参院選で落選すると容赦なく追い出し! 議員事務所と秘書の引っ越し事情

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Photo by Norio NAKAYAMA from Flickr

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■落選した議員事務所は、容赦なく追い出される

 参議院選挙は、54.70%という投票率でした。過去4番目の低さだったとか。なんだか、舛添要一さんが都知事を辞職するまでの経緯が強烈すぎて、選挙中、街頭での反応はいまひとつ。特に都内の街頭活動では、都知事選挙と間違う人も多く、説明にひと苦労しました。まー、ワイドショーがずっと都知事選の候補者の話題ばかりだったようなので、しょうがないですよね。

 参議院議員会館は、この時期、とても嫌な雰囲気が漂っています。というのは、今回の選挙で落選してしまった議員事務所の引っ越し作業が行われているからです。落選後の議員事務室引き渡し作業は、かなり過酷で、落選して泣く暇も与えられません。

 なぜなら10日の投開票日の翌日の11日の月曜日には、選挙区で当選した候補者たちが正式に議員になってしまうからです。各都道府県の選挙管理委員会で行われる付与式で当選証書を受け取ると、正式に「参議院議員」になります。

 一方、落選した議員と引退する議員の任期は7月25日までなのですが、翌26日には新人議員たちに参議院議員会館の議員事務室が引き渡されるため、改装作業などもありますから、実際には15日までに事務室を引渡さなくてはなりません

 議員会館を管理しているサービスセンターという部署から、「議員事務室の引き渡し完了確認は、いつになりそうですか?」と、毎日電話がかかってきます。引き渡し予定日の3日前ともなれば、朝、昼、夜と電話があり、担当者の事務室訪問もあります。

 参議院から支給されている備品が確認され、棚や机には「備品」と書かれた紙がぺたぺたと貼られます。

 初めてその様子を見た時は、まるで「借金取りに家具を差し押さえられてしまった不憫な家庭」のように感じました。落選した議員事務所には、参議院の職員からの、そのくらい「容赦ない仕打ち」が待っているのです。

 秘書たちは、この時一番、職員たちを憎らしく思うんじゃないでしょうか。彼らは国家公務員ですから、秘書のように選挙の結果によって職業を失うこともなく、選挙の過酷さも知りません。秘書たちは、つい「どうして自分たちはこんなにも苦労しているのに、何も知らない職員に、まるで追い出されるかのような対応をされないといけないの……?」と思っちゃうんです。

■人付き合いが悪い秘書は、再就職に苦労する

 そういう事情で、選挙後の参議院議員会館の各フロアのゴミ置き場は、ゴミの山となっています。長く務めていた議員の事務所ほど資料も膨大で、作業も大変そうです。特に現役閣僚なのに落選した法務大臣の岩城光英事務所には3期18年分の資料があるのですから、想像を絶する作業をしていると思います。

 ドアはぴったりと閉められていて、秘書の方にあいさつするのもはばかられる重たい空気です。当選した議員事務所の秘書たちも、明るいのは事務室の中だけ。廊下に出た途端、重たい空気に触れるので、素直に喜んではいられない状況なんですよ。

 落選した議員の秘書たちは、新しいボスを探さなくてはなりません。なので、この時期は秘書たちの再就職活動が活発化します。神澤のところにも、就職を希望する方たちから続々と履歴書が届き始めています。参議院でいえば、こういう改選時期が就職活動のグッドタイミングなんですね。以前も書いてますが、秘書の採用は基本的にコネなので、新人議員事務所が秘書採用を斡旋する流れに遅れないように、活動開始されることが多いです。

 コネとともに重要なのが、日ごろの人間関係です。優秀でも真面目すぎで人付き合いが悪い秘書は、再就職に苦労します(笑)。これは議員も同じで、ひたすら真面目なだけでは、立候補の時に推薦がもらえなかったりしますよ。

 来週には、新人議員の事務室割り当ての抽選が行われます。初当選の方も多いので、がらりと雰囲気が変わるのでしょうね。神澤の知人秘書たちが、どの事務所に移動するのかも興味深いところです。秘書はほとんど議員を選べないので、これまたいろいろあったりしますが、それはまた別の機会に。

