台湾へ圧力強める中国、代理戦争で久々に敗北も米国にとっては最悪の政治ショーに

 台湾と外交関係のある国に断交を迫る中国は、その圧力を強め、次々に中国への「鞍替え」を実現させているが、久しぶりに「黒星」が付いた。長く台湾と外交関係を持つ南米パラグアイの大統領選は4月30日に投開票が行われ、台湾派の与党候補が当選した。選挙は中国との外交関係樹立を公言する野党連合候補との事実上の一騎打ちとなり「中台代理戦争」の様相を呈したが、結果は圧勝だった。

 台湾外交部(…

続きを読む

中国軍が台湾に進攻しても米軍は動かない? あえて明かした蔡英文総統の危機感

 台湾に米軍は駐留しているのか? ここ数年来緊張が高まる米中関係を考えれば、当然、中国軍の台湾進攻に備え、米軍から軍事顧問団程度は派遣されていると考えるのが妥当だが、それは「あくまで秘密裡に行われているもの」と常識のある人間なら考える。

 しかし、台湾の蔡英文総統は2021年10月27日放送の米CNNとの単独インタビューで、あっさりと米軍が台湾に駐留している事実を台湾のトップと…

続きを読む

中国軍が台湾に進攻しても米軍は動かない? あえて明かした蔡英文総統の危機感

 台湾に米軍は駐留しているのか? ここ数年来緊張が高まる米中関係を考えれば、当然、中国軍の台湾進攻に備え、米軍から軍事顧問団程度は派遣されていると考えるのが妥当だが、それは「あくまで秘密裡に行われているもの」と常識のある人間なら考える。

 しかし、台湾の蔡英文総統は2021年10月27日放送の米CNNとの単独インタビューで、あっさりと米軍が台湾に駐留している事実を台湾のトップと…

続きを読む

“密告社会”で芽生えた恋愛感情は成就するのか? 台湾発のホラー映画『返校 言葉が消えた日』

 恐ろしい悪夢から目覚めると、そこは現実の世界だった。だが、現実の世界は悪夢よりもさらに恐ろしかった。台湾で2019年に大ヒットし、映画賞を総なめした『返校 言葉が消えた日』は、生々しいリアリティーを感じさせるホラー映画だ。日本人が観てもどこかノスタルジックな気分になる、1960年代の台湾の高校に通う少年少女たちの純真さが悲劇を引き起こすことになる。

 本作がモチーフにしている…

続きを読む

金城武は今どこに? 台湾でいまだ支持を集める29年間ノースキャンダル俳優の歴史

 新型コロナウイルスによる肺炎で逝去した志村けんさん出演の「台湾観光CM」が再度注目を浴びたが、共演者の俳優・金城武はいま何をしているのだろうか? 金城といえば映画『レッドクリフ』(2008~09年)で天才軍師・諸葛孔明を演じた姿が印象深いが、日本のメディアではドラマ『ゴールデンボウル』(02年/日本テレビ系)の出演を最後にめっきり姿を見せなくなった。今回はそんな彼の現在を追ってみたい。

 今年46歳となる金城は、日本人の父と台湾人の母との間に産まれた日台ハーフ。これまで数々のCMや映画に出演してきた言わずと知れた「アジアの大スター」だ。幼少期は台湾で生活していたが、当初はハーフ故に周りから寄せられる好奇の目に困惑していたという。この頃に感じた「孤独」が、後の金城に「大きな影響を与えた」と台湾メディアのインタビューでも度々答えている。

 そんな彼が芸能界入りしたキッカケは、15歳の頃友人の母に誘われて出演したサイダー飲料のCMだ。当初は乗り気でなかったそうだが、丁度バイクが欲しかったので承諾したんだとか(スター誕生にありがちなエピソードだ)。こうして、長きにわたる芸能生活が始まることになる。

 その精悍なルックスからすぐさま台湾中の話題となった金城は、香港、日本へと活動の幅を広げていく。日本語、北京語、広東語、台湾語、そして英語が堪能という類稀な才能を生かし、映画『恋する惑星』(原題:重慶森林/1994年)への抜擢、99年にはディズニー映画『ターザン』の日本版、香港版、台湾版の声優を務めるなどアジアを股にかけて活躍を見せてきた。

