズっている憎たらしいほどキレのあるつぶやきを見ると、明日財布と携帯一緒になくせと思うくらい妬ましいし、自分が好きな人と自分の嫌いなやつが仲よさそうにしていると床に転がって子供のようにわめきちらしたくなる。

 Twitterを見れば見るほど病むタイプだと自分でも分かっているので、自分のこころを守るためにTwitterでは非交流、怒涛のミュートなのだ。知らなければ腹も立たない。仮にもし私に人気があったら余裕で、王者の貫禄でTwitterに入り浸っているだろう。

 時代に合ってないと自分でも思うが、そんな人でもTwitterをやりようによっては利用でき、いい思いもできるのだ。今回の原稿が政治力のない人の一助になれば幸いだ。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

◆石徹白未亜の過去記事はこちらから◆

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