 そんなわけで参議院はしばらくバタバタなので、議員会館訪問は、7月26日以降がオススメです(笑)。

参院選で落選すると容赦なく追い出し! 議員事務所と秘書の引っ越し事情

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Photo by Norio NAKAYAMA from Flickr

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■落選した議員事務所は、容赦なく追い出される

 参議院選挙は、54.70%という投票率でした。過去4番目の低さだったとか。なんだか、舛添要一さんが都知事を辞職するまでの経緯が強烈すぎて、選挙中、街頭での反応はいまひとつ。特に都内の街頭活動では、都知事選挙と間違う人も多く、説明にひと苦労しました。まー、ワイドショーがずっと都知事選の候補者の話題ばかりだったようなので、しょうがないですよね。

 参議院議員会館は、この時期、とても嫌な雰囲気が漂っています。というのは、今回の選挙で落選してしまった議員事務所の引っ越し作業が行われているからです。落選後の議員事務室引き渡し作業は、かなり過酷で、落選して泣く暇も与えられません。

 なぜなら10日の投開票日の翌日の11日の月曜日には、選挙区で当選した候補者たちが正式に議員になってしまうからです。各都道府県の選挙管理委員会で行われる付与式で当選証書を受け取ると、正式に「参議院議員」になります。

 一方、落選した議員と引退する議員の任期は7月25日までなのですが、翌26日には新人議員たちに参議院議員会館の議員事務室が引き渡されるため、改装作業などもありますから、実際には15日までに事務室を引渡さなくてはなりません

 議員会館を管理しているサービスセンターという部署から、「議員事務室の引き渡し完了確認は、いつになりそうですか?」と、毎日電話がかかってきます。引き渡し予定日の3日前ともなれば、朝、昼、夜と電話があり、担当者の事務室訪問もあります。

 参議院から支給されている備品が確認され、棚や机には「備品」と書かれた紙がぺたぺたと貼られます。

 初めてその様子を見た時は、まるで「借金取りに家具を差し押さえられてしまった不憫な家庭」のように感じました。落選した議員事務所には、参議院の職員からの、そのくらい「容赦ない仕打ち」が待っているのです。

 秘書たちは、この時一番、職員たちを憎らしく思うんじゃないでしょうか。彼らは国家公務員ですから、秘書のように選挙の結果によって職業を失うこともなく、選挙の過酷さも知りません。秘書たちは、つい「どうして自分たちはこんなにも苦労しているのに、何も知らない職員に、まるで追い出されるかのような対応をされないといけないの……?」と思っちゃうんです。

■人付き合いが悪い秘書は、再就職に苦労する

 そういう事情で、選挙後の参議院議員会館の各フロアのゴミ置き場は、ゴミの山となっています。長く務めていた議員の事務所ほど資料も膨大で、作業も大変そうです。特に現役閣僚なのに落選した法務大臣の岩城光英事務所には3期18年分の資料があるのですから、想像を絶する作業をしていると思います。

 ドアはぴったりと閉められていて、秘書の方にあいさつするのもはばかられる重たい空気です。当選した議員事務所の秘書たちも、明るいのは事務室の中だけ。廊下に出た途端、重たい空気に触れるので、素直に喜んではいられない状況なんですよ。

 落選した議員の秘書たちは、新しいボスを探さなくてはなりません。なので、この時期は秘書たちの再就職活動が活発化します。神澤のところにも、就職を希望する方たちから続々と履歴書が届き始めています。参議院でいえば、こういう改選時期が就職活動のグッドタイミングなんですね。以前も書いてますが、秘書の採用は基本的にコネなので、新人議員事務所が秘書採用を斡旋する流れに遅れないように、活動開始されることが多いです。

 コネとともに重要なのが、日ごろの人間関係です。優秀でも真面目すぎで人付き合いが悪い秘書は、再就職に苦労します(笑)。これは議員も同じで、ひたすら真面目なだけでは、立候補の時に推薦がもらえなかったりしますよ。

 来週には、新人議員の事務室割り当ての抽選が行われます。初当選の方も多いので、がらりと雰囲気が変わるのでしょうね。神澤の知人秘書たちが、どの事務所に移動するのかも興味深いところです。秘書はほとんど議員を選べないので、これまたいろいろあったりしますが、それはまた別の機会に。