 そして日本では、HIV感染症をテーマにしたドラマ『神様、もう少しだけ』(98年)が大ヒットしたことにより爆発的な知名度を得ることに。『SMAP×SMAP』や『とんねるずのみなさんのおかげでした』(すべてフジテレビ系)などバラエティ番組に出演した際も、ほとんどネイティブといって遜色のない日本語を駆使し、軽妙なトークで出演者とコミュニケーションを取っていた姿を覚えている人も多いだろう。志村氏と共演した「日本アジア航空」CMの出演もこの時期だ。しかし、中山美穂とダブル主演を務めた『二千年の恋』(00年/フジ系)、黒木瞳演じる主婦との恋を描いた『ゴールデンボウル』以降、日本のドラマ出演はパッタリとなくなってしまう。

 この頃から金城は、香港や台湾はもとより台頭しつつあった中国映画に重心を移していく。『ターンレフト・ターンライト』(原題:向左走、向右走/02年)『LOVERS』(原題:十面埋伏/04年)『傷だらけの男たち』(原題:傷城/06年)そして『レッドクリフ Part I』(原題:赤壁/08年)と、大作への出演が続き映画俳優へステップアップしていったのだ。

<日本から消えた金城、現在は不労所得で食っている!?>

 さて、世界的映画スターとなった金城は現在どこで何をしているのだろうか? このご時世にもかかわらず、オフィシャルSNSを持たない彼の私生活はいまだに謎に包まれたまま。これまでも中華圏メディアが何度も恋人の存在や、結婚について調べようと躍起になったが、まったく何も出てこない。29年間目立ったスキャンダルもなく活動を続ける、パーフェクトマンだ。

 熱愛も結婚もないが、実は仕事量もかなりセーブしているよう。ここ直近の主な活動としては、昨年に台湾の大手ペットボトル飲料『御茶園』のCM出演と、映画『The Crossing ザ・クロッシング』くらい。同作ではチャン・ツィイー、ソン・ヘギョ、長澤まさみらアジアの豪華キャストと共に歴史に翻弄される男を演じ、日本でも公開されたが大ヒットには至らなかった。しかも同作、制作されたのは2014年と結構前のこと。

 『御茶園』のCMを見ればイケメンぶりを保っていることは確認できるが、あれだけ日本で活躍していた時代があったことを考えると「もっとたくさん露出してもいいのでは?」と思ってしまう。ところがどっこい、台湾メディアの報道によると、彼は各地に不動産を所持しておりその運営や投資などで稼いでいるため、馬車馬のように働く必要がないのだという。「金ならある」ということだ。日本の映画界もドラマ界も少々停滞気味ではあるし、金城の琴線に触れるオファーがないのかもしれない。

 だが、ファンは金城の精力的な活動を強く望んでいるはずだ。その証拠に、20年4月23日に台湾メディア『三立新聞網』に掲載された「台湾の芸能人でイメージがいいのは誰だ?」という記事の中で、なんと金城の名前がメインで登場したのである。近年は大きく目立った活動をしていないにもかかわらず、ネットからは「こんなにカッコイイのにスキャンダルが1つもないなんて自制力の塊!」「時代の神」「完璧すぎるんだよなあ」といった称賛の声が続出しており、彼の人気ぶりが健在であると証明された。

 こうした台湾での支持率を鑑みれば、仕事のオファーは引く手あまたなはず。不動産で稼ぐのもいいけれど、やっぱりテレビや銀幕で活躍する姿が見たいと思ってしまうのだ。そして、あわよくばまた日本の作品でお目にかかれればもっといいのだが……。

EXILE・AKIRAが台湾で大人気! 低視聴率男から「国民のお義兄さん」へ成り上がりヒストリー

2019年、台湾人モデルのリン・チーリン(林志玲)と結婚し、日台双方で大きな話題を呼んだEXILEのAKIRA。06年にグループに加入して以降、ダンサーとしてだけでなく俳優業にも精を出すものの、主演したドラマはヒットに恵まれず、日本での一般知名度や人気は同期のTAKAHIROに比べると目立たない印象が拭えないだろう。しかし、現在彼は妻の故郷・台湾でジワジワ活動の範囲を広げており、「国民姐夫」(国民の義兄さん)として親しまれているのだ。もちろん、リン・チーリンの知名度あってのことだが、台湾人がAKIRAに好感を抱くのはそれだけの理由ではない。今回は、「AKIRA in TAIWANヒストリー」を解説していきたい。

 AKIRAが台湾に進出したキッカケは2014年に同国で放送されたドラマ『GTO TAIWAN』にさかのぼる。本作は藤沢とおる氏による大ヒットマンガを実写化し、日本で人気を博したドラマ『GTO』シリーズの番外編的な位置付けだ。AKIRA扮する鬼塚英吉が、台湾の高校から1週間の研修プログラムに招待されるというストーリーで、当時、総務省が推進していた補正予算施策のひとつ「アジア地域における国際共同製作に関する調査研究」の支援を受けて制作されたものだった。

 しかし、城田優や山本裕典など豪華キャストを取りそろえたにもかかわらず、日本はおろか台湾でもさほど話題にはならず。実は、現地では反町隆史が鬼塚役を務めた1998年版『GTO』が繰り返し再放送されるほどの人気で、「鬼塚=反町」「GTO=POISON」という方程式が出来上がっていたのだ。そう、日本でもそうであったように、AKIRAが反町のイメージを覆すことはできなかった。20代後半以降の台湾人に『GTO』の話を振ると、ほんどの人が「ポイズン懐かしい」「反町かっこよかった~」と振り返るだろう。

「国民の姉」と呼ばれ、長年親しまれているリン・チーリンとの結婚が発表された際も、一部の日本通を除き「AKIRAって一体誰なの!?」という反応が大半だった。そもそもチーリンには長年恋人関係が続いているのではないかとウワサされていた俳優がいたのだが、別れたという報道が出てからは誰もが「この先結婚できるのだろうか」と心配したという経緯がある。そこで突然彗星の如く現れ、「国民の姉」を嫁にしたのだから、台湾人から困惑の声が上がりまくるのも頷ける。

 結婚発表後、現地メディアは次々と「リン・チーリンの旦那はどんな人?」「日本での立ち位置は?」「今知っておくべき日本の芸能人の1人」といった記事を配信。一時期は多数の情報が交差し、「逆玉の輿か?」「彼女にとっては格差婚になるのでは?」という評価が多勢だったが、最終的には「チーリンが選んだ男ならきっといい奴だ!」と好意的にとらえられた。AKIRAの知名度は「大勢いるEXILEの中の1人」から「国民の姉を射止めたAKIRA」にまで上昇したのである。これもひとえに、チーリンのイメージがいかに良かったかということの表れでもある。

 しかし一方で、AKIRAの人気は結婚に付随したものだけではない。彼は突然の注目の裏で、台湾のチーリンファンに好印象を持ってもらおうと地道な努力を続けていたのだ。

 2020年の春節(旧正月)に行われた『超級巨星紅白芸能大賞』(日本でいう紅白歌合戦)にEXILEとして出演したAKIRAは、番組に向けての記者会見で「台湾でパフォーマンスを行うことになったきっかけは何か?」と問われた際「AKIRAさんのために台湾行くよ! とメンバーが言ってくれた」と笑顔を見せ、続けて台湾ビールや小籠包が好きだとコメント。

 さらに、自身のあだ名「国民の義兄」について「温かいネーミングをつけてくださってうれしいです。チーリンがこれまで台湾の方々と本当に丁寧に接してきて、そういうバックボーンがあるからこそだと思います」と丁寧に感謝の意を示し、現地のグループに対する好感度の上昇に大きく貢献した。番組のために作り直したという音源を使用したパフォーマンスも若い視聴者の反響を呼び、改めてEXILEのファンになったという人も大勢現れた。

 台湾とは政治的な理由で「微妙な関係」にある中国では、しばし「台湾を優先した」「台湾を一国だと認めた」という理由で他国の芸能人をバッシングする傾向が見受けられるため、「今後中国から圧力がかけられるのでは?」と心配の声が上がっていた。そんな中でも、AKIRAはこういった「親台」発言を物怖じせずに行ったことから、「なんかうれしいね」と各所で称賛されるという現象が起こっている。

 直近ではファッション誌「GQ TAIWAN」3月号の表紙を堂々と飾り、着実に実績を残しているAKIRA。知名度の上昇はもちろんチーリンのお陰という点が大きいが、その後の発展は彼自身の努力から生まれたものだろう。今後の活躍にも期待したいところだ。

鬼滅の刃、ヒプマイ……台湾のオタクも「ランダム商法」に踊らされる! 救世主はセブンイレブン?