 そんなわけで参議院はしばらくバタバタなので、議員会館訪問は、7月26日以降がオススメです(笑)。

選挙とダイエットの深い関係 多忙な秘書は痩せたり太ったり、白髪が増えたり……

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Photo by mahmoud99725 from Flickr

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■選挙中、太る秘書と痩せる秘書がいる

 参議院選挙も終わり、全国の選挙区に応援に行っていた秘書たちが永田町に戻ってきました。廊下で会う衆議院議員の秘書同士の会話は、「どこに飛ばされていたの? 私は、北海道だよ」とか「私は議員会館に残っていたけど、毎日4時起きで朝の街頭演説を手伝っていたんだよ」などと、選挙の苦労話でもちきりですが、なんせ参議院のお手伝いの立場。当落も直接は関係なく、責任感もないので気が楽です。

 それよりも、「あなたはどっち? プラス? マイナス?」とお互いに体重の増減を気にする会話が繰り広げられています。

 なぜかというと、選挙期間中に太る秘書と痩せる秘書に分かれるからです。朝から晩までバタバタなので、食事や睡眠も不規則になってしまい、食欲は落ちるかドカ食いするかになってしまうのです。この1カ月の間で、体重がプラスになって戻ってくる秘書、マイナスで戻ってくる秘書と、タイプが分かれるのです。

 天気のいい日も多かったので、日焼けした秘書もたくさんいます。さすがに帽子にサングラスにストール、という完全防備の姿でビラは配れませんからね。それから、白髪が目立つ人も増えます(笑)。ヘアサロンに行く時間も取れず、休みなく頑張っていた証拠ですね。しばらくは、ダイエットと美白の話題が続きそうな永田町の女性陣です。

■ベビーシッターに30万円かけて頑張るママさん秘書も

 とはいえ、選挙が終わったところで安心はできません。軍資金(選挙の費用)を管理していた秘書たちは、選挙後7日以内に選挙運動費用の収支を選挙管理委員会へ提出しないといけないので、またまた徹夜作業が続きます。一定の期間が経過すると選挙運動費用収支報告書は公開されるため、マスコミからの細かい突っ込みを受けないよう気をつけながら?(笑)作業を頑張っています。

 選挙運動費用収支報告書は、通常の政治団体の収支報告書と異なり、1円以上の領収書を添付しなければならないため、作業量が膨大です。選挙期間中は、毎日出納帳を更新する余裕はないことが多いので、選挙が終わってから1カ月分の会計をまとめてするのです。会計専門のスタッフを用意できる陣営はまれですし、秘書は「何でも屋さん」なので、どんな作業もさせられます。

 当事者だった参議院議員の秘書たちは、選挙期間だけは、小さい子どもがいようが、親の介護が必要だろうが、自分のボスの選挙区で必死に活動しなくてはなりません。実家に子どもを預けて頑張るママさん秘書や、保育園児の子どものベビーシッター費用に1カ月30万円かけてまで頑張るママさん秘書もいましたよ。その費用は……というと、もちろん永田町では「自腹」になります。そのあたりの事情は、また別の時に。

 やっと(いつもより1日多い)18日間のながーい参選挙が終わり、ほっと一息つきたいところですが、次は東京都知事選挙が待っています。しばらくは、選挙活動が秘書の仕事の中心ですね。7月31日の投開票が終わるころには、また永田町の女性陣たちの体重が増減することになります。

 果たして神澤はどちらになるのでしょうか……? これからも、みなさんに永田町の「謎」をお届けするため頑張ります。

候補者の街宣車は“戦車”? 戦争用語が飛び交う選挙現場の不思議

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総務省ウェブサイトより

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■宣伝カーは「戦車」、朝の街頭演説は「朝立ち」

 6月22日、第24回参院選が公示されました。投開票が行われる7月10日まで、18日間の長い闘いとなります。本来は参院選は17日間なのですが、6月23日が「沖縄慰霊の日」で、選挙になじまないということで前倒しになりました。たまにそういうこともあります。

 選挙活動といえば、街頭宣伝カーから候補者の名前を連呼している様子をイメージされる方が多いのではないのでしょうか? 衆議院議員の選挙は14日間ですので、今回はとても長く感じます。北海道などの広い選挙区では、選挙対策本部で中心になって選挙を回していると、17日間でも時間が足りないように感じますが、手伝っている立場では、正直「長いなあ」と、げんなりしてしまいます。