 アニメ、マンガ、アイドルなどいわゆる「オタク」文化が旺盛な日本。休日の秋葉原や池袋、大阪は難波などではオタク活動に勤しむ人々が「推し」のグッズを片手に幸せそうな笑顔を浮かべているのが定番の光景だが、今は新型コロナウイルス拡散防止のため、自宅待機を余儀なくされている人がほとんどだろう。終息したあかつきには思いっきりオタ活をしたい! と、私も思っている。そこで今回は、お隣の親日国・台湾のオタクたちがどのように「オタ活」を楽しんでいるのか、主にアニメグッズに焦点を当ててご紹介しようと思う。

 日本のアニメやマンガは世界各国で愛されているわけだが、台湾も例外ではない。近年、配信サイトやネット環境の目まぐるしい発達により、日本の作品をほぼリアルタイムで追うことができるようになり、オタクたちの活動も一層活発化している。また、日本のアニメ・マンガグッズ販売の最大手「アニメイト」は台湾にも進出しているし、中古グッズショップでお馴染みの「らしんばん」や「アニメイトカフェ」もあり、台湾にいながら日本のアニメ・マンガグッズが随分と手軽に手に入るようになった。

 台北市信義区にある大手百貨店・新光三越にはコラボカフェ「MyAnimeCafe」もあり、そこで開催されるコラボは『うたの☆プリンスさまっ♪』『名探偵コナン』『ポケットモンスター』と日本の人気作品を網羅しておりこちらも大盛況だ。しばしば「料理がおいしくない」という意見も噴出するが、こういった声は日本のコラボカフェでも見受けられるので、共通の課題といったところだろうか。

 さて、こうしたコラボカフェやグッズ販売での地獄……否、醍醐味とも言えるのが「ランダム商法」だ。フードやドリンクを注文して数十種類ある中からランダムでコースターがプレゼントされる企画や、缶バッジやアクリルキーホルダーを中身の見えない状態で販売する手法は台湾でも常態化している。自分の好きなキャラクターを手に入れるには、莫大なお金と体力を使い目当てが出るまで飲食するか、(不本意ながら)フリマアプリやネットオークションで購入するか、他人と交換するかの3択である。

 「他人と交換する」これが一番コスパがいいわけで、日本では交換ツールとしてよくツイッターが利用されているが、台湾のオタクは「Plurk」という台湾資本のアプリを使用する人が多い。イメージ的には「文字制限が360字のツイッター」であり、交換のほかにも「日本のイベントに行きます。代理購入受け付けます」「本日発売の缶バッジ、共同購入しませんか? 日本からの送料を割り勘で」といった書き込みがたくさんあり、オタクにとっては欠かせないアプリだといえるだろう。交換は「現地手渡し」「普通郵便」のほか、台湾の「セブンイレブン」では指定店舗同士の郵送が可能なので、こちらも広く利用されているようだ。

 「Plurk」では現在、マンガ『鬼滅の刃』や声優ラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』に関するトピックスが多いが、『うたの☆プリンスさまっ♪』『あんさんぶるスターズ!』『A3!』なども根強い人気を見せている。また、男性人気の高い『機動戦士ガンダム』シリーズや『仮面ライダー』などの東映特撮モノ、『トランスフォーマー』なども需要が高いようだ。

 「アニメイト」や「らしんばん」がある若者の街・西門町には「萬年商業大樓」というビルがあり、こちらでは最新グッズや雑誌のほか、アニメ・マンガファンにはたまらないグッズが山ほど取り扱われているため、日本人の間でも「オタビル」と呼ばれているんだとか。