 しかし、当事者にとっては、議員として活動を続けられるかどうかの生死を懸けた戦いなので、皆さん必死です。

 事務所では、「おい、“戦車”は今どこだ? あと10分で到着しないと、“陣地”を取られるぞ! 弾(タマ)は足りているのか!」といった怒号が聞こえてきたりします。「え、どういうこと? 戦争でも起こっているの?」と思いませんか? 神澤も秘書になってすぐの頃は、飛び交う「選挙用語」に目が点になっていました。

 選挙活動の現場では、宣伝カーのことを「戦車(宣車)」と呼ぶのです。「陣地」は、駅前の広場などで街頭演説を行うための場所のことです。「弾」は、配布するビラ(チラシ)のことを指します。

 もう時効ですが、少し前までは、「とうとう実弾をばらまかないといけないタイミングだな」などと「現金」のことを「実弾」と表現していました。かつては選挙でお金をまくのもアリの時代があったのです。さすがに今はないと思いますが(笑)。

 ほかにも、朝早くに街頭演説をすることを「朝立ち」、夕方だと「夕立ち」と言います。朝の街頭演説の呼称を口にするのは、新人の頃は恥ずかしく感じたものですが、永田町にいると感覚が麻痺してしまいますね。今では、大声で「朝立ちの準備はできているの?」と言っている自分がいます。どんな罵声を浴びせられても、笑顔でビラを配り続けると、顔面神経痛のようになり、目の下がぴくぴくしてきます。

 街頭演説をしている光景を目にしたら、選挙スタッフから、ぜひビラを受け取ってあげてくださいね。疲れ気味の顔で配っているスタッフの表情が、「ありがとうございます」と一瞬で明るくなるのを見ることができるでしょう。ビラには、候補者の熱い思いが込められています。プロフィールや公約を読んで、「ふーーん」という程度は関心をもってもらえたらうれしいです。

■どんな選挙でも、1票1票が積み重なって民意となる

 投票できる年齢が18歳に引き下げられ、選挙をがんばっている陣営(選挙事務所)も、どういう選挙活動を行えば皆さんに伝わるのか、試行錯誤しています。ツイッターなどSNSを利用する陣営も多いですが、どうなのでしょう? 神澤は、アメリカの大統領選挙のように、選挙ボランティアスタッフとして関わりをもってもらったら身近に感じてもらえるのではと考えていますが、日本の選挙制度では……と、ため息が出てしまいます。

 なぜなら、選挙活動でビラ配りや、電話やインターネットでの応援依頼ができるのは、無償のボランティアに限られているのです。つまり、一日中汗だくでビラを配っても、電話をかけまくっても、ぜんぶタダ働き。陣営からは何のお礼もできないのです。せいぜい、お茶とお水くらい。お弁当もダメです。

 でも、事務所内で働く「労務者」として選挙管理委員会に登録した有償のスタッフにはお弁当も出るし、働きに応じてお給料も出ます。でも、この「労務者」は、ビラ配りや電話かけなど、有権者に投票をお願いする行為は禁止されているのです。意味がわかりませんね。

 これでは、選挙のお手伝いをしてくれる人を確保するのは、ほぼほぼ無理だという状況が、わかってもらえますか?

 読者の皆さんは、猪瀬直樹さんとか舛添要一さんの騒動に飽き飽きして、「たかが1票で、世の中が変わるわけはない」なんて思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

 投票にはぜひ行っていただきたいと、永田町の秘書は心から願っています。どんな選挙でも、1票1票が積み重なって民意となります。決して無駄にはなりません。国政選挙であれば、私たちのボスである国会議員たちが、皆さんの思いを受け、少しでも生活が豊かになるようにと法律を新しく作ったり、環境の変化に合わせて改正したりしています。

 本当は、国会議員もその秘書たちのことも、もっともっと身近に感じてほしいのですが、難しいですね。まだまだ私たちの努力が足りないと反省しています。もう少し選挙運動が続くので、何かと騒がしいとは思いますが、せわしく動き回っているスタッフの中に神澤がいるかもしれませんよ。うるさく感じてしまうかもしれませんが、いろいろな候補者を数秒でもいいので観察して、投票する時の参考にしてくださいね。