 長年ガンダムシリーズのファンを続ける30代男性は、台湾旅行の際は必ずこのビルに立ち寄るといい、「萬年商業大樓の魅力といえば、日本ではもう見ないような古いプラモデルが掘り出せることですよ。前回行った時も、日本では絶対買えないレアなグッズを見つけて思わず声をあげました。日本だと、お台場のTHE GUNDAM BASEでしか売っていない限定のSDガンダム『三国創傑伝シリーズ』も揃っていて、僕は関西在住なので台湾旅行のついでに買えるのはありがたかったですね。日本でいう中野ブロードウェイに似た雰囲気がありますよ」とホクホク顔で話してくれた。

 このほかにも台北市中正区に位置する台北駅から続く「台北地下街」という長い地下街は、ゲームショップや中古グッズが所狭しと集まっており、こちらも数々のオタクが訪れる聖地となっている。地下街は空港に繋がる電車のターミナル駅にほど近い立地にあるため、旅行者が帰国直前まで見て回れるのが魅力の一つだ。

 性別や年齢の垣根を越えて、さまざまな「オタク活動」が可能となった台湾。旅行に行った際には現地で掘り出し物を見つけるのも、また一興なのかもしれない。

台湾、アジア初の同性婚法制化から1年――Netflix映画『先に愛した人』が映す偏見のリアルと、社会変化

 日本の国会に相当する台湾・立法院にて、同性婚を容認する特別法が成立し、施行されたのは2019年5月。あれから約1年たった今、台湾はアジア初の同性婚容認国としてどのような変化を遂げたのか。今回は、男性同士の恋愛を扱った台湾映画『先に愛した人』に触れながら考えていきたい。その前に、まずは、同性婚の法制化を促したある事件を振り返ろう。

 19年にこの法案が成立した背景には、ある同性カップルの事件があった。「同性愛」に関しては、台湾でも長年議論され続けてきたが、この事件をきっかけに民意が「同性婚賛成」に傾いたと言っても過言ではないだろう。

 16年10月16日、フランス国籍を持ち、台湾大学の教授を務めていたジャック・ピクゥ(Jacques Picoux)さんが自殺した。彼は同性愛者であり、その1年前に伴侶のズン・ジンチャオ(曾敬超)さんを病気で亡くしていた。2人は35年間パートナーとして同棲生活を送っていたという。台湾でささやかな家、そして車を購入し、共に余生を過ごそうと誓い合っていた。しかし、フランス国籍を持つジャックさんは、法律上台湾でローンを組むことができなかった。そのため、家も車もズンさんの名義で購入していた。このことが、ズンさんの逝去後、ジャックさんを苦しめることになるのだった。

 法律上、ズンさんと婚姻関係を持っていないジャックさんに遺産を継ぐ権利はない。ズンさんの親族は、家や車などを自らの物だと主張し、国も法に従ってその主張を承諾した。パートナーのみならず、お金を出し合って購入した家も車も失ってしまったジャックさんは、2つの台風が上陸したその年に荒れ狂う天気の中、マンションの10階から飛び降りた。

 死の直前まで一緒にいたという彼の元教え子は、「先生は絶望の中で『あの家を燃やしてしまいたいよ』と笑っていた。冗談かと思っていたのに……あの財産は先生の物であるべきでした」と涙ながらに話している。

 このニュースが現地メディアで報じられると、「こんな悲しい事件を社会は二度と起こすべきではない」という世論が少しずつ形成されていった。LGBTQにも、一国民としての保証や法の庇護が必要であると声を上げるメディアも増えた。そうした気運の中で行われた国民投票によって、「同性婚」を認める法案が可決されたのである。

 法案が成立する少し前、18年11月に同性婚をテーマにしたNetflix映画『先に愛した人』(原題:誰先愛上他的)が公開された。

 主人公である高校生・チェンシーの父は、自分がゲイだということを家族に告げ、家出する。数年後、父がガンで亡くなったことを知らされるも、保険金の受取人が変更されていることが判明。怒り狂った母親が訪ねたのは、父親の「愛人」で、小劇団の監督を務める男・アージェの自宅だった。母親は「男のお前に保険金を受け取る資格はない」「この泥棒猫!」と怒鳴り散らすも、アージェは「なんのことだ」と素知らぬ顔。その後、母親のかんしゃくに耐えられなくなったチェンシーは、アージェのマンションに転がり込み、行動を共にすることに。「父の愛人」だったという男を通して、父親の本当の姿を目の当たりにする……といった物語だ。

 リアルな台湾の街並みを舞台に、同性愛に対する偏見、家族の苦悩を赤裸々に描いた本作は、「異性婚しか認められていない中で、公的な書類もなく、保険金すら受け取れない」という同性カップルが抱えるシビアな現実を突き付けてくる。

 中でも、息子が同性愛者だと知らないアージェの母親が「ずっとガールフレンドがいないものだから心配していたの」と悪気なく語るシーンは、「常識」=「異性愛」という固定概念をリアルに示している。そして、「自分の家族が同性愛者だったとしても受け入れることはできるのか」「人々はどこか他人事なのではないか」という問題提起を、観る者に問いかけるようでもある。

 本作は、現地の映画ファンからの、「楽しく見終えたはずなのに心から離れない何かがある」「鑑賞時はバスタオル必須」といった評判に後押しされ、中華圏を代表する映画賞である金馬奨に作品賞、主演男優賞、主演女優賞、新人賞、新人監督賞、オリジナル脚本賞、主題歌賞、編集賞、の計8部門でノミネートされた。ヒステリックな母親役を演じたシェ・インシュエンが主演女優賞を受賞したほか、主題歌賞、編集賞も獲得。また、19年の米アカデミー賞国際長編映画賞に台湾代表作として出品もされた。ノミネートこそ逃したが、選考委員会は、本作がジェンダーの多様性とそれをめぐる問題をユーモラスに反映している点を指摘し、「台湾が今まさに向き合っている権利平等のマイルストーンと生命力が示されている」と評価した。現在、日本でもNetflixで視聴することが可能だ。

 ジャックさんの事件から4年、法案可決からもうすぐ1年がたとうとしている。『先に愛した人』が多くの観客に観られ、街なかで堂々と手を繋ぐ同性カップルを目にする機会も徐々に増えてきた。また、新型コロナウイルス危機の中で指揮をとり「マスク不足の回避」を徹底したことで、日本でも有名になったIQ180の”天才IT大臣”オードリー・タン(唐鳳)は、自身がトランスジェンダーであることをすでに公言している。これらに鑑みると、本当に少しずつだが、台湾の社会が変化しているようにも思える。

 しかし、現行の法制度では、婚姻が成立したとしても血縁関係のない子どもを養子にできないし、同性カップルが子どもを持つための規定も整備されていない。そもそも、同性婚に対する偏見そのものがなくなったとも言い切れない。課題はまだまだ残されている。それでも法制化された以上、台湾の人々はこれからも同性婚、しいてはLGBTQの問題についてさまざまな議論を重ね、考えていくだろう。そうした議論はやがて、日本にもポジティブな影響を及ぼすかもしれない。

「日本でマスク1万枚爆買い」「武漢に送る」台湾版『花より男子』ヒロイン、本国で大炎上!

 新型コロナウイルスの影響でマスクが不足し、早朝から長蛇の列ができる薬局や、高額転売が日々話題になっている。徐々に拡大していく感染、そして花粉症シーズンの到来でますます“マスク難民”が増加する中、お隣の台湾で、とあるタレントが「大炎上」を続けているのはご存じだろうか。

 ことの発端は、台湾版「花より男子」で主人公のつくし役を務め、台湾や中国では「大S」というあだ名で親しまれているタレントの徐熙媛(バービィー・スー)と、その夫のSNS投稿だ。1月末に日本を訪れた彼女は、なんと1万枚のマスクを購入。それを全て中国・武漢に寄付するとSNSで発信したのである。

 今でこそ日本でもマスク不足が騒がれているが、1月の時点ではまだ薬局に「中国加油」「武漢加油」(編注:加油=「頑張れ」の意)といった激励のPOPが貼られていた時期。しかし、彼女の出身地である台湾は違った。この頃の台湾は、まさに現在の日本と同じくマスク難民が大量発生しており、政府がマスクの輸出を制限しはじめた時期なのだ。

 そんな中、彼女は自慢げに「日本で1万枚のマスクをゲット! 全て武漢に送ります!」と投稿したのである。それだけならまだしも、彼女は国民のために輸出制限を行った台湾政府を「人でなし」「愛がない」「人が困っているときは助けるべき」と痛烈に批判した。

 これらの言動に、台湾の人々は激怒。「人の国でマスクを爆買いするな!」「これからマスク不足になるだろうに……」といったコメントが大量に寄せられた。そして日本の掲示板・5ちゃんねるに「台湾人女優『日本でマスクを1万枚買い占めて中国に送りました!武漢頑張れ!』」というスレッドが立てられたことを知った台湾のネット民は、「日本でも話題になってる! ざまあみろと言いたいところだがあいつは台湾人じゃない、中国人だって誰か伝えてくれ~!」「日本の皆さんにマスクを返してあげてほしい」と述べるなどとし、大炎上に発展した。

 この大S、台湾タレントの中でもかなりの親中派で、中国本土出身の男性と結婚している。故に武漢を助けたいという思いが強かったのかもしれないが、台湾の世論は「だからと言って他国もこれからマスクが不足するかもしれないのに…」「寄付するにしても大声で自慢することではない」「台湾人タレントと報道されることが、もう恥ずかしい」と否定的だ。

 結局、この1万枚のマスクはどうなったのか。実はこの騒動が起こる前から台湾政府は水面下でマスクの転売を防ぐため「出国の際に所持、または他国に送付していいマスクは1人当たり5箱(250枚)まで」という法律を審議しており、あっという間に制定されたのだ。彼女も無論例外ではなく、この大量のマスクが武漢に送られることはなかった。後日、夫婦が経営しているホテルの従業員に配布するという声明が出されている。

 この炎上の影響で大Sが台湾で受け持っていたメディア仕事は激減。CMを担当する商品の不買運動が起こり、今でもさまざまな「中国との癒着」が報道されるなど、散々な結果を招いてしまった。

 ここまで騒動が大きくなったのだ、今後台湾での仕事は絶望的だろう。挙句の果てに、あろうことか中国のネット民からも「中国は生産国なのでマスク自体は足りている。一部が転売してるだけ」「状況を把握してない。いい人ぶりたいだけでしょ」と叩かれている状況だ。本来は善意のはずなのだが、どちらのファンからもそっぽを向かれてしまったようだ。

台湾企業がGoogleをしのぐ高性能「モザイク除去ソフト」をリリースも、実力は“マユツバ”?

 ITをはじめとする技術革新は私たちの生活に大きな利便性をもたらせてきたが、それはエロの世界とて例外ではない。AR(拡張現実)を取り入れたAVがその最たるものだが、台湾では先日、モザイク除去ソフトがリリースされ、話題となっている。

 モザイク除去装置といえば、かつては成人誌の通販広告に必ず入っていたインチキ商品だが、やがてそんなものにだまされる者もいなくなり、いつしかその名を聞くこともなくなった。

 ところが2017年には、あのGoogleがモザイク除去機を発表し、話題になった。AI(人工知能)の判断により元画像を再現するというものだが、それでも再現性が高いとはいえなかった。

 しかし今回、台湾の「JavLens」が開発したモザイク除去ソフトは、かなりの再現性を誇っているという。「三立新聞網」(12月10日付)によれば、サンプルではモザイク処理されたアワビやイチジクのオリジナル画像が見事に再現されている。もっとも、これがヤラセでなければだが……。

 動画の処理も可能で、サイトのアドレスを入力すれば処理される。ポイント制になっており、500ポイント(約720円)から購入が可能。写真1点の処理には50ポイントが必要で、動画の場合は1分ごとに10ポイント。動画に字幕翻訳を入れることも可能で、それも1分ごとに10ポイントが加算される。同サイトによると、ユーザー数は7,300を超え、これまで処理した件数は3万6,000を超える。英語はもちろん、日本語や韓国語にも対応しており、世界中のユーザーを狙う野心がうかがえる。

 しかし、その実力は“マユツバ”だ。ユーザーからは、「たかだか2分の動画を処理し始めてすでに1日がたつ」とのコメントもある。確かに同サイトには、3回まで無料で試せると記されているものの、実際に動画のアドレスを入力してもなぜだかうまく処理されない。ポイントを購入しないとダメということだろうか?

 興味のある方はぜひ試してみてほしいが、くれぐれも自己責任